(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】非接触電力伝送システム、受電装置及び送電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/05 20160101AFI20221206BHJP
【FI】
H02J50/05
(21)【出願番号】P 2018077783
(22)【出願日】2018-04-13
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 弘行
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/153841(WO,A1)
【文献】特開2010-148287(JP,A)
【文献】国際公開第2014/038017(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/097809(WO,A1)
【文献】特開2014-150646(JP,A)
【文献】国際公開第2012/086411(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と、それぞれ前記交流電源と電気的に接続されているとともに送電面に沿って配置されている複数の送電電極と、を有する送電装置と、
前記送電面に重ねて配置される受電面に沿って配置されていて前記送電電極と電界結合される複数の受電電極を有し、前記送電装置から非接触で電力供給を受ける受電装置と、
を備える非接触電力伝送システムであって、
前記複数の送電電極には、互いに逆位相となる複数の第1送電電極と複数の第2送電電極とが含まれ、
前記受電面が前記送電面に重ねて配置されている状態において、前記送電面と前記受電面との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、(1)前記複数の受電電極のうち1つ以上の受電電極が前記第1送電電極と重なるとともに他の1つ以上の受電電極が前記第2送電電極と重なり、且つ、(2)前記送電電極と重なるいずれの受電電極も前記第1送電電極又は前記第2送電電極の一方にのみ重なる、という条件を満たし得るように、前記複数の送電電極と前記複数の受電電極とが配置されており、
前記複数の受電電極の各々は円形状に形成されており、
前記複数の送電電極の各々は正方形状に形成されており、
前記複数の受電電極の各々の外径が、前記複数の送電電極の
一辺の長さの半分以上であり
且つ前記複数の送電電極の一辺の長さよりも小さく、
互いに隣り合う前記受電電極の中心間距離が前記送電電極の
対角線の長さよりも大きく、一の前記送電電極に重なり得る前記受電電極の中心が1つ以下である非接触電力伝送システム。
【請求項2】
前記第1送電電極と前記第2送電電極とが交互に配置されている請求項1に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項3】
前記複数の送電電極は格子状に配置されている請求項1又は2に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項4】
前記複数の送電電極のうち隣り合う送電電極間の間隙が、前記受電電極の外径よりも大きい請求項1から3のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項5】
前記複数の受電電極は格子状に配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項6】
前記複数の受電電極のうち隣り合う受電電極間の間隙が、前記送電電極の外径よりも小さい請求項1から5のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項7】
交流電源と、それぞれ前記交流電源と電気的に接続されているとともに送電面に沿って配置されている複数の送電電極と、を有する送電装置と、
前記送電面に重ねて配置される受電面に沿って配置されていて前記送電電極と電界結合される複数の受電電極を有し、前記送電装置から非接触で電力供給を受ける受電装置と、
を備える非接触電力伝送システムであって、
前記複数の送電電極には、互いに逆位相となる第1送電電極と第2送電電極とが含まれ、
前記複数の送電電極は格子状に配置されており、
前記第1送電電極と前記第2送電電極とが交互に配置されており、
前記複数の送電電極のうち隣り合う送電電極間の間隙が、前記受電電極の外径よりも大きく、
前記複数の受電電極は格子状に配置されており、
前記複数の受電電極のうち隣り合う受電電極間の間隙が、前記送電電極の外径よりも小さく、
前記複数の受電電極の各々は円形状に形成されており、
前記複数の送電電極の各々は正方形状に形成されており、
前記複数の受電電極の各々の外径が、前記複数の送電電極の
一辺の長さの半分以上であり
且つ前記複数の送電電極の一辺の長さよりも小さく、
互いに隣り合う前記受電電極の中心間距離が前記送電電極の
対角線の長さよりも大きく、一の前記送電電極に重なり得る前記受電電極の中心が1つ以下である非接触電力伝送システム。
【請求項8】
前記交流電源は、互いに逆位相となる第1交流出力端子と第2交流出力端子とを有し、
前記第1送電電極の各々は、個別の第1共振コイルを介して、前記第1交流出力端子と電気的に接続されており、
前記第1送電電極と、当該第1送電電極と対応する前記第1共振コイルとにより、第1LC共振要素が構成されており、
前記第2送電電極の各々は、個別の第2共振コイルを介して、前記第2交流出力端子と電気的に接続されており、
前記第2送電電極と、当該第2送電電極と対応する前記第2共振コイルとにより、第2LC共振要素が構成されている請求項1から
7のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項9】
前記第1LC共振要素の各々の共振周波数が互いに等しく、前記第2LC共振要素の各々の共振周波数が互いに等しく、前記第1LC共振要素と前記第2LC共振要素との共振周波数が互いに等しい請求項
8に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項10】
前記受電装置は、負荷とそれぞれ電気的に接続される第1受電出力端子と第2受電出力端子とを有し、
前記受電電極の各々は、第1伝送線を介して前記第1受電出力端子と電気的に接続されているとともに、第2伝送線を介して前記第2受電出力端子と電気的に接続されており、
前記第1伝送線には、第1整流素子が挿入されており、
前記第2伝送線には、前記第1整流素子と同方向に電流を整流する第2整流素子が挿入されている請求項1から
9のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項11】
請求項1から1
0のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システムの前記送電装置。
【請求項12】
請求項1から1
0のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システムの前記受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触電力伝送システム、受電装置及び送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電界結合方式の非接触電力伝送システムとしては、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1の非接触電力伝送システムは、第1主面に沿って設けられて交流電圧が印加される第1送電電極および第2送電電極を備える送電装置と、第2主面に沿って設けられて第1送電電極および第2送電電極と電界結合される第1受電電極および第2受電電極を備える受電装置とを備えている。第1送電電極および第1受電電極の各々のサイズは第2主面を第1主面に対向させた特定状態において第2主面に直交する方向から眺めて第1受電電極が第1送電電極の外縁内に収まるように調整されている。第1送電電極は切り欠きによって第1方向に並ぶ複数の部分電極に分割され、複数の部分電極の各々は第1方向に直交する第2方向に延びる短冊形状に形成されている。この非接触電力伝送システムは、更に、複数の部分電極のいずれか1つを交流電圧の印加先として選択する選択手段を備えている。第1受電電極の輪郭に割り当てられた2点間の最大距離は上記切り欠きの幅と短冊の幅との和に相当する距離を上回り、上記切り欠きの配置は特定状態において第2受電電極の一部が上記切り欠きと対向するように調整されている。
特許文献1の非接触電力伝送システムによれば、同文献の
図7(A)から
図9(A)に示すように、送電装置に対して受電装置を高い自由度で配置して、送電装置から受電装置に電力を伝送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/153841号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の非接触電力伝送システムでは、同文献の
図7(A)から
図9(A)に示すように、第2受電電極(同文献の受電電極E4)が、互いに逆位相となる第1送電電極(同文献の送電電極E1)と第2送電電極(同文献の送電電極E2)との双方と対向するため、電力伝送効率が低下する懸念がある。
【0005】
本発明は、送電装置に対する受電装置の高い配置の自由度と、送電装置から受電装置への高い電力伝送効率と、を両立させることが可能な構造の非接触電力伝送システム、受電装置及び送電装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、交流電源と、それぞれ前記交流電源と電気的に接続されているとともに送電面に沿って配置されている複数の送電電極と、を有する送電装置と、
前記送電面に重ねて配置される受電面に沿って配置されていて前記送電電極と電界結合される複数の受電電極を有し、前記送電装置から非接触で電力供給を受ける受電装置と、
を備える非接触電力伝送システムであって、
前記複数の送電電極には、互いに逆位相となる複数の第1送電電極と複数の第2送電電極とが含まれ、
前記受電面が前記送電面に重ねて配置されている状態において、前記送電面と前記受電面との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、(1)前記複数の受電電極のうち1つ以上の受電電極が前記第1送電電極と重なるとともに他の1つ以上の受電電極が前記第2送電電極と重なり、且つ、(2)前記送電電極と重なるいずれの受電電極も前記第1送電電極又は前記第2送電電極の一方にのみ重なる、という条件を満たし得るように、前記複数の送電電極と前記複数の受電電極とが配置されており、
前記複数の受電電極の各々は円形状に形成されており、
前記複数の送電電極の各々は正方形状に形成されており、
前記複数の受電電極の各々の外径が、前記複数の送電電極の一辺の長さの半分以上であり且つ前記複数の送電電極の一辺の長さよりも小さく、
互いに隣り合う前記受電電極の中心間距離が前記送電電極の対角線の長さよりも大きく、一の前記送電電極に重なり得る前記受電電極の中心が1つ以下である非接触電力伝送システムが提供される。
【0007】
また、本発明によれば、交流電源と、それぞれ前記交流電源と電気的に接続されているとともに送電面に沿って配置されている複数の送電電極と、を有する送電装置と、
前記送電面に重ねて配置される受電面に沿って配置されていて前記送電電極と電界結合される複数の受電電極を有し、前記送電装置から非接触で電力供給を受ける受電装置と、
を備える非接触電力伝送システムであって、
前記複数の送電電極には、互いに逆位相となる第1送電電極と第2送電電極とが含まれ、
前記複数の送電電極は格子状に配置されており、
前記第1送電電極と前記第2送電電極とが交互に配置されており、
前記複数の送電電極のうち隣り合う送電電極間の間隙が、前記受電電極の外径よりも大きく、
前記複数の受電電極は格子状に配置されており、
前記複数の受電電極のうち隣り合う受電電極間の間隙が、前記送電電極の外径よりも小さく、
前記複数の受電電極の各々は円形状に形成されており、
前記複数の送電電極の各々は正方形状に形成されており、
前記複数の受電電極の各々の外径が、前記複数の送電電極の一辺の長さの半分以上であり且つ前記複数の送電電極の一辺の長さよりも小さく、
互いに隣り合う前記受電電極の中心間距離が前記送電電極の対角線の長さよりも大きく、一の前記送電電極に重なり得る前記受電電極の中心が1つ以下である非接触電力伝送システムが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、本発明の非接触電力伝送システムにおける送電装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、本発明の非接触電力伝送システムにおける受電装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送電装置に対して受電装置を高い自由度で配置して送電装置から受電装置に電力を伝送することと、送電装置から受電装置への高い電力伝送効率と、を両立させ得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)は第1実施形態に係る非接触電力伝送システムの受電装置を示す模式的な斜視図であり、
図1(b)は第1実施形態に係る非接触電力伝送システムの送電装置を示す模式的な斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る非接触電力伝送システムの受電装置における受電電極の平面的な配置を説明するための平面図である。
【
図3】第1実施形態に係る非接触電力伝送システムの送電装置における送電電極の平面的な配置を説明するための平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る非接触電力伝送システムの回路構成を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る非接触電力伝送システムの送電装置に対する受電装置の配置の一例を示す模式的な平面図である。
【
図6】第1実施形態に係る非接触電力伝送システムの送電装置に対する受電装置の配置の他の一例を示す模式的な平面図である。
【
図7】第1実施形態に係る非接触電力伝送システムの送電装置に対する受電装置の配置の更に他の一例を示す模式的な平面図である。
【
図8】第1実施形態に係る非接触電力伝送システムの送電装置に対する受電装置の配置の更に他の一例を示す模式的な平面図である。
【
図9】第2実施形態に係る非接触電力伝送システムの受電装置における受電電極の平面的な配置を説明するための平面図である。
【
図10】第2実施形態に係る非接触電力伝送システムの送電装置に対する受電装置の配置の一例を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0013】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図8を用いて第1実施形態を説明する。
本実施形態に係る非接触電力伝送システム100は、交流電源31(
図4)と、それぞれ交流電源31と電気的に接続されているとともに送電面A2(
図1(b))に沿って配置されている複数の送電電極(第1送電電極21、第2送電電極22)とを有する送電装置20と、送電面A2に重ねて配置される受電面A1(
図1(a))に沿って配置されていて送電電極と電界結合される複数の受電電極11を有し送電装置20から非接触で電力供給を受ける受電装置10と、を備える非接触電力伝送システム100である。
複数の送電電極には、互いに逆位相となる複数の第1送電電極21と複数の第2送電電極22とが含まれている。
受電面A1が送電面A2に重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、(1)複数の受電電極11のうち1つ以上の受電電極11が第1送電電極21と重なるとともに他の1つ以上の受電電極11が第2送電電極22と重なり、且つ、(2)送電電極と重なるいずれの受電電極11も第1送電電極21又は第2送電電極22の一方にのみ重なる、という条件を満たし得るように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されている。
【0014】
ここで、
図1(a)及び
図2に二点鎖線で示される包絡線E1は、受電装置10が有する複数の受電電極11の配置領域を最短距離で包絡する包絡線である。受電面A1は、この包絡線E1に囲まれた内側領域である。
図1(b)及び
図5に二点鎖線で示される包絡線E2は、送電装置20が有する複数の送電電極の配置領域を最短距離で包絡する包絡線である。送電面A2は、この包絡線E2に囲まれた内側領域である。
本発明において、「受電面A1が送電面A2に重ねて配置されている状態」とは、受電面A1の少なくとも一部分と送電面A2の少なくとも一部分とが重なっている(対向している)状態を意味する。この状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たし得るように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されている。
【0015】
本実施形態によれば、受電面A1が送電面A2に重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、送電装置20から受電装置10へ良好な伝送効率で電力を伝送し得るようにできる。
つまり、送電装置20に対する受電装置10の高い配置の自由度と、送電装置20から受電装置10への高い電力伝送効率と、を両立させ得ることができる。
【0016】
図1(a)に示すように、受電装置10は、例えば、筐体13を有し、この筐体13が有する1つの平坦な外面が受電側対向面15となっている。複数の受電電極11は、受電側対向面15に沿って配置されている。したがって、受電面A1は、受電側対向面15に沿って配置されている。複数の受電電極11は、例えば、筐体13内に配置されている。筐体13の形状は特に限定されないが、本実施形態の場合、筐体13は扁平な直方体形状となっており、平面視矩形状に形成されている。
【0017】
図1(b)に示すように、送電装置20は、例えば、筐体23を有し、この筐体23が有する1つの平坦な外面が送電側対向面25となっている。複数の送電電極は、送電側対向面25に沿って配置されている。したがって、送電面A2は、送電側対向面25に沿って配置されている。複数の送電電極は、例えば、筐体23内に配置されている。筐体23の形状は特に限定されないが、本実施形態の場合、筐体23は扁平な直方体形状となっており、平面視矩形状に形成されている。
【0018】
本発明において、受電面A1と送電面A2とは、どちらの面積が広くてもよいし、受電面A1と送電面A2とは面積が互いに等しくてもよい。
送電面A2の面積が受電面A1の面積よりも広い場合、受電面A1の全面が送電面A2と重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されていることが好ましい。
また、送電面A2の面積が受電面A1の面積よりも狭い場合、送電面A2の全面が受電面A1と重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されていることが好ましい。
【0019】
本発明において、受電側対向面15と送電側対向面25とは、どちらの面積が広くてもよいし、受電側対向面15と送電側対向面25とは面積が互いに等しくてもよい。
送電側対向面25の面積が受電側対向面15の面積よりも広い場合、受電側対向面15の全面が送電側対向面25と重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されていることが好ましい。
また、送電側対向面25の面積が受電側対向面15の面積よりも狭い場合、送電側対向面25の全面が受電側対向面15と重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されていることが好ましい。
【0020】
本発明において、受電面A1と送電側対向面25とは、どちらの面積が広くてもよいし、受電面A1と送電側対向面25とは面積が互いに等しくてもよい。
送電側対向面25の面積が受電面A1の面積よりも広い場合、受電面A1の全面が送電側対向面25と重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されていることが好ましい。
また、送電側対向面25の面積が受電面A1の面積よりも狭い場合、送電側対向面25の全面が受電面A1と重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されていることが好ましい。
【0021】
本発明において、受電側対向面15と送電面A2とは、どちらの面積が広くてもよいし、受電側対向面15と送電面A2とは面積が互いに等しくてもよい。
送電面A2の面積が受電側対向面15の面積よりも広い場合、受電側対向面15の全面が送電面A2と重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されていることが好ましい。
また、送電面A2の面積が受電側対向面15の面積よりも狭い場合、送電面A2の全面が受電側対向面15と重ねて配置されている状態において、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されていることが好ましい。
【0022】
これらの条件を満たすような構成を実現するため、受電装置10における受電電極11の数、送電装置20における送電電極の数、受電側対向面15の面積、及び、送電側対向面25の面積を、それぞれ設定することができる。
【0023】
本実施形態の場合、送電面A2の面積が受電面A1の面積よりも広く、少なくとも、受電面A1の全面が送電面A2と重ねて配置されている状態では、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されている。更に、受電面A1の一部分が送電面A2からはみ出ていても、上記(1)及び(2)の条件を満たすような配置(送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向き)も存在する。
【0024】
本実施形態の場合、送電側対向面25の面積が受電側対向面15の面積よりも広く、少なくとも、受電側対向面15の全面が送電側対向面25と重ねて配置されている状態では、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されている。更に、受電側対向面15の一部分が送電側対向面25からはみ出ていても、上記(1)及び(2)の条件を満たすような配置(送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向き)も存在する。
【0025】
本実施形態の場合、送電側対向面25の面積が受電面A1の面積よりも広く、少なくとも、受電面A1の全面が送電側対向面25と重ねて配置されている状態では、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されている。更に、受電面A1の一部分が送電側対向面25からはみ出ていても、上記(1)及び(2)の条件を満たすような配置(送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向き)も存在する。
【0026】
本実施形態の場合、送電面A2の面積が受電側対向面15の面積よりも広く、少なくとも、受電側対向面15の全面が送電面A2と重ねて配置されている状態では、送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、上記(1)及び(2)の条件を満たすように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されている。更に、受電側対向面15の一部分が送電面A2からはみ出ていても、上記(1)及び(2)の条件を満たすような配置(送電面A2と受電面A1との相対的な位置及び相対的な向き)も存在する。
【0027】
本実施形態の場合、
図5等に示すように、受電側対向面15と送電側対向面25とを対向させて(受電側対向面15と送電側対向面25とを互いに突き合わせて)送電装置20に受電装置10を重ねたときに、平面視において筐体13の外形線が筐体23の外形線の内側に収まるように、筐体13及び筐体23の寸法及び形状が設定されている。
【0028】
受電装置10において、複数の受電電極11は、互いに同一平面上に配置されていることが好ましい。受電面A1は、受電側対向面15に対して平行に配置されていることが好ましい。
送電装置20において、複数の送電電極は、互いに同一平面上に配置されていることが好ましい。送電面A2は、送電側対向面25に対して平行に配置されていることが好ましい。
【0029】
本実施形態の場合、
図2に示すように、複数の受電電極11は、格子状に配置されている。より詳細には、複数の受電電極11は、例えば、正方格子状に配置されている。
受電装置10が有する受電電極11の数は特に限定されないが、本実施形態の場合、受電装置10は、例えば、2行4列の合計8つの受電電極11を有する。
これら受電電極11に、便宜的に、
図2に示すように、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8の呼称をそれぞれ与える。
本実施形態の場合、複数の受電電極11の各々は、円形状に形成されている。
また、各受電電極11の寸法は、互いに等しい。
【0030】
本実施形態の場合、第1送電電極21と第2送電電極22とが交互に配置されている。ここで、第1送電電極21と第2送電電極22とが交互に配置されているとは、第1送電電極21と第2送電電極22とが第1方向(例えば
図3における左右方向)において周期的に繰り返し配置されているとともに、第1方向に対して直交する第2方向(例えば
図3における上下方向)においても周期的に繰り返し配置されていることを意味する。
本実施形態の場合、
図3及び
図5に示すように、上記第1方向において隣り合う送電電極が互いに異なる位相になり、且つ、上記第2方向において隣り合う送電電極が互いに異なる位相になるように、複数の送電電極が配置されている。
ただし、本発明において、第1送電電極21と第2送電電極22とが交互に配置されているとは、必ずしも、隣り合う送電電極が互いに異なる位相になることに限定されず、
図5等に示される個々の送電電極(第1送電電極21や第2送電電極22)が同位相の複数の電極に細分化されているような構成であってもよい。
【0031】
より詳細には、複数の送電電極は格子状に配置されている。より詳細には、複数の受電電極11は、例えば、正方格子状に配置されている。
複数の送電電極の各々は、正方形状に形成されている。より詳細には、複数の送電電極の各々は角丸の正方形状に形成されている。また、各送電電極は、互いに同じ向きに配置されている。すなわち、各送電電極の対応する辺どうしが互いに平行に配置されている。
また、各送電電極の寸法は、互いに等しい。
なお、
図3、
図5から
図8においては、便宜的に、各第1送電電極21の電位がLow、各第2送電電極22の電位がHighとなった状態を示しているものとし、各第1送電電極21にはLの文字を付しており、各第2送電電極22にはHの文字を付している。
【0032】
ここで、複数の送電電極のうち隣り合う送電電極間の間隙D2(
図3)が、受電電極11の外径R1(
図2)よりも大きい。ここで、本発明において、受電電極11の形状は円形に限らない。ここでいう受電電極11の外径R1は、一の受電電極11の中心を通り当該受電電極11の外周上の2点を繋ぐ線分の長さ(差し渡しの長さ)のうち最大のもの(最大外径)である。
また、複数の受電電極11のうち隣り合う受電電極11間の間隙D1(
図2)が、送電電極の外径R2(
図3)よりも小さい。ここでいう送電電極の外径R2は、一の送電電極の中心を通り当該送電電極の外周上の2点を繋ぐ線分の長さ(差し渡しの長さ)のうち最小のもの(最小外径)である。なお、送電電極の最大外径R3、すなわち一の送電電極の中心を通り当該送電電極の外周上の2点を繋ぐ線分の長さのうち最大のものは、隣り合う受電電極11間の間隙D1よりも大きい。
【0033】
本実施形態に係る非接触電力伝送システム100は、以下のように定義することもできる。
すなわち、本実施形態に係る非接触電力伝送システム100は、交流電源31と、それぞれ交流電源31と電気的に接続されているとともに送電面A2に沿って配置されている複数の送電電極とを有する送電装置20と、送電面A2に重ねて配置される受電面A1に沿って配置されていて送電電極と電界結合される複数の受電電極11を有し送電装置20から非接触で電力供給を受ける受電装置10と、を備える非接触電力伝送システム100であって、複数の送電電極には、互いに逆位相となる第1送電電極21と第2送電電極22とが含まれ、複数の送電電極は格子状に配置されており、第1送電電極21と第2送電電極22とが交互に配置されており、複数の送電電極のうち隣り合う送電電極間の間隙D2(
図3)が受電電極11の外径R1(
図2)よりも大きく、複数の受電電極11は格子状に配置されており、複数の受電電極11のうち隣り合う受電電極11間の間隙D1(
図2)が、送電電極の外径R2(
図3)よりも小さい。
【0034】
受電電極11及び送電電極の寸法及び配置の具体的な一例としては、例えば、受電電極11の外径R1を9mmとし、隣り合う受電電極11間の間隙D1を6mmとし、送電電極の外径R2を10mmとし、隣り合う送電電極間の間隙D2を10mmとすることが挙げられる。
このため、本実施形態の場合、複数の受電電極11の各々の外径R1が、複数の送電電極の外径R2よりも小さい。そして、複数の受電電極11の各々の外径R1が、複数の送電電極の外径R2の半分以上である。
【0035】
図4に示すように、交流電源31は、互いに逆位相となる第1交流出力端子32と第2交流出力端子33とを有する。交流電源31は、単相でも三相でもよい。
第1送電電極21の各々は、個別の第1共振コイル34を介して、第1交流出力端子32と電気的に接続されている。すなわち、送電装置20は、第1送電電極21の各々と対応する第1共振コイル34を備えており、各第1共振コイル34の一端は第1交流出力端子32に対して電気的に接続されており、各第1共振コイル34の他端は対応する第1送電電極21に対して電気的に接続されている。
同様に、第2送電電極22の各々は、個別の第2共振コイル35を介して、第2交流出力端子33と電気的に接続されている。すなわち、送電装置20は、第2送電電極22の各々と対応する第2共振コイル35を備えており、各第2共振コイル35の一端は第2交流出力端子33に対して電気的に接続されており、各第2共振コイル35の他端は対応する第2送電電極22に対して電気的に接続されている。
このため、各第1送電電極21は常に互いに同位相となり、各第2送電電極22は常に互いに同位相となり、第1送電電極21と第2送電電極22とは常に互いに逆位相になる。
ここで、第1送電電極21と、当該第1送電電極21と対応する第1共振コイル34とにより、第1LC共振要素が構成されている。第1LC共振要素は、当該第1LC共振要素に含まれる第1送電電極21と受電電極11とが重なったときに、LC共振回路の一部分を構成する。
同様に、第2送電電極22と、当該第2送電電極22と対応する第2共振コイル35とにより、第2LC共振要素が構成されている。第2LC共振要素は、当該第2LC共振要素に含まれる第2送電電極22と受電電極11とが重なったときに、LC共振回路の一部分を構成する。
【0036】
各第1LC共振要素の共振周波数は互いに等しく、各第2LC共振要素の共振周波数は互いに等しく、前記第1LC共振要素と前記第2LC共振要素との共振周波数が互いに等しい。
これにより、重なり合った電極間の伝送効率を向上させることができる。
第1LC共振要素の共振周波数とは、当該第1LC共振要素に含まれる第1送電電極21と受電電極11とが重なったときに構成されるLC共振回路の共振周波数であり、第2LC共振要素の共振周波数とは、当該第2LC共振要素に含まれる第2送電電極22と受電電極11とが重なったときに構成されるLC共振回路の共振周波数である。
また、2つのLC共振回路どうしの共振周波数が互いに等しいとは、一方のLC共振回路を構成する送電電極と受電電極11とが所定の重なり面積で重なったときの当該LC共振回路の共振周波数と、他方のLC共振回路を構成する送電電極と受電電極11とが上記所定の重なり面積で重なったときの当該LC共振回路の共振周波数と、が互いに等しいことを意味する。
【0037】
また、受電装置10の受電電極11と送電装置20の送電電極との間には、高誘電率の絶縁板(例えば、樹脂板)が介在することが好ましい。例えば、筐体13の受電側対向面15、又は、筐体23の送電側対向面25が平板状の樹脂板により構成されていて、受電側対向面15や送電側対向面25がこの絶縁板を構成していてもよい。
このような構成により、送電電極と受電電極11との間の静電容量を増加させインピーダンスを低下させることができる。
【0038】
図4に示すように、受電装置10は、負荷60とそれぞれ電気的に接続される第1受電出力端子41と第2受電出力端子42とを有する。
受電電極11の各々は、第1伝送線43を介して第1受電出力端子41と電気的に接続されているとともに、第2伝送線44を介して第2受電出力端子42と電気的に接続されている。
第1伝送線43には、第1整流素子として、例えば、第1ダイオード51が挿入されている。これにより、第1伝送線43において、電流が受電電極11から第1受電出力端子41側に一方向に流れるようになっている。すなわち、第1ダイオード51は、アノードが受電電極11側に、カソードが第1受電出力端子41側に、それぞれ配置されている。
第2伝送線44には、第1整流素子と同方向に電流を整流する第2整流素子として、例えば、第2ダイオード52が挿入されている。これにより、第2伝送線44において、電流が第2受電出力端子42から受電電極11側に一方向に流れるようになっている。すなわち、第2ダイオード52は、アノードが第2受電出力端子42側に、カソードが受電電極11側に、それぞれ配置されている。
このように、受電装置10は、第1伝送線43、第2伝送線44、複数の第1ダイオード51及び複数の第2ダイオード52を備えている。
【0039】
ここで、第1伝送線43は、個々の受電電極11と対応して配置されていて各々の一端が対応する受電電極11に対して電気的に接続されている複数の分枝線43aと、これら複数の分枝線43aの他端に対して一端が電気的に接続されている合流線43bと、により構成されている。合流線43bの他端が、第1受電出力端子41に対して電気的に接続されている。各分枝線43aに、それぞれ第1ダイオード51が挿入されている。
同様に、第2伝送線44は、個々の受電電極11と対応して配置されていて各々の一端が対応する受電電極11に対して電気的に接続されている複数の分枝線44aと、これら複数の分枝線44aの他端に対して一端が電気的に接続されている合流線44bと、により構成されている。合流線44bの他端が、第2受電出力端子42に対して電気的に接続されている。各分枝線44aに、それぞれ第2ダイオード52が挿入されている。
【0040】
受電装置10は、更に、第1伝送線43及び第2伝送線44を流れる電流のリップルを低減する平滑素子を有する。この平滑素子は、例えば、コンデンサ53、電解コンデンサ54及び電解コンデンサ55の3つのコンデンサを含んで構成されている。
平滑素子は、第1伝送線43における第1ダイオード51(第1整流素子)と第1受電出力端子41との間の部分と、第2伝送線44における第2ダイオード52(第2整流素子)と第2受電出力端子42との間の部分と、に接続されている。
より詳細には、平滑素子は、合流線43bと合流線44bとに接続されている。すなわち、コンデンサ53、電解コンデンサ54及び電解コンデンサ55の各々の一端が合流線43bに接続されており、コンデンサ53、電解コンデンサ54及び電解コンデンサ55の各々の他端が合流線44bに接続されている。
【0041】
受電装置10は負荷60を含んで構成されていてもよいし、受電装置10の外部の構成であってもよい。後者の場合、負荷60と電気的に接続されるインターフェースが第1受電出力端子41及び第2受電出力端子42を有する。
負荷60は、特に限定されないが、例えば、スマートフォンなどのような、充電可能な二次電池を有する端末装置であることが挙げられる。
【0042】
非接触電力伝送システム100は、以上のように構成されている。
本実施形態に係る受電装置10は、本実施形態に係る非接触電力伝送システム100の受電装置10である。
また、本実施形態に係る送電装置20は、本実施形態に係る非接触電力伝送システム100の送電装置20である。
非接触電力伝送システム100の受電装置10は、送電装置20と組み合わせた非接触電力伝送システム100として流通する他、受電装置10の単体で流通してもよい。同様に、送電装置20も単体で流通してもよい。
【0043】
図5に示す状態は、平面視における筐体13の4辺と筐体23との4辺とのうち一辺どうしが平行に配置された状態を示す。
この状態において、C2の受電電極11及びC8の受電電極11がそれぞれ対応する第1送電電極21と重なり、C6の受電電極11が第2送電電極22と重なっている。このため、C2の受電電極11、C8の受電電極11及びC6の受電電極11には、電界結合によって交流電圧が励起される。励起される交流電圧は、第1送電電極21及び第2送電電極22に印加された交流電圧の周波数に相当する周波数と電界結合度に依存する高さとを有する。
また、C2の受電電極11及びC8の受電電極11は、いずれも、第2送電電極22とは重なっておらず、C6の受電電極11は第1送電電極21とは重なっていない。
よって、送電装置20から受電装置10へ電力を伝送することができ、送電装置20から受電装置10へ良好な伝送効率で電力を伝送することができる。
【0044】
図6に示す状態は、
図5に示す状態から、受電装置10を送電装置20に対して相対的に
図5における右方に移動させた状態である。
この状態では、C1の受電電極11とC2の受電電極11とが共通の第1送電電極21と重なり、C5の受電電極11とC6の受電電極11とが共通の第2送電電極22と重なり、C7の受電電極11とC8の受電電極11とが共通の第1送電電極21と重なっている。このため、これら受電電極11には電界結合によって交流電圧が励起される。
また、C1の受電電極11、C2の受電電極11、C7の受電電極11及びC8の受電電極11は、いずれも、第2送電電極22とは重なっておらず、C5の受電電極11及びC6の受電電極11は、いずれも、第1送電電極21とは重なっていない。
よって、やはり、送電装置20から受電装置10へ電力を伝送することができ、送電装置20から受電装置10へ良好な伝送効率で電力を伝送することができる。
【0045】
図7に示す状態は、
図6に示す状態から、受電装置10を送電装置20に対して相対的に
図6における下方に移動させた状態である。
この状態では、C1の受電電極11とC2の受電電極11とが共通の第1送電電極21と重なり、C3の受電電極11、C4の受電電極11、C5の受電電極11及びC6の受電電極11が共通の第2送電電極22と重なり、C7の受電電極11とC8の受電電極11とが共通の第1送電電極21に重なっている。このため、これら受電電極11には電界結合によって交流電圧が励起される。
また、C1の受電電極11、C2の受電電極11、C7の受電電極11及びC8の受電電極11は、いずれも、第2送電電極22とは重なっておらず、C3の受電電極11、C4の受電電極11、C5の受電電極11及びC6の受電電極11は、いずれも第1送電電極21とは重なっていない。
よって、やはり、送電装置20から受電装置10へ電力を伝送することができ、送電装置20から受電装置10へ良好な伝送効率で電力を伝送することができる。
【0046】
図8に示す状態は、平面視における筐体13の4辺が筐体23の4辺に対して45度傾斜するように受電装置10を配置し、且つ、送電電極に対する受電電極11の重なり面積が最も小さくなるようにした状態を示す。
この状態は、C5の受電電極11とC6の受電電極11とがそれぞれ対応する第1送電電極21と重なり、C7の受電電極11とC8の受電電極11とがそれぞれ対応する第2送電電極22と重なっている。このため、これら受電電極11には電界結合によって交流電圧が励起される。
また、C5の受電電極11とC6の受電電極11は、いずれも、第2送電電極22とは重なっておらず、C7の受電電極11とC8の受電電極11は、いずれも第1送電電極21とは重なっていない。
よって、やはり、送電装置20から受電装置10へ電力を伝送することができ、送電装置20から受電装置10へ良好な伝送効率で電力を伝送することができる。
【0047】
また、図示は省略するが、受電装置10を送電装置20に対して
図5から
図8に示す以外の位置に移動させても、受電装置10を送電装置20に対して
図5から
図8に示す以外の回転角度で配置しても、(A)少なくとも受電面A1の全面が送電面A2と重ねて配置されている限りにおいて、又は、(B)少なくとも受電側対向面15の全面が送電側対向面25と重ねて配置されている限りにおいて、又は、(C)少なくとも受電面A1の全面が送電側対向面25と重ねて配置されている限りにおいて、又は、(D)少なくとも受電側対向面15の全面が送電面A2と重ねて配置されている限りにおいて、常に、1つ以上の受電電極11が第1送電電極21と重なるとともに他の1つ以上の受電電極11が第2送電電極22と重なり、且つ、送電電極と重なるいずれの受電電極11も第1送電電極21又は第2送電電極22の一方にのみ重なる。
つまり、いずれの受電電極11も第1送電電極21と第2送電電極22とを跨ぐことはない。より詳細には、本実施形態の場合、いずれの受電電極11も、複数の送電電極を跨ぐことはない(第1送電電極21どうしを跨ぐことも、第2送電電極22どうしを跨ぐこともない)。
このため、送電装置20から受電装置10へ良好な伝送効率で電力を伝送することが可能である。
【0048】
ここで、特許文献1の技術では、電界結合している送電電極を判定し、当該送電電極と対応するスイッチをオンにする制御を、CPUが行う。
これに対し、本実施形態の場合、送電装置20において、各送電電極と対応してコイル(第1共振コイル34又は第2共振コイル35が設けられている。このため、受電電極11が重なった送電電極を有するLC共振回路においてのみ共振条件が成立し、当該LC共振回路のみが高圧になり、その他のLC共振回路の送電電極は共振条件が成立しないので低圧のままとなる。
よって、本実施形態の場合、特許文献1の技術とは異なり、CPUによるスイッチの制御が不要である。
【0049】
〔第2実施形態〕
次に、
図9及び
図10を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態の場合、受電装置10の構成が、上記の第1実施形態と相違しており、それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態の場合、受電面が送電面に重ねて配置されている状態において、送電面に対する受電面の位置及び向きにかかわらず、複数の受電電極11のうち、2つ以上の受電電極11が一の第1送電電極21と重なるとともに他の2つ以上の受電電極11が一の第2送電電極22と重なるように、複数の送電電極と複数の受電電極11とが配置されている(
図10参照)。
このことを実現するため、
図9に示すように、受電装置10において、第1実施形態と比べてより多くの受電電極11が密集して配置されている。
本実施形態の場合、複数の受電電極11の各々の外径が、送電電極の外径の半分未満である。
【0051】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、上記の各実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に組み合わせることができる。
【0052】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)交流電源と、それぞれ前記交流電源と電気的に接続されているとともに送電面に沿って配置されている複数の送電電極と、を有する送電装置と、
前記送電面に重ねて配置される受電面に沿って配置されていて前記送電電極と電界結合される複数の受電電極を有し、前記送電装置から非接触で電力供給を受ける受電装置と、
を備える非接触電力伝送システムであって、
前記複数の送電電極には、互いに逆位相となる複数の第1送電電極と複数の第2送電電極とが含まれ、
前記受電面が前記送電面に重ねて配置されている状態において、前記送電面と前記受電面との相対的な位置及び相対的な向きにかかわらず、(1)前記複数の受電電極のうち1つ以上の受電電極が前記第1送電電極と重なるとともに他の1つ以上の受電電極が前記第2送電電極と重なり、且つ、(2)前記送電電極と重なるいずれの受電電極も前記第1送電電極又は前記第2送電電極の一方にのみ重なる、という条件を満たし得るように、前記複数の送電電極と前記複数の受電電極とが配置されている非接触電力伝送システム。
(2)前記第1送電電極と前記第2送電電極とが交互に配置されている(1)に記載の非接触電力伝送システム。
(3)前記複数の送電電極は格子状に配置されている(1)又は(2)に記載の非接触電力伝送システム。
(4)前記複数の送電電極のうち隣り合う送電電極間の間隙が、前記受電電極の外径よりも大きい(1)から(3)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
(5)前記複数の受電電極は格子状に配置されている(1)から(4)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
(6)前記複数の受電電極のうち隣り合う受電電極間の間隙が、前記送電電極の外径よりも小さい(1)から(5)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
(7)交流電源と、それぞれ前記交流電源と電気的に接続されているとともに送電面に沿って配置されている複数の送電電極と、を有する送電装置と、
前記送電面に重ねて配置される受電面に沿って配置されていて前記送電電極と電界結合される複数の受電電極を有し、前記送電装置から非接触で電力供給を受ける受電装置と、
を備える非接触電力伝送システムであって、
前記複数の送電電極には、互いに逆位相となる第1送電電極と第2送電電極とが含まれ、
前記複数の送電電極は格子状に配置されており、
前記第1送電電極と前記第2送電電極とが交互に配置されており、
前記複数の送電電極のうち隣り合う送電電極間の間隙が、前記受電電極の外径よりも大きく、
前記複数の受電電極は格子状に配置されており、
前記複数の受電電極のうち隣り合う受電電極間の間隙が、前記送電電極の外径よりも小さい非接触電力伝送システム。
(8)前記複数の送電電極の各々は正方形状に形成されている(1)から(7)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
(9)前記複数の受電電極の各々は円形状に形成されている(1)から(8)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
(10)前記複数の受電電極の各々の外径が、前記複数の送電電極の外径の半分以上である(1)から(9)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
(11)前記交流電源は、互いに逆位相となる第1交流出力端子と第2交流出力端子とを有し、
前記第1送電電極の各々は、個別の第1共振コイルを介して、前記第1交流出力端子と電気的に接続されており、
前記第1送電電極と、当該第1送電電極と対応する前記第1共振コイルとにより、第1LC共振要素が構成されており、
前記第2送電電極の各々は、個別の第2共振コイルを介して、前記第2交流出力端子と電気的に接続されており、
前記第2送電電極と、当該第2送電電極と対応する前記第2共振コイルとにより、第2LC共振要素が構成されている(1)から(10)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
(12)前記第1LC共振要素の各々の共振周波数が互いに等しく、前記第2LC共振要素の各々の共振周波数が互いに等しく、前記第1LC共振要素と前記第2LC共振要素との共振周波数が互いに等しい(11)に記載の非接触電力伝送システム。
(13)前記受電装置は、負荷とそれぞれ電気的に接続される第1受電出力端子と第2受電出力端子とを有し、
前記受電電極の各々は、第1伝送線を介して前記第1受電出力端子と電気的に接続されているとともに、第2伝送線を介して前記第2受電出力端子と電気的に接続されており、
前記第1伝送線には、第1整流素子が挿入されており、
前記第2伝送線には、前記第1整流素子と同方向に電流を整流する第2整流素子が挿入されている(1)から(12)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
(14)(1)から(13)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システムの前記送電装置。
(15)(1)から(13)のいずれか一項に記載の非接触電力伝送システムの前記受電装置。
【符号の説明】
【0053】
10 受電装置
11、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8 受電電極
13 筐体
15 受電側対向面
20 送電装置
21 第1送電電極
22 第2送電電極
23 筐体
25 送電側対向面
31 交流電源
32 第1交流出力端子
33 第2交流出力端子
34 第1共振コイル
35 第2共振コイル
41 第1受電出力端子
42 第2受電出力端子
43 第1伝送線
43a 分枝線
43b 合流線
44 第2伝送線
44a 分枝線
44b 合流線
51 第1ダイオード(第1整流素子)
52 第2ダイオード(第2整流素子)
53 コンデンサ(平滑素子)
54 電解コンデンサ(平滑素子)
55 電解コンデンサ(平滑素子)
60 負荷
100 非接触電力伝送システム
E1 包絡線
E2 包絡線
A1 受電面
A2 送電面