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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】頭部装着型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018124444
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020003700
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】米窪 政敏
(72)【発明者】
【氏名】立木 洋幸
(72)【発明者】
【氏名】返町 秀光
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-039584(JP,A)
【文献】特開2008-191325(JP,A)
【文献】特開2015-191026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0219488(US,A1)
【文献】特開2002-072353(JP,A)
【文献】特開2003-005132(JP,A)
【文献】特開2002-182151(JP,A)
【文献】特開2007-108685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01,27/02
G03B 21/00
G02F 1/1335
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロスダイクロイックプリズムと、
第1表示パネル、第2表示パネル及び第3表示パネルと、
前記第1表示パネルを前記クロスダイクロイックプリズムの第1入射面に接着する第1接着層と、
前記第2表示パネルを前記クロスダイクロイックプリズムの第2入射面に接着する第2接着層と、
前記第3表示パネルを前記クロスダイクロイックプリズムの第3入射面に接着する第3接着層と、を有する光学モジュールと
前記光学モジュールからの光を使用者の瞳に投射する投射光学系と、を備え、
前記第1入射面、前記第2入射面及び前記第3入射面の少なくともいずれかは傾いており、
前記第1接着層は、前記スペーサー部材として、第1球状部材を含有し、
前記第2接着層は、前記スペーサー部材として、第2球状部材を含有し、
前記第3接着層は、前記スペーサー部材として、第3球状部材を含有しており、
前記第1球状部材、前記第2球状部材及び前記第3球状部材の少なくともいずれかは、対応する表示パネルの接着領域内に複数設けられ、
傾いた入射面に対応する前記表示パネルの前記接着領域内に設けられた複数の球状部材は、前記接着領域の場所毎にそれぞれ径をならせことで前記入射面の傾きを補正し、対応する前記表示パネルから射出され前記投射光学系から投射された光を前記使用者の眼の網膜上に結像させる、
ことを特徴とする頭部装着型表示装置
【請求項2】
前記スペーサー部材は、前記表示パネルの表示領域と平面視で重ならない領域に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型表示装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部装着型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、3つの表示パネルから射出したRGB各色の画像光を合成する光学モジュールとして、クロスダイクロイックプリズムと3つの表示パネルとを組み合わせた技術が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この光学モジュールでは、各表示パネルとクロスダイクロイックプリズムとの間にガラス板を配置することで、表示パネルとクロスダイクロイックプリズムとの間隔を所定の値に規定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-39584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記光学モジュールでは、ガラス板の平面度やガラス板を接着する接着層の厚みにばらつきが生じることで、表示パネルとクロスダイクロイックプリズムとの間隔を精度よく調整できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様の光学ユニットは、クロスダイクロイックプリズムと、複数の表示パネルと、前記複数の表示パネル各々を前記クロスダイクロイックプリズムに接着する接着層と、を備え、前記接着層は、前記複数の表示パネル各々と前記クロスダイクロイックプリズムとの間隔を所定値に規制するスペーサー部材を含む、ことを特徴とする。
【0006】
上記態様の光学ユニットでは、前記複数の表示パネルは、第1表示パネルと第2表示パネルとを含み、前記接着層は、前記第1表示パネルを接着するとともに第1スペーサー部材を含む第1接着層と、前記第2表示パネルを接着するとともに第2スペーサー部材を含む第2接着層と、を有し、前記第1スペーサー部材は複数の第1球状部材から構成され、前記第2スペーサー部材は複数の第2球状部材から構成されており、前記第1球状部材の径及び前記第2球状部材の径は異なる、のが好ましい。
【0007】
上記態様の光学ユニットでは、前記複数の表示パネルは、第1表示パネルと第2表示パネルとを含み、前記接着層は、前記第1表示パネルを接着するとともに第1スペーサー部材を含む第1接着層と、前記第2表示パネルを接着するとともに第2スペーサー部材を含む第2接着層と、を有し、前記第1スペーサー部材は複数の第1球状部材から構成され、前記第2スペーサー部材は複数の第2球状部材から構成されており、前記複数の第1球状部材の径は、前記第1表示パネルにおける接着領域毎に異なる、のが好ましい。
【0008】
上記態様の光学ユニットでは、前記複数の第2球状部材の径は、前記第2表示パネルにおける接着領域毎に異なる、のが好ましい。
【0009】
上記態様の光学ユニットでは、前記スペーサー部材は、前記表示パネルの表示領域と平面視で重ならない領域に配置される、のが好ましい。
【0010】
本発明の一つの態様の頭部装着型表示装置は、上記態様に係る光学モジュールと、前記光学モジュールからの光を使用者の瞳に投射する投射光学系と、を備える、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態のHMDを使用者が装着した状態を示す図である。
図2】HMDの斜視図である。
図3】画像表示部の概略構成を示す図である。
図4】画像表示部の要部構成を示す図である。
図5】赤色表示パネルにおける接着領域を平面視した図である。
図6】第二実施形態の画像表示部の構成を示す図である。
図7】第二実施形態の投射光学系における軸上色収差を説明した図である。
図8】変形例に係る画像表示部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の全ての図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0013】
(第一実施形態)
本実施形態の頭部装着型表示装置は、使用者が頭に装着して使用するヘッドマウントディスプレイの一例である。
以下の説明では、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)を、HMDと略記する。
【0014】
図1は、使用者が本実施形態のHMDを装着した状態を示す図である。図2は、本実施形態のHMDの斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のHMD300(頭部装着型表示装置)は、使用者Mが眼鏡を掛ける感覚で頭部に装着して使用するものである。本実施形態のHMD300は、使用者の眼を覆う非透過型のHMDである。
【0015】
図2に示すように、HMD300は、眼鏡に類似した形状を有する表示部100と、使用者が手で持つことが可能な程度の大きさを有する制御装置260と、を備えている。表示部100と制御装置260とは、有線または無線で通信可能に接続される。本実施形態において、表示部100を構成する左眼用画像表示部110Aおよび右眼用画像表示部110Bの各々と制御装置260とは、ケーブル290を介して有線で通信可能に接続され、画像信号や制御信号を通信する。
【0016】
表示部100は、メインフレーム120と、左眼用画像表示部110Aと、右眼用画像表示部110Bと、を備えている。制御装置260は、表示画面270と、操作ボタン部280と、を備えている。
【0017】
表示画面270は、例えば使用者に与える各種の情報や指示等を表示する。メインフレーム120は、使用者が耳に掛けるための一対のテンプル部122A,122Bを備えている。メインフレーム120は、左眼用画像表示部110Aと、右眼用画像表示部110Bと、を支持する部材である。
【0018】
右眼用画像表示部110Bと左眼用画像表示部110Aとは、同様の構成を有しており、双方の画像表示部内の各構成要素は左右対称に配置されている。そのため、以下では、右眼用画像表示部110Bを単に画像表示部110として詳細に説明し、左眼用画像表示部110Aの説明を省略する。
【0019】
図3は画像表示部の概略構成を示す図である。図4は画像表示部の要部構成を示す拡大図である。なお、図3においては、使用者Mの眼MEの瞳の中心を通り、かつ観察される画像の中心画角となる光線が通る経路を光軸100axとする。
【0020】
図3に示すように、画像表示部110は、画像生成部(光学モジュール)11と、投射光学系12と、を備えている。画像生成部11は、画像情報を含む画像光を射出する。
図4に示すように、画像生成部11は、赤色表示パネル(第1表示パネル)21、緑色表示パネル(第2表示パネル)22及び青色表示パネル(第3表示パネル)23と、クロスダイクロイックプリズム50と、第1接着層31と、第2接着層32と、第3接着層33と、を有する。
【0021】
本実施形態において、赤色表示パネル21、緑色表示パネル22及び青色表示パネル23は有機ELパネルから構成される。なお、赤色表示パネル21、緑色表示パネル22及び青色表示パネル23は後述するように射出する光の波長帯が異なる以外、同様の構成を有する。
【0022】
赤色表示パネル21は、赤色波長帯(例えば、620nm~750nm)の青色画像光GBを射出する。
緑色表示パネル22は、緑色波長帯(例えば、495nm~570nm)の緑色画像光GGを射出する。
青色表示パネル23は、青色波長帯(例えば、450nm~495nm)の赤色画像光GRを射出する。
【0023】
クロスダイクロイックプリズム50は、上記青色画像光GB、緑色画像光GG及び赤色画像光GRがそれぞれ入射される3つの入射端面を備え、各入射面に入射した光を合成してカラー画像光を生成する光学素子である。なお、本実施形態において、上記青色画像光GB、緑色画像光GG及び赤色画像光GRは偏光特性を有さない。これは、青色画像光GB、緑色画像光GG及び赤色画像光GRは有機薄膜中にランダムに配置された有機分子からの発光であり、液晶ディスプレイのような偏光特性はなく、基本的に非偏光の発光特性を有するためである。
【0024】
クロスダイクロイックプリズム50は、4つの三角柱プリズム51の頂角同士を中央部に近接させて接合することで平面視正方形状に形成される。三角柱プリズムの材料としては、例えば光学ガラスが用いられる。クロスダイクロイックプリズム50は、4つの三角柱プリズム同士を接合した接合部52を有する。接合部52は略X字状の平面形状を有し、接合部52には第1ダイクロイック膜61及び第2ダイクロイック膜62が設けられている。
【0025】
本実施形態において、第1ダイクロイック膜61及び第2ダイクロイック膜62は互いに45°の角度で交差するように設けられる。そのため、第1ダイクロイック膜61及び第2ダイクロイック膜62は、接合部52の中心52Cにおいて交差している。第1ダイクロイック膜61は第2ダイクロイック膜62との交差位置にて連続した状態で形成され、第2ダイクロイック膜62は第1ダイクロイック膜61との交差位置である接合部52の中心52Cにて分割して形成される。すなわち、第2ダイクロイック膜62は、第1ダイクロイック膜61により分断された状態に形成されている。なお、第1ダイクロイック膜61を第2ダイクロイック膜62により分断するようにしてもよい。
【0026】
クロスダイクロイックプリズム50は、赤色表示パネル21から射出された赤色画像光GRを入射させる第1入射面50aと、緑色表示パネル22から射出された緑色画像光GGを入射させる第2入射面50bと、青色表示パネル23から射出された青色画像光GBを入射させる第3入射面50cと、青色画像光GB、緑色画像光GG及び赤色画像光GRを合成したフルカラーの合成画像光Gを射出する光射出面50dと、を有する。
【0027】
第1ダイクロイック膜61は、赤色表示パネル21から射出された赤色画像光GR及び緑色表示パネル22から射出された緑色画像光GGを透過させるとともに、青色表示パネル23から射出された青色画像光GBを反射する。また、第2ダイクロイック膜62は、緑色表示パネル22から射出された緑色画像光GG及び青色表示パネル23から射出された青色画像光GBを透過させるとともに、赤色表示パネル21から射出された赤色画像光GRを反射する。
【0028】
このような構成に基づき、本実施形態のクロスダイクロイックプリズム50は、赤色表示パネル21から射出された赤色画像光GRと、緑色表示パネル22から射出された緑色画像光GGと、青色表示パネル23から射出された青色画像光GBとを合成した合成画像光Gを光射出面50dから出射するようになっている。
【0029】
図3に示したように、クロスダイクロイックプリズム50で合成された合成画像光Gは投射光学系12に入射する。投射光学系12は、例えば、第1レンズ12aと第2レンズ12bとを含む。投射光学系12は、第1レンズ12aにより合成画像光Gの中間像G1を生成し、第2レンズ12bにより略平行光として使用者Mの眼MEに導き、網膜上に結像させるように設計される。
投射光学系12は、絞り12Sを略第1レンズ12aの後方焦点の位置に置くことで物体側テレセントリックとなっている。投射光学系12は、絞り12Sの像を第2レンズ12bにより使用者Mの眼MEの瞳位置近傍に形成することで使用者Mに全画角を観察可能とする。
【0030】
なお、本実施形態の投射光学系12は軸上色収差を補正しているため、合成画像光Gを構成する青色画像光GB、緑色画像光GG及び赤色画像光GRは、投射光学系12によって色収差が生じないものとする。なお、軸上色収差を補正した投射光学系12は一般的に3枚以上のレンズを含む構成となるが、図3では説明を単純にするため、第1レンズ12a及び第2レンズ12bのみを図示した。
【0031】
ところで、本実施形態では、赤色表示パネル21、緑色表示パネル22及び青色表示パネル23各々(以下、単に各表示パネルと称すこともある)とクロスダイクロイックプリズム50の中心との距離を適切な値に設定している。ここで、クロスダイクロイックプリズム50の中心とは接合部52の中心52Cに相当する。
各表示パネルとクロスダイクロイックプリズム50の中心部との距離が適切な値に設定されない場合、クロスダイクロイックプリズム50の光射出面50dから射出された各画像光(青色画像光GB、緑色画像光GG及び赤色画像光GR)が投射光学系12によって使用者Mの眼MEの網膜上で良好に結像されず、使用者Mに良質な映像を視認させることができなくなるおそれがある。
【0032】
これに対して、本実施形態の画像生成部11は、第1接着層31、第2接着層32及び第3接着層33を用いて赤色表示パネル21、緑色表示パネル22及び青色表示パネル23各々をクロスダイクロイックプリズム50に対する所定位置に固定している。
【0033】
本実施形態において、第1接着層31は、赤色表示パネル21をクロスダイクロイックプリズム50に接着する。第2接着層32は、緑色表示パネル22をクロスダイクロイックプリズム50に接着する。第3接着層33は、青色表示パネル23をクロスダイクロイックプリズム50に接着する。
【0034】
赤色表示パネル21は第1接着層31により第1入射面50aに接着され、緑色表示パネル22は第2接着層32により第2入射面50bに接着され、青色表示パネル23は第3接着層33により第3入射面50cに接着される。
【0035】
なお、本実施形態のクロスダイクロイックプリズム50は、第1入射面50a、第2入射面50b及び第3入射面50c各々と中心部(接合部52の中心52C)との距離が等しく形成されているものとする。
【0036】
本実施形態において、第1接着層31は、スペーサー部材41を含有する。スペーサー部材41は複数の球状部材(第1球状部材)41aにより構成される。各球状部材41aは、同一直径を有するガラスビーズから構成される。
【0037】
本実施形態において、第2接着層32は、スペーサー部材42を含有する。スペーサー部材42は複数の球状部材(第2球状部材)42aにより構成される。各球状部材42aは、球状部材41aと同一直径を有するガラスビーズから構成される。
【0038】
本実施形態において、第3接着層33は、スペーサー部材43を含有する。スペーサー部材43は、複数の球状部材(第3球状部材)43aにより構成される。各球状部材43aは、球状部材41aと同一直径を有するガラスビーズから構成される。
なお、球状部材41a,42a,43aの数は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
複数の球状部材41aは、赤色表示パネル21の表面21aとクロスダイクロイックプリズム50の第1入射面50aとに接触する。複数の球状部材41aは、赤色表示パネル21とクロスダイクロイックプリズム50との間の距離を規制するスペーサー部材として機能する。
【0040】
複数の球状部材42aは、緑色表示パネル22の表面22aとクロスダイクロイックプリズム50の第2入射面50bとに接触する。複数の球状部材42aは、緑色表示パネル22とクロスダイクロイックプリズム50との間の距離を規制するスペーサー部材として機能する。
【0041】
複数の球状部材43aは、青色表示パネル23の表面23aとクロスダイクロイックプリズム50の第3入射面50cとに接触する。複数の球状部材43aは、青色表示パネル23とクロスダイクロイックプリズム50との間の距離を規制するスペーサー部材として機能する。
【0042】
本実施形態において、複数の球状部材41aは、赤色表示パネル21の表示領域と平面視で重ならない領域に配置されている。具体的に、第1接着層31は、赤色表示パネル21の表面21aの全体に設けられる。第1接着層31は、光透過性を有する接着材を主に構成される。
【0043】
図5は赤色表示パネルにおける接着領域を平面視した図である。図5に示すように、赤色表示パネル21は、赤色画像光GRを射出する表示領域25を有している。第1接着層31は赤色表示パネル21の表示領域25を覆うように配置されるが、複数の球状部材41aは表示領域25と平面視で重ならない領域に配置される。複数の球状部材41aは、第1接着層31による接着領域SAのうち表示領域25を枠状に囲む枠状領域SA1に選択的に設けられる。球状部材41aは表示領域25上に位置しないため、表示領域25から射出された赤色画像光GRが球状部材41aで遮光或いは反射されない。よって、第1接着層31は、赤色表示パネル21から射出された赤色画像光GRによる光損失の発生を抑制できる。
【0044】
なお、図示は省略するが、複数の球状部材42a及び複数の球状部材43aについても、複数の球状部材41aと同様のことが言える。スペーサー部材42(複数の球状部材42a)は緑色表示パネル22の表示領域と平面視で重ならない領域に配置されるため、緑色画像光GGが球状部材42aで遮られることがない。よって、第2接着層32は、緑色表示パネル22から射出された緑色画像光GGによる光損失の発生を抑制できる。
【0045】
また、スペーサー部材43(複数の球状部材43a)は青色表示パネル23の表示領域と平面視で重ならない領域に配置されるため、青色画像光GBが球状部材43aで遮られることがない。よって、第3接着層33は、青色表示パネル23から射出された青色画像光GBによる光損失の発生を抑制できる。
【0046】
本実施形態の画像生成部11によれば、第1接着層31中に含有される複数の球状部材41aの直径を適宜調整することで、赤色表示パネル21の表面21aとクロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)との距離を精度良く調整できる。
また、第2接着層32中に含有される複数の球状部材42aの直径を適宜調整することで、緑色表示パネル22の表面22aとクロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)との距離を精度良く調整できる。
また、第3接着層33中に含有される複数の球状部材43aの直径を適宜調整することで、青色表示パネル23の表面23aとクロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)との距離を精度良く調整できる。
【0047】
本実施形態の画像生成部11は、例えば、組み立て後のクロスダイクロイックプリズム50の寸法を測定し、測定結果に基づいて選択した最適な径を有する球状部材を含有させた接着層を用いて各表示パネルをクロスダイクロイックプリズム50に貼り付けることで製造される。
【0048】
このように本実施形態の画像生成部11によれば、赤色表示パネル21、緑色表示パネル22及び青色表示パネル23各々の各表面21a,21b,21cとクロスダイクロイックプリズム50の光射出面50dとの距離がそれぞれ等しく設定することができる。
【0049】
したがって、本実施形態の画像表示部110によれば、青色画像光GB、緑色画像光GG及び赤色画像光GRを使用者Mの眼MEの網膜上で良好に結像させることができるので、使用者Mに良質な画像(合成画像光G)を視認させることができる。
い。
【0050】
なお、上記実施形態では、第1入射面50a、第2入射面50b及び第3入射面50c各々と中心部(接合部52の中心52C)との距離が等しく形成されたクロスダイクロイックプリズム50を例に挙げたが、製造時の各部品の寸法誤差によって、クロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)と第1入射面50a、第2入射面50b及び第3入射面50c各々との距離にばらつきが生じる場合もある。
【0051】
このような場合、球状部材41a、球状部材42a及び球状部材43aの径をすべて異ならせる或いは球状部材41a、球状部材42a及び球状部材43aのうちのいずれか1つの径を他の球状部材の径に対して異ならせることで、各表示パネルの表面とクロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)との距離を精度良く調整することができる。このようにすれば、クロスダイクロイックプリズムの寸法精度をむやみに高くする必要が無くなるので、画像生成部の生産性が向上する。
【0052】
また、上記実施形態では、第1接着層31、第2接着層32及び第3接着層33各々がスペーサー部材41,42,43(球状部材41a、球状部材42a及び球状部材43a)を含有する場合を例に挙げたが、第1接着層31、第2接着層32及び第3接着層33のうちの1つあるいは2つのみがスペーサー部材を含有する構成としてもよい。
【0053】
例えば、第1接着層31及び第2接着層32のみがスペーサー部材41,42(球状部材41a、球状部材42a)を含有するようにしてもよい。また、この場合において、各表示パネルの表面とクロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)との距離に基づいて、球状部材41a、球状部材42aの径を互いに同一あるいは異ならせるようにすればよい。
【0054】
(第二実施形態)
続いて、本発明の第二実施形態に係る画像表示部について説明する。なお、第一実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、その詳細については説明を省略するものとする。
【0055】
図6は本実施形態の画像表示部の構成を示す図である。
図6に示すように、本実施形態の画像表示部210は、画像生成部11Aと、投射光学系112とを有する。画像生成部11Aは、赤色表示パネル21、緑色表示パネル22及び青色表示パネル23と、クロスダイクロイックプリズム50と、第1接着層131と、第2接着層132と、第3接着層133と、を有する。
【0056】
クロスダイクロイックプリズム50で合成された合成画像光Gは投射光学系112に入射する。本実施形態の投射光学系112は軸上色収差の補正を行っていない点で、上記実施形態の投射光学系12と異なっている。そのため、本実施形態の投射光学系112は、赤色光、緑色光及び青色光各々におけるバックフォーカスが異なる。
【0057】
図7は本実施形態の投射光学系における軸上色収差を説明した図である。図7に示すように、本実施形態の投射光学系112は第1レンズ112aと第2レンズ112bとを有している。投射光学系112において、赤色光LRにおけるバックフォーカスが最も長く、青色光LBにおけるバックフォーカスが最も短く、緑色光LGにおけるバックフォーカスが赤色光LR及び青色光LBの中間の値となる。
【0058】
すなわち、投射光学系112において、赤色光LRと同波長帯の赤色画像光GRにおけるバックフォーカスは最も長くなり、青色光LBと同波長帯の青色画像光GBにおけるバックフォーカスは最も短くなり、緑色光LGと同波長帯の緑色画像光GGにおけるバックフォーカスは赤色画像光GR及び青色画像光GBの中間の値となる。
【0059】
したがって、赤色画像光GR、緑色画像光GG及び青色画像光GBを使用者Mの眼MEの網膜上で良好に結像させるためには、投射光学系112による色ごとのバックフォーカスに相当する位置(以下、単にバックフォーカス位置と称する)に赤色表示パネル21、緑色表示パネル22及び青色表示パネル23各々を配置する必要がある。
【0060】
本実施形態の画像生成部11Aでは、赤色表示パネル21、緑色表示パネル22及び青色表示パネル23各々とクロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)との距離を調整することで、各色のバックフォーカス位置に赤色表示パネル21、緑色表示パネル22及び青色表示パネル23各々を配置している。
【0061】
具体的に本実施形態において、青色表示パネル23は、その表面23aが第3入射面50cと接触した状態で第2接着層132によってクロスダイクロイックプリズム50に保持される。第2接着層132は第3入射面50cと表面23aとの間に介在せず、青色表示パネル23の側面23bの一部から第3入射面50cに至るように設けられる。投射光学系112における青色光LBのバックフォーカス位置に対応した位置に青色画像光GBの射出位置(すなわち、青色表示パネル23の表面23a)を一致させるように、クロスダイクロイックプリズム50の大きさが設計されている。
これにより、青色画像光GBは投射光学系112におけるバックフォーカス位置に相当する位置から射出されるようになる。よって、投射光学系112は、青色画像光GBを使用者Mの眼MEの網膜上で良好に結像させることができる。
【0062】
なお、本実施形態のクロスダイクロイックプリズム50は、第1入射面50a、第2入射面50b及び第3入射面50c各々と中心部(接合部52の中心52C)との距離が等しく形成されているものとする。
【0063】
赤色表示パネル21は第1接着層131により第1入射面50aに接着され、緑色表示パネル22は第2接着層132により第2入射面50bに接着される。
第1接着層131は、スペーサー部材141を含有する。スペーサー部材141は複数の球状部材(第1球状部材)141aにより構成される。第2接着層132は、スペーサー部材142を含有する。スペーサー部材142は複数の球状部材(第2球状部材)142aにより構成される。なお、球状部材141a及び球状部材142aはガラスビーズから構成される。
【0064】
複数の球状部材141aは、赤色表示パネル21の表面21aとクロスダイクロイックプリズム50の第1入射面50aとに接触する。赤色表示パネル21の表面21aは、複数の球状部材141aの径分だけ、第1入射面50aから離間した位置に配置される。すなわち、赤色画像光GRの射出位置(すなわち、赤色表示パネル21の表面21a)は、青色画像光GBの射出位置(青色表示パネル23の表面23a)に比べて、クロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)から離間した位置に配置される。
【0065】
本実施形態の画像生成部11Aでは、投射光学系112における赤色光LRのバックフォーカス位置に対応した位置に赤色画像光GRの射出位置(赤色表示パネル21の表面21a)を一致させるように、球状部材141aの径の大きさが設定されている。
このように赤色画像光GRは投射光学系112におけるバックフォーカス位置に相当する位置から射出されるようになる。よって、投射光学系112は、赤色画像光GRを使用者Mの眼MEの網膜上で良好に結像させることができる。
【0066】
また、複数の球状部材142aは、緑色表示パネル22の表面22aとクロスダイクロイックプリズム50の第2入射面50bとに接触する。緑色表示パネル22の表面22aは、複数の球状部材142aの径分だけ、第2入射面50bから離間した位置に配置される。すなわち、緑色画像光GGの射出位置(すなわち、緑色表示パネル22の表面22a)は、青色画像光GBの射出位置(青色表示パネル23の表面23a)に比べて、クロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)から離間した位置に配置される。
【0067】
本実施形態の画像生成部11Aでは、投射光学系112における緑色光LGのバックフォーカス位置に対応した位置に緑色画像光GGの射出位置(緑色表示パネル22の表面22a)を一致させるように、球状部材142aの径の大きさが設定されている。なお、緑色光LGのバックフォーカスは、赤色光LRのバックフォーカスよりも短いため、球状部材142aの径は球状部材141aの径よりも小さく設定される。
このように本実施形態の画像生成部11Aによれば、緑色画像光GGが投射光学系112におけるバックフォーカス位置に相当する位置から射出されるようになる。よって、投射光学系112は、緑色画像光GGを使用者Mの眼MEの網膜上で良好に結像させることができる。
【0068】
なお、本実施形態の画像生成部11Aは、例えば、組み立て後のクロスダイクロイックプリズム50の寸法を測定し、投射光学系112の色ごとのバックフォーカスの違いを補正する径の球状部材を含有させた接着層を介して各表示パネルを貼り付けることで製造される。
【0069】
以上のように、本実施形態の画像表示部210によれば、投射光学系112の軸上色収差によって生じる異なるバックフォーカス位置に対応する位置に各表示パネルを配置した画像生成部11Aを備えるので、赤色画像光GR、緑色画像光GG及び青色画像光GBを使用者Mの眼MEの網膜上で良好に結像させることができる。
【0070】
また、本実施形態の画像表示部210によれば、投射光学系112として軸上色収差を補正した所謂色消しレンズを用いる必要が無くなるので、投射光学系112を構成するレンズの枚数を減らすことで、小型化及び軽量化を図ることもできる。
【0071】
本実施形態では、第1入射面50a、第2入射面50b及び第3入射面50c各々と中心部(接合部52の中心52C)との距離が等しく形成されたクロスダイクロイックプリズム50を例に挙げたが、製造時の各部品の寸法誤差によって、クロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)と第1入射面50a、第2入射面50b及び第3入射面50c各々との距離にばらつきが生じる場合もある。
【0072】
図8は変形例に係る画像生成部の構成を示す図である。
図8に示す画像生成部111において、クロスダイクロイックプリズム50の第2入射面50bが傾いている。この場合、第2入射面50bと緑色表示パネル22とを接着する第2接着層132に含有される複数の球状部材142aの径を緑色表示パネル22における接着領域Sの場所毎に異ならせるようにすれば良い。
【0073】
複数の球状部材142aは、第1の球状部材142a1と第2の球状部材142a2とを含む。第1の球状部材142a1は、緑色表示パネル22における接着領域Sの第1領域S1に配置される。第2の球状部材142a2は、緑色表示パネル22における接着領域Sの第2領域S2に配置される。第1領域S1において第2入射面50bは接合部52の中心52C側に傾いている。これにより、第2入射面50bと緑色表示パネル22の表面22aとの距離は第2領域S2よりも第1領域S1の方が相対的に大きくなっている。
【0074】
第1の球状部材142a1は第1の外径D1を有し、第2の球状部材142a2は第2の外径D2を有する。第1の外径D1は第2の外径D2よりも大きい。具体的に、第1の球状部材142a1の径は第1領域S1における隙間を埋める大きさに設定され、第2の球状部材142a2の径は第2領域S2における隙間を埋める大きさに設定される。すなわち、接着領域S内に設けられた複数の球状部材142aの径は、接着領域Sの場所毎にそれぞれ異なっている。
【0075】
本態様によれば、第2入射面50bの傾きを第2接着層132に含油される複数の球状部材142aによって補正した状態で、緑色表示パネル22を第2入射面50bに接着することができる。よって、第2入射面50bに傾きが生じていた場合でも、緑色表示パネル22の表面22aとクロスダイクロイックプリズム50の中心部(接合部52の中心52C)との距離を所定値に設定することができるので、緑色画像光GGを使用者Mの眼MEの網膜上で良好に結像させることができる。
【0076】
また、上記説明では、第2入射面50bに傾きが生じる場合を例に挙げたが、第1入射面50a及び第3入射面50cのいずれか一方若しくは両方に傾きが生じた場合でも、対応する表示パネルの接着領域内の場所毎に球状部材の径を異ならせることで、各表示パネルの表面とクロスダイクロイックプリズム50の中心部との距離を所定値に設定することができる。
【0077】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、各表示パネルとして有機EL表示素子を用いる場合を例に挙げたが、各表示パネルは液晶パネルから構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
11…画像生成部(光学モジュール)、12,112…投射光学系、21…赤色表示パネル(第1表示パネル)、22…緑色表示パネル(第2表示パネル)、23…青色表示パネル(第3表示パネル)、25…表示領域、31,32,33,131,132,133…接着層、31…第1接着層、32…第2接着層、33…第3接着層、41,42,43,141,142…スペーサー部材、41a,141a…球状部材(第1球状部材)、42a,142a…球状部材(第2球状部材)、43a…球状部材(第3球状部材)、50…クロスダイクロイックプリズム、M…使用者、S,SA…接着領域。
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