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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20221206BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20221206BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221206BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H02J7/10 B
H02J7/04 C
H02J7/10 L
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/44 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018201052
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020068607
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴鹿 真央
(72)【発明者】
【氏名】平野 健三
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-067420(JP,A)
【文献】国際公開第2007/122787(WO,A1)
【文献】特開2008-278570(JP,A)
【文献】特開2011-082158(JP,A)
【文献】特開2013-017331(JP,A)
【文献】特開平07-312231(JP,A)
【文献】特開平11-004549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/10
H02J 7/04
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源となるバッテリを有する携帯端末であって、
外部からの電力供給に応じて前記バッテリのバッテリ電圧が満充電電圧値となるように当該バッテリを充電する充電回路と、
前記バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
前記外部から電力供給が可能に当該外部に対して電気的に接続された電力供給可能状態と前記外部からの電力供給が停止された電力供給停止状態とを検知可能な電力供給状態検知部と、
前記電力供給状態検知部により前記電力供給可能状態から前記電力供給停止状態への変化が検知されてからの経過時間を非充電時間として計時する非充電時間計時部と、
前記満充電電圧値を、第1の電圧値と前記第1の電圧値よりも小さな第2の電圧値とのいずれかに設定可能な設定部と、
を備え、
前記設定部は、前記非充電時間計時部により前記非充電時間の計時が開始された後に前記電力供給状態検知部により前記電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに前記非充電時間計時部により計時された前記非充電時間が所定時間以上であると、前記満充電電圧値を前記第1の電圧値に設定し、当該検知までに前記非充電時間計時部により計時された前記非充電時間が前記所定時間未満であると、前記満充電電圧値を前記第2の電圧値に設定することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
電力供給源となるバッテリを有する携帯端末であって、
外部からの電力供給に応じて前記バッテリのバッテリ電圧が満充電電圧値となるように当該バッテリを充電する充電回路と、
前記バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
前記外部から電力供給が可能に当該外部に対して電気的に接続された電力供給可能状態と前記外部からの電力供給が停止された電力供給停止状態とを検知可能な電力供給状態検知部と、
前記電力供給状態検知部により前記電力供給可能状態から前記電力供給停止状態への変化が検知されてからの経過時間を非充電時間として計時する非充電時間計時部と、
前記満充電電圧値を、第1の電圧値と前記第1の電圧値よりも小さな第2の電圧値とのいずれかに設定可能な設定部と、
を備え、
前記設定部は、前記非充電時間計時部により前記非充電時間の計時が開始された後に前記電力供給状態検知部により前記電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに前記非充電時間計時部により計時された前記非充電時間が所定時間以上または前記バッテリ電圧検出部により検出された前記バッテリ電圧が所定の電圧値未満のいずれかであると、前記満充電電圧値を前記第1の電圧値に設定し、当該検知までに前記非充電時間計時部により計時された前記非充電時間が前記所定時間未満かつ前記バッテリ電圧検出部により検出された前記バッテリ電圧が前記所定の電圧値以上であると、前記満充電電圧値を前記第2の電圧値に設定することを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
前記バッテリの温度を計測する温度計測部を備え、
前記設定部は、前記非充電時間計時部により前記非充電時間の計時が開始された後に前記電力供給状態検知部により前記電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに前記非充電時間計時部により計時された前記非充電時間が前記所定時間以上または前記バッテリ電圧検出部により検出された前記バッテリ電圧が前記所定の電圧値未満のいずれかであっても、前記温度計測部により計測される前記バッテリの温度が所定温度以上になると、前記満充電電圧値を前記第2の電圧値に設定することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
所定の処理として無線タグを読み取る読取処理を行う処理部と、
前記電力供給状態検知部により前記電力供給停止状態から前記電力供給可能状態への変化が検知されてからの経過時間を接続時間として計時する接続時間計時部と、
前記接続時間計時部により計時される前記接続時間が第2の所定時間以上であるか否かについて判定する判定部と、
を備え、
前記設定部は、前記判定部により前記接続時間が前記第2の所定時間未満であると判定される状態では前記満充電電圧値を前記第1の電圧値に設定し、前記判定部により前記接続時間が前記第2の所定時間以上であると判定される状態では前記満充電電圧値を前記第2の電圧値に設定し、
前記充電回路は、前記設定部により前記満充電電圧値が前記第2の電圧値に設定されると、前記バッテリ電圧検出部により検出される前記バッテリ電圧が前記第2の電圧値以上では前記バッテリへの充電を停止し、
前記処理部は、前記設定部により前記満充電電圧値が前記第1の電圧値に設定されるか前記バッテリ電圧検出部により検出される前記バッテリ電圧が前記第2の電圧値未満であると、前記外部から電力供給を受けて前記所定の処理として無線タグを読み取る読取処理を行い、前記設定部により前記満充電電圧値が前記第2の電圧値に設定され、かつ、前記バッテリ電圧検出部により検出される前記バッテリ電圧が前記第2の電圧値以上であると、前記バッテリから電力供給を受けて前記所定の処理として無線タグを読み取る読取処理を行うことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給源となるバッテリを有する携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末等の電力供給源となるバッテリは、充電装置等の外部からの電力供給に応じた充電が必要となる一方で、高頻度の充電等のために性能が劣化してしまう場合がある。このようなバッテリの性能劣化を抑制するための技術として、例えば、下記特許文献1に開示される携帯機器が知られている。この携帯機器では、充電開始時に計測されたバッテリの温度が35℃未満(常温)であれば高圧電領域の充電電圧として4.2Vが選択され、バッテリの温度が35℃以上(高温領域)であれば充電電圧として高圧電領域ではあるが4.2Vよりも低い4.1Vが選択される。そして、充電中に高温領域かつ高圧電領域となる状態が所定時間継続すると、充電電圧を3.95Vに下げることで、高温領域且つ高電圧領域が継続するために電池寿命が著しく劣化することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-067420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、非充電状態の携帯端末で所定の処理を行った後に充電台等で充電する際、携帯端末の充電回路は、充電台等からの電力供給に応じてバッテリ電圧が満充電電圧となるようにバッテリを充電する。その際、非充電時の携帯端末の連続使用時間の増加等のためには満充電電圧を高く設定する必要があるが、その高く設定された満充電電圧のためにバッテリの寿命が短くなりやすくバッテリの膨張も生じやすくなる結果、バッテリの性能が低下しやすくなるという問題がある。また、単に、満充電電圧を低く設定するだけでは、非充電時の連続使用時間が短くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、携帯端末の連続使用時間を短くすることなくバッテリの性能低下を抑制し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
電力供給源となるバッテリ(31)を有する携帯端末(10)であって、
外部(1)からの電力供給に応じて前記バッテリのバッテリ電圧(Vb)が満充電電圧値(Vm)となるように当該バッテリを充電する充電回路(32)と、
前記バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部(33)と、
前記外部から電力供給が可能に当該外部に対して電気的に接続された電力供給可能状態と前記外部からの電力供給が停止された電力供給停止状態とを検知可能な電力供給状態検知部(34)と、
前記電力供給状態検知部により前記電力供給可能状態から前記電力供給停止状態への変化が検知されてからの経過時間を非充電時間(T1)として計時する非充電時間計時部(26)と、
前記満充電電圧値を、第1の電圧値(Vm1)と前記第1の電圧値よりも小さな第2の電圧値(Vm2)とのいずれかに設定可能な設定部(21)と、
を備え、
前記設定部は、前記非充電時間計時部により前記非充電時間の計時が開始された後に前記電力供給状態検知部により前記電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに前記非充電時間計時部により計時された前記非充電時間が所定時間(T1th)以上であると、前記満充電電圧値を前記第1の電圧値に設定し、当該検知までに前記非充電時間計時部により計時された前記非充電時間が前記所定時間未満であると、前記満充電電圧値を前記第2の電圧値に設定することを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、
電力供給源となるバッテリ(31)を有する携帯端末(10)であって、
外部(1)からの電力供給に応じて前記バッテリのバッテリ電圧(Vb)が満充電電圧値(Vm)となるように当該バッテリを充電する充電回路(32)と、
前記バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部(33)と、
前記外部から電力供給が可能に当該外部に対して電気的に接続された電力供給可能状態と前記外部からの電力供給が停止された電力供給停止状態とを検知可能な電力供給状態検知部(34)と、
前記電力供給状態検知部により前記電力供給可能状態から前記電力供給停止状態への変化が検知されてからの経過時間を非充電時間(T1)として計時する非充電時間計時部(26)と、
前記満充電電圧値を、第1の電圧値(Vm1)と前記第1の電圧値よりも小さな第2の電圧値(Vm2)とのいずれかに設定可能な設定部(21)と、
を備え、
前記設定部は、前記非充電時間計時部により前記非充電時間の計時が開始された後に前記電力供給状態検知部により前記電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに前記非充電時間計時部により計時された前記非充電時間が所定時間(T1th)以上または前記バッテリ電圧検出部により検出された前記バッテリ電圧が所定の電圧値(Vo)未満のいずれかであると、前記満充電電圧値を前記第1の電圧値に設定し、当該検知までに前記非充電時間計時部により計時された前記非充電時間が前記所定時間未満かつ前記バッテリ電圧検出部により検出された前記バッテリ電圧が前記所定の電圧値以上であると、前記満充電電圧値を前記第2の電圧値に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、非充電時間計時部により非充電時間の計時が開始された後に電力供給状態検知部により電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに非充電時間計時部により計時された非充電時間が所定時間以上であると、設定部により満充電電圧値が第1の電圧値に設定され、当該検知までに非充電時間計時部により計時された非充電時間が上記所定時間未満であると、設定部により満充電電圧値が第1の電圧値よりも小さな第2の電圧値に設定される。
【0011】
これにより、非充電時間が比較的短い場合、例えば、充電台から外した携帯端末の確認操作等を短時間で終えて再び充電台に置き直すような場合には、非充電時間が比較的長い場合に対して、満充電電圧値が小さな電圧値(第2の電圧値)に設定される。このような場合には、非充電時の連続使用時間を増加するために満充電電圧値を高くする必要もないので、満充電電圧値を小さく設定することで、バッテリの性能低下を抑制することができる。
【0014】
請求項の発明では、非充電時間計時部により非充電時間の計時が開始された後に電力供給状態検知部により電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに非充電時間計時部により計時された非充電時間が所定時間以上またはバッテリ電圧検出部により検出されたバッテリ電圧が所定の電圧値未満のいずれかであると、設定部により満充電電圧値が第1の電圧値に設定され、当該検知までに非充電時間計時部により計時された非充電時間が上記所定時間未満かつバッテリ電圧検出部により検出されたバッテリ電圧が上記所定の電圧値以上であると、設定部により満充電電圧値が第2の電圧値に設定される。
【0015】
これにより、非充電時間が比較的短い場合であって充電が再開されたときのバッテリ電圧が比較的高い場合、例えば、充電台から外した携帯端末の確認操作等を短時間で終えて再び充電台に置き直すような場合には、非充電時間が比較的長い場合やバッテリ電圧が比較的低い場合に対して、満充電電圧値が小さな電圧値(第2の電圧値)に設定される。このような場合には、非充電時の連続使用時間を増加するために満充電電圧値を高くする必要もないので、満充電電圧値を小さく設定することで、バッテリの性能低下を抑制することができる。特に、非充電時間とバッテリ電圧との双方を考慮するので、非充電時間が比較的短くてもバッテリ電圧が比較的低い場合やバッテリ電圧が比較的高くても非充電時間が比較的長い場合には、満充電電圧値が小さな電圧値(第2の電圧値)に設定されることもないので、より実情に適した満充電電圧値を設定することができる。
【0016】
請求項の発明では、非充電時間計時部により非充電時間の計時が開始された後に電力供給状態検知部により電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに非充電時間計時部により計時された非充電時間が上記所定時間以上またはバッテリ電圧検出部により検出されたバッテリ電圧が上記所定の電圧値未満のいずれかであっても、温度計測部により計測されるバッテリの温度が所定温度以上になると、設定部により満充電電圧値が第2の電圧値に設定される。
【0017】
これにより、非充電時間が比較的長い場合であって充電が再開されたときのバッテリ電圧が比較的低い場合であってもバッテリの温度が所定温度以上となる場合、例えば、高温環境下で短時間にて高負荷の処理を行うような場合には、満充電電圧値が小さな電圧値(第2の電圧値)に設定される。このように、非充電時間及びバッテリ電圧に加えてバッテリの温度をも考慮した満充電電圧値の設定を行うので、より一層実情に適した満充電電圧値を設定することができる。
【0018】
請求項の発明では、判定部により接続時間が第2の所定時間未満であると判定される状態では、設定部により満充電電圧値が上記第1の電圧値に設定され、判定部により接続時間が第2の所定時間以上であると判定される状態では、設定部により満充電電圧値が上記第2の電圧値に設定される。また、設定部により満充電電圧値が第2の電圧値に設定されると、バッテリ電圧検出部により検出されるバッテリ電圧が上記第2の電圧値以上では充電回路によるバッテリへの充電が停止される。そして、処理部では、設定部により満充電電圧値が上記第1の電圧値に設定されるかバッテリ電圧検出部により検出されるバッテリ電圧が上記第2の電圧値未満であると、外部から電力供給を受けて所定の処理として無線タグを読み取る読取処理が行われ、設定部により満充電電圧値が上記第2の電圧値に設定され、かつ、バッテリ電圧検出部により検出されるバッテリ電圧が上記第2の電圧値以上であると、バッテリから電力供給を受けて所定の処理として無線タグを読み取る読取処理が行われる。
【0019】
これにより、接続時間が上記第2の所定時間以上となる場合、例えば、携帯端末が充電可能に充電台に載置された状態が長時間継続する場合には、満充電電圧値が小さな電圧値(第2の電圧値)に設定される。その際、充電回路によるバッテリへの充電が停止されるだけでなく、バッテリ電圧が上記第2の電圧値未満となるまでバッテリから電力供給を受けて処理部による所定の処理が行われる。このため、迅速にバッテリ電圧が上記第2の電圧値まで下がることから、満充電電圧値が不要に高くなる時間を短縮でき、上述した充電再開時の効果と合わせて、バッテリの性能低下をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る携帯端末がクレードルに載置された状態を示す斜視図である。
図2図2(A)は、図1の携帯端末の電気的構成を例示するブロック図であり、図2(B)は、図2(A)の無線タグ処理部を概略的に例示するブロック図であり、図2(C)は、図2(A)の情報コード読取部を概略的に例示するブロック図である。
図3】第1実施形態において制御部にて行われる満充電電圧設定処理の流れを例示するフローチャートである。
図4】第1実施形態の満充電電圧設定処理にて設定された満充電電圧値に応じて変化するバッテリ電圧の時間変化を説明する説明図である。
図5】第1実施形態の第3変形例に係る携帯端末の電気的構成を例示するブロック図である。
図6】第2実施形態に係る携帯端末の電気的構成を例示するブロック図である。
図7】第2実施形態において制御部にて行われる充電処理の流れを例示するフローチャートである。
図8】第2実施形態での充電処理においてバッテリ電圧の時間変化を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る携帯端末10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報読取端末であって、外部からの電力供給装置として機能するクレードル(充電台)1に載置されることでバッテリ31が充電されるように構成されている。この携帯端末10は、バーコードや二次元コードなどの情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能に加えて、アンテナを介して送受信される電波を媒介としてRFIDタグなどの無線タグに記憶されている情報を読み書きする機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0025】
図1に示すように、携帯端末10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケースおよび下側ケースが組み付けられて構成される長手状の筐体11によって外郭が形成されている。また、上側ケースには、所定の情報を入力する際に操作されるファンクションキーおよびテンキー等のキー操作部25や、所定の情報を表示するための表示部24等が配置されている。また、下側ケースには、下方に向けて開口する読取口12が形成されている。また、筐体11の底面には、載置したクレードル1の充電端子に対して電気的に接続する受電端子が配置されている。
【0026】
次に、携帯端末10の電気的構成について説明する。
図2(A)に示すように、携帯端末10の筐体11内には、携帯端末10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、記憶部22とともに情報処理装置を構成している。記憶部22には、後述する満充電電圧設定処理を実行するための所定のプログラムや情報コード、無線タグを読み取る読取処理を実行するためのプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。
【0027】
また、制御部21には、LED23、表示部24、キー操作部25、タイマー26、通信部27などの各電子部品が接続されている。キー操作部25は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、LED23及び表示部24は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。タイマー26は、公知の時計回路、タイマー回路などによって構成されており、後述する非充電時間や接続時間などの複数種類の経過時間を計時可能であって、その計時結果を制御部21に出力するように構成されている。通信部27は、サーバ等の外部機器との間で有線通信又は無線通信によりデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0028】
また、筐体11内には、携帯端末10の電力供給源となるバッテリ31とこのバッテリ31を充電するための充電回路32が設けられている。バッテリ31は、所定の直流電圧を発生可能な2次電池、例えば、リチウムイオンバッテリであって、筐体11内のバッテリ収容部に着脱可能に収容されることで、制御部21や各電子部品等に対して電力を供給するように機能する。
【0029】
充電回路32は、制御部21により制御されて、受電端子を介したクレードル1からの電力供給に応じてバッテリ31のバッテリ電圧Vbが満充電電圧値Vmとなるように当該バッテリ31を充電するように機能する。この満充電電圧値Vmを設定するために制御部21にてなされる満充電電圧設定処理については、後述する。
【0030】
このため、本実施形態では、バッテリ電圧Vbを検出するためのバッテリ電圧検出部33と、クレードル1を利用した電力供給状態を検知するための電力供給状態検知部34とが設けられている。電力供給状態検知部34は、受電端子の電圧等に応じて、クレードル1から電力供給が可能に当該クレードル1に対して電気的に接続された電力供給可能状態と、クレードル1からの電力供給が停止された電力供給停止状態とを検知可能であって、その検知結果を制御部21に出力するように構成されている。
【0031】
また、携帯端末10は、制御部21により制御されて外部の情報を読み取り可能な情報読取部として機能する無線タグ処理部40及び情報コード読取部50を備えている。
【0032】
まず、無線タグ処理部40について、図2(B)を用いて説明する。
無線タグ処理部40は、アンテナ44及び制御部21と協働して無線タグTとの間で電磁波による通信を行ない、無線タグTに記憶されるデータの読取り、或いは無線タグTに対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この無線タグ処理部40は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図2(B)にて概略的に示すように、送信回路41、受信回路42、整合回路43などを有している。
【0033】
送信回路41は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路43を介してアンテナ44に出力している。このようにしてアンテナ44に送信信号が出力されると、その送信信号が送信電波として当該アンテナ44より外部に放射される。
【0034】
一方、アンテナ44によって受信された応答信号は、整合回路43を介して受信回路42に入力される。この受信回路42は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ44を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。
【0035】
次に、情報コード読取部50について、図2(C)を用いて説明する。
情報コード読取部50は、情報コードCを光学的に読み取るように機能するもので、図2(C)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ53、結像レンズ52、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部51などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
【0036】
この情報コード読取部50によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部51から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口12を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口12を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ52を通って受光センサ53に受光される。読取口12と受光センサ53との間に配される結像レンズ52は、情報コードCの像を受光センサ53上に結像させる構成をなしており、受光センサ53はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ53から出力された受光信号は、画像データとして記憶部22に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部50には、受光センサ53からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0037】
次に、充電状況等に応じて満充電電圧値Vmを設定するために制御部21にてなされる満充電電圧設定処理について、説明する。
本実施形態では、満充電電圧値Vmとして、通常の電圧値(以下、第1満充電電圧値Vm1ともいう)と、この第1満充電電圧値Vm1よりも小さいバッテリ保護用の電圧値(以下、第2満充電電圧値Vm2ともいう)とが用意されている。非充電時の携帯端末10の連続使用時間を増加するためには、満充電電圧値Vmを高く設定する必要があり、通常では、満充電電圧値Vmは第1満充電電圧値Vm1(例えば、4.4V)に設定される。一方、充電時の状況等によっては、高い充電電圧値が不要となる場合や、通常の充電電圧値(第1満充電電圧値Vm1)であってもバッテリ31の劣化がより促進してしまう場合がある。そこで、本実施形態では、このような場合には、バッテリ31の劣化を抑制するため、満充電電圧値Vmを第2満充電電圧値Vm2(例えば、3.85V)に設定する。なお、第1満充電電圧値Vm1は、「第1の電圧値」の一例に相当し、第2満充電電圧値Vm2は、「第2の電圧値」の一例に相当し得る。
【0038】
以下、充電時の状況等に応じて、満充電電圧値Vmを第1満充電電圧値Vm1または第2満充電電圧値Vm2に設定する満充電電圧設定処理について、図3のフローチャート等を参照して具体的に詳述する。
本実施形態における満充電電圧設定処理は、電力供給状態検知部34によって電力供給可能状態から電力供給停止状態への変化が検知されることで開始される。すなわち、クレードル1に載置されることで電力供給可能状態であった携帯端末10がクレードル1から取り外されて電力供給停止状態となることで、制御部21にて満充電電圧設定処理が開始される。
【0039】
まず、図3のステップS101に示す非充電時間計時処理がなされる。この処理にて、タイマー26により、電力供給状態検知部34により電力供給可能状態から電力供給停止状態への変化が検知されてからの経過時間を、非充電時間T1として計時するための処理が開始される。すなわち、図4の時刻ta1からわかるように、電力供給停止状態となりバッテリ電圧Vbが下がり始めてからの経過時間が非充電時間T1として計時される。なお、タイマー26は、「非充電時間計時部」の一例に相当し得る。
【0040】
続いて、ステップS103の判定処理にて、電力供給状態検知部34による検知結果に応じて、電力供給可能にクレードル1に接続される接続状態であるか否かについて判定される。ここで、受電端子に電圧が印加されないために電力供給状態検知部34にて電力供給停止状態と検知される状態であると、接続状態でないとして、ステップS103にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0041】
その後、携帯端末10がクレードル1に載置されることで、受電端子に電圧が印加されて、電力供給状態検知部34により電力供給可能状態が検知されると、接続状態であるとしてステップS103にてYesと判定される。この場合には、ステップS105の判定処理にて、バッテリ電圧検出部33により検出されるバッテリ電圧Vbが動作可能な最低電圧値である最低動作電圧値Vo以上であるか否かについて判定される。ここで、最低動作電圧値Voは、「所定の電圧値」の一例に相当し得るもので、例えば、3.6Vに設定されている。
【0042】
ここで、非充電時に読取処理等を高頻度で行っていることから、図4の破線Vb1にて示すように、電力供給可能状態が検知された時刻ta2において、バッテリ電圧Vbが最低動作電圧値Vo未満となっている場合には、ステップS105にてNoと判定されて、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1に設定される(S109)。
【0043】
一方、バッテリ電圧Vbが最低動作電圧値Vo以上である場合には(S105でYes)、ステップS107の判定処理にて、計時された非充電時間T1が予め設定される所定時間T1th以下であるか否かについて判定される。本実施形態では、所定時間T1thは、例えば、24時間に設定されており、読取処理等を高頻度では行わないが、非充電状態が長時間継続していると、図4の二点鎖線Vb2にて示すように、電力供給可能状態が検知された時刻ta4において、非充電時間T1が所定時間T1th以上となり(S107でYes)、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1に設定される(S109)。
【0044】
また、非充電時間T1が比較的短くなる場合、例えば、クレードル1から外した携帯端末10の確認操作等を短時間で終えて再びクレードル1に置き直すような場合には、図4の太線Vb3にて示すように、電力供給可能状態が検知された時刻ta3において、非充電時間T1が所定時間T1th未満となり、ステップS107にてNoと判定される。このように、バッテリ電圧Vbが最低動作電圧値Vo以上であって、非充電時間T1が比較的短くなる場合には、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定される(S111)。
【0045】
上述のようにして満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1または第2満充電電圧値Vm2に設定されると、非充電時間T1の計時が終了し(S113)、本満充電電圧設定処理が終了する。なお、ステップS109,111の処理を行う制御部21は、満充電電圧値Vmを第1満充電電圧値Vm1と第2満充電電圧値Vm2とのいずれかに設定可能な「設定部」の一例に相当し得る。
【0046】
そして、制御部21により別途なされる充電処理により、バッテリ31のバッテリ電圧Vbが上述の様に設定された満充電電圧値Vmとなるように、充電回路32によりバッテリ31が充電される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯端末10では、非充電時間T1の計時が開始された後に電力供給状態検知部34により電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに計時された非充電時間T1が所定時間T1th以上(S107でYes)またはバッテリ電圧検出部33により検出されたバッテリ電圧Vbが最低動作電圧値Vo未満(S105でNo)のいずれかであると、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1に設定され、当該検知までに計時された非充電時間T1が上記所定時間T1th未満かつバッテリ電圧検出部33により検出されたバッテリ電圧Vbが上記最低動作電圧値Vo以上であると、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定される。
【0048】
これにより、非充電時間T1が比較的短い場合であって充電が再開されたときのバッテリ電圧Vbが比較的高い場合、例えば、クレードル1から外した携帯端末10の確認操作等を短時間で終えて再びクレードル1に置き直すような場合には、非充電時間T1が比較的長い場合やバッテリ電圧Vbが比較的低い場合に対して、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1よりも小さな第2満充電電圧値Vm2に設定される。このような場合には、非充電時の連続使用時間を増加するために満充電電圧値Vmを高くする必要もないので、満充電電圧値Vmを小さく設定することで、バッテリ31の性能低下を抑制することができる。特に、非充電時間T1とバッテリ電圧Vbとの双方を考慮するので、非充電時間T1が比較的短くてもバッテリ電圧Vbが比較的低い場合やバッテリ電圧Vbが比較的高くても非充電時間T1が比較的長い場合には、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定されることもないので、より実情に適した満充電電圧値Vmを設定することができる。
【0049】
なお、本実施形態の第1変形例として、満充電電圧設定処理では、ステップS105の判定処理を廃止して、非充電時間T1に応じて満充電電圧値Vmを設定するようにしてもよい。すなわち、非充電時間T1の計時が開始された後に電力供給状態検知部34により電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに計時された非充電時間T1が所定時間T1th以上であると、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1に設定され、当該検知までに計時された非充電時間T1が上記所定時間T1th未満であると、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定される。
【0050】
このようにしても、上述したような非充電時間T1が比較的短い場合には、非充電時間T1が比較的長い場合に対して、満充電電圧値Vmが小さな電圧値である第2満充電電圧値Vm2に設定されて、バッテリ31の性能低下を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態の第2変形例として、満充電電圧設定処理では、ステップS107の判定処理を廃止して、バッテリ電圧Vbに応じて満充電電圧値Vmを設定するようにしてもよい。すなわち、電力供給状態検知部34により電力供給可能状態が検知された場合に、バッテリ電圧検出部33により検出されたバッテリ電圧Vbが最低動作電圧値Vo未満であると、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1に設定され、バッテリ電圧検出部33により検出されたバッテリ電圧Vbが上記最低動作電圧値Vo以上であると、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定される。
【0052】
このようにしても、上述したような充電が再開されたときのバッテリ電圧Vbが比較的高い場合には、バッテリ電圧Vbが比較的低い場合に対して、満充電電圧値Vmが小さな電圧値である第2満充電電圧値Vm2に設定されて、バッテリ31の性能低下を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態の第3変形例として、図5に示すように、バッテリ31の温度を計測する温度計測部35を設け、満充電電圧設定処理では、さらに温度計測部35の計測結果を考慮して、満充電電圧値Vmを設定するようにしてもよい。すなわち、非充電時間T1の計時が開始された後に電力供給状態検知部34により電力供給可能状態が検知された場合、当該検知までに計時された非充電時間T1が上記所定時間T1th以上またはバッテリ電圧検出部33により検出されたバッテリ電圧Vbが上記最低動作電圧値Vo未満のいずれかであっても、温度計測部35により計測されるバッテリ31の温度が所定温度(例えば、0℃~40℃が補償温度であれば、45℃程度)以上になると、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定される。
【0054】
これにより、非充電時間T1が比較的長い場合であって充電が再開されたときのバッテリ電圧Vbが比較的低い場合であってもバッテリ31の温度が所定温度以上となる場合、例えば、高温環境下で短時間にて高負荷の処理を行うような場合には、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1よりも小さな第2満充電電圧値Vm2に設定される。このように、非充電時間T1及びバッテリ電圧Vbに加えてバッテリ31の温度をも考慮した満充電電圧値Vmの設定を行うので、より一層実情に適した満充電電圧値Vmを設定することができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る携帯端末について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、電力供給可能状態が継続していると、充電処理中に満充電電圧値Vmを第1満充電電圧値Vm1から第2満充電電圧値Vm2に切り替える点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
バッテリ電圧Vbが満充電電圧値Vmとして設定された第1満充電電圧値Vm1に長時間維持された状態で、電力供給可能状態が所定時間継続していると、バッテリ31の性能が低下する可能性がある。
【0057】
そこで、本実施形態では、バッテリ31を充電するために制御部21にてなされる充電処理において、電力供給可能状態が所定時間継続されていると、バッテリ31の性能低下を抑制するため、満充電電圧値Vmを第1満充電電圧値Vm1よりも小さな第2満充電電圧値Vm2に設定する。
【0058】
特に、本実施形態では、バッテリ電圧Vbをより迅速に第2満充電電圧値Vm2まで下げるため、図6に示すように、バッテリ31を放電可能な放電回路36が新たに設けられている。この放電回路36を利用することで、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定された後、バッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2に達するまで、バッテリ31の放電が実施される。
【0059】
さらに、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定された後、バッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2に達するまで、制御部21等にてなされる所定の処理に必要な電力がクレードル1からの供給ではなくバッテリ31からの供給に切り替えられるバッテリ駆動状態となる。通常、クレードル1に載置したまま搬送物に付された情報コードCや無線タグTを順次読み取る読取処理等の所定の処理を行う際、その動作に必要な電力がバッテリ31からでなくクレードル1から供給される外部電力駆動状態となる。本実施形態では、第1満充電電圧値Vm1だったバッテリ電圧Vbをより迅速に第2満充電電圧値Vm2に下げるため、制御部21等にてなされる所定の処理に必要な電力を、クレードル1からの供給(外部電力駆動状態)ではなくバッテリ31からの供給(バッテリ駆動状態)に切り替える。なお、電力を必要とする上記所定の処理は、例えば、受光センサ53を利用した搬送物等の撮像処理等であってもよく、このような所定の処理を行う制御部21等は、「処理部」の一例に相当し得る。
【0060】
以下、本実施形態において制御部21にてなされる充電処理について、図7のフローチャート等を参照して具体的に詳述する。
本実施形態における充電処理は、電力供給状態検知部34によって電力供給停止状態から電力供給可能状態への変化が検知されることで開始される。すなわち、クレードル1から取り外されることで電力供給停止状態となっていた携帯端末10がクレードル1に載置されて電力供給可能状態となることで、制御部21にて充電処理が開始される。
【0061】
まず、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1に設定されると(図7のS201)、バッテリ31のバッテリ電圧Vbが上述の様に設定された満充電電圧値Vm(第1満充電電圧値Vm1)となるように、充電回路32によるバッテリ31の充電が開始される(S203)。
【0062】
続いて、ステップS205に示す接続時間計時処理がなされる。この処理にて、タイマー26により、電力供給状態検知部34により電力供給停止状態から電力供給可能状態への変化が検知されてからの経過時間を、接続時間T2として計時するための処理が開始される。すなわち、図8の時刻tb1からわかるように、電力供給可能状態となりバッテリ電圧Vbが上がり始めてからの経過時間が接続時間T2として計時される。なお、タイマー26は、「接続時間計時部」の一例に相当し得る。
【0063】
続いて、ステップS207の判定処理にて、接続時間T2が予め設定される所定時間T2th以上であるか否かについて判定される。本実施形態では、所定時間T2thは、バッテリ電圧Vbを第1満充電電圧値Vm1まで充電するために必要な時間(図8の時刻tb2参照)よりも十分に長い時間、例えば、24時間に設定されており、充電開始直後等であるために接続時間T2が所定時間T2th未満となる場合には、ステップS207にてNoと判定されて、上記ステップS201からの処理が繰り返される。なお、この繰り返し処理中では、携帯端末10の動作に必要な電力は、バッテリ31からではなくクレードル1から供給される外部電力駆動状態となっている。また、所定時間T2thは、「所定時間」または「第2の所定時間」の一例に相当し、上記ステップS207の判定処理を行う制御部21は、「判定部」の一例に相当し得る。
【0064】
そして、バッテリ電圧Vbが第1満充電電圧値Vm1に達するまで充電された状態が維持されていることから、接続時間T2が所定時間T2th以上になると(図8の時刻tb3参照)、ステップS207にてYesと判定されて、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定されて(S209)、接続時間T2の計時が終了する(S211)。
【0065】
このように満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定されると、第1満充電電圧値Vm1だったバッテリ電圧Vbをより迅速に第2満充電電圧値Vm2に下げるため、バッテリ駆動状態に切り替えられる(S213)。さらに、充電回路32によるバッテリ31への充電が停止されるとともに(S215)、放電回路36によるバッテリ31の放電が開始される(S217)。
【0066】
続いて、ステップS219の判定処理にて、バッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2以上であるか否かについて判定される。ここで、バッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2まで下がっていない場合には、ステップS219にてYesと判定されて、上記ステップS213からの処理がなされる。すなわち、バッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2に下がるまで、バッテリ駆動状態と放電回路36によるバッテリ31の放電状態とが維持される。
【0067】
その後、バッテリ駆動状態と放電回路36によるバッテリ31の放電状態とにより下がったバッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2未満となると(図8の時刻tb4参照)、ステップS219にてNoと判定される。この場合には、外部電力駆動状態に切り替えられるとともに(S221)、放電回路36によるバッテリ31の放電が停止されて(S223)、バッテリ電圧Vbを第2満充電電圧値Vm2に維持するための処理がなされる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯端末10では、制御部21にてなされる充電処理において、接続時間T2が所定時間T2th未満であると判定される状態では、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1に設定され、接続時間T2が所定時間T2th以上であると判定される状態では、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定される。また、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定されると、バッテリ電圧検出部33により検出されるバッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2以上では充電回路32によるバッテリ31への充電が停止される。そして、制御部21等では、満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1に設定されるかバッテリ電圧検出部33により検出されるバッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2未満であると、クレードル1から電力供給を受けて上記所定の処理が行われ、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定され、かつ、バッテリ電圧検出部33により検出されるバッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2以上であると、バッテリ31から電力供給を受けて上記所定の処理が行われる。
【0069】
これにより、接続時間T2が所定時間T2th以上となる場合、例えば、携帯端末10が充電可能にクレードル1に載置された状態が長時間継続する場合には、満充電電圧値Vmが小さな電圧値である第2満充電電圧値Vm2に設定される。その際、充電回路32によるバッテリ31への充電が停止されるだけでなく、バッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2未満となるまでバッテリ31から電力供給を受けて制御部21等による上記所定の処理が行われる。このため、迅速にバッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2まで下がることから、満充電電圧値Vmが不要に高くなる時間を短縮でき、バッテリ31の性能低下を抑制することができる。
【0070】
特に、満充電電圧値Vmが第2満充電電圧値Vm2に設定され、かつ、バッテリ電圧検出部33により検出されるバッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2以上であると、放電回路36によりバッテリ31が放電される。これにより、より迅速にバッテリ電圧Vbが第2満充電電圧値Vm2まで下がることから、満充電電圧値Vmが不要に高くなる時間をさらに短縮でき、バッテリ31の性能低下をより一層抑制することができる。なお、高負荷処理であることからバッテリ駆動状態で迅速にバッテリ電圧Vbを下げることができるような場合等には、放電回路36を利用せず、上記ステップS217,S223等を行わなくてもよい。
【0071】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上記第2実施形態にて述べた充電処理を行った後に、電力供給状態検知部34により電力供給停止状態が検知されると、上記第1実施形態にて述べた満充電電圧設定処理を行ってもよい。また、上記第1実施形態にて述べた満充電電圧設定処理にて満充電電圧値Vmが第1満充電電圧値Vm1に設定されてから充電が開始されることで、上記第2実施形態にて述べた充電処理を行ってもよい。
【0072】
(2)携帯端末10に対する外部からの電力供給は、載置されたクレードル1などの充電台を介して行われることに限らず、例えば、電気的に接続されたACアダプタを介して行われてもよい。このように外部から電力が供給される構成であっても、上述のような満充電電圧値Vmの設定に応じて、バッテリ31の性能低下を抑制することができる。
【0073】
(3)本発明は、情報コードを光学的に読み取る機能と無線タグに記憶されている情報を読み書きする機能とを兼備する携帯端末に適用されることに限らず、例えば、情報コード専用の携帯端末や無線タグ専用の携帯端末に適用されてもよいし、さらに他の機能を有する携帯端末に適用されてもよい。また、本発明は、タッチパネルを有するスマートフォンやタブレット端末等に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…クレードル
10…携帯端末
21…制御部(設定部,判定部,処理部)
26…タイマー(非充電時間計時部,接続時間計時部)
31…バッテリ
32…充電回路
33…バッテリ電圧検出部
34…電力供給状態検知部
35…温度計測部
36…放電回路
T1…非充電時間
T2…接続時間
Vb…バッテリ電圧
Vm…満充電電圧値
Vo…最低動作電圧値(所定の電圧値)
Vm1…第1満充電電圧値(第1の電圧値)
Vm2…第2満充電電圧値(第2の電圧値)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8