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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】規制区域管理システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20221206BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20221206BHJP
【FI】
G09B29/00 F
G06Q10/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018130251
(22)【出願日】2018-07-09
(65)【公開番号】P2020008743
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】杉村 聡太郎
(72)【発明者】
【氏名】坪根 浩二
(72)【発明者】
【氏名】真木 清士
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆道
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 寛快
【審査官】右田 純生
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047497(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/113823(WO,A1)
【文献】特開2014-056533(JP,A)
【文献】特開2012-003320(JP,A)
【文献】特開2003-233646(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0058233(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0055091(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1873882(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第103996089(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00
G06Q 50/26
G06Q 50/06
G06Q 50/08
G06Q 50/16
G06Q 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法令による規制区域に設備が設置されているか否かを管理する規制区域管理システムであって、
前記設備を地図に配置して地図レイヤを作成すると共に前記規制区域を表す規制区域レイヤを法令ごとに作成し、前記地図レイヤに対して前記各規制区域レイヤを重ねて階層化地図を作成し、この階層化地図を表示する処理手段を備え
前記処理手段は、各設備が該当する法令による許可を受けているか否かを記憶し、前記階層化地図に対して規制区域が指定されると、この規制区域にある設備を抽出し、前記抽出した設備が前記該当する法令による許可を受けているか否かを抽出する、
ことを特徴とする規制区域管理システム。
【請求項2】
前記処理手段は、前記規制区域を囲むようにバッファを設け、前記規制区域と前記バッファとを抽出範囲として前記設備を抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の規制区域管理システム。
【請求項3】
前記処理手段は、前記階層化地図に対して設備が指定されると、この設備がいずれかの規制区域にある場合には、該当する規制区域の法令を抽出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の規制区域管理システム。
【請求項4】
前記処理手段は、各設備が該当する法令による許可を受けているか否かを記憶し、前記指定された設備が該当する法令による許可を受けているか否かを抽出する、
ことを特徴とする請求項に記載の規制区域管理システム。
【請求項5】
前記処理手段は、前記規制区域を囲むようにバッファを設け、前記規制区域と前記バッファとを前記規制区域の抽出範囲とする、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の規制区域管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、設備を工事する際などに用いられる規制区域管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力設備を工事する際には、工事に関係する法令の規制区域(区域に基づき法令申請を実施するエリア)に対して、占用許可および制限行為許可を各関係法令管理者へあらかじめ申請している。例えば、電力設備として新たに電柱を設置する場合には、電柱を設置する場所が自然公園法や河川法のような法令で規制する区域であるかを、電力事業者の担当者が調べている。
【0003】
具体的には、現在把握している法令数は35、それに63の規制区域が属している。そして、工事箇所にて、63の規制区域図の照合(協議)すると、確認作業に膨大な時間を要する。しかし、電力設備の設計・工事の担当者が、すべての規制区域と工事箇所をその都度照らし合わせることが困難なため、規制区域図との照合漏れが発生し、その結果、占用許可申請漏れの電力設備が多数現存する可能性がある。
【0004】
こうした申請漏れの可能性に対処するための装置がある(例えば、特許文献1参照。)。この装置によれば、電柱や電線などを敷設する際に、敷設ルートに必要な許認可情報が取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-003320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先に述べた従来の装置には次の課題がある。この装置によれば、電柱や電線などの敷設ルートに必要な許認可情報は取得される。しかし、例えば設置する設備と該当する法令の規制区域とを表示して、法令を基にした位置関係を明確に示すことは、この装置では困難である。さらに、既に設置されている設備の照合作業により、設備の占用許可申請書の提出漏れの抽出も、この設備ではできない。
【0007】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、設備工事の前に関係する法令の把握と、既に設置されている設備の照合作業とを簡素化することを可能にする規制区域管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、法令による規制区域に設備が設置されているか否かを管理する規制区域管理システムであって、前記設備を地図に配置して地図レイヤを作成すると共に前記規制区域を表す規制区域レイヤを法令ごとに作成し、前記地図レイヤに対して前記各規制区域レイヤを重ねて階層化地図を作成し、この階層化地図を表示する処理手段を備え、前記処理手段は、各設備が該当する法令による許可を受けているか否かを記憶し、前記階層化地図に対して規制区域が指定されると、この規制区域にある設備を抽出し、前記抽出した設備が前記該当する法令による許可を受けているか否かを抽出することを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明では、処理手段が設備を地図に配置して地図レイヤを作成すると共に、
規制区域を表す規制区域レイヤを法令ごとに作成する。そして、処理手段は、地図レイヤ
に対して各規制区域レイヤを重ねて階層化地図を作成し、この階層化地図を表示する。さらに、処理手段は、各設備が該当する法令による許可を受けているか否かを記憶し、階層化地図に対して規制区域が指定されると、この規制区域にある設備を抽出し、抽出した設備が該当する法令による許可を受けているか否かを抽出する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の規制区域管理システムにおいて、前記処理手段は、規制区域を囲むようにバッファを設け、規制区域とバッファとを抽出範囲として設備を抽出する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の規制区域管理システムにおいて、前記処理手段は、前記階層化地図に対して設備が指定されると、この設備がいずれかの規制区域にある場合には、該当する規制区域の法令を抽出する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項の発明は、請求項に記載の規制区域管理システムにおいて、前記処理手段は、各設備が該当する法令による許可を受けているか否かを記憶し、前記指定された設備が該当する法令による許可を受けているか否かを抽出する、ことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の規制区域管理システムにおいて、前記処理手段は、規制区域を囲むようにバッファを設け、規制区域とバッファとを規制区域の抽出範囲とする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、各規制区域レイヤを含む階層化地図を処理手段が表示するので、例えば設備の工事を行う前に、該当する規制区域を表示することができ、関係する法令の把握を容易にすることを可能にする。
【0015】
また、階層化地図に対して規制区域を指定することで、この規制区域にある設備が抽出されるため、指定した規制区域にどのような設備があるか否かを容易かつ適正に知得することができる。
【0016】
さらに、規制区域にある設備が該当する法令による許可を受けているか否かが抽出されるため、許可を受けていない設備に対して迅速かつ適正に対応することが可能となる。
【0017】
請求項の発明によれば、階層化地図に対して設備が指定されると、この設備がいずれかの規制区域にある場合に該当する法令が抽出されるため、指定された設備がどの法令で規制されているかを容易かつ適正に知得することができる。
【0018】
請求項の発明によれば、指定された設備が該当する法令による許可を受けているか否かが抽出されるため、許可を受けていない設備に対して迅速かつ適正に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の一実施の形態を示す構成図である。
図2】電力設備テーブルの一例を示す図である。
図3】許可書有無テーブルの一例を示す図である。
図4】地図レイヤの一例を示す図である。
図5】地図レイヤの他例を示す図である。
図6】レイヤ1を示す図である。
図7】レイヤ2を示す図である。
図8】レイヤを重ねた様子を示す図である。
図9】階層化地図の一例を示す図である。
図10】抽出範囲を説明する図である。
図11】許可申請対象判定結果の一例を示す図である。
図12】許可申請漏れ判定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。この実施の形態による規制区域管理システムを図1に示す。この実施の形態による規制区域管理システムは、通信装置11、21と、管理端末12と、処理装置13と、記憶装置14、22とを備えている。通信装置11~記憶装置14は、電気事業者に関する法令を管理するための法令管理部門に設置されている。また、通信装置21と記憶装置22とは、電気事業者の各設備を管理する設備管理部門に設置されている。ここで、この発明では、法令には公的な法令のみにならず、企業間で取り決めた法令、例えば、所定の区域でクレーン車を使う場合の規制などをも含む。
【0021】
この実施の形態では、法令管理部門と設備管理部門とは、通信網31によってデータを送受信することが可能な状態になっている。
【0022】
設備管理部門の通信装置21は、通信網31を経て法令管理部門の通信装置11と通信を行う。例えば、通信装置21は、記憶装置22に記憶されているデータであり、設備に関するデータを、通信網31を経て通信装置11に送信する。
【0023】
記憶装置22は、電気事業者が管理する電力設備についてのデータを電力設備データとして記憶している。例えば、記憶装置22は、図2に示すような各電力設備のデータを電力設備テーブルとして記憶している。この電力設備テーブルには、各設備を識別するための識別番号と、設備の種類を示す設備種別と、設備に関係する電柱(支持物)を表す電柱番号とが含まれている。さらに、電力設備テーブルでは図示を省略しているが、各電力設備の設置場所を示す位置データが含まれている。
【0024】
記憶装置22は、通信網31と通信装置21とを経て、法令管理部門から電力設備データの要求があると、該当する電力設備データを法令管理部門に向けて、通信装置21と通信網31とを経て送信する。
【0025】
一方、法令管理部門では、通信装置11~記憶装置14が相互に通信が可能なように、社内ネットワークに接続されている。法令管理部門の通信装置11は、通信網31を経て設備管理部門の通信装置21と通信を行う。例えば、通信装置11は、設備管理部門で管理する電力設備データの送信要求を、通信網31を経て設備管理部門の記憶装置22に対して行う。
【0026】
管理端末12は、法令管理部門の担当者によって直接操作されるコンピュータである。担当者により、管理端末12には各種の指示やデータなどが入力される。
【0027】
記憶装置14は、電気事業に関するデータとして各種の法令や地図などを記憶している。例えば、記憶装置14は、電気事業者が事業を行っている全地域の地図をデータとして記憶している。
【0028】
また、記憶装置14は、行政機関などから管理端末12が入手した、規制区域を表す規制図やデータを記憶している。
【0029】
さらに、記憶装置14は、各設備が該当する法令による許可を受けているか否か、つまり、電力設備や径間設備の確認状態を許可書有無テーブルに記憶している。この許可書有無テーブルの一例を図3に示す。この許可書有無テーブルには、各設備を識別するための識別番号と、設備の種類を示す設備種別と、設備に関係する電柱を表す電柱番号とが含まれている。さらに、許可書有無テーブルには、既に許可申請が行政などに対して行われて、行政などから許可書を得ているかを示す許可書の有無が含まれている。
【0030】
処理装置13は、規制区域管理に関する各種の処理を行う。このために、処理装置13は、電力設備を表示した地図を表す地図レイヤや、電気事業に関係する複数の法令による各規制区域を表す規制区域レイヤを作成する。
【0031】
処理装置13は、管理端末12から地図レイヤ作成の指示を受け取ったときや、あらかじめ設定された日時になると、地図レイヤの作成処理を行う。つまり、処理装置13は、電気事業を行っている全地域の地図のデータを記憶装置14から読み出す。処理装置13は、読み出した地図のデータを基にし、担当者に対して可視可能な地図情報にして、全地域に対応する地図レイヤを作成する。図4に示す地図レイヤは、全地域の中で一部を拡大した一部地域を、例として示している。
【0032】
処理装置13は、設備管理部門の記憶装置22の電力設備テーブルを参照し、電柱等の各電力設備を抽出する。処理装置13は、読み出した各電力設備の位置データを基にして、これらの電力設備を、先に作成した地図レイヤに配置して加えていく。図5に示す地図レイヤは、先の図4に示す地図レイヤに対して、電柱等の電力設備を加えたものである。処理装置13は、こうして作成した地図レイヤを記憶装置14に記憶する。
【0033】
処理装置13は、管理端末12からの指示により規制区域を登録する。つまり、処理装置13は、規制区域登録の指示を管理端末12から受け取ると、規制区域レイヤの作成処理を開始し、記憶装置22を参照し、規制区域を表す規制図やデータを基にして、規制区域を可視可能に表す規制区域レイヤを作成する。例えば、規制区域が自然公園法による場合には、処理装置13は、図6に示すように、自然公園法による規制区域を表す規制区域レイヤを作成する。以下では、この規制区域レイヤをレイヤ1と表す。また、規制区域が河川法による場合には、処理装置13は、図7に示すように、河川法による規制区域を表す規制区域レイヤを作成する。以下では、この規制区域レイヤをレイヤ2と表す。
【0034】
このように、処理装置13は、法令などによる規制区域のデータにより、登録された規制区域を表す規制区域レイヤをそれぞれ作成して、記憶装置14に記憶する。
【0035】
地図レイヤやレイヤ1、レイヤ2などの作成が終了している状態で、処理装置13は、管理端末12からの照合指示により、規制区域と既存設備との照合処理を行う。このために、処理装置13は、全ての規制区域レイヤまたは管理端末12で指定された規制区域レイヤを記憶装置14から読み出す。また、処理装置13は、記憶装置14から地図レイヤを読み出す。記憶装置14からの読み出しが終了すると、処理装置13は、地図レイヤに対して規制区域レイヤを重ねて、階層化地図を作成する。例えば図8に示すような階層化地図を処理装置13が作成する。これにより、地図レイヤに対して規制区域や電柱、径間設備の位置関係が表示され、処理装置13は、管理端末12の表示装置(図示を省略)に、例えば図9に示すような階層化地図を表示する。なお、図9の階層化地図は、全地域の階層化地図の中で一部地域に対応するものを例示した。
【0036】
この階層化地図には各規制区域レイヤが含まれている。処理装置13が一部地域についての規制区域を管理端末12に表示することにより、例えば電力設備工事を行う前に、該当する地域の規制区域を階層化地図に表示することができる。
【0037】
この後、処理装置13は、階層化地図に対して規制区域が指定されると、この規制区域にある設備を抽出し、抽出した設備が該当する法令による許可を受けているか否かを抽出する。まず、許可申請対象か否かを判定するための判定指示を管理端末12から受け取ると、規制区域と既存設備とを照合して判定を行う。つまり、処理装置13は、管理端末12により指定された地域の階層化地図を、全地域の階層化地図の中から抽出する。地図の抽出が終了すると、処理装置13は指定された地域の地図の中から、管理端末12で指定された規制区域に存在する電力設備について判定を行う。ここで、階層化地図の地域が指定されずに規制区域のみが指定された場合には、この規制区域の全域に存在する電力設備について判定を行う。例えば、河川区域(河川法)や道路予定地(道路法)のみが指定されると、この区域の全域に存在する電力設備を対象とする。
【0038】
判定に際して例えば図10に示すように、処理装置13は、規制区域に対しては、この規制区域を囲むようにバッファを設け、規制区域とバッファとを抽出範囲とする。抽出範囲は、このようにあらかじめ設定されている。処理装置13は、抽出範囲に設置されている電力設備を抽出すると、処理装置13は電力設備が規制区域に在るかどうかを調べて、許可申請対象か否かを判定する。許可申請対象判定結果の一例を図11に示す。この許可申請対象判定結果では、該当する法令が河川法で、電柱番号23は河川境界付近に設置されているので、処理装置13は要調査としている。また、電柱番号22と電柱番号23との間の径間設備については、規制区域に設置されているので、処理装置13は申請対象と判定する。このようにして、処理装置13は許可申請対象判定結果を作成する。この後、処理装置13は、作成した許可申請対象判定結果を管理端末12に表示する。
【0039】
許可申請対象判定結果の作成が終了すると、処理装置13は、記憶装置14に記憶されている許可書有無テーブルを参照し、許可申請対象判定結果により申請対象となった電力設備について、許可書が有るか無いか(法令による許可を受けているか否か)を判定する。そして、処理装置13は申請対象である電力設備について許可書が無いと、許可申請漏れと判定する。こうした判定結果の一例を図12に示す。この許可申請漏れ判定結果では、電柱番号22と電柱番号23との間の径間設備について許可書が無いので、処理装置13は許可申請漏れと判定する。この後、処理装置13は、作成した許可申請漏れ判定結果を管理端末12に表示する。
【0040】
また、処理装置13は、階層化地図に対して電力設備が指定されると、この電力設備がいずれかの規制区域にある場合には、該当する規制区域の法令を抽出し、この法令による許可を受けているか否かを抽出する。まず、電力設備(あるいは、電力設備を新設予定の場所)が指定されて許可申請対象か否かを判定するための判定指示を管理端末12から受け取ると、この電力設備と各規制区域レイヤを照合して判定を行う。つまり、この電力設備がいずれかの規制区域にあるか、どの規制区域にあるかを判定する。この際、規制区域にバッファを設けて判定してもよい。次に、いずれかの規制区域にある場合には、該当する規制区域の法令を抽出し、記憶装置14に記憶されている許可書有無テーブルを参照して、許可書が有るか無いか(法令による許可を受けているか否か)を判定する。そして、許可申請対象判定結果や許可申請漏れ判定結果を管理端末12に表示し、さらに、該当する規制区域を強調表示してもよい。
【0041】
以上が規制区域管理システムの構成である。次に、この規制区域管理システムの作用について説明する。担当者は、管理端末12を操作して、地図レイヤ作成の指示を入力する。処理装置13は、この指示を受け取ると、地図レイヤの作成処理を行う。このときに、処理装置13は、電気事業を行っている全地域の地図のデータを記憶装置14から読み出し、この地図のデータを基にし、可視可能な地図情報にして地図レイヤ(例えば図4)を作成する。この後、処理装置13は、設備管理部門の記憶装置22の電力設備テーブルを参照し、電柱等の各電力設備を抽出する。処理装置13は、抽出した各電力設備の位置データを基にして、これらの電力設備を含む全地域の地図レイヤ(例えば図5)を作成して記憶装置14に記憶する。
【0042】
担当者は管理端末12を操作して規制区域を登録する。処理装置13は、管理端末12から規制区域登録の指示を受け取ると、規制区域レイヤの作成処理を開始する。つまり、処理装置13は、記憶装置22を参照し、規制区域を表す規制図やデータを基にして、規制区域を可視可能に表す規制区域レイヤ、例えばレイヤ1、レイヤ2(図6図7)を作成する。処理装置13は作成した各レイヤを記憶装置に記憶する。
【0043】
地図レイヤやレイヤ1、レイヤ2などの作成が終了している状態で、担当者は規制区域と既存設備とを照合する照合指示を管理端末12に入力する。処理装置13は、この指示を受け取ると、規制区域と既存設備との照合処理を行う。処理装置13は、管理端末12で指定された規制区域レイヤを記憶装置14から読み出す。つまり、管理端末12により規制区域レイヤの選択が可能である。また、処理装置13は、記憶装置14から地図レイヤを読み出す。
【0044】
規制区域レイヤと地図レイヤとの読み出しが終了すると、処理装置13は、地図レイヤに対して抽出した規制区域レイヤを重ねて階層化地図を作成する。処理装置13は管理端末12の表示装置に階層化地図を表示する。これにより、地図レイヤに対して、規制区域や電柱、径間設備の位置関係が表示され、
【0045】
この後、処理装置13は、ある規制区域に対して許可申請対象か否かを判定するための判定指示を管理端末12から受け取ると、規制区域と既存設備とを照合して判定を行う。具体的には、処理装置13は、管理端末12により指定された地域の階層化地図を全地域の階層化地図の中から抽出する。階層化地図の抽出が終了すると、処理装置13は抽出した階層化地図を基に、管理端末12で指定された規制区域に存在する電力設備について判定を行う。つまり、処理装置13は、電力設備が規制区域に在るかどうかを調べて、許可申請対象か否かを判定して許可申請対象判定結果を作成する。処理装置13は、管理端末12にこの許可申請対象判定結果を表示する。
【0046】
許可申請対象判定結果の作成が終了すると、処理装置13は、記憶装置14に記憶されている許可書有無テーブルを参照し、許可申請対象判定結果により申請対象となった電力設備について許可書が有るか無いかを判定する。処理装置13は申請対象である電力設備について許可書が無いと、許可申請漏れと判定して許可申請漏れ判定結果を作成する。処理装置13は、管理端末12にこの許可申請漏れ判定結果を表示する。
【0047】
また、処理装置13は、例えば、電力設備の新設や撤去、取り替えのために、対象の電力設備が指定されて(新設の場合には新設場所が指定されて)許可申請対象か否かを判定するための判定指示を管理端末12から受け取ると、上記のようにして、この電力設備と各規制区域レイヤを照合して判定を行う。そして、いずれかの規制区域にある場合には、該当する規制区域の法令を抽出するとともに、許可書有無テーブルを参照して許可書が有るか無いかを判定して、許可申請対象判定結果や許可申請漏れ判定結果を管理端末12に表示する。
【0048】
ここで、電力設備を新設する場合、占用申請を行う必要があり、既設の電力設備に対して工事や点検などを行う場合には、行為申請を行う必要がある。従って、図3の許可書有無テーブルでは図示していないが、占用申請の許可書の有無と、行為申請の許可書の有無とを記憶する。そして、工事や点検などの行為であると管理端末12で指示され、占用申請の許可書は有るが行為申請の許可書が無い場合には、許可書がない(未申請)と判定する。
【0049】
こうして、この実施の形態によれば、各規制区域レイヤを含む階層化地図を、処理装置13が管理端末12に表示する。これにより、例えば電力設備工事を行う前に、該当する地域の規制区域を表示することができ、電力設備工事の前に、関係する法令の把握を容易にすることを可能にする。
【0050】
また、この実施の形態によれば、電力設備が許可申請の対象か否かを表す許可申請対象判定結果と、電力設備の許可申請漏れを表す許可申請漏れ判定結果とを得ることができるので、既に設置されている電力設備の照合作業を簡素化することを可能にする。すなわち、階層化地図に対して規制区域を指定することで、この規制区域にある電力設備が抽出されるため、指定した規制区域にどのような電力設備がどこにあるか否かを容易かつ適正に知得することができる。さらに、規制区域にある電力設備が該当する法令による許可を受けているか否かが抽出されるため、許可を受けていない電力設備に対して迅速かつ適正に対応することが可能となる。
【0051】
同様に、階層化地図に対して電力設備や新設場所が指定されると、この電力設備等がいずれかの規制区域にある場合に該当する法令が抽出されるため、指定された電力設備等がどの法令で規制されているかを容易かつ適正に知得することができる。そして、指定された電力設備が該当する法令による許可を受けているか否かが抽出されるため、許可を受けていない電力設備に対して迅速かつ適正に対応することが可能となる。
【0052】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、設備が電力設備の場合について主として説明したが、設備が水道設備や通信設備などの場合であってもよい。
【0053】
また、規制区域が指定されると、この規制区域にある設備を抽出等しているが、任意の区域が指定されると、この区域にある設備であっていずれかの規制区域にある設備を抽出して、許可申請対象判定結果や許可申請漏れ判定結果を作成、表示するようにしてもよい。つまり、指定される規制区域が任意の区域であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
11 通信装置(処理手段)
12 管理端末(処理手段)
13 処理装置(処理手段)
14 記憶装置(処理手段)
21 通信装置
22 記憶装置
31 通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12