(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】浴室設置容器の蓋およびこれを備えた浴室設置容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/16 20060101AFI20221206BHJP
B65D 51/16 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65D41/16
B65D51/16 100
(21)【出願番号】P 2018140298
(22)【出願日】2018-07-26
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】市丸 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】天田 圭一
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-234599(JP,A)
【文献】実開昭61-164867(JP,U)
【文献】特開2004-047425(JP,A)
【文献】特開2003-112762(JP,A)
【文献】実開平03-004564(JP,U)
【文献】実開平03-072167(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 49/00-51/10
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
F16K 21/00-24/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面部に下向き凸状の筒状壁部が設けられ、かつこの筒状壁部を容器本体部の口頸部またはこの口頸部に取付けられた筒状の補助部材に外嵌させた状態で前記容器本体部に装着可能な蓋本体部と、
この蓋本体部が前記容器本体部に装着された状態において、前記容器本体部内を外部と通気させるための通気手段と、
を備えている、浴室設置容器の蓋であって、
前記通気手段として、前記筒状壁部をその厚み方向に貫通して設けられた少なくとも1つの通気孔を備えており、
前記蓋本体部から下向きに突出し、かつ前記筒状壁部の外側に離間した配置で前記通気孔
の全域に対向する外側壁部を、さらに備えて
おり、
前記外側壁部は、前記蓋本体部の周方向に不連続な壁部として形成されており、
前記外側壁部と前記筒状壁部との相互間の隙間は、前記外側壁部の外方側から前記不連続な壁部どうしの相互間領域を介して前記隙間内に空気または水が進入可能に前記相互間領域と連通しており、かつ平面視において、前記隙間の幅は前記通気孔に接近する部分ほど狭くなるように形成されていることを特徴とする、浴室設置容器の蓋。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室設置容器の蓋であって、
平面視において、前記筒状壁部は、円筒状である一方、前記外側壁部のうちの前記筒状壁部に対向する面は、前記筒状壁部の外周面の接線方向に延びる平面状である、浴室設置容器の蓋。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の浴室設置容器の蓋であって、
前記外側壁部として、前記筒状壁部の外側に位置するように前記蓋本体部の外周縁部から下向きに突出し、前記蓋本体部の周方向に間隔を隔てて並ぶ複数の外側壁部を備えており、
これら複数の外側壁部のうち、少なくとも1つが、前記通気孔に対向する前記外側壁部である、浴室設置容器の蓋。
【請求項4】
請求項
1ないし3
のいずれかに記載の浴室設置容器の蓋であって、
前記筒状壁部のうち、前記通気孔よりも下方の位置の内周面に設けられ、かつ前記口頸部または前記補助部材の外周面に設けられ環状の凹部または凸部との嵌合が可能な環状の凸状または凹状のシール部を、さらに備えている、浴室設置容器の蓋。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の浴室設置容器の蓋
を備えていることを特徴とする、浴室設置容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば浴槽洗浄装置の洗剤タンクなど、浴室に設置して用いられる浴室設置容器の蓋、およびこれを備えた浴室設置容器に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、浴室設置容器の一例として、特許文献1に記載の洗剤タンクを先に提案している。
同文献に記載の洗剤タンクを、本願の
図5に示す。この洗剤タンクAeは、口頸部10eを有する洗剤タンク本体部1e(容器本体部)と、口頸部10eに補助部材3eを介して装着された蓋2eとを備えている。
【0003】
このような洗剤タンクAeは、たとえばこの洗剤タンクAe内の下部が適当な配管部材を介して浴槽洗浄装置の湯水供給経路に分岐接続された状態で使用される。湯水供給経路は、洗剤や湯水を浴槽洗浄ノズルに供給するための経路であり、洗剤タンクAeから前記湯水供給経路にベンチュリ効果などを利用して洗剤を流入させ、かつ湯水に混合させることにより、この混合水(洗剤水)を洗浄ノズルから浴槽に向けて噴出させることが可能である。洗剤タンクAeから湯水供給経路に向けて洗剤が流出する際には、洗剤タンクAe内に負圧が発生する。したがって、洗剤タンクAeからの洗剤の流出を円滑にするには、洗剤タンクAeに外部との通気性をもたせる必要がある。
【0004】
そこで、特許文献1においては、蓋2eに通気手段を設けている。蓋2eは、蓋本体部20eの裏面部に、下向き凸状の筒状壁部22eが突設され、かつ外周縁部には、下向きの周壁部29eが連設された構成である。筒状壁部22eは、補助部材3eに外嵌・螺合されている。通気手段としては、蓋本体部20eの裏面部に形成された凹溝状の第1の切欠き部9aと、この第1の切欠き部9aに上部が連通するようにして、筒状壁部22eの内周面(ネジ部)に上下高さ方向に延びて形成された凹溝状の第2の切欠き部9bと、を組み合わせた構成が採用されている。第2の切欠き部9bは、下向き開口状の下端開口部90を有している。
このような構成によれば、第1および第2の切欠き部9a,9bを介して通気性をもたせることができるため、洗剤タンクAeからの洗剤流出を円滑化可能である。蓋本体部20eの下向きの周壁部29eは、たとえば浴室で使用されるシャワー水などが第2の切欠き部9bの下端開口部90に直接掛かるといったことを抑制する役割を果たす。
【0005】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0006】
すなわち、第1の切欠き部9aは、蓋本体部20eの裏面に設けられた凹溝状であり、また第2の切欠き部9bは、蓋2eの筒状壁部22eの内周に設けられた凹溝状であるため、これらを大きな開口面積で形成することは難しい。このため、洗剤タンクAe内に負圧が発生した際に、第1および第2の切欠き部9a,9bを通過する空気の流速は速くなる。その結果、第2の切欠き部9bの下端開口部90の付近にシャワー残水などの水が存在していると、この水が流速の速い空気流によって第2の切欠き部9b内に引き込まれ、洗剤タンクAe内に流入する虞がある。このような現象を生じたのでは、洗剤タンクAe内の洗剤に前記の水が混入することとなるため、好ましくない。
また、前記従来技術においては、蓋本体部20eの下向きの周壁部29eが、筒状壁部22eの全周を囲んでおり、周壁部29eの内側に水が進入した場合、この水は、その表面張力に起因して周壁部29eの外部に排出され難くなる。したがって、周壁部29eの
内側に進入した水の多くが、第2の切欠き部9b内に吸い込まれてしまい、洗剤タンクAe内に水が流入する現象が一層生じ易くなる虞もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、通気性を適切に確保しながらも、内部への不当な水の進入を適切に防止または抑制することが可能な浴室設置容器の蓋、およびこれを備えた浴室設置容器を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の第1の側面により提供される浴室設置容器の蓋は、裏面部に下向き凸状の筒状壁部が設けられ、かつこの筒状壁部を容器本体部の口頸部またはこの口頸部に取付けられた筒状の補助部材に外嵌させた状態で前記容器本体部に装着可能な蓋本体部と、この蓋本体部が前記容器本体部に装着された状態において、前記容器本体部内を外部と通気させるための通気手段と、を備えている、浴室設置容器の蓋であって、前記通気手段として、前記筒状壁部をその厚み方向に貫通して設けられた少なくとも1つの通気孔を備えており、前記蓋本体部から下向きに突出し、かつ前記筒状壁部の外側に離間した配置で前記通気孔の全域に対向する外側壁部を、さらに備えており、前記外側壁部は、前記蓋本体部の周方向に不連続な壁部として形成されており、前記外側壁部と前記筒状壁部との相互間の隙間は、前記外側壁部の外方側から前記不連続な壁部どうしの相互間領域を介して前記隙間内に空気または水が進入可能に前記相互間領域と連通しており、かつ平面視において、前記隙間の幅は前記通気孔に接近する部分ほど狭くなるように形成されていることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、通気孔を利用して浴室設置容器に通気性をもたせることができることは勿論のこと、次のような効果が得られる。
第1に、通気孔は、蓋の筒状壁部をその厚み方向に貫通して設けられており、比較的大きな面積とすることが可能である。したがって、浴室設置容器内が負圧になった際の外部から浴室設置容器内への吸気を安定させることができることに加え、通気孔を空気が通過する際の流速を遅くすることも可能となる。その結果、通気孔付近にシャワー残水などの水が存在していた場合に、この水が高速の空気流に起因して通気孔に吸い込まれて浴室設置容器内に流入する現象を適切に防止または抑制することができる。
第2に、通気孔については、外側壁部を用いて覆うことが可能であり、シャワー水などの水が蓋に向けて直接飛散した場合であっても、この水が通気孔の位置に直接掛かってその内部に進入するといったことを適切に防止することが可能である。したがって、通気孔が比較的大きな面積で設けられた場合であっても、通気孔から浴室設置容器内に水が進入することは適切に防止または抑制される。
【0013】
さらに、前記構成によれば、外側壁部が蓋本体部の周方向に連続した筒状に形成されている場合とは異なり、外側壁部の内側に進入した水が、その表面張力によって外側壁部の外側に排出され難くならないようにすることができる。したがって、外側壁部の内方に存在する通気孔への水の進入、ひいては浴室設置容器内への水の進入をより生じ難くすることができる。
【0015】
さらに、前記構成によれば、
図4を参照して後述する実施形態からも理解されるように、外側壁部と筒状壁部との相互間の隙間に、シャワー水などの水(水蒸気を多く含む空気なども含む)が進入した場合に、これらの流れは通気孔に接近するほど流速が速くなる。この場合、ベンチュリ効果により、通気孔に負圧を作用させ、通気孔から前記隙間に向けて空気を流出させる作用が期待できる。その結果、前記隙間から通気孔に向けて水が進入することは回避され、浴室設置容器内に水が不当に進入することが、一層確実に防止または抑制される。
【0016】
本発明において、好ましくは、平面視において、前記筒状壁部は、円筒状である一方、前記外側壁部のうちの前記筒状壁部に対向する面は、前記筒状壁部の外周面の接線方向に延びる平面状である。
【0017】
このような構成によれば、外側壁部と筒状壁部との相互間の隙間の幅が、通気孔に接近する部分ほど狭くなる構成が、簡易な構成によって適切に実現できる。また、前記構成によって形成された隙間は、この隙間の中央部の通気孔付近が最も幅が狭く、両端側が幅広状となるため、隙間内にその一端側から進入した水が、中央部の幅が狭い部分を通過した後には、幅が徐々に広くなる部分を経て他端側に到達し易くなる。したがって、隙間内に水を残留し難くする効果も得られる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記外側壁部として、前記筒状壁部の外側に位置するように前記蓋本体部の外周縁部から下向きに突出し、前記蓋本体部の周方向に間隔を隔てて並ぶ複数の外側壁部を備えており、これら複数の外側壁部のうち、少なくとも1つが、前記通気孔に対向する前記外側壁部である。
【0019】
このような構成によれば、蓋を手で把持する場合に、複数の外側壁部に指を引っ掛け易くなる。したがって、手が滑り難くなり、使い勝手をよくすることができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、前記筒状壁部のうち、前記通気孔よりも下方の位置の内周面に設けられ、かつ前記口頸部または前記補助部材の外周面に設けられ環状の凹部または凸部との嵌合が可能な環状の凸状または凹状のシール部を、さらに備えている。
【0021】
このような構成によれば、口頸部または補助部材と筒状壁部との相互間に形成された隙間の下部に、仮に、水が進入したとしても、この水が前記シール部の位置を越えて通気孔の位置まで上昇することは、前記シール部の存在により適切に防止される。したがって、通気孔を介して浴室設置容器内に水が進入することを一層確実に防止することができる。
【0022】
本発明の第2の側面により提供される浴室設置容器は、本発明の第1の側面により提供される浴室設置容器の蓋を備えていることを特徴としている。
【0023】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される浴室設置容器の蓋について述べたのと同様な効果が得られる。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る浴室設置容器の概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す浴室設置容器の要部断面図、およびその要部拡大断面図である。
【
図3】(a)は、
図1に示す浴室設置容器の蓋の斜視図であり、(b)は、(a)のIIIb-IIIb断面図であり、(c)は、(a)のIIIc-IIIc断面図である。
【
図4】(a)は、
図1に示す浴室設置容器の蓋の裏面側の斜視図であり、(b)は、(a)に示す蓋の底面図およびその要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
図1および
図2に示す浴室設置容器Aは、浴室洗浄用の液体の洗剤を内部に収容し、不図示の浴室洗浄装置の所定の湯水供給経路に洗剤を供給するための洗剤タンクである。この浴室設置容器Aは、容器本体部1、蓋2、補助部材3、および追加の蓋5を備えている。これらの材質は、いずれも樹脂製であるが、これに限定されない。なお、浴室設置容器Aには、ゴム製または樹脂製のパッキン4も付属して設けられている。
【0028】
追加の蓋5は、容器本体部1に設けられた開口部18を密閉するように螺合方式で容器本体部1に装着されるものであり、開口部18から容器本体部1内には、洗剤の液面レベルを検出するためのセンサ(不図示)が挿入されている。追加の蓋5は、通気性を有しておらず、本発明の浴室設置容器の蓋には該当しない(ただし、センサ用の追加の蓋5に、本発明を適用し、通気性をもたせた構成とすることも可能である)。
図1において、符号19は、洗剤の流出管を示しており、この流出管19に接続された配管部材6を介して所望の位置に洗剤が供給される。
【0029】
容器本体部1は、洗剤の収容に適した形状ならびにサイズに形成されており、その上部には、洗剤投入用の開口部10aが上端に形成され、かつ外周面にネジ部10bを有する口頸部10が一体的に形成されている。後述するように、口頸部10に対し、蓋2は補助部材3を介して装着されている。
【0030】
補助部材3は、異径略円筒状であり、この補助部材3の上部の外周面には、他の部分よりも外径が大きい外周側段部30が形成され、かつ上部の内周面には、他の部分よりも内径が小さい内周側段部31が形成されている。この補助部材3の内周面のうち、内周側段部31よりも下側には、ネジ部32が形成されている。補助部材3は、口頸部10に外嵌し、かつネジ部10b,32どうしは螺合されている。
【0031】
図3および
図4に示すように、蓋2は、略円板状の天板部21の裏面部に下向き凸状の筒状壁部22が設けられた蓋本体部20と、蓋本体部20の外周縁部から下向きに突出した複数の外側壁部23とを備えており、これらは一体成形されている。筒状壁部22には、複数の通気孔24が設けられている。
【0032】
筒状壁部22は、
図2に示すように、補助部材3の外周側段部30の外周面に外嵌可能である。この筒状壁部22の内周面には、外周側段部30の外周面に形成された環状の凹部33に嵌合(係入)可能な環状の凸状のシール部25が設けられている。このシール部25と凹部33との嵌合により、止水シールが図られている。好ましくは、シール部25は、通気孔24よりも下方に設けられており、筒状壁部22の下端部と外周側段部30の外周面との隙間に、仮に、水が進入したとしても、浴室設置容器A内に水が進入することはシール部25により阻止されている。
なお、本発明においては、本実施形態とは反対に、外周側段部30に環状の凸部を形成し、かつシール部25をその凸部に嵌合可能な環状の凹状とすることもできる。
【0033】
通気孔24は、筒状壁部22をその厚み方向に貫通して設けられており、たとえば筒状壁部22の周方向に適当な長さをもつ略長円状または矩形状である。ただし、丸孔などの
他の形態とすることもできる。本実施形態において、通気孔24は、筒状壁部22の中心を挟んで対向する計2箇所に設けられている。また、
図2の要部拡大断面図に示すように、通気孔24は、補助部材3によって塞がれないように筒状壁部22の上側基部近傍に設けられ、また補助部材3の上端部外周縁には、通気孔24の形成箇所から離間するテーパ部34が設けられている。
【0034】
図4によく表れているように、複数の外側壁部23は、筒状壁部22からその外側(半径方向外方)に離間した配置で、蓋本体部20の周方向に間隔を隔てて並んでおり、周方向に不連続な非筒状の壁部とされている。これら複数の外側壁部23のうち、2つの外側壁部23(23A)は、通気孔24に対向している。各外側壁部23の内側面23aは、筒状壁部22の外周面の接線方向に延びる平面状である。このため、
図4(b)の要部拡大図に示すように、筒状壁部22と外側壁部23の内側面23aとの相互間の隙間Cの幅Laは、通気孔24に接近するほど徐々に狭くなっている。この構成は、後述するように、ベンチュリ効果により通気孔24に水が進入し難くなる作用を生じさせる。
【0035】
次に、前記した浴室設置容器Aの使用例ならびに作用について説明する。
【0036】
図2に示すように、浴室設置容器Aは、たとえば浴槽フランジ7の下側に容器本体部1が位置するように取付けられる。具体的には、浴槽フランジ7には孔部70が設けられており、補助部材3は、上部の外周側段部30が浴槽フランジ7の上面に係止するようにして孔部70に挿入されている。浴槽フランジ7の下面側と容器本体部1との相互間には、パッキン4が介装され、このパッキン4と外周側段部30との両者によって浴槽フランジ7が挟まれている。
図1に示した流出管19に接続された配管部材6は、不図示の浴室洗浄装置の湯水供給路にベンチュリ部を介して分岐接続され、このベンチュリ部において発生する負圧の作用により、浴室設置容器A内の洗剤は湯水供給流路に流入し、湯水と混合された洗剤は、洗浄ノズルから浴槽に向けて噴出される。
【0037】
浴室設置容器A内の洗剤が流出管19から流出する際には、浴室設置容器A内に負圧が発生し、浴室設置容器A内には、外部空気が通気孔24を介して流入する。ここで、通気孔24は、蓋2の筒状壁部22に貫通して設けられており、比較的大きな開口面積とすることができる。このため、通気孔24を介しての通気を安定させることができる。また、通気孔24の開口面積を大きくすれば、通気孔24を通過する空気流の流速を遅くすることができるために、通気孔24の付近に水が存在する場合に、流速が速い空気流によって通気孔24に水が進入することも防止または抑制される。
【0038】
通気孔24の外側には、外側壁部23が位置しており、シャワー水などの水が蓋2に向けて飛散した場合であっても、この水が通気孔24に直接掛かることは外側壁部23によって防止される。したがって、通気孔24内に水がより進入し難くなり、通気孔24が比較的大きな面積で設けられた場合であっても、通気孔24を介して浴室設置容器A内に水が不当に進入することを適切に防止または抑制することが可能である。
【0039】
複数の外側壁部23は、周方向に互いに離間しているため、複数の外側壁部23の内側に水が進入した場合に、その外部への排水を行なわれ易くすることも可能である。すなわち、本実施形態とは異なり、仮に、外側壁部23が周方向に連続した筒状とされている場合には、外側壁部23の内側に進入した水は、表面張力に起因して外部に流出し難くなり、水が残留し易い。これでは、この残留水が通気孔24に進入する可能性が高くなる。これに対し、本実施形態の構成によれば、そのような現象を生じ難くする作用も得られる。
【0040】
図4(b)の要部拡大図において、たとえばシャワー水などの水流が、矢印Naで示すように、外側壁部23と筒状壁部22との相互間の隙間Cに、その一端部側から進入した
場合、隙間Cの幅Laは通気孔24に接近するほど狭くなるため、前記水流は高速となる。すると、ベンチュリ効果により、通気孔24から隙間C側に空気が流出する作用が得られる。したがって、隙間Cから通気孔24に前記水流が進入しないようにすることができる。また、前記水流が通気孔24の付近を通過すると、隙間Cの幅Laは徐々に広くなる。したがって、前記水流は、前記隙間Cを円滑に流れ、隙間Cの他端部側から外部に流出し易い。したがって、隙間C内に水が残留し難くなる作用も得られる。
【0041】
シール部25と環状の凹部33との嵌合により、止水シールが図られており、筒状壁部22の下端部と補助部材3の外周側段部30の外周面との微小隙間に水が進入したとしても、この水は前記した止水シールの部位を越えて浴室設置容器Aの内部に進入することは適切に防止される。
【0042】
蓋2の開閉時などにおいては、ユーザは手で蓋2を把持するが、その際には複数の外側壁部23に指を引っ掛ければよい。複数の外側壁部23は、互いに離間した配置であるため、そのような指の引っ掛けを簡単かつ自然に行なえることとなり、使い勝手もよい。
【0043】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る浴室設置容器の蓋、および浴室設置容器の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0044】
上述の実施形態においては、蓋の筒状壁部に通気孔が計2箇所設けられているが、通気孔は、少なくとも1つ設けられていればよく、その具体的な数は問わない。また、既述したように、通気孔の形状は限定されず、またその具体的なサイズも問わない。
【0045】
本発明における蓋の外側壁部は、本来的には、通気孔に対向して設けられ、この通気孔に水が掛かることを防止または抑制するものであるが、上述の実施形態のように、通気孔には対向しない外側壁部をさらに設けた構成とすることも可能である。勿論、これとは異なり、通気孔に対向しない外側壁部を設けない構成とすることも可能である。
【0046】
本発明における蓋の筒状壁部は、円筒状に限らず、外嵌対象の部位の形状に対応させて変更可能である。たとえば、楕円筒状、角筒状などの非円筒状とすることもできる。
上述の実施形態においては、蓋2が、容器本体部1の口頸部10に補助部材3を介して取付けられているが、本発明はこれに限定されない。補助部材としては、前記自した補助部材3とは異なった構成のものを用いることができる。また、容器本体部1の口頸部10を、蓋2の筒状壁部22を直接外嵌させることが可能な構成とすることにより、補助部材3またはこれとは別の補助部材を用いることなく、口頸部10に蓋2を直接的に装着する構成とすることも可能である。
【0047】
本発明でいう浴室設置容器とは、浴室に設置されて用いられる容器を意味しており、洗剤タンクに限らない。浴室設置容器内に収容される物質の種類も限定されず、たとえば洗剤に代えて、入浴剤などとすることもできる。
【符号の説明】
【0048】
A 浴室設置容器
C 隙間
1 容器本体部
10 口頸部
2 蓋
20 蓋本体部
22 筒状壁部
23,23A 外側壁部
23a 内側面(外側壁部の)
24 通気孔
25 シール部
3 補助部材
33 環状の凹部