IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱瓦斯化学株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-過酸化水素の製造方法 図1
  • 特許-過酸化水素の製造方法 図2
  • 特許-過酸化水素の製造方法 図3
  • 特許-過酸化水素の製造方法 図4
  • 特許-過酸化水素の製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】過酸化水素の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 15/013 20060101AFI20221206BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20221206BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20221206BHJP
   B01D 11/04 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
C01B15/013
B01D61/02 500
B01D61/08
B01D11/04 B
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018125252
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020001984
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】松本 倫太朗
(72)【発明者】
【氏名】茂田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】田崎 賢
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-109304(JP,A)
【文献】特表2007-507411(JP,A)
【文献】特開平08-151203(JP,A)
【文献】特表平09-503990(JP,A)
【文献】特開2001-348210(JP,A)
【文献】特開2002-306930(JP,A)
【文献】特表2016-524531(JP,A)
【文献】特開2018-015729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 15/01 - 15/037
B01D 11/04
B01D 61/02 - 61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗過酸化水素水溶液を逆浸透膜に接触させる工程を含む、精製過酸化水素水溶液の製造方法であって、
以下の工程(1b)を含む、製造方法
程(1b):逆浸透膜接触後の濃縮過酸化水素水溶液を溶剤により洗浄する工程。
【請求項2】
下記工程(2b)を含む、請求項1に記載の製造方法
程(2b):前記工程(1b)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を、前記工程(1b)へ導入する工程。
【請求項3】
下記工程(3b)を含む、請求項2に記載の製造方法
程(3b):前記工程(1b)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を精製し、精製後の溶剤を前記工程(2b)へ、工程(1b)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部の代わりに導入する工程。
【請求項4】
以下の工程(1a)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
工程(1a):逆浸透膜接触前の粗過酸化水素水溶液を溶剤により洗浄する工程。
【請求項5】
下記工程(2a)を含む、請求項4に記載の製造方法。
工程(2a):前記工程(1a)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を、前記工程(1a)及び/又は(1b)へ導入する工程。
【請求項6】
下記工程(3a)を含む、請求項5に記載の製造方法。
工程(3a):前記工程(1a)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を精製し、精製後の溶剤を前記工程(2a)へ、工程(1a)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部の代わりに導入する工程。
【請求項7】
記工程(I)を含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の製造方法。
工程(I):工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤を混合する工程。
【請求項8】
下記工程(II)を含む、請求項に記載の製造方法。
工程(II):前記工程(I)から得られる混合後の溶剤の少なくとも一部を、前記工程(1a)及び/又は(1b)へ導入する工程。
【請求項9】
下記工程(III)を含む、請求項に記載の製造方法。
工程(III):前記工程(I)から得られる混合後の溶剤の少なくとも一部を精製し、精製後の溶剤を、工程(I)から得られる混合後の溶剤の少なくとも一部の代わりに、前記工程(II)へ導入する工程
【請求項10】
下記工程(IV)を含む、請求項のいずれかに記載の製造方法。
工程(IV):工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤を精製し、精製後の溶剤を、工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤の代わりに、前記工程(I)へ導入する工程。
【請求項11】
前記精製が、蒸留により行われる、請求項3、6、9又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
浄装置Bと、逆浸透膜モジュールとを備えた精製過酸化水素水溶液製造システムであって、洗浄装置Bは、洗浄濃縮過酸化水素水溶液輸送ラインと、溶剤供給ラインBと、溶剤排出ラインBとを備え、逆浸透膜モジュールは、透過過酸化水素水溶液輸送ラインを備え、洗浄装置Bと逆浸透膜モジュールとは濃縮過酸化水素水溶液輸送ラインにより連通している、システム。
【請求項13】
剤再利用ラインBをさらに備え、溶剤供給ラインBと溶剤排出ラインBとが溶剤再利用ラインBにより連通している、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
溶剤精製装置をさらに備え、溶剤精製装置と溶剤排出ラインBとは溶剤再利用ラインBにより連通し、溶剤精製装置と溶剤供給ラインB又は洗浄装置Bとは精製溶剤輸送ラインBにより連通している、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
洗浄装置Aをさらに備え、洗浄装置Aは、未洗浄粗過酸化水素水溶液輸送ラインと、溶剤供給ラインAと、溶剤排出ラインAとを備え、洗浄装置Aと逆浸透膜モジュールとは洗浄粗過酸化水素水溶液輸送ラインにより連通している、請求項12~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
溶剤再利用ラインAをさらに備え、溶剤供給ラインAと溶剤排出ラインAとが溶剤再利用ラインAにより連通している、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
溶剤精製装置を備え、溶剤精製装置と溶剤排出ラインAとは溶剤再利用ラインAにより連通し、溶剤精製装置と溶剤供給ラインA又は洗浄装置Aとは精製溶剤輸送ラインAにより連通している、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
精製装置が蒸留塔を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントラキノン類を用いた過酸化水素の製造方法、特に逆浸透膜(RO膜)による過酸化水素水溶液の精製工程と、溶剤による過酸化水素水溶液の洗浄工程とを含む過酸化水素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素は、酸化力を有し強力な漂白・殺菌作用を持つことから、紙、パルプ、繊維等の漂白剤、殺菌剤、食品添加剤等として使用される。さらに半導体基板等の表面の洗浄、銅、スズ及び他の銅合金表面の化学的研磨、電子回路の蝕刻等の電子工業においても過酸化水素の使用量が増大している。電子工業用や食品添加物用の過酸化水素には高い純度が求められており、高純度過酸化水素への需要は増加傾向にある。過酸化水素の製造方法としてはアントラキノン法が一般的だが、このような有機溶媒を用いる方法によって製造される過酸化水素水溶液は、使用する有機溶媒に由来する有機物や、装置材料に由来する金属などの不純物を含んでいる。このため、高純度の過酸化水素水溶液を得るために、アントラキノン法で得られた過酸化水素水溶液を精製することが行われている。一般的な過酸化水素水溶液の精製方法として、蒸留、サイクロン、吸着樹脂、イオン交換樹脂、逆浸透膜などを用いる方法がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-302418
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過酸化水素水溶液の精製方法として、RO膜精製は設置コストが安く、かつ設置が容易などの利点がある一方、分離精製技術であるため、RO膜を透過し、不純物が低減された過酸化水素水溶液(透過過水)だけではなく、RO膜を透過せずに、不純物が濃縮された過酸化水素水溶液(濃縮過水)が生じる。濃縮過水は、透過過水に本来含まれていた不純物を追加で含んでいるため、RO膜精製前の過酸化水素水溶液よりも品質が悪くなり、スペックアウトとなる可能性がある。スペックアウトとなった濃縮過水は、再度RO膜精製に供するか、廃棄することとなり、収率の低下をもたらすが、逆に考えると、濃縮過水の品質を改善し、スペックアウトとなる状況を回避することができれば、収率は改善することとなる。したがって、本発明の1つの目的は、過酸化水素水溶液のRO膜精製によって生じる濃縮過水の品質を改善する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、RO膜に接触させる前の粗過酸化水素水溶液(粗過水)及び/又はRO膜精製後の濃縮過水を溶剤洗浄に供することよって、濃縮過水の品質を改善できることを見出した。また、洗浄に使用した溶剤を繰り返し使用する場合、適宜蒸留精製することで良好な品質改善効果が継続して得られることも見出した。
【0006】
本発明の一側面は、以下のとおりである。
[1] 粗過酸化水素水溶液を逆浸透膜に接触させる工程を含む、精製過酸化水素水溶液の製造方法であって、
以下の工程(1a)及び/又は(1b)を含む、製造方法。
工程(1a):逆浸透膜接触前の粗過酸化水素水溶液を溶剤により洗浄する工程。
工程(1b):逆浸透膜接触後の濃縮過酸化水素水溶液を溶剤により洗浄する工程。
[2] 下記工程(2a)及び/又は(2b)を含む、[1]に記載の製造方法。
工程(2a):前記工程(1a)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を、前記工程(1a)及び/又は(1b)へ導入する工程。
工程(2b):前記工程(1b)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を、前記工程(1a)及び/又は(1b)へ導入する工程。
[3] 下記工程(3a)及び/又は(3b)を含む、[2]に記載の製造方法。
工程(3a):前記工程(1a)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を精製し、精製後の溶剤を前記工程(2a)へ、工程(1a)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部の代わりに導入する工程。
工程(3b):前記工程(1b)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を精製し、精製後の溶剤を前記工程(2b)へ、工程(1b)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部の代わりに導入する工程。
【0007】
[4] 工程(1a)及び(1b)の両方を含み、下記工程(I)を含む、[1]に記載の製造方法。
工程(I):工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤を混合する工程。
[5] 下記工程(II)を含む、[4]に記載の製造方法。
工程(II):前記工程(I)から得られる混合後の溶剤の少なくとも一部を、前記工程(1a)及び/又は(1b)へ導入する工程。
[6] 下記工程(III)を含む、[5]に記載の製造方法。
工程(III):前記工程(I)から得られる混合後の溶剤の少なくとも一部を精製し、精製後の溶剤を、工程(I)から得られる混合後の溶剤の少なくとも一部の代わりに、前記工程(II)へ導入する工程
[7] 下記工程(IV)を含む、[4]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
工程(IV):工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤を精製し、精製後の溶剤を、工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤の代わりに、前記工程(I)へ導入する工程。
[8] 前記精製が、蒸留により行われる、[3]、[6]又は[7]に記載の製造方法。
【0008】
[9] 洗浄装置A及び洗浄装置Bの少なくとも1つと、逆浸透膜モジュールとを備えた精製過酸化水素水溶液製造システムであって、洗浄装置Aは、未洗浄粗過酸化水素水溶液輸送ラインと、溶剤供給ラインAと、溶剤排出ラインAとを備え、洗浄装置Bは、洗浄濃縮過酸化水素水溶液輸送ラインと、溶剤供給ラインBと、溶剤排出ラインBとを備え、逆浸透膜モジュールは、透過過酸化水素水溶液輸送ラインを備え、洗浄装置Aと逆浸透膜モジュールとは洗浄粗過酸化水素水溶液輸送ラインにより連通し、洗浄装置Bと逆浸透膜モジュールとは濃縮過酸化水素水溶液輸送ラインにより連通し、洗浄装置Aが存在しない場合、溶剤供給ラインA、溶剤排出ラインA及び洗浄粗過酸化水素水溶液輸送ラインも存在せず、未洗浄粗過酸化水素水溶液輸送ラインは逆浸透膜モジュールに接続し、洗浄装置Bが存在しない場合、溶剤供給ラインB、溶剤排出ラインB及び洗浄濃縮過酸化水素水溶液輸送ラインも存在しない、システム。
[10] 溶剤再利用ラインA及び/又は溶剤再利用ラインBをさらに備え、溶剤供給ラインAと溶剤排出ラインAとが溶剤再利用ラインAにより連通し、及び/又は、溶剤供給ラインBと溶剤排出ラインBとが溶剤再利用ラインBにより連通している、[9]に記載のシステム。
[11] 溶剤精製装置をさらに備え、溶剤精製装置と溶剤排出ラインAとは溶剤再利用ラインAにより連通し、溶剤精製装置と溶剤供給ラインA又は洗浄装置Aとは精製溶剤輸送ラインAにより連通し、及び/又は、溶剤精製装置と溶剤排出ラインBとは溶剤再利用ラインBにより連通し、溶剤精製装置と溶剤供給ラインB又は洗浄装置Bとは精製溶剤輸送ラインBにより連通している、[10]に記載のシステム。
[12] 精製装置が蒸留塔を含む、[11]に記載のシステム。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以下の1以上の効果を奏する。
(1)濃縮過水の品質を改善することができる。
(2)濃縮過水の全有機炭素(TOC)を低減することができる。
(3)濃縮過水のハーゼン色数(APHA)を低減することができる。
(4)過酸化水素製造の収率を高めることができる。
(5)廃棄される濃縮過水を低減し、資源の有効活用が可能となる。
(6)廃棄される溶剤を低減し、資源の有効活用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、前洗浄工程と後洗浄工程の両方を行うことができる、本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムの一態様の概略図である。
図2図2は、前洗浄工程を行うことができる、本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムの一態様の概略図である。
図3図3は、後洗浄工程を行うことができる、本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムの一態様の概略図である。
図4図4は、溶剤再利用ラインを備えた、本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムの一態様の概略図である。
図5図5は、溶剤精製装置を備えた、本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムの一態様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様は、粗過酸化水素水溶液を逆浸透膜に接触させる工程を含む、精製過酸化水素水溶液の製造方法であって、
工程(1a):逆浸透膜接触前の粗過酸化水素水溶液を溶剤により洗浄する工程、及び/又は、
工程(1b):逆浸透膜接触後の濃縮過酸化水素水溶液を溶剤により洗浄する工程、
を有する方法(以下、本発明の製造方法と称することがある)に関する。
【0012】
本方法に使用する逆浸透膜は、粗過酸化水素水溶液に含まれる不純物を除去する能力があれば特に限定されない。逆浸透膜の形態としては、平膜、プリーツ膜、スパイラル膜、チューブ膜、ロッド膜ファインチューブ膜、スパゲティ膜又は中空糸膜又はそれら複数の組合せが挙げられる。逆浸透膜の素材としては、ポリエチレンイミン縮合体、酢酸セルロース、変性ポリアクリロニトリル、ポリベンツイミダピロン、ポリエーテルアミド、三酢酸セルロース、ポリアミドカルボン酸、架橋ポリエーテル、架橋ポリアミド、ポリイミド、ポリベンツイミダゾール、スルホン化フェニレンオキシド、ポリピペラジンアミド、ポリエチレンイミントール、エンジイソシアネート、ポリエチレンイシン酸クロリド、スルホン化ポリフルフリルアルコール、スルホン化ポリスルホン、ポリエーテル尿素、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリアミドポリビニルアルコール、スルホン化ポリエーテルスルホン又はポリアミドなどが例示される。逆浸透膜は非対称膜でも複合膜でもよい。逆浸透膜はポリアミドから成る複合膜が好ましい。
【0013】
粗過酸化水素水溶液を逆浸透膜に接触させるときに逆浸透膜に適用する処理圧力は、逆浸透膜が許容する範囲内であればよく、典型的には5MPa以下であり、好ましくは0.3~1.5MPaの範囲である。処理時の温度は、過酸化水素の過度の分解が生じないものが望ましく、好ましくは-20~40℃、より好ましくは5~25℃の範囲である。逆浸透膜は、逆浸透膜モジュールに組み込んで使用することができる。逆浸透膜モジュールは、逆浸透膜と、逆浸透膜を固定支持する耐圧容器とを備えていてもよく、粗過酸化水素水溶液を逆浸透膜に接触させるための加圧手段をさらに備えていてもよい。
【0014】
粗過酸化水素水溶液は、RO膜精製されていない過酸化水素水溶液を意味する。過酸化水素水溶液は任意の手法によって製造されたものであってよく、アントラキノン法、アルコール酸化法、酸化還元法、直接法(直接酸化法)、電解法などにより製造されたものを含む。粗過酸化水素水溶液は、有機不純物及び無機不純物のいずれか一方又は両方を含んでいてもよい。粗過酸化水素水溶液に含まれる過酸化水素の濃度は特に限定されず、例えば、20~90重量%、30~80重量%、35~70重量%、40~60重量%等であってよい。
【0015】
有機不純物としては、例えば、アントラキノン法では、作動溶液組成物とその劣化物等が挙げられる。劣化物としては、非極性溶剤劣化物(例えば、ベンズアルデヒド類、安息香酸類、フェノール類、ベンジルアルコール類等)、極性溶剤劣化物(例えば、2-エチルヘキサノール、2-エチルヘキサナール等)、アントラキノン劣化物(例えば、アントロン、オキシアントロン、テトラヒドロオキシアントロン、アントラキノンエポキシド、テトラヒドロアントラキノンエポキシド等)などが挙げられる。無機不純物としては、例えば、銅、亜鉛、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金、鉄、ニッケル、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素、硫黄、シリカ、ホウ素などが挙げられる。
【0016】
粗過酸化水素水溶液は、工程(1a)の溶剤洗浄を受けた洗浄粗過酸化水素水溶液と、前記溶剤洗浄を受けていない未洗浄粗過酸化水素水溶液とを含む。未洗浄粗過酸化水素水溶液の全有機炭素は特に限定されず、例えば、20~500mg/L、50~500mg/L、50~200mg/L、80~200mg/L等であってよい。未洗浄粗過酸化水素水溶液のハーゼン色数は特に限定されず、例えば、1~50、3~35、5~30、5~20等であってよい。洗浄粗過酸化水素水溶液の全有機炭素は特に限定されず、例えば、18~450mg/L、45~450mg/L、45~180mg/L、70~180mg/L等であってよい。また、洗浄粗過酸化水素水溶液の全有機炭素は、未洗浄粗過酸化水素水溶液の全有機炭素より、例えば、6%以上、好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上、特に11%以上低くてもよい。洗浄粗過酸化水素水溶液のハーゼン色数は特に限定されず、例えば、0~30、0~20、0~10等であってよい。また、洗浄粗過酸化水素水溶液のハーゼン色数は、最小値を0として、未洗浄粗過酸化水素水溶液のハーゼン色数より、例えば、2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、特に5以上低くてもよい。
【0017】
精製過酸化水素水溶液は、RO膜精製により得られた透過過水(未洗浄粗過酸化水素水溶液のRO膜精製により得られた未洗浄透過過水と、洗浄粗過酸化水素水溶液のRO膜精製により得られた前洗浄透過過水を含む)、洗浄粗過酸化水素水溶液のRO膜精製により得られた前洗浄濃縮過水、未洗浄粗過酸化水素水溶液のRO膜精製により得られた未洗浄濃縮過水を溶剤洗浄した後洗浄濃縮過水、及び、前洗浄濃縮過水を溶剤洗浄した前後洗浄濃縮過水を包含する。本明細書において、「前洗浄濃縮過水」、「後洗浄濃縮過水」及び「前後洗浄濃縮過水」を「洗浄濃縮過水」と総称する場合もある。また、本明細書において、「未洗浄濃縮過水」、「前洗浄濃縮過水」、「後洗浄濃縮過水」及び「前後洗浄濃縮過水」を「濃縮過水」と総称する場合もある。精製過酸化水素水溶液のハーゼン色数は特に限定されず、例えば、0~50、0~30、0~15等であってよい。精製過酸化水素水溶液の全有機炭素は特に限定されず、例えば、1~900mg/L、1~600mg/L、1~260mg/L等であってよい。透過過水のハーゼン色数は特に限定されず、例えば、0~10、0~7、0~4等であってよい。透過過水の全有機炭素は特に限定されず、例えば、1~50mg/L、1~30mg/L、1~20mg/L等であってよい。洗浄濃縮過水のハーゼン色数は特に限定されず、例えば、0~50、0~30、0~15等であってよい。また、洗浄濃縮過水のハーゼン色数は、最小値を0として、未洗浄濃縮過水(すなわち、その生成プロセス中、溶剤洗浄を1回も行わずに生成された濃縮過水)のハーゼン色数より、例えば、10以上、好ましくは11以上、より好ましくは12以上、特に14以上低くてもよい。洗浄濃縮過水の全有機炭素は特に限定されず、例えば、32~900mg/L、32~400mg/L、32~260mg/L等であってよい。また、洗浄濃縮過水の全有機炭素は、未洗浄濃縮過水の全有機炭素より、例えば、6%以上、好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上、特に11%以上低くてもよい。透過過水及び洗浄濃縮過水のハーゼン色数及び全有機炭素は低いほど好ましい。
【0018】
溶剤洗浄に用いる溶剤は、洗浄により濃縮過水の品質を改善できるものであれば特に限定されない。かかる溶剤としては、濃縮過水に含まれる不純物、特に有機不純物に対する分配係数が高いものが好ましい。また、溶剤洗浄後の過酸化水素水溶液には若干の洗浄溶剤が含まれるため、溶剤洗浄後の過酸化水素水溶液を蒸留により濃縮するなど、高温での処理を行う場合は、引火点の高い洗浄溶剤(例えば、引火点が40℃以上の溶剤)を用いることが安全上の観点から好ましい。
例えば、過酸化水素が有機溶媒を使用する方法(例えば、アントラキノン法)で製造されている場合、前記方法で使用される非極性有機溶媒を溶剤洗浄の溶剤として使用することが好ましい。溶剤洗浄に用いる溶剤の非限定例としては、芳香族炭化水素(例えば、C9~C12芳香族炭化水素等、特にC9~C11芳香族炭化水素)、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素等の炭化水素等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、少なくとも1個のアルキル基で置換された芳香族炭化水素、特に炭素原子を8、9、10、11又は12個含むアルキルベンゼン(例えば、1,2,4-トリメチルベンゼン(プソイドクメン)などの、炭素原子を9個含むトリメチルベンゼン、クメンなど)又はその混合物などが挙げられ、脂肪族炭化水素としては、例えば、n-ヘキサン、シクロヘキサン、石油ベンジン又はその混合物などが挙げられる。
【0019】
溶剤洗浄は、未洗浄粗過酸化水素水溶液又は未洗浄濃縮過水に含まれる不純物を低減し得る任意の手法で行うことができる。溶剤洗浄の非限定例としては、例えば、洗浄の対象となる溶液(未洗浄粗過酸化水素水溶液、未洗浄濃縮過水又は前洗浄濃縮過水)と溶剤とを混合し、所定時間静置した後に分離する方法、多孔板抽出塔を用いて、洗浄対象溶液と溶剤とを向流接触させ、洗浄する方法、スプレー塔や遠心抽出器を用いる方法などが挙げられる。洗浄対象溶液と溶剤との混合比は、洗浄対象溶液の不純物を低減し得るものであれば特に限定されないが、例えば、洗浄対象溶液:溶剤の体積比で0.5:1~20:1、1:1~15:1、2:1~10:1、3:1~8:1等であってよい。洗浄時の温度は、過酸化水素の抽出効率や、過酸化水素の安定性などの観点から、10~80℃、20~70℃、30~60℃等であってよい。特定の態様において、溶剤洗浄は、例えば、洗浄対象溶液と溶剤をラインミキサーで混合し、コアレッサーフィルターに通液した後、セトラーで静置分離する方法で行うことができる。静置分離を含む洗浄方法において、溶剤混合後の静置時間は、溶剤が分離することができれば特に限定されないが、例えば、5分~36時間、5分~24時間、10分~18時間、10分~12時間等であってよい。使用済みの溶剤は、後述のように再度溶剤洗浄に用いるために一部又は全部を再利用してもよいし、一部又は全部を廃棄してもよい。
【0020】
本発明の製造方法は、工程(1a)の洗浄工程(以下、「前洗浄工程」と称することがある)と工程(1b)の洗浄工程(以下、「後洗浄工程」と称することがある)の一方又は両方を含む。前洗浄工程と後洗浄工程の両方を含む態様において、洗浄工程は共通の洗浄装置で行ってもよいし、前洗浄工程と後洗浄工程をそれぞれ別の洗浄装置(例えば、前洗浄用洗浄装置と後洗浄用洗浄装置)で行ってもよい。洗浄装置は、洗浄対象溶液と溶剤の混合及び分離が可能な洗浄槽で構成されても、混合機と分離機の組合せで構成されてもよい。また、洗浄用の溶剤は、共通のタンクから供給されてもよいし、前洗浄工程と後洗浄工程とでそれぞれ別のタンク(例えば、前洗浄用溶剤タンクと後洗浄用溶剤タンク)から供給してもよい。前洗浄工程と後洗浄工程は、同じ条件で行っても、異なる条件で行ってもよい。一般に後洗浄工程の方が洗浄対象溶液中の不純物が多いため、後洗浄工程で使用する洗浄対象溶液に対する溶剤の量を、前洗浄工程のものより多くしてもよい。
【0021】
一部の態様において、本発明の製造方法は、
工程(2a):前記工程(1a)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を、前記工程(1a)及び/又は(1b)へ導入する工程、及び/又は
工程(2b):前記工程(1b)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を、前記工程(1a)及び/又は(1b)へ導入する工程
をさらに含む。
上記工程を含むことにより、使用済み溶剤が再利用され、新たに使用する溶剤の量を低減することができる。工程(1a)及び/又は(1b)へ導入される使用済み溶剤の割合は、洗浄効率に顕著な悪影響を与えるものでなければ特に限定されないが、例えば、50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。この態様において、工程(1a)及び/又は(1b)で使用する溶剤は、そのすべてが使用済み溶剤であってもよいし、一部が使用済み溶剤、残りが新たな溶剤(すなわち、未使用の溶剤)であってもよい。後者の場合、使用済み溶剤と新たな溶剤の割合は、例えば、使用済み溶剤:新たな溶剤の体積比で50:50、好ましくは40:60、より好ましくは30:70である。また、工程(1a)及び/又は(1b)で使用済み溶剤と新たな溶剤の両方を使用する場合、洗浄装置へのこれらの溶剤の導入は、例えば、使用済み溶剤と新たな溶剤とを混合後、単一の配管で導入してもよいし、使用済み溶剤と新たな溶剤とを別々の配管で供給してもよい。
【0022】
本発明の製造方法が工程(1a)を含む場合、本態様の製造方法は工程(2a)を含み、本発明の製造方法が工程(1b)を含む場合、本態様の製造方法は工程(2b)を含み、本発明の製造方法が工程(1a)と(1b)の両方を含む場合、本態様の製造方法は工程(2a)及び(2b)の一方又は両方を含む。例えば、本発明の製造方法が工程(1a)と(1b)の両方を含む場合、洗浄対象溶液中の不純物がより少ない工程(1a)に係る工程(2a)のみ行い、工程(1b)では常に新たな溶剤を用いることなどが可能である。工程(2a)と(2b)の両方を含む態様において、使用済み溶剤の回収及び工程(1a)又は(1b)への導入は、共通のポンプを使用してもよいし、別々のポンプを使用してもよい。工程(1a)及び(1b)で回収した使用済み溶剤は、そのまま混合することなく、それぞれ工程(1a)及び/又は(1b)に導入してもよい。例えば、比較的不純物の少ない工程(1a)で回収した使用済み溶剤を、洗浄対象溶液中の不純物が比較的高い工程(1b)に導入することなどが可能である。また、工程(1a)及び(1b)で回収した使用済み溶剤は、後述のように混合してから工程(1a)及び/又は(1b)に導入してもよい。
【0023】
上記態様において、本発明の製造方法は、
工程(3a):前記工程(1a)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を精製し、精製後の溶剤を前記工程(2a)へ、工程(1a)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部の代わりに導入する工程、及び/又は
工程(3b):前記工程(1b)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部を精製し、精製後の溶剤を前記工程(2b)へ、工程(1b)から得られる使用済み溶剤の少なくとも一部の代わりに導入する工程
をさらに含んでもよい。
【0024】
この態様において、使用済み溶剤の精製は、使用済み溶剤に含まれる不純物を低減し得るあらゆる処理を含む。精製の非限定例としては、例えば、蒸留、吸着、水による洗浄、アルカリ水溶液による洗浄などが挙げられる。蒸留法としては、水蒸気蒸留法、単蒸留法、精密蒸留法などが使用できる。蒸留の条件は、使用する溶媒に応じて適宜設定することができる。吸着には、活性炭、アルミナ、イオン交換樹脂などの、不純物の吸着に適した吸着材を利用できる。水による洗浄に用いる水は、蒸留水、イオン交換水、逆浸透法などで精製された水が好ましいが、上記以外の方法で精製された水も好ましく用いられる。特に洗浄に用いられる水として純水が好ましい。アルカリ水溶液による洗浄に用いるアルカリ水溶液に含まれるアルカリとしてはアルカリ金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどが好ましい。
この態様において、本発明の製造方法は、工程(3a)と(3b)の一方又は両方を含んでもよい。工程(3a)と(3b)の両方を含む場合、工程(1a)から得られる使用済み溶剤と、工程(1b)から得られる使用済み溶剤とを別々に精製してもよいし、後述のように、両使用済み溶剤を混合してから一緒に精製してもよい。
【0025】
精製される使用済み溶剤の割合は、全使用済み溶剤のうち例えば、50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。この態様において、工程(1a)及び/又は(1b)で使用する溶剤は、そのすべてが精製溶剤であってもよいし、一部が精製溶剤、残りが新たな溶剤(すなわち、未使用の溶剤)であってもよい。後者の場合、精製溶剤と新たな溶剤の割合は、例えば、精製溶剤:新たな溶剤の体積比で50:50、好ましくは80:20、より好ましくは90:10、特に好ましくは100:0である。また、工程(1a)及び/又は(1b)で精製溶剤と新たな溶剤の両方を使用する場合、洗浄装置へのこれらの溶剤の導入は、例えば、精製溶剤と新たな溶剤とを混合後、単一の配管で導入してもよいし、精製溶剤と新たな溶剤とを別々の配管で供給してもよい。
【0026】
一部の態様において、本発明の製造方法は、工程(1a)と(1b)の両方を含み、かつ、
工程(I):工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤を混合する工程
を含む。
混合は液体と液体を混合し得る任意の手法、例えば、機械攪拌方式、ラインミキサー方式などで行うことができる。混合後の使用済み溶剤は、使用するまでタンクなどの容器に貯蔵してもよいし、直接再利用や精製に供してもよい。両方の使用済み溶剤を混合することにより、貯蔵容器の数を減らすことや、再利用、精製などの後続の処理を同一の経路で同時に行うこと、使用済み溶剤の品質を平均化することなどが可能となる。
【0027】
上記態様において、本発明の製造方法は、
工程(II):前記工程(I)から得られる混合後の溶剤の少なくとも一部を、前記工程(1a)及び/又は(1b)へ導入する工程
を含んでもよい。
混合後の溶剤の少なくとも一部は、工程(1a)と(1b)の一方又は両方に導入することができる。この態様では、混合後の溶剤の輸送を単一の配管で行うことができるため、システムの構造やプロセスの制御を簡素化することが可能となる。
工程(1a)及び/又は(1b)へ導入される使用済み溶剤の割合は、洗浄効率に顕著な悪影響を与えるものでなければ特に限定されないが、例えば、50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。この態様において、工程(1a)及び/又は(1b)で使用する溶剤は、そのすべてが使用済み溶剤であってもよいし、一部が使用済み溶剤、残りが新たな溶剤(すなわち、未使用の溶剤)であってもよい。後者の場合、使用済み溶剤と新たな溶剤の割合は、例えば、使用済み溶剤:新たな溶剤の体積比で50:50、好ましくは40:60、より好ましくは30:70である。また、工程(1a)及び/又は(1b)で使用済み溶剤と新たな溶剤の両方を使用する場合、洗浄装置へのこれらの溶剤の導入は、例えば、使用済み溶剤と新たな溶剤とを混合後、単一の配管で導入してもよいし、使用済み溶剤と新たな溶剤とを別々の配管で供給してもよい。
【0028】
上記態様において、本発明の製造方法は、
工程(III):前記工程(I)から得られる混合後の溶剤の少なくとも一部を精製し、精製後の溶剤を、工程(I)から得られる混合後の溶剤の少なくとも一部の代わりに、前記工程(II)へ導入する工程
をさらに含んでもよい。
この態様では、工程(1a)及び(1b)からの使用済み溶剤を一緒に精製することができるため、システムの構造やプロセスの制御を簡素化することや、エネルギー効率の向上などが可能となる。この態様における精製などの特徴については、工程(3a)/(3b)について上記したとおりである。
【0029】
精製される使用済み溶剤の割合は、全使用済み溶剤のうち例えば、50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。この態様において、工程(1a)及び/又は(1b)で使用する溶剤は、そのすべてが精製溶剤であってもよいし、一部が精製溶剤、残りが新たな溶剤(すなわち、未使用の溶剤)であってもよい。後者の場合、精製溶剤と新たな溶剤の割合は、例えば、精製溶剤:新たな溶剤の体積比で50:50、好ましくは80:20、より好ましくは90:10、特に好ましくは100:0である。また、工程(1a)及び/又は(1b)で精製溶剤と新たな溶剤の両方を使用する場合、洗浄装置へのこれらの溶剤の導入は、例えば、精製溶剤と新たな溶剤とを混合後、単一の配管で導入してもよいし、精製溶剤と新たな溶剤とを別々の配管で供給してもよい。
【0030】
工程(I)を含む態様において、本発明の製造方法は、
工程(IV):工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤を精製し、精製後の溶剤を、工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤の代わりに、前記工程(I)へ導入する工程
を含んでもよい。
この態様では、工程(1a)及び(1b)から得られる使用済み溶剤を別々に精製し、精製後の各溶剤を混合する。混合は液体と液体を混合し得る任意の手法、例えば、機械攪拌方式、ラインミキサー方式などで行うことができる。混合後の使用済み溶剤は、使用するまでタンクなどの容器に貯蔵してもよいし、直接再利用等に供してもよい。両方の精製済み溶剤を混合することにより、貯蔵容器の数を減らすことや、再利用、輸送などの後続の処理を同一の経路で同時に行うこと、精製済み溶剤の品質を平均化することなどが可能となる。
【0031】
本発明の別の側面は、洗浄装置A及び洗浄装置Bの少なくとも1つと、逆浸透膜モジュールとを備えた精製過酸化水素水溶液製造システムであって、洗浄装置Aは、粗過酸化水素水溶液輸送ラインと、溶剤供給ラインAと、溶剤排出ラインAとを備え、洗浄装置Bは、洗浄濃縮過酸化水素水溶液輸送ラインと、溶剤供給ラインBと、溶剤排出ラインBとを備え、逆浸透膜モジュールは、透過過酸化水素水溶液輸送ラインを備え、洗浄装置Aと逆浸透膜モジュールとは洗浄粗過酸化水素水溶液輸送ラインにより連通し、洗浄装置Bと逆浸透膜モジュールとは濃縮過酸化水素水溶液輸送ラインにより連通し、洗浄装置Aが存在しない場合、逆浸透膜モジュールは粗過酸化水素水溶液輸送ラインをさらに備え、洗浄装置Bが存在しない場合、逆浸透膜モジュールは濃縮過酸化水素水溶液輸送ラインをさらに備える、システムに関する(以下、「本発明の精製過酸化水素水溶液製造システム」又は「本発明の過酸化水素製造システム」と称する場合がある)。本発明の過酸化水素製造システムは、上記のほか、溶剤タンクをさらに備えていてもよい。洗浄装置A及び/又は洗浄装置Bは、洗浄対象液と溶剤の混合及び分離が可能な洗浄槽であっても、混合機と分離機の組合せであってもよい。本発明の過酸化水素製造システムの一態様を、以下に図面を参照して説明する。
【0032】
図1には、洗浄槽A101a、洗浄槽B101b、逆浸透膜(RO膜)モジュール102及び溶剤タンク103を備えた本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA1が記載されている。洗浄槽A101aは、未洗浄粗過酸化水素水溶液(粗過水)輸送ライン104と、溶剤排出ラインA106aとを備え、洗浄槽B101bは、洗浄濃縮過酸化水素水溶液(洗浄濃縮過水)輸送ライン107と、溶剤排出ラインB106bとを備え、逆浸透膜モジュール102は、透過過酸化水素水溶液(透過過水)輸送ライン108を備え、溶剤タンク103は溶剤供給ライン105と、未使用溶剤供給ライン115とを備え、洗浄槽A101aと逆浸透膜モジュール102とは洗浄粗過酸化水素水溶液(洗浄粗過水)輸送ライン109により連通し、洗浄槽B101bと逆浸透膜モジュール102とは濃縮過酸化水素水溶液(濃縮過水)輸送ライン110により連通し、洗浄槽A101aと溶剤供給ライン105は溶剤供給ラインA105aにより連通し、洗浄槽B101bと溶剤供給ライン105は溶剤供給ラインB105bにより連通している。洗浄槽A101a及び洗浄槽B101bは、洗浄対象溶液(粗過水又は濃縮過水)と溶剤との混合、静置、分離が可能である。逆浸透膜モジュール102は、逆浸透膜と、逆浸透膜を固定支持する耐圧容器と、粗過酸化水素水溶液を逆浸透膜に接触させるための加圧手段とを備えている。また、各ラインには、バルブVが備えられている。なお、簡潔のため、図1~5において、バルブの符号「V」は、濃縮過水輸送ライン110に備えられたものにのみ付してある。
【0033】
未洗浄粗過水111は、未洗浄粗過水輸送ライン104を通り、洗浄槽A101aに入る。洗浄槽A101aでは、溶剤が、溶剤タンク103から溶剤供給ライン105及び溶剤供給ラインA105aを介して供給され、未洗浄粗過水111と混合、分離され、未洗浄粗過水111中の不純物の少なくとも一部を取り込んだ使用済み溶剤A112aは溶剤排出ラインA106aから排出される。溶剤タンク103には、未使用溶剤供給ライン115から未使用溶剤116が適宜供給される。洗浄槽A101aでの溶剤洗浄(前洗浄工程)を終えた洗浄粗過水は洗浄粗過水輸送ライン109を通ってRO膜モジュール102に入り、透過過水113と濃縮過水に分離される。透過過水113は透過過水輸送ライン108で輸送され、濃縮過水は濃縮過水輸送ライン110を通って洗浄槽B101bに入る。洗浄槽B101bでは、洗浄槽A101aと同様に、溶剤が溶剤タンク103から溶剤供給ライン105及び溶剤供給ラインB105bを介して供給され、濃縮過水と混合、分離され、濃縮過水中の不純物の少なくとも一部を取り込んだ使用済み溶剤B112bは溶剤排出ラインB106bから排出される。洗浄槽B101bでの溶剤洗浄(後洗浄工程)を終えた洗浄濃縮過水114は洗浄濃縮過水輸送ライン107で輸送される。
【0034】
図2には、洗浄槽A101a、RO膜モジュール102及び溶剤タンク103を備えた本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA’1’が記載されている。本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA’1’は、本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA1が備えている洗浄槽B101bとそれに関連する構成要素(溶剤供給ラインB105b、洗浄濃縮過水輸送ライン107、溶剤排出ラインB106b)を備えていない。本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA’1’において、前洗浄工程は本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA1と同様に行われるが、RO膜モジュール102で分離された濃縮過水(前洗浄濃縮過水117)は、溶剤洗浄(後洗浄工程)を受けずに、濃縮過水輸送ライン110を通って輸送される。
【0035】
図3には、洗浄槽101b、RO膜モジュール102及び溶剤タンク103を備えた本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA”1”が記載されている。本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA”1”は、本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA1が備えている洗浄槽A101aとそれに関連する構成要素(溶剤供給ラインA105a、洗浄粗過水輸送ライン109、溶剤排出ラインA106a)を備えておらず、RO膜モジュール102には、洗浄粗過水輸送ライン109に代えて、未洗浄粗過水輸送ライン104が接続している。本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA”1”において、後洗浄工程は本発明の精製過酸化水素水溶液製造システムA1と同様に行われるが、未洗浄粗過水111は、未洗浄粗過水輸送ラインを通り、溶剤洗浄(前洗浄工程)を受けずに、RO膜モジュール102に供給される。
【0036】
本発明の過酸化水素製造システムは、溶剤再利用ラインA及び/又は溶剤再利用ラインBをさらに備え、溶剤供給ラインAと溶剤排出ラインAとが溶剤再利用ラインAにより連通し、及び/又は、溶剤供給ラインBと溶剤排出ラインBとが溶剤再利用ラインBにより連通したものであってもよい。溶剤再利用ラインA及び溶剤再利用ラインBを備えた本発明の過酸化水素製造システムの概要を、図4を参照して説明する。なお、図4において、図1に示した精製過酸化水素水溶液製造システムAと同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0037】
図4に示す精製過酸化水素水溶液製造システムB2は、図1に示す精製過酸化水素水溶液製造システムA1が有する構成要素に加え、溶剤再利用ラインA201aと溶剤再利用ラインB201bとをさらに備え、溶剤供給ラインA105aと溶剤排出ラインA106aは、溶剤再利用ラインA201aにより連通し、溶剤供給ラインB105bと溶剤排出ラインB106bは、溶剤再利用ラインB201bにより連通している。
洗浄槽A101aから排出される使用済み溶剤A112aの少なくとも一部は、溶剤再利用ラインA201a、次いで溶剤供給ラインA105aを通り、洗浄槽A101aに供給され、再利用される。同様に、洗浄槽B101bから排出される使用済み溶剤B112bの少なくとも一部は、溶剤再利用ラインB201b、次いで溶剤供給ラインB105bを通り、洗浄槽B101bに供給され、再利用される。再利用されない使用済み溶剤A112a/使用済み溶剤B112bは、溶剤排出ラインA106a/溶剤排出ラインB106bから排出される。溶剤を再利用することにより、新たな溶剤の使用量を低減することができる。
【0038】
本発明の過酸化水素製造システムは、溶剤精製装置をさらに備え、溶剤精製装置と溶剤排出ラインAとは使用済み溶剤供給ラインAにより連通し、溶剤精製装置と溶剤供給ラインA又は洗浄装置Aとは精製溶剤輸送ラインAにより連通し、及び/又は、溶剤精製装置と溶剤排出ラインBとは使用済み溶剤供給ラインBにより連通し、溶剤精製装置と溶剤供給ラインB又は洗浄装置Bとは精製溶剤輸送ラインBにより連通していてもよい。溶剤精製装置は、有機不純物を除去するための蒸留塔や、水溶性不純物を除去するための水洗浄装置などを含んでいてもよい。精製溶剤輸送ラインAと精製溶剤輸送ラインBは、別々であっても、一緒になって精製溶剤輸送ラインを構成してもよい。また、溶剤精製装置と溶剤供給ラインA/B又は洗浄装置A/Bとの連通は、直接的であっても間接的であってもよい。例えば、溶剤精製装置に接続する精製溶剤輸送ラインが溶剤タンクに接続し、溶剤タンクが溶剤供給ラインA/Bにより洗浄装置A/Bと連通することで、溶剤精製装置と洗浄装置A/Bとの連通が達成されてもよい。溶剤精製装置を備えた本発明の過酸化水素製造システムの概要を、図5を参照して説明する。なお、図5において、図1~4に示した精製過酸化水素水溶液製造システムと同じ構成要素については同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0039】
図5に示す精製過酸化水素水溶液製造システムC3は、図4に示す精製過酸化水素水溶液製造システムB2が有する構成要素に加え、溶剤精製装置(蒸留塔301)及び精製溶剤輸送ライン302をさらに備え、蒸留塔301は釜残排出ライン303を備え、洗浄槽A101aと蒸留塔301は使用済み溶剤供給ラインA304aにより連通し、洗浄槽B101bと蒸留塔301は使用済み溶剤供給ラインB304bにより連通し、蒸留塔301と溶剤タンク103は精製溶剤輸送ライン302により連通している。使用済み溶剤供給ラインA304aと使用済み溶剤供給ラインB304bは、途中で合流し、使用済み溶剤供給ライン304を形成している。
洗浄槽A101aから排出される使用済み溶剤A112aの少なくとも一部は、使用済み溶剤供給ラインA304a、次いで使用済み溶剤供給ライン304を通り、蒸留塔301に入る。同様に、洗浄槽B101bから排出される使用済み溶剤B112bの少なくとも一部は、使用済み溶剤供給ラインB304b、次いで使用済み溶剤供給ライン304を通り、蒸留塔301に入る。蒸留塔301に入った使用済み溶剤は蒸留により精製され、蒸留塔301からの精製溶剤は、精製溶剤輸送ライン302を通って溶剤タンク103に収容される。精製溶剤は、必要に応じて、未使用溶剤供給ライン115からの未使用溶剤116と溶剤タンク103内で混合される。蒸留塔301で生成された釜残305は釜残排出ライン303から排出される。
【0040】
本発明の過酸化水素製造システムは、上記に説明した態様に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で種々の改変が可能である。例えば、図4及び5に示した精製過酸化水素水溶液製造システムB及びCにおいて、洗浄槽を、洗浄槽A及び洗浄槽Bのいずれか一方のみとすること、図1~5に示した精製過酸化水素水溶液製造システムA~Cにおいて、洗浄槽A及び/又は洗浄槽Bを、粗過水又は濃縮過水と溶剤とを混合する混合器と、前記混合器の下流に接続された、粗過水又は濃縮過水溶剤との混合液を、洗浄粗過水又は洗浄濃縮過水と使用済み溶剤とに分離する分離機とを備えた洗浄装置とすること、図4に示した精製過酸化水素水溶液製造システムBにおいて、溶剤排出ラインA106aと溶剤供給ラインB105bとを、溶剤再利用ラインA201a、又は、これとは別に設けた溶剤再利用ラインA’などのラインにより連通し、洗浄槽A101aから排出される比較的不純物の少ない使用済み溶剤A112aを、洗浄対象溶液中の不純物が比較的高い洗浄槽B101bに供給すること、図5に示した精製過酸化水素水溶液製造システムCにおいて、使用済み溶剤供給ラインA304a及び/又は使用済み溶剤供給ラインB304bの途中に、純水洗浄装置(例えば、使用済み溶剤供給ラインA304a及び/又は使用済み溶剤供給ラインB304bに接続され、前記ラインに純水を供給する純水供給ラインと、前記純水供給ラインとの接続部の下流で前記使用済み溶剤供給ラインに接続された、使用済み溶剤と純水とを混合する混合器と、前記混合器の下流に接続された、純水洗浄された溶剤と廃水とを分離する分離機とを備えたもの)を設けること、蒸留塔301からの排出物を輸送する精製溶剤輸送ライン302及び/又は釜排出ライン303に熱交換器を設けること、さらに前記熱交換器を、蒸留塔301へ蒸留対象物を輸送する使用済み溶剤供給ラインA304a及び/又は使用済み溶剤供給ラインB304bと接触するように配置し、蒸留塔301からの排出物から蒸留対象物に熱を伝達できるようにすること、精製溶剤輸送ライン302にポンプを設けること、ポンプを設けた精製溶剤輸送ライン302にレシーバーを設け、ポンプへのガスの混入を防止すること、蒸留塔301に釜残を供給するラインを設けること、などが可能である。
また、精製過酸化水素水溶液製造システムA~Cのいずれにおいても、必要に応じてラインの少なくとも1つにポンプや追加のバルブ、分岐ライン、タンク等を設けることや、ラインからバルブを取り除くことが可能である。
【0041】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例
【0042】
<分析方法>
分析には、以下の装置を用いた。
・TOC濃度測定:島津製作所製全有機体炭素計(TOC-L)
・ハーゼン色数(APHA):エックス電子設計製ハーゼンメーター(HM-V)
<RO膜精製>
RO膜精製は以下の条件で行った。
・RO膜:スパイラル膜(2.5インチ、日東電工製)
・採取比:透過過水:濃縮過水=6:4
・供給液流量:1L/分
・供給液温度:16℃
・処理圧力:1.6MPa(G)
【0043】
比較例1:
アントラキノン法により調製した45%過酸化水素水(未洗浄粗過水)をRO膜精製した。未洗浄粗過水及びRO膜精製で得られた透過過水、濃縮過水(未洗浄濃縮過水)のTOC濃度、ハーゼン色数(APHA)を測定した。結果を表1に示す。なお、未洗浄粗過水、透過過水、未洗浄濃縮過水とも溶剤洗浄には供していない。
【表1】
【0044】
実施例1:
比較例1と同じ45%過酸化水素水(未洗浄粗過水)を溶剤洗浄に供した。即ち、粗過水1200mLとプソイドクメン200mLを混合し、12時間静置することで水層と有機層を分離し、水層を洗浄粗過水とした。溶剤洗浄した粗過水(洗浄粗過水)を、比較例1と同様にRO膜精製し、透過過水(前洗浄透過過水)と濃縮過水(前洗浄濃縮過水)を得た。未洗浄粗過水、洗浄粗過水、前洗浄透過過水及び濃縮過水のTOC濃度、ハーゼン色数(APHA)を測定した。結果を表2に示す。
【表2】

未洗浄粗過水を溶剤洗浄することで、濃縮過水のTOC濃度とハーゼン色数を低減することができた。
【0045】
実施例2:
比較例1で得られた未洗浄濃縮過水を溶剤洗浄に供した。即ち、未洗浄濃縮過水100mLとプソイドクメン17mLを混合し、12時間静置することで水層と有機層を分離し、水層を後洗浄濃縮過水とした。後洗浄濃縮過水のTOC濃度、ハーゼン色数(APHA)を測定した。結果を表3に示す。
【表3】

未洗浄濃縮過水を溶剤洗浄することで、TOC濃度とハーゼン色数を低減することができた。
【0046】
実施例3:
比較例1と同様にして得た未洗浄濃縮過水を第1の溶剤洗浄に供した。即ち、未洗浄濃縮過水100mLとプソイドクメン17mLを混合し、12時間静置することで水層と有機層を分離し、水層を後洗浄濃縮過水とし、有機層を使用済みプソイドクメンとした。
比較例1と同様にして得た未洗浄濃縮過水を、上記の溶剤洗浄で分離した使用済みプソイドクメン17mLによる第2の溶剤洗浄に供した(再利用1回目)。同様に、第2の溶剤洗浄で分離した使用済みプソイドクメン17mLにより、第3の溶剤洗浄を行なった(再利用2回目)。表4の結果が示す通り、再利用した溶剤を用いた場合(再利用1回目及び2回目)であっても、洗浄前の濃縮過水に比べTOC濃度とハーゼン色数が低減したことから、洗浄溶剤の再利用が可能であることが明らかとなった。
上記の第3の溶剤洗浄より得られた、溶剤洗浄後の使用済みプソイドクメン(再利用2回目)を水洗し、過酸化水素を除去した後、圧力10mmHg、温度65℃の条件で蒸留した。プソイドクメンの回収率は98%であった。蒸留後のプソイドクメンを用い、比較例1と同様にして得た未洗浄濃縮過水の溶剤洗浄を行った。その結果、TOC濃度及びハーゼン色数の低減率が、再利用前のプソイドクメンを用いて溶剤洗浄を行った場合と同等程度となった。このことから、洗浄に使用した溶剤を繰り返し使用する場合、適宜蒸留精製することで良好な品質改善効果が継続して得られることが明らかとなった。
【0047】
【表4】
【符号の説明】
【0048】
1: 精製過酸化水素水溶液製造システムA
1’: 精製過酸化水素水溶液製造システムA’
1”: 精製過酸化水素水溶液製造システムA”
101a:洗浄槽A
101b:洗浄槽B
102: 逆浸透膜モジュール
103: 溶剤タンク
104: 未洗浄粗過酸化水素水溶液(粗過水)輸送ライン
105: 溶剤供給ライン
105a:溶剤供給ラインA
105b:溶剤供給ラインB
106a:溶剤排出ラインA
106b:溶剤排出ラインB
107: 洗浄濃縮過酸化水素水溶液(洗浄濃縮過水)輸送ライン
108: 透過過酸化水素水溶液(透過過水)輸送ライン
109: 洗浄粗過酸化水素水溶液(洗浄粗過水)輸送ライン
110: 濃縮過酸化水素水溶液(濃縮過水)輸送ライン
111: 未洗浄粗過水
112a:使用済み溶剤A
112b:使用済み溶剤B
113: 透過過水
114: 前後洗浄濃縮過水
115: 未使用溶剤供給ライン
116: 未使用溶剤
117: 前洗浄濃縮過
118: 洗浄濃縮過
: 精製過酸化水素水溶液製造システムB
201a:溶剤再利用ラインA
201b:溶剤再利用ラインB
3: 精製過酸化水素水溶液製造システムC
301: 蒸留塔
302: 精製溶剤輸送ライン
303: 釜残排出ライン
304: 使用済み溶剤供給ライン
304a:使用済み溶剤供給ラインA
304b:使用済み溶剤供給ラインB
305: 釜残
図1
図2
図3
図4
図5