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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】制御装置およびロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018204520
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020069564
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】萩原 努
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-104529(JP,A)
【文献】特開2018-144162(JP,A)
【文献】特開2013-154410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端第1軸回りに回動し、前記先端第1軸と交差する先端第2軸回りに回動するロボット先端部を有する垂直多関節ロボットを制御するロボット制御部と、
前記ロボット制御部により前記ロボット先端部を前記先端第1軸回りに回動させる第1操作部と、前記ロボット制御部により前記ロボット先端部を前記先端第2軸回りに回動させる第2操作部と、前記第1操作部による操作と前記第2操作部による操作とを有効にする第1制御モードと前記第1操作部による操作を有効にし、前記第2操作部による操作を無効にする第2制御モードとを切り替える第3操作部と、を含む画面を表示部に表示する表示制御部と、を備え、
前記第1制御モードでは、前記第1操作部と、前記第2操作部と、前記第3操作部とが、同時に前記表示部に表示され、
前記第2制御モードでは、前記第1操作部と、前記第2操作部と、前記第3操作部とのうち、少なくとも前記第1操作部および前記第3操作部が、同時に前記表示部に表示され、
前記垂直多関節ロボットの制御を教示する際、前記垂直多関節ロボットが作業を行う作業面に対して、前記第1制御モードで前記先端第1軸が垂直となる姿勢に前記ロボット先端部を制御した後、前記第2制御モードに切り替え可能であることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第2制御モードでは、前記第2操作部の表示態様が、前記第1制御モードにおける前記第2操作部の表示態様と異なっている請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2制御モードでは、前記第2操作部を非表示とすることにより、前記第2操作部による操作を無効とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第3操作部が操作された場合、前記ロボット制御部により前記作業面に対して前記先端第1軸が垂直となる姿勢に前記ロボット先端部を移動する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記画面は、前記ロボット制御部により前記作業面に対して前記先端第1軸が垂直となる姿勢に前記ロボット先端部を移動するための第4操作部を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の制御装置と、
前記垂直多関節ロボットと、を備えることを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置およびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、単腕の垂直多関節ロボットを用いて、例えば部品を組み立てる組立作業等を行う場合がある。例えば特許文献1には、ロボットハンドを装着することができる垂直多関節ロボットが開示されている。そして、ロボットハンドによる作業を行う際には、ロボットハンドが装着されている垂直多関節ロボットの先端部を所定の位置と所定の姿勢とに設定して、その作業を行うことができる。
【0003】
また、特許文献1には、垂直多関節ロボットが作業を行うのに先立って、操作者がティーチングペンダントを介して垂直多関節ロボットを動かして、作業位置等の教示点を垂直多関節ロボットに教示するティーチングを行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-154410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、例えば作業面に対してロボットハンドが円滑に作業可能となるよう、ティーチングにより垂直多関節ロボットの先端部を好適な位置と好適な姿勢とに設定しても、作業者が誤ってティーチングペンダントを操作してしまい、当該先端部の位置や姿勢を変更してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下のものとして実現することが可能である。
【0007】
本発明の制御装置は、先端第1軸回りに回動し、前記先端第1軸と交差する先端第2軸回りに回動するロボット先端部を有する垂直多関節ロボットを制御するロボット制御部と、
前記ロボット制御部により前記ロボット先端部を前記先端第1軸回りに回動させる第1操作部と、前記ロボット制御部により前記ロボット先端部を前記先端第2軸回りに回動させる第2操作部と、を含む画面を表示部に表示する表示制御部と、を備え、
前記画面では、前記第1操作部による操作と前記第2操作部による操作とを有効にする第1制御モードと、前記第1操作部による操作を有効にし、前記第2操作部による操作を無効にする第2制御モードとを切り替え可能であり、
前記垂直多関節ロボットの制御を教示する際、前記垂直多関節ロボットが作業を行う作業面に対して、前記第1制御モードで前記先端第1軸が垂直となる姿勢に前記ロボット先端部を制御した後、前記第2制御モードに切り替え可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明のロボットシステムは、本発明の制御装置と、
前記垂直多関節ロボットと、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態のロボットシステムの全体構成を示す図である。
図2図2は、図1に示すロボットシステムが備える垂直多関節ロボットの動作状態の一例を示す側面図である。
図3図3は、図1に示すロボットシステムが備える垂直多関節ロボットの動作状態の一例を示す側面図である。
図4図4は、図1に示すロボットシステムが備える垂直多関節ロボットの動作状態の一例を示す側面図である。
図5図5は、図1に示すロボットシステムが備えるモニターに表示される画面の第1制御モードを示す図である。
図6図6は、図1に示すロボットシステムが備えるモニターに表示される画面の第2制御モードを示す図である。
図7図7は、第2実施形態のロボットシステムが備えるモニターに表示される画面の第2制御モードを示す図である。
図8図8は、第3実施形態のロボットシステムが備えるモニターに表示される画面の第2制御モードを示す図である。
図9図9は、第1実施形態~第3実施形態のロボットシステムについてハードウェアを中心として説明するためのブロック図である。
図10図10は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例1を示すブロック図である。
図11図11は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例2を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の制御装置およびロボットシステムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、説明の都合上、図1図8中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。
【0011】
<第1実施形態>
図1図6を参照して本発明の制御装置およびロボットシステムの第1実施形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、ロボットシステム100は、垂直多関節ロボット(以下単に「ロボット」と言うことがある)1と、ロボット1を制御する制御装置200と、を備えている。ロボット1は、本実施形態では単腕の6軸垂直多関節ロボットであり、その先端部にエンドエフェクター20を装着することができる。制御装置200は、ロボット1から離間して配置されており、プロセッサーの1例であるCPU(Central Processing Unit)が内蔵されたコンピューター等で構成することができる。そして、このロボットシステム100の用途は、特に限定されず、例えば、電子部品や電子機器等のワークの保持、搬送、組立および検査等の各作業で用いることができる。
【0013】
ロボット1は、基台11と、可動部10と、を有している。
基台11は、可動部10を下側から駆動可能に支持する支持体であり、例えば工場内の床に固定されている。ロボット1は、基台11がケーブル18を介して制御装置200と電気的に接続されている。なお、ロボット1と制御装置200との接続は、図1に示す構成のように有線による接続に限定されず、例えば、無線による接続であってもよい。
【0014】
可動部10は、互いに回動可能に連結された複数のアーム101を有している。本実施形態では、可動部10は、第1アーム12と、第2アーム13と、第3アーム14と、第4アーム15と、第5アーム16と、第6アーム17とを有し、これらのアーム101が基台11側からこの順に連結されている。なお、可動部10が有するアーム101の数は、6つに限定されず、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは7つ以上であってもよい。また、各アーム101の全長等の大きさは、それぞれ、特に限定されず、適宜設定可能である。
【0015】
基台11と第1アーム12とは、関節171を介して連結されている。そして、第1アーム12は、基台11に対し、鉛直方向と平行な第1回動軸を回動中心とし、その第1回動軸回りに回動可能となっている。第1回動軸は、基台11が固定される床の法線と一致している。
【0016】
第1アーム12と第2アーム13とは、関節172を介して連結されている。そして、第2アーム13は、第1アーム12に対し、水平方向と平行な第2回動軸を回動中心として回動可能となっている。第2回動軸は、第1回動軸に直交する軸と平行である。
【0017】
第2アーム13と第3アーム14とは、関節173を介して連結されている。そして、第3アーム14は、第2アーム13に対して水平方向と平行な第3回動軸を回動中心として回動可能となっている。第3回動軸は、第2回動軸と平行である。
【0018】
第3アーム14と第4アーム15とは、関節174を介して連結されている。そして、第4アーム15は、第3アーム14に対し、第3アーム14の中心軸方向と平行な第4回動軸を回動中心として回動可能となっている。第4回動軸は、第3回動軸と直交している。
【0019】
第4アーム15と第5アーム16とは、関節175を介して連結されている。そして、第5アーム16は、第4アーム15に対して第5回動軸を回動中心として回動可能となっている。第5回動軸は、第4回動軸と直交している。
【0020】
第5アーム16と第6アーム17とは、関節176を介して連結されている。そして、第6アーム17は、第5アーム16に対して第6回動軸を回動中心として回動可能となっている。第6回動軸は、第5回動軸と直交している。
【0021】
また、第6アーム17は、可動部10の中で最も先端側に位置するロボット先端部となっている。この第6アーム17は、可動部10の駆動により、エンドエフェクター20ごと、互いに交差する先端第1軸αと先端第2軸βと先端第3軸γの各軸回りに独立して回動することができる。
【0022】
また、ロボット1は、可動部10に、力を検出する力検出部19が着脱自在に設置される。そして、可動部10は、力検出部19が設置された状態で駆動することができる。
【0023】
本実施形態では、力検出部19は、第6アーム17の先端に設置されている。また、この力検出部19には、エンドエフェクター20を着脱可能に装着することができる。
【0024】
なお、力検出部19の設置箇所としては、第6アーム17、すなわち、最も先端側に位置するアーム101に限定されず、例えば、他のアーム101や、隣り合うアーム101同士の間であってもよい。
【0025】
力検出部19は、ロボット1の作業時にエンドエフェクター20を介して伝達される力等を検出することができる。力検出部19としては、特に限定されないが、本実施形態では、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の各軸方向の力成分と、X軸回りとなるW方向の力成分と、Y軸回りとなるV方向の力成分と、Z軸回りとなるU方向の力成分とを検出可能な6軸力覚センサーが用いられる。なお、本実施形態では、Z軸方向が鉛直方向となっている。また、各軸方向の力成分を「並進力成分」と言い、各軸回りの力成分を「トルク成分」と言うこともできる。また、力検出部19は、6軸力覚センサーに限定されず、他の構成のものであってもよい。
【0026】
制御装置200は、表示制御部201およびロボット制御部202を有している。表示制御部201は、後述する操作画面2を表示部301に表示させることができ、例えばCPUの一部または全部がその機能を担っている。ロボット制御部202は、ロボット1を制御することができ、例えばCPUの一部または全部がその機能を担っている。
【0027】
また、ロボットシステム100は、例えば、ノート型またはタブレット型のパーソナルコンピューター(以下「PC」と言う)300とともに用いられる。PC300は、各種情報を表示する表示部301としてのディスプレイが内蔵されている。表示部301は、液晶を有し、タッチパネル機能を有している。このPC300は、制御装置200と電気的に接続されている。なお、PC300と制御装置200との接続は、無線による接続が好ましいが、有線による接続であってもよく、さらには、インターネットのようなネットワークを介して接続されていてもよい。
【0028】
前述したように、ロボットシステム100は、例えば、電子部品や電子機器等のワークの保持、搬送、組立および検査等の各作業で用いられる。また、各作業は、ロボット1の可動部10が最大に駆動可能な駆動範囲A10内で行われる。このときのロボット1の動作状態の一例について、図2図4を参照しつつ説明する。
【0029】
図2図4に示すように、ロボット1に装着されたエンドエフェクター20は、Z軸を法線とする水平な作業面400上で作業を行うことができる。
【0030】
ロボットシステム100では、その作業に先立って、ティーチングを行う。ティーチングでは、図2に示すように、エンドエフェクター20を作業面400に所定位置まで接近させる。そして、ロボット1を、先端第1軸αが作業面400と直交した姿勢にする。以下、図2に示す状態を「作業開始可能状態」と言う。また、本実施形態では、ロボット1は、作業面400上での作業中も、作業開始可能状態での姿勢、すなわち、先端第1軸αが作業面400と直交した姿勢を維持したまま作業を行うのが好ましい。
【0031】
このようなティーチングにより、ロボット1に対して、第1アーム12~第6アーム17の位置および姿勢を記憶させる、すなわち、教示することができる。ここでは、第1アーム12~第6アーム17のうち、代表的に、第6アーム17の位置および姿勢を教示する場合を挙げる。また、このティーチングは、表示部301に表示された操作画面2を操作する行うことにより可能である。
【0032】
そして、ロボット1が作業面400上で作業を行う際には、作業開始可能状態から、図3に示すように、可動部10、特に第6アーム17が、例えば水平な矢印M1方向に移動すれば、前記姿勢を維持したまま作業を円滑に行うことができる。
【0033】
しかしながら、作業開始可能状態としても、その後に操作画面2を誤って操作した場合、図4に示すように、可動部10、特に第6アーム17が、例えば先端第2軸β回りに矢印M2方向に回動することがある。この場合、先端第1軸αが作業面400に対して傾いてしまい、前記姿勢が維持されず、作業を行うのが困難となるおそれがある。
【0034】
そこで、ロボットシステム100では、このような不具合を防止するよう構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
【0035】
図5図6に示すように、操作画面2には、モーター切替部21、ロボット動作モード切替部22、座標系切替部23、エンドエフェクター切替部24、動作スピード切替部25、動作対象切替部26、位置角度表示部27、動作状態切替部28、距離角度表示部29、第1操作部31、第2操作部32、第3操作部33、第4操作部34、第5操作部35および第6操作部36が含まれている。前述したように、表示部301は、タッチパネル機能を有している。これにより、各切替部および各操作部は、それぞれ、操作画面2上で押圧操作することができる。そして、各切替部および各操作部が押圧された際に生じる信号が、ロボット制御部202を介してロボット1に伝達されて、当該ロボット1は、信号に基づいた動作を行うことができる。
【0036】
モーター切替部21は、関節171~関節176をそれぞれ駆動させる駆動源としての各モーターのON/OFFを切り替える操作部である。モーター切替部21は、モーターを駆動可能状態とするスイッチ211と、モーターを駆動停止状態とするスイッチ212と、を有している。
【0037】
ロボット動作モード切替部22は、ロボット1がどのような動作モードで動作するのかを切り替える操作部である。
座標系切替部23は、ロボット1を動作させる際の座標系を切り替える操作部である。
【0038】
エンドエフェクター切替部24は、動作させるエンドエフェクター20を切り替える操作部である。
【0039】
動作スピード切替部25は、ティーチング時のロボット1の動作スピードを段階的に切り替える操作部である。
【0040】
動作対象切替部26は、ロボット1がどのような動作モードで動作するのかを切り替える操作部である。動作対象切替部26は、ロボット1全体で動作させるスイッチ261と、所定の関節を動作させるスイッチ262と、を有している。
【0041】
位置角度表示部27は、現在の第6アーム17の位置および回転角度を表示する部分である。位置角度表示部27は、X座標を示す第1表示部271と、Y座標を示す第2表示部272と、Z座標を示す第3表示部273と、Z軸回りとなるU方向の回動角度を示す第4表示部274と、Y軸回りとなるV方向の回動角度を示す第5表示部275と、X軸回りとなるW方向の回動角度を示す第6表示部276と、を有している。
【0042】
動作状態切替部28は、ティーチング時のロボット1の動作状態を切り替える操作部である。動作状態切替部28は、ロボット1に連続的な動作を行わせるスイッチ281と、ロボット1に間欠的な動作、すなわち、ピッチ送り動作を行わせるスイッチ282と、を有している。
【0043】
距離角度表示部29は、スイッチ282が選択された場合に、ロボット1が動作1回当たりに移動する移動距離を表示する第1表示部291と、ロボット1が動作1回当たりに回動する回動角度を表示する第2表示部292と、を有している。
【0044】
第1操作部31は、ティーチングを行う際、第6アーム17を、Z軸と平行な先端第1軸α回り、すなわち、U方向に回動させる操作を行う操作部である。第1操作部31は、第6アーム17をU方向正側に回動させる、すなわち、正転させるU方向正転操作部311と、第6アーム17をU方向負側に回動させる、すなわち、反転させるU方向反転操作部312と、を有している。例えば、U方向正転操作部311を押圧操作すると、その押圧操作した回数に、第2表示部292に表示されている値を乗じた分だけ、第6アーム17をU方向正側に回動させることができる。これは、U方向反転操作部312についても同様である。
【0045】
第2操作部32は、ティーチングを行う際、第6アーム17を、X軸と平行な先端第2軸β回り、すなわち、W方向と、Y軸と平行な先端第3軸γ回り、すなわち、V方向とに回動させる操作を行う操作部である。第2操作部32は、第6アーム17をW方向正側に回動させる、すなわち、正転させるW方向正転操作部321と、第6アーム17をW方向負側に回動させる、すなわち、反転させるW方向反転操作部322と、第6アーム17をV方向正側に回動させる、すなわち、正転させるV方向正転操作部323と、第6アーム17をV方向負側に回動させる、すなわち、反転させるV方向反転操作部324と、を有している。例えば、W方向正転操作部321を押圧操作すると、その押圧操作した回数に、第2表示部292に表示されている値を乗じた分だけ、第6アーム17をW方向正側に回動させることができる。これは、W方向反転操作部322、V方向正転操作部323およびV方向反転操作部324についても同様である。
【0046】
第3操作部33は、図5に示す第1モードと、図6に示す第2モードとを切り替える操作を行う操作部である。第1制御モードは、第1操作部31による操作と第2操作部32による操作とを有効にするモードである。第2制御モードは、第1操作部31による操作を有効にし、第2操作部32による操作を無効にするモードである。各モードの作用、効果については後述する。
【0047】
第4操作部34は、ティーチングを行う際、第6アーム17を作業開始可能状態に操作する操作部である。第4操作部34の操作を行った後に、第3操作部33を操作するのが好ましい。
【0048】
例えば、予め、作業面400の座標系を記憶している(当該座標系のX軸とY軸は作業面400と平行、Z軸は作業面400と直交)。第4操作部34を操作することで、予め記憶された作業面400の座標系のZ軸と、第6アーム17の回動軸(先端第1軸α)を平行化させる。これにより、第6アーム17は作業開始可能状態となる。
【0049】
第5操作部35は、ティーチングを行う際、第6アーム17を、X軸と平行な先端第2軸β方向と、Y軸と平行な先端第3軸γ方向とに移動させる操作を行う操作部である。第5操作部35は、第6アーム17をX軸方向正側に移動させる、すなわち、前進させるX軸方向前進操作部351と、第6アーム17をX軸方向負側に移動させる、すなわち、後退させるX軸方向後退操作部352と、第6アーム17をY軸方向正側に回動させる、すなわち、前進させるY軸方向前進操作部353と、第6アーム17をY軸方向負側に回動させる、すなわち、後退させるY軸方向後退操作部354と、を有している。例えば、X軸方向前進操作部351を押圧操作すると、その押圧操作した回数に、第1表示部291に表示されている値を乗じた分だけ、第6アーム17をX軸方向正側に移動させることができる。これは、X軸方向後退操作部352、Y軸方向前進操作部353およびY軸方向後退操作部354についても同様である。
【0050】
第6操作部36は、ティーチングを行う際、第6アーム17を、Z軸と平行な先端第1軸α方向に移動させる操作を行う操作部である。第6操作部36は、第6アーム17をZ軸方向正側に移動させる、すなわち、前進させるZ軸方向前進操作部361と、第6アーム17をZ軸方向負側に移動させる、すなわち、後退させるZ軸方向後退操作部362と、を有している。例えば、Z軸方向前進操作部361を押圧操作すると、その押圧操作した回数に、第1表示部291に表示されている値を乗じた分だけ、第6アーム17をZ軸方向正側に移動させることができる。これは、Z軸方向後退操作部362についても同様である。
【0051】
ロボットシステム100では、第4操作部34を操作することの他に、第1操作部31、第2操作部32、第5操作部35、第6操作部36を適宜操作することによっても、ロボット1を作業開始可能状態とすることができる。
【0052】
前述したように、操作画面(画面)2は、ロボット制御部202により作業面400に対して先端第1軸αが垂直となる姿勢、すなわち、作業開始可能状態に、前述したロボット先端部である第6アーム17を移動する(操作する)ための第4操作部34を含んでいる。これにより、第1操作部31、第2操作部32、第5操作部35、第6操作部36を適宜組み合わせて操作する場合に比べて、第6アーム17を作業開始可能状態に容易に操作することができる。
【0053】
また、例えば第4操作部34が省略されている場合、第3操作部33が操作された場合、ロボット制御部202により作業面400に対して先端第1軸αが垂直となる姿勢に、前述したロボット先端部である第6アーム17を移動する(操作する)機能を有していてもよい。これにより、モード切替操作と、作業開始可能状態とする操作とを一括して行うことができ、よって、操作効率が向上する。
【0054】
そして、作業開始可能状態とした後に第2操作部32を誤って操作した場合、前述したように、第6アーム17が、先端第2軸β回りに矢印M2方向に回動することがある。
【0055】
前述したように、操作画面2上では、第3操作部33を操作することにより、図5に示す第1制御モードと、図6に示す第2制御モードとを切り替え可能となっている。
【0056】
ロボットシステム100では、ロボット1の制御を教示する際、まず、第1制御モードとする。第1制御モードでは、第1操作部31による操作と第2操作部32による操作とを有効にすることができる。これにより、ロボット1が作業面400に対して先端第1軸αが垂直となる姿勢、すなわち、作業開始可能状態に第6アーム17を制御することができる。
【0057】
その後、第3操作部33を操作することにより、第2制御モードに切り替えられる。第2制御モードでは、第1操作部31による操作を有効にし、第2操作部32による操作を無効にすることができる。これにより、作業開始可能状態とした後に第2操作部32を誤って操作するのを防止することができ、よって、ロボット1は、先端第1軸αが作業面400に垂直となる姿勢を維持したまま作業を円滑に行うことができる。
【0058】
なお、第2制御モードでは、第2操作部32の表示態様を、第1制御モードにおける第2操作部32の表示態様と異ならせることにより、第2操作部32による操作を無効とする。表示態様と異ならせる方法としては、特に限定されず、例えば、色を変更する等のようなグレーアウト(gray out)による方法、大きさを小さくする方法、形状を変更する方法、マークをさらに追加する方法等が挙げられるが、図6に示すように、グレーアウトによる方法が好ましい。グレーアウトによる方法を用いることにより、オペレーターは、第2操作部32が操作の対象から外れている状態となっているのを視認することができ、よって、第2操作部32を誤って操作するのをより確実に防止することができる。
【0059】
また、操作画面(画面)2は、第1モードと第2モードとを切り替える第3操作部33を含んでいる。これにより、ロボットシステム100を操作するオペレーターは、任意のタイミングで第1モードと第2モードとを切り替えることができる。
【0060】
なお、操作画面2は、本実施形態では第3操作部33を含む構成となっているが、これに限定されず、第3操作部33が省略された構成となっていてもよい。第3操作部33が省略された場合、例えば、第1モードでの操作が終了した後、一定時間経過したら、自動的に第2モードに切り替えられてもよい。
【0061】
以上のように、制御装置200は、先端第1軸α回りに回動し、先端第1軸αと交差する先端第2軸β回りに回動するロボット先端部である第6アーム17を有するロボット1を制御するロボット制御部202と、ロボット制御部202により第6アーム17を先端第1軸α回りに回動させる第1操作部31と、ロボット制御部202により第6アーム17を先端第2軸β回りに回動させる第2操作部32と、を含む操作画面(画面)2を表示部301に表示する表示制御部201と、を備えている。
【0062】
操作画面2では、第1操作部31による操作と第2操作部32による操作とを有効にする第1制御モードと、第1操作部31による操作を有効にし、第2操作部32による操作を無効にする第2制御モードとを切り替え可能である。そして、ロボット1の制御を教示する際、ロボット1が作業を行う作業面400に対して、第1制御モードで先端第1軸αが垂直となる姿勢に第6アーム17を制御した後、第2制御モードに切り替え可能である。
【0063】
このような発明よれば、前述したように、第1操作部31や第2操作部32を操作した後に、第2操作部32を操作するのを防止することができる。これにより、作業開始可能状態とした後に、ロボット1は、第6アーム17が先端第2軸β回りに矢印M2方向に回動して、先端第1軸αが作業面400に対して傾くのを防止することができ、よって、先端第1軸αが作業面400に垂直となる姿勢を維持して作業を円滑に行うことができる。
【0064】
また、ロボットシステム100は、制御装置200と、ロボット1と、を備えている。
これにより、前述した制御装置200の利点を持つロボットシステム100が得られる。
【0065】
<第2実施形態>
以下、図7を参照して本発明の制御装置およびロボットシステムの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0066】
本実施形態は、第2制御モードの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0067】
図7に示すように、本実施形態では、第2制御モードは、図6に示す第2制御モードと比較すると、第2操作部32が非表示となっていることが分かる。このように、第2制御モードでは、第2操作部32を非表示とすることにより、第2操作部32を押圧操作することができず、その結果、第2操作部32による操作を無効とする。これにより、オペレーターは、第2操作部32を誤って操作するのをより確実に防止することができる。
【0068】
<第3実施形態>
以下、図8を参照して本発明の制御装置およびロボットシステムの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0069】
本実施形態は、第2制御モードの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0070】
図8に示すように、本実施形態では、第2制御モードは、見かけ上、第2操作部32がそのまま残った状態となっているが、オペレーターが第2操作部32を押圧操作しても、その押圧時に生じる信号がロボット1に伝達されないよう構成されている。これにより、オペレーターは、第2操作部32を誤って操作するのをより確実に防止することができる。
【0071】
図9は、第1実施形態~第3実施形態のロボットシステムについてハードウェアを中心として説明するためのブロック図である。
【0072】
図9には、ロボット1とコントローラー61とコンピューター62が接続されたロボットシステム100Aの全体構成が示されている。ロボット1の制御は、コントローラー61にあるプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出して実行されてもよいし、コンピューター62に存在するプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出してコントローラー61を介して実行されてもよい。
【0073】
従って、コントローラー61とコンピューター62とのいずれか一方または両方を「制御装置200」として捉えることができる。
【0074】
<変形例1>
図10は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例1を示すブロック図である。
【0075】
図10には、ロボット1に直接コンピューター63が接続されたロボットシステム100Bの全体構成が示されている。ロボット1の制御は、コンピューター63に存在するプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出して直接実行される。
従って、コンピューター63を「制御装置200」として捉えることができる。
【0076】
<変形例2>
図11は、ロボットシステムのハードウェアを中心とした変形例2を示すブロック図である。
【0077】
図11には、コントローラー61が内蔵されたロボット1とコンピューター66が接続され、コンピューター66がLAN等のネットワーク65を介してクラウド64に接続されているロボットシステム100Cの全体構成が示されている。ロボット1の制御は、コンピューター66に存在するプロセッサーによりメモリーにある指令を読み出して実行されてもよいし、クラウド64上に存在するプロセッサーによりコンピューター66を介してメモリーにある指令を読み出して実行されてもよい。
【0078】
従って、コントローラー61とコンピューター66とクラウド64とのいずれか1つ、または、いずれか2つ、または、3つを「制御装置200」として捉えることができる。
【0079】
以上、本発明の制御装置およびロボットシステムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ロボットおよびロボットシステムを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0080】
また、本発明の制御装置およびロボットシステムは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成や特徴を組み合わせたものであってもよい。
【0081】
また、ロボットが備えるアームの本数は、1本であったが、これに限定されず、2本以上であってもよい。
【0082】
また、表示部は、ノート型やタブレット型のPCに内蔵されたものに限定されず、例えば、デスクトップ型のPCに内蔵されたもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…垂直多関節ロボット(ロボット)、2…操作画面、21…モーター切替部、211…スイッチ、212…スイッチ、22…ロボット動作モード切替部、23…座標系切替部、24…エンドエフェクター切替部、25…動作スピード切替部、26…動作対象切替部、261…スイッチ、262…スイッチ、27…位置角度表示部、271…第1表示部、272…第2表示部、273…第3表示部、274…第4表示部、275…第5表示部、276…第6表示部、28…動作状態切替部、281…スイッチ、282…スイッチ、29…距離角度表示部、291…第1表示部、292…第2表示部、31…第1操作部、311…U方向正転操作部、312…U方向反転操作部、32…第2操作部、321…W方向正転操作部、322…W方向反転操作部、323…V方向正転操作部、324…V方向反転操作部、33…第3操作部、34…第4操作部、35…第5操作部、351…X軸方向前進操作部、352…X軸方向後退操作部、353…Y軸方向前進操作部、354…Y軸方向後退操作部、36…第6操作部、361…Z軸方向前進操作部、362…Z軸方向後退操作部、61…コントローラー、62…コンピューター、63…コンピューター、64…クラウド、65…ネットワーク、66…コンピューター、10…可動部、101…アーム、11…基台、12…第1アーム、13…第2アーム、14…第3アーム、15…第4アーム、16…第5アーム、17…第6アーム、171…関節、172…関節、173…関節、174…関節、175…関節、176…関節、18…ケーブル、19…力検出部、20…エンドエフェクター、100…ロボットシステム、100A…ロボットシステム、100B…ロボットシステム、100C…ロボットシステム、200…制御装置、201…表示制御部、202…ロボット制御部、300…パーソナルコンピューター(PC)、301…表示部、400…作業面、A10…駆動範囲、M1…矢印、M2…矢印、α…先端第1軸、β…先端第2軸、γ…先端第3軸
図1
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図7
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図10
図11