(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光走査装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/12 20060101AFI20221206BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B26/12
G02B26/10 B
(21)【出願番号】P 2018182227
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】早川 和弘
(72)【発明者】
【氏名】星野 秀隆
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-194612(JP,A)
【文献】実開昭59-140578(JP,U)
【文献】特開2012-078378(JP,A)
【文献】特開2006-178130(JP,A)
【文献】特開2016-031437(JP,A)
【文献】特開2016-151720(JP,A)
【文献】特開2011-027961(JP,A)
【文献】特開2012-203295(JP,A)
【文献】特開平08-094957(JP,A)
【文献】特開平03-194510(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0274141(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10-26/12
B41J 2/47
H04N 1/04-1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光ビームを主走査方向に偏向するポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーを回転軸線を中心に回転させるモータであって、
金属からなる基板を有するモータと、
前記ポリゴンミラーで偏向された光ビームが通る第1走査レンズと、
底壁および側壁を有し、前記第1走査レンズを支持する筐体と、
前記第1走査レンズを挟んで前記底壁と反対側に位置する蓋と、を備えた光走査装置であって、
前記筐体に支持され、前記底壁から離れた位置に前記モータを支持する基部を有する支持フレーム
であって、金属からなる支持フレームを備え、
前記ポリゴンミラーは、前記底壁と前記基部との間に配置され、
前記回転軸線上において、前記底壁から前記ポリゴンミラーまでの距離は、前記基部から前記ポリゴンミラーまでの距離より小さく、
前記底壁は、前記第1走査レンズを保持する面を有し、
前記筐体は、前記底壁から突出し、前記支持フレームを支持する突出部
であって、前記底壁と一体に形成される突出部を有し、
前記突出部の突出する距離は、前記底壁から前記ポリゴンミラーまでの距離よりも大きく、
前記基板は、前記回転軸線に沿った方向から見て、前記回転軸線を囲む多角形の頂点に相当する位置で前記基部に締結され、
前記支持フレームは、前記基板の前記基部に対する締結位置よりも、前記主走査方向における外側で前記突出部に締結され、
前記基部は、前記モータを位置決めするための位置決め孔であって、前記モータの軸受けが入る位置決め孔を有することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記支持フレームと前記突出部との締結位置は、
前記主走査方向および前記回転軸線に沿った方向に直交する方向において、前記基板の前記基部に対する締結位置よりも内側であることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記基部は、前記回転軸線に沿った方向から見て、前記回転軸線を囲む多角形の頂点に相当する位置で前記筐体に締結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記支持フレームは、前記回転軸線に沿った方向から見て、前記ポリゴンミラーと前記第1走査レンズの間に配置され、前記基部から前記底壁に向けて延びる延出部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記延出部は、前記主走査方向に延び、
前記基板の前記基部に対する締結位置は、前記主走査方向において、前記延出部の範囲内に位置することを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記延出部の先端から前記底壁までの距離は、前記ポリゴンミラーから前記底壁までの距離よりも小さく、前記延出部は、前記ポリゴンミラーで偏向された光を通す第1開口を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記底壁は、光ビームを前記筐体外に通すための第2開口を有し、
前記第2開口に向けて光ビームを反射する反射ミラーをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記底壁から前記反射ミラーまでの距離は、前記底壁から前記ポリゴンミラーまでの距離よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の光走査装置。
【請求項9】
前記反射ミラーに光ビームが入射する方向から見て、前記反射ミラーが前記支持フレームと重なっていることを特徴とする請求項8に記載の光走査装置。
【請求項10】
前記第1走査レンズを通過した後の光ビームが通過する第2走査レンズをさらに備え、
前記底壁から前記第2走査レンズまでの距離は、前記底壁から前記第1走査レンズまでの距離よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項11】
前記光源は、第1光源と、第2光源とからなり、
前記第1走査レンズは、前記回転軸線を挟んで前記ポリゴンミラーの一方側と他方側に1つずつ設けられ、
前記ポリゴンミラーは、前記第1光源から出射された光ビームを前記一方側の第1走査レンズに向けて偏向し、前記第2光源から出射された光ビームを前記他方側の第1走査レンズに向けて偏向することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光走査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリゴンミラーを備えた光走査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源と、光源から出射された光ビームを偏向するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーを駆動するモータと、底壁および側壁を有する筐体と、を備えた光走査装置が知られている(特許文献1参照)。この技術では、筐体の底壁にモータが固定されることで、ポリゴンミラーと底壁との間にモータが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モータは回転軸線に沿った方向の大きさが大きいため、筐体の底面から光軸までの高さをある程度確保する必要があり、モータの回転軸線に沿った方向において、光走査装置を小型化することが難しいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、光走査装置を回転軸線に沿った方向に小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る光走査装置は、光源と、前記光源から出射された光ビームを偏向するポリゴンミラーと、前記ポリゴンミラーを回転軸線を中心に回転させるモータと、前記ポリゴンミラーで偏向された光ビームが通る第1走査レンズと、底壁および側壁を有し、前記第1走査レンズを支持する筐体と、前記第1走査レンズを挟んで前記底壁と反対側に位置する蓋と、を備える。
光走査装置は、前記筐体に支持され、前記底壁から離れた位置に前記モータを支持する基部を有する支持フレームをさらに備える。
前記ポリゴンミラーは、前記底壁と前記基部との間に配置される。
前記底壁から前記ポリゴンミラーまでの距離は、前記基部から前記ポリゴンミラーまでの距離より小さい。
【0007】
この構成によれば、ポリゴンミラーで偏向する光ビームを底壁に近づけることができるので、光走査装置を回転軸線に沿った方向に小型化することができる。
【0008】
また、前記基部は、前記回転軸線に沿った方向から見て、前記回転軸線を囲む多角形の頂点に相当する位置で前記筐体に締結されていてもよい。
【0009】
これによれば、筐体に対して支持フレームの基部を強固に固定することができるので、ポリゴンミラーの振動を抑制することができる。
【0010】
また、前記筐体は、前記底壁から突出し、前記支持フレームを支持する突出部を有し、前記突出部の突出する距離は、前記底壁から前記ポリゴンミラーまでの距離よりも大きくてもよい。
【0011】
また、前記モータは、前記回転軸線に沿った方向から見て、前記回転軸線を囲む多角形の頂点に相当する位置で前記基部に締結されていてもよい。
【0012】
これによれば、モータを基部に対して強固に固定することができるので、ポリゴンミラーの振動を抑制することができる。
【0013】
また、前記支持フレームは、前記回転軸線に沿った方向から見て、前記ポリゴンミラーと前記第1走査レンズの間に配置され、前記基部から前記底壁に向けて延びる延出部を有していてもよい。
【0014】
これによれば、延出部によって基部の剛性を高くすることができる。また、ポリゴンミラーと第1走査レンズの間に配置された延出部によって、ポリゴンミラーで意図せぬ方向に反射された光を吸収することができるので、筐体内での迷光を抑制することができる。
【0015】
また、前記延出部の先端から前記底壁までの距離は、前記ポリゴンミラーから前記底壁までの距離よりも小さく、前記延出部は、前記ポリゴンミラーで偏向された光を通す第1開口を有していてもよい。
【0016】
これによれば、延出部の第1開口によってポリゴンミラーで偏向された光ビームを通しつつ、延出部によって光ビームの迷光を遮ることができる。
【0017】
また、前記底壁は、光ビームを前記筐体外に通すための第2開口を有し、前記第2開口に向けて光ビームを反射する反射ミラーをさらに備えていてもよい。
【0018】
また、前記底壁から前記反射ミラーまでの距離は、前記底壁から前記ポリゴンミラーまでの距離よりも大きくてもよい。
【0019】
回転軸線に直交した方向において、反射ミラーと支持フレーム等を並べることができるので、無駄なスペースを有効活用して、小型化を図ることができる。
【0020】
また、前記反射ミラーに光ビームが入射する方向から見て、前記反射ミラーが前記支持フレームと重なっていてもよい。
【0021】
これによれば、反射ミラーに入射してくる光ビームが、反射ミラーと支持フレームの間から抜けて、迷光となってしまうのを抑制することができる。
【0022】
また、前記第1走査レンズを通過した後の光ビームが通過する第2走査レンズをさらに備え、前記底壁から前記第2走査レンズまでの距離は、前記底壁から前記第1走査レンズまでの距離よりも大きくてもよい。
【0023】
これによれば、例えば第2走査レンズを、底壁から筐体外に向けて突出するように配置する構造に比べ、光走査装置を回転軸線に沿った方向に小型化することができる。
【0024】
また、前記光源は、第1光源と、第2光源とからなり、前記第1走査レンズは、前記回転軸線を挟んで前記ポリゴンミラーの一方側と他方側に1つずつ設けられ、前記ポリゴンミラーは、前記第1光源から出射された光ビームを前記一方側の第1走査レンズに向けて偏向し、前記第2光源から出射された光ビームを前記他方側の第1走査レンズに向けて偏向してもよい。
【0025】
また、前記支持フレームは、金属からなっていてもよい。
【0026】
これによれば、支持フレームの剛性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、光走査装置を回転軸線に沿った方向に小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光走査装置を示す斜視図である。
【
図2】光走査装置を軸線方向から見た平面図である。
【
図4】ポリゴンミラー周りの構造を拡大して示す断面図である。
【
図5】支持フレームを軸線方向の一方側から見た斜視図(a)と、軸線方向の他方側から見た斜視図(b)である。
【
図6】支持フレームにポリゴンユニットを取り付けた状態を示す斜視図(a)と、基部に形成された各孔の配置を説明するための図(b)である。
【
図7】支持フレームと筐体との関係を示す分解斜視図(a)と、突出部付近の構造を示す断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1および
図2に示すように、光走査装置1は、筐体100と、4つの光源20Y,20M,20C,20Kと、ポリゴンミラー40と、第1走査光学系SC1と、第2走査光学系SC2とを備えている。第2走査光学系SC2は、ポリゴンミラー40の回転軸線Xを挟んで第1走査光学系SC1とは反対側に配置されている。言い換えると、第2走査光学系SC2は、ポリゴンミラー40の回転軸線Xを含み、かつ第1走査光学系SC1の主走査方向と平行な平面に対して、第1走査光学系SC1と対称な位置に配置されている。
【0030】
筐体100は、樹脂からなり、底壁110と、4つの側壁120と、を有している。底壁110は、回転軸線Xに沿った方向(以下、「軸線方向」とも称する。)から見て矩形となる略板状の壁である。各側壁120は、底壁110の4つの端部からそれぞれ軸線方向に突出している。ここで、蓋200は、筐体100より剛性が低く構成されている。具体的には、蓋200の肉厚は、筐体100の底壁110の肉厚よりも薄い。また、蓋200を構成する樹脂に含まれるガラス繊維等の無機フィラーの含有率は、筐体100よりも低い。
【0031】
光源20Y,20M,20C,20Kは、それぞれレーザ光LY,LM,LC,LKを出射する装置であり、光走査装置1が走査露光する4つの感光ドラム251Y,251M,251C,251K(
図3参照)に対応して4つ設けられている。
【0032】
各光源20Y~20Kから出射された光は、
図2に示すカップリングレンズ21およびシリンドリカルレンズ30を通って、ポリゴンミラー40に入射される。ここで、光源20Y,20Mは、第1光源に相当し、光源20C,20Kは、第2光源に相当する。第1光源である光源20Y,20Mから出射されたレーザ光LY,LMは、ポリゴンミラー40によって、第1走査光学系SC1に向けて偏向される。第2光源である光源20C,20Kから出射されたレーザ光LC,LKは、ポリゴンミラー40によって、第2走査光学系SC2に向けて偏向される。
【0033】
カップリングレンズ21は、光源20Y~20Kから発散して出射されるレーザ光LY~LKを光束(光ビーム)に変換するレンズである。カップリングレンズ21は、4つの光源20Y~20Kに対応して4つ設けられている。なお、本発明において、カップリングレンズ21によって変換されて得られた光束は、平行光、収束光および発散光のいずれであってもよい。
【0034】
シリンドリカルレンズ30は、ポリゴンミラー40の面倒れを補正するため、レーザ光LY~LKを屈折させて副走査方向に収束し、ポリゴンミラー40のミラー面41上で主走査方向に長い線状に結像させるレンズである。このシリンドリカルレンズ30は、カップリングレンズ21とポリゴンミラー40との間に配置されている。
【0035】
ポリゴンミラー40は、筐体100のほぼ中央で、光源20Y~20Kと対向して配置されている。ポリゴンミラー40は、回転軸線Xから等距離に設けられた6つのミラー面41を有している。
図3に示すように、ポリゴンミラー40は、モータPMのロータ部LTに固定されている。ポリゴンミラー40は、モータPMの駆動によって、各ミラー面41が回転軸線Xを中心に回転することで、レーザ光LY~LKを反射して主走査方向に偏向する。なお、ポリゴンミラー40周りの構造は、後で詳述する。
【0036】
光走査装置1は、筐体100の開口(4つの側壁120の端部で形成される開口)を覆う蓋200をさらに備えている。前述した各光源20Y~20K(
図1参照)、ポリゴンミラー40および各走査光学系SC1,SC2は、筐体100に支持されている。蓋200は、樹脂からなり、ポリゴンミラー40および各走査光学系SC1,SC2を挟んで底壁110と反対側に位置している。
【0037】
底壁110は、蓋200に向けて凹む4つの凹部111を有する。凹部111は、レーザ光LY~LKを筐体100外に通すための4つの第2開口HY,HM,HC,HKを有している。各第2開口HY~HKは、各凹部111の底に形成されている。
【0038】
第1走査光学系SC1は、ポリゴンミラー40で偏向されたレーザ光LY,LMを、感光ドラム251Y,251Mに結像する光学系であり、第1走査レンズ50と、2つの第2走査レンズ60(60Y,60M)と、複数の反射ミラー71~75とを備えている。第2走査光学系SC2は、ポリゴンミラー40で偏向されたレーザ光LC,LKを、感光ドラム251C,251Kに結像する光学系であり、1つの第1走査レンズ50と、2つの第2走査レンズ60(60C,60K)と、複数の反射ミラー71~75とを備えている。なお、各走査光学系SC1,SC2を構成する部材は、略同様の機能を有するため、以下にまとめて説明する。
【0039】
第1走査レンズ50は、ポリゴンミラー40によって等角速度で走査されたレーザ光LY~LKを感光ドラム251の表面に収束するとともに、感光ドラム251の表面で主走査方向に等速度で走査するように変換するfθレンズである。第1走査レンズ50は、ポリゴンミラー40の回転軸線Xを挟んでポリゴンミラー40の一方側と他方側に1つずつ設けられている。
【0040】
第2走査レンズ60は、ポリゴンミラー40の面倒れを補正するため、レーザ光LY~LKを屈折させて副走査方向に収束し、感光ドラム251の表面上に結像させるトーリックレンズである。この第2走査レンズ60(60Y~60K)は、4つの光源20Y~20Kに対応して4つ設けられている。
【0041】
第2走査レンズ60は、第1走査レンズ50よりも底壁110から離れた位置に位置している。つまり、第2走査レンズ60は、第1走査レンズ50よりも底壁110からの距離が大きい。詳しくは、底壁110のうち軸線方向から見てポリゴンミラー40と重なる平面部分FFから第2走査レンズ60までの距離(軸線方向の距離)は、平面部分FFから第1走査レンズ50までの距離よりも大きい。また、レーザ光LM,LCが通過する第2走査レンズ60M,60Cは、レーザ光LY,LKが通過する第2走査レンズ60Y,60Kよりも平面部分FFからの距離が大きい。
【0042】
反射ミラー71~75は、レーザ光LY~LKを反射する部材であり、例えば、ガラス板の表面にアルミニウムなどの反射率が高い材料を蒸着することにより形成されている。
【0043】
反射ミラー71は、第1走査レンズ50と第2走査レンズ60Y,60Kとの間に配置されており、第1走査レンズ50を通過したレーザ光LM,LCを反射ミラー72に向けて反射する。また、反射ミラー72は、軸線方向において、第2走査レンズ60M,60Cと略同じ位置に配置されており、反射ミラー71で反射されたレーザ光LM,LCを第2走査レンズ60M,60Cに向けて反射する。
【0044】
反射ミラー73は、軸線方向において、第2走査レンズ60M,60Cと略同じ位置に配置されており、第2走査レンズ60M,60Cを通過したレーザ光LM,LCを第2開口HM,HCに向けて反射する。平面部分FFから反射ミラー73までの距離は、平面部分FFからポリゴンミラー40までの距離よりも大きい。また、反射ミラー73にレーザ光LM,LCが入射する方向から見て、反射ミラー73が後述する支持フレーム300と重なっている。
【0045】
反射ミラー74は、ポリゴンミラー40で偏向されたレーザ光LY,LKの進行方向において反射ミラー71と筐体100の側壁120との間に配置されており、第1走査レンズ50を通過したレーザ光LY,LKを第2走査レンズ60Y,60Kに向けて反射する。反射ミラー75は、軸線方向において、反射ミラー72と略同じ位置に配置されており、第2走査レンズ60Y,60Kを通過したレーザ光LY,LKを第2開口HY,HKに向けて反射する。
【0046】
以上のような構成により、ポリゴンミラー40で偏向されたレーザ光LM,LCは、第1走査レンズ50を通過し、反射ミラー71,72で反射され、第2走査レンズ60を通過した後、反射ミラー73で反射されて感光ドラム251の表面を走査露光する。また、ポリゴンミラー40で偏向されたレーザ光LY,LKは、第1走査レンズ50を通過し、反射ミラー74で反射され、第2走査レンズ60を通過した後、反射ミラー75で反射されて感光ドラム251の表面を走査露光する。
【0047】
図4に示すように、光走査装置1は、鉄を主成分とした金属からなる支持フレーム300を備えている。支持フレーム300は、ポリゴンミラー40およびモータPMを支持するフレームであって、筐体100に支持されている。支持フレーム300は、基部310と、2つの延出部320と、を有している。基部310は、底壁110から離れた位置に配置され、底壁110から離れた位置にモータPMを支持している。
【0048】
ポリゴンミラー40は、底壁110と基部310との間に配置されている。モータPMは、ポリゴンミラー40と基部310との間に配置されている。底壁110の平面部分FFからポリゴンミラー40までの距離D1は、基部310からポリゴンミラー40までの距離D2より小さい。
【0049】
基部310は、回転軸線Xに直交する平面を有する平板状に形成されている。延出部320は、軸線方向から見てポリゴンミラー40と第1走査レンズ50の間に配置されている。延出部320は、基部310から底壁110に向けて延びている。詳しくは、ポリゴンミラー40と第1走査レンズ50が並ぶ方向を第1方向とした場合、延出部320は、基部310の第1方向の各端部から底壁110に向けて延びている。
【0050】
延出部320の先端から底壁110の平面部分FFまでの距離D3は、ポリゴンミラー40から底壁110の平面部分FFまでの距離よりも小さい。延出部320は、ポリゴンミラー40で偏向されたレーザ光LY~LKを通す第1開口H1を有している。
【0051】
図5(a),(b)に示すように、基部310および各延出部320は、軸線方向および前述した第1方向に直交する第2方向に長い矩形の板状に形成されている。延出部320は、第2方向において、基部310よりも短い。基部310の第2方向における各端部は、延出部320から突出している。
【0052】
第1開口H1は、第2方向に長い矩形の孔として延出部320に形成されている。第1開口H1は、延出部320の第2方向における略中央部に位置する。第1開口H1から延出部320の先端までの距離は、第1開口H1から基部310までの距離よりも小さい。
【0053】
基部310は、4つの凹部311と、位置決め孔H3と、4つのモータ締結孔H4と、3つの筐体締結孔H51,H52,H53と、を有する。凹部311は、延出部320が突出する方向に凹む凹部である。凹部311は、軸線方向から見て円形となっている。各凹部311の底には、モータ締結孔H4が形成されている。
【0054】
位置決め孔H3は、支持フレーム300に対してモータPMを第1方向および第2方向に位置決めするための孔である。位置決め孔H3は、基部310の第1方向および第2方向における略中央に位置する。位置決め孔H3には、モータPMの軸受けPM1が嵌合される(
図7(a)参照)。
【0055】
4つのモータ締結孔H4は、モータPMの基板BB(
図6(a)参照)を基部310に締結するための孔である。基板BBは、ロータ部LTを回転可能に支持する軸受けPM1と、磁界を発生させてロータ部LTを回転させるコイルを支持している。基板BBは鉄を主成分とした金属からなり、支持フレーム300よりも厚さが薄く構成されている。各モータ締結孔H4は、軸線方向から見て位置決め孔H3を囲む四角形F1(
図6(b)参照)の頂点に相当する位置に配置されている。詳しくは、4つのうち2つのモータ締結孔H4は、位置決め孔H3に対して第2方向の一方側に配置され、残りの2つのモータ締結孔H4は、位置決め孔H3に対して第2方向の他方側に配置される。第2方向の一方側の各モータ締結孔H4は、第2方向の他方側の各モータ締結孔H4よりも位置決め孔H3に近い。
【0056】
3つの筐体締結孔H51~H53は、支持フレーム300を筐体100に締結するための孔である。3つのうち2つの筐体締結孔H51,H52は、丸孔であり、残りの1つの筐体締結孔H53は、第2方向に長い長孔である。各筐体締結孔H51~H53は、軸線方向から見て位置決め孔H3を囲む三角形F2(
図6(b)参照)の頂点に相当する位置に配置されている。詳しくは、3つのうち1つの筐体締結孔H51は、位置決め孔H3に対して第2方向の一方側に配置され、残りの2つの筐体締結孔H52,H53は、位置決め孔H3に対して第2方向の他方側に配置される。第2方向の一方側の筐体締結孔H51は、第2方向の他方側の各筐体締結孔H52,H53よりも位置決め孔H3に近い。第2方向の一方側の筐体締結孔H51は、第1方向において、位置決め孔H3と略同じ位置に位置する。第2方向の他方側の2つの筐体締結孔H52,H53は、第1方向において、位置決め孔H3の一方側と他方側にそれぞれ位置する。
【0057】
図7(a),(b)に示すように、筐体100は、底壁110から支持フレーム300の基部310に向けて突出する3つの突出部130を有している。各突出部130は、支持フレーム300の基部310を支持するボスであり、3つの筐体締結孔H51~H53に対応する位置に配置されている。各突出部130の突出する距離(高さ)は、底壁110からポリゴンミラー40までの距離よりも大きい。各突出部130のうち、筐体締結孔H51,H53に対応する突出部130は、ベース部131と、凸部132と、を有する。筐体締結孔H52に対応する突出部130は、ベース部131のみを有する。
【0058】
ベース部131は、円筒形状をなし、底壁110と一体に形成されている。凸部132は、ベース部131よりも小径となる円筒形状をなし、ベース部131の先端から突出している。凸部132の高さは、基部310の厚さより小さい。各突出部130の凸部132は、筐体締結孔H51,H53と係合可能となっている。これにより、筐体締結孔H51を基準として、筐体締結孔H53によって回転方向の位置が規定され、基部310が底壁110に対して位置決めされる。また、底壁110と基部310との熱膨張の差、および製造公差は、筐体締結孔H53が長孔であること、および筐体締結孔H52が凸部132と係合しないことにより吸収される。
【0059】
次に、ポリゴンミラー40、モータPMおよび基板BBを有するポリゴンユニットPUを筐体100へ取り付ける方法について説明する。
まず、
図5(a)に示す支持フレーム300の位置決め孔H3に、モータPMの軸受けPM1(
図7(a)参照)を入れつつ、支持フレーム300の各凹部311の底壁に基板BBを載せる。その後、
図6(a)に示すように、基板BBに形成された図示せぬ孔にネジN1を通して、ネジN1を各凹部311の底壁に形成された各モータ締結孔H4(
図5参照)に締結する。これにより、
図6(b)に示すように、モータPMは、軸線方向から見て、回転軸線Xを囲む四角形F1の頂点に相当する位置で基部310に締結されて、ポリゴンユニットPUが支持フレーム300に固定される。
【0060】
その後、
図7(a)に示すように、支持フレーム300の各筐体締結孔H51~H53に各突出部130の凸部132を通して、各突出部130のベース部131の先端に支持フレーム300の基部310を載せる。次いで、
図7(b)に示すように、支持フレーム300の各筐体締結孔H51~H53にネジN2を通しつつ、ネジN2を突出部130に締結する。これにより、ネジN2の頭部とベース部131との間で基部310が挟持され、支持フレーム300が筐体100に強固に固定される。また、この際、
図6(b)に示すように、基部310は、軸線方向から見て、回転軸線Xを囲む三角形F2の頂点に相当する位置で筐体100に締結される。
【0061】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ポリゴンミラー40を筐体100の底壁110の近くに配置することで、ポリゴンミラー40で偏向するレーザ光LY~LKの光軸を底壁110に近づけることができるので、第1走査レンズ50などを底壁110に近い位置に配置することができ、光走査装置1を軸線方向に小型化することができる。
【0062】
基部310を、軸線方向から見て、回転軸線Xを囲む三角形F2の頂点に相当する位置で筐体100に締結することで、筐体100に対して基部310を強固に固定することができるので、ポリゴンミラー40の振動を抑制することができる。
【0063】
モータPMを、軸線方向から見て、回転軸線Xを囲む四角形F1の頂点に相当する位置で基部310に締結することで、モータPMを基部310に対して強固に固定することができるので、ポリゴンミラー40の振動を抑制することができる。
【0064】
基部310に延出部320を設けたので、延出部320によって基部310の剛性を高くすることができる。
【0065】
延出部320に形成した第1開口H1によってポリゴンミラー40で偏向されたレーザ光LY~LKを通しつつ、延出部320によってレーザ光LY~LKの迷光を遮ることができる。
【0066】
第2開口HY~HKに向けてレーザ光LY~LKを反射する反射ミラー73,75の底壁110の平面部分FFからの距離が、ポリゴンミラー40の平面部分FFからの距離よりも大きい。これにより、回転軸線Xに沿った方向においてポリゴンミラー40を挟み平面部分FFと反対側のスペースを有効活用し、回転軸線Xに沿った方向の小型化を図ることができる。
【0067】
反射ミラー73にレーザ光LY~LKが入射する方向から見て、反射ミラー73が支持フレーム300と重なっているので、反射ミラー73に入射してくるレーザ光LY~LKが、反射ミラー73と支持フレーム300の間から抜けて、迷光となってしまうのを抑制することができる。特に、2つの走査光学系SC1,SC2を備えた光走査装置1においては、一方の走査光学系(例えば、SC1)の光路上を進んでいるレーザ光の一部が、他方の走査光学系(例えば、SC2)に抜けてしまい、他方の走査光学系に悪影響を及ぼすのを抑えることができる。
【0068】
第2走査レンズ60の底壁110の平面部分FFからの距離が、第1走査レンズ50の底壁110の平面部分FFからの距離よりも大きいので、例えば第2走査レンズを、底壁から筐体外に向けて突出するように配置する構造に比べ、光走査装置1を軸線方向に小型化することができる。
【0069】
支持フレーム300が金属からなるので、支持フレーム300の剛性を高くすることができる。
【0070】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
前記実施形態では、延出部320に第1開口H1を形成したが、本発明はこれに限定されず、延出部に第1開口を形成しなくてもよい。この場合、延出部の先端を、ポリゴンミラーよりも底壁から遠い位置に配置すればよい。この場合であっても、延出部320の先端側の部分によって、ポリゴンミラー40で意図せぬ方向に反射されたレーザ光を吸収することができるので、筐体内での迷光を抑制することができる。
【0072】
前記実施形態では、延出部320を設けたが、本発明はこれに限定されず、延出部はなくてもよい。
【0073】
前記実施形態では、基部310と筐体100との締結点を結んだ線で描かれる多角形を、三角形F2としたが、本発明はこれに限定されず、その他の多角形であってもよい。同様に、モータPMと基部310との締結点を結んだ線で描かれる多角形を、四角形F1以外の多角形としてもよい。
【0074】
前記実施形態では、支持フレーム300を金属で形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば支持フレームを樹脂で形成してもよい。
【0075】
前記実施形態では、2つの走査光学系SC1,SC2を備えた光走査装置1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、例えば1つの走査光学系のみを備えた光走査装置に本発明を適用してもよい。
【0076】
前記実施形態では、ポリゴンミラー40のミラー面の数を6としたが、本発明はこれに限定されず、ミラー面の数はいくつであってもよく、例えば、4つであってもよい。
【0077】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 光走査装置
20Y~20K 光源
40 ポリゴンミラー
50 第1走査レンズ
100 筐体
110 底壁
120 側壁
200 蓋
300 支持フレーム
310 基部
D1 距離
D2 距離
LY~LK レーザ光
PM モータ
X 回転軸線