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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】液体供給装置及び画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/175 119
B41J2/175 115
B41J2/175 121
B41J2/175 141
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018163567
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020032698
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06158850(US,A)
【文献】特開2015-193178(JP,A)
【文献】特開2016-175395(JP,A)
【文献】特開2017-209785(JP,A)
【文献】特開2005-96428(JP,A)
【文献】特開2018-103594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、当該タンクに対して鉛直方向と交差する着脱方向に沿って着脱可能なカートリッジと、を具備する液体供給装置であって、
上記カートリッジは、
上記着脱方向における前面及び後面を有する筐体と、
上記筐体の前面と後面との間に位置しており、液体を貯留する第1貯留室と、
上記筐体の前面又は前面と連続する面に位置しており、上記第1貯留室と外部とを連通するために上記着脱方向の装着向きを向いて開口する連通口と、を有しており、
上記タンクは、
上記液体を貯留する第2貯留室と、
上記第2貯留室と連通する液体流路及び気体流路と、
上記第2貯留室を外部と連通する大気連通口と、を有しており、
上記液体流路は、上記第2貯留室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、当該第2開口から上記着脱方向の装着向きに沿って延びる第1延出部分と、を有しており、
上記気体流路は、上記第2貯留室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、当該第4開口から上記着脱方向の装着向きに沿って延びる第2延出部分と、を有しており、
上記カートリッジの上記第1貯留室と上記タンクの上記第2開口及び上記第4開口とが連通する状態で接続された装着状態において、
上記第1貯留室は、上記液体流路及び上記気体流路よりも上方に位置する部分を有しており、
上記第2貯留室は、
上記鉛直方向において上記第1貯留室の下端より上方である第1領域と、
第1領域と連続しており、上記鉛直方向において上記第1貯留室より下方である第2領域と、を有しており
記第1貯留室に初期液体量の液体が貯留されているときの第1液面の一部分は、上記第2貯留室に貯留された液体の液面であって、当該液面が上記鉛直方向において上記第3開口と同じ位置にあるときの第2液面の一部分と、上記鉛直方向に沿って視たときに重複する液体供給装置。
【請求項2】
上記大気連通口は、上記第1領域に位置する請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
上記第1開口は、上記第3開口よりも下方に位置する請求項1または2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
上記第1開口および上記第3開口は、上記大気連通口よりも下方に位置する請求項1から3のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項5】
上記第1領域の容積は、上記第2領域の容積より小さい請求項1から4のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項6】
上記第1貯留室の容積は、上記第2貯留室の容積よりも大きい請求項1から5のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項7】
上記タンクは、
上記第1延出部分及び上記第2延出部分の少なくとも一方を画定しており、上記装着状態において、上記カートリッジの上記連通口と接続する管状のジョイントを有する請求項1からのいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項8】
上記着脱方向は、水平方向と交差する請求項1からのいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項9】
上記着脱方向は、水平方向である請求項1からのいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれかに記載の液体供給装置と、
上記液体供給装置のタンクから供給された上記液体を吐出する記録部と、を備える画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を貯留可能な液体供給装置、及び当該液体供給装置を備える画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクが収容されるカートリッジと、記録ヘッドに接続されたサブタンクと、カートリッジ及びサブタンクを接続する液体流路及び気体流路と、を備えた液体供給装置が知られている。カートリッジは、サブタンクの鉛直上方に配置されている。液体流路及び気体流路は、カートリッジ及びサブタンクを鉛直方向において接続している。液体流路及び気体流路は、それぞれ、カートリッジの下面及びサブタンクの上面に開口している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
サブタンク内において、液体流路は、気体流路よりも下方に延びており、気体流路の開口位置は、液体流路の開口位置よりも上方にある。カートリッジの交換時など、サブタンクにインクが無い状態でカートリッジが接続されると、カートリッジ内のインクが液体流路を介して自然落下してサブタンク内に導入される。このとき、導入されたインクの量と同じ体積のサブタンク内の空気が気体流路を介してカートリッジに導入される。このような気液置換が、気体流路の開口が塞がれるまで行われて、サブタンク内にインクが貯留される。
【0004】
記録動作の実行時に記録ヘッドからインクが吐出されると、サブタンク内のインクが減少し、サブタンク内のインクの液面が下がる。その結果、気体流路の開口が開かれるので、カートリッジからインクがサブタンク内に供給される。そして、インクが導入されることによりサブタンク内のインクの液面が上がって気体流路の開口が塞がれると、カートリッジからのインクの供給は停止する。記録ヘッドでのインクの消費を補うように、カートリッジからサブタンクにインクが補充され、サブタンク内のインクの液面の高さは、気体流路の開口位置に保たれる。したがって、サブタンクはプリンタ内に配置されたまま、インクが空になったカートリッジをインクが充填されたカートリッジに交換することで、プリンタが継続的に使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4934338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記液体供給装置では、カートリッジは鉛直方向においてサブタンクに接続されている。カートリッジが装着される際に、カートリッジは鉛直方向において装着される必要がある。例えばプリンタの前方からカートリッジを装着することができないので、不便であり、カートリッジの装着時における操作性が悪かった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、カートリッジの装着時における操作性が良好な液体供給装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、カートリッジとタンクとが占める空間に対して、液体が貯留される空間の容積を大きくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、タンクと、当該タンクに対して鉛直方向と交差する着脱方向に沿って着脱可能なカートリッジと、を具備する液体供給装置に関する。上記カートリッジは、上記着脱方向における前面及び後面を有する筐体と、上記筐体の前面と後面との間に位置しており、液体を貯留する第1貯留室と、上記筐体の前面又は前面と連続する面に位置しており、上記第1貯留室と外部とを連通するために上記着脱方向の装着向きを向いて開口する連通口と、を有する。上記タンクは、上記液体を貯留する第2貯留室と、上記第2貯留室と連通する液体流路及び気体流路と、上記第2貯留室を外部と連通する大気連通口と、を有する。上記液体流路は、上記第2貯留室に連通する一端側に形成された第1開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第2開口と、当該第2開口から上記着脱方向の装着向きに沿って延びる第1延出部分と、を有する。上記気体流路は、上記第2貯留室に連通する一端側に形成された第3開口と、当該一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する第4開口と、当該第4開口から上記着脱方向の装着向きに沿って延びる第2延出部分と、を有する。上記カートリッジの上記第1貯留室と上記タンクの上記第2開口及び上記第4開口とが連通する状態で接続された装着状態において、上記第1貯留室は、上記液体流路及び上記気体流路よりも上方に位置する部分を有する。上記第2貯留室は、上記鉛直方向において上記第1貯留室の下端より上方である第1領域と、第1領域と連続しており、上記鉛直方向において上記第1貯留室より下方である第2領域と、を有する。上記第3開口は、上記第2領域に位置している。上記第1貯留室に初期液体量の液体が貯留されているときの第1液面の一部分は、上記第2貯留室に貯留された液体の液面であって、当該液面が上記鉛直方向において上記第3開口と同じ位置にあるときの第2液面の一部分と、上記鉛直方向に沿って視たときに重複する。
【0010】
上記構成によれば、第1貯留室及び第2貯留室が気体流路及び液体流路を介して接続されているので、気液置換により第1貯留室内の液体が第2貯留室に供給可能である。また、カートリッジが鉛直方向と交差する着脱方向に沿ってタンクに着脱可能であるので、カートリッジの着脱時における操作性が良好である。また、連通口が、筐体の前面又は前面と連続する面に位置するので、筐体の下面を大きくすることができ、下面を載置面としたときに筐体の姿勢が安定する。また、装着状態において、第1液面の一部分と第2液面の一部分とが鉛直方向から視て重複しているので、カートリッジ及びタンクが占める空間に対して、第1貯留室及び第2貯留室の各容積を大きくすることができる。
【0011】
(2) 好ましくは、上記第1領域の容積は、上記第2領域の容積より小さい。
【0012】
上記構成によれば、筐体の連通口と対向する第1領域の容積が小さいので、第2貯留室の着脱方向の寸法を小さくすることができる。また、第2領域の容積が大きいので、第1貯留室の下方を液体が貯留可能な空間として活用できる。
【0013】
(3) 好ましくは、上記第1貯留室の容積は、上記第2貯留室の容積よりも大きい。
【0014】
(4) 好ましくは、上記タンクは、上記第1延出部分及び上記第2延出部分の少なくとも一方を画定しており、上記装着状態において、上記カートリッジの上記連通口と接続する管状のジョイントを有する。
【0015】
(5) 好ましくは、上記着脱方向は、水平方向と交差する。
【0016】
(6) 好ましくは、上記着脱方向は、水平方向である。
【0017】
(7) 本発明は、上記液体供給装置と、上記液体供給装置のタンクから供給された上記液体を吐出する記録部と、を備える画像記録装置として捉えられてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る液体供給装置では、カートリッジが鉛直方向と交差する着脱方向の装着向きに装着できるので、カートリッジの装着時における操作性が良好である。また、装着状態において、カートリッジとタンクとが占める空間に対して、第1貯留室及び第2貯留室の容積を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施形態に係る複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー48が閉塞位置にある状態、(B)はカバー48が開放位置にある状態を示す。
図2図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、キャリッジ23及びインク供給装置15の配置を示す平面図である。
図4図4は、インクカートリッジ50の外観斜視図である。
図5図5は、装着状態におけるインクカートリッジ50及びサブタンク100の断面図である。
図6図6は、装着状態における変形例のインクカートリッジ50及びサブタンク100の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、複合機10及び複合機10に取り付けられたインクカートリッジ50が使用可能に水平面に設置された姿勢(図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている面を後方として着脱方向8が定義され、複合機10を装着向き8Aに見て左右方向9が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、着脱方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。着脱方向8においては、装着向き8Aを基準として、装着向き8Aの前方を「前方」と称し、装着向き8Aの後方を「後方」と称する。
【0021】
[本実施形態]
以下、本実施形態に係る複合機10及びインク供給装置15が説明される。
【0022】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(画像記録装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、プリンタ部11、スキャナ部12、及び操作パネル17を有している。プリンタ部11は、複合機10の下部に位置し、インクジェット記録方式で用紙28(図2参照)に画像を記録する。スキャナ部12は、スキャン機能を有する装置であり、プリンタ部11の上方に位置する。プリンタ部11は、開口13を有する本体筐体14と、本体筐体14の内部において開口13の右方に位置するインク供給装置15と、を備えている。操作パネル17は、スキャナ部12の着脱方向8の後方に位置している。操作パネル17は、プリンタ部11による画像記録やスキャナ部12による画像読取りを複合機10に実行させるために、ユーザが操作するものである。
【0023】
図2に示されるように、本体筐体14の内部には、給送部16と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ対45と、記録部24と、排出ローラ対46と、プラテン42と、が配置されている。
【0024】
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1に示されるように、給送トレイ20は、開口13を通じて着脱方向8に沿って本体筐体14に対して挿抜可能である。開口13は、複合機10の着脱方向8の後方を向く面において左右方向9の中央部に位置する。図2に示されるように、給送トレイ20は、積層された複数の用紙28を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20と共に着脱方向8に沿って挿抜される。排出トレイ21は、排出ローラ対46によって排出された用紙28を支持する。
【0025】
[給送部16]
給送部16は、給送トレイ20に支持された用紙28を搬送経路38へ給送する。図2に示されるように、給送部16は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備える。給送ローラ25は、給送アーム26の先端に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、不図示の給送用モータから駆動が伝達される。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20に向かって回動付勢されている。
【0026】
以下、用紙28の搬送に関わる給送ローラ25、搬送ローラ34、及び排出ローラ36が、用紙28を搬送向き38Aに搬送する向きに回転することを、「正回転」と表記する。
【0027】
[搬送経路38]
図2に示されるように、搬送経路38は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19などによって形成される空間を指す。搬送経路38は、給送トレイ20の後端部から後方に延びる経路である。搬送経路38は、給送トレイ20から上方に延びつつ着脱方向8の後方にUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。図2及び図3に示されるように、搬送ローラ対45及び排出ローラ対46の間における搬送経路38は、左右方向9における複合機10の概ね中央に設けられており、且つ着脱方向8に延びている。搬送経路38における用紙28の搬送向き38Aは、図2において矢印で示されている。
【0028】
[搬送ローラ対45]
図2に示されるように、搬送ローラ対45は、記録部24より搬送向き38Aの上流に位置する。搬送ローラ対45は、互いに対向する搬送ローラ34及びピンチローラ35を有する。搬送ローラ34は、不図示の搬送用モータから駆動伝達されて正回転又は逆回転する。ピンチローラ35は、搬送ローラ34の回転に伴って連れ回る。用紙28は、正回転する搬送ローラ34及びピンチローラ35に挟持されて搬送向き38Aに搬送される。
【0029】
[排出ローラ対46]
図2に示されるように、排出ローラ対46は、記録部24より搬送向き38Aの下流に配置されている。排出ローラ対46は、互いに対向する排出ローラ36及び拍車37を有する。排出ローラ36は、不図示の搬送用モータから駆動伝達されて正回転又は逆回転する。拍車37は、排出ローラ36の回転に伴って連れ回る。用紙28は、正回転する排出ローラ36及び拍車37に挟持されて搬送向き38Aに搬送される。
【0030】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送向き38Aにおける搬送ローラ対45及び排出ローラ対46の間に位置する。記録部24は、搬送経路38を挟んでプラテン42と上下方向7に対向している。記録部24は、キャリッジ23と、キャリッジ23に搭載された記録ヘッド39とを備えている。
【0031】
図3に示されるように、キャリッジ23は、着脱方向8に離間しており、各々が左右方向9に延びるガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、不図示のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、不図示のキャリッジ駆動用モータから駆動伝達されて回動する。キャリッジ23は、ベルト機構の回動に伴って、ガイドレール43,44により案内されて左右方向9に往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路38の幅38Bよりも右方及び左方にまで及ぶ。
【0032】
記録ヘッド39と、インク供給装置15に設けられた4つのサブタンク100(図5参照)とは、4本のインクチューブ32によって接続されている。記録ヘッド39は、フレキシブルフラットケーブル33によって、不図示の制御基板と接続されている。
【0033】
4つのサブタンク100は、マゼンタサブタンク100、シアンサブタンク100、イエローサブタンク100、及びブラックサブタンク100である。マゼンタサブタンク100、シアンサブタンク100、イエローサブタンク100、及びブラックサブタンク100は、本明細書において特に区別する必要がない場合、サブタンク100と総称される。
【0034】
4本のインクチューブ32は、イエローインクチューブ32Y、シアンインクチューブ32C、マゼンタインクチューブ32M、及びブラックインクチューブ32Bからなっている。イエローインクチューブ32Y、シアンインクチューブ32C、マゼンタインクチューブ32M、及びブラックインクチューブ32Bは、本明細書において特に区別する必要がない場合、インクチューブ32と総称される。4本のインクチューブ32は、一体に束ねられている。
【0035】
フレキシブルフラットケーブル33は、制御部が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
【0036】
図2に示されるように、記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が配置されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39の下面から露出している。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙28に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙28に画像が記録される。また、これにより、4つのサブタンク100に貯留されたインクが消費される。
【0037】
[プラテン42]
図2及び図3に示されるように、プラテン42は、搬送経路38における搬送ローラ対45及び排出ローラ対46の間に配置されている。プラテン42は、搬送経路38を挟んで記録部24と上下方向7に対向配置されている。プラテン42は、搬送ローラ対45によって搬送される用紙28を下方から支持する。
【0038】
[カバー48]
図1(B)に示されるように、本体筐体14の着脱方向8の後方を向く面の右部には、開口47が形成されている。本体筐体14にはインク供給装置15が収納されており、インクカートリッジ50の後壁58が開口47から露出している。本体筐体14には、開口47を開閉可能なカバー48が取り付けられている。カバー48の下端部は、開口47の下方において、左右方向9の軸周りに回転可能に本体筐体14に支持されている。カバー48は、開口47を閉鎖する閉鎖位置(図1(A)に示される位置)と、開口47を開放する開放位置(図1(B)に示される位置)との間を、回転可能である。
【0039】
図1(A)に示されるように、カバー48は、透光部49を有している。透光部49は、カバー48の外側から内部の構成を視認可能な透光性を有する。カバー48が閉鎖位置にあるときに、透光部49から、インク供給装置15に取り付けられたインクカートリッジ50の後壁58が視認可能である。
【0040】
[インク供給装置15]
図3に示されるように、インク供給装置15(液体供給装置の一例)は、4つのインクカートリッジ50と、収納ケース71と、4つのサブタンク100(図5参照)と、を備えている。
【0041】
[インクカートリッジ50]
図1図3に示されるように、4つのインクカートリッジ50(カートリッジの一例)は、マゼンタインクカートリッジ50M、シアンインクカートリッジ50C、イエローインクカートリッジ50Y、及びブラックインクカートリッジ50Bからなっている。マゼンタインクカートリッジ50M、シアンインクカートリッジ50C、イエローインクカートリッジ50Y、及びブラックインクカートリッジ50Bは、本明細書において特に区別される必要がない場合、インクカートリッジ50と総称される。
【0042】
図4図5に示されるように、インクカートリッジ50は、カートリッジ筐体51を備えている。カートリッジ筐体51は、インク(液体の一例)を貯留する第1貯留室53と、連通口62,63と、を有する。
【0043】
カートリッジ筐体51は、概ね直方体状の箱形状を有している。カートリッジ筐体51は、上下方向7及び着脱方向8から視て概ね長方形状である。カートリッジ筐体51は、上壁54、右壁56、左壁57、後壁58、前壁59、下壁60、を有している。上壁54、後壁58の各外面が、前面、後面にそれぞれ相当する。なお、筐体15の前面は、装着向き8Aを向く面である。第1貯留室53は、前壁59と後壁58との間に位置する。
【0044】
カートリッジ筐体51は、前壁59において、装着向き8Aを向いて開口する連通口62,63を有している。連通口62,63は、連通口62を下方として上下に並ぶ開口である。連通口62,63は、第1貯留室53を外部と連通する。各図には示されていないが、連通口62,63は、公知のバルブによって外部に対して開閉可能である。
【0045】
[サブタンク100]
図5に示されるように、サブタンク100(タンクの一例)は、タンク本体101と、ジョイント120,121と、を備えている。タンク本体101の内部に、インクを貯留する第2貯留室105が形成されている。ジョイント120,121は、タンク本体101の後壁から装着向き8Aに沿って後方へ延びる管状の部材である。ジョイント120,121の内部空間は、タンク本体101の後壁を貫通する貫通孔を通じて、第2貯留室105と連通している。ジョイント120,121は、ジョイント120を下方として上下に並んでいる。
【0046】
サブタンク100は、第2貯留室105と連通する液体流路103及び気体流路104を備えている。液体流路103は、タンク本体101の内部及びジョイント120の内部に形成されている。気体流路104は、タンク本体101の内部及びジョイント121の内部に形成されている。また、サブタンク100は、第2貯留室105を外部に連通する大気連通口106を備えている。
【0047】
[液体流路103及び気体流路104]
液体流路103は、第1開口131と、第2開口132と、鉛直部分133と、延出部分134と、を有している。第1開口131は、液体流路103の一端側に形成され且つ第2貯留室105に連通する開口である。第1開口131は、上下方向7に沿って開口している。第2開口132は、液体流路103の一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する開口である。第2開口132は、着脱方向8に沿って開口している。第2開口132は、インクカートリッジ50の装着状態において、インクカートリッジ50の第1貯留室53内に位置する。鉛直部分133(第1上下部分の一例)は、液体流路103において第1開口131から上方に延びる部分である。延出部分134(第1延出部分の一例)は、液体流路103において第2開口132から装着向き8Aの前方に延びる部分である。鉛直部分133の上端部は延出部分134の前端部に接続されている。
【0048】
気体流路104は、第3開口141と、第4開口142と、鉛直部分143と、延出部分144と、を有している。第3開口141は、気体流路104の一端側に形成され且つ第2貯留室105に連通する開口である。第3開口141は、上下方向7に沿って開口している。第4開口142は、気体流路104の一端側とは反対の他端側に形成され且つ外部に開口する開口である。第4開口142は、着脱方向8に沿って開口している。第4開口142は、インクカートリッジ50の装着状態において、インクカートリッジ50の第1貯留室53に連通する。鉛直部分143(第2上下部分の一例)は、気体流路104において第3開口141から上方に延びる部分である。延出部分144(第2延出部分の一例)は、気体流路104において第4開口142から装着向き8Aの前方に延びる部分である。鉛直部分143の上端部は延出部分144の前端部に接続されている。
【0049】
[タンク本体101]
タンク本体101は、上部分101A及び下部分101Bを有する箱形状である。上部分101Aは、下部分101Bの装着向き8Aの前方において、下部分101Bの直上に位置する。上部分101Aは、インクカートリッジ50がサブタンク100に装着された状態において、第1貯留室53の下端53Bより上方の内部空間102A(第1領域の一例)を有する。下部分101Bは、第1貯留室53の下端53Bより下方の内部空間102B(第2領域の一例)を有する。上部分101Aの内部空間102A、及び下部分101Bの内部空間102Bは連続しており、一体として第2貯留室105である。内部空間102Aの容積Vaは、内部空間102Bの容積Vbより小さい(Va<Vb)。
【0050】
タンク本体101の下部分101Bの下壁には、第2貯留室105に連通する連通口129が形成されている。連通口129には、インクチューブ32の一端部が接続されており、インクチューブ32を介して、第2貯留室105と記録ヘッド39とが連通接続されている。
【0051】
タンク本体101の上部分101Aの前壁の上端付近には、前壁を貫通する大気連通口106が形成されている。第2貯留室105は、大気連通口106を通じて外部と連通している。
【0052】
タンク本体101の内部空間には、隔壁や管などによって、液体流路103の鉛直部分133を含む一部分が形成されている。液体流路103の第1開口131は、下部分101Bの内部空間102Bに位置する。また、タンク本体101の内部空間には、隔壁や管などによって、気体流路104の鉛直部分143を含む一部分が形成されている。気体流路104の第3開口141は、下部分101Bの内部空間102Bに位置する。また、気体流路104の第3開口141は、液体流路103の第1開口131より上方に位置する。
【0053】
[インクカートリッジ50の装着状態]
図5に示されるように、インクカートリッジ50がサブタンク100に装着された装着状態では、サブタンク100のジョイント120が、着脱方向8に沿ってインクカートリッジ50の連通口62に挿入されている。また、サブタンク100のジョイント121が、着脱方向8に沿ってインクカートリッジ50の連通口63に挿入されている。この装着状態では、インクカートリッジ50の第1貯留室53に、サブタンク100の液体流路103の第2開口132が進入している。また、インクカートリッジ50の第1貯留室53に、サブタンク100の気体流路104の第4開口142が進入している。インクカートリッジ50は、着脱方向8に沿ってサブタンク100に分離及び装着可能である。
【0054】
[インクカートリッジ50及びサブタンク100のレイアウト]
インクカートリッジ50及びサブタンク100のレイアウトが説明される。レイアウトは、インクカートリッジ50が収納ケース71に装着され、インクカートリッジ50及びサブタンク100が図5に示される使用姿勢であるとして説明がなされる。
【0055】
図5に示されるように、タンク本体101の上部分101Aは、着脱方向8において、インクカートリッジ50の前壁59と対向している。タンク本体101の下部分101Bは、上下方向7において、インクカートリッジ50の下壁60より下方に位置している。
【0056】
第1貯留室53の大半は、液体流路103の延出部分134及び気体流路104の延出部分144よりも上方に位置している。第1貯留室53の下側部分と、タンク本体101の上部分101Aの内部空間102Aとは、着脱方向8の同軸上に並んでいる。第1貯留室53の容積は、第2貯留室105の容積よりも大きい。
【0057】
タンク本体101の上部分101Aの内部空間102Aは、上下方向7において、液体流路103の延出部分134の一部及び気体流路104の延出部分144の一部と重なる位置にある。タンク本体101の下部分101Bの内部空間102Bは、上下方向7において、液体流路103の延出部分134及び気体流路104の延出部分144よりも下方に位置している。
【0058】
気体流路104の延出部分144は、液体流路103の延出部分134よりも上方に位置している。
【0059】
図5に示されるように、第1貯留室53に初期液体量のインクが貯留されているときの液面L1(第1液面の一例)の一部分は、第2貯留室105に貯留されたインクの液面L2(第2液面の一例)であって、液面L2が上下方向7において気体流路104の第3開口141と同じ位置にあるときの一部分と、上下方向7に沿って視たときに重複する。なお、図5においては、液面L1と液面L2とが重複する着脱方向8に沿った範囲R1が示されている。
【0060】
[本実施形態の作動]
まず、空のサブタンク100にインクカートリッジ50が初めて装着された初期導入時におけるインク及び空気の流れが説明される。
【0061】
初期導入前の状態(前状態)では、インクカートリッジ50はサブタンク100から分離されている。このとき、第1貯留室53に貯留されているインクの液面が液面L1である。前状態では、第2貯留室105には、インクが満たされておらず、第2貯留室105は空の状態である。
【0062】
図5に示されるように、インクカートリッジ50がサブタンク100に装着向き8Aに装着されると、インクカートリッジ50の連通口62にサブタンク100のジョイント120が挿入され、また、インクカートリッジ50の連通口63にサブタンク100のジョイント121が挿入される。この結果、第1貯留室53の下部分が液体流路103を介して第2貯留室105に連通する。また、第1貯留室53の下部分が気体流路104を介して第2貯留室105に連通する。そうすると、インクカートリッジ50の第1貯留室53内のインクが、液体流路103を介して自然落下して、サブタンク100の第2貯留室105内に導入される。第2貯留室105内に導入されたインクの量と同じ体積の空気が、気体流路104を介して第1貯留室53に導入される。このように、第1貯留室53内のインクが空気に置換されること(気液置換)により、第1貯留室53内のインクが第2貯留室105に供給される。
【0063】
気液置換の進行により、第2貯留室105のインクの液面は上昇する。インクの液面が上昇すると、気体流路104の第3開口141が閉じられる。そうすると、気液置換ができなくなるので、第1貯留室53から第2貯留室105へのインクの供給が停止される。このとき、第2貯留室105に貯留されているインクの液面が液面L2である。このようにして、初期導入時におけるインクの供給が行われる。このとき、インク検出板158の間にインクが存在し、インク検出板158の間が電気的に導通することで、第2貯留室105内のインクの液面が所定位置に上昇したことが検出される。
【0064】
次に、インクカートリッジ50の装着状態においてプリンタ部11による記録動作が実行された場合のインク及び空気の流れが説明される。
【0065】
記録動作の実行時に記録ヘッド39からインクが吐出されると、第2貯留室105内のインクが連通口129から記録ヘッド39へと吸引される。インクの減少に伴って第2貯留室105内のインクの液面L2が下降するので、閉じられていた気体流路104の第3開口141が開放される。気体流路104の第3開口141が開放されると、上述したように、気液置換が実行されて、第1貯留室53から第2貯留室105にインクが供給される。記録ヘッド39でのインクの消費を補うように、第1貯留室53から第2貯留室105にインクが供給され、第2貯留室105内のインクの液面L2の高さは、気体流路104の第3開口141の位置に保たれる。一方、大気連通口106からは、インクの供給量に対応した量の空気が第2貯留室105に供給されて、気液置換が継続して行われる。
【0066】
第1貯留室53内のインクが空になると、記録ヘッド39からインクが吐出されることで第2貯留室105のインクの液面が下降して、インクにより閉じられていた気体流路104の第3開口141が解放される。第2貯留室105において更にインクの液面が下降して、インク検出板158の間にインクが存在しなくなると、インク検出板158の間で電気的な導通が無くなる。インク検出板158による導通の有無の変化により、第2貯留室105のインクの液面が所定高さに下降したことが検出される。これにより、インクカートリッジ50の第1貯留室53内のインクが空になったことが検出される。この場合、空になったインクカートリッジ50を、インクに満たされた別のインクカートリッジ50に交換することにより、複合機10は継続的に記録動作を実行できる。
【0067】
[本実施形態の作用効果]
上記実施形態によれば、第1貯留室53及び第2貯留室105が液体流路103及び気体流路104を介して接続されているので、気液置換により第1貯留室53内のインクが第2貯留室105に供給可能である。また、インクカートリッジ50が鉛直方向と交差する着脱方向8に沿ってサブタンク100に着脱可能であるので、インクカートリッジ50の着脱時における操作性が良好である。また、連通口62,63が、カートリッジ筐体51の前壁59に位置するので、カートリッジ筐体51の下壁60を大きくすることができ、下壁60を載置面としたときにカートリッジ筐体51の姿勢が安定する。また、装着状態において、液面L1の一部分と液面L2の一部分とが上下方向7から視て重複しているので、インクカートリッジ50及びサブタンク100が占める空間に対して、第1貯留室53及び第2貯留室105の各容積を大きくすることができる。
【0068】
また、サブタンク100において、下部分101Bの内部空間102Bの容積Vbより、上部分101Aの内部空間102Aの容積Vaが小さいので、第2貯留室105の着脱方向8の寸法を小さくすることができる。また、容積Vbが容積Vaより大きいので、装着状態における第1貯留室53の下方を、第2貯留室105においてインクが貯留可能な空間として活用できる。
【0069】
[変形例]
上記実施形態に係るインク供給装置15では、着脱方向8は水平方向であるが、着脱方向8は、水平方向及び鉛直方向に対して交差する斜め方向であってもよい。例えば、図6に示されるように、着脱方向8は、鉛直方向及び水平方向と交差する方向であって、装着向き8Aが斜め下方を向く方向である。
【0070】
この変形例では、インクカートリッジ50のカートリッジ筐体51は、前壁59と下壁60とを連続しており、装着向き8A(斜め下方)を向く傾斜壁55を有する。傾斜壁55の外面が、前壁59の外面(前面)と連続する面である。
【0071】
タンク本体101の上部分101Aは、装着状態において傾斜壁55と対向する傾斜壁107を有している。傾斜壁107から着脱方向8に沿ってジョイント120,121が突出している。なお、ジョイント120,121の各内部空間により画定される延出部分134,144は、水平方向に対して交差する着脱方向8に沿って延びている。したがって、延出部分144が延出部分134よりも上方に位置するとは、着脱方向8における位置(着脱方向8と直交する仮想線上の位置)において、延出部分144が延出部分134よりも上方に位置することを意味する。
【0072】
なお、上記実施形態及び変形例では、液体流路103を画定するジョイント120と、気体流路104を画定するジョイント121とが管として独立しているが、1つの管の内部空間が隔壁によって液体流路103と気体流路104とに分けられている1つのジョイントで構成されていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態に係るインク供給装置15では、液体流路103は鉛直部分133及び延出部分134を有し、気体流路104は鉛直部分143及び延出部分144を有しているが、液体流路103は延出部分134のみを有し、鉛直部分133を有しなくてもよい。同様に、気体流路104は延出部分144のみを有し、鉛直部分143を有しなくてもよい。また、液体流路103の延出部分134と気体流路104の延出部分144の上下方向の相対的な位置関係は、いずれが上であっても下であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、第1貯留室53の容積が第2貯留室105の容積よりも大きいが、これら容積は、同程度であってもよいし、第2貯留室105の容積が第1貯留室53の容積より大きくてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10・・・複合機(画像記録装置)
15・・・インク供給装置(液体供給装置)
24・・・記録部
50・・・インクカートリッジ(カートリッジ)
51・・・カートリッジ筐体(筐体)
53・・・第1貯留室
55・・・傾斜壁(前面と連続する面)
59・・・前壁(前面)
62,63・・・連通口
100・・・サブタンク
103・・・液体流路
104・・・気体流路
105・・・第2貯留室
106・・・大気連通口
120,121・・・ジョイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6