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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】アダプタ装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20221206BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20221206BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20221206BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20221206BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G03B15/02 L
G03B15/05
H04N5/222 100
H04N5/225 600
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018178333
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020052091
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健介
(72)【発明者】
【氏名】林 栄作
(72)【発明者】
【氏名】島田 利郎
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-110030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0085761(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/02
G03B 15/05
H04N 5/222
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部と発光部とが本体に取り付けられた端末装置を支持する支持部と、
前記撮影部側の空間と前記発光部側の空間とを仕切る仕切部と、
前記発光部からの光が識別対象物の撮影される面を斜めから照らすように前記仕切部に形成された通過孔と、を有し、
前記発光部からの光が、識別対象物の撮影される面に対して垂直な方向から見た場合に同一方向からの一様な帯状の光となるように、前記発光部からの光の進行を制限する
アダプタ装置。
【請求項2】
前記通過孔は、前記発光部からの光が直接に識別対象物を照らさないように、前記発光部からの光の進行を制限する請求項1記載のアダプタ装置。
【請求項3】
前記仕切部は、前記端末装置の前記本体の表面における前記撮影部と前記発光部との間の位置に一端部が接触する請求項1又は2記載のアダプタ装置。
【請求項4】
前記発光部からの光が通過する筐体をさらに有し、
前記筐体は、遮光性を有する請求項1から3いずれか記載のアダプタ装置。
【請求項5】
前記筐体は、前記撮影部から識別対象物までの距離が、前記撮影部の識別対象物を撮影可能な最短距離以上となるように形状が定められている請求項4記載のアダプタ装置。
【請求項6】
前記撮影部から識別対象物までの距離をL1とし、
前記通過孔の高さL2とし、
L2/L1=Aとした場合に、
0.08≦A≦0.26
である請求項1から5いずれか記載のアダプタ装置。
【請求項7】
前記端末装置の特定の機種に適用される請求項1から6いずれか記載のアダプタ装置。
【請求項8】
適用可能な前記端末装置の機種を、操作者に提示するための提示手段をさらに有する請求項7記載のアダプタ装置。
【請求項9】
適用可能な前記端末装置の機種を、適用可能な前記端末装置が装着されているか否かを判別する判別装置に提示する提示手段をさらに有する請求項8記載のアダプタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダプタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラに装着されるための開口部と、周囲光を遮る遮蔽部材と、前記遮蔽部材の内側に設けられ、前記開口部を介して撮影される物体に光を照射する光源とを有するアダプタ装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、コードの印刷品質を検証するために用いられるコード検証機であって、検証対象となるコードを撮影するためのカメラと照明光源とを少なくとも備える携帯情報端末と、前記携帯情報端末を装着可能なアダプタと、を備え、前記アダプタは、前記検証対象となるコードに対して前記カメラが所定の距離を隔てて対向するように前記携帯情報端末を位置決めして保持する端末装着部を有する遮光性の筐体と、前記端末装着部に装着された前記携帯情報端末の照明光源から出射される照明光の光路を変更することにより、前記コードに対して前記照明光を斜めに照射する光路変更手段と、を備えることを特徴とするコード検証機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-279128号公報
【文献】特表2014-515845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
識別対象物の表面に生じる陰影のランダムパターンを用いて識別対象物を一意識別する技術が知られている。上述のような技術においては、一意識別のための十分な陰影が識別対象部の表面に生じない虞がある。
【0006】
本発明は、識別対象物を照射する光が、例えば一点から拡散するように識別対象物を照らす場合と比較して、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができるアダプタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る本発明は、
撮影部と発光部とが本体に取り付けられた端末装置を支持する支持部と、
前記発光部からの光が、識別対象物の撮影される面に対して垂直な方向から見た場合に同一方向からの一様な帯状の光となるように、前記発光部からの光の進行を制限する制限手段と、
を有するアダプタ装置である。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記制限手段は、前記発光部からの光が通過する通過孔を備える請求項1記載のアダプタ装置である。
【0009】
請求項3に係る本発明は、
撮影部と発光部とが本体に取り付けられた端末装置を支持する支持部と、
前記発光部からの光が通過する平面形状からなる通過孔を備え、前記発光部からの光の進行を制限する制限手段と、
を有するアダプタ装置である。
【0010】
請求項4に係る本発明は、前記制限手段は、前記発光部からの光が直接に識別対象物を照らさないように、前記発光部からの光の進行を制限する請求項1から3いずれか記載のアダプタ装置である。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記制限手段は、前記発光部からの光が識別対象物の撮影される面を斜めから照らすように、前記発光部からの光の進行を制限する請求項1から4いずれか記載のアダプタ装置である。
【0012】
請求項6に係る本発明は、前記制限手段は、前記撮影部側の空間と前記発光部側の空間とを仕切る仕切部を有する請求項1から5いずれか記載のアダプタ装置である。
【0013】
請求項7に係る本発明は、前記仕切部は、前記端末装置本体の前記本体の表面における前記撮影部と前記発光部との間の位置に一端部が接触する請求項6記載のアダプタ装置である。
【0014】
請求項8に係る本発明は、前記通過孔が、前記仕切部に形成されている請求項6又は7記載のアダプタ装置である。
【0015】
請求項9に係る本発明は、
前記発光部からの光が通過する筐体をさらに有し、
前記筐体は、遮光性を有する請求項1から8いずれか記載のアダプタ装置である。
【0016】
請求項10に係る本発明は、前記筐体は、前記撮影部から識別対象物までの距離が、前記撮影部の識別対象物を撮影可能な最短距離以上となるように形状が定められている請求項9記載のアダプタ装置である。
【0017】
請求項11に係る本発明は、
前記撮影部から識別対象物までの距離をL1とし、
前記通過孔の高さL2とし、
L2/L1=Aとした場合に、
0.08≦A≦0.26
である請求項2から10いずれか記載のアダプタ装置である。
【0018】
請求項12に係る本発明は、前記端末装置の特定の機種に適用される請求項1から11いずれか記載のアダプタ装置である。
【0019】
請求項13に係る本発明は、適用可能な前記端末装置の機種を、操作者に提示するための提示手段をさらに有する請求項12記載のアダプタ装置である。
【0020】
請求項14に係る本発明は、適用可能な前記端末装置の機種を、適用可能な前記端末装置が装着されているか否かを判別する判別装置に提示する提示手段をさらに有する請求項12記載のアダプタ装置である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る本発明によれば、識別対象物を照射する光が、例えば一点から拡散するように識別対象物を照らす場合と比較して、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができる。
【0022】
請求項2に係る本発明によれば、導光材や鏡等の光学部品を用いて光の進行を制限する場合と比較して、装置構造を簡単にすることができる。
【0023】
請求項3に係る本発明によれば、識別対象物を照射する光が、例えば一点から拡散するように識別対象物を照らす場合と比較して、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができるアダプタ装置を提供することができる。
【0024】
請求項4に係る本発明によれば、発光部からの光が直接に識別対象物を照らす場合と比較して、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができる。
【0025】
請求項5に係る本発明によれば、発光部からの光が識別対象物の撮影される面を垂直な方向から照らす場合と比較して、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができる。
【0026】
請求項6に係る本発明によれば、仕切部を有せず、導光材や鏡等の光学部品を用いて光の進行を制限する場合と比較して、装置構造を簡単にすることができる。
【0027】
請求項7に係る本発明によれば、仕切部が、端末装置の本体の表面における撮影部と発光部との間の位置から仕切部が離れている場合と比較して、発光部から撮影部へ直接に光が到達しにくくすることができる。
【0028】
請求項8に係る本発明によれば、仕切部とは別に通過孔が形成される部材を設ける場合と比較して、装置の構造を簡単にできる。
【0029】
請求項9に係る本発明によれば、筐体が遮光性を有しない場合と比較して、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができる
【0030】
請求項10に係る本発明によれば、撮影部から識別対象物までの距離が、撮影部の識別対象物を撮影可能な最短距離よりも短くなるように筐体の形状が定められている場合と比較して、端末装置により撮影される識別対象物の画像を鮮明にすることができる。
【0031】
請求項11に係る本発明によれば、Aが0.08よりも小さい場合と比較して、識別対象物を照らす光を強くすることができ、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができるとともに、Aが0.26よりも大きい場合と比較して、光が識別対象物に到達するまでに拡散しにくく、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができる。
【0032】
請求項12に係る本発明によれば、例えば、機種に応じた調整機構等を設ける必要がなくなり、複数の機種に適用できるようにする場合と比較して装置の構造を簡単にすることができる。
【0033】
請求項13に係る本発明によれば、提示手段を有しない場合と比較して、他の機種用のアダプタ装置を用いるとの御使用をしにくくすることができる。
【0034】
請求項14に係る本発明によれば、判別装置を有しない場合と比較して、提供不可能な端末装置が装着され、その操作装置が操作されるとの誤操作を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】アダプタ装置が装着されるスマートフォンを示し、図2(A)は、スマートフォンの表側を示す図であって、図2(B)は、スマートフォンの裏側を示す図である。
図2】アダプタ装置の斜視図である。
図3】アダプタ装置の底面図である。
図4】アダプタ装置の図2示す面Aでの断面図である。
図5】通過孔の大きさを説明する図である。
図6】制限部による光の進行の制限を説明し、図6(A)は、アダプタ装置の右側から光の進行を示す図であって、図6(B)は、アダプタ装置の下側から光の進行を示す図である。
図7図7(A)は、アダプタ装置の第1の比較例を示す図であり、図7(B)はアダプタ装置の第2の比較例を示す図であり、図7(C)はアダプタ装置の第3の比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態であるアダプタ装置10(例えば、図2を参照)が装着されるスマートフォン800を示し、図1(A)は、スマートフォン800の表側を示していて、図1(B)は、スマートフォン800の裏側を示している。
【0037】
図1に示すように、スマートフォン800は端末装置の一例であって、本体802を有し、本体802の表側の面804に、タッチパネル810が取り付けられている。タッチパネル810は、情報を表示する表示手段の一例であって、スマートフォン800に所望の動作をさせるために操作される操作手段の一例である。
【0038】
本体802の裏側の面806には、カメラ装置812が取り付けられている。カメラ装置812は、撮影部の一例であって、例えば、後述する例えば用紙等の識別対象物900を撮影するために用いられる。本体802の裏側の806面には、発光装置814がさらに取り付けられている。発光装置814は、発光部の一例であって、発光装置814からの光は、例えば、用紙等の識別対象物900を照らすために用いられる。
【0039】
図2は、アダプタ装置10の斜視図であり、図3はアダプタ装置10の底面図であり、図4は、アダプタ装置10の図に示す面Aでの断面図である。図2図3図4に示すように、アダプタ装置10は、スマートフォン800を支持する支持部30を有する。支持部30は、スマートフォン800が着脱可能の装着される装着部32と、スマートフォン800及び装着部32を重力方向下側から支持する脚部40とを有する。
【0040】
アダプタ装置10は、筐体100をさらに有する。筐体100は、その内側を発光装置814からの光が通過する。また、筐体100は遮光性有する。筐体100に遮光性をもたせるためには、例えば、筐体100を黒色の材料で製造したり、筐体100の例えば内側を黒色に塗装したりすればよい。筐体100の底面には、開放部102が形成されていて、アダプタ装置10は、開放部102が識別対象物900の上側に位置するように、識別対象物900の上に載せて用いられる。
【0041】
筐体100の材質としては、例えばダンボール等の厚紙や、例えば樹脂を用いることができる。ここで、筐体100の遮光性を向上させるために、筐体100の材料として樹脂を用いる場合は、黒色の樹脂を用いることが望ましく、筐体100の材料としてダンボールを用いる場合は、筐体100の内側が黒色となるように塗装をすることが望ましい。
【0042】
筐体100の形状は、カメラ装置812から識別対象物900までの距離(図5における距離L1)が、カメラ装置812の識別対象物900を撮影可能な最低距離以上となるように形状が定められている。
【0043】
装着部32と筐体100とには、装着部32と筐体100とを貫通するように照射用貫通孔202が形成されていて、発光装置814からの光が照射用貫通孔202を通過して識別対象物900を照らす。
【0044】
装着部32と筐体100とには、装着部32と筐体100とを貫通するように、撮影用貫通孔204がさらに形成されている。撮影用貫通孔204は、装着部32に装着されたスマートフォン800のカメラ装置812に対応する位置に形成されていて、装着部32に装着されたスマートフォン800のカメラ装置812での、識別対象物900の撮影を可能としている。
【0045】
アダプタ装置10は、仕切部110をさらに有する。仕切部110は、筐体100内におけるカメラ装置812側の空間S1と、筐体100内における発光装置814側の空間S2とを仕切っている。仕切部110は、筐体内に挿入される挿入筐体120の一部分と、装着部32の一部である装着部32のカメラ装置812と発光装置814との間の部分とから構成されている。
【0046】
空間S2を囲い、空間S2を形成する壁部は、光の反射性を向上させるために、白色となっている。空間S2を囲い、空間S2を形成する壁部を白色とするには、壁部を白色で塗装したり、壁部に白色の紙等を貼り付けたりすればよい。
【0047】
仕切部110は、端部の一例である上端部110aが、スマートフォン800の本体802の表面におけるカメラ装置812と発光装置814との間の位置に接触している。
【0048】
アダプタ装置10は、制限部300をさらに有する。制限部300は、発光装置814からの光の進行を制限する制限手段の一例であって、通過孔112を備えている。通過孔112は、仕切部110の下側(仕切部110の識別対象物900側)に形成されている。このため、仕切部110とは別に、通過孔112を形成するための部材を、アダプタ装置10は有しない。
【0049】
また、通過孔112は、平面形状からなり、発光装置814からの光が、空間S2側から空間S1側へと通過孔112を通過する。
【0050】
制限部300による発光装置814からの光の進行の制限の詳細は後述する。
【0051】
図5は、通過孔112の大きさを説明する図である。図5に示すように、カメラ装置812から識別対象物900までの距離をL1とし、通過孔112の高さ、すなわち通過孔112の上端部から識別対象物900の表面までの距離をL2とし、L2/L1=Aとした場合に、
0.08≦A≦0.26
となるよう通過孔112の高さが定められている。
【0052】
このため、Aが0.08よりも小さい場合と比較して、識別対象物を照らす光を強くすることができ、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができるとともに、Aが0.26よりも大きい場合と比較して、光が識別対象物に到達するまでに拡散しにくくすることができ、識別対象物の表面に陰影を生じやすくすることができる
でき、識別対象物900の面902に陰影を生じやすくすることができる。
【0053】
図6は、制限部300による光の進行の制限を説明する図であり、図6(A)は、アダプタ装置10の右側から光の進行を示す図であり、図6(B)は、アダプタ装置10の下側から光の進行を示す図である。尚、図6においては、光の進行を模式的に矢印で示している。
【0054】
図6に示すように、制限部300の通過孔112は、発光装置814からの光が直接に識別対象物900を照らさないように、発光装置814からの光の進行を制限している。また、制限部300の通過孔112は、発光装置814からの光が、識別対象物900の撮影される面902を、例えば斜め上等の斜めから照らすように、発光装置814からの光の進行を制限している。
【0055】
通過孔112は、先述のように平面形状である。このため、例えば中空の円柱形状の側面の一部を切り取って通過孔として場合等と比較して、通過孔112を通過した光は拡散しにくい。また、図6(B)に示すように、制限部300の通過孔112を通過した光は、識別対象物900の撮影される面902に対して垂直な方向から見た場合に、図6(B)に示すように同一方向からの一様な帯状の光となる。
【0056】
以上で説明をしたアダプタ装置10は、スマートフォン800の機種毎の仕様、性能、形状等に応じて、特定の機種のスマートフォン800に適用されるように製造されている。ここで、スマートフォン800の仕様、性能、形状等の例としては、例えばカメラ装置812の解像度や、例えばカメラ装置812の最短撮影可能距離や、例えば本体802の大きさ等を挙げることができる。
【0057】
アダプタ装置10は、提示部114をさらに有する(例えば、図4を参照)。提示部114は、アダプタ装置10に適用可能なスマートフォン800の機種を操作者に提示する提示手段の一例であって、カメラ装置812で撮影可能なように、例えば筐体100内に、例えば識別対象物900に接触するように配置されている。また、提示部114のカメラ装置812側には、アダプタ装置10に適用可能なスマートフォン800の機種面が、例えば文字等で記載されている。また、この文字等による機種名の記載は、カメラ装置812で撮影され、例えばタッチパネル810に表示される。
【0058】
また、提示部114で、アダプタ装置10を適用可能なスマートフォン800の機種を操作者に提示するのみならず、アダプタ装置10を適用可能なスマートフォン800の機種を、アダプタ装置10が適用可能な端末装置が装着されているか否かを判別する判別装置(不図示)に提示するようにしてもよい。上述の判別装置は、例えは、アダプタ装置10とは別体であり、例えば、スマートフォン800と別体である。
【0059】
上述の判別装置にアダプタ装置10を適用可能なスマートフォン800の機種を提示部114が提示するようにする場合、機種名は例えばバーコードで表示され、例えばバーコードで表示された機種名がカメラ装置812により撮影され、撮影されたバーコードが上述の判別装置に送信される。
【0060】
また、アダプタ装置10を適用できない機種のスマートフォン800がアダプタ装置10に装着されているとの判別が判別装置によりなされた場合に、後述する照会装置が、識別対象物900の照会をしないようにしてもよい。
【0061】
以上のように構成されたアダプタ装置10と、スマートフォン800とを用いて識別対象物900を一意識別する場合には、アダプタ装置10がスマートフォン800に取り付けられ、スマートフォン800で識別対象物900表面のランダムパターンが撮影され、撮影されたランダムパターンが、照会用画像として照会装置(不図示)に送信される。
【0062】
そして、上述の照会装置は、事前にサンプル表面のランダムパターンの画像が撮影され、事前に記憶された記憶画像のいずれかと、スマートフォン800からの照会用画像とが一致するか否かを判別し、スマートフォン800からの照会用画像が記憶画像のいずれかと一致した場合に、スマートフォン800で撮影された識別対象物900が、一致した記憶画像に対応するサンプルであると一意識別される。
【0063】
また、照会装置による判別結果は、上述の照会装置からスマートフォン800に送信され、その判別結果がスマートフォン800のタッチパネル810に表示される。
【0064】
ここで、識別対象物900の面902のランダムパータンとして、面902の凹凸により生じる陰影を用いる場合には、陰影が明確であることが望ましい。この点、以上のように構成されたアダプタ装置10を用いると、識別対象物900を照らす光が、面902に対して垂直な方向から見た場合に同一方向からの一様な帯状の光であるため、識別対象物900を照らす光が異なる方向からの光である場合や、識別対象物900を照らす光が不均一である場合や、識別対象物を照らす光が不均一である場合と比較して、面902に生じる陰影が鮮明となる。
【0065】
また、以上のように構成されたアダプタ装置10を用いた場合、識別対象物900を照らす光が、平面形状である通過孔112を通過した光であるため、例えば、中空の円柱形状の側面の一部を切り取って形成された通過孔等の曲面形状の通過孔を通過した光と比較して一様となり、面902に生じる陰影が鮮明となる。
【0066】
また、以上のように構成されたアダプタ装置10を用いた場合、発光装置814からの光が、空間S2を囲う壁部で反射した後に識別対象物900を照らし、直接に識別対象物900の面902を照らさない。このため、発光装置814からの光が、面902を直接に照らす場合と比較して、面902に生じる陰影が鮮明となる。
【0067】
また、以上のように構成されたアダプタ装置10を用いた場合、発光装置814からの光が斜めから識別対象物900を照らしているため、識別対象物900からの光が、真上から識別対象物900の面902を照らす場合と比較して、面902に生じる陰影が鮮明となる。
【0068】
図7には、アダプタ装置10及び識別対象物900の撮影方法の比較例が説明されていて、図7(A)は、1の比較例を示す図であり、図7(B)は、第2の比較例を示す図であり、図7(C)は、第3の比較例を示す図である。
【0069】
先述の実施形態においては、アダプタ装置10は、仕切部110を有していた。これに対して、図7(A)に示す第1の比較例では、アダプタ装置10は、仕切部110を有していない。このため、この第1の比較例では、アダプタ装置10は、実施形態のアダプタ装置10が有していた仕切部110に形成されていた通過孔112も有していない。また、先述の実施形態では、筐体100は、例えば黒色の材料を用いて製造されていて、遮光性を有していた。これに対して、この第1の比較例では、筐体は乳白色の材料を用いて製造されていて、遮光性を有しないか、遮光性を有するとしても、その遮光性は、先述の第1の実施形態よりも低い。また、先述の実施形態では、カメラ装置812による識別対象物900の撮影時に、発光装置814が点灯していた。これに対して、この第1の比較例では、カメラ装置812による識別対象物900の撮影時に、発光装置814は点灯させない。
【0070】
第2の比較例は、図7(B)に示すように、第1の比較例と同様に仕切部110を有せず、通過孔112を有しない。また、第2の比較においても、先述の第1の比較例と同様に、筐体100は、重白色の材料を用いて製造されていて、遮光性を有しないか、遮光性が低い。また、この第2の比較例では、先述の実施形態と同様に、カメラ装置812による識別対象物900の撮影時に、発光装置814が発光する。
【0071】
先述の実施形態では、空間S2を形成する壁部は白色であった。これに対して、図7(C)に示す第3の比較例では、空間S2を形成する壁部は、この壁部の材料であるダンボールの色である茶色となっている。また、この第3の比較例では、カメラ装置812から識別対象物900までの距離をL1とし、通過孔112の上端部から識別対象物900の面902までの距離をL2とし、L1/L2=Aとした場合に、
A=0.08
となるように定められている。
【0072】
以上で説明をした比較例1、比較例2では、識別対象物900の面902に生じるランダムパターンの陰影が生じないか、陰影が生じたとしても不鮮明であり、カメラ装置812が撮影した画像を用いての識別対象物900の一意認識はできなかった
【0073】
また、以上で説明をした比較例3では、識別対象物900の面に901にランダムパターンの陰影が生じ、生じた陰影をカメラ装置812を用いて撮影した画像を用いての識別対象物900の一意識別をすることができた。しかしながら、比較例3において、識別対象物900の面902に生じるランダムパターンの陰影は、先述の実施例と比較して不鮮明であった。
【符号の説明】
【0074】
10 アダプタ装置
30 支持部
100 筐体
110 仕切部
110a 上端部
112 通過孔
114 提示部
300 制限部
800 スマートフォン
802 本体
812 カメラ装置
814 発光装置
900 識別対象物
902 面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7