(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】固体高分子形燃料電池用触媒層および膜電極接合体
(51)【国際特許分類】
H01M 4/86 20060101AFI20221206BHJP
H01M 4/92 20060101ALI20221206BHJP
H01M 4/96 20060101ALI20221206BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20221206BHJP
【FI】
H01M4/86 B
H01M4/92
H01M4/96 M
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2018069437
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】川村 敦弘
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-200762(JP,A)
【文献】特開2007-294237(JP,A)
【文献】特開2008-258057(JP,A)
【文献】特開2008-166078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86- 4/98
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金粒子、カーボン粒子、高分子電解質および繊維状物質を備えた固体高分子形燃料電池用触媒層であって、
前記繊維物質がカーボンナノチューブ、あるいはカーボンナノファイバーであり、
前記高分子電解質のイオン交換容量IECが下記の式(1)を満たす際に、前記白金粒子が担持されたカーボン粒子の質量Cおよび前記繊維物質の質量CFと高分子電解質の質量Iとの比I/(C+CF)は、0.8以上1.5以下であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用触媒層。
1.5>IEC≧1.3[meq/g] ・・・・ 式(1)
【請求項2】
請求項
1に記載の固体高分子形燃料電池用触媒層をアノードおよびカソードの少なくとも一方に設けたことを特徴とする膜電極接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池の構成部材である触媒層に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化などの環境問題を解決するために、CO2削減に向けた新規動力源の開発が求められている。その動力源として、CO2を排出しない燃料電池が注目されている。燃料電池とは、燃料(例:水素)と酸化剤(例:酸素)を用いて酸化して無害な水を生成する。水を生成することで得られた化学エネルギーを電気エネルギーに変換して、動力源または電源として使用される。
燃料電池は、電解質の種類によって分類されることから作動温度に強く依存し、搭載物が作動する温度領域によってそれぞれ適した燃料電池が使用される。固体高分子形燃料電池(PEFC)は、低温作動、高出力密度であり、小型化および軽量化が可能であることから、家庭用電源、車載用動力源として開発が行なわれている。
【0003】
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、高分子電解質膜を燃料極(アノード)と空気極(カソード)で挟んだ構造体(膜電極接合体)を持ち、燃料極側に燃料ガスとして水素を供給し、空気極側に酸素を含む空気ガスを供給することで、下記の電気化学反応により発電する。
アノード:H2 → 2H++ 2e- ・・・(反応1)
カソード:1/2O2 + 2H+ + 2e- → H2O ・・・(反応2)
【0004】
アノードおよびカソードは、それぞれ触媒層とガス拡散層の積層構造からなる。アノード側触媒層に供給された水素から、電極触媒によりプロトンと電子を生成する(反応1)。プロトンは、アノード側触媒層内の高分子電解質、高分子電解質膜を通過して、カソードに移動する。電子は、外部回路を通り、カソードに移動する。カソード側触媒層では、プロトン、電子および外部から供給された空気中に含まれる酸素が反応して水を生成する(反応2)。
【0005】
燃料電池の低コスト化に向けて、高出力特性を示す燃料電池の開発に注力されている。しかしながら、高出力運転によって水が過剰に生成され、触媒層やガス拡散層へのガス供給を妨害する現象(フラッディング)が生じることで発電性能を低下させる問題がある。
上記課題を解決するために、特許文献1、2では、白金担持カーボンだけでなく、カーボン繊維も含んだ触媒層が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-241703号公報
【文献】特許第5537178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および2では、カーボン繊維を触媒層に含ませることで、触媒層中に空隙が生じて、排水性の向上に繋げたと推定されている。しかしながら、カーボン繊維の構造や含有量に関しては明記されているが、高発電性能を示す触媒層の構造については明らかにされていない。
そこで、触媒層の構造に強く影響を与えるアイオノマーのイオン交換容量が、良好な発電性能を示す範囲を明らかにする。
本発明は上記のような実情を鑑みて成されたものであり、排水性やガス拡散性が向上でき、高出力が可能な固体高分子形燃料電池用触媒層および膜電極接合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態は固体高分子形燃料電池用の触媒層である。上記課題を解決するために、上記触媒層は、触媒担持カーボン粒子、高分子電解質およびカーボン繊維で構成し、上記高分子電解質のイオン交換容量(IEC)として、式(1)を満たしていることを特徴とする。
1.5≧IEC≧1.1 [meq/g] ・・・・ 式(1)
また、本発明の一形態に係る膜電極接合体は、上記触媒層をアノードおよびカソードの少なくとも一方に設けている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、排水性やガス拡散性が向上し、高い発電性能を示す固体高分子形燃料電池用触媒層を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る固体高分子形燃料電池用の触媒層の構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る膜電極接合体の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、以下に記載する実施の形態に限定されうるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更などの変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の実施形態の範囲に含まれるものである。
図1は、触媒粒子1、導電性担体2、高分子電解質3およびカーボン繊維4を備えた本発明の一実施形態である固体高分子形燃料電池用の触媒層(カソード用触媒層6,アノード用触媒層7)である。
図2は、高分子電解質膜5、カソード用触媒層6、アノード用触媒層7、ガスケット材8およびガス拡散層9を備えた本発明の一実施形態である膜電極接合体である。
【0012】
次に触媒層(カソード触媒層6,アノード触媒層7)の構成について、
図1を参照して説明する。
本実施形態で用いる触媒粒子1としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素のほか、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、若しくはこれらの合金が使用できる。また、酸化物、複酸化物等も使用できる。さらに、これらの触媒の粒径は、例えば0.1nm以上1μm以下、好ましくは0.5nm以上100nm以下、更に好ましくは1nm以上10nm以下程度である。
【0013】
これらの触媒粒子1を担持する導電性担体2は、一般的にカーボン粒子が使用される。カーボン粒子の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒粒子1におかされないものであればどのようなものでも構わないが、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛、活性炭、フラーレン等が使用できる。
本実施形態で用いる高分子電解質3としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、高分子電解質膜5(
図2参照)と同様の素材を用いることができ、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質等を用いることができる。なお、フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製のNafion(登録商標)系材料等を用いることができる。
【0014】
触媒粒子1に担持されている導電性担体2の質量Cおよびカーボン繊維4の質量CFと高分子電解質3の質量Iとの比I/(C+CF)は、0.2以上1.5以下であると良い。
特に、IEC(高分子電界質のイオン交換容量)が1.1以上1.3未満の際には、I/(C+CF)は、0.2以上0.8未満であるとより好ましい。また、IECが1.3以上1.5未満の際には、I/(C+CF)は、0.8以上1.5以下であるとより好ましい。これは、IECが低いほど、高分子電解質3とカーボン繊維4とが絡み合いやすく、IECによって発電性能に対するI/(C+CF)の有効範囲が変化するためである。
I/(C+CF)が0.2未満のとき、プロトンパスが乏しく、発電性能を著しく損なう。また、I/(C+CF)が1.5を超えるとき、触媒層の排水性が低下して、燃料電池の発電性能を著しく損なう。
【0015】
本実施形態で用いるカーボン繊維4としては、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどを用いることが出来る。好ましくは、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブが挙げられる。例えば、昭和電工社製のVGCF(登録商標)などの材料を用いることが出来る。カーボン繊維4の繊維径としては、0.5~500nmが好ましく、10~300nmがより好ましい。上記範囲にすることにより、触媒層内の空隙を増加させることができ、高い発電性能を示す。カーボン繊維4の繊維長は1~200μmが好ましく、1~50μmがより好ましい。上記範囲にすることにより、触媒層の強度を高めることができ、形成時にクラックが生じることを抑制できる。また、触媒層内の空隙を増加させることができ、高い発電性能を示す。
また、触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒粒子1を担持した導電性担体2、高分子電解質3およびカーボン繊維4を浸食することがなく、高分子電解質3を流動性の高い状態で溶解若しくは微細ゲルとして分散できるものあれば特に制限はない。
【0016】
なお、溶媒としては揮発性の有機溶媒や水が含まれることが望ましく、有機溶媒に関しては、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、1-プロパノ―ル、2-プロパノ―ル、1-ブタノ-ル、2-ブタノ-ル、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ペンタノ-ル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1-メトキシ-2-プロパノール等の極性溶剤等が使用される。また、これらの溶剤や水のうち二種以上を混合させたものも使用できる。分散剤が含まれていても良い。
【0017】
次に膜電極接合体の作製と構成について、
図2を参照して説明する。
上記膜電極接合体は、高分子電解質膜5の表裏面に、触媒層(表面側にカソード触媒層6,裏面側にアノード触媒層7)、ガスケット材8及びガス拡散層9を備えている。ガスケット材8及びガス拡散層9は、この順番で高分子電解質膜5側から順次積層されている。ガスケット材8は、触媒層(カソード触媒層6,アノード触媒層7)の周囲を囲むようにして配置されている。
【0018】
上記膜電極接合体に用いられる高分子電解質膜5としては、プロトン伝導性を有するものであればよく、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質等を用いることができる。なお、フッ素系高分子電解質としては、例えば、デュポン社製のNafion(登録商標)等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質膜としては、例えば、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。中でも、高分子電解質膜5としてフッ素系高分子電解質としてパーフルオロスルホン酸を含む材料を好適に用いることができる。
【0019】
ガスケット材8及び粘着層を有するプラスチックフィルムは、熱加圧時に溶融しない程度の耐熱性を有しているものであれば良い。例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリパルバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアクリレート等の高分子フィルムを用いることができる。また、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。ガスケット材8における基材としては、ガスバリヤ性、耐熱性を考慮した場合、ポリエチレンナフタレートであることが特に好ましい。
【0020】
ガスケット材8及び粘着層を有するプラスチックフィルムの粘着層は、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系などの粘着剤であればよく、ガスケット材8及び高分子電解質膜5との密着性と、熱加圧時における耐熱性を考慮するとアクリル系であることがより好ましい。ガスケット材8及び粘着層を有するプラスチックフィルムの粘着層の密着性は、高分子電解質膜5-ガスケット材8間の密着力が、ガスケット材―粘着層を有するプラスチックフィルム間の密着力より大きければ、膜電極接合体にガスケット材8を付与することが容易であるため好ましい。
【0021】
次に、上記触媒層および膜電極接合体の製造について説明する。
触媒インクを作製する際の分散処理は、様々な装置を用いておこなうことができる。例えば、分散処理としては、ボールミルやロールミルによる処理、せん断ミルによる処理、湿式ミルによる処理、超音波分散処理などが挙げられる。また、遠心力で攪拌を行うホモジナイザーなどを用いても良い。
上記触媒インクを塗工用基材上に形成する塗工方式として、ダイコーター方式、ロールコーター方式およびスプレー方式などが挙げられるが、本発明に関しては限定しない。
膜電極接合体の構成要素である上記触媒層が形成される塗工用基材は、高分子電解質膜5および転写基材であるが、本発明に関しては限定しない。
【0022】
転写法で作製する場合、転写基材を構成する材料としては、その表面に触媒層を形成できるものであり、かつ触媒層を高分子電解質膜5に転写できるものであれば良い。例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパルバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート等の高分子フィルムを用いることができる。また、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。
【0023】
カソード用触媒層6およびアノード用触媒層7のイオン交換容量をIECとして、IECが1.1以上1.5以下であることが望ましい。この範囲では、触媒層のガス拡散性および排水性が高まり、良好な発電性能が得られる。一方、IECが1.1未満のとき、高分子電解質3とカーボン繊維4との絡み合いが抑制され、高分子電解質3が凝集するため、好ましくない。また、IECが1.5を超える場合、高分子電解質3と導電性担体2あるいはカーボン繊維4との結びつきが強くなり、排水性が低下するため、好ましくない。
上記のことから、IECが1.1以上1.5以下であるカーボン繊維含有の触媒層を持った膜電極接合体は高い発電性能を示すことがわかる。
【0024】
本発明の実施形態の一つである膜電極接合体は、上記触媒層をアノードおよびカソードの少なくとも一方に設けており、このような構成とすることにより発電性能が優れた膜電極接合体が得られる。
以上で説明した膜電極接合体の製造方法によれば、高分子電解質膜5の両面に触媒層が良好な形状で接合された膜電極接合体を製造することができる。
以下、本発明を実施例について具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
(触媒インクの調液)
触媒層を形成するための触媒インクは、フッ素系高分子電解質の分散溶液、白金担持カーボン、カーボン繊維(VGCF-H,「VGCF」は登録商標)、1-プロパノールおよび水で構成されており、ボールミルで混合することで、触媒層の触媒インクを調液した。
【0026】
(触媒層の形成および膜電極接合体の製造)
ダイ塗工により、アノードおよびカソードを高分子電解質膜5上に形成させて、膜電極接合体を製造した。
(発電評価)
実施例および比較例で作製した膜電極接合体を挟持するように、ガス拡散層9として用いるカーボンペーパーを貼りあわせ、発電評価セル内に設置した。燃料電池測定装置を用いて、セル温度80℃とし、電流電圧測定を行った。燃料ガスとして水素、酸化剤ガスとして空気を用い、利用率一定による流量制御を行った。
【0027】
[実施例1]
白金担時カーボン(TEC10E50E)、カーボン繊維(VGCF-H)および高分子電解質(Aquivion830,IEC1.1)を使用し、I/(C+CF)が0.2である触媒インクで、触媒層の白金担持量が0.2mg/cm2になるように高分子電解質膜Nafion212に塗工を行い、膜電極接合体を作製した。
[実施例2]
I/(C+CF)が0.7であることを除いて、実施例1と同様にして、膜電極接合体を作製した。
【0028】
[実施例3]
高分子電解質(Aquivion950,IEC1.2)を使用したことを除いて、実施例1と同様にして、膜電極接合体を作製した。
[実施例4]
I/(C+CF)が0.7であることを除いて、実施例3と同様にして、膜電極接合体を作製した。
【0029】
[実施例5]
白金担時カーボン(TEC10E50E)、カーボン繊維(VGCF-H)および高分子電解質(Aquivion700,IEC1.4)を使用し、I/(C+CF)が0.8である触媒インクで、触媒層の白金担持量が0.2mg/cm2になるように高分子電解質膜Nafion212に塗工を行い、膜電極接合体を作製した。
[実施例6]
I/(C+CF)が1.5であることを除いて、実施例5と同様にして、膜電極接合体を作製した。
【0030】
[比較例1]
カーボン繊維を使用しないことを除いて、実施例1と同様にして、膜電極接合体を作製した。
[比較例2]
カーボン繊維を使用しないことを除いて、実施例5と同様にして、膜電極接合体を作製した。
【0031】
[比較例3]
高分子電解質(Nafion,IEC0.99)を使用したことを除いて、実施例1と同様にして、膜電極接合体を作製した。
[比較例4]
高分子電解質(Nafion117,IEC2.0)を使用したことを除いて、実施例1と同様にして、膜電極接合体を作製した。
(評価結果)
実施例および比較例の結果を表1にまとめた。
【0032】
【0033】
以上の結果から、本実施形態によれば、式(1)、式(2)および式(3)を満たす触媒層を持つことで膜電極接合体の発電性能が向上した。これにより、排水性やガス拡散性が向上でき、高出力が可能な高分子形燃料電池用触媒層を提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1…触媒粒子
2…導電性担体
3…高分子電解質
4…カーボン繊維
5…高分子電解質膜
6…カソード触媒層
7…アノード触媒層
8…ガスケット材
9…ガス拡散層