(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光源評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20221206BHJP
G01J 3/10 20060101ALI20221206BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20221206BHJP
G01J 3/50 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01N21/27 B
G01J3/10
G01J3/46 A
G01J3/50
(21)【出願番号】P 2018181198
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 由季
(72)【発明者】
【氏名】東 洋邦
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-108124(JP,A)
【文献】特開2006-177923(JP,A)
【文献】特開平07-167780(JP,A)
【文献】特開2016-085117(JP,A)
【文献】特表2009-526222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/958
G01J 1/00-G01J 1/60
G01J 3/00-G01J 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鮮食品を照射対象とする光源の分光分布を取得する取得工程と;
前記取得工程によって取得された前記分光分布と前記生鮮食品の分光反射率とに基づき、前記光源を照射した場合における前記生鮮食品の鮮度の識別の容易性を示す識別指標を算出する算出工程と;
を含
み、
前記算出工程は、
鮮度が異なる前記生鮮食品それぞれの前記分光反射率と、前記分光分布とからテスト色差を算出し、当該テスト色差に基づいて前記識別指標を算出する
光源評価方法。
【請求項2】
前記算出工程は、
基準光源の基準分光分布と、前記分光反射率とから基準色差を算出し、前記基準色差および前記テスト色差の比較結果に基づいて前記識別指標を算出する
請求項
1に記載の光源評価方法。
【請求項3】
前記分光反射率は、
前記生鮮食品の種類毎の分光反射率であり、
前記算出工程は、
前記生鮮食品の種類毎の前記識別指標を算出する
請求項1
または2に記載の光源評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光源評価方法および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を照射した場合の生鮮食品の見え方を評価する種々の指標が開発されている。例えば、光を照射した生鮮食品がどの程度自然に見えるかの「自然さ」や、どの程度鮮やかに見えるかの「鮮やかさ」を評価する指標等がある。また、例えば、生鮮食品の分光反射率は、生鮮食品の鮮度検査等に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生鮮食品に光源の光を照射した場合、生鮮食品の鮮度の劣化が目立ちやすい光源と、目立ちにくい光源とがある。つまり、生鮮食品の鮮度が識別しやすい光源と、識別しにくい光源とがあるが、従来は、鮮度を識別しやすい光源であるか否かの判断は容易ではなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、鮮度を識別しやすい光源であるか否かを容易に評価できる光源評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る光源評価方法は、取得工程と、算出工程とを含む。前記取得工程は、生鮮食品を照射対象とする光源の分光分布を取得する。前記算出工程は、前記取得工程によって取得された前記分光分布と前記生鮮食品の分光反射率とに基づき、前記光源を照射した場合における前記生鮮食品の鮮度の識別の容易性を示す識別指標を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る光源評価方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る光源評価装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、分光反射率情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、分光反射率データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、FIの算出方法を説明するための説明図である。
【
図7】
図7は、FIの算出方法を説明するための説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る光源評価装置が実行するFIの算出処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で説明する実施形態に係る光源評価方法は、取得工程と、算出工程とを含む。取得工程は、生鮮食品を照射対象とする光源の分光分布をを取得する。算出工程は、取得工程によって取得された分光分布と生鮮食品の分光反射率とに基づき、光源を照射した場合における生鮮食品の鮮度の識別の容易性を示す識別指標を算出する。
【0009】
以下で説明する実施形態に係る算出工程は、鮮度が異なる生鮮食品それぞれの分光反射率と、分光分布とからテスト色差を算出し、テスト色差に基づいて識別指標を算出する。
【0010】
以下で説明する実施形態に係る算出工程は、基準光源の基準分光分布と、分光反射率とから基準色差を算出し、基準色差およびテスト色差との比較結果に基づいて識別指標を算出する。
【0011】
以下で説明する実施形態に係る分光反射率は、生鮮食品の種類毎の分光反射率を取得する。算出工程は、生鮮食品の種類毎の識別指標を算出する。
【0012】
以下で説明する実施形態に係る照明装置は、生鮮食品の種類毎の分光反射率に基づいた生鮮食品の鮮度の識別の容易性を示す識別指標に基づいて設定される、生鮮食品の鮮度の劣化が識別しやすい分光分布を有する光源を具備する。
【0013】
(実施形態)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る光源評価方法の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る光源評価方法の概要を示す図である。
図1では、照明装置10が有する光源によって精肉F(生鮮食品の一例)を照射している状況を示している。また、
図1に示す光源評価装置1は、実施形態に係る光源評価方法を実行する。
【0014】
なお、生鮮食品は、精肉Fに限定されるものではなく、他の畜産物や、水産物、青果物等であってもよい。また、生鮮食品は、上述した未加工の食品に限定されるものではなく、鮮度の劣化により状態が変化(経時変化)する加工食品であってもよい。
【0015】
また、照明装置10は、例えば、生鮮食品売り場に設置される照明装置であるが、これに限定されるものではなく、生鮮食品を照射対象とする光源であればよい。例えば、照明装置10は、例えば、展示会等で展示用の生鮮食品を照射対象とする照明装置であってもよく、あるいは、食品検査機関等で鮮度を検査する際に照射する照明装置であってもよい。
【0016】
ところで、一般に、生鮮食品に光源の光を照射した場合、生鮮食品の鮮度の劣化が目立ちやすい光源と、目立ちにくい光源とがある。つまり、光源には、生鮮食品の鮮度が識別しやすい光源と、識別しにくい光源とがある。しかしながら、従来は、鮮度を識別しやすい光源であるか否かを評価することは容易ではなかった。そして、例えば、生鮮食品を購入する消費者にとっては、新鮮な生鮮食品を容易に識別するために、鮮度の劣化が目立ちやすい光源で生鮮食品が照射されることが好ましい。
【0017】
そこで、実施形態に係る光源評価方法では、生鮮食品の鮮度の識別の容易性を示す識別指標を算出する。なお、以下では、識別指標を、フレッシュネスインデックス(FI)と記載する。
【0018】
具体的には、実施形態に係る光源評価方法では、まず、生鮮食品を照射対象とする光源の分光分布を取得する(ステップS1)。分光分布は、例えば、実際の照射光を測定して得られる分光分布であってもよく、あるいは、照明装置の製造メーカにより予め測定された分光分布であってもよい。
【0019】
つづいて、実施形態に係る光源評価方法では、取得した分光分布と、生鮮食品の分光反射率とに基づき、光源を照射した場合における生鮮食品の鮮度の識別の容易性を示すFI(識別指標)を算出する(ステップS2)。分光反射率は、生鮮食品の実測値であってもよく、あるいは、予め実験などで測定された分光反射率であってもよい。
【0020】
また、FIは、生鮮食品の種類毎に算出される指標であり、例えば、鮮度の異なる生鮮食品をテスト光源(識別指標の対象)と基準光源とで照射した場合における色差を比較することで算出することができるが、FIの詳細な算出方法については後述する。
【0021】
これにより、識別指標を参照することで、生鮮食品の鮮度を識別しやすい光源であるか否かを容易に評価することができる。また、識別指標を参照することで、生鮮食品の消費者が生鮮食品の鮮度を判別する際の一助とすることができる。
【0022】
また、例えば、照明装置10の製造メーカは、かかるFIに基づいて生鮮食品に適した光源の分光分布を設定することができる。つまり、照明装置10が具備する光源は、生鮮食品の種類毎の識別指標に基づいて設定される、生鮮食品の鮮度の劣化が識別しやすい分光分布を有することができる。この光源で照射することで、生鮮食品の消費者が鮮度の劣化を容易に識別できるため、新鮮な生鮮食品を容易に判断することができる。
【0023】
なお、上記の照明装置10の光源は、生鮮食品の消費者を対象としたが、例えば、展示用にのみ用いる、つまり、食さない生鮮食品については、生鮮食品の鮮度の劣化が識別しにくい分光分布を有する光源を用いてもよい。これにより、鮮度の劣化による見栄えの悪化を抑えることができるため、展示期間を長くできるとともに、見栄え悪化による食品の廃棄量を減らすことができる。
【0024】
次に、
図2を用いて光源評価装置1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る光源評価装置1の構成を示すブロック図である。光源評価装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4とを有する。制御部3は、取得部31と、算出部32と、出力部33とを具備する。記憶部4は、分光反射率情報41を記憶する。なお、光源評価装置1は、光源評価装置1の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、識別指標等の各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。また、光源評価装置1は、照明装置10と一体的に構成されてもよい。
【0025】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)によって実現される。通信部2は、所定のネットワークと有線または無線で接続される。そして、通信部2は、ネットワークNを介して、各種外部装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部2は、照明装置10に対して識別指標の情報を送信したり、照明装置10から分光分布の情報を受信したりする。
【0026】
ここで、光源評価装置1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ(HDD)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0027】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部3の取得部31、算出部32および出力部33として機能する。
【0028】
また、制御部3の取得部31、算出部32および出力部33の少なくともいずれか1つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0029】
また、記憶部4は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、光源評価装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0030】
ここで、記憶部4に記憶される分光反射率情報41について説明する。
図3は、分光反射率情報41の一例を示す図である。
図3に示すように、分光反射率情報41は、「種別」、「品目」、「分光反射率データ」といった項目を含む。
【0031】
「種別」は、生鮮食品の種別を識別する識別情報である。「品目」は、生鮮食品の品目を示す情報である。「分光反射率データ」は、分光分布における分光反射率の情報である。「分光反射率データ」は、例えば、「品目」毎に存在するが、「種別」毎であってもよい。あるいは、「分光反射率データ」は、「品目」の下位概念、例えば、豚肉の場合、部位毎や、赤身/脂身比率毎等に存在してもよい。なお、
図3では、便宜上、「分光反射率」を「#1」等の記号で示しているが、実際には、分光分布における波長毎の反射率を含む情報である。ここで、
図4を用いて、「分光反射率データ」について具体的に説明する。
【0032】
図4は、分光反射率データの一例を示す図である。
図4では、横軸に光の波長を示し、縦軸に分光反射率を示す。なお、
図4では、牛肉の分光反射率を示しているが、この分光反射率は一例である。また、
図4に示す分光反射率は、牛肉の分光反射率を実際に測定した実測値である。
【0033】
具体的には、分光反射率の測定は、分光反射率計(分光反射率を測定可能な機器であれば任意のものを用いてよい)を用いて行う。より具体的には、分光反射率の実測値は、例えば、牛肉の赤身部分を複数箇所(例えば、3箇所)測定した測定値の平均値を用いる。また、
図4に示す「鮮度良」は、鮮度の良い状態の分光反射率を示し、例えば、牛肉を精肉に加工した加工日の測定結果であり、「鮮度悪」は、鮮度の悪い状態の分光反射率を示し、例えば、加工日の翌日の測定結果である。なお、「鮮度良」および「鮮度悪」の間隔は、生鮮食品の種類に応じて適宜設定可能である。また、2つの鮮度が異なる生鮮食品の分光反射率(「鮮度良」および「鮮度悪」)に限定されず、3つ以上の鮮度が異なる生鮮食品の分光反射率であってもよい。このように、分光反射率の実測値を取得とすることで、後述のFIを高精度に算出することができる。
【0034】
なお、
図4では、分光反射率のグラフを示したが、例えば、分光吸収率(波長毎の光の吸収率)のグラフであってもよい。つまり、分光反射率を算出可能であれば、グラフの縦軸は任意のパラメータを採用可能である。
【0035】
図2に戻って、制御部3について説明する。制御部3は、光源の分光分布を取得し、分光分布と、分光反射率とに基づいてFI(識別指標)を算出する。また、制御部3は、算出した識別指標を、例えば表示部に表示する等の出力処理を行う。
【0036】
取得部31は、生鮮食品を照射対象とする光源の分光分布を取得する。例えば、取得部31は、光源の出射光をセンサにより実際に測定した実測値の分光分布取得してもよく、あるいは、照明装置の製造メーカにより予め測定された分光分布を取得してもよい。
【0037】
また、分光分布は、例えば、照明装置のカバーを介して出射される光の分光分布であってもよく、あるいは、分光特性を変更する所定の光学フィルタ等を介した分光分布であってもよい。
【0038】
ここで、
図5を用いて、分光分布について説明する。
図5は、分光分布の一例を示す図である。
図5では、横軸に光の波長を示し、縦軸にエネルギー(光の強度)を示す。また、
図5に示す分光分布は、精肉売り場向けスポットライト(相関色温度2,923K、duv-0.0291)用いた分光分布である。
【0039】
取得部31は、
図5に示すように、分光分布を波長毎のスペクトルとして取得する。なお、取得部31は、
図5に示すスペクトルがグラフ化された分光分布を取得してもよく、波長とエネルギーとの数値のセットを含む分光分布を取得してもよい。
【0040】
図2に戻って、算出部32について説明する。算出部32は、取得部31によって取得された分光分布と生鮮食品の分光反射率とに基づき、光源を照射した場合における生鮮食品の鮮度の識別の容易性を示すFI(識別指標)を算出する。ここで、
図6および
図7を用いて、FIの算出方法について具体的に説明する。
【0041】
図6および
図7は、FIの算出方法を説明するための説明図である。
図6および
図7では、L・a・b色空間を平面的に示している。
【0042】
まず、
図6に示すように、算出部32は、鮮度が異なる生鮮食品それぞれの分光反射率と、分光分布とからテスト色差を算出する。具体的には、算出部32は、
図4に示した「鮮度良」の分光反射率と、
図5に示した分光分布とに基づいてL、aおよびbの座標を算出し、L・a・b色空間にプロットする(鮮度良)。同様に、算出部32は、
図4に示した「鮮度悪」の分光反射率と、
図5に示した分光分布とに基づいてL、aおよびbの座標を算出し、L・a・b色空間にプロットする(鮮度悪)。そして、算出部32は、プロットした2点のテスト色差を算出する。具体的には、算出部32は、L、aおよびbの座標に基づいて算出される2点間のユークリッド距離をテスト色差として算出する。
【0043】
つづいて、
図7に移り、算出部32は、算出したテスト色差と、基準光源の基準色差(テスト色差と同様の手法により算出可能)とを比較する。
図7では、テスト色差が異なる2種類のテスト光源A、Bを示している。具体的には、
図7では、テスト光Aを発するテスト光源Aのテスト色差ΔEt1と、テスト光Bを発するテスト光源Bのテスト色差ΔEt2と、基準光を発する基準光源の基準色差ΔEsとを示している。
【0044】
なお、基準光は、例えば、分光分布における各波長のエネルギーが略等しい光であるが、これに限らず、テスト光源との関係や、光源の種類等に応じて任意の分光分布を有する基準光を採用可能である。
【0045】
また、基準色差は、
図4に示した「鮮度良」および「鮮度悪」それぞれの分光反射率と、基準光源の基準分光分布とに基づいて算出される。
【0046】
算出部32は、算出した基準色差ΔEsおよびテスト色差ΔEt1、ΔEt2の比較結果に基づいてFIを算出する。具体的には、算出部32は、基準色差ΔEsおよびテスト色差ΔEt1、ΔEt2の差分をFIとして算出する。
【0047】
例えば、テスト光源Aについて、FIは負の値となる(ΔEt1-ΔEs<0)。すなわち、テスト光源Aは、基準光源に比べて、色差が小さい、換言すれば、鮮度の劣化が識別しにくい光源であるといえる。
【0048】
また、テスト光源Bについて、FIは正の値となる(ΔEt2-ΔEs>0)。すなわち、テスト光源Bは、基準光源に比べて、色差が大きい、換言すれば、鮮度の劣化が識別しやすい光源であるといえる。
【0049】
このように、基準色差およびテスト色差の比較結果に基づいてFIを算出することで、高精度なFIを算出することができる。
【0050】
なお、
図7では、基準色差およびテスト色差の差分をFIとしたが、例えば、基準色差およびテスト色差の比率をFIとしてもよく、あるいは、基準色差およびテスト色差の大小関係をFIとしてもよい。
【0051】
また、
図7では、基準色差を用いてFIを算出したが、基準色差を用いずにFIを算出してもよい。例えば、算出部32は、所定の閾値(基準色差の算出処理を要しない値)と、テスト色差との比較結果をFIとしてもよい。つまり、算出部32は、テスト色差に基づいてFIを算出可能である。
【0052】
また、算出部32は、上記したFIを、生鮮食品の種類毎に算出する。例えば、算出部32は、生鮮食品の品目毎や、種別毎のFIを算出する。このように、算出部32は、生鮮食品の種類毎のFIを算出することで、生鮮食品の種類毎の特性に合致した高精度なFIを算出することができる。
【0053】
図2に戻って出力部33について説明する。出力部33は、算出部32によって算出されたFIに関する情報を出力する。例えば、出力部33は、図示しない表示部にFIを表示する。表示方法は、FIをそのまま表示してもよく、あるいは、識別しやすい光源であるか否かを示す情報を表示してもよい。
【0054】
また、出力部33は、所定の光源の分光分布に基づいて、生鮮食品の種類毎にFIを算出した場合、かかる光源の照射対象として最も適した生鮮食品(例えば、FIが最も高い生鮮食品等)を表示してもよい。
【0055】
また、出力部33は、利用者から生鮮食品の指定を受け付けて、テスト光源が指定された生鮮食品に最適な光源であるか否かの判定結果を表示してもよい。
【0056】
また、出力部33は、情報表示機能に限定されず、例えば、FIに基づいて、指定された生鮮食品に最適な分光分布となるように光源の分光特性を変更する制御を行ってもよい。かかる場合、出力部33は、変更後の分光分布の情報を照明装置10(あるいは、照明装置10の管理者の端末)に送信してもよく、直接分光分布を変更してもよい。
【0057】
次に、
図8を用いて、実施形態に係る光源評価装置1が実行する処理の手順について説明する。
図8は、実施形態に係る光源評価装置1が実行するFIの算出処理の手順を示すフローチャートである。
【0058】
図8に示すように、取得部31は、テスト光源の分光分布を取得する(ステップS101)。つづいて、算出部32は、分光分布と分光反射率とからテスト色差を算出する(ステップS102)。つづいて、算出部32は、テスト光源および基準光源それぞれの色差(テスト色差および基準色差)の差分をFIとして算出し(ステップS103)、処理を終了する。
【0059】
上述したように、実施形態に係る光源評価方法は、取得工程と、算出工程とを含む。取得工程は、生鮮食品を照射対象とする光源の分光分布を取得する。算出工程は、取得工程によって取得された分光分布と生鮮食品の分光反射率とに基づき、光源を照射した場合における生鮮食品の鮮度の識別の容易性を示す識別指標を算出する。これにより、鮮度を識別しやすい光源であるか否かを容易に評価できる。
【0060】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1 光源評価装置
2 通信部
3 制御部
4 記憶部
10 照明装置
31 取得部
32 算出部
33 出力部
41 分光反射率情報