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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】クレーン装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/11 20060101AFI20221206BHJP
   B66D 1/54 20060101ALI20221206BHJP
   B66C 13/16 20060101ALI20221206BHJP
   G01N 29/48 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01N29/11
B66D1/54 C
B66C13/16 Z
G01N29/48
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018221354
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020085683
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光井 啓
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-505022(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0053852(US,A1)
【文献】特表2018-532898(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/183188(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01B 17/00 - G01B 17/08
B66C 13/00 - B66C 15/06
B66D 1/00 - B66D 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維ロープの損傷の程度を検査するロープ検査装置と、
ロープが巻き掛けられるウインチと、
前記ウインチから繰り出された前記ロープを先端部から垂下するブームと、
を備え、
前記ロープ検査装置は、
前記ロープに向けて超音波を発信する超音波発信部と、
前記超音波発信部から発信されて前記ロープを通過した超音波を受信する超音波受信部と、
少なくとも前記超音波受信部において受信した超音波に基づいて前記ロープの損傷の程度を判定するロープ損傷判定部と、を有し、
前記超音波発信部及び前記超音波受信部は、前記ブームの先端部に設けられ、
前記ロープ検査装置は、前記ウインチから繰り出される前記ロープの損傷の程度を判定する
クレーン装置
【請求項2】
所定方向に送られる前記ロープにおいて、前記超音波発信部から発信された超音波が到達する部分または超音波が到達する部分に隣接する部分を保持するロープ保持機構を備えた
請求項1に記載のクレーン装置
【請求項3】
前記ロープ保持機構は、前記超音波発信部及び前記超音波受信部を有し、前記超音波発信部及び前記超音波受信部によって前記ロープを当該ロープの径方向外側から挟持することで前記ロープを保持する
請求項2に記載のクレーン装置
【請求項4】
前記超音波発信部及び前記超音波受信部は、それぞれ、断面円形状に形成され、所定方向に送られる前記ロープが前記超音波発信部及び前記超音波受信部のそれぞれの外周部に当接することによって回転自在に支持されている
請求項3に記載のクレーン装置
【請求項5】
前記ロープ損傷判定部は、判定した前記ロープの損傷の程度に基づいて、前記ロープを廃棄する時期を予測する
請求項1乃至4のいずれかに記載のクレーン装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維ロープの損傷の程度を検査するためのロープ検査装置およびクレーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維ロープの検査は、廃棄基準となる繊維ロープの外観の写真と、実際の繊維ロープの外観と、を目視で比較することによって行われている。
【0003】
従来の繊維ロープの検査は、繊維ロープの外観を目視によって検査しているため、繊維ロープの内部の損傷を発見できず、損傷部位を見落とす可能性がある。
【0004】
繊維ロープ内部の損傷を発見可能なロープ検査装置としては、例えば特許文献1に開示されているように、金属製のインジケータ部を繊維ロープの内部に全長に渡って設け、磁気式の検出手段によってインジケータ部の変化を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5932840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているロープ検査装置は、インジケータ部を繊維ロープの内部に全長に渡って設ける必要があるため、繊維ロープの製造コストが増大する。
【0007】
本発明の目的は、上記問題を解消し、繊維ロープの製造コストを低減しつつ、確実に繊維ロープの損傷の程度を検査可能にするロープ検査装置およびクレーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のロープ検査装置は、繊維ロープの損傷の程度を検査するロープ検査装置であって、ロープに向けて超音波を発信する超音波発信部と、前記超音波発信部から発信されて前記ロープを通過した超音波を受信する超音波受信部と、少なくとも前記超音波受信部において受信した超音波に基づいて前記ロープの損傷の程度を判定するロープ損傷判定部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、繊維ロープの製造コストを低減しつつ、確実に繊維ロープの損傷の程度が検査可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係るロープ検査装置を備えた移動式クレーンの側面図である。
図2】本発明の実施形態1に係るロープ検査装置の概略構成図である。
図3】本発明の実施形態1に係るロープ検査装置の動作処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態2に係るロープ検査装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係るロープ検査装置について、図1図3を参照しながら説明する。ただし、以下に説明される実施形態は、本発明のいくつかの例を示すものであって、本発明の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本発明の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0012】
[移動式クレーンの概略構成]
本発明の実施形態1に係るロープ検査装置を備えた移動式クレーンの概略構成について図1図3を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、移動式クレーン1は、道路及び作業エリア内を走行するための車体10と、クレーン作業を行うためのクレーン装置20と、車体10による走行及びクレーン装置20によるクレーン作業の各種操作を乗員が行うためのキャブ30と、を備えている。クレーン装置20及びキャブ30は、車体10に対して水平方向に旋回可能な旋回台40に支持されており、旋回台40の幅方向一方にクレーン装置20が配置され、幅方向他方にキャブ30が配置されている。旋回台40は、図示しない油圧式の旋回モータによって旋回動作を行う。
【0014】
車体10は、前側及び後側の幅方向の両側に設置された車輪11と、前側の車輪11の前方及び後側の車輪11の後方に設置されたアウトリガ12と、を備えている。車体10は、不図示のエンジンの駆動力によって車輪11を回転させることによって走行する。また、車体10は、各アウトリガ12を幅方向に張り出して下端を接地させることによって、クレーン装置20によるクレーン作業を行う際に安定して支持される。
【0015】
クレーン装置20は、車体10に対して伸縮自在かつ起伏自在に構成されるブーム21と、ブーム21の先端部から垂下されるロープ22と、ロープ22の繰り出し又は巻き込みを行うためのウインチ23と、を備えている。
【0016】
ブーム21は、それぞれ筒状に形成された複数のブーム部材21aによって構成されたテレスコピック機構によって伸縮自在となっており、ブーム21内に設けられている不図示の油圧式のブーム伸縮シリンダによって伸縮動作を行う。また、最基端側のブーム部材21aは、基端部が旋回台40に上下方向に揺動自在に連結されている。最基端側のブーム部材21aの伸長方向の略中央部と旋回台40との間には、油圧式のブーム起伏シリンダ21bの伸縮動作によってブーム21が起伏動作を行う。
【0017】
ロープ22は、アラミド繊維等の合成繊維からなる繊維ロープである。ロープ22は、繊維を束ねた内芯と、内芯を外側から覆う外皮と、を有するカーンマントル構造のロープである。なお、本実施形態1におけるロープ22は、カーンマントル構造のロープであるものの、カーンマントル構造のロープ以外の繊維ロープであっても良い。例えば、編み込んだタイプの繊維ロープであっても良い。
【0018】
また、ロープ22の先端側には、吊荷を係止可能なフックブロック22aが設けられ、フックブロック22aがブーム21の先端部から吊り下げられている。
【0019】
ウインチ23は、ロープ22が巻き掛けられる不図示のウインチドラムと、ウインチドラムを正回転方向及び逆回転方向に駆動させるための不図示の油圧式のウインチモータと、を有している。
【0020】
[ロープ検査装置の構成]
次に、本発明の実施形態1に係るロープ検査装置100の構成について図2に基づいて説明する。尚、以下の説明においては、適宜図1を参酌する。
【0021】
ロープ検査装置100は、図2に示すように、ロープ22に向けて超音波を発信する超音波発信部110と、ロープ22を通過した超音波を受信する超音波受信部120と、ロープ22を保持するロープ保持機構130と、ロープ検査装置100の動作全体を制御するためのコントローラ140と、コントローラ140によって判定されたロープ22の損傷の程度の結果を表示する表示部150と、を備えている。
【0022】
超音波発信部110及び超音波受信部120は、図1に示す通り、ブーム21の先端部に設けられている。また、超音波発信部110及び超音波受信部120は、超音波センサであり、内部に振動子として圧電素子を有している。超音波センサは、圧電素子の圧電効果に基づいて超音波の発信及び受信が可能に構成されている。また、超音波発信部110及び超音波受信部120は、コントローラ140に接続されている。
【0023】
超音波発信部110は、逆圧電効果に基づいて、コントローラ140から受信した駆動信号を振動子の振動に変換することによって、超音波を発信する。
【0024】
超音波受信部120は、超音波発信部110から発信された超音波を受信し、正圧電効果に基づいて、受信した超音波を電圧に変換することによって、受信信号を生成する。
【0025】
ロープ保持機構130は、超音波発信部110の基底部111と、超音波受信部120の基底部121と、をバネ部材131で互いに連結することによって、超音波発信部110と超音波受信部120とによってロープ22を径方向外側から挟持した状態を保持する。
【0026】
コントローラ140は、不図示のプロセッサ、メモリ及びストレージ等から構成されており、ロープ検査装置100に含まれる各種構成要素を統括的に制御し、ロープ検査装置100の各種機能を実現するための制御処理を実行する。プロセッサは、本実施形態1におけるプログラムをストレージから呼び出してメモリに展開し、これらを所定順序で実行することにより、ロープ22の損傷の程度の判定に関する処理(ロープ検査処理)を実行する。
【0027】
表示部150は、タッチ操作が可能なGUI(Graphical User Interface)であって、タッチ操作が可能なタッチパネル(タッチスクリーン)によって構成可能である。
【0028】
[ロープ検査装置の動作]
次に、本実施形態1に係るロープ検査装置の動作(ロープ検査処理)について図3を用いて説明する。尚、以下の説明においては、適宜図1及び図2を参酌する。
【0029】
最初に、コントローラ140は、超音波発信部110を介して、ロープ22に向けて超音波を発信する(ステップS301)。具体的には、コントローラ140は、超音波発信部110に駆動信号を送信する。そして、超音波発信部110は、コントローラ140から受信した駆動信号に基づいて、超音波発信部110と超音波受信部120との間を移動するロープ22に向けて超音波を発信する。
【0030】
次に、コントローラ140は、超音波受信部120を介して、超音波発信部110から発信されて、ロープ22を通過した後の超音波を受信する(ステップS302)。具体的には、超音波受信部120は、ロープ22を通過した超音波を受信し、受信した超音波の強度に基づいて、コントローラ140に受信信号を送信する。そして、コントローラ140は、超音波受信部120から送信された受信信号を受信する。コントローラ140が受信する受信信号の電圧の大きさは、超音波受信部120において受信した超音波の強度に基づいている。
【0031】
超音波受信部120によって受信される超音波の強度は、ロープ22の損傷の程度によって変化する。超音波受信部120によって受信される超音波の持つエネルギーEは、例えば下記の式(数1)で表される。
【0032】
【数1】
【0033】
なお、Pは超音波の音圧、ρは超音波が通過するロープ22の密度、cは超音波のロープ22内における音速、αはロープ22内の超音波のエネルギーの減衰係数、xはロープ22の外径(超音波発信部110と超音波受信部120との間の距離)である。
【0034】
ロープ22は、損傷の程度が大きくなると、ロープ22を構成する素線の断線又は摩耗によって密度ρが減少したり、外径xが減少したりする。
【0035】
従って、ロープ22の損傷の程度が小さい場合には、密度ρ及び外径xが損傷していない場合のロープ22の密度及び外径に近似するため、超音波受信部120によって受信される超音波の持つエネルギーEは、超音波発信部110から発信された超音波の持つエネルギーよりも小さくなる。
【0036】
一方、ロープ22の損傷の程度が大きい場合には、密度ρ又は外径xが小さくなるため、超音波受信部120によって受信される超音波の持つエネルギーEは、ロープ22の損傷の程度が小さい場合に受信される超音波の持つエネルギーEよりも大きくなる。
【0037】
次に、コントローラ140は、ステップS302で受信した超音波の強度に基づいてロープ22の損傷の程度を判定する(ステップS303)。具体的には、コントローラ140は、ロープ22の損傷の程度と、ロープ22の損傷の程度に応じて超音波受信部120が生成する受信信号の電圧の大きさと、の関係を表すロープ損傷管理テーブルを備えている。そして、コントローラ140は、ロープ損傷判定部として、超音波受信部120から受信信号を受信すると、ロープ損傷管理テーブルを参照し、受信した受信信号の電圧の大きさに基づいてロープ22の損傷の程度を判定する。
【0038】
次に、コントローラ140は、表示部150を介してステップS303で判定したロープ22の損傷の程度の判定の結果を表示する(ステップS304)。
【0039】
[実施形態1による効果]
以上のように、本実施形態1では、コントローラ140が、超音波発信部110を介してロープ22に向けて超音波を発信し、超音波受信部120を介してロープ22を通過した超音波を受信する。そして、本実施形態1では、コントローラ140が、ロープ損傷判定部として、受信した超音波に基づいて、ロープ22の損傷の程度を判定する。
【0040】
このため、本実施形態1では、ロープ22の製造コストを低減しつつ、確実にロープ22の損傷の程度が検査可能となる。
【0041】
また、本実施形態1では、ロープ保持機構130が、所定方向に送り出されるロープ22において、超音波発信部110から発信された超音波が到達する部分を保持している。
【0042】
このため、本実施形態1では、ロープ22の状態を安定させて検査を実施することができる。
【0043】
また、本実施形態1では、ロープ保持機構130が、超音波発信部110と超音波受信部120とを有し、超音波発信部110と超音波受信部120とによってロープ22を径方向外側から挟持した状態を保持する。
【0044】
このため、本実施形態1では、超音波発信部110と超音波受信部120とによってロープ22を保持できるため、ロープ22を保持するための専用の部材を必要としないので、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態1では、ロープ検査装置100が、ウインチ23から繰り出されるロープ22の損傷の程度を判定する。
【0046】
このため、本実施形態1では、クレーン装置20によるクレーン作業時に、ウインチ23から繰り出され、又は、ウインチ23に巻き込まれるロープ22の損傷の程度の検査を行うことができるので、ロープ22の検査の負担が軽減される。
【0047】
また、本実施形態1では、超音波発信部110及び超音波受信部120がクレーン装置20のブーム21の先端部に設けられている。
【0048】
このため、本実施形態1では、損傷し易いロープ22の先端側を主に検査することができるため、クレーン作業の安全性を向上させることができる。
【0049】
(実施形態2)
続いて、本発明の実施形態2に係るロープ検査装置を備えたクレーン装置について、図4を用いて説明する。
【0050】
図4に示すように、本実施形態2におけるロープ検査装置200は、図1図3に示した実施形態1におけるロープ検査装置100と同様に、クレーン装置20のブーム21の先端部に設けられている。また、ロープ検査装置200は、実施形態1におけるロープ検査装置100と同様に、ロープ保持機構130を備えている。ロープ検査装置200は、図4に示すように、実施形態1における超音波発信部110及び超音波受信部120とは異なる超音波発信部210及び超音波受信部220を備えている。以下、相違点を中心に説明する。
【0051】
図4に示すように、本実施形態2における超音波発信部210及び超音波受信部220は、断面円形状に形成され、基底部211、221に対して、回転自在に支持されている。超音波発信部210及び超音波受信部220は、それぞれ、断面円形状の外周部がロープ22の外周部の一方と他方とに接するように設置されている。
【0052】
また、ロープ保持機構130は、超音波発信部210の基底部211と、超音波受信部220の基底部221と、を互いにバネ部材131で連結することによって、超音波発信部210及び超音波受信部220によってロープ22を径方向外側から挟持した状態を保持する。ロープ22の外周部に当接している超音波発信部210及び超音波受信部220は、ロープ22がウインチ23によって所定方向に送られることによって、それぞれ回転する。
[実施形態2による効果]
【0053】
本実施形態2によれば、超音波発信部210及び超音波受信部220それぞれが所定方向に送られるロープ22に当接することによって回転自在に支持されているため、ウインチ23によってロープ22を送り出す際、超音波発信部210及び超音波受信部220とロープ22との間の摩擦を抑制することができ、ロープ22の劣化を抑制することができる。また、本実施形態2によれば、超音波発信部210及び超音波受信部220とロープ22との間の摩擦を抑制することができるため、ウインチ23を駆動させるウインチモータに作用する負荷を低減することができる。
【0054】
[その他]
上述の実施形態1及び2において、ロープ検査装置は、移動式クレーン1に備えられているが、これに限られないものとする。ロープ検査装置は、タワークレーン等の伸縮しないブームを備えたクレーン装置、又は、橋形クレーン等のブームを備えていないクレーン装置に備えられていても良いものとする。
【0055】
また、上述の実施形態1及び2において、超音波発信部、超音波受信部、及びロープ保持機構130は、クレーン装置20のブーム21の先端部に設けられているが、これに限られないものとする。超音波発信部、超音波受信部、及びロープ保持機構130は、ブーム21の先端部に設けられていなくても良く、ウインチ23のロープ22の繰り出し及び巻き込み部分に設けられていても良いものとする。
【0056】
また、上述の実施形態1及び2において、ロープ検査装置は、クレーン装置20に備えられているが、これに限られないものとする。ロープ検査装置は、クレーン装置20等の他の装置と独立した、ロープ22の損傷の程度を検査する専用の装置として構成しても良いものとする。
【0057】
また、上述の実施形態1及び2において、ロープ保持機構130は、超音波発信部と超音波受信部とをバネ部材131で連結させることによってロープ22を挟持しているがこれに限られないものとする。ロープ保持機構として互いにバネ部材で連結された超音波発信部と超音波受信部とは、別部材からなる専用の保持部材によって、ロープ22を挟持しても良いものとする。この場合、保持部材それぞれは、ロープ22において、超音波発信部から発信された超音波の到達する部分に隣接する部分を挟持するものとする。
【0058】
また、上述の実施形態1及び2において、コントローラ140は、ロープ損傷判定部として、超音波受信部を介して受信した超音波の強度と、ロープ損傷管理テーブルに基づいて、ロープ22の損傷の程度を判定しているが、これに限られないものとする。コントローラ140は、超音波発信部を介して発信した超音波の強度と、超音波受信部を介して受信した超音波の強度と、の差異を算出し、算出した差異に基づいてロープ22の損傷の程度を判定しても良いものとする。
【0059】
また、上述の実施形態1及び2において、コントローラ140は、ロープ損傷判定部として、ロープ22の損傷の程度を判定しているが、これに限られないものとする。コントローラ140は、判定したロープ22の損傷の程度に基づいて、ロープ22を廃棄する時期を予測しても良いものとする。この場合には、コントローラ140は、ロープ22の損傷の程度と、ロープ22の損傷の程度に応じてロープ22を廃棄する時期と、の関係も記録したロープ損傷管理テーブルを備えている。そして、コントローラ140は、受信した超音波受信部を介して超音波を受信すると、受信した超音波とロープ損傷管理テーブルとを比較して、ロープ22を廃棄する時期を予測できるものとする。また、表示部150は、コントローラ140によって予測されたロープ22を廃棄する時期を表示する。尚、コントローラ140は、予測した結果、ロープ22を直ちに廃棄しなければいけないと判定した場合、クレーン装置20のクレーン作業を停止させ、表示部150にロープ22を直ちに交換して下さい等のメッセージを表示することができる。
【0060】
これによって、ロープ22を廃棄する時期が予測されるため、ロープ22の検査の負担が軽減される。
【符号の説明】
【0061】
1 移動式クレーン
10 車体
11 車輪
12 アウトリガ
20 クレーン装置
21 ブーム
21a ブーム部材
21b ブーム起伏シリンダ
22 ロープ
22a フックブロック
23 ウインチ
30 キャブ
40 旋回台
100 ロープ検査装置
110 超音波発信部
111 基底部
120 超音波受信部
121 基底部
130 ロープ保持機構
131 バネ部材
140 コントローラ
150 表示部
200 ロープ検査装置
210 超音波発信部
211 基底部
220 超音波受信部
221 基底部
図1
図2
図3
図4