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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20221206BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20221206BHJP
   B65D 5/66 20060101ALI20221206BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65D5/52 K
B65D5/54 301P
B65D5/66 301J
B65D5/42 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018202796
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2020070025
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-01-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】松山 まりや
(72)【発明者】
【氏名】藤田 真由
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 治紀
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0297560(US,A1)
【文献】特開2002-179054(JP,A)
【文献】特開2014-213922(JP,A)
【文献】米国特許第5346121(US,A)
【文献】特開2002-068173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 5/54
B65D 5/66
B65D 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一上縁と前記第一上縁の両端に隣接した一対の第二上縁と前記第一上縁に対向する第三上縁で四方を囲われた開口を上部に有する有底筒状の本体箱部と、
前記第一上縁から延設されており前記開口の全面を覆う形状をなす第一フラップと、前記一対の第二上縁から延設されており前記第一フラップに連設された一対の第二フラップと、前記第一フラップと前記一対の第二フラップとの間に形成された第一折り曲げ線と前記一対の第二フラップに形成された第二折り曲げ線とを有する折り曲げ機構とを有し、前記第三上縁からフラップが延設されておらず、前記開口を閉鎖させた閉鎖状態では前記第二折り曲げ線で折り曲げられるとともに前記第一折り曲げ線で折り曲げられることで、前記第一フラップと前記第二フラップとが重なり合って配置される蓋部とを備え
前記第一フラップと前記第二フラップとの間には、前記第一フラップと前記第二フラップとの間を断続的に切り込まれた状態で部分的に連設する連設部と、前記第一フラップと前記第二フラップとの間を部分的に分離する切れ込み部とが設けられており、
前記第二フラップの先端縁には切り欠き部が形成されており、
前記第二折り曲げ線が、前記第二上縁と前記第一折り曲げ線の交点から前記切り欠き部まで延びている
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記本体箱部は、前記第三上縁を有する立壁部の外面に、印刷が施される印刷部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第二フラップは、前記開口を開放させた状態で、前記第一フラップに連設された端縁に対向する端縁が、前記第三上縁から前記第一上縁へ向かって上方に傾斜する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包装するための包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直方体の四方の側面に立壁部が設けられ、底面に底壁部が設けられ、上面の開口を複数のフラップで閉鎖する包装箱(いわゆる「A式箱」)が知られる。包装箱の開口を閉鎖させる際は、一対の立壁部の上縁から延設された一対の外フラップと別の一対の立壁部のそれぞれの上縁から延設された一対の内フラップとが折り曲げられて、重ね合される。
【0003】
また、従来の包装箱には、内フラップと外フラップとの間が切れ込みにより分離されておらず、相互に連設されたものがあった(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6127858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、包装箱は、箱内に物品を収容して開口を閉鎖させた状態で、輸送容器、包装容器あるいは保管容器として利用されるのみならず、包装箱の開口を開放させた状態で、例えば店舗の売り場にて商品を陳列するための陳列箱として利用される場合があった。
例えば特許文献1の包装箱が陳列箱として利用される場合、開口を開放させた状態では上面の開口に設けられた四つのフラップ全てが互いに連設された状態で立ち上がるため、箱内に収容された物品を開口から取り出す際の取り出しやすさや、箱内に収容された物品を開口から視認する際の視認性といった陳列性が不十分であり、陳列箱として利用しにくい。
【0006】
本開示の包装箱は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、簡単に陳列性を向上させることを目的の一つとする。なお、本目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の包装箱は、第一上縁と前記第一上縁の両端に隣接した一対の第二上縁と前記第一上縁に対向する第三上縁で四方を囲われた開口を上部に有する有底筒状の本体箱部と、前記第一上縁から延設された第一フラップと、前記一対の第二上縁の少なくとも一方から延設された第二フラップと、前記第一フラップと前記第二フラップとの間に形成された第一折り曲げ線と前記第一フラップ及び前記第二フラップの一方に形成された第二折り曲げ線とを有する折り曲げ機構とを有し、前記開口を閉鎖させた閉鎖状態では前記第二折り曲げ線で折り曲げられるとともに前記第一折り曲げ線で折り曲げられることで、前記第一フラップと前記第二フラップとが重なり合って配置される蓋部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
第一フラップのみに第二フラップを連設させた構造により、第一フラップと第二フラップとのみを本体箱部の開口に立ち上ることができ、且つ、第三上縁にはフラップを立ち上げないので、物品の取り出し易さや視認性といった陳列性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に関する包装箱の閉鎖状態を示す斜視図である。
図2】一実施形態に関する包装箱の開放状態を示す斜視図である。
図3】一実施形態に関する包装箱の展開図である。
図4】別の実施形態に関する包装箱の閉鎖状態を示す斜視図である。
図5】別の実施形態に関する包装箱の開放状態を示す斜視図である。
図6】別の実施形態に関する包装箱の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態としての包装箱を説明する。
本実施形態の包装箱は、平面状のシート材(「ブランクシート」とも称される)から組み立てられた立体状の包装体である。包装箱に組み立てられるシート材には、所定の形状への切り取りや罫線の付与といった加工の施された包装資材が用いられる。シート材に用いられる包装資材としては、段ボールシートや厚紙などが挙げられる。
【0011】
本実施形態では、包装箱およびシート材が水平面に載置されたものとし、説明で用いる方向を下記のように定義する。
包装箱については、水平方向を前後方向(図中には前方を「F」で示すとともに後方を「B」で示す)および左右方向(図中には左方を「L」で示すとともに右方を「R」で示す)に細別して説明する。左右方向については、前方から後方へ向いた状態を基準に左右を定める。また、鉛直方向のうち重力の作用方向を下方(図中には「D」で示す)とし、下方の反対方向を上方(図中には「U」で示す)とする。そのほか、包装箱の上部には、物品を出し入れする開口が設けられる。
【0012】
シート材については、水平方向において互いに直交するX方向およびY方向を用いて説明する。X方向およびY方向のそれぞれは、互いに反対向きの二方向に延びる。そこで、X方向の一方をX1方向とし、他方をX2方向とする。同様に、Y方向の一方をY1方向とし、他方をY2方向とする。
【0013】
[I.一実施形態]
[1.構成]
[1-1.包装箱]
図1図2に示すように、包装箱1は、上部に開口Oが設けられた本体箱部2と、開口Oを閉鎖する蓋部10とを備える。図1は包装箱1の開口Oを蓋部10により閉鎖した閉鎖状態を示しており、また、図2は蓋部10を開いて包装箱1の開口Oを開放した開放状態を示す。
【0014】
〔本体箱部〕
本体箱部2は、有底筒状をなす。この本体箱部2では、平面視で矩形の底壁部3から、前後に並ぶ一対の立壁部4F,4Bと左右に並ぶ一対の立壁部5L,5Rとが折り立てられている。
図1図2に示す本体箱部2は、立壁部4F,4Bの左右方向の長さが立壁部5L,5Rの前後方向の長さよりも長く設定されている。すなわち、直方体の底面に沿って底壁部3が設けられ、直方体の各側面に沿って立壁部4F,4B,5L,5Rが設けられている。
本体箱部2の開口Oは、立壁部4F,4B,5L,5Rの上縁4f,4b,5l,5rで四方を囲まれる。
【0015】
立壁部4F,4Bは、前方の立壁部4Fと後方の立壁部4Bとに細別される。また、立壁部5L,5Rは、左方の立壁部5Lと右方の立壁部5Rとに細別される。以下、前方の立壁部4Fを「前壁部4F」,後方の立壁部4Bを「後壁部4B」,左方の立壁部5Lを「左壁部5L」,右方の立壁部5Rを「右壁部5R」と称する。
ここでは、前後対称かつ左右対称の本体箱部2を例示する。
【0016】
図1図2に示す底壁部3は、本体箱部2の底部を閉鎖できればどのような構成でもよい。例えば、底壁部3は、後壁部4Bの下縁と前壁部4Fの下縁とから延設された一対の下縁外フラップ(図示せず)と、左壁部5Lの下縁と右壁部5Rの下縁とから延設された一対の下縁内フラップ(図示せず)とで形成される。
【0017】
〔蓋部〕
後壁部4Bの上縁4bからは第一外フラップ11Bが延設されており、この後壁部4Bの上縁4bに対向する前壁部4Fの上縁4fからは第二外フラップ11Fが延設されている。
また、後壁部4Bの上縁4bの左右両端に隣接する左壁部5Lの上縁5l,右壁部5Rの上縁5rからは、それぞれ、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rが延設されている。
蓋部10は、これら第一外フラップ11B,第二外フラップ11F,第一内フラップ12L,および、第二内フラップ12Rにより構成される。
【0018】
本実施形態の包装箱1において、第一外フラップ11Bが本体箱部2の第一上縁(上縁4b)から延設された第一フラップに相当し、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rが第一上縁の両端に隣接した第二上縁(上縁5l,5r)から延設された一対の第二フラップに相当し、また、第二外フラップ11Fが、第一上縁に対向する第三上縁(上縁4f)から延設された第三フラップに相当する。
【0019】
図2に示すように、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Lとの間は、完全には溝切りされておらず、連設されている。また、第一外フラップ11Bと第二内フラップ12Rとの間も、完全には溝切りされておらず、連設されている。一方、第二外フラップ11F(図2において二点鎖線で示す)と第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rとの間は、連設されておらず、分離されている。
このため、図2に示す開放状態では、本体箱部2の開口Oの四辺のうち、上縁4b,5l,5rの三方から延出された第一外フラップ11B,第一内フラップ12L及び第二内フラップ12Rのみが一体的に立ち上げられるようになっている。
【0020】
本実施形態の包装箱1は、このように、一対の外フラップ11B,11Fの一方(第一外フラップ11B)のみが一対の内フラップ12L,12Rに連設されており、一対の外フラップ11B,11Fの他方(第二外フラップ11F)は一対の内フラップ12L,12Rに連設されていないことを主要な特徴の一つとしている。
【0021】
〔折り曲げ機構〕
第一外フラップ11Bに第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとが連設されているため、蓋部10を閉鎖する際に第一外フラップ11Bを第一内フラップ12L及び第二内フラップ12Rに重ね合わせるための機構として、折り曲げ機構40L,40Rが設けられている。
図2に示すように、折り曲げ機構40L,40Rは、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12L及び第二内フラップ12Rとの間にそれぞれ設けられた第一折り曲げ線41L,41Rと、第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとのそれぞれに形成された第二折り曲げ線42L,42Rとを有する。
【0022】
第一折り曲げ線41L,41Rは、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rとの間を折り曲げやすくするために設けられている。一方の第一折り曲げ線41Lは、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Lとの境界に沿って直線状に延びる。他方の第一折り曲げ線41Rは、第一外フラップ11Bと第二内フラップ12Rとの境界に沿って直線状に延びる。
【0023】
図1図2に示す第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Lとの間(第一折り曲げ線41Lの箇所)と、第一外フラップ11Bと第二内フラップ12Rとの間(第一折り曲げ線41Rの箇所)とには、それぞれ、連設部410と切れ込み部411が設けられている。切れ込み部411は、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rとの間が部分的に分離した部位であり、開放状態で第一外フラップ11Bと第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rとの間の先端縁から下方へ向かう切り込みにより形成される。連設部410は、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Rとの間、又は、第一外フラップ11Bと第二内フラップ12Lとの間を部分的に連設する部位であり、切れ込み部411の端部(開放状態で下端部)から上縁4bと上縁5l,5rとの交点までの間に延在している。
言い換えれば、第一折り曲げ線41Lと第一折り曲げ線41Rとは、それぞれ、連設部410と切れ込み部411とを有する。
【0024】
また、第二折り曲げ線42L,42Rは、それぞれ、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rを当該第二折り曲げ線42L,42Rを介して折り畳むために設けられている。
一方の第二折り曲げ線42Lは、第一内フラップ12Lに形成され、上縁4bと上縁5lの交点(第一内フラップ12Lの後方基端部)から前方且つ第一内フラップ12Lの先端縁に向けて、上縁5lに対して傾斜して延びる(図2参照)。他方の第二折り曲げ線42Rは、第二内フラップ12Rに形成され、上縁4bと上縁5rの交点(第二内フラップ12Rの後方基端部)から前方且つ第二内フラップ12Rの先端縁に向けて、上縁5rに対して傾斜して延びる(図2参照)。
【0025】
第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rにおいて、それぞれの後方の端縁(第一折り曲げ線41L,41Rの箇所)と第二折り曲げ線42L,42Rにより区画された部分13L,13R(図2参照)は、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rを第二折り曲げ線42L,42Rで折り曲げた際に中央部分14L,14R(図2参照)に重ね合される重合部となる(図2参照)。
【0026】
〔切り欠き部〕
また、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rの先端縁には、前後方向の略中央部に切り欠き部43L,43Rが設けられている。切り欠き部43L,43Rは、それぞれ上縁5l、5rに平行な第一辺44と第一辺44に垂直な第二辺45を有し、開放状態で左右方向からの側面視でL字形状に形成される。第一辺44と第二辺45の交点に第二折り曲げ線42L,42Rの先端が位置する。すなわち、第二折り曲げ線42L,42Rは、それぞれ、第一内フラップ12Lの後方基端部,第二内フラップ12Rの後方基端部から切り欠き部43L,43Rまで延びる。
【0027】
〔傾斜辺〕
また、第一内フラップ12Lの前方の端縁46Lは、図2に示す開口を開放した状態で、上縁4fと上縁5lの交点から後方に向かって上方に傾斜する傾斜辺として形成されている。また、第二内フラップ12Rの前方の端縁46Rも、同様に、上縁4fと上縁5rの交点から後方に向かって上方に傾斜する傾斜辺として形成されている。
【0028】
〔ジッパー構造〕
また、第二外フラップ11Fと上縁4fとの間には、断続的に形成された切れ込み51を有するジッパー構造50を有する。ジッパー構造50は、前壁部4Fから第二外フラップ11Fを切り離すための切り取り線である。図1に示すジッパー構造50は、上縁4fの右端から左端まで、複数の切れ込み51が一定のピッチで形成される。
【0029】
〔印刷部〕
また、前壁部4Fの外面に印刷部60が設けられている。印刷部60には、包装箱1の収容物の名称,絵柄等が印刷される。
【0030】
[1-2.蓋部の開閉]
上記の構成からなる包装箱1において、蓋部10で開口Oを閉鎖させる際、作業者は、先ず、第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとをそれぞれ第二折り曲げ線42L,42Rの箇所で折り曲げて、重合部13L,13Rを中央部分14L,14Rに重ね合せる。これとともに、作業者は、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12L及び第二内フラップ12Rとの間を第一折り曲げ線41L,41Rで折り曲げる。これにより、第一外フラップ11Bは、第一内フラップ12L及び第二内フラップ12Rの重合部13L,13Rに重ね合わされつつ、後壁部4Bに対して本体箱部2の内側に向けて折り曲げられる。
本実施形態では、第一折り曲げ線41L,41Rの折り曲げ方向は山折りに設定され、第二折り曲げ線42L,42Rの折り曲げ方向は谷折りに設定される。すなわち、第一折り曲げ線41L,41Rの折り曲げ方向と第二折り曲げ線42L,42Rの折り曲げ方向とは逆向きに設定される。
【0031】
他方の第二外フラップ11Fは、前壁部4Fに対して本体箱部2の内側に向けて折り曲げられ、第一内フラップ12L及び第二内フラップ12Rに重ね合わされる。この状態で、第一外フラップ11Bと第二外フラップ11Fとの先端縁110どうしが突き合わされて配置される。
【0032】
包装箱1の開口を封緘させるときは、作業者は、第一外フラップ11Bと第二外フラップ11Fとをまたいで、先端縁110に沿って粘着テープ90(図1に二点鎖線で示す)を貼り付ける。左壁部5Lから右壁部5Rまで粘着テープ90が貼り付けられることで、包装箱1が確実に封緘される。
【0033】
上記のように閉鎖された開口を開放させる際は、作業者は、まず粘着テープ90を剥がした後、第一外フラップ11Bを、後壁部4Bの上縁4bを軸として立ち上げる。
このとき、第一外フラップ11Bに第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとが連設されているので、第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとは、第一外フラップ11Bと一体的に、左壁部5Lの上縁5l,右壁部5Rの上縁5rを軸として立ち上げられる。これに伴い、第二折り曲げ線42L,42Rで折り重ねられていた重合部13L,13Rと中央部分14L,14Rとは同一平面上に展開される。
【0034】
こうして、第一外フラップ11Bは、上縁4bから上方に後壁部4Bと同一平面に沿って起立する。また、第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとは、それぞれ、上縁5l,上縁5rから上方に左壁部5L,右壁部5Rと同一平面に沿って起立する。これにより、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとは、それぞれ、包装箱1の開口Oの上縁4b,上縁5l,上縁5rから上方に延びた壁部として機能する。
【0035】
また、作業者は、第二外フラップ11Fを本体箱部2の上縁4fから切り離す。第二外フラップ11Fは、ジッパー構造50を介して本体箱部2の上縁4fから延設されているので、作業者は、手作業で簡単に、第二外フラップ11Fを本体箱部2から切り離すことができる。図2は、第二外フラップ11Fが切り離された状態を示しており、第二外フラップ11Fを二点鎖線で示す。
【0036】
[シート材]
次に図3を参照して包装箱1に組み立てられるシート材1Sを説明する。
シート材1Sは、所定の形状に切り取られた一枚の包装資材である。
以下の説明では、Y方向(たとえばシート材1Sが段ボールシートからなる場合に段〈フルート〉の延在方向に沿う方向)に延びる罫線を「クリーズ」と称し、X方向(たとえばシート材1Sが段ボールシートからなる場合に段の延在方向に直交する方向)に延びる罫線を「スコア」という。
【0037】
シート材1SのY方向中央領域には、前壁部4Fに対応する前壁シート片4F,右壁部5Rに対応する右壁シート片5R,後壁部4Bに対応する後壁シート片4Bおよび左壁部5Lに対応する左壁シート片5Lが設けられている。シート片4F,5R,4B,5Lの境界は、それぞれ、第一クリーズC1,第二クリーズC2,第三クリーズC3で区画される。また、前壁シート片4FのX1方向側には、第四クリーズC4を介して、結合シート片9が設けられている。
【0038】
シート材1SのY1方向側領域には、底壁部3を形成するシート片として、フラップシート片31F,32R,31B,32Lが、それぞれシート片4F,5R,4B,5LからY1方向に突出して設けられる。これらフラップシート片31F,32R,31B,32Lとシート片4F,5R,4B,5Lとの境界は、第四スコアS4,第五スコアS5,第六スコアS6,第七スコアS7で区画されている。
【0039】
シート材1SのY2方向側領域には、第二外フラップ11Fに対応する第二外フラップシート片11F,第二内フラップ12Rに対応する第二内フラップシート片12R,第一外フラップ11Bに対応する第一外フラップシート片11B及び第一内フラップ12Lに対応する第一内フラップシート片12Lが、それぞれシート片4F,5R,4B,5LからY2方向に突出して、設けられている。
第二内フラップシート片12Rと右壁シート片5Rとの境界に第一スコアS1が設けられており、第一外フラップシート片11Bと後壁シート片4Bとの境界に第二スコアS2が設けられており、第一内フラップシート片12Lと左壁シート片5Lとの境界に第三スコアS3が設けられている。
【0040】
また、第二外フラップシート片11Fと前壁シート片4Fとの境界は、前述したジッパー構造50に対応する破断部50と、第八スコアS8によりY方向に区画されている。破断部50には、第二外フラップシート片11Fと前壁シート片4Fとの境界に沿って断続的に形成された複数の切れ込み51が設けられる。
【0041】
〔第一折り曲げ線〕
第二内フラップシート片12Rと第一外フラップシート片11BとはX方向に連設されており、第二内フラップシート片12Rと第一外フラップシート片11Bとの境界は第五クリーズC5を有する第一折り曲げ線41RによりX方向に区画されている。また、第一外フラップシート片11Bと第一内フラップシート片12LとはX方向に連設されており、第一外フラップシート片11Bと第一内フラップシート片12Lとの境界は第六クリーズC6を有する第一折り曲げ線41LによりX方向に区画されている。
【0042】
図3に示す第一折り曲げ線41R,41Lは、Y1方向の端部からY2方向に向かって一部が連設部41として形成され、残りの部分(Y2方向の端部)が溝切り加工による切れ込み部411として形成される。
【0043】
〔第二折り曲げ線〕
また、第二内フラップシート片12Rには、第一折り曲げ線41Rと第一スコアS1とのなす角(90度)を二等分する位置に、第一罫線L1を有する第二折り曲げ線42Rが配置されている。第一内フラップシート片12Lには、第一折り曲げ線41Lと第三スコアS3とのなす角(90度)を二等分する位置に、第二罫線L2を有する第二折り曲げ線42Lが配置されている。
【0044】
〔切り欠き部〕
また、第一内フラップシート片12L,第二内フラップシート片12RのY2方向の端縁には、X方向中央部にL字状の切り欠き部43L,43Rが形成されている。切り欠き部43L,43Rは、第一スコアS1,第三スコアS3と平行な第一辺44と第一辺44に垂直な第二辺45とを有し、第一辺44と第二辺45の交点に第二折り曲げ線42L,42Rの先端が位置する。
【0045】
〔傾斜辺〕
また、第一内フラップシート片12LにおけるX2方向の端縁46Lは、Y1方向の基端からY方向に向かって延び、X1方向に傾斜する傾斜辺として形成されている。また、第二内フラップシート片12RにおけるX1方向の端縁46Rも同様に、Y1方向の基端からY2方向に向かって延び、X2方向に傾斜する傾斜辺として形成されている。
【0046】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態の包装箱1は、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとを立ち上げるだけで、簡単に、この包装箱1を、物品の陳列箱として利用できる。第一外フラップ11Bのみが第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとに連設されるので、上縁4b,上縁5r,上縁5lから延びる第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとの三方のフラップのみが立ち上げられ、上縁4fでは第二外フラップ11Fを立ち上げない。このため、陳列箱として利用する際の陳列性を向上できる。もちろん、開口の全閉状態では、包装箱1は、輸送容器、包装容器あるいは保管容器として利用され得る。なお、本明細書において「陳列性」とは、開口からの物品の取り出し易さ、開口からの物品の視認性、陳列作業の効率性を含む。
【0047】
より具体的には、陳列箱として利用するにあたり、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rを立ち上げているので、立ち上げたフラップの分だけ包装箱1の高さを増すことができる。また、開口の四方のうち上縁4fから連設されに第二外フラップ11Fを立ち上げないので、物品の取り出し易さや視認性を向上できる。また、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとが互いに支え合って起立した状態を維持するので、フラップ間のテープ留めが不要である。したがって、陳列作業の効率を向上できる。
【0048】
また、第二外フラップ11Fと上縁4fとの間にジッパー構造50を有するので、陳列箱としての利用時に不要となる第二外フラップ11Fを、はさみ,カッター等の切断具を用いることなく、手作業で簡単に、本体箱部2から切り離すことができる。
【0049】
また、陳列箱の正面となる前壁部4Fに印刷部60を設けたことで、陳列箱の利用者にとって見やすい箇所に印刷部60が配置される。このため、陳列性を更に向上できる。
【0050】
また、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rの端縁46L,46Rを、開口の開放状態で後方に向かって上方に傾斜させたことで、包装箱1を陳列箱として利用する際に、陳列箱の左右側壁の高さを陳列箱の後方から前方に向かって徐々に低くできる。このため、物品の取り出し易さや、物品の視認性をより一層向上できる。
【0051】
また、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rとの間は、連設部410の箇所でのみ部分的に連設されるとともに切れ込み部411により先端縁から部分的に分離されることで、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rとの間の連設部分の長さを短くして、第一折り曲げ線41L,41Rでの折り曲げ加工をより一層容易にできる。
【0052】
更に、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rの先端縁には、前後方向の略中央部に切り欠き部43L,43Rが設けられており、第二折り曲げ線42L,42Rが切り欠き部43L,43Rまで延びることで、第二折り曲げ線42L,42Rの長さが短くなり、第二折り曲げ線42L,42Rでの折り畳み加工がより一層行いやすくなる。
【0053】
例えば、従来知られる、一対の内フラップと一対の外フラップとで開口を閉鎖する包装箱(いわゆる「A式箱」)が、本実施形態と同等な陳列箱として利用される場合、まず、一対の外フラップの一方と一対の内フラップとを立ち上げて、次に、これらフラップを互いに粘着テープにより固定し、それから一対の外フラップの他方をカッターで切り離す作業と、更には、各内フラップの前端角部を斜めに切り落とす作業とが必要とされる。これに対して、本実施形態の包装箱1は、第一外フラップ11Bと第一内フラップ12Lと第二内フラップ12Rとを立ち上げるだけで簡単に、前述した陳列箱として利用できるようになるので、粘着テープによるテープ留め作業とカッターを用いた切断作業とが不要であり、陳列作業の効率を向上できる。
【0054】
〔変形例〕
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲でかかる実施形態を適宜変形して実施することができる。
【0055】
図4図6は、別の実施形態の包装箱100と、この包装箱100を組み立てるためのシート材100Sを説明するための図である。図1図3を参照して既に説明した構成要素については、共通の符号を付与してその説明を適宜省略する。
包装箱100は、第一外フラップ110Bの前後方向の長さが、本体箱部の前後方向の長さと同寸法に設定されており、一枚の第一外フラップ110Bだけで開口Oの全面を覆うことができる点が図1図3に示す包装箱1と異なる。したがって、包装箱100には、包装箱1の第二外フラップ11Fに相当するフラップが設けられていない。この場合、第一外フラップ110Bの前後方向の長さが増した分だけ、陳列箱として利用する際の箱の高さを高くできる。
【0056】
この場合、図5に示すように、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rそれぞれの後方の端縁には、第一外フラップ110Bの左右方向の端縁に沿って延在する支持面120L,支持面120Rが設けられている。すなわち、図6に示すように、シート材100Sにおいては、第一内フラップ12LのX方向の端縁には、Y方向とX方向とに延在する支持面120Lが形成され、第二内フラップ12RのX方向の端縁には、Y方向とX方向とに延在する支持面120Rが形成される。
支持面120L,120Rは、閉鎖状態では、第一外フラップ110Bを下方で支持し(図4参照)、また、開放状態では、第一外フラップ110Bの立設方向に沿って支持面120L,120Rが延在することで第一外フラップ110Bの起立状態を支持面120L,120Rにより支持及び補強できる(図5参照)。
【0057】
〔その他〕
また、上記の実施形態においては第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rの前方の端縁46L,46Rが傾斜辺により形成される場合を例に挙げて説明したが、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rの端縁46L,46Rは、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rを立ち上げた際に鉛直方向に延びる直線状であってもよい。
【0058】
また、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rの先端縁の切り欠き部43L,43Rを設けなくてもよい。すなわち、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rの面形状は、いわゆる「A式箱」の内フラップと同様な、平面視矩形状であってもよい。
【0059】
また、上記の実施形態において、第一外フラップ11Bが「第一フラップ」に相当し、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rが「第二フラップ」に相当し、また、第二外フラップ11Fが「第三フラップ」に相当する場合、すなわち、蓋部10を閉じた状態で、第一フラップ及び第三フラップが一対の第二フラップの外側に重なり合う場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、一対の第二フラップが第一フラップ及び第三フラップの外側に重なり合うように蓋部10が構成されてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態においては、第一内フラップ12L,第二内フラップ12Rに第二折り曲げ線42L,42Rが形成される場合を例に挙げて説明したが、第二折り曲げ線42L,42Rは、第一外フラップ11Bに形成されてもよい。その場合、第一外フラップ11Bにおいて、第一折り曲げ線41L,41Rと第二折り曲げ線42L,42Rにより区画された部分が、第一外フラップ11Bの一部と重なり合わされる重合部となる。
【0061】
包装箱1,100は直方体形状に限らず、立方体状,角柱状等であってもよい。すなわち、包装箱1,100のプロポーションは任意である。
【符号の説明】
【0062】
1,100 包装箱
1S シート材
2 本体箱部
3 底壁部
4B 後壁部,側壁シート片
4F 前壁部,側壁シート片
4f,4b,5l,5r 上縁
5L 左壁部,端壁シート片
5R 右壁部,端壁シート片
9 結合シート片
10 蓋部,蓋部シート片
11B 第一外フラップ,第一外フラップシート片
11F 第二外フラップ,第二外フラップシート片
12L 第一内フラップ,第一内フラップシート片
12R 第二内フラップ,第二内フラップシート片
13L,13R 重合部
14L,14R 中央部分
40L,40R 折り曲げ機構
41L,41R 第一折り曲げ線
42L,42R 第二折り曲げ線
43L,43R 切り欠き部
44 第一辺
45 第二辺
46L,46R 端縁
50 ジッパー構造,破断部
51 切れ込み
60 印刷部
90 粘着テープ
110 先端縁
110B 第一外フラップ
120L,120R 支持面
410 連設部
411 切れ込み部
O 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6