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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20221206BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20221206BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221206BHJP
   B65H 9/14 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65H5/06 H
B65H7/02
G03G15/00 450
B65H9/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018073070
(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公開番号】P2019182571
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】矢野 啓太
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 啓
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 潤一
(72)【発明者】
【氏名】富岡 寛満
(72)【発明者】
【氏名】長沼 輝樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昂平
(72)【発明者】
【氏名】荒井 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】瀬倉 友樹
(72)【発明者】
【氏名】志村 雄一郎
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-137524(JP,A)
【文献】特開2014-061957(JP,A)
【文献】特開2011-026014(JP,A)
【文献】特開2002-068520(JP,A)
【文献】国際公開第2013/080291(WO,A1)
【文献】特開2008-087916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 7/00- 7/20
B65H 9/00- 9/20
B65H 13/00-15/02
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に供給する用紙を積載して収容する収容部と、
前記収容部に収容された用紙を繰り出して供給する供給ロールと、
前記供給ロールから供給される用紙をその先端を突き当てた後に前記画像形成部に送る一対の突当ロールと、
前記収容部と前記突当ロールの間をつなぐ用紙の搬送経路に配置され、前記供給ロールから供給される用紙を前記突当ロールにむけて搬送する一対の搬送ロールと、
前記一対の搬送ロールの接触している部分の接触圧を変更する変更手段と、
を備え、
前記搬送ロールが前記搬送経路に複数配置されており、
前記複数の搬送ロールのうち少なくとも前記供給ロールに最も近い位置に配置されている搬送ロールは、前記接触圧の通常時の接触圧が特定の種類以外の用紙が供給されるときの第1の接触圧よりも低い第2の接触圧に設定されており、
前記変更手段は、少なくとも前記供給ロールに最も近い位置に配置されている搬送ロールの前記接触圧を、用紙として前記特定の種類以外の用紙が供給されるときに前記第2の接触圧から前記第1の接触圧に変更する画像形成装置。
【請求項2】
前記特定の種類の用紙は、予め定められる数値範囲の坪量の用紙と、予め定められる値以上の搬送方向長さの用紙との少なくとも一方である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記供給ロールが用紙を繰り出して前記搬送ロールまで供給するときの搬送速度を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に応じて前記供給ロールの回転速度を予め設定されている搬送速度に近づけるよう調整する調整手段と、
を備える請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記測定手段は、用紙の先端の通過を検知する複数の検知手段を有し、前記複数の検知手段は前記搬送経路の前記供給ロールから最初に到達する前記搬送ロールまでの区間内で用紙の搬送方向に間隔をあけて一列に並んでいる請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般にレジロール、レジストローラ等と称される突当ロール(突き当てロール)を通過させて用紙を搬送する紙送りに関係する技術としては、例えば、以下に示す特許文献1、2に記載されているものが知られている。
【0003】
特許文献1には、転写紙の搬送経路に配置されたレジストローラと、レジストローラの上流側において支持軸上の搬送する転写紙の幅方向のほぼ中央に配置されている1つの第1搬送ローラと、第1搬送ローラの上流側に配置されてレジストローラの手前で転写紙にたるみをつける際に転写紙を挟んでいる状態から転写紙を開放する第2搬送ローラと、を備える紙搬送装置において、上記第2搬送ローラは、レジストローラの手前で転写紙にたるみをつける際に、転写紙の搬送方向に関する長さが短くて転写紙がレジストローラに当接しても転写紙の端部が第2ローラに挟まれない場合には加圧保持状態であり、転写紙の搬送方向に関する長さが長くて転写紙がレジストローラに当接しても転写紙の端部が第2ローラに挟まれる場合には転写紙を挟んでいる状態から転写紙を開放する加圧手段を備える紙搬送装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、用紙を給紙する給紙手段と、給紙手段の下流側に設けられる第1用紙検知センサと、給紙された用紙にループを形成するループ形成ローラと、給紙された用紙が突き当てられて停止した後に画像形成部へ再給紙するレジストローラと、レジストローラの近傍に設けられた第2用紙検知センサと、用紙に画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置において、給紙手段による用紙の給紙開始から所定時間後に第1用紙検知センサに到達したか否かの判定に基づき用紙の一時停止を行うか否かの制御を行う制御手段を有し、その制御手段は、前記一時停止した場合の給紙開始から第2用紙検知センサに用紙が到達するまでの到達時間を計測し、その到達時間に基づき前記一時停止する時間を補正する画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3749778号公報
【文献】特開2005-314020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、収容部に収容された用紙を繰り出して供給する供給ロールから供給される用紙を、一対の搬送ロールを経由させて一対の突当ロールまで搬送し、その突当ロールに用紙の先端を突き当てた後に画像形成部に送る際、搬送ロールに挟持されたままで先端が突当ロールに接した用紙のすべてに対して搬送ロールの接触圧を相対的に低減させる動作をその都度行う場合に比べて、突当ロールの用紙の斜め送りを効率よく抑制することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(A1)の画像形成装置は、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に供給する用紙を積載して収容する収容部と、
前記収容部に収容された用紙を繰り出して供給する供給ロールと、
前記供給ロールから供給される用紙をその先端を突き当てた後に前記画像形成部に送る一対の突当ロールと、
前記収容部と前記突当ロールの間をつなぐ用紙の搬送経路に配置され、前記供給ロールから供給される用紙を前記突当ロールにむけて搬送する一対の搬送ロールと、
前記一対の搬送ロールの接触している部分の接触圧を変更する変更手段と、
を備え、
前記搬送ロールが前記搬送経路に複数配置されており、
前記複数の搬送ロールのうち少なくとも前記供給ロールに最も近い位置に配置されている搬送ロールは、前記接触圧の通常時の接触圧が特定の種類以外の用紙が供給されるときの第1の接触圧よりも低い第2の接触圧に設定されており、
前記変更手段は、少なくとも前記供給ロールに最も近い位置に配置されている搬送ロールの前記接触圧を、用紙として前記特定の種類以外の用紙が供給されるときに前記第2の接触圧から前記第1の接触圧に変更するものである。
【0008】
この発明(A2)の画像形成装置は、上記発明A1の画像形成装置において、前記特定の種類の用紙は、予め定められる数値範囲の坪量の用紙と、予め定められる値以上の搬送方向長さの用紙との少なくとも一方であるものである
【0009】
この発明(A)の画像形成装置は、上記発明A1又はA2の画像形成装置において、前記供給ロールが用紙を繰り出して前記搬送ロールまで供給するときの搬送速度を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果に応じて前記供給ロールの回転速度を予め設定されている搬送速度に近づけるよう調整する調整手段と、を備えるものである。
この発明(A)の画像形成装置は、上記発明Aの画像形成装置において、前記測定手段は、用紙の先端の通過を検知する複数の検知手段を有し、前記複数の検知手段は前記搬送経路の前記供給ロールから最初に到達する前記搬送ロールまでの区間内で用紙の搬送方向に間隔をあけて一列に並んでいるものである。
【発明の効果】
【0010】
上記発明A1の画像形成装置によれば、収容部に収容された用紙を繰り出して供給する供給ロールから供給される用紙を、一対の搬送ロールを経由させて一対の突当ロールまで搬送し、その突当ロールに用紙の先端を突き当てた後に画像形成部に送る際、搬送ロールに挟持されたままで先端が突当ロールに接した用紙のすべてに対して搬送ロールの接触圧を相対的に低減させる動作をその都度行う場合に比べて、突当ロールの用紙の斜め送りを効率よく抑制することができる。また、上記発明A1の画像形成装置によれば、複数の搬送ロールのうち少なくとも供給ロールに最も近い位置に配置されている搬送ロールの接触圧を変更しない場合に比べて、突当ロールの用紙の斜め送りを抑制することができる。
【0011】
上記発明A2の画像形成装置によれば、収容部に収容された用紙を繰り出して供給する供給ロールから供給される用紙を、一対の搬送ロールを経由させて一対の突当ロールまで搬送し、その突当ロールに用紙の先端を突き当てた後に画像形成部に送る際、搬送ロールに挟持されたままで先端が突当ロールに接した用紙のすべてに対して搬送ロールの接触圧を相対的に低減させる動作をその都度行う場合に比べて、突当ロールの用紙の斜め送りを効率よく抑制することができる。
【0012】
上記発明Aの画像形成装置によれば、上記測定手段および調整手段を備えていない場合に比べて、変更手段により搬送ロールの接触圧が第1の接触圧よりも低い第2の接触圧に変更された場合でも、用紙を供給ロールから最初の搬送ロールまで安定した時間で搬送することができる。
上記発明Aの画像形成装置によれば、上記2地点を通過するときの所要時間から用紙の搬送速度を算出しない場合に比べて、用紙を供給ロールから最初の搬送ロールまで更に安定した時間で搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1等に係る画像形成装置の構成を示す概念図である。
図2図1の画像形成装置における一部の構成を示す概念図である。
図3】(a)は変更手段と第1の接触圧にされた搬送ロールとの構成および状態を示す概念図、(b)は変更手段と第2の接触圧にされた搬送ロールとの構成および状態を示す概念図である。
図4】実施の形態1における変更手段の動作を示すフローチャートである。
図5図1の画像形成装置において特定の種類の用紙が斜めに傾いた状態で搬送された場合でも突当ロールの斜め送りが抑制される状態を示す概念図である。
図6】実施の形態1に係る画像形成装置の変更例を示す概念図である。
図7】実施の形態2に係る画像形成装置における一部の構成を示す概念図である。
図8】実施の形態2に係る画像形成装置の変更例を示す概念図である。
図9】実施の形態3に係る画像形成装置における変更手段の動作を示すフローチャートである。
図10】比較参考の画像形成装置において用紙が斜めに傾いた状態で搬送された場合に発生する突当ロールの斜め送りを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の構成を示し、図2はその画像形成装置における一部(用紙の収容部から画像形成部までの搬送経路)の構成を示している。
各図面中に符号X,Y,Zで示す矢印は、各図面において想定した3次元空間の幅、高さ及び奥行の各方向を示す。また図1図2等においてX,Yの方向の矢印が交わる部分の丸印は、Zの方向が図面の垂直下方に向いていることを示している。
【0016】
<画像形成装置の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、図1に示されるように、筐体10の内部空間に、画像情報に基づく画像を用紙9に形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する用紙9を積載して収容する収容部4と、用紙9を所要の搬送経路を通して搬送する搬送部5等を備えている。
ここで、画像情報は、例えば、文字、図形、写真、模様などの画像に関係する情報である。筐体10は、各種の支持部材、外装材等で所要の形状に形成された構造物である。この筐体10は、その上面部の一部に、画像が形成された後に排出される用紙9を重ねた状態で収容する排出収容部12が形成されている。
【0017】
画像形成部2は、用紙9に現像剤からなる画像を形成する電子写真方式の画像形成部として構成されている。この画像形成部2は、画像情報に基づいて現像剤からなる未定着の像(トナー像)を作成して用紙9に転写する作像部20と、作像部20で転写された未定着のトナー像を用紙9に定着させる定着部35を備えている。
【0018】
このうち作像部20は、矢印で示す方向に回転するドラム形態の感光体である感光ドラム21の周囲に、帯電装置22、露光装置23、現像装置24、転写装置25、清掃装置26等の機器を配置して構成される部分である。この作像部20では、感光ドラム21と転写装置25が接触又は対向する部位が、用紙9を通過させてトナー像の転写を行う転写位置TPになる。
【0019】
また、定着部35は、筐体36の内部空間に、矢印で示す方向に回転する加熱用回転体37、加熱用回転体37に加圧下で接触して従動回転する加圧用回転体38等の機器を配置して構成される部分である。この定着部35では、加熱用回転体37と加圧用回転体38が接触する部位が、トナー像が転写された用紙9を通過させて加熱、加圧等の定着処理を行う定着処理部(定着ニップ)FNになる。
【0020】
収容部4は、例えば、第1収容部4A、第2収容部4Bおよび第3収容部4Cという3つの収容部を備えている。
【0021】
第1収容部4Aと第2収容部4Bはいずれも、筐体10の画像形成部2よりも下方側の位置に設けられるカセット式の収容部であり、収容カセット41,42、供給装置43,44等の機器を配置して構成されている。
【0022】
収容カセット41,42はいずれも、複数枚の用紙9を所要の向きで積載して収容する積載板41a,42aを有し、筐体10の外部に引き出し操作が可能な状態で取り付けられる収容部材である。供給装置43,44はいずれも、収容カセット41,42の積載板41a,42a上に積載されている用紙9を上方から1枚ずつ繰り出して画像形成部2の作像部20にむけて供給する装置である。
また、供給装置43,44は、積載されている用紙9を上方から繰り出す繰出しロール43a,44aと、繰出しロール43a,44aからそれぞれ繰り出される用紙9を供給する供給ロール43b,44bと、繰出しロール43a,44aが繰り出した複数枚の用紙9を1枚だけ供給されるように捌く捌きロール43c,44c等を備えている。
【0023】
第3収容部4Cは、筐体10の側面側の外部に設けられるトレイ式の収容部であり、収容トレイ46、供給装置47等の機器を配置して構成されている。
【0024】
収容トレイ46は、いわゆる手差しトレイとも称されるものであり、複数枚の用紙9を所要の向きで積載して収容し、筐体10の外部に倒した状態で使用するよう取り付けられる可倒式の収容部材である。供給装置47は、収容トレイ46上に収容される用紙9を上方から1枚ずつ繰り出して供給する装置である。この収容トレイ46と供給装置47は、筐体10の一側面部に設けられる用紙進入口13を基準にした位置に配置されている。
また、供給装置47は、上記供給装置43,44の場合とほぼ同様に、繰出しロール47a、供給ロール47b、捌きロール47c等を備えている。
【0025】
搬送部5は、図1に示されるように、次の5つの搬送部である第1搬送部5A、中継搬送部5B、排出搬送部5C、第2搬送部5Dおよび第3搬送部5Eを備えている。
【0026】
第1搬送部5Aは、第1収容部4Aとレジロール51との間をつなぐ給紙用の搬送経路(一点鎖線の曲線で示す経路)を形成する搬送部である。この第1搬送部5Aは、第1収容部4Aの供給装置43(の供給ロール43b)とレジロール51の間に配置される一対の搬送ロール53と、用紙9Aの搬送空間を確保しながら用紙9Aを案内する図示しない用紙案内部材とで構成されている。
【0027】
中継搬送部5Bは、レジロール51と画像形成部2の用紙導入部側および内部との間をつなぐ中継用の搬送経路を形成する搬送部である。この中継搬送部5Bは、レジロール51と作像部20の転写位置TPとの間に配置される図示しない用紙案内部材や、作像部20と定着部35との間に配置される用紙案内部材等で構成されている。
排出搬送部5Cは、画像形成部2の用紙排出側と排出ロール52との間をつなぐ排出用の搬送経路を形成する搬送部である。この排出搬送部5Cは、定着部35と一対の排出ロール52との間に配置される一対の搬送ロール54と、図示しない用紙案内部材等で構成されている。
【0028】
第2搬送部5Dは、第2収容部4Bとレジロール51との間をつなぐ給紙用の搬送経路を形成する搬送部である。この第2搬送部5Dは、第2収容部4Bの供給装置44(の供給ロール44b)と第1搬送部5Aとの合流部までの間に配置される一対の搬送ロール55,56と、用紙9Bの搬送空間を形成しながら用紙9Bを案内する図示しない用紙案内部材とで構成されている。
第3搬送部5Eは、第3収容部4Cとレジロール51との間をつなぐ給紙用の搬送経路を形成する搬送部である。この第3搬送部5Eは、上記合流部J1よりも上流側にある合流部J2において第2搬送部5Dとも合流する搬送経路になっている。また、この第3搬送部5Eは、第2搬送部5Dとの合流部J2から第1搬送部5Aとの合流部J1までの間に配置される一対の搬送ロール56と、用紙9Cの搬送空間を形成しながら用紙9Cを案内する図示しない用紙案内部材とで構成されている。第3搬送部5Eにおける搬送ロール56は、第2搬送部5Dにおける1つの搬送ロール56も兼ねている。
【0029】
上記レジロール51は、各収容部4A~4Cからそれぞれ供給される用紙9(A~C)をその先端を突き当てた後に画像形成部2(の作像部20における転写位置)に送る一対の突当ロールの一例である。
上記排出ロール52は、画像が形成された用紙9を筐体10の側面部に設けられた用紙排出口14から排出させて排出収容部12に収容させる一対のロールである。
【0030】
また、一対のレジロール51は、回転する駆動ロールと、駆動ロールに接触して従動回転する従動ロールという2つのロールを組み合わせたロールである。その駆動ロールと従動ロールはいずれも、回転軸とその回転軸に固定される複数のロール本体とで構成されている。
さらに、上記一対の排出ロール52および搬送ロール53,54についても、レジロール51の場合とほぼ同様に、駆動ロールと従動ロールとの2つのロールを組み合わせたロールである。
【0031】
<画像形成装置による画像形成動作>
この画像形成装置1では、以下のようにして画像形成動作が行われる。
【0032】
まず、画像形成装置1は、図示しない制御手段が外部接続機器等から画像形成動作を要求する指令を受けると、画像形成部2、収容部4、搬送部5等の可動部分が所要のタイミングで始動する。ここでは、代表例として第1収容部4Aから供給される用紙9Aの片面に画像を形成するときの動作を説明する。
【0033】
画像形成部2では、図1に示されるように、作像部20において、感光ドラム21が矢印で示す方向に回転始動し、帯電装置22がその感光ドラム21の外周面を所要の電位にそれぞれ帯電させた後、露光装置23が画像処理された画像信号に対応した光(破線の矢印)を感光ドラム21の帯電した外周面に対して照射して静電潜像を形成する。しかる後、作像部20における現像装置24が、その静電潜像を所要の色(例えば黒色)からなる現像剤としてのトナーを供給して付着させることにより現像する。これにより、感光ドラム21の外周面には、所要の色のトナー像が形成される。
【0034】
一方、第1搬送部5Aでは、画像形成部2における作像部20の動作タイミングに合わせて、第1収容部4Aの収容カセット41に収容されている用紙9Aを供給装置43により画像形成部2における作像部20の転写位置TPにむけて供給する。この際、第1搬送部5Aでは、供給装置43により第1収容部4Aから供給される用紙9Aが、搬送ロール53を経てレジロール51まで送られた後、レジロール51により所要のタイミングで作像部20の転写位置TPに送られる。
【0035】
続いて、作像部20では、転写装置25が作像部20の感光ドラム21に作成されたトナー像を転写位置TPにおいて第1収容部4Aから供給された用紙9Aに転写させる。また、作像部20では、清掃装置26が感光ドラム21の転写後等における外周面に付着するトナー、紙粉等の不要物を除去して清掃し、次の作像工程に備える。
【0036】
続いて、画像形成部2では、作像部20でトナー像が転写された用紙9Aが、中継搬送部5Bを経由して定着部35に送られ、その定着部35における定着処理部FNに導入して通過させられる。これにより、用紙9A上のトナー像は、加圧下で加熱されて溶融し、用紙9Aに定着される。
【0037】
最後に、定着終了後の用紙9Aは、定着部35から排出搬送部5Cを経由して排出収容部12に排出されて収容される。この際、定着が終了して定着部35から排出される用紙9は、排出搬送部5Cにおける搬送ロール54により送られた後、排出ロール52により用紙排出口14を通して排出収容部12に排出される。
【0038】
以上の一連の動作が行われることにより、1枚の用紙9Aの片面に対して所要の色の画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。
また、この画像形成装置1では、複数枚の用紙9Aに対する画像形成動作を要求する指令が出された場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返される。
さらに、この画像形成装置1では、第2収容部4Bに収容されている用紙9Bに対する画像形成動作の要求や、第3収容部4Cに収容されている用紙9Cに対する画像形成動作の要求があった場合には、その第2収容部4B又は第3収容部4Cからそれぞれ供給される用紙9B,9Cに対して上記した一連の動作がほぼ同様に行われる。
【0039】
<レジロールの用紙の斜め送り>
ところで、このような画像形成装置1においては、図10(d)に例示されるように、一対のレジロール51により送られる用紙9が、レジロール51における回転軸510の軸方向Bに対して直交する搬送方向Cに沿う方向ではなく斜めに傾いた方向を向いた姿勢で送られる現象(レジロール51の斜め送り)が発生することがある。
【0040】
このレジロール51の斜め送りについて、第1収容部4Aに収容されている用紙9Aが第1搬送部5Aを経由して搬送されたときに発生する場合を例にして説明する。
【0041】
はじめに、第1収容部4Aに収容されている用紙9Aは、第1搬送部5Aにより搬送される際、供給装置43の供給ロール43bの搬送力により一対の搬送ロール53まで送られた後、その搬送ロール53の搬送力により一対のレジロール51まで送られる。
続いて、用紙9Aは、搬送ロール53により搬送され続けた状態で、その先端9aが停止した状態にある一対のレジロール51(駆動ロールと従動ロールの間)に突き当てられて一時的に停止させられた後、レジロール51が所要のタイミングで回転し始めることにより画像形成部2に送られる。
【0042】
この場合、図10(a)に例示されるように用紙9Aが本来の搬送方向Cに対して斜めに傾いた姿勢でレジロール51に搬送されると、その用紙9Aは、図10(b)に例示するよう停止中のレジロール51と搬送中の搬送ロール53との間で、レジロール51に先に突き当たる側の端部9cから反対側の端部9dにかけて一時的にたわむように湾曲した状態になる。図中の符号9tは用紙9の湾曲した部分を示す。また、図中の破線の矩形で示す符号90は、正常な搬送姿勢でその先端がレジロール51に達するまで送られているときの用紙を示している。
続いて、用紙9Aは、レジロール51が回転し始めると、レジロール51から送られ始める。
このときの用紙9Aは、図10(c)に例示されるように、その先端9aとなる前方部が、レジロール51の回転軸510の軸方向Bとほぼ平行する姿勢で送り出される。また、このときの用紙9Aは、その後端9bとなる後方部が、レジロール51と搬送ロール53の間の搬送通路内で上記湾曲した部分9tを残したままの状態で送られる。この湾曲した部分9tは、用紙9Aの後端9bが搬送ロール53を抜け出た段階で消失する。
したがって、この斜めに傾いた姿勢で搬送された用紙9Aは、その斜行して搬送される搬送姿勢がレジロール51により補正され、全体として本来の搬送方向Cに沿った正常な搬送姿勢で搬送されるようになる。
【0043】
しかし、この場合、用紙9Aの種類によっては、レジロール51と搬送ロール53の間で発生する上記湾曲した部分9tの量(大きさ)が図10(b)に例示するように上記軸方向Bにおける左右端部9c,9dで異なるため、図10(c)に矢印の長短で速度の大小を例示するように、その湾曲した部分9tの量が相対的に大きい端部9cの側が、その反対の端部9dの側よりもレジロール51に対して相対的に速く送られるようになる。
これにより、用紙9Aは、その種類によっては、図10(d)に例示するように、最終的にレジロール51から少し捻じられるよう回転した状態で送られるようになり、この結果、上記したようなレジロール51の斜め送りが発生する。
【0044】
ちなみに、このレジロール51の斜め送りは、レジロール51よりも搬送方向Cの上流側に存在する一対の搬送ロール53の用紙9Aを挟んで保持するときの拘束力が常に強い状態にある場合に発生しやすい傾向にある。
また、このレジロール51の斜め送りは、第2収容部4Bに収容されている用紙9Bが第2搬送部5Eを経由してレジロール51に搬送される場合や、第3収容部4Cに収容されている用紙9Cが第3搬送部5Eを経由してレジロール51に搬送される場合においても、発生することがある。
【0045】
<画像形成装置の詳細な構成>
そこで、この画像形成装置1においては、図2図4等に示されるように、第1搬送部5Aにおける一対の搬送ロール53の接触している部分の接触圧を変更する変更手段6Aを設けたうえで、その変更手段6Aが、用紙9として特定の種類の用紙が供給されるときに、搬送ロール53の接触圧CPを特定の種類以外の用紙9が供給されるときに適用する第1の接触圧CP1よりも低い第2の接触圧CP2(<CP1)に変更するよう構成している。
【0046】
まず、一対の搬送ロール53は、図3に示されるように、駆動ロール531と従動ロール532とで構成されている。
このうち搬送ロール53の駆動ロール531は、回転軸531aと回転軸531aに固定される複数のロール本体531bとで構成されており、その回転軸531aが図示しない支持部材に軸受533を介して回転可能に配置されている。また、駆動ロール531は、電動モータ535の動力が回転伝達機構536を介して回転軸531aに伝達されることにより、用紙9を搬送する方向に回転する。
【0047】
一方、搬送ロール53の従動ロール532は、回転軸532aと回転軸532aに固定される複数のロール本体532bとで構成されており、その回転軸532aが図示しない支持部材に軸受534を介して回転可能に配置されているとともに駆動ロール531に対して接近および離間する方向(図3では両矢印で示す方向)に変位可能に取り付けられている。また、従動ロール532は、そのロール本体532bが、軸受534と回転軸532aを介してバネ61により加圧されて駆動ロール531のロール本体531bに押し付けられており、これにより回転する駆動ロール531に所要の接触圧CPで接触して従動回転する。
【0048】
そして、変更手段6Aは、図3に示されるように、搬送ロール53における従動ロール532をその駆動ロール531に押し付けるためのバネ61の長さLをカム機構により調整する装置を用いて構成されている。
【0049】
変更手段6Aは、例えば、従動ロール532の軸受534を駆動ロール531に接近させる方向に加圧するバネ61の一端に接触する接触部材63を、カム機構としての2つの偏心カム62を動かすことにより駆動ロール531に接近する方向および離間する方向に変位させるよう構成されている。
【0050】
バネ61としては、例えばコイルバネが使用される。
2つの偏心カム62は、長径部62aおよび短径部62bを有する形状のカムであり、図示しない支持部材の所定の部位に回転可能に取り付けられた回転軸64に固定されている。また、2つの偏心カム62は、電動モータ65の動力が回転伝達機構66から回転軸64を介して伝達されて回転することにより、その長径部62aおよび短径部62bを接触部材63にそれぞれ接触させて停止するようになっている。
上記回転軸64は、搬送ロール53における駆動ロール531の回転軸531aと一定の距離に保たれるよう図示しない支持部材に回転可能に支持されている。上記偏心カム62の長径部62aは、カムとして機能させる部分のうち半径が相対的に大きい部分である。上記偏心カム62の短径部62bは、カムとして機能させる部分のうち半径が相対的に小さい部分である。
【0051】
この変更手段6Aは、搬送ロール53の接触圧CPを相対的に高い第1の接触圧CP1にする場合には、図3(a)に示されるように、偏心カム62の長径部62aが接触部材63に接触して停止するよう電動モータ65を作動させる。
これにより、変更手段6Aでは、偏心カム62の長径部62aが接触部材63を駆動ロール531に接近させる方向に変位させることになるので、加圧バネ61の長さLが相対的に短い長さL1になって加圧バネ61が相対的に大きい加圧力F1を発生する状態になる。
この結果、搬送ロール53の接触圧CPは、第2の接触圧CP2よりも相対的に高い第1の接触圧CP1に変更される。
【0052】
また、この変更手段6Aは、搬送ロール53の接触圧CPを第1の接触圧CP1よりも低い第2の接触圧CP2(<CP1)にする場合には、図3(b)に示されるように、偏心カム62の短径部62bが接触部材63に接触して停止するよう電動モータ65を作動させる。
これにより、変更手段6Aでは、偏心カム62の短径部62bが接触部材63を駆動ロール531から離間する方向に変位させるので、加圧バネ61の長さLが相対的に長い長さL2(<L1)になって加圧バネ61が相対的に小さい加圧力F2(<F1)を発生する状態になる。
この結果、搬送ロール53の接触圧CPは、第1の接触圧CP1よりも相対的に低い第2の接触圧CP2(<CP1)になるよう変更される。第2の接触圧CP2にあるときの搬送ロール53は、少なくともその駆動ロール531と従動ロール532が用紙9を挟んだ状態でレジロール51まで搬送することが可能な状態に設定されている。
【0053】
ちなみに、この画像形成装置1では、搬送ロール53の通常時の接触圧CPが、特定の種類以外の用紙9が供給されるときに適用する第1の接触圧CP1になるよう設定されている(図3(a))。通常時とは、画像形成装置1による画像形成動作が行われる前の時期又はその画像形成動作が行われていない時期である。
【0054】
また、変更手段6Aは、図2に示されるように、その動作(実際には電動モータ65の動作)が制御手段16によって後述するように制御される。
制御手段16は、演算処理手段、記憶手段、入出力手段等を備えて構成されている。この制御手段16には、画像形成動作の要求指令が入力されるようになっている。この制御手段16は、変更手段6Aにおける電動モータ65の動作を制御する専用のものであってもよいが、画像形成装置1の全体の動作を制御する制御手段の一部として構成したものであってもよい。
【0055】
また、制御手段16には、画像形成動作に使用する用紙9の種類が特定の種類であるか否かを識別する識別手段60が接続されている。
これにより、変更手段6Aは、識別手段60から得られる用紙9の種類に関する情報に応じて制御手段16により電動モータ65の動作が制御されるようになっている。
【0056】
識別手段60は、例えば、画像形成装置1の外部から入力される画像形成動作の要求指令のなかに含まれる用紙9の種類に関する情報を入手して識別する手段として構成される。また、識別手段60は、特に限定されるものでなく、画像形成装置1の操作パネルの入力部61から入力又は選択される用紙9の種類に関する入力情報を画像形成動作の開始前に入手して識別する手段(60A)や、第1収容部4Aの収容カセット41に収容される用紙9の種類を検出する検出手段62の検出情報を画像形成動作の開始前に入手して識別する手段(60B)として構成してもよい。さらに、識別手段60は、これら複数の識別する手段(60A,60B)等を組み合わせたものとして構成してもよい。
【0057】
識別手段60が識別する用紙9に関する特定の種類の用紙とは、上記レジロール51の用紙9の斜め送りが発生しやすい傾向にある種類の用紙である。
【0058】
特定の種類の用紙か否かを判別する基準としては、例えば、坪量、搬送方向の長さ等の種類が挙げられる。また、上記斜め送りが発生しやすい傾向があれば、1つのパラメータに限定する場合と複数のパラメータを兼ね備えている場合のいずれであってもよい。坪量としては、予め定められる特定の数値範囲のものが挙げられる。その坪量は、例えば、坪量が60~80gsm(g/m2)の範囲に含まれるものである。また、搬送時の長さとしては、予め定められる値以上の搬送方向の長さであるものが挙げられる。その搬送時の長さは、例えば、日本工業規格のA3判の用紙が縦送り(短辺側を先頭にした送り方)されるときの搬送方向Cにおける長さ以上の長さである。
【0059】
<変更手段の動作>
画像形成装置1における変更手段6Aは、次のように作動する。
【0060】
画像形成装置1では、図4に示されるように、制御手段16が画像形成動作の要求指令を受けると(ステップ10:S10)、その画像形成動作において特定の種類の用紙9を使用するか否かが判断される(S11)。
【0061】
この際、制御手段16では、識別手段60から用紙9の種類に関する識別情報を取得して判断する。このときの特定の種類の用紙としては、例えば、坪量が上記予め定められる特定の数値範囲内である場合と搬送方向の長さが上記予め定められる値以上である場合のいずれか一方を採用するか、あるいはその双方である場合を採用する。また、用紙のパラメータが画像形成装置1において定められた数値範囲から外れている場合に、特定の種類の用紙と判断するようにしてもよい。
【0062】
ステップ11(S11)において、画像形成動作に使用される第1収容部4Aに収容されている用紙9Aが特定の種類の用紙であると判断された場合は、制御手段16が変更手段6Aの動作を制御して、搬送ロール53の接触圧CPを第1の接触圧CP1から第2の接触圧CP2に変更する(S12)。
ここでは、要求された画像形成動作が第1収容部4Aに収容されている用紙9Aを使用し、その用紙9Aが特定の種類の用紙である場合を想定している。
【0063】
この際、変更手段6Aは、電動モータ65を駆動して2つの偏心カム62を回転させて、図3(b)に示されるようにその各偏心カム62の短径部62bを接触部材63に接触させて停止させるよう作動する。
これにより、搬送ロール53の接触圧CPは、図3(a)に示す第1の接触圧CP1の状態から、図3(b)に示す相対的に低い第2の接触圧CP2に変更される。
【0064】
続いて、画像形成装置1は、要求された画像形成動作を実行する(S13)。この画像形成動作は、その要求された同じ種類の用紙9Aに対する一連の画像形成動作がすべて終了するまで続行される(S14)。
【0065】
そして、このときの画像形成動作では、第1収容部4Aに収容されている用紙9Aは、供給装置43の供給ロール43bから第2の接触圧CP2に変更された一対の搬送ロール53を経て一対のレジロール51まで送られる。
この場合、図5(a)に例示されるように用紙9Aが本来の搬送方向Cに対して斜めに傾いた姿勢でレジロール51に搬送されることがあっても、その斜めに傾いた姿勢で送られる用紙9Aは、以下に説明するようにレジロール51から斜め送りされることなく、本来の搬送方向Cに沿った正常な搬送姿勢で送られる。
【0066】
すなわち、その斜めに傾いた姿勢で送られる用紙9Aは、図5(b)に例示するよう停止中のレジロール51と搬送中の搬送ロール53との間で、レジロール51に先に突き当たる側の端部9cから反対側の端部9dにかけて一時的にたわむよう湾曲した状態になった後、レジロール51が回転し始めることによりレジロール51から送られ始める。
このときの用紙9Aは、図5(c)に例示されるように、その先端9aとなる前方の部分が、レジロール51の回転軸510の軸方向Bとほぼ平行する姿勢で送り出される。
また、このときの用紙9Aは、その後端9bとなる後方の部分が、レジロール51と搬送ロール53の間の搬送通路内で上記湾曲した部分9tを残したまま送られる。この際、搬送ロール53が相対的に低い第2の接触圧CP2になっているため、その用紙9Aにおいて湾曲した部分9tが搬送ロール53から搬送方向Cの上流側に僅かにずれて小さくなるようになり、これによりその湾曲した部分9tが用紙9Aの先端9aの側を搬送方向Cの下流側(レジロール51の方)にむけて強く押すことがない。
【0067】
したがって、この斜めに傾いた姿勢で搬送された用紙9Aは、その斜行して搬送される搬送姿勢がレジロール51と搬送ロール53との間で補正され、図5(d)に示されるように、レジロール51から斜め送りされることなく本来の搬送方向Cに沿った正常な搬送姿勢で送られる。
【0068】
この場合は、例えば、特定の種類の用紙9Aとして、その坪量が60~80gsmの数値範囲の所謂普通紙や、搬送方向Cの長さがA3判サイズの用紙を縦送りしたときの長さ以上の長さを有する用紙が使用されるときでも、その種類の用紙9Aはいずれもレジロール51から斜め送りされることなく正常な搬送姿勢で送られるようになる。
これにより、このときの画像形成部2では、正常な搬送姿勢で送られる用紙9Aに対して画像を用紙との平行度が保たれた良好な状態で形成することができる。
【0069】
続いて、画像形成装置1では、要求された一連の画像形成動作がすべて終了すると、制御手段16において搬送ロール53の接触圧CPが通常時の第1の接触圧CP1であるか否かが確認される(S15)。
【0070】
このときの画像形成動作では、使用される用紙9Aが特定の種類の用紙であったため、ステップ12(S12)において搬送ロール53の接触圧CPが第1の接触圧CP1から第2の接触圧CP2に変更されている。
このため、この場合は、制御手段16が変更手段6Aの動作を制御して、搬送ロール53の接触圧CPを第2の接触圧CP2から通常時の第1の接触圧CP1に変更して戻す動作が行われる(S16)。
【0071】
一方、ステップ11(S11)において、画像形成動作に使用される第1収容部4Aに収容されている用紙9Aが特定の種類の用紙ではない、つまり特定の種類以外の用紙であると判断された場合は、変更手段6Aによる搬送ロール53の接触圧CPを変更する動作が行われず、その要求された画像形成動作が実行される(S13)。
ここでは、要求された画像形成動作が第1収容部4Aに収容されている用紙9Aを使用し、その用紙9Aが特定の種類以外の用紙である場合を想定している。
【0072】
このときの画像形成動作では、第1収容部4Aに収容されている用紙9Aは、供給装置43の供給ロール43bから第1の接触圧CP1の状態にある一対の搬送ロール53を経て一対のレジロール51まで送られる。
この場合、図5(a)に例示されるように用紙9Aが本来の搬送方向Cに対して斜めに傾いた姿勢でレジロール51に搬送されることがあっても、その斜めに傾いた姿勢で送られる用紙9Aは、その傾いた搬送姿勢がレジロール51と第1の接触圧CP1の状態にある搬送ロール53との間で補正され、図5(d)に示されるように、レジロール51から斜め送りされることなく本来の搬送方向Cに沿った正常な搬送姿勢で送られる。
【0073】
この場合は、例えば、特定の種類以外の用紙9Aとして、その坪量が80gsmを越えた厚紙や、搬送方向Cの長さがA3判サイズの用紙で縦送りされるときの長さよりも短くなる用紙(例えばA4判サイズの用紙を横送りする場合)を使用するときでも、その種類の用紙9Aはいずれもレジロール51から斜めに送られることが起こりにくく、本来の搬送方向Cに沿った正常な搬送姿勢で送られる。
【0074】
続いて、画像形成装置1では、要求された一連の画像形成動作がすべて終了すると、制御手段16において搬送ロール53の接触圧CPが通常時の第1の接触圧CP1であるか否かが確認される(S15)。
しかし、この画像形成動作が行われる場合は、搬送ロール53の接触圧CPが変更手段6Aにより変更されておらず、通常時の第1の接触圧CP1になっている。
このため、この場合は、変更手段6Aによる搬送ロール53の接触圧CPを通常時の第1の接触圧CP1に変更して戻す動作(S16)が行われない。
【0075】
以上のように画像形成装置1では、第1収容部4Aに収容された用紙9Aを、供給ロール43bから搬送ロール53を経由させてレジロール51まで搬送して、そのレジロール51に用紙の先端9aを突き当てた後に画像形成部2に送る際、その用紙9Aが特定の種類であるときに限り、変更手段6Aにより搬送ロール53の接触圧CPを相対的に低い第2の接触圧CP2に変更して、その用紙9Aがレジロール51から斜め送りされることを抑制するようにしている。また、用紙9Aが特定の種類以外であるときには、変更手段6Aによる上記変更する動作が不要であり、しかも、その特定の種類以外の用紙9Aがレジロール51から斜め送りされるおそれがない。
このため、この画像形成装置1によれば、第1収容部4Aに収容された用紙9Aを搬送ロール53を経由させてレジロール51まで搬送する際に、その用紙9Aのすべてに対して搬送ロール53の接触圧CPを相対的に低減させる動作をその都度行う場合に比べて、レジロール51の用紙の斜め送りが効率よく抑制される。
【0076】
また、この画像形成装置1では、例えば、搬送ロール53の接触圧CPを相対的に低い第2の接触圧CP2に変更する動作(第2の接触圧CP2から第1の接触圧CP1に戻す動作を含む)を、第1収容部4Aから供給される用紙9Aのすべてに対してその都度行う場合に必要となる高出力の駆動源(例えば高出力の電動モータやソレノイド)や大掛かりな機構が不要となる。
このため、この画像形成装置1では、その高出力の駆動源を採用する場合に伴うコストの増大や接触圧CPの変更手段の大型化を招くことが回避される。
【0077】
<実施の形態1の変更例>
上記画像形成装置1においては、図1図6に示されるように、第2搬送部5Dや第3搬送部5Eにおける搬送ロール55,56に対しても、第2収容部4B又は第3収容部4Cに収容されている用紙9B,9Cとして特定の種類の用紙が供給されるときに、その搬送ロール55,56における各接触圧CPについて、第1の接触圧CP1から第2の接触圧CP2(<CP1)にそれぞれ変更する変更手段6B,6Cを設けることができる。
この場合、変更手段6B,6Cは、上記変更手段6Aの場合と同様に、図3に括弧書きで関連付けて示されるようなカム機構を利用した仕組みで構成されるとともに、図6に示されるように上記識別手段60が接続された制御手段16によってその各動作がそれぞれ制御されるように構成される。
【0078】
そして、この変更例の画像形成装置1では、第2収容部4B又は第3収容部4Cから供給される用紙9B,9Cが画像形成動作に使用されてかつ特定の種類の用紙であるときに限り、変更手段6B,6Cが搬送ロール55,56における各接触圧CPを第1の接触圧CP1から第2の接触圧CP2(<CP1)に変更する。
これにより、第2収容部4B又は第3収容部4Cから供給される用紙9B,9Cに対して画像形成動作を行う場合に、その用紙9B,9Cがレジロール51に斜めに傾いた姿勢で搬送されるときであっても、かかる用紙9B,9Cに対するレジロール51の斜め送りが効率よく抑制される。
【0079】
また、この変更例の画像形成装置1では、第2収容部4Bに収容されている用紙9Bが第2搬送部5Dを通してレジロール51まで搬送されるとき、図1図6に示されるように、その第2搬送部5Dに2つの搬送ロール55,56が存在することになる。
この場合、用紙9Bが特定の種類の用紙であるときには、変更手段6B,6Cによって搬送ロール55,56における各接触圧CPの双方を第1の接触圧CP1から第2の接触圧CP2(<CP1)に変更する構成以外に、次のように構成してもよい。
つまり、この場合は、第2収容部4Bの供給ロール44bに最も近い位置に配置されている搬送ロール55の接触圧CPについてだけ、変更手段6Bによって第1の接触圧CP1から第2の接触圧CP2(<CP1)に変更するように構成することもできる。
このように構成した場合であっても、第2収容部4Bから供給される用紙9Bに対するレジロール51の斜め送りが効率よく抑制される。また、このように構成した場合は、変更手段6Cによって搬送ロール56の接触圧CPを第1の接触圧CP1から第2の接触圧CP2(<CP1)に変更する動作が不要になる。
【0080】
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2に係る画像形成装置の一部を示している。
実施の形態2に係る画像形成装置は、以下に説明する測定手段と調整手段を追加して設けた以外は実施の形態1に係る画像形成装置1の場合と同じ構成になっている。
【0081】
はじめに、実施の形態1に係る画像形成装置1では、特定の種類の用紙9Aを用いて画像形成動作を行う場合、変更手段6Aにより搬送ロール53の接触圧CPが通常時の第1の接触圧CP1よりも相対的に低い第2の接触圧CP2に変更される。
この場合、第2の接触圧CP2の状態にある搬送ロール53の搬送能力は、通常時の第1の接触圧CP1に設定されているときに比べて低下する。このため、その特定の種類の用紙9Aが第1収容部4Aの供給ロール43bから搬送ロール53を経由してレジロール51まで搬送されるときの搬送速度は、供給ロール43bの搬送能力に支配される。
【0082】
しかし、供給ロール43bは、一般的に耐摩耗性が低く、摩耗よりロール径が変動しやすい傾向にある。
例えば、収容カセット41から供給ロール43bにより供給される用紙9Aを所要の間隔をあけて供給する観点から、その供給ロール43bにより供給された用紙9Aが搬送ロール53に挟まれて搬送ロール53による搬送が開始された時点で供給ロール43bの回転を停止させて、用紙9Aを供給ロール43b(と捌きロール43cとの間)から引き抜くよう搬送する構成を採用する場合には、供給ロール43bの摩耗によるロール径の部分的な変動が発生することもある。
このため、用紙9Aは、供給ロール43bにより供給されて搬送ロール53を経由してレジロール51に引き渡されるタイミングが、画像形成装置1(供給ロール43b)の使用開始時と画像形成装置1を繰り返し使用した後とで、ばらつくことがある。
【0083】
そして、レジロール51に引き渡すタイミングは、レジロール51による用紙9Aの搬送姿勢の補正動作において、重要である。
したがって、画像形成装置1においては、変更手段6Aにより搬送ロール53の接触圧CPが相対的に低い第2の接触圧CP2に変更されるときであっても、そのときの用紙9Aをレジロール51に引き渡すタイミングのばらつきを抑えてその精度を向上(ばらつきを低減)させることが求められる。
【0084】
そこで、実施の形態2に係る画像形成装置1においては、図7に示されるように、第1収容部4Aにおける供給装置43の供給ロール43bが収容カセット41に収容されている用紙9Aを繰り出して第1搬送部5Aにおける搬送ロール53まで供給するときの搬送速度Vを測定する測定手段7Aと、測定手段7Aの測定結果に応じて供給ロール43bの回転速度Sを予め設定されている搬送速度Vxに近づけるよう調整する調整手段8Aとを新たに設けている。
【0085】
測定手段7Aは、第1搬送部5Aにおける2地点P1,P2を用紙9Aの先端9aが通過するときに要する所要時間Tmを検知する検知手段71,72と、検知手段71,72で検知した所要時間Tmから供給ロール43bの用紙9Aの搬送速度Vを算出する算出手段73とで構成されている。
【0086】
このうち検知手段71,72は、第1搬送部5Aにおける供給ロール43bから最初に到達する搬送ロール53までの区間内で用紙9Aの搬送方向Cに所定の間隔Lmをあけて一列に並ぶよう設定された2地点P1,P2に配置されて、用紙9Aの先端9aが2地点P1,P2を通過したことをそれぞれ検知する手段である。検知手段71,72は、例えば、反射型フォトセンサである。用紙9Aの先端9aが2地点P1,P2を通過する際に要する所要時間Tmは、検知手段71,72が用紙9Aの先端9aの通過を検知した時刻の差から求められる。
【0087】
算出手段73は、2地点P1,P2の間隔Lmについて検知手段71,72から得られる所要時間Tmで除する演算処理を行うことにより、供給ロール43bの用紙9Aの搬送速度V(=Lm/Tm)を算出する手段である。
測定手段7Aの算出手段73は、図6に示されるように、上記変更手段6Aの動作を制御する上記制御手段16に接続され、その測定(算出)結果の情報を制御手段16に送信するようになっている。この算出手段73は、調整手段8Aの一部機能として含めるよう構成しても差し支えない。
【0088】
調整手段8Aは、測定手段7Aで得られる供給ロール43bの搬送ロール53までの搬送速度Vを予め設定されている供給ロール43bの搬送速度Vxに近づけるよう、供給ロール43bの回転速度Sを調整する手段である。
この調整手段8Aは、上記制御手段16の一部機能として構成される。また、この調整手段8Aは、供給装置43を駆動させる駆動手段18に対して供給ロール43bの回転速度Sを調整するための情報を送信するようになっている。
【0089】
この調整手段8Aは、以下のように作動する。
まず、調整手段8Aは、測定手段7Aで測定された搬送速度Vが予め設定の搬送速度Vxよりも遅い場合には、その差分に応じて供給ロール43bの回転速度Sを予め定める必要な比率で増速させるよう調整する。反対に、測定手段7Aで測定された搬送速度Vが予め設定の搬送速度Vxよりも速い場合には、その差分に応じて供給ロール43bの回転速度Sを予め定める必要な比率で減速させるよう調整する。
【0090】
また、測定手段7Aおよび調整手段8Aは、少なくとも変更手段6Aにより搬送ロール53の接触圧CPが相対的に低い第2の接触圧CP2に変更された状態で画像形成動作が行われるときに、作動するよう構成されている。
【0091】
さらに、調整手段8Aによる供給ロール43bの回転速度Sの調整は、次のようにフィードバックして行われる。
例えば、一連の画像形成動作(ジョブ)における前の用紙9Aに対する搬送速度Vの結果から得られる回転速度Sの調整量を、同じ画像形成動作(ジョブ)における次の用紙9Aに対する供給ロール43bの回転速度Sの調整に反映させるように行う。この他にも、先行する一連の画像形成動作(先行のジョブ)における複数枚の用紙9Aに対する各搬送速度Vの結果から得られる回転速度Sの調整量の平均値を、次に行われる一連の画像形成動作(後続のジョブ)における用紙9Aに対する供給ロール43bの回転速度Sの調整に反映させるように行ってもよい。
【0092】
そして、この画像形成装置1では、変更手段6Aにより搬送ロール53の接触圧CPが第1の接触圧CP1よりも低い第2の接触圧CP2に変更された場合に、供給ロール43bの用紙9Aの搬送速度Vが変動していることがあっても、測定手段7Aおよび調整手段8Aにより、供給ロール43bの回転速度Sが予め定められている搬送速度Vxに近づけるよう調整される。これにより、画像形成装置1においては、用紙9Aが、調整手段8Aで調整された回転速度Sで回転する供給ロール43bの搬送性能にほぼ支配されることにより所要の搬送速度Vxで搬送されるようになる。
このため、この画像形成装置1によれば、測定手段7Aおよび調整手段8Aを備えていない場合に比べて、用紙9Aが供給ロール43bから第2の接触圧CP2の状態にある搬送ロール53まで、最終的にはレジロール51に達するまで安定した時間(引き渡しタイミング)で搬送される。
【0093】
また、この画像形成装置1では、測定手段7Aにより、第1搬送部5Aにおける供給ロール43bから最初に到達する搬送ロール53までの区間内に設定される上記2地点P1,P2を用紙9Aの先端9aが通過するときの所要時間Tmから用紙9Aの現状の搬送速度Vを算出している。
このため、この画像形成装置1によれば、上記2地点P1,P2を通過するときの所要時間Tmから用紙9Aの搬送速度Vを算出しない場合に比べて、用紙9Aが供給ロール43bから最初の搬送ロール53まで、最終的にはレジロール51に達するまで更に安定した時間で搬送される。上記2地点P1,P2を通過するときの所要時間Tmから用紙9Aの搬送速度Vを算出しない場合とは、第1搬送部5Aのうち搬送ロール53を挟んだ前後の2地点を通過するときの所要時間から用紙9Aの搬送速度を算出するような場合も含むものである。
【0094】
しかも、この画像形成装置1では、測定手段7Aが、用紙9Aの搬送方向Cに一列に並ぶよう設定された2地点P1,P2に配置される検知手段71,72により用紙9Aの先端9aが通過するときの所要時間Tmを検知している。
このため、この画像形成装置1によれば、用紙9Aが供給ロール43bから斜めに傾いた姿勢で搬送されることがあっても、その傾いた姿勢で搬送される用紙9Aの先端9aにおけるほぼ同じ部位の通過を検知することができる。
これにより、用紙9Aの搬送方向Cに一列に並ぶ検知手段71,72により用紙9Aの先端9aの通過を検知しない場合に比べて、上記所要時間Tmが正確に測定され、ひいては算出手段73による供給ロール43bの搬送速度が正確に測定される。また、その検知手段71,72の測定結果に基づく調整手段8Aの調整についても正確に行われる。
【0095】
<実施の形態2の変更例>
実施の形態2に係る画像形成装置1においては、図8に示されるように、第2搬送部5Dと第3搬送部5Eにも、第1搬送部5Aに対応させて設けた上記測定手段7Aおよび調整手段8Aの場合と同様に、測定手段7B,7Cおよび調整手段8B,8Cをそれぞれ設けることができる。
【0096】
この場合、測定手段7Bは、第2収容部4Bの供給ロール44bが用紙9Bを繰り出して最初に到達する搬送ロール55まで供給するときの搬送速度を測定するものである。この測定手段7Bは、供給ロール44bから搬送ロール55までの区間内に設定される2地点を用紙9Bの先端9aが通過するときの所要時間Tmを2つの検出手段71,72で検出し、その検出した所要時間Tmの情報を利用して算出手段73により供給ロール44bの用紙9Bに対する現状の搬送速度Vを求めるよう構成される。
調整手段8Bは、測定手段7Bで得られた測定結果(供給ロール44bの搬送速度V)に応じて供給ロール44bの回転速度Sを、予め設定されている供給ロール44bの搬送速度Vxに近づけるよう調整する。
【0097】
また、測定手段7Cは、第3収容部4Cの供給ロール47bが用紙9Cを繰り出して最初に到達する搬送ロール56まで供給するときの搬送速度を測定するものである。この測定手段7Cは、供給ロール47bから搬送ロール56までの区間内に設定される2地点を用紙9Cの先端9aが通過するときの所要時間Tmを2つの検出手段71,72で検出し、その検出した所要時間Tmの情報を利用して算出手段73により供給ロール47bの用紙9Cに対する現状の搬送速度Vを求めるよう構成される。
調整手段8Cは、測定手段7Cで得られた測定結果(供給ロール47bの搬送速度V)に応じて供給ロール47bの回転速度Sを、予め設定されている供給ロール47bの搬送速度Vxに近づけるよう調整する。
【0098】
調整手段8Bおよび調整手段8Cについては、調整手段8Aの場合と同様に、図8に示されるように上記制御手段16の一部機能として構成される。また、測定手段7B,7Cの各算出手段73についてはいずれも、図8に具体的に示していないが、実施の形態1における算出手段73の場合と同様に、制御手段16において調整手段8Bおよび調整手段8Cとして機能する部分にそれぞれ接続されている。
【0099】
そして、この変更例の画像形成装置1では、変更手段6Bにより搬送ロール55,56の接触圧CPが第1の接触圧CP1よりも低い第2の接触圧CP2に変更された場合に、供給ロール44bの用紙9Bの搬送速度Vが変動していることがあっても、測定手段7Bおよび調整手段8Bにより、供給ロール44bの回転速度Sが予め定められている搬送速度Vxに近づけるよう調整される。
このため、この画像形成装置1によれば、測定手段7Bおよび調整手段8Bを備えていない場合に比べて、用紙9Bが供給ロール44bから搬送ロール55まで、最終的には搬送ロール56を経てレジロール51に達するまで安定した時間(引き渡しタイミング)で搬送される。
【0100】
また、この変更例の画像形成装置1では、変更手段6Cにより搬送ロール56の接触圧CPが第1の接触圧CP1よりも低い第2の接触圧CP2に変更された場合に、供給ロール47bの用紙9Cの搬送速度Vが変動していることがあっても、測定手段7Cおよび調整手段8Cにより、供給ロール47bの回転速度Sが予め定められている搬送速度Vxに近づけるよう調整される。
このため、この画像形成装置1によれば、測定手段7Cおよび調整手段8Cを備えていない場合に比べて、用紙9Cを供給ロール47bから搬送ロール56を経てレジロール51に達するまで安定した所要の時間(引き渡しタイミング)で搬送することができる。
【0101】
[実施の形態3]
図9は、実施の形態3に係る画像形成装置における変更手段の動作を示している。
実施の形態3に係る画像形成装置は、搬送ロール53,55,56の通常時の接触圧CPを相対的に低い第2の接触圧CP2に設定して変更するとともに変更手段6A,6B,6Cの動作の一部を変更した以外は実施の形態1,2(その変更例を含む)に係る画像形成装置1の場合と同じ構成になっている。
【0102】
この画像形成装置1においては、搬送ロール53,55,56の通常時の接触圧CPについて、図3(b)に示されるように特定の種類の用紙9が供給されるときに適用する相対的に低い第2の接触圧CP2(<CP1)に設定している。このときの第2の接触圧CP2は、特定の種類の用紙9を挟み込んで次のレジロール51や搬送ロール56まで搬送する搬送能力を発揮できる程度の接触圧に設定される。
【0103】
また、変更手段6A,6B,6Cについては、図9に示されるように、用紙9として特定の種類以外の用紙が供給されるときに、搬送ロール53,55,56の接触圧を通常時の第2の接触圧CP2から第1の接触圧CP1に変更するよう構成されている。
【0104】
<変更手段の動作>
この変更手段6A,6B,6Cの動作は、次のようになる。
変更手段6A,6B,6Cの少なくとも1つを備える画像形成装置1では、図9に示されるように、制御手段16が画像形成動作の要求指令を受けると(S20)、その画像形成動作において特定の種類の用紙9を使用するか否かが判断される(S21)。
【0105】
ステップ21において、画像形成動作に使用される第1収容部4A~第3収容部4Cのいずかれに収容されている用紙9A~9Cが特定の種類の用紙であると判断された場合は、変更手段6A~6Cによる搬送ロール53,55,56の接触圧CPを変更するための動作が行われず、その要求された画像形成動作が実行される(S22)。この画像形成動作は、その要求された一連の動作がすべて終了するまで続行される(S23)。
【0106】
このときの画像形成動作では、各収容部4A~4Cに収容されている用紙9A~9Cは、各供給装置43,44,47の供給ロール43b,44b,47bから第2の接触圧CP2の状態にある一対の搬送ロール53,55,56のいずれかを経て一対のレジロール51まで送られる。
この場合、その画像形成動作に使用されるため供給される特定の種類の用紙9A~9Cのいずれかが本来の搬送方向Cに対して斜めに傾いた姿勢でレジロール51に搬送されることがあっても(図5(a))、その斜めに傾いた姿勢で送られる用紙9A~9Cは、その傾いた搬送姿勢がレジロール51と第2の接触圧CP2の状態にある搬送ロール53,55,56のいずれかとの間で補正され、レジロール51から斜め送りされることなく本来の搬送方向Cに沿った正常な搬送姿勢で送られる(図5(d))。
【0107】
続いて、要求された一連の画像形成動作がすべて終了すると、制御手段16において搬送ロール53,55,56の各接触圧CPが通常時の第2の接触圧CP2であるか否かが確認される(S24)。
【0108】
しかし、この画像形成動作が行われる場合は、搬送ロール53,55,56のいずれの接触圧CPについても変更手段6A,6B,6Cにより変更されておらず、通常時の第2の接触圧CP2になっている。
このため、この場合は、変更手段6A,6B,6Cのいずれかによる搬送ロール53,55,56の接触圧CPを通常時の第2の接触圧CP2に変更して戻す動作(S26)が行われない。
【0109】
一方、ステップ21において、要求された画像形成動作に使用される第1収容部4A~第3収容部4Cのいずかれに収容されている用紙9A~9Cが特定の種類の用紙でない(特定の種類以外の用紙である)と判断された場合は、変更手段6A~6Cによって搬送ロール53,55,56のいずれかの接触圧CPが通常時の第2の接触圧CP2から第1の接触圧CP1に変更される(S25)。
つまり、このときの搬送ロール53,55,56のいずれかは、図3(a)に示されるように第2の接触圧CP2よりも相対的に高い第1の接触圧CP1に変更される。
【0110】
続いて、画像形成装置1は、要求された画像形成動作を実行し(S22)、その画像形成動作をその要求された一連の動作がすべて終了するまで続行される(S23)。
【0111】
このときの画像形成動作では、各収容部4A~4Cに収容されている用紙9A~9Cは、各供給装置43,44,47の供給ロール43b,44b,47bから第1の接触圧CP1の状態にある一対の搬送ロール53,55,56のいずれかを経て一対のレジロール51まで送られる。
この場合、その画像形成動作に使用されるため供給される特定の種類でない用紙9A~9Cのいずれかが本来の搬送方向Cに対して斜めに傾いた姿勢でレジロール51に搬送されることがあっても(図5(a))、その斜めに傾いた姿勢で送られる用紙9A~9Cは、その傾いた搬送姿勢がレジロール51と第1の接触圧CP1の状態にある搬送ロール53,55,56のいずれかとの間で補正され、レジロール51から斜め送りされることなく本来の搬送方向Cに沿った正常な搬送姿勢で送られる(図5(d))。
【0112】
なお、上記実施の形態1~3では、画像形成装置1として現像剤から構成される単色画像を形成する画像形成装置を例示したが、この発明はカラー(多色)画像を形成する画像形成装置にも適用することができる。
この他、この発明の画像形成装置としては、現像剤で構成されるトナー像を形成する画像形成部2を備えた画像形成装置1に限らず、例えば、インク等の他の材料で構成される画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 …画像形成装置
2 …画像形成部
4 …収容部
5 …搬送部(搬送経路の一例)
6 …変更手段
7 …測定手段
8 …調整手段
9 …用紙(記録媒体の一例)
9a…先端
43b,44b,47b…供給ロール
51…レジロール(突当ロールの一例)
53,55,56…搬送ロール(最初に到達する搬送ロール)
71,72…検知手段
C …搬送方向
Lm…所要の間隔
P1,P2…2地点
図1
図2
図3
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