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特許7187879波長変換素子、光源装置およびプロジェクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】波長変換素子、光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20221206BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20221206BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20221206BHJP
   F21V 9/35 20180101ALI20221206BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B5/20
G03B21/14 A
F21S2/00 311
F21V9/35
G02F1/13357
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018149668
(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2020030224
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】荒川 修
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-064391(JP,A)
【文献】特開2011-013315(JP,A)
【文献】特開2017-147176(JP,A)
【文献】国際公開第2014/171394(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03B 21/14
F21S 2/00
F21V 9/35
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を波長変換して蛍光を生成する波長変換層と、
前記波長変換層における前記蛍光を射出する射出面に対して傾斜するように設けられ、前記蛍光を反射する第1反射部材と、
前記波長変換層の前記射出面側に設けられる凸状部材と、を備え
前記第1反射部材は、前記凸状部材に設けられる
ことを特徴とする波長変換素子。
【請求項2】
励起光を波長変換して蛍光を生成する波長変換層と、
前記波長変換層における前記蛍光を射出する射出面に対して傾斜するように設けられ、前記蛍光を反射する第1反射部材と、
前記波長変換層とは異なる物質で形成され、前記波長変換層の前記射出面側に設けられる凸状部材と、を備え
前記第1反射部材は、前記凸状部材に設けられる
ことを特徴とする波長変換素子。
【請求項3】
励起光を波長変換して蛍光を生成する波長変換層と、
前記波長変換層における前記蛍光を射出する射出面に対して傾斜するように設けられ、前記蛍光を反射する第1反射部材と、
前記波長変換層の前記射出面側に配置され、少なくとも前記第1反射部材で反射された前記蛍光の進行方向を変化させる光学素子と、を備える
ことを特徴とする波長変換素子。
【請求項4】
励起光を波長変換して蛍光を生成する波長変換層と、
前記波長変換層における前記蛍光を射出する射出面に対して傾斜するように設けられ、前記蛍光を反射する第1反射部材と、
前記蛍光を透過し、前記波長変換層の前記射出面側に設けられる透光性部材と、
前記透光性部材に対向して配置され、少なくとも前記第1反射部材で反射される前記蛍光の進行方向を変化させる光学素子と、
前記透光性部材と前記光学素子との間に設けられ、前記光学素子よりも屈折率の低い低屈折率層と、を備え、
前記第1反射部材は、前記透光性部材に設けられる
ことを特徴とする波長変換素子。
【請求項5】
前記蛍光を導光する導光体と、
前記蛍光を反射して前記導光体に入射させる第2反射部材と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項6】
励起光を波長変換して蛍光を生成する波長変換層と、
前記波長変換層における前記蛍光を射出する射出面に対して傾斜するように設けられ、前記蛍光を反射する第1反射部材と、
前記蛍光を導光する導光体と、を備え、
前記第1反射部材は、前記導光体の光入射部に埋め込まれている
ことを特徴とする波長変換素子。
【請求項7】
前記導光体における側面の光入射面側に設けられた第3反射部材をさらに備える
ことを特徴とする請求項に記載の波長変換素子。
【請求項8】
前記第2反射部材は、前記波長変換層の前記射出面から離間するにつれて前記導光体の中心軸から離れる方向に傾斜して設けられる
ことを特徴とする請求項に記載の波長変換素子。
【請求項9】
前記蛍光の射出方向に沿って平面視した場合に、複数の前記第1反射部材により構成される反射領域は格子状である
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項10】
励起光を射出する光源と、
請求項1~のいずれか一項に記載の波長変換素子と、を備える
ことを特徴とする光源装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、を備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換素子、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、蛍光体に励起光を照射することで生成した蛍光を照明光として利用する光源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-195098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に蛍光体から射出された蛍光はランバート放射となるため、エテンデューが大きくなりやすい。エテンデューが大きくなると、蛍光体の後段に配置される光学系が蛍光の一部を呑み込めず、蛍光の利用効率が低下してしまう。
【0005】
そこで、蛍光体上において励起光の入射面積を小さくするとエテンデューを小さくすることも考えられるが、励起光の入射面積を小さくすると励起光の光密度が高くなることで光消光と呼ばれる現象の影響が大きくなるという問題がある。光消光とは、蛍光体が励起状態にあるときに蛍光を吸収すると、電子が発光を伴わないコンダクションバンドに再励起されることで蛍光発光効率が低下する現象である。
このように従来の光源装置では、光消光の影響を抑えつつ、エテンデューを小さくすることが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の波長変換素子は、励起光を波長変換して蛍光を生成する波長変換層と、前記波長変換層における前記蛍光を射出する射出面に対して傾斜するように設けられ、前記蛍光を反射する第1反射部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記第1反射部材は、波長変換層に設けられてもよい。
【0008】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記波長変換層とは異なる物質で形成され、前記波長変換層の前記射出面側に設けられる凸状部材をさらに備え、前記第1反射部材は、前記凸状部材に設けられてもよい。
【0009】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記蛍光を透過し、前記波長変換層の前記射出面側に設けられる透光性部材をさらに備え、前記第1反射部材は、前記透光性部材に設けられてもよい。
【0010】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記波長変換層の前記射出面側に配置され、少なくとも前記第1反射部材で反射された前記蛍光の進行方向を変化させる光学素子をさらに備えてもよい。
【0011】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記透光性部材に対向して配置され、少なくとも前記第1反射部材で反射される前記蛍光の進行方向を変化させる光学素子と、前記透光性部材と前記光学素子との間に設けられ、前記光学素子よりも屈折率の低い低屈折率層と、を有してもよい。
【0012】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記蛍光を導光する導光体と、前記蛍光を反射して前記導光体に入射させる第2反射部材と、をさらに備えてもよい。
【0013】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記蛍光を導光する導光体をさらに備え、前記第1反射部材は、前記導光体の光入射部に埋め込まれてもよい。また、前記導光体における側面の光入射面側に設けられた第3反射部材をさらに備えてもよい。
【0014】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記第2反射部材は、前記波長変換層の前記射出面から離間するにつれて前記導光体の中心軸から離れる方向に傾斜して設けられてもよい。
【0015】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、前記蛍光の射出方向に沿って平面視した場合に、複数の前記第1反射部材により構成される反射領域は格子状であってもよい。
【0016】
本発明の一つの態様の光源装置は、励起光を射出する光源と、本発明の一つの態様の波長変換素子と、を備える。
【0017】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。
図2】照明装置の概略構成を示す図である。
図3】波長変換素子の構成を示す断面図である。
図4】波長変換素子の要部構成を示す拡大斜視図である。
図5】第2実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図6】第2実施形態の第1変形例の波長変換素子の断面図である。
図7】第2実施形態の第2変形例の波長変換素子の断面図である。
図8】第3実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図9】第3実施形態の波長変換素子の要部構成を示す拡大図である。
図10】第4実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図11】第5実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図12】第6実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図13】第7実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図14】第8実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図15】反射型の波長変換素子の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は本実施形態のプロジェクターの概略構成を示す図である。
図1に示すように、第1実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー映像を表示する投写型画像表示装置である。プロジェクター1は、照明装置2と、色分離光学系3と、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bと、合成光学装置5と、投写光学装置6とを備える。
【0021】
照明装置2からは、少なくとも赤色光LR、緑色光LG、青色光LB(図2参照)の三原色の光を含む照明光WLが射出される。色分離光学系3は、照明光WLを赤色光LRと、緑色光LGと、青色光LBとに分離する。なお、本明細書において、赤色光LRとは590nm以上700nm以下のピーク波長を有する可視赤色光を示し、緑色光LGとは500nm以上590nm以下のピーク波長を有する可視緑色光を示し、青色光LBとは400nm以上500nm以下のピーク波長を有する可視青色光を示す。
【0022】
色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7a及び第2のダイクロイックミラー7bと、第1の全反射ミラー8a、第2の全反射ミラー8b及び第3の全反射ミラー8cとを備える。第1のダイクロイックミラー7aは、照明装置2からの照明光WLを赤色光LRと、その他の光(青色光LB及び緑色光LG)とに分離する。第1のダイクロイックミラー7aは、青色光LB及び緑色光LGを反射するとともに、赤色光LRを透過させる。第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGを反射するとともに青色光LBを透過させる。
【0023】
第1の全反射ミラー8aは、赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。第2の全反射ミラー8b及び第3の全反射ミラー8cは、青色光LBを光変調装置4Bに導く。緑色光LGは、第2のダイクロイックミラー7bから光変調装置4Gに向けて反射される。
【0024】
第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路中における第2のダイクロイックミラー7bの後段に配置されている。
【0025】
光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色の画像光を形成する。
光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色の画像光を形成する。光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色の画像光を形成する。光変調装置4B,4G,4Rには、例えば透過型の液晶パネルが用いられる。
【0026】
光変調装置4B,4G,4Rの入射側及び射出側には、不図示の偏光板が配置される。また、光変調装置4B,4G,4Rの入射側には、それぞれフィールドレンズ10B,10G,10Rが配置される。
【0027】
合成光学装置5には、光変調装置4B,4G,4Rからの各画像光が入射する。合成光学装置5は、青色、緑色、赤色の各画像光を合成し、合成された画像光を投写光学装置6に向けて射出する。合成光学装置5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0028】
投写光学装置6は、合成光学装置5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大させつつ投写する。スクリーンSCR上には、拡大されたカラー映像が表示される。投写光学装置6には、例えば、鏡筒と、鏡筒内に配置される複数のレンズとによって構成される組レンズが用いられる。
【0029】
<照明装置>
図2は照明装置の概略構成を示す図である。
図2に示すように、照明装置2は、第1光源装置(光源装置)11と、第2光源装置12、ダイクロイックミラー13、均一化照明手段14とを備えている。
【0030】
第1光源装置11は、第1光源(光源)20、集光光学系22、波長変換素子23及びピックアップ光学系27を備える。
【0031】
第1光源20は、光源ユニット20aとコリメーター光学系20bとを含む。光源ユニット20aは、レーザー光からなる青色光線B1を射出する複数の半導体レーザー20a1から構成される。青色光線B1の発光強度のピークは、例えば445nmである。複数の半導体レーザー20a1は、照明光軸100axと直交する一つの平面内においてアレイ状に配置されている。なお、半導体レーザー20a1としては、445nm以外の波長、例えば455nmや460nmの青色光を射出するものを用いることもできる。
【0032】
また、コリメーター光学系20bは、複数のコリメーターレンズ20b1から構成される。コリメーターレンズ20b1は、各半導体レーザー20a1に対応するように、照明光軸100axと直交する一つの平面内においてアレイ状に配置されている。コリメーターレンズ20b1は、対応する半導体レーザー20a1から射出された青色光線B1を平行光に変換する。
このような構成に基づいて、本実施形態の第1光源20は、複数の青色光線B1からなる励起光LLを射出可能である。
【0033】
集光光学系22は、第1光源20から射出された励起光LLを集光させて波長変換素子23に入射させる。本実施形態において、集光光学系22は、例えば、各々が凸レンズから構成された、第1レンズ22a及び第2レンズ22bを備えている。なお、波長変換素子23の構成については後述する。
【0034】
ピックアップ光学系27は、例えば第1コリメートレンズ27aと第2コリメートレンズ27bとを備えている。ピックアップ光学系27は、波長変換素子23から射出される蛍光LYを略平行化する平行化光学系である。第1コリメートレンズ27aおよび第2コリメートレンズ27bは、それぞれ凸レンズから構成されている。
【0035】
ピックアップ光学系27により平行化された蛍光LYは、ダイクロイックミラー13に入射する。ダイクロイックミラー13は、第2光源装置12の光軸101ax及び照明装置2の照明光軸100axのそれぞれに対して45°の角度で交わるように配置されている。ダイクロイックミラー13は、蛍光LYを透過するとともに、第2光源装置12からの光を反射する特性を有する。
【0036】
<波長変換素子>
続いて、波長変換素子23の構成について説明する。
図3は、波長変換素子の構成を示す断面図である。図3に示すように、波長変換素子23は、基材34と、蛍光体(波長変換層)35と、ダイクロイック膜36と、反射構造体44と、マイクロレンズ(光学素子)45と、を有する。蛍光体35は、励起光LLを該青色光LBとは異なる波長帯である黄色の蛍光LYに変換する。本実施形態の波長変換素子23は、一方側(下方側)から励起光LLが入射し、他方側(上方側)から蛍光YLを射出する透過型の素子である。
【0037】
基材34は、板状部材であり、蛍光体35を支持する支持台である。基材34は、例えば、サファイア、単結晶SiC等の透光性及び高い熱伝導率を有した材料で構成される。ダイクロイック膜36は、基材34及び蛍光体35間に設けられる。ダイクロイック膜36は蛍光体35の底面35bに設けられている。ダイクロイック膜36は、青色光LBを透過させるとともに蛍光YLを反射する光学特性を有する。なお、ダイクロイック膜36は基材34の上面(蛍光体35側)に設けられていてもよい。
【0038】
蛍光体35は、例えば複数のYAG蛍光体粒子を焼結したYAGセラミック系のセラミック蛍光体から構成される。
【0039】
図4は、波長変換素子の要部構成を示す拡大斜視図である。図4に示すように、蛍光YLの射出方向(照明光軸100ax)に沿って平面視した際、反射構造体44は格子状である。本実施形態において、反射構造体44は、凸状部材47と反射層(第1反射部材)46とで構成される。
【0040】
図3に示すように、本実施形態において、凸状部材47は蛍光体35の一部でそれぞれ構成されている。図4に示すように、凸状部材47は、蛍光体35の上面における第1方向に沿って延びる複数の第1凸状部材47aと、蛍光体35の上面における第1方向に直交する第2方向に沿って延びる複数の第2凸状部材47bと、を含む。
【0041】
第1凸状部材47aと第2凸状部材47bとは交差した状態で配置されている。凸状部材47は、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した平面形状が格子状である。ここで、蛍光YLの射出方向とは照明光軸100axに沿った方向をいう。
第1凸状部材47aは延在方向に直交する面による断面が逆V字状である。同様に第2凸状部材47bは延在方向に直交する面による断面が逆V字状である。
【0042】
第1凸状部材47a及び第2凸状部材47bの表面は、蛍光体35において蛍光YLを射出する射出面35aに対して傾斜する傾斜面となっている。以下、第1凸状部材47a及び第2凸状部材47bの表面(傾斜面)を総称して凸状部材47の表面47cと称す。
【0043】
反射層46は、凸状部材47の表面47cに設けられる。反射層46は、例えば、Ag、Al等の金属膜或いは誘電体多層膜で構成され、後述の光射出領域35S(射出面35a)から射出された蛍光YLを反射する。本実施形態において、表面47cは射出面35aに対する傾斜面となっているため、表面47c上に設けられた反射層46は射出面35aに対して傾斜した状態に設けられる。
【0044】
蛍光体35の上面のうち反射構造体44が形成されない部分が蛍光YLを射出する光射出領域35Sを構成する。本実施形態において、光射出領域35Sは蛍光体35における射出面35aに相当する。
【0045】
一方、反射構造体44が形成された部分が射出面35aから射出された蛍光YLを反射する反射領域35Rを構成する。蛍光YLの射出方向(照明光軸100ax)に沿って平面視した場合において、反射領域35Rは格子状に設けられている。すなわち、光射出領域35S(射出面35a)は、反射領域35Rによって区画された領域にそれぞれ配置されている。そのため、反射領域35Rは、光射出領域35Sの周囲を囲むように設けられている。
【0046】
図3に戻り、マイクロレンズ45は複数の小レンズ45aを含む。複数の小レンズ45aは、反射構造体44で区画される光射出領域35S各々に対応して設けられる。各小レンズ45aは上面側に凸面を有し、下面側に平面を有する平凸レンズから構成される。
【0047】
ここで、波長変換素子23の作用について説明する。
励起光LLは基材34及びダイクロイック膜36を透過して蛍光体35に入射する。蛍光体35内で生成された蛍光YLの多くは光射出領域35S(射出面35a)から射出される。また、蛍光体35内で生成された蛍光YLの一部は下方に向かった後にダイクロイック膜36で反射されて、光射出領域35S(射出面35a)から射出される。
【0048】
図3に示すように、光射出領域35S(射出面35a)から射出された蛍光YLの一部はマイクロレンズ45を透過してピックアップ光学系27に入射する。蛍光YLは射出面35aからランバート放射されるため、射出面35aに対して大きな射出角度をもつ第1成分YL1を含む。反射構造体44は第1成分YL1を反射層46で反射する。
【0049】
ここで、蛍光体35の射出面35aの法線方向H1と凸状部材47の表面47cとのなす斜面角度をθ、第1成分YL1の法線方向H1に対する第1射出角度をθi、反射層46で反射された第1成分YL1の法線方向H1に対する第2射出角度をθとする。
例えば、斜面角度θを30度、第1射出角度θiを60度とした場合、反射後における第1成分YL1の第2射出角度θは0度となる。すなわち、第2射出角度θは第1射出角度θiよりも小さくなる。なお、斜面角度θの値は一例であって上記に限定されるものではない。すなわち、斜面角度θは、第2射出角度θを第1射出角度θiよりも小さくする効果を奏する範囲で適宜調整可能である。
【0050】
本実施形態の波長変換素子23によれば、蛍光YLのうち大きな射出角度をもつ第1成分YL1を反射層46で反射することによって、第1成分YL1の法線方向H1に対する第2射出角度θを小さくできる。ここで、第2射出角度θを小さくすることは、蛍光YLにおける放射角度を小さくすることと等価である。蛍光YLの放射角度が小さくなるとエテンデューの増大が低減されるため、蛍光YLの利用効率が向上する。また、本実施形態の波長変換素子23では、蛍光体35上における励起光LLの入射面積を小さくすることなくエテンデューを小さくできるため、励起光の光密度が高くなることによる光消光の発生が抑制される。
したがって、本実施形態の波長変換素子23によれば、光消光の影響を抑えつつ、エテンデューを小さくすることができる。
【0051】
図3に示すように、光射出領域35S(射出面35a)から射出された蛍光YLの一部はマイクロレンズ45における対応する小レンズ45aに直接入射する。また、光射出領域35S(射出面35a)から射出された蛍光YLの残りの一部は反射層46を介して対応する小レンズ45aに入射する。小レンズ45aは射出面35aの法線方向H1に対する射出角度を小さくする方向に蛍光YLを屈折させる。すなわち、本実施形態の波長変換素子23によれば、マイクロレンズ45を備えるので、蛍光YLの放射角度をより小さくすることでエテンデューの増大を低減させて蛍光YLの利用効率をより向上できる。なお、小レンズ45aは光射出領域35S(射出面35a)から射出された蛍光YLのうち反射層46で反射された第1成分YL1のみを反射するように設けてもよい。
【0052】
また、本実施形態の波長変換素子23では、光射出領域35Sの周囲を囲むように反射領域35Rが設けられるため、平面視した状態において光射出領域35Sから種々な方向に射出された蛍光YLを反射領域35Rで反射することができる。よって、各光射出領域35Sから射出された蛍光YLの放射角度分布は円形状となる。本実施形態の反射構造体44によれば、各光射出領域35Sから射出される蛍光YLの放射角度分布が等方的な分布となるので、上述したエテンデューの低減化をより実現しやすくなる。
【0053】
図2に戻り、第2光源装置12は、第2光源40、第2集光光学系41、散乱板42及び第2ピックアップ光学系43を備える。
【0054】
第2光源40は、上記第1光源20と同様の構成からなる。本実施形態において、第2光源40は、青色光B2を射出する半導体レーザーと、該半導体レーザーから射出された青色光B2を平行化するコリメーターレンズとを含む。第2光源40は、半導体レーザー及びコリメーターレンズを少なくとも一つずつ有していればよく、第1光源20と同様、半導体レーザー及びコリメーターレンズを複数ずつ有していても良い。
【0055】
第2集光光学系41は、第1レンズ41a及び第2レンズ41bを備える。第2集光光学系41は、第2光源40からの青色光B2を散乱板42付近に集光する。第1レンズ41a及び第2レンズ41bは凸レンズからなる。
【0056】
散乱板42は、第2光源40からの青色光B2を散乱し、第1光源装置11において生成される蛍光LYの配光分布に似た配光分布を有する青色光B2とする。散乱板42としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスを用いることができる。
【0057】
第2ピックアップ光学系43は、第1レンズ43aと第2レンズ43bとを備え、散乱板42からの光を略平行化する。第1レンズ43a及び第2レンズ43bは凸レンズからなる。
【0058】
本実施形態において、第2光源装置12からの青色光B2はダイクロイックミラー13で反射され、第1光源装置11から射出され、ダイクロイックミラー13を透過した蛍光LYと合成されて白色の照明光WLとなる。照明光WLは均一化照明手段14に入射する。
【0059】
均一化照明手段14は、第1レンズアレイ30、第2レンズアレイ31、偏光変換素子32及び重畳レンズ33を含む。
【0060】
第1レンズアレイ30は、ダイクロイックミラー13からの光を複数の部分光束に分割するための複数の第1小レンズ30aを有する。複数の第1小レンズ30aは、照明光軸100axと直交する面内にマトリクス状に配列されている。
【0061】
第2レンズアレイ31は、第1レンズアレイ30の複数の第1小レンズ30aに対応する複数の第2小レンズ31aを有する。第2レンズアレイ31は、重畳レンズ33とともに、第1レンズアレイ30の各第1小レンズ30aの像を光変調装置4R,4G,4Bの画像形成領域近傍に結像させる。複数の第2小レンズ31aは照明光軸100axに直交する面内にマトリクス状に配列されている。
【0062】
偏光変換素子32は、照明光WLの偏光方向を揃えるものである。偏光変換素子32は、例えば、偏光分離膜と位相差板とミラーとから構成されている。偏光変換素子32は、非偏光である蛍光LYの偏光方向と青色光B2の偏光方向とを揃えるため、他方の偏光成分を一方の偏光成分に、例えばP偏光成分をS偏光成分に変換する。
【0063】
重畳レンズ33は、偏光変換素子32からの各部分光束を集光して光変調装置4R,4G,4Bの画像形成領域近傍で互いに重畳させる。第1レンズアレイ30、第2レンズアレイ31及び重畳レンズ33は、照明光WLの面内光強度分布を均一にするインテグレーター光学系を構成する。
【0064】
以上説明した本実施形態に係る波長変換素子23によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の波長変換素子23は、励起光LLを波長変換して蛍光YLを生成する蛍光体35と、蛍光体35における蛍光YLを射出する射出面35aに対して傾斜するように設けられ、蛍光YLを反射する反射層46と、を備える。
【0065】
本実施形態の波長変換素子23によれば、射出面35aに対して傾斜する反射層46を備えるので、射出面35aから射出された蛍光YLのうち大きな射出角度をもつ第1成分YL1を反射することで第1成分YL1の法線方向H1に対する射出角度を小さくできる。よって、蛍光YLの放射角度を小さくすることでエテンデューの増大を低減して、蛍光YLの利用効率を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態の波長変換素子23によれば、反射層46が蛍光体35(凸状部材47)に設けられる。これにより、蛍光体35の一部で構成した凸状部材47を利用して反射層46を簡便かつ確実に設けることができる。
【0067】
また、本実施形態の波長変換素子23によれば、蛍光体35の射出面35a側に配置され、少なくとも反射層46で反射された蛍光YLの進行方向を変化させるマイクロレンズ45(小レンズ45a)をさらに備える。これにより、蛍光YLの放射角度をより小さくすることでエテンデューの増大を低減させて蛍光YLの利用効率をより向上できる。
【0068】
また、本実施形態の波長変換素子23によれば、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した場合において、複数の反射層46により構成される反射領域35Rが格子状である。これにより、光射出領域35Sの周囲を囲むように反射領域35Rが設けられるので、各光射出領域35Sから射出された蛍光YLの放射角度分布を等方的な円形状とすることができる。したがって、各光射出領域35Sから射出される蛍光YLの放射角度分布を等方化することで、エテンデューの増大をより低減させ易くなる。
【0069】
以上説明した本実施形態に係る第1光源装置11によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の第1光源装置11は、励起光LLを射出する第1光源20と、波長変換素子23とを備える。これにより、本実施形態の第1光源装置11によれば、光消光の影響を抑えつつエテンデューを小さくした波長変換素子23を備えるので、小型化を図るとともに高輝度な蛍光YLを生成できる。
【0070】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態のプロジェクター1は、第1光源装置11を含む照明装置2と、照明装置2からの青色光LB、緑色光LG、赤色光LRを画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置4B,4G,4Rと、前述の画像光を投写する投写光学装置6とを備える。このことによって、本実施形態のプロジェクター1によれば、小型化を図るとともに高輝度な蛍光YLを生成する第1光源装置11を備えるので、小型化を図るとともに高輝度な画像を形成して投写することができる。
【0071】
なお、本実施形態において、反射層46を設ける凸状部材47の表面47cを平面としたが、表面47cの一部が曲面となっていてもよい。
【0072】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る波長変換素子について説明する。なお、第1実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0073】
図5は本実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図5に示すように、波長変換素子123は、基材34と、蛍光体135と、ダイクロイック膜36と、反射構造体144と、マイクロレンズ45と、を有する。
【0074】
本実施形態の蛍光体135は例えば複数のYAG蛍光体粒子を焼結したYAGセラミック系のセラミック蛍光体から構成され、板状からなる。蛍光体135の上面には、接合層148を介して反射構造体144が接合される。接合層148は、蛍光体135よりも屈折率の低い低屈折率材料で構成される。
【0075】
本実施形態において、反射構造体144は凸状反射部材(凸状部材)147で構成され、蛍光体135における蛍光YLを射出する射出面135a側に設けられる。凸状反射部材147は、蛍光体135とは異なる物質で形成される。本実施形態において、凸状反射部材147は、例えば光を反射するAlやAg等の金属材料で構成される。凸状反射部材147は、第1実施形態の凸状部材47と同様に、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した平面形状が格子状である(図4参照)。
【0076】
また、凸状反射部材147は射出面135aに直交する面による断面が逆V字状である。そのため、凸状反射部材147の表面147aは蛍光体135の射出面135aに対して傾斜する傾斜面となっている。凸状反射部材147の表面147aは、光射出領域135S(射出面135a)から射出された蛍光YLを反射する反射面として機能する。すなわち、本実施形態において、蛍光YLを反射する第1反射部材は凸状反射部材147に設けられている。
【0077】
蛍光体135の上面のうち反射構造体144が設けられていない部分は、蛍光YLを射出する光射出領域135Sを構成する。光射出領域135Sは蛍光体135における射出面135aに相当する。
【0078】
一方、反射構造体144が形成された部分は、射出面135aから射出された蛍光YLを反射する反射領域135Rを構成する。蛍光の射出方向に沿って平面視した場合において、反射領域135Rは格子状となっている。
【0079】
本実施形態の波長変換素子123によれば、蛍光YLのうち大きな射出角度をもつ第1成分YL1を凸状反射部材147の表面147aで反射することによって、第1成分YL1の射出角度を小さくすることができる。これにより、エテンデューの増大を低減しつつ、蛍光YLの利用効率を向上させることができる。また、本実施形態の波長変換素子123では、蛍光体135上における励起光LLの入射面積を小さくすることなくエテンデューを小さくできるため、励起光LLの光密度が高くなることによる光消光の発生を抑制できる。
したがって、本実施形態の波長変換素子123においても、光消光の影響を抑えつつ、エテンデューを小さくすることができる。
【0080】
また、本実施形態の波長変換素子123において、蛍光YLの一部が反射構造体144の下面、すなわち接合層148に入射する。接合層148は蛍光体135よりも屈折率の低い低屈折率材料で構成されるため、接合層148と蛍光体135との界面で蛍光YLを全反射させることができる。全反射された蛍光YLは蛍光体135内に戻され、やがては光射出領域135S(射出面135a)から蛍光体135の外部に射出される。
【0081】
ここで、比較例として、例えば、接合層148を用いずに反射構造体144と蛍光体135とを接触させた状態で固定した場合を考える。この場合において、反射構造体144の下面に入射した蛍光YLは、反射構造体144で反射される際に僅かながら吸収されることで光損失が生じる。
これに対し、本実施形態の波長変換素子123によれば、上述のように反射構造体144の下面に入射した蛍光YLを接合層148によって全反射させるので光損失の発生を低減することで光利用効率を向上できる。
【0082】
また、本実施形態の波長変換素子123によれば、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した場合において、反射構造体144(反射領域135R)が格子状である。このように、光射出領域135Sの周囲を囲むように反射領域135Rが設けられるので、各光射出領域135Sから射出された蛍光YLを等方的な放射角度分布にすることでエテンデューの増大をより低減させ易くすることができる。
【0083】
なお、本実施形態において、凸状反射部材147の表面147aを平面としたが、表面147aの一部が曲面となっていてもよい。
【0084】
(第2実施形態の第1変形例)
続いて、第2実施形態の第1変形例に係る波長変換素子について説明する。なお、第2実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0085】
図6は本変形例の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図6に示すように、波長変換素子123Aは、基材34と、蛍光体135と、ダイクロイック膜36と、反射構造体144Aと、マイクロレンズ45と、を有する。反射構造体144Aは、蛍光体135の上面に接合層148を介して接合される。
【0086】
本変形例において、反射構造体144Aは、凸状部材149と、反射層(第1反射部材)150とを有する。凸状部材149は、蛍光体135とは異なる物質で形成されている。本実施形態において、凸状部材149の材質は特に問わず、例えばセラミックス、金属或いはガラス等で構成される。凸状部材149は、第1実施形態の凸状部材47と同様に、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した平面形状が格子状である(図4参照)。
【0087】
また、凸状部材149は蛍光体135の射出面135aに直交する面による断面が逆V字状である。そのため、凸状部材149の表面149aは射出面135aに対して傾斜する傾斜面となっている。
【0088】
反射層150は、凸状部材149の全面、より具体的には表面149a及び下面149bを覆うように設けられる。反射層150は、例えば、Ag、Al等の金属膜或いは誘電体多層膜で構成される。本実施形態において、表面149aは射出面135aに対して傾斜するため、表面149a上に設けられた反射層150は、射出面135aに対して傾斜した状態に設けられる。これにより、反射層150は光射出領域135S(射出面135a)から射出された蛍光YLの一部を反射する第1反射部材として機能する。
【0089】
蛍光体135の上面のうち反射構造体144Aが設けられていない部分は、蛍光体135から蛍光YLを直接射出する光射出領域135Sを構成する。光射出領域135Sは蛍光体135における射出面135aに相当する。
【0090】
一方、反射構造体144Aが形成された部分は、射出面135aから射出された蛍光YLを反射する反射領域135Rを構成する。蛍光の射出方向に沿って平面視した場合において、反射領域135Rは格子状となっている。
【0091】
本変形例の波長変換素子123Aによれば、蛍光YLのうち大きな射出角度をもつ第1成分YL1を反射層150で反射することによって、第1成分YL1の射出角度を小さくできる。これにより、エテンデューの増大を低減しつつ、蛍光YLの利用効率を向上させることができる。また、本変形例の波長変換素子123Aでは、蛍光体135上における励起光LLの入射面積を小さくすることなくエテンデューを小さくできるため、励起光LLの光密度が高くなることによる光消光の発生を抑制できる。
したがって、本変形例の波長変換素子123Aにおいても、光消光の影響を抑えつつ、エテンデューを小さくすることができる。
【0092】
また、本変形例の波長変換素子123Aにおいても、反射構造体144Aの下面に入射した蛍光YLを接合層148によって全反射することで光利用効率を向上させることができる。
【0093】
また、本変形例の波長変換素子123Aにおいても、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した場合において、反射構造体144(反射領域135R)が格子状であるため、各光射出領域135Sから射出された蛍光YLを等方的な放射角度分布にすることでエテンデューの増大をより低減させ易くすることができる。
【0094】
なお、本実施形態において、反射層150を形成する凸状部材149の表面149aを平面としたが、表面149aの一部が曲面となっていてもよい。
【0095】
(第2実施形態の第2変形例)
続いて、第2実施形態の第2変形例に係る波長変換素子について説明する。なお、第2実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0096】
図7は本変形例の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図7に示すように、波長変換素子123Bは、基材34と、蛍光体135と、ダイクロイック膜36と、反射構造体144Bと、マイクロレンズ45と、を有する。反射構造体144Bは、蛍光体135の上面に接合層148を介して接合される。
【0097】
蛍光体135の上面のうち反射構造体144Bが設けられていない部分は、蛍光体135から蛍光YLを直接射出する光射出領域135Sを構成する。光射出領域135Sは蛍光体135における射出面135aに相当する。
【0098】
一方、反射構造体144Bが形成された部分は、射出面135aから射出された蛍光YLを反射する反射領域135Rを構成する。蛍光の射出方向に沿って平面視した場合において、反射構造体144Bは格子状である。
【0099】
本変形例において、反射構造体144Bは、凸状部材151と、反射層(第1反射部材)152とを有する。凸状部材151は、蛍光体135とは異なる物質で形成されている。本変形例において、凸状部材151は蛍光体135とは異なる物質で形成される。
【0100】
凸状部材151は、光透過性を有する材料からなる母材151aと、母材151a中に含有された母材151aと屈折率の異なる散乱体151bと、を有する。母材151aとしては蛍光体135の屈折率に近い材料を用いるのが好ましい。散乱体151bは、例えば、空気を含有する気孔から構成される。凸状部材151は、第1実施形態の凸状部材47と同様に、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した平面形状が格子状である(図4参照)。
【0101】
また、凸状部材151は蛍光体135の射出面135aに直交する面による断面が逆V字状である。そのため、凸状部材151の表面151a1は射出面135aに対して傾斜する傾斜面となっている。
【0102】
反射層152は、凸状部材151の表面151a1を覆うように設けられる。反射層152は、例えば、Ag、Al等の金属膜或いは誘電体多層膜で構成される。本実施形態において、表面151a1は射出面135aに対して傾斜するため、表面151a1上に設けられた反射層152は、射出面135aに対して傾斜する。これにより、反射層152は光射出領域135S(射出面135a)から射出された蛍光YLを反射する。
【0103】
本変形例の波長変換素子123Bによれば、蛍光YLのうち大きな射出角度をもつ第1成分YL1を反射層152で反射することによって、第1成分YL1の射出角度を小さくできる。これにより、エテンデューの増大を低減しつつ、蛍光YLの利用効率を向上させることができる。また、本変形例の波長変換素子123Bでは、蛍光体135上における励起光LLの入射面積を小さくすることなくエテンデューを小さくできるため、励起光LLの光密度が高くなることによる光消光の発生を抑制できる。したがって、本変形例の波長変換素子123Bにおいても、光消光の影響を抑えつつ、エテンデューを小さくすることができる。
【0104】
また、本変形例の波長変換素子123Bにおいても、反射構造体144Bの下面に入射した蛍光YLの多くを接合層148によって全反射することで光利用効率を向上させることができる。
【0105】
また、本変形例において、蛍光YLのうちの臨界角よりも小さい入射角度で接合層148に入射した成分は接合層148を透過して凸状部材151内に入射することがあり得る。
【0106】
ここで、比較例として、凸状部材151を構成する母材151a中に散乱体151bが含有されていない場合について考える。この場合、凸状部材151内に入射した蛍光YLは母材151a中を透過して凸状部材151の表面151a1に設けられた反射層152で反射される。そのため、凸状部材151内に入射した蛍光YLは反射層152での反射時に吸収ロスが発生し、僅かながら光損失が発生してしまう。
【0107】
これに対して、本変形例によれば、凸状部材151内に入射した蛍光YLは母材151a中に含有された散乱体151bで散乱されることで一部の成分が反射層152に入射することなく再び蛍光体135内に戻される。よって、本変形例の構成によれば、反射層152による蛍光YLの吸収ロスの発生を抑制することで光利用効率をより向上させることができる。
【0108】
また、本変形例の波長変換素子123Bにおいても、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した場合において、反射構造体144B(反射領域135R)が格子状であるため、各光射出領域135Sから射出された蛍光YLを等方的な放射角度分布にすることでエテンデューの増大をより低減させ易くすることができる。
【0109】
なお、本実施形態において、反射層152を形成する凸状部材151の表面151a1を平面としたが、表面151a1の一部が曲面となっていてもよい。
【0110】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る波長変換素子について説明する。なお、上記実施形態及び変形例と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0111】
図8は本実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図8に示すように、波長変換素子223は、基材34と、蛍光体235と、ダイクロイック膜36と、反射構造体244と、マイクロレンズ45と、を有する。
【0112】
本実施形態の蛍光体235は例えば複数のYAG蛍光体粒子を焼結したYAGセラミック系のセラミック蛍光体から構成され、板状からなる。蛍光体235の上面には、反射構造体244が設けられている。
【0113】
本実施形態において、反射構造体244は、透光性部材245と、反射層(第1反射部材)246とを有する。透光性部材245は蛍光YLを透過し、蛍光体135の射出面に設けられる。具体的に透光性部材245は、例えば、光透過性を有するガラス、樹脂、透光性セラミックスなどで構成される。透光性部材245は、下面245aに設けられた凹部247を有する。
【0114】
図9は、波長変換素子の要部構成を示す拡大図である。図9に示すように、凹部247は、下面245aにおける第1方向に沿って延びる複数の第1凹部247aと、下面245aにおける第1方向に直交する第2方向に沿って延びる複数の第2凹部247bとを含む。
【0115】
第1凹部247aと第2凹部247bとは交差した状態で下面245aに形成されている。凹部247は、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した全体形状が格子状である。第1凹部247aは延在方向に直交する面による断面が逆V字状である。同様に第2凹部247bは延在方向に直交する面による断面が逆V字状である。
【0116】
透光性部材245を蛍光体235上に配置した状態において、第1凹部247a及び第2凹部247bの表面は蛍光体235において蛍光YLを射出する射出面235aに対して傾斜する傾斜面となる。以下、第1凹部247a及び第2凹部247bの表面(傾斜面)を総称して透光性部材245の傾斜面247cと称す。なお、透光性部材245が蛍光体235上に配置された状態において、凹部247と蛍光体235とで形成される空間には空気層248が設けられている。
【0117】
本実施形態において、反射層246は、透光性部材245の傾斜面247cに設けられる。反射層246は、例えば、Ag、Al等の金属膜或いは誘電体多層膜で構成され、後述する光射出領域235S(射出面235a)から射出された蛍光YLを反射する。本実施形態において、傾斜面247cは射出面235aに対して傾斜するため、傾斜面247cに設けられた反射層246は射出面235aに対して傾斜した状態に設けられる。
【0118】
本実施形態において、蛍光体235の上面のうち反射構造体244の凹部247と平面的に重ならない部分が蛍光YLを蛍光体235から直接射出する光射出領域235Sを構成する。本実施形態において、光射出領域235Sは蛍光体235における射出面235aに相当する。
【0119】
一方、反射構造体244が形成された部分が射出面235aから射出された蛍光YLを反射する反射領域235Rを構成する。図9に示すように、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した場合において、反射領域235Rは格子状に設けられている。すなわち、光射出領域235S(射出面235a)は、反射領域235Rによって区画された領域に設けられている。そのため、反射領域235Rは、光射出領域235Sの周囲を囲むように設けられる。
【0120】
本実施形態において、マイクロレンズ45は反射構造体244の光射出側に設けられている。具体的に、マイクロレンズ45は透光性部材245の上面245bに貼り付けられている。マイクロレンズ45は複数の小レンズ45aを含み、各小レンズ45aを光射出領域35Sの直上に位置させるように透光性部材245の上面245bに設けられる。
【0121】
続いて、本実施形態の波長変換素子223の作用について説明する。
図8に示すように、光射出領域235S(射出面235a)から射出された蛍光YLは透光性部材245の下面245aから反射構造体244内に入射する。蛍光YLの一部は透光性部材245及びマイクロレンズ45を透過してピックアップ光学系27に入射する。蛍光YLは射出面235aからランバート放射されるため、射出面235aに対して大きな射出角度をもつ第1成分YL1を含む。反射構造体244は第1成分YL1を反射領域235Rの反射層246で反射する。
【0122】
本実施形態の波長変換素子223によれば、蛍光YLのうち大きな射出角度をもつ第1成分YL1を反射層246で反射することによって、第1成分YL1の射出角度を小さくできる。これにより、エテンデューの増大を低減しつつ、蛍光YLの利用効率を向上させることができる。また、本実施形態の波長変換素子223では、蛍光体235上における励起光LLの入射面積を小さくすることなくエテンデューを小さくできるため、励起光LLの光密度が高くなることによる光消光の発生を抑制できる。
したがって、本実施形態の波長変換素子223においても、光消光の影響を抑えつつ、エテンデューを小さくすることができる。
【0123】
また、本実施形態の波長変換素子223において、射出面235aとは別の面から射出された蛍光YLが反射構造体244の凹部247に入射してしまう。凹部247と蛍光体235とで形成される空間には蛍光体235よりも屈折率の低い空気層248が設けられるため、空気層248と蛍光体235との界面で蛍光YLを全反射させることができる。全反射された蛍光YLは蛍光体235内に戻されて再び光射出領域235S(射出面235a)から蛍光体235の外部に射出される。
このように本実施形態の波長変換素子223によれば、反射構造体244の下面に入射した蛍光YLを全反射させるので光損失の発生を低減することで光利用効率を向上することができる。
【0124】
また、本実施形態の波長変換素子223によれば、蛍光YLの射出方向に沿って平面視した場合において、反射領域235Rが格子状である。これにより、光射出領域235Sの周囲を囲むように反射領域235Rが設けられるので、各光射出領域235Sから射出された蛍光YLを等方的な放射角度分布にすることでエテンデューの増大をより低減させ易くすることができる。
【0125】
なお、本実施形態において、反射層246を形成する透光性部材245の傾斜面247cを平面としたが、傾斜面247cの一部が曲面となっていてもよい。
【0126】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態に係る波長変換素子について説明する。なお、第3実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0127】
図10は本実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図10に示すように、波長変換素子323は、基材34と、蛍光体235と、ダイクロイック膜36と、反射構造体244と、接合層(低屈折率層)249と、マイクロレンズ45と、を有する。
【0128】
本実施形態において、マイクロレンズ45は透光性部材245に対向して配置される。具体的に、反射構造体244の上面245bに接合層249を介して貼り付けられている。接合層249は、マイクロレンズ45よりも屈折率の低い低屈折率材料で構成される。マイクロレンズ45は複数の小レンズ45aを含み、各小レンズ45aを光射出領域35Sの直上に位置させるように透光性部材245の上面245bに貼り付けられている。すなわち、本実施形態において、マイクロレンズ45と透光性部材245とは一体に設けられていない。
【0129】
本実施形態の波長変換素子323によれば、第3実施形態の波長変換素子223と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態の波長変換素子323によれば、マイクロレンズ45と透光性部材245とが一体に設けられないため、下記の効果を奏することができる。
【0130】
ここで、比較例として、マイクロレンズ45と透光性部材245とが一体に設けられた場合、すなわち、第3実施形態の波長変換素子223について考える。小レンズ45aに入射した蛍光YLの一部の成分は小レンズ45aの表面で全反射されることで外部に射出されず、透光性部材245側に戻される。マイクロレンズ45と透光性部材245とが一体に設けられた場合、小レンズ45aの表面で全反射された蛍光YLは透光性部材245内へと進み、反射層246で反射される。そのため、小レンズ45aで全反射された蛍光YLは反射層246での反射時に吸収ロスが発生し、僅かながら光損失が発生してしまう。また、小レンズ45aで全反射された蛍光YLは射出面235aを介して蛍光体235内に入射して吸収されることで光損失を発生させる。
【0131】
これに対し、本実施形態の波長変換素子323によれば、小レンズ45aで全反射された蛍光YLは、マイクロレンズ45と透光性部材245との間に設けられた蛍光体135よりも屈折率の低い接合層249で全反射されて小レンズ45aから外部に射出されるようになる。よって、本実施形態の構成によれば、小レンズ45aで全反射された蛍光YLの光損失を低減することで光利用効率をより向上させることができる。
【0132】
なお、本実施形態において、反射層246を形成する透光性部材245の傾斜面247cを平面としたが、傾斜面247cの一部が曲面となっていてもよい。
【0133】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態に係る波長変換素子について説明する。なお、上記実施形態及び変形例と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0134】
図11は本実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図11に示すように、波長変換素子323は、基材34と、蛍光体335と、ダイクロイック膜36と、反射構造体344と、側面構造体300と、導光体310と、を有する。
【0135】
本実施形態の蛍光体335は例えば複数のYAG蛍光体粒子を焼結したYAGセラミック系のセラミック蛍光体から構成され、板状からなる。蛍光体335の上面335aには、反射構造体344と側面構造体300とが設けられている。本実施形態の反射構造体344は、図6に示した反射構造体144Aと同様の構成を有する。すなわち、反射構造体344は、凸状部材149と反射層150とで構成される。反射構造体344は蛍光体335の上面335aに接合層348を介して接合される。接合層348は、蛍光体335よりも屈折率の低い低屈折率材料で構成される。
【0136】
側面構造体300は、反射構造体344の周囲を枠状に囲むように蛍光体335の上面335aに設けられる。側面構造体300は、反射構造体344の周囲を囲む枠部301と、枠部301の内壁面301aに設けられた反射層(第2反射部材)302と、を有する。枠部301の高さは反射構造体344の高さと同等である。なお、枠部301の材質は特に問わず、例えばセラミックス、金属或いはガラス等で構成される。反射層302は、例えば、Ag、Al等の金属膜或いは誘電体多層膜で構成される。このような構成に基づき、側面構造体300は、反射層302で反射させた蛍光YLを導光体310に入射させることが可能である。
【0137】
導光体310は蛍光体335から射出された蛍光YLを導光することで蛍光YLの照度分布を均一化する。導光体310は、例えばBK7等のホウケイ酸ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス等を含む光学ガラス、水晶、およびサファイア等の透光性部材で構成されている。導光体310は中心軸O方向に延びる。中心軸O方向は照明光軸100axに一致する。
【0138】
本実施形態の導光体310は、光入射面310aと光射出面310bとを有し、中心軸Oに直交する断面積が光入射面310aから光射出面310bに向かって大きくなるテーパーロッド形状を有する。なお、導光体310における中心軸Oに直交する断面は円形或いは四角形のいずれでもよい。
【0139】
中心軸Oに沿う方向において、導光体310の光入射面310aは枠部301の上面301bと同じ高さに配置されている。また、光入射面310aの大きさは、枠部301の内壁面301aによる開口の大きさと略同じである。
【0140】
蛍光体335の上面335aのうち枠部301に囲まれた領域の内側かつ反射構造体344が設けられていない部分が、蛍光YLを射出する光射出領域335Sを構成する。光射出領域335Sは蛍光体335における射出面336に相当する。
【0141】
一方、反射構造体344が形成された部分は、射出面336から射出された蛍光YLを反射する反射領域335Rを構成する。蛍光YLの射出方向に沿って平面視した場合において、反射領域335Rは格子状となっている。
【0142】
本実施形態の波長変換素子323によれば、蛍光YLのうち大きな射出角度をもつ第1成分YL1を反射領域335Rで反射することによって、第1成分YL1の射出角度を小さくすることができる。これにより、エテンデューの増大を低減しつつ、蛍光YLの利用効率を向上させることができる。また、本実施形態の波長変換素子323では、蛍光体335上における励起光LLの入射面積を小さくすることなくエテンデューを小さくできるため、励起光LLの光密度が高くなることによる光消光の発生を抑制できる。
したがって、本実施形態の波長変換素子323においても、光消光の影響を抑えつつ、エテンデューを小さくすることができる。
【0143】
また、本実施形態の波長変換素子323では、反射構造体344の周囲を囲む側面構造体300を備える。ここで、側面構造体300を設けない場合について考える。この場合、例えば、蛍光体335の上面335aのうち外縁部に位置する光射出領域335Sから射出された蛍光YLの第2成分YL2は導光体310に入射せず光損失を生じるおそれがある。これに対し、側面構造体300を備える本実施形態の波長変換素子323によれば、蛍光体335の上面335aのうち外縁部に位置する光射出領域335Sから射出された蛍光YLの第2成分YL2を反射して導光体310の光入射面310aに入射させることができる。これにより、導光体310に蛍光YLを効率良く入射させることができる。
【0144】
なお、本実施形態では、反射構造体344として、図7に示した反射構造体144Bと同様の構成を有するものを例に挙げたが、反射構造体344として、上述した反射構造体44、反射構造体144、反射構造体144A、反射構造体244のいずれかを適用してもよい。
【0145】
また、上記実施形態において、側面構造体300を蛍光体335の上面335aに配置する場合を例に挙げたが、側面構造体300を蛍光体335の側面335bを囲むように配置してもよい。このように側面構造体300を蛍光体335の側面335bを囲むように配置すれば、蛍光体335の上面335aの面積を小さくできるので、蛍光体335を小型化することでコスト低減を図ることができる。
【0146】
なお、本実施形態において、反射層152を形成する凸状部材151の表面(反射構造体344の表面)を曲面としてもよい。
【0147】
(第6実施形態)
続いて、第6実施形態に係る波長変換素子について説明する。なお、第5実施形態と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0148】
図12は本実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図12に示すように、波長変換素子423は、基材34と、蛍光体335と、ダイクロイック膜36と、反射構造体344と、側面構造体400と、導光体310と、を有する。
【0149】
本実施形態において、側面構造体400は、蛍光体335の周囲を枠状に囲むように蛍光体335の側面335bに設けられる。側面構造体400は、蛍光体335及び蛍光体335上に設けられた反射構造体344を囲む枠部401と、枠部401の内壁面401aに設けられた反射層(第2反射部材)402と、を有する。枠部401の高さは蛍光体335及び反射構造体344を合わせた高さと同等である。なお、枠部401の材質は特に問わず、例えばセラミックス、金属或いはガラス等で構成される。反射層402は、例えば、Ag、Al等の金属膜或いは誘電体多層膜で構成される。このような構成に基づき、側面構造体400は、反射層402で反射させた蛍光YLを導光体310に入射させることが可能である。
【0150】
本実施形態の側面構造体400によれば、内壁面401aのうち反射構造体344に対向する部分が傾斜面401bとなっている。この傾斜面401bは、蛍光体335の射出面336から離間するほど導光体310の中心軸Oから離れる方向に傾斜する。本実施形態において、傾斜面401b上に設けられた反射層402は、蛍光体335の射出面336から離間するほど導光体310の中心軸Oから離れる方向に傾斜して設けられる。
【0151】
本実施形態において、傾斜面401b上に設けられた反射層402は射出面336に対して傾斜した状態に設けられる。なお、傾斜面401bにおける射出面336に対する傾斜角度は、反射構造体344における射出面336に対する傾斜角度と同じである。
【0152】
本実施形態の波長変換素子423によれば、第5実施形態の波長変換素子323と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態の波長変換素子423によれば、側面構造体400における内壁面401aが傾斜面401bとなっているため、射出面336と垂直方向に延びる内壁面301aを有する第5実施形態の側面構造体300に比べて、側面構造体400で反射後の蛍光YLの第2成分YL2の射出角度を小さくできる。よって、導光体310に蛍光YLを効率よく入射させるとともに、放射角度を小さく制御した蛍光YLを導光体310に入射させることができる。
【0153】
なお、本実施形態では、反射構造体344として、図7に示した反射構造体144Bと同様の構成を有するものを例に挙げたが、反射構造体344として、上述した反射構造体44、反射構造体144、反射構造体144A、反射構造体247のいずれかを適用してもよい。
【0154】
(第7実施形態)
続いて、第7実施形態に係る波長変換素子について説明する。なお、上記実施形態及び変形例と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0155】
図13は本実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図13に示すように、波長変換素子523は、基材34と、蛍光体335と、ダイクロイック膜36と、導光体410と、反射構造体544と、を有する。
【0156】
導光体410は蛍光体335から射出された蛍光YLを導光して、図2に示したピックアップ光学系27に導く。導光体410は、例えばBK7等のホウケイ酸ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス等を含む光学ガラス、水晶、およびサファイア等の透光性部材で構成されている。導光体410は中心軸O1方向に延びる。本実施形態の導光体410は、光入射面410aと光射出面410bとを有し、中心軸O1に直交する断面積が光入射面410aから光射出面410bに向かって大きくなるテーパーロッド形状を有する。なお、導光体410における中心軸O1に直交する断面は円形或いは四角形のいずれでもよい。
【0157】
導光体410は光入射部411を有する。光入射部411は、蛍光体335の上面335aから射出された蛍光YLを導光体410内部に入射させる光入射面410aを含む。導光体410の光入射部411における蛍光体335に対向する面のうち反射構造体544が設けられていない部分が上述の光入射面410aとなる。
【0158】
導光体410は蛍光体335に接触もしくは近接した状態に配置されている。そのため、導光体410と蛍光体335との隙間が波長変換素子323及び波長変換素子423の構成に比べて狭くなっている。
【0159】
本実施形態の波長変換素子523では、反射構造体544が導光体410の光入射部411に埋め込まれている。反射構造体544は、図6に示した反射構造体144Aと同様の構成を有する。そのため、反射構造体544は、凸状部材149と反射層150とで構成される。
【0160】
本実施形態の波長変換素子523において、蛍光体355から射出された蛍光YLが光入射面410aを介して導光体410内に入射する。導光体410内に入射した蛍光YLは、導光体410内部を全反射することで伝播して光射出面410bから射出される。
【0161】
上述したように蛍光YLは射出面336からランバート放射されるため、射出面336に対して大きな射出角度をもつ第1成分YL1を含む。
本実施形態の波長変換素子523によれば、光入射面410aから導光体410内に入射した蛍光YLの第1成分YL1は導光体410の光入射部411に埋め込まれた反射構造体544で反射されるので、射出角度が小さくなる。よって、本実施形態の波長変換素子523によれば、上述した他の実施形態と同様、蛍光YLにおける放射角度を小さくできる。よって、エテンデューの増大を低減しつつ、蛍光YLの利用効率を向上させることができる。
【0162】
本実施形態の波長変換素子523では、導光体410と蛍光体335との間隔が狭まるので、蛍光体335から射出された蛍光YLが大きく拡がる前に導光体410内に取り込むことができる。これにより、蛍光YLの見かけ上の発光面積が小さくなるので、エテンデューを小さくすることができる。
【0163】
なお、本実施形態では、反射構造体544として、図6に示した反射構造体144Aと同様の構成を有するものを例に挙げたが、反射構造体544として、上述した反射構造体144を適用してもよい。
【0164】
(第8実施形態)
続いて、第8実施形態に係る波長変換素子について説明する。なお、上記実施形態及び変形例と共通の構成及び部材については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0165】
図14は本実施形態の波長変換素子の構成を示す断面図である。
図14に示すように、波長変換素子623は、基材34と、蛍光体335と、ダイクロイック膜36と、導光体410と、反射構造体644と、反射層(第3反射部材)600とを有する。
【0166】
本実施形態の導光体410は、光入射面410aと光射出面410bとを接続する第1側面410c、第2側面410d、第3側面410e及び第4側面410fを有する。以下、第1側面410c、第2側面410d、第3側面410e及び第4側面410fを総称して単に側面412と称す。
【0167】
本実施形態において、反射層600が側面412の光入射面410a側に設けられている。反射層600は、例えば、Ag、Al等の金属膜或いは誘電体多層膜で構成される。
【0168】
本実施形態の波長変換素子623によれば、第7実施形態の波長変換素子523と同様の効果を奏することができる。
【0169】
例えば、蛍光体335の上面335aのうち外縁部に位置する光射出領域335Sから射出された蛍光YLのうち大きな放射角度で射出された第3成分YL3は導光体410の側面412に対して臨界角よりも小さい角度で入射するおそれがある。仮に側面412に反射層600が設けられていない場合、第3成分YL3は導光体410の側面412を透過して外部に射出されて光損失を生じさせるおそれがある。
【0170】
これに対し、また、本実施形態の波長変換素子623によれば、第3成分YL3を反射層600で反射して導光体410内に戻すことができるので、導光体410の側面412から外に漏れる光を低減できる。したがって、蛍光YLの光利用効率を向上させることができる。
【0171】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例では、一方側(下方側)から励起光が入射し、他方側(上方側)から蛍光を射出する透過型の波長変換素子について説明したが、本発明の波長変換素子は蛍光体の上方側から励起光を入射させ、蛍光体の上方に蛍光を射出する反射型にも適用可能である。
【0172】
以下、変形例として、反射型の波長変換素子の構成について説明する。本変形例は、第1実施形態の波長変換素子23を反射型に適用したものである。そのため、本変形例に係る反射型の波長変換素子において、波長変換素子23と共通の構成については同じ符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0173】
図15は反射型の波長変換素子の構成を示す断面図である。図15に示すように、波長変換素子723は、基材134と、蛍光体35と、反射層136と、反射構造体44と、マイクロレンズ45と、を有する。本実施形態の波長変換素子23は、一方側(下方側)から励起光LLが入射し、他方側(上方側)から蛍光YLを射出する反射型の素子である。
【0174】
基材134は、板状部材であり、蛍光体35を支持する支持台である。本実施形態の基材134は熱伝導率を有した、例えば銅等の金属材料で構成されており、光透過性は有していてもよいし、有していなくてもよい。ダイクロイック膜136は、基材134及び蛍光体35間に設けられる。反射層136は蛍光体35の底面35bに設けられている。反射層136は蛍光体35で生成された蛍光YLを上方に向けて反射する。
【0175】
続いて、波長変換素子723の作用について説明する。
励起光LLはマイクロレンズ45を透過して蛍光体35における反射構造体44で区画された光射出領域35S(射出面35a)に入射する。励起光LLは光射出領域35Sを介して蛍光体35内に入射し、蛍光体35内で蛍光YLを生成する。蛍光体35で生成された蛍光YLの多くは光射出領域35S(射出面35a)から射出される。また、蛍光体35内で生成された蛍光YLの一部は下方に向かった後に反射層136で反射されて、光射出領域35S(射出面35a)から射出される。
【0176】
図15に示すように、光射出領域35S(射出面35a)から射出された蛍光YLの一部はマイクロレンズ45を透過して射出される。このとき、蛍光YLに含まれる射出面35aに対して大きな射出角度を有する第1成分YL1は反射層46で反射される。
【0177】
本実施形態の波長変換素子723によれば、蛍光YLのうち大きな射出角度を持つ第1成分YL1を反射構造体44で反射することで蛍光YLの放射角度を小さくしてエテンデューの増大を低減できる。また、蛍光YLがマイクロレンズ45を経由して外部に射出されるので、蛍光YLの放射角度をより小さくすることができる。したがって、エテンデューの増大を低減させることで蛍光YLの利用効率を向上することができる。
また、本実施形態の波長変換素子723では、蛍光体35上における励起光LLの入射面積を小さくすることなくエテンデューを小さくできるため、励起光の光密度が高くなることによる光消光の発生が抑制される。
このように本実施形態の波長変換素子723によれば、光消光の影響を抑えつつ、エテンデューを小さくすることができる。
【0178】
なお、上記説明では、第1実施形態の波長変換素子23を反射型に適用する場合を例に挙げたが、他の実施形態及び変形例に係る波長変換素子123、波長変換素子123A、波長変換素子123B、波長変換素子223、波長変換素子323、波長変換素子423、波長変換素子523、波長変換素子623を反射型に適用してもよい。
【0179】
また、上記実施形態においては、透過型のプロジェクターに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型のプロジェクターにも適用することも可能である。
ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過する形態であることを意味する。「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射する形態であることを意味する。なお、光変調装置は、液晶ライトバルブに限られず、例えばデジタルマイクロミラーデバイスが用いられてもよい。
【0180】
また、上記実施形態では、本発明による光源装置をプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限定されない。本発明による光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0181】
1…プロジェクター、4B,4G,4R…光変調装置、6…投写光学装置、11…第1光源装置(光源装置)、20…第1光源(光源)、23,123,123A,123B,223,323,423,523,623,723…波長変換素子、35…蛍光体(波長変換層)、35a,135a,235a,336…射出面、35R,135R,235R,335R…反射領域、45…マイクロレンズ(光学素子)、46,150,152,246…反射層(第1反射部材)、47,149,151…凸状部材、147…凸状反射部材(凸状部材)、245…透光性部材、249…接合層(低屈折率層)、302,402…反射層(第2反射部材)、310,410…導光体、310a,410a…光入射面、335b,412…側面、411…光入射部、600…反射層(第3反射部材)、LL…励起光、LY,YL…蛍光、O,O1…中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15