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<図1>
  • -車両用ミラー装置 図1
  • -車両用ミラー装置 図2
  • -車両用ミラー装置 図3
  • -車両用ミラー装置 図4
  • -車両用ミラー装置 図5
  • -車両用ミラー装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】車両用ミラー装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/072 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B60R1/072
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018139302
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020015404
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】都筑 隆宏
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-067195(JP,A)
【文献】特開平09-055262(JP,A)
【文献】特開2003-285690(JP,A)
【文献】特開2012-062025(JP,A)
【文献】特開2001-260753(JP,A)
【文献】特開2010-076676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーハウジングと、
鏡面を有するミラーユニットと、
前記ミラーハウジングに固定されていて、かつ、前記ミラーユニットが取り付けられていて、前記鏡面の角度を調整する車両用鏡面角度調整装置と、
前記車両用鏡面角度調整装置に取り付けられていて、前記車両用鏡面角度調整装置に給電するコネクタと、
を備え、
前記ミラーハウジングは、
前記ミラーユニットおよび前記車両用鏡面角度調整装置が収納されている収納部と、
前記収納部に取り付けられているカバー部と、
を有し、
前記収納部のうち前記コネクタに対応する部分には、開口部が設けられていて、
前記開口部の縁には、係合部が設けられていて、
前記カバー部は、前記開口部および前記コネクタを覆い、
前記コネクタのうち前記係合部に対応する部分には、前記係合部に弾性係合して、前記コネクタが前記車両用鏡面角度調整装置から脱落するのを防ぐ弾性係合部が設けられていて
前記係合部は、
前記コネクタを前記車両用鏡面角度調整装置に取り付ける取付方向に対して傾斜する傾斜面と、
前記取付方向に対して交差する係合面と、
を有し、
前記弾性係合部は、
前記コネクタのうち前記係合部に対応する前記部分から延設されていて、前記コネクタを前記車両用鏡面角度調整装置に取り付ける時に、前記傾斜面に沿って弾性変形するアーム部と、
前記アーム部の先端に前記取付方向に対して交差して設けられていて、前記係合面に弾性係合する弾性係合面と、
を有し、
前記弾性係合面が前記係合面に弾性係合して前記コネクタが前記車両用鏡面角度調整装置に取り付けられている状態において、前記アーム部の延設方向と前記取付方向とのなす角度は、所定の角度であり、
前記所定の角度は、前記弾性係合面が前記係合面に弾性係合する角度である、
ことを特徴とする車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記弾性係合部は、先端の前記弾性係合面側から前記弾性係合面に対して反対側にかけて、幅広形状をなしている、
ことを特徴とする請求項に記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記弾性係合部の幅方向は、前記弾性係合部が弾性変形する方向および弾性復帰する方向に対して交差している、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用ミラー装置。
【請求項4】
前記収納部のうち少なくとも前記係合部は、高剛性部材から構成されていて、
前記コネクタのうち少なくとも前記弾性係合部は、弾性部材から構成されている、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の車両用ミラー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミラーの鏡面の角度を調整することができる車両用ミラー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミラーの鏡面の角度を調整することができる車両用ミラー装置としては、例えば、特許文献1に示すものがある。特許文献1のドアミラーは、ミラーホルダ及び鏡面角度調整ユニットを収容するミラーハウジングに仕切壁を設け、仕切壁に開口部を設け、開口部の周縁部分に爪部を設けたものである。爪部は、コネクタ部を鏡面角度調整ユニットのターミナル部に向けて押し込む際に弾性変形して、コネクタ部の背面に対向するように弾性復帰してコネクタ部の接続後のはずれを防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-67195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のドアミラーは、ミラーハウジングに爪部を設けたものであるから、ミラーハウジングが高剛性部材から構成された場合、爪部が十分に弾性変形することが困難となり、コネクタ部のはずれを防止することが困難となる場合がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、コネクタの脱落(はずれ)を確実に防止することができる車両用ミラー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の車両用ミラー装置は、ミラーハウジングと、鏡面を有するミラーユニットと、ミラーハウジングに固定されていて、かつ、ミラーユニットが取り付けられていて、鏡面の角度を調整する車両用鏡面角度調整装置と、車両用鏡面角度調整装置に取り付けられていて、車両用鏡面角度調整装置に給電するコネクタと、を備え、ミラーハウジングが、ミラーユニットおよび車両用鏡面角度調整装置が収納されている収納部と、収納部に取り付けられているカバー部と、を有し、収納部のうちコネクタに対応する部分には、開口部が設けられていて、開口部の縁には、係合部が設けられていて、カバー部が、開口部およびコネクタを覆い、コネクタには、係合部に弾性係合して、コネクタが車両用鏡面角度調整装置から脱落するのを防ぐ弾性係合部が設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
この発明の車両用ミラー装置は、係合部が、コネクタを車両用鏡面角度調整装置に取り付ける取付方向に対して傾斜する傾斜面と、取付方向に対して交差する係合面と、を有し、弾性係合部が、コネクタから延設されていて、コネクタを車両用鏡面角度調整装置に取り付ける時に、傾斜面に沿って弾性変形するアーム部と、アーム部の先端に取付方向に対して交差して設けられていて、係合面に弾性係合する弾性係合面と、を有する、ことが好ましい。
【0008】
この発明の車両用ミラー装置は、弾性係合部が、先端の弾性係合面側から弾性係合面に対して反対側にかけて、幅広形状をなしている、ことが好ましい。
【0009】
この発明の車両用ミラー装置は、アーム部の延設方向と取付方向とのなす角度が、0°から所定の角度までの範囲であり、所定の角度が、弾性係合面が係合面に弾性係合する角度である、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用ミラー装置は、収納部のうち少なくとも係合部が、高剛性部材から構成されていて、コネクタのうち少なくとも弾性係合部が、弾性部材から構成されている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明の車両用ミラー装置は、コネクタの脱落(はずれ)を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明にかかる車両用ミラー装置の実施形態を示す要部の一部拡大縦断面図(図4におけるI-I線拡大断面図)である。
図2図2は、コネクタを車両用鏡面角度調整装置に取り付ける前の状態を示す要部の一部拡大縦断面図(図1に対応する一部拡大断面図)である。
図3図3は、係合部と弾性係合部との作用状態を示す要部の一部拡大縦断面図である。(A)は、弾性係合部が弾性変形している状態を示す要部の一部拡大縦断面図である。(B)は、弾性係合部が係合部に弾性係合している状態を示す要部の一部拡大縦断面図である。
図4図4は、コネクタが車両用鏡面角度調整装置に取り付けられている状態を示す一部拡大背面図(図6におけるIV矢視図であって、車両の前側から後側に向かって見た図)である。
図5図5は、コネクタを車両用鏡面角度調整装置に取り付ける前の状態を示す一部拡大背面図(図4に対応する一部拡大背面図)である。
図6図6は、使用状態を示す一部破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明にかかる車両用鏡面角度調整装置、車両用ミラー装置の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用ミラー装置を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0014】
図1図4図6において、符号「F」は「前」、「B」は「後」、「U」は上、「D」は「下」である。車両の後側の面が正面であり、車両の前側の面が背面である。また、図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略し、ハッチングの一部を省略する。
【0015】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用鏡面角度調整装置、車両用ミラー装置の構成について説明する。
【0016】
(車両用ミラー装置1の説明)
図中、符号1は、この実施形態にかかる車両用ミラー装置(自動車用後写鏡)である。車両用ミラー装置1は、この例では、車体(ドア)の外側に、ベース(図示せず)、シャフト(図示せず)および格納ユニット(図示せず)を介して傾倒可能に取り付けられる。車両用ミラー装置1は、図6に示すように、ミラーハウジング2と、ミラーユニット3と、車両用鏡面角度調整装置(パワーユニット)4と、コネクタ5と、角度検出記憶ユニット(図示せず)と、を備える。
【0017】
(ミラーハウジング2の説明)
ミラーハウジング2は、図6に示すように、収納部20と、カバー部21と、を有する。収納部20は、この例では、高剛性部材の樹脂部材から構成されている。収納部20は、中空形状をなす。収納部20の正面22は、開口している(正面開口部22)。収納部20の背面23は、閉塞している(背面閉塞部23)。収納部20内には、ミラーユニット3および車両用鏡面角度調整装置4がそれぞれ収容されている。
【0018】
収納部20の背面閉塞部23のうちコネクタ5に対応する部分には、開口部24が設けられている。開口部24の縁には、複数個この例では2個の係合部25がそれぞれ設けられている。係合部25には、コネクタ5の弾性係合部51が弾性係合している。
【0019】
係合部25は、図1図3に示すように、開口部24の縁から一体に突設された凸形状をなす。係合部25は、コネクタ5を車両用鏡面角度調整装置4に取り付ける取付方向A(図2図3(A)中の実線矢印を参照)に対して傾斜する傾斜面26と、取付方向Aに対して平行な平行面27と、取付方向Aに対して交差(この例では、直交)する交差面(この例では、直交面)としての係合面28と、を有する。
【0020】
収納部20には、複数個の固定部29が設けられている。固定部29には、車両用鏡面角度調整装置4の固定部46がスクリュウ(図示せず)などにより固定されている。
【0021】
カバー部21は、この例では、樹脂部材から構成されている。カバー部21は、収納部20の背面側に取り付けられて、収納部20の背面側の上側の部分からやや下側の部分にかけての部分をカバーする。すなわち、カバー部21は、収納部20の開口部24およびコネクタ5をカバーする。
【0022】
(ミラーユニット3の説明)
ミラーユニット3は、図6に示すように、反射面30を有するミラー31と、ミラー31を保持するミラーホルダ32と、を有する。このミラー31の反射面30が鏡面である。ミラーホルダ32は、車両用鏡面角度調整装置4に取り付けられている。この結果、ミラーユニット3の鏡面30の角度は、車両用鏡面角度調整装置4の作用により、調整される。
【0023】
(車両用鏡面角度調整装置4の説明)
車両用鏡面角度調整装置4は、図6に示すように、固定部材40と、可動部材41と、保持部材42と、駆動部材(図示せず)と、を備える。車両用鏡面角度調整装置4は、ミラーユニット3の鏡面30の角度を調整する。
【0024】
(固定部材40の説明)
固定部材40は、この例では、樹脂部材から構成されている。固定部材40は、図1図2図4図6に示すように、ほぼ半球形状のケース(容器)からなる。すなわち、固定部材40は、すり鉢形状をなす。固定部材40の後側の部分には、円形の開口部43が形成されていて、かつ、固定部材40の前側の部分には、円形の閉塞部44が形成されている。固定部材40の側壁部分の内側面には、回転中心Cを中心とする球面の一部からなる固定側球面45が形成されている。
【0025】
閉塞部44の外側面には、複数個の固定部46が収納部20の固定部29に対応して設けられている。この固定部46に収納部20の固定部29を介してスクリュウをねじ込むことにより、車両用鏡面角度調整装置4は、ミラーハウジング2に固定される。
【0026】
また、閉塞部44には、コネクタ取付部47と、保持部材収納部(図示せず)と、駆動部材収納部(図示せず)と、がそれぞれ設けられている。コネクタ取付部47には、コネクタ5が取り付けられている。コネクタ取付部47は、立壁形状をなしている。さらに、閉塞部44のうちコネクタ取付部47に対応する箇所には、コネクタ5からの電力を駆動部材に供給するメス型ターミナル(図示せず)が設けられている。
【0027】
(可動部材41の説明)
可動部材41は、この例では、樹脂部材から構成されている。可動部材41は、図6に示すように、ほぼ円板形状の取付部(図示せず)と、固定部材40よりも一回り小さいほぼ半球形状の側壁部48と、からなる。側壁部48は、取付部の全周縁に一体に設けられている。側壁部48の外側面には、回転中心Cを中心とする球面の一部からなる可動側球面49が形成されている。
【0028】
可動部材41の取付部には、ミラーユニット取付部(図示せず)が設けられている。ミラーユニット取付部にミラーユニット3を取り付けることにより、車両用鏡面角度調整装置4には、ミラーユニット3が取り付けられる。また、取付部には、保持部材取付部(図示せず)と、駆動部材取付部(図示せず)と、がそれぞれ設けられている。
【0029】
(保持部材42の説明)
保持部材42は、ピボット機構(球継手)から構成されている。保持部材42は、固定部材40の保持部材収納部に収納されていて、かつ、可動部材41の保持部材取付部に取り付けられている。この保持部材42により、可動部材41が固定部材40に、回転中心Cを中心として回転可能に保持されている。
【0030】
(駆動部材の説明)
駆動部材は、2台のモータ(図示せず)と、2組の動力伝達機構(図示せず)と、2本のアジャストロッド(図示せず)と、を有する。駆動部材は、固定部材40の駆動部材収納部に収納されていて、かつ、可動部材41の駆動部材取付部に取り付けられている。
【0031】
2台のモータは、左右用のモータと、上下用のモータとからなる。2組の動力伝達機構は、左右用の動力伝達機構と、上下用の動力伝達機構とからなる。2本のアジャストロッドは、左右用のアジャストロッドと、上下用のアジャストロッドとからなる。左右用のモータには、左右用の動力伝達機構を介して左右用のアジャストロッドが連結されている。一方、上下用のモータには、上下用の動力伝達機構を介して上下用のアジャストロッドが連結されている。
【0032】
左右用のモータを駆動させると、左右用の動力伝達機構を介して、左右用のアジャストロッドが、回転し、かつ、ねじ送り作用により前後方向に移動する。これにより、可動部材41が固定部材40に対して、回転中心Cを通る垂直軸(図示せず)回りに左右に回転する。また、上下用のモータを駆動させると、上下用の動力伝達機構を介して、上下用のアジャストロッドが、回転し、かつ、ねじ送り作用により前後方向に移動する。これにより、可動部材41が固定部材40に対して、回転中心Cを通る水平軸(図示せず)回りに上下に回転する。
【0033】
(コネクタ5の説明)
コネクタ5は、車両用鏡面角度調整装置4に取り付けられていて、車両用鏡面角度調整装置4のモータにメス型ターミナルを介して給電するものである。コネクタ5は、本体部50と、弾性係合部51と、本体部50内に収納されているオス型ターミナル(図示せず)と、オス型ターミナルに電気的にかつ機械的に接続されているハーネス52と、を有する。
【0034】
本体部50は、この例では、弾性部材から構成されている。本体部50には、車両用鏡面角度調整装置4のコネクタ取付部47に取り付けられる取付部53が設けられている。取付部53は、立壁形状のコネクタ取付部47を両側から挟み込む2重の立壁形状をなす。
【0035】
本体部50には、弾性係合部51がミラーハウジング2の2個の係合部25に対応して2個設けられている。弾性係合部51は、収納部20の係合部25に弾性係合して、コネクタ5が車両用鏡面角度調整装置4から脱落するのを防ぐものである。弾性係合部51は、アーム部54と、弾性係合面55と、を有する。
【0036】
アーム部54は、本体部50から延設されていて、コネクタ5を車両用鏡面角度調整装置4に取り付ける時に、係合部25の傾斜面26に沿って弾性変形する。弾性係合面55は、アーム部54の先端に取付方向Aに対して交差(直交)して設けられている。弾性係合面55は、係合部25の係合面28に弾性係合する。
【0037】
図1に示すように、アーム部54の延設方向Eと取付方向Aとのなす角度θは、0°から所定の角度までの範囲である。所定の角度は、弾性係合面55が係合面28にガタなく(弾性係合面55と係合面28との間に隙間がなく)弾性係合する角度である。所定の角度は、本体部50の材料やアーム部54の形状寸法などにより、任意に決定する。この例では、約50°である。
【0038】
弾性係合部51は、図4図5に示すように、先端の弾性係合面55側から基端の本体部50側(先端の弾性係合面55に対して反対側)にかけて、幅広形状をなしている。この結果、弾性係合部51の弾性係合面55と係合部25の係合面28とが大きな力で弾性係合する。すなわち、弾性係合面55と係合面28との弾性係合を解除して、コネクタ5を車両用鏡面角度調整装置4から引き抜くには、大きな力が必要となる。
【0039】
(角度検出記憶ユニットの説明)
角度検出記憶ユニットは、ミラーユニット3の鏡面30の傾動角度を検出して記憶するものである。角度検出記憶ユニットは、角度を検出するセンサ(図示せず)や検出した角度を記憶するメモリ等(図示せず)を有する。
【0040】
(車両用ミラー装置1の組み付け工程の説明)
以下、車両用ミラー装置1の組み付け工程について説明する。まず、ミラーユニット3を組み付け作業台(図示せず)の作業面(図示せず)上に、鏡面30(ミラー31)側が下向き、すなわち、作業面に対向するように、設置する。
【0041】
つぎに、車両用鏡面角度調整装置4の可動部材41をミラーユニット3のミラーホルダ32に、上側(作業面に対して反対側)から下側(作業面側)に設置して、可動部材41のミラーユニット取付部にミラーユニット3のミラーホルダ32を取り付ける。
【0042】
それから、ミラーハウジングの収納部20をミラーユニット3および車両用鏡面角度調整装置4に、収納部20の正面開口部22を経て、上側から下側に覆い被せ、収納部20の固定部29を車両用鏡面角度調整装置4の固定部材40の固定部46にスクリュウにより固定する(図2図5を参照)。
【0043】
そして、コネクタ5の取付部53を収納部20の開口部24を通して車両用鏡面角度調整装置4の固定部材40のコネクタ取付部47に、上側から下側に(図2中の実線矢印に示す取付方向Aに)挿入させて取り付ける。この時、コネクタ5の弾性係合部51のアーム部54は、上側から下側に(図3(A)中の実線矢印に示す取付方向Aに)移動すると共に、収納部20の係合部25の傾斜面26および平行面27に沿って、図3(A)中の実線矢印に示すように、弾性変形する。
【0044】
コネクタ5が車両用鏡面角度調整装置4に取り付けられた時点、すなわち、アーム部54の弾性係合面55が係合部25の係合面28に達した時点(アーム部54が係合部25を乗り越えた時点)において、図3(B)中の実線矢印に示すように、弾性変形していたアーム部54が弾性復帰して、アーム部54の弾性係合面55が係合部25の係合面28に弾性係合する。これにより、コネクタ5が車両用鏡面角度調整装置4に取り付けられる(図1図4を参照)。
【0045】
最後に、ミラーハウジング2のカバー部21を収納部20の背面側に、上側から下側に覆い被せて、カバー部21を収納部20に取り付ける。これにより、カバー部21は、収納部20の背面側の上側の部分からやや下側の部分にかけての部分をカバーして、収納部20の開口部24およびコネクタ5をカバーする。以上のようにして、車両用ミラー装置1の組み付けが完了する(図6を参照)。
【0046】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0047】
車両用鏡面角度調整装置4の左右用のモータを駆動させると、左右用の動力伝達機構を介して、左右用のアジャストロッドが、回転し、かつ、ねじ送り作用により前後方向に移動する。これにより、可動部材41が固定部材40に対して、回転中心Cを通る垂直軸回りに左右に回転する。この結果、可動部材41側のミラーユニット3が固定部材40側のミラーハウジング2に対して、回転中心Cを通る垂直軸回りに左右に回転する。
【0048】
また、車両用鏡面角度調整装置4の上下用のモータを駆動させると、上下用の動力伝達機構を介して、上下用のアジャストロッドが、回転し、かつ、ねじ送り作用により前後方向に移動する。これにより、可動部材41が固定部材40に対して、回転中心Cを通る水平軸回りに上下に回転する。この結果、可動部材41側のミラーユニット3が固定部材40側のミラーハウジング2に対して、回転中心Cを通る水平軸回りに上下に回転する。このようにして、鏡面30の角度がドライバーなどの目線に合わせて調整される
【0049】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0050】
この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、ミラーハウジング2の収納部20のうちコネクタ5に対応する部分に開口部24を設け、その開口部24の縁に係合部25を設け、一方、コネクタ5に、係合部25に弾性係合して、コネクタ5が車両用鏡面角度調整装置4から脱落するのを防ぐ弾性係合部51を設けたものである。この結果、この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、ミラーハウジング2の収納部20が高剛性部材から構成された場合であっても、収納部20と別個のコネクタ5の弾性係合部51が十分に弾性変形して収納部20の係合部25に十分に弾性係合することができる。これにより、この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、コネクタ5が車両用鏡面角度調整装置4から脱落する(はずれる)のを確実に防ぐことができる。
【0051】
この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、係合部25が傾斜面26と係合面28とを有し、一方、弾性係合部51がアーム部54と弾性係合面55とを有するものである。この結果、この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、コネクタ5を車両用鏡面角度調整装置4に取り付ける時に、アーム部54が傾斜面26に沿って弾性変形し、アーム部54が係合部25を乗り越えた時点で、弾性変形していたアーム部54が弾性復帰して、アーム部54の弾性係合面55が係合部25の係合面28に弾性係合する。これにより、この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、アーム部54の弾性係合面55と係合部25の係合面28とが相互に確実に弾性係合することができるので、コネクタ5の車両用鏡面角度調整装置4からの脱落(はずれ)をさらに確実に防ぐことができる。
【0052】
この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、弾性係合部51が、先端の弾性係合面55側から基端の本体部50側(先端の弾性係合面55に対して反対側)にかけて、幅広形状をなしている。この結果、この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、弾性係合部51の弾性係合面55と係合部25の係合面28とが大きな力で弾性係合する。すなわち、弾性係合面55と係合面28との弾性係合を解除して、コネクタ5を車両用鏡面角度調整装置4から引き抜くには、大きな力が必要となる。これにより、この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、コネクタ5の車両用鏡面角度調整装置4からの脱落(はずれ)をさらに確実に防ぐことができる。
【0053】
この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、アーム部54の延設方向Eと取付方向Aとのなす角度θを、0°から所定の角度までの範囲とし、その所定の角度が、弾性係合面55が係合面28にガタなく(弾性係合面55と係合面28との間に隙間がなく)弾性係合する角度である。この結果、この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、弾性係合面55が係合面28にガタなく確実に弾性係合するものであるから、コネクタ5の車両用鏡面角度調整装置4からの脱落(はずれ)をさらに確実に防ぐことができる。
【0054】
この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、ミラーハウジング2の収納部20が高剛性部材から構成されていて、コネクタ5の本体部50が弾性部材から構成されているものである。この結果、この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、収納部20の係合部25が高剛性部材から構成されていても、本体部50の弾性係合部51が弾性部材から構成されているものであるから、コネクタ5の車両用鏡面角度調整装置4からの脱落(はずれ)をさらに確実に防ぐことができる。
【0055】
この実施形態にかかる車両用ミラー装置1は、係合部25と弾性係合部51とを収納部20の開口部24から見える箇所に設けたものであるから、係合部25と弾性係合部51との弾性係合状態を目視確認することができる。
【0056】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、相互に対応する2個の係合部25と2個の弾性係合部51とを設けたものである。しかしながら、この発明においては、係合部25と弾性係合部51とを相互に対応させて1個、もしくは、3個以上設けても良い。
【0057】
前記の実施形態においては、係合部25と弾性係合部51とを収納部20の開口部24から見える箇所に設けたものである。しかしながら、この発明においては、係合部25と弾性係合部51とを収納部20の開口部24から見えない箇所に設けたものであっても良い。
【0058】
前記の実施形態においては、車両用ミラー装置1として、車体(ドア)の外側に装備されるものである。しかしながら、この発明においては、車両用ミラー装置1として、その他のもの、たとえば、車体のフェンダに装備されるもの(フェンダミラー装置)、バックドアの上部に装備されるもの(リヤアンダーミラー装置)、トラックに装備されるもの(トラックミラー装置)、車内に装備されるもの(室内用ミラー装置)などである。
【0059】
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 車両用ミラー装置
2 ミラーハウジング
20 収納部
21 カバー部
22 正面開口部
23 背面閉塞部
24 開口部
25 係合部
26 傾斜面
27 平行面
28 係合面
29 固定部
3 ミラーユニット
30 鏡面
31 ミラー
32 ミラーホルダ
4 車両用鏡面角度調整装置
40 固定部材
41 可動部材
42 保持部材
43 開口部
44 閉塞部
45 固定側球面
46 固定部
47 コネクタ取付部
48 側壁部
49 可動側球面
5 コネクタ
50 本体部
51 弾性係合部
52 ハーネス
53 取付部
54 アーム部
55 弾性係合面
A 取付方向
B 後
C 回転中心
D 下
E 延設方向
F 前
U 上
θ 角度

図1
図2
図3
図4
図5
図6