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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】同軸コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/40 20110101AFI20221206BHJP
   H01R 13/6585 20110101ALI20221206BHJP
【FI】
H01R24/40
H01R13/6585
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018201508
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020068163
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 友太
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012553(JP,A)
【文献】特開2016-100190(JP,A)
【文献】特開2012-099299(JP,A)
【文献】特開2010-278007(JP,A)
【文献】特開2003-297502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/00-24/86
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の同軸ケーブルの中心導体が電気的に接続されて、相手方同軸コネクタ装置における第1の信号用接続コンタクト部材に接触接続される第1の信号用コンタクト部材と、
第2の同軸ケーブルの中心導体が電気的に接続されて、上記相手方同軸コネクタ装置における第2の信号用接続コンタクト部材に接触接続される第2の信号用コンタクト部材と、
上記第1及び第2の信号用コンタクト部材の周囲に配されて上記相手方同軸コネクタ装置における接地用接続コンタクト部材に嵌合する環状嵌合部及び該環状嵌合部から屈曲可能に伸びて上記第1及び第2の同軸ケーブルの夫々の外側導体に電気的に接続されるシェル部を備え、接地電位が与えられる接地用コンタクト部材と、
上記第1の信号用コンタクト部材,上記第2の信号用コンタクト部材及び上記接地用コンタクト部材を相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジングと、
該環状嵌合部の内側において、該絶縁ハウジングに上記第1の信号用コンタクト部材と上記第2の信号用コンタクト部材とが並ぶ方向に交差する平面に沿うように平板状に広がって、上記第1の信号用コンタクト部材が配置される空間と、上記第2の信号用コンタクト部材が配置される空間とを仕切るように配され、接地電位が与えられる平板状仕切り壁部材と、
を備えて構成される同軸コネクタ装置。
【請求項2】
上記平板状仕切り壁部材が、上記接地用コンタクト部材と一体的に構成されていることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【請求項3】
上記平板状仕切り壁部材が、上記接地用コンタクト部材における環状嵌合部の一部分から該環状嵌合部が形成する環状体の内側へと伸びていることを特徴とする請求項2記載の同軸コネクタ装置。
【請求項4】
上記平板状仕切り壁部材が、上記相手方同軸コネクタ装置における上記第1の信号用接続コンタクト部材と上記第2の信号用接続コンタクト部材との間に配されて接地電位が与えられる導電性仕切り壁部材に係合する係合連結部が設けられたものとされることを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、複数の同軸ケーブルが接続されたもとで回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置に嵌合連結せしめられて、当該複数の同軸ケーブルを回路基板に電気的に連結されたものとなす同軸コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電気部品,電気装置あるいは電子機器間等における高周波信号の伝送には、外部ノイズの影響を受け難い信号伝送路を形成する、中心導体とそれを内部絶縁体を介して包囲する外側導体とが表皮絶縁体により被覆されて成る同軸ケーブルが用いられることが多い。例えば、同軸ケーブルが高周波信号を扱う回路基板に連結されて、当該回路基板からその外部への同軸ケーブルを通じた高周波信号の伝送、あるいは、当該回路基板への外部からの高周波信号の同軸ケーブルを通じた伝送が行われる。
【0003】
同軸ケーブルが回路基板に連結される際には、例えば、同軸ケーブルの中心導体が接続される信号用コンタクトと同軸ケーブルの外部導体が接続される接地用コンタクトとを備えたケーブル側同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端に装着され、そのケーブル側同軸コネクタ装置が、回路基板において扱われる高周波信号が供給される信号用接続コンタクトと信号用接続コンタクトを包囲して配されて接地電位が与えられる環状接地用接続コンタクトとを備えて回路基板に取り付けられた基板側同軸コネクタ装置に嵌合連結される状態がとられる。このようなケーブル側同軸コネクタ装置の基板側同軸コネクタ装置との嵌合連結は、例えば、ケーブル側同軸コネクタ装置の接地用コンタクトが基板側同軸コネクタ装置の環状接地用接続コンタクトに嵌合接触接続されるもとで、ケーブル側同軸コネクタ装置の信号用コンタクトが基板側同軸コネクタ装置の信号用接続コンタクトに接触接続される状態がとられて行われる。
【0004】
斯かるケーブル側同軸コネクタ装置の基板側同軸コネクタ装置との嵌合連結が行われるにあたっては、回路基板の部品等搭載面に取り付けられた基板側同軸コネクタ装置が、例えば、それにおける信号用接続コンタクトと環状接地用接続コンタクトとを回路基板における部品等搭載面の上方に向かわせるものとされ、その基板側同軸コネクタ装置に対して、同軸ケーブルの一端に装着されたケーブル側同軸コネクタ装置が、回路基板における部品等搭載面の上方からその部品等搭載面に向かう方向をもって係合せしめられて、ケーブル側同軸コネクタ装置の接地用コンタクトが基板側同軸コネクタ装置の環状接地用接続コンタクトに嵌合接触接続されるとともに、ケーブル側同軸コネクタ装置の信号用コンタクトが基板側同軸コネクタ装置の信号用接続コンタクトに接触接続される。
【0005】
上述のようにして、ケーブル側同軸コネクタ装置と基板側同軸コネクタ装置とが用いられて同軸ケーブルが回路基板に連結されるにあたっては、回路基板に複数の同軸ケーブルが連結されることが必要とされることも少なくない。斯かる際には、複数の同軸ケーブルの回路基板に対する連結に要されるコネクタ装置についての回路基板の部品等搭載面における占有面積をできるだけ制限したもとで、複数の同軸ケーブルの夫々が回路基板に確実に連結されることが望まれることになる。
【0006】
そこで、従来においては、ケーブル側同軸コネクタ装置を二つの同軸ケーブルが接続されるものとし、それに伴ってケーブル側同軸コネクタ装置が嵌合する基板側同軸コネクタ装置を二つの同軸ケーブルが接続されたケーブル側同軸コネクタ装置に対応するものとして、基板側同軸コネクタ装置が取り付けられる回路基板の部品等搭載面における基板側同軸コネクタ装置及びケーブル側同軸コネクタ装置についての専有面積を低減させようとしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
特許文献1に開示されている二つの同軸ケーブルが接続されるケーブル側同軸コネクタ装置(雌コネクタ(10A))にあっては、第1の同軸ケーブルの中心導体(内部導体)が接続される第1の信号用コンタクト(信号端子(14a))と第2の同軸ケーブルの中心導体(内部導体)が接続される第2の信号用コンタクト(信号端子(14c))とが、共通の絶縁ハウジング(絶縁性部材(16)) によって、小間隔をおいて相互近接して配される状態をもって支持されており、第1の信号用コンタクトと第2の信号用コンタクトとを支持した絶縁ハウジングの周囲に、第1の信号用コンタクト及び第2の信号用コンタクトに対して共通の接地用コンタクト(固定端子(12)の下部(20)) が配されている。斯かる構成を有するケーブル側同軸コネクタ装置にあっては、第1の信号用コンタクトと第2の信号用コンタクトとが小間隔をおいて相互近接して配され、それらに共通の接地用コンタクトが設けられることにより、ケーブル側同軸コネクタ装置の回路基板上の専有面積の低減が図られることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-12553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述された、第1の同軸ケーブルの中心導体が接続される第1の信号用コンタクトと第2の同軸ケーブルの中心導体(内部導体)が接続される第2の信号用コンタクトとが、共通の絶縁ハウジングにより小間隔をおいて相互近接して配される状態をもって支持される、従来提案されているケーブル側同軸コネクタ装置にあっては、第1の信号用コンタクトと第2の信号用コンタクトとが小間隔をおいて相互近接して配されるものとされることにより、第1の信号用コンタクトを通じて伝送される高周波信号及び第2の信号用コンタクトを通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされるという不都合が生じる虞がある。即ち、例えば、第1の信号用コンタクトを通じて伝送される高周波信号が、第2の信号用コンタクトを通じて伝送される高周波信号にクロストークノイズとして混入するとともに、第2の信号用コンタクトを通じて伝送される高周波信号が、第1の信号用コンタクトを通じて伝送される高周波信号にクロストークノイズとして混入するという、クロストーク障害を生じる虞があるのである。
【0010】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、二つの同軸ケーブルが接続されたもとで回路基板の部品等搭載面に取り付けられた基板側同軸コネクタ装置とされる相手方同軸コネクタ装置に嵌合連結されるケーブル側同軸コネクタ装置を成すにあたり、回路基板の部品等搭載面における専有面積の低減を図ることができ、しかも、それを通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされる事態を抑制することができる同軸コネクタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明(以下、本願発明という。)に係る同軸コネクタ装置は、第1の同軸ケーブルの中心導体が電気的に接続されて、相手方同軸コネクタ装置における第1の信号用接続コンタクト部材に接触接続される第1の信号用コンタクト部材と、第2の同軸ケーブルの中心導体が電気的に接続されて、相手方同軸コネクタ装置における第2の信号用接続コンタクト部材に接触接続される第2の信号用コンタクト部材と、第1及び第2の信号用コンタクト部材の周囲に配されて相手方同軸コネクタ装置における接地用接続コンタクト部材に嵌合する環状嵌合部及び環状嵌合部から屈曲可能に伸びて第1及び第2の同軸ケーブルの夫々の外側導体に電気的に接続されるシェル部を備え、接地電位が与えられる接地用コンタクト部材と、第1の信号用コンタクト部材,第2の信号用コンタクト部材及び接地用コンタクト部材を相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジングと、絶縁ハウジングに第1の信号用コンタクト部材と第2の信号用コンタクト部材とによって挟まれて配され、接地電位が与えられる平板状仕切り壁部材と、を備えて構成される。
【0012】
上述の本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、絶縁ハウジングにより、第1の同軸ケーブルの中心導体が電気的に接続される第1の信号用コンタクト部材と第2の同軸ケーブルの中心導体が電気的に接続される第2の信号用コンタクト部材とが、相互絶縁状態をもって絶縁ハウジングにより支持されるとともに、第1及び第2の信号用コンタクト部材の周囲に配される環状嵌合部及び環状嵌合部から屈曲可能に伸びて第1及び第2の同軸ケーブルの夫々の外側導体に電気的に接続されるシェル部を備えた接地用コンタクト部材が、第1及び第2の信号用コンタクト部材の夫々から絶縁されて支持されており、さらに、第1の信号用コンタクト部材と第2の信号用コンタクト部材とにより挟まれて配され、接地電位が与えられる平板状仕切り壁部材が備えられている。接地用コンタクト部材における環状嵌合部は、第1の信号用コンタクト部材と第2の信号用コンタクト部材とに対して共通のものとして、それらの外側に位置するものとされている。そして、共通の環状嵌合部の内側に配された第1の信号用コンタクト部材と第2の信号用コンタクト部材とは、絶縁ハウジングによって支持されたもとで、比較的小なる間隔、即ち、小間隔をおいて相互近接して配されたものとされる。また、接地電位が与えられる平板状仕切り壁部材は、第1の信号用コンタクト部材と第2の信号用コンタクト部材との間の小間隔内に配されたものとされる。
【0013】
それにより、接地用コンタクト部材における環状嵌合部の一部分と平板状仕切り壁部材とが、第1の信号用コンタクト部材の周囲に配された第1の導電性隔壁部を成し、また、接地用コンタクト部材における環状接触部の他の一部分と平板状仕切り壁部材とが、第2の信号用コンタクト部材の周囲に配された第2の導電性隔壁部を成すものとされている。
【0014】
このようなもとで、平板状仕切り壁部材は、例えば、接地用コンタクト部材と一体的に構成されているものとされ、接地用コンタクト部材と一体的に構成された平板状仕切り壁部材は、例えば、接地用コンタクト部材における環状嵌合部の一部からそれが形成する環状体の内側へと伸びるものとされる。
【発明の効果】
【0015】
上述のような本願発明に係る同軸コネクタ装置によれば、接地用コンタクト部材における環状嵌合部の内側に配された第1の信号用コンタクト部材と第2の信号用コンタクト部材とが、小間隔をおいて相互近接して配されたものとされることにより、本願発明に係る同軸コネクタ装置に対応するものとされる相手方同軸コネクタ装置が取り付けられる回路基板の部品等搭載面における同軸コネクタ装置についての専有面積の低減を図ることができる。そして、それに加えて、接地電位が与えられる平板状仕切り壁部材が、第1の信号用コンタクト部材と第2の信号用コンタクト部材との間の小間隔内に配されるので、第1の信号用コンタクト部材と第2の信号用コンタクト部材とが、接地電位が与えられた平板状仕切り壁部材によって相互に電磁的に遮蔽されることになり、それにより、第1の信号用コンタクト部材を通じて伝送される高周波信号の、第2の信号用コンタクト部材を通じて伝送される高周波信号へのクロストークノイズとしての混入、及び、第2の信号用コンタクト部材を通じて伝送される高周波信号の、第1の信号用コンタクト部材を通じて伝送される高周波信号へのクロストークノイズとしての混入が軽減されて、その結果、第1の信号用コンタクト部材及び第2の信号用コンタクト部材の夫々を通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされる事態を抑制することができることになる。
【0016】
また、本願発明に係る同軸コネクタ装置において、平板状仕切り壁部材が、接地用コンタクト部材における環状嵌合部の一部分から伸びるものとして、接地用コンタクト部材と一体的に構成されたものとされる場合には、構成部品点数の低減を図ることができて構成を簡略化することができるとともに、絶縁ハウジングにおける平板状仕切り壁部材の配置を堅固に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例をそれに接続された第1及び第2の同軸ケーブルと共に示す上方から見下ろした斜視図である。
図2】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例をそれに接続された第1及び第2の同軸ケーブルと共に示す下方から見上げた斜視図である。
図3】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が備える接地用コンタクト部材を示す斜視図である。
図4】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例に第1及び第2の同軸ケーブルが接続される過程を示す斜視図である。
図5】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置の一例を示す上方から見下ろした斜視図である。
図6】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置の一例を示す平面図である。
図7】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置の一例を示す下方から見上げた斜視図である。
図8】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置の一例が備える接地用接続コンタクト部材を示す斜視図である。
図9】複数の同軸ケーブルが接続された本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が、回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置の一例に対して対向配置された状態を示す斜視図である。
図10】複数の同軸ケーブルが接続された本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が回路基板に取り付けられた相手方同軸コネクタ装置の一例に嵌合連結された状態を示す斜視図である。
図11】第1及び第2の同軸ケーブルが接続された本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が相手方同軸コネクタ装置の一例に嵌合連結された状態を示す平面図である。
図12】第1及び第2の同軸ケーブルが接続された本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が相手方同軸コネクタ装置の一例に嵌合連結された状態を示す側面図である。
図13図11におけるXIII-XIII線断面を示す断面図である。
図14図11における XIV-XIV 線断面を示す断面図である。
図15図12におけるXV-XV線断面を示す断面図である。
図16】本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が相手方同軸コネクタ装置に嵌合連結されたもとでの、信号伝送状態についての実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
【実施例
【0019】
図1及び図2は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を成す同軸コネクタ装置30を、それに接続された第1及び第2の同軸ケーブル31A及び31Bの夫々の一部分と共に示す。
【0020】
図1及び図2に示される同軸コネクタ装置30は、第1及び第2の同軸ケーブル31A及び31Bが接続されたもとで、回路基板の部品等搭載面に取り付けられた基板側同軸コネクタ装置を成す相手方同軸コネクタ装置に嵌合連結せしめられるケーブル側同軸コネクタ装置として使用される。
【0021】
そして、同軸コネクタ装置30は、主要構成要素として、導電性材料により形成されて、第1の同軸ケーブル31Aの中心導体32Aとの電気的な接続がなされる第1の信号用コンタクト部材33Aと、導電性材料により形成されて、第2の同軸ケーブル31Bの中心導体32Bとの電気的な接続がなされる第2の信号用コンタクト部材33Bと、導電性材料により形成されて、第1の同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び第2の同軸ケーブル31Bの外側導体34Bの夫々との電気的な接続がなされて接地電位が与えられる接地用コンタクト部材35と、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、第1の信号用コンタクト部材33A,第2の信号用コンタクト部材33B及び接地用コンタクト部材35を相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング36とを備えている。斯かるもとで、第1の同軸ケーブル31Aは、その中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに電気的に接続されるとともに、その外側導体34Aが接地用コンタクト部材35に電気的に接続されて同軸コネクタ装置30に接続されたものとされ、また、第2の同軸ケーブル31Bは、その中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに電気的に接続されるとともに、その外側導体34Bが接地用コンタクト部材35に電気的に接続されて同軸コネクタ装置30に接続されたものとされる。
【0022】
絶縁ハウジング36は、中央部に矩形透孔37Aが形成された第1の基部38A及び中央部に矩形透孔37Bが形成された第2の基部38Bを、相互隣接するものとして有しており、第1の基部38Aは第1の信号用コンタクト部材33Aを保持していて、第2の基部38Bは第2の信号用コンタクト部材33Bを保持している。それにより、第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の信号用コンタクト部材33Bとは、比較的小なる間隔、即ち、小間隔をおいて相互近接するものとして配置されていることになる。
【0023】
また、接地用コンタクト部材35は、絶縁ハウジング36が有する第1の基部38A及び第2の基部38Bを概ね包囲する環状嵌合部39を有しており、環状嵌合部39は、第1の基部38Aによって保持された第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の基部38Bによって保持された第2の信号用コンタクト部材33Bの周囲に配されていることになる。そして、これら絶縁ハウジング36の第1の基部38A及び第2の基部38Bと接地用コンタクト部材35の環状嵌合部39とは、同軸コネクタ装置30における嵌合連結部を構成しており、第1の同軸ケーブル31A及び第2の同軸ケーブル31Bが接続された同軸コネクタ装置30は、斯かる嵌合連結部をもって基板側同軸コネクタ装置を成す相手方同軸コネクタ装置に嵌合連結される。
【0024】
絶縁ハウジング36には、後述される図4に示されるように、第1の基部38A及び第2の基部38Bに加えて、第1の基部38Aの一端から折曲可能に伸びる折曲当接部40Aと第2の基部38Bの一端から折曲可能に伸びる折曲当接部40Bとが設けられている。折曲当接部40A及び折曲当接部40Bは、各々が全体として平板状部を成しており、折り曲げられたとき第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の信号用コンタクト部材33Bに夫々当接するものとされている。
【0025】
接地用コンタクト部材35を単独で示す図3に示されるように、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39には、その一部分から環状嵌合部39が形成する環状体の内側へと伸びる平板状仕切り壁部41が設けられている。即ち、平板状仕切り壁部41は、接地用コンタクト部材35と一体的に構成されたものとされている。平板状仕切り壁部41は、接地用コンタクト部材35が絶縁ハウジング36によって支持されたもとにおいて、絶縁ハウジング36の第1の基部38Aによって保持された第1の信号用コンタクト部材33Aと絶縁ハウジング36の第2の基部38Bによって保持された第2の信号用コンタクト部材33Bとにより挟まれて配されている。従って、平板状仕切り壁部41は、第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の信号用コンタクト部材33Bとの間の小間隔内に配されて、第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の信号用コンタクト部材33Bとの間を仕切るものとされていることになる。
【0026】
それにより、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続されるとともに外側導体34Aが接地用コンタクト部材35に接続されて第1の同軸ケーブル31Aが同軸コネクタ装置30に接続され、同様に、中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続されるとともに外側導体34Bが接地用コンタクト部材35に接続されて第2の同軸ケーブル31Bが同軸コネクタ装置30に接続されたもとにあっては、第1の同軸ケーブル31Aの中心導体32Aが接続された第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の同軸ケーブル31Bの中心導体32Bが接続された第2の信号用コンタクト部材33Bとの間が、平板状仕切り壁部41によって仕切られることになる。そして、平板状仕切り壁部41には、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39を通じて接地電位が与えられるので、第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の信号用コンタクト部材33Bとは、接地電位が与えられるものとされる平板状仕切り壁部41によって、相互に電磁遮蔽されたものとされる。
【0027】
平板状仕切り壁部41の一端部には、同軸コネクタ装置30が相手方同軸コネクタ装置に嵌合連結されたとき、相手方同軸コネクタ装置における接地用接続コンタクト部材に接触係合する係合連結部41aが設けられている。平板状仕切り壁部41の係合連結部41aが相手方同軸コネクタ装置における接地用接続コンタクト部材に接触係合することにより、平板状仕切り壁部41が設けられた接地用コンタクト部材35と相手方同軸コネクタ装置における接地用接続コンタクト部材との相互連結が堅固に行われる。
【0028】
また、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39には、平板状仕切り壁部41の立ち上がり部を挟んで一対のケーブル支持部42A及び42Bが設けられている。ケーブル支持部42Aは、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された第1の同軸ケーブル31Aを支持し、また、ケーブル支持部42Bは、中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された第2の同軸ケーブル31Bを支持する。
【0029】
さらに、接地用コンタクト部材35には、環状嵌合部39に加えて、環状嵌合部39の一端から折曲可能に伸びるシェル部43が設けられている。シェル部43は、後述される図13に示されるように、折り曲げられるとき、それに伴って絶縁ハウジング36の折曲当接部40A及び40Bの夫々を折り曲げるとともに、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された第1の同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された第2の同軸ケーブル31Bの外側導体34Bの夫々との接続がなされるものとされる。
【0030】
そして、シェル部43には、折り曲げられて、ケーブル支持部42A及び42Bに夫々係合することになる一対の第1の折曲係合部44と、折り曲げられて、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された第1の同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された第2の同軸ケーブル31Bの外側導体34Bに夫々係合する一対の第2の折曲係合部45と、折り曲げられて、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された第1の同軸ケーブル31Aの表皮絶縁体46A及び中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された第2の同軸ケーブル31Bの表皮絶縁体46Bに夫々係合する一対の第3の折曲係合部47とが設けられている。
【0031】
上述のように、絶縁ハウジング36と、第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の信号用コンタクト部材33Bと、接地用コンタクト部材35とを備えて構成された同軸コネクタ装置30に、第1の同軸ケーブル31Aと第2の同軸ケーブル31Bとが接続されるにあたっては、先ず、図4に示されるように、接地用コンタクト部材35に設けられたシェル部43が折り曲げられていない状態におかれた同軸コネクタ装置30に、第1の同軸ケーブル31Aが、その一端部において外側導体34A及び中心導体32Aが露出せしめられたものとされて、露出した外側導体34Aが接地用コンタクト部材35におけるケーブル支持部42Aに当接するとともに、露出した中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに当接する状態をもって配され、また、第2の同軸ケーブル31Bが、その一端部において外側導体34B及び中心導体32Bが露出せしめられたものとされて、露出した外側導体34Bが接地用コンタクト部材35におけるケーブル支持部42Bに当接するとともに、露出した中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに当接する状態をもって配される。
【0032】
続いて、接地用コンタクト部材35に設けられたシェル部43が環状嵌合部39に向かって折り曲げられる。それにより、絶縁ハウジング36に設けられた折曲当接部40Aがシェル部43によって折り曲げられて第1の信号用コンタクト部材33Aに押圧当接して、第1の同軸ケーブル31Aの中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに堅固に接続された状態とされるとともに、絶縁ハウジング36に設けられた折曲当接部40Bがシェル部43によって折り曲げられて第2の信号用コンタクト部材33Bに押圧当接して、第2の同軸ケーブル31Bの中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに堅固に接続された状態とされる。さらに、折り曲げられたシェル部43が、環状嵌合部39に設けられたケーブル支持部42Aに当接した第1の同軸ケーブル31Aの外側導体34Aに当接して当該外側導体34Aを有した第1の同軸ケーブル31Aをケーブル支持部42Aとで挟持するとともに、環状嵌合部39に設けられたケーブル支持部42Bに当接した第2の同軸ケーブル31Bの外側導体34Bに当接して当該外側導体34Bを有した第2の同軸ケーブル31Bをケーブル支持部42Bとで挟持する状態をとるものとされる。
【0033】
その後、シェル部43に設けられた第1の折曲係合部44が、相互に近接するように折り曲げられて、第1の同軸ケーブル31A及び第2の同軸ケーブル31Bを夫々支持したケーブル支持部42A及び42Bに夫々係合するものとされ、また、シェル部43に設けられた一対の第2の折曲係合部45が相互に近接するように折り曲げられて、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された第1の同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された第2の同軸ケーブル31Bの外側導体34Bに夫々係合するものとされ、さらに、シェル部43に設けられた一対の第3の折曲係合部47が相互に近接するように折り曲げられて、中心導体32Aが第1の信号用コンタクト部材33Aに接続された第1の同軸ケーブル31Aの表皮絶縁体46A及び中心導体32Bが第2の信号用コンタクト部材33Bに接続された第2の同軸ケーブル31Bの表皮絶縁体46Bに夫々係合するものとされる。それにより、第1の同軸ケーブル31Aと第2の同軸ケーブル31Bとが同軸コネクタ装置30に堅固に接続され、その結果、同軸コネクタ装置30が前述の図1及び図2に示される状態におかれることになる。
【0034】
図5図6及び図7は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例が成す同軸コネクタ装置30が嵌合連結される相手方同軸コネクタ装置の一例を成す基板側同軸コネクタ装置10を示す。
【0035】
図5図6及び図7に示される基板側同軸コネクタ装置10は、第1及び第2の同軸ケーブル31A及び31Bが接続された本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を成す同軸コネクタ装置30が嵌合連結されるものとされている。そして、基板側同軸コネクタ装置10は、図5図6及び図7においては図示が省略されているが後述される図9及び図10に示されている回路基板11の部品等搭載面11aに固定されて、実際の使用に供される。
【0036】
基板側同軸コネクタ装置10は、合成樹脂材等の絶縁材料により平板状に形成されて、回路基板11の部品等搭載面11aに配される絶縁基体13と、金属材料によって形成されて絶縁基体13に組み付けられ、絶縁基体13から突出して同軸コネクタ装置30における第1の同軸ケーブル31Aの中心導体32Aとの電気的な接続がなされた信号用コンタクト部材33Aが接触係合するものとされた凸状接触部14、及び、凸状接触部14から絶縁基体13の外部へと伸びて、回路基板11の部品等搭載面11aに配された信号端子に接続される信号用接続部15が設けられたものとされる第1の信号用接続コンタクト部材16と、同じく金属材料によって形成されて絶縁基体13に組み付けられ、絶縁基体13から突出して同軸コネクタ装置30における第2の同軸ケーブル31Bの中心導体32Bとの電気的な接続がされた信号用コンタクト部材33Bが接触係合するものとされた凸状接触部17、及び、凸状接触部17から絶縁基体13の外部へと伸びて、回路基板11の部品等搭載面11aに配された信号端子部に接続される信号用接続部18が設けられたものとされる第2の信号用接続コンタクト部材19とを備えている。第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17とは、絶縁基体13上に比較的小なる間隔、即ち、小間隔をおいて相互対向するものとして配置されている。
【0037】
また、基板側同軸コネクタ装置10は、金属材料によって形成されて絶縁基体13に組み付けられ、第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17とを包囲して配されて、同軸コネクタ装置30における第1の同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び第2の同軸ケーブル31Bの外側導体34Bの夫々に接続された接地用コンタクト部材35の環状嵌合部39が接触係合するものとされた環状接触部20、及び、環状接触部20から絶縁基体13の外部へと伸びて、回路基板11の部品等搭載面11aに配された接地端子部に接続される接地用接続部21が設けられたものとされる接地用接続コンタクト部材22を備えており、さらに、絶縁基体13に設けられた一対の突出支持部13a によって支持されて、第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17とに挟まれて配され、接地電位が与えられるものとされた導電性仕切り壁部材23も備えている。斯かるもとで、導電性仕切り壁部材23は、絶縁基体13における第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17との間の小間隔内に配されていることになり、それにより、第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17とが、接地電位が与えられるものとされた導電性仕切り壁部材23によって相互に電磁遮蔽されたものとされる。
【0038】
このようにして、基板側同軸コネクタ装置10は、絶縁基体13と、凸状接触部14を有する第1の信号用接続コンタクト部材16と、凸状接触部17を有する第2の信号用接続コンタクト部材19と、第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17とに挟まれて配されて、接地電位が与えられる導電性仕切り壁部材23と、を備えて構成されているのである。そして、絶縁基体13上において、接地用接続コンタクト部材22における環状接触部20の一部分と導電性仕切り壁部材23とが、第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14を包囲する第1の導電性隔壁部を成し、接地用接続コンタクト部材22における環状接触部20の他の一部分と導電性仕切り壁部材23とが、第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17を包囲する第2の導電性隔壁部を成している。
【0039】
図8は、接地用接続コンタクト部材22の具体的構成例を示す。図8に示される接地用接続コンタクト部材22にあっては、全体が、金属板材に打抜き・押圧・屈曲加工が施されて形成されている。そして、第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14と第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17とを包囲する状態をとる環状接触部20が、矩形状環状体を成すものとされていて、環状接触部20からは、複数の接地用接続部21が屈曲して伸びている。複数の接地用接続部21は、回路基板11の部品等搭載面11aに配された接地端子部に接続される。また、環状接触部20の一部分から、導電性仕切り壁部材23が、環状接触部20が形成する矩形状環状体の内側へ当該矩形状環状体を二分するように屈曲して伸びており、斯かる導電性仕切り壁部材23は、環状接触部20の一部を成すものとして、接地用接続コンタクト部材22と一体的に構成されたものとされていることになる。
【0040】
図5及び図6に示されるように、導電性仕切り壁部材23には、その一端部分に、同軸コネクタ装置30における平板状仕切り壁部41の係合連結部41aが係合する状態をとる係合接続部23aが設けられている。さらに、図6に示されるように、導電性仕切り壁部材23には、係合接続部23aが設けられた一端部分とは反対側の他端部分に、絶縁基体13に設けられた透孔24を通じて絶縁基体13を貫通して伸びる基板接続部23bが設けられていて、基板接続部23bは回路基板11の部品等搭載面11aに配された接地端子部に接続される。
【0041】
上述の基板側同軸コネクタ装置10にあっては、導電性仕切り壁部材23が接地用接続コンタクト部材22と一体的に構成されたものとされているが、必ずしも導電性仕切り壁部材23が接地用接続コンタクト部材22と一体的に構成されたものとされる必要はなく、導電性仕切り壁部材23が接地用接続コンタクト部材22とは別体のものとして構成されてもよい。その際には、導電性仕切り壁部材23から絶縁基体13に設けられた透孔24を通じて絶縁基体13を貫通して伸びる基板接続部23bが設けられて、その基板接続部23bが回路基板11の部品等搭載面11aに配された接地端子部に接続されることにより、導電性仕切り壁部材23に対する回路基板11からの接地電位の印加が容易に行われるとともに、絶縁基体13を介在させた導電性仕切り壁部材23の回路基板11に対する設置が堅固になされることになる。なお、上述の基板側同軸コネクタ装置10に見られるように、導電性仕切り壁部材23が接地用接続コンタクト部材22と一体的に構成されたものとされたもとにあっては、構成部品点数の低減を図ることができて構成を簡略化することができるとともに、絶縁基体13における導電性仕切り壁部材23の配置を堅固に行うことができるという利点が得られる。
【0042】
前述の同軸コネクタ装置30及び基板側同軸コネクタ装置10が実際の使用に供されるにあたっては、例えば、図9に示されるように、基板側同軸コネクタ装置10が、回路基板11の部品等搭載面11aに、即ち、回路基板11の面上に絶縁基体13が配されるものとされて回路基板11に固定され、回路基板11に固定された基板側同軸コネクタ装置10に対して、第1の同軸ケーブル31Aと第2の同軸ケーブル31Bとが接続された同軸コネクタ装置30が対向配置される。その際、同軸コネクタ装置30における第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の信号用コンタクト部材33Bが、基板側同軸コネクタ装置10における第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14及び第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17に夫々対応する位置をとるとともに、同軸コネクタ装置30の接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39が、基板側同軸コネクタ装置10の接地用接続コンタクト部材22における環状接触部20に対応する位置をとるものとされる。
【0043】
続いて、第1の同軸ケーブル31Aと第2の同軸ケーブル31Bとが接続された同軸コネクタ装置30が、回路基板11に固定された基板側同軸コネクタ装置10に向って変位せしめられて、図10に示されるように、基板側同軸コネクタ装置10に嵌合連結せしめられる。その際には、同軸コネクタ装置30における第1の同軸ケーブル31Aの中心導体32Aが電気的に接続された第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の同軸ケーブル31Bの中心導体32Bが電気的に接続された第2の信号用コンタクト部材33Bが、基板側同軸コネクタ装置10の第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14及び第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17に夫々接触係合されるとともに、同軸コネクタ装置30における第1の同軸ケーブル31Aの外側導体34A及び第2の同軸ケーブル31Bの外側導体34Bの夫々に接続された接地用コンタクト部材35に設けられた環状嵌合部39が、基板側同軸コネクタ装置10における接地用接続コンタクト部材22に設けられた環状接触部20に嵌合接触接続される。即ち、接地用コンタクト部材35が環状接触部20に接触係合せしめられる。それにより、第1の同軸ケーブル31A及び第2の同軸ケーブル31Bの夫々が、同軸コネクタ装置30及び基板側同軸コネクタ装置10を介して、回路基板11に連結された状態が得られる。
【0044】
図11(平面図)及び図12(側面図)は、第1の同軸ケーブル31Aと第2の同軸ケーブル31Bとが接続された同軸コネクタ装置30が基板側同軸コネクタ装置10に嵌合連結された状態を、回路基板11の図示を省略して示す。同軸コネクタ装置30が基板側同軸コネクタ装置10に嵌合連結されたもとにあっては、図11におけるXIII-XIII線断面を示す断面図である図13に示されるように、同軸コネクタ装置30において、第1の同軸ケーブル31Aの中心導体32Aが、絶縁ハウジング36に設けられた折曲当接部40Aによって押圧された第1の信号用コンタクト部材33Aによって挟持される状態をもって、第1の信号用コンタクト部材33Aに電気的に接続されており、また、第1の同軸ケーブル31Aの外側導体34Aが、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39に設けられたケーブル支持部42A及びシェル部43に接続されている。図示は省略されているが、同軸コネクタ装置30においては、第2の同軸ケーブル31Bも、第1の同軸ケーブル31Aと同様にして、その中心導体32Bが、絶縁ハウジング36に設けられた折曲当接部40Bによって押圧された第2の信号用コンタクト部材33Bによって挟持される状態をもって、第2の信号用コンタクト部材33Bに電気的に接続されており、また、その外側導体34Bが、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39に設けられたケーブル支持部42B及びシェル部43に接続されている。
【0045】
上述の図13に加えて、図12におけるXV-XV線断面を示す断面図である図15 にも示されるように、同軸コネクタ装置30の第1の信号用コンタクト部材33Aに設けられた一対の相互対向接触接続部50Aが、基板側同軸コネクタ装置10の第1の信号用接続コンタクト部材16における凸状接触部14を挟持する状態をもって、凸状接触部14に接触係合しており、また、同軸コネクタ装置30の第2の信号用コンタクト部材33Bに設けられた一対の相互対向接触接続部50Bが、基板側同軸コネクタ装置10の第2の信号用接続コンタクト部材19における凸状接触部17を挟持する状態をもって、凸状接触部17に接触係合しているとともに、同軸コネクタ装置30の接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39が、基板側同軸コネクタ装置10の接地用接続コンタクト部材22における環状接触部20に接触係合している。
【0046】
さらに、図11における XIV-XIV 線断面を示す断面図である図14に示されるように、同軸コネクタ装置30の接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39に設けられた平板状仕切り壁部41が、それに設けられた係合連結部41aを基板側同軸コネクタ装置10における導電性仕切り壁部材23に設けられた係合接続部23aに接触係合させている。それにより、同軸コネクタ装置30における平板状仕切り壁部41と基板側同軸コネクタ装置10における導電性仕切り壁部材23とが、接地電位が与えられるもとで相互係合したものとされている。
【0047】
図16は、図10に示されるように、第1の同軸ケーブル31Aと第2の同軸ケーブル31Bとが接続された同軸コネクタ装置30が回路基板11に固定された基板側同軸コネクタ装置10に嵌合連結せしめられたもとにおいて、基板側同軸コネクタ装置10の第1の信号用接続コンタクト部材16に設けられた信号用接続部15にテスト信号Stを入力したときにおける、基板側同軸コネクタ装置10の第2の信号用接続コンタクト部材19に設けられた信号用接続部18に出力されるテスト信号Stについての、入力されたテスト高周波信号Stに対する電力比を求めた実験結果を示す。図16に示されるグラフにおいて、横軸はテスト信号Stの周波数(GHz)であり縦軸は電力比(dB)であって、破線曲線PR1は同軸コネクタ装置30が平板状仕切り壁部41を備えていないものとされたもとで得られた電力比であり、また、実線曲線PR2は同軸コネクタ装置30が平板状仕切り壁部41を備えているものとされたもとで得られた電力比である。
【0048】
図16に示される実験結果から明らかなように、テスト信号Stについての周波数6GHzまでの全周波数域に亙って、実線曲線PR2があらわす電力比、即ち、同軸コネクタ装置30が平板状仕切り壁部41を備えているものとされたもとで得られた電力比が、破線曲線PR1があらわす電力比、即ち、同軸コネクタ装置30が平板状仕切り壁部41を備えていないものとされたもとで得られた電力比を下回っている。このことは、同軸コネクタ装置30が備える平板状仕切り壁部41によって、同軸コネクタ装置30の第1の信号用コンタクト部材33Aを伝送されるテスト信号Stについての、同軸コネクタ装置30の第2の信号用コンタクト部材33Bに伝播するクロストークノイズ成分が効果的に抑制されていることを示している。
【0049】
上述のような本願発明に係る同軸コネクタ装置の一例を成す同軸コネクタ装置30によれば、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39の内側に配された第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の信号用コンタクト部材33Bとが、小間隔をおいて相互近接して配されたものとされることにより、同軸コネクタ装置30が嵌合連結される基板側同軸コネクタ装置10が取り付けられる回路基板11の部品等搭載面11aにおける同軸コネクタ装置30についての専有面積の低減を図ることができる。
【0050】
そして、それに加えて、接地電位が与えられる平板状仕切り壁部41が、第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の信号用コンタクト部材33Bとの間の小間隔内に配されるので、第1の信号用コンタクト部材33Aと第2の信号用コンタクト部材33Bとが、接地電位が与えられた平板状仕切り壁部41によって相互に電磁的に遮蔽されることになり、それにより、第1の信号用コンタクト部材33Aを通じて伝送される高周波信号の、第2の信号用コンタクト部材33Bを通じて伝送される高周波信号へのクロストークノイズとしての混入、及び、第2の信号用コンタクト部材33Bを通じて伝送される高周波信号の、第1の信号用コンタクト部材33Aを通じて伝送される高周波信号へのクロストークノイズとしての混入が軽減されて、その結果、第1の信号用コンタクト部材33A及び第2の信号用コンタクト部材33Bの夫々を通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされる事態を抑制することができることになる。
【0051】
また、同軸コネクタ装置30においては、平板状仕切り壁部41が、接地用コンタクト部材35における環状嵌合部39の一部分から伸びるものとして、接地用コンタクト部材35と一体的に構成されたものとされているので、構成部品点数の低減を図ることができて構成を簡略化することができるとともに、絶縁ハウジング36における平板状仕切り壁部41の配置を堅固に行うことができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のような本願発明に係る同軸コネクタ装置は、二つの同軸ケーブルが接続されたもとで回路基板の部品等搭載面に取り付けられた基板側同軸コネクタ装置とされる相手方同軸コネクタ装置に嵌合連結されるにあたり、回路基板の部品等搭載面における専有面積の低減を図ることができ、しかも、それを通じて伝送される高周波信号についての伝送特性に劣化がもたらされる事態を抑制することができるものとして、各種の電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0053】
10・・・基板側同軸コネクタ装置, 11・・・回路基板, 11a・・・部品等搭載面, 13・・・絶縁基体, 14,17・・・凸状接触部, 15,18・・・信号用接続部, 16・・・第1の信号用接続コンタクト部材, 19・・・第2の信号用接続コンタクト部材, 20・・・環状接触部, 21・・・接地用接続部, 22・・・接地用接続コンタクト部材, 23・・・導電性仕切り壁部材, 23a・・・係合接続部, 23b・・・基板接続部, 24・・・透孔, 30・・・同軸コネクタ装置, 31A・・・第1の同軸ケーブル, 31B・・・第2の同軸ケーブル, 32A,32B・・・中心導体, 33A・・・第1の信号用コンタクト部材, 33B・・・第2の信号用コンタクト部材, 34A,34B・・・外側導体, 35・・・接地用コンタクト部材, 36・・・絶縁ハウジング, 37A,37B・・・矩形透孔, 38A・・・第1の基部, 38B・・・第2の基部, 39・・・環状嵌合部, 40A,40B・・・折曲当接部, 41・・・平板状仕切り壁部, 41a・・・係合連結部, 42A,42B・・・ケーブル支持部, 43・・・シェル部, 44・・・第1の折曲係合部, 45・・・第2の折曲係合部, 46A,46B・・・表皮絶縁体, 47・・・第3の折曲係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16