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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 13/02 20060101AFI20221206BHJP
   G01D 13/04 20060101ALI20221206BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221206BHJP
   G09F 13/12 20060101ALI20221206BHJP
   G09F 13/08 20060101ALI20221206BHJP
   G01D 11/28 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
G01D13/02 101Z
G01D13/04 Z
B60K35/00 Z
G09F13/12
G09F13/08
G01D11/28 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018229126
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020091223
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰史
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-83275(JP,A)
【文献】特開平9-222866(JP,A)
【文献】特開平7-218296(JP,A)
【文献】特開2018-179741(JP,A)
【文献】特開2016-128777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00 - 13/28
B60K 35/00 - 37/06
G09F 13/00 - 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の板部材の外周部に遮光性の遮光層が形成された遮光領域と、前記遮光領域の内側に前記板部材の前記透光性が保持された透光領域と、が設けられた表示パネルと、
前記表示パネルの面の一方側で、前記透光領域に対応するように配置された情報を表示する表示器と、
前記表示パネルの面の前記一方側で、前記表示器を取り囲むように配置され、前記外周部と対向する対向部を有するケース部材と、を備え、
前記遮光領域は、前記対向部と対向する位置に前記遮光層が形成されない溶着意匠部を有し、
前記表示パネルと前記ケース部材とは、前記対向部において前記溶着意匠部を透過したレーザー光により溶着で接合されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記溶着意匠部は、点の集まりで形成される網点領域を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記溶着意匠部は、半透過性のインキあるいは塗料による半透過層を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記遮光領域は、前記透光領域と前記溶着意匠部との間に前記遮光層が形成されない意匠部を有し、
前記意匠部は、前記半透過層を有することを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ケース部材は、金属で形成され、
前記表示パネルと前記対向部との間の樹脂の接合部材により前記溶着意匠部を透過したレーザー光により溶着で接合されることを特徴とする請求項1乃至4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ケース部材に備えられた、前記表示パネルと当接する対向部の前記溶着意匠部に対向する位置に、リブ部を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関し、例えば、車両に関連する情報を出力する計器装置として好適である。
【背景技術】
【0002】
従来から、計器装置の透光性基板と加飾ケースを固定するために、外周を両面テープ又は接着剤で接着するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-040747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、より強い接合強度が望まれており、例えば、レーザー溶着といった接合方法があるが、透光性基板には遮光層が形成されている場合が多く、遮光層によりレーザー光が透過し難いため、レーザー溶着できないといった問題点があった。
【0005】
そこで、本発明はこの様な点に鑑みなされたもので、遮光層の形成された透光性基板と加飾ケースとをレーザー溶着で固定することが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の表示装置100は、透光性の板部材11の外周部に遮光性の遮光層12が形成された遮光領域1aと、前記遮光領域1a内側に前記板部材11の前記透光性が保持された透光領域1bと、が設けられた表示パネル1と、前記表示パネル1の面の一方側で、前記透光領域1bに対応するように配置された情報を表示する表示器2と、前記表示パネル1の面の前記一方側で、前記表示器2を取り囲むように配置され、前記外周部と対向する対向部62aを有するケース部材6と、を備え、前記遮光領域1aは、前記対向部62aと対向する位置に前記遮光層12が形成されない溶着意匠部1cを有し、前記表示パネル1と前記ケース部材6とは、前記対向部62aにおいて前記溶着意匠部1cを透過したレーザー光により溶着で接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、遮光層の形成された透光性基板と加飾ケースとをレーザー溶着で固定することが可能な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1の実施形態に係る表示装置の正面図。
図2図1のA-A線の沿った断面図。
図3】本開示の第2の実施形態に係る断面図。
図4】本開示の第2の実施形態に係る表示装置の変形例を示す正面部分図。
図5】本開示の第1の実施形態に係る表示装置の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態について図1乃至4を参照して説明するが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本開示を逸脱することなく種々の変更が可能である。
【0010】
(第1の実施形態)
本開示の第1の実施形態に係る表示装置100を、図1乃至2を参照して説明する。表示装置100は、車両(例えば、自動車)に搭載され、所定の計測量(車両速度など)を表示する計器装置として構成される。
【0011】
尚、以下では、表示装置100の構成の理解を容易にするために、各部材に対して、表示装置100から車両運転席に着座したユーザーを見る方向を「前(正面)」、その反対側を「後(背面)」とする。
【0012】
表示装置100は、表示パネル1と、表示パネル1の背面側に配置される表示器2と、表示パネル1の背面側に配置される照明室部材3と、表示パネル1を背後から照明する光源4と、光源4が実装され表示パネル1を支持する回路基板5と、表示パネル1の背面側で表示器2を取り囲むように配置され、表示器2,照明室部材3,回路基板5を収容するケース部材6と、を少なくとも備える。
【0013】
表示パネル1は、例えば透明又は半透明の透光性のアクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂等からなる薄板状の板部材11を母材とする。表示パネル1は、遮光領域1aと、透光領域1bと、溶着意匠部1cと、インジケータ意匠部1dと、を有する。
【0014】
遮光領域1aは、遮光性の黒色のインキが印刷形成された遮光層12からなり、表示パネル1の背面側の外周部に形成される。
【0015】
透光領域1bは、遮光領域1aの内側に矩形に形成され、遮光層12が形成されず、板部材11の透光性が保持される領域である。
【0016】
溶着意匠部1cは、図1のハッチングで示すように、ケース部材6の後述する対向部62aと対向するように遮光領域1aの外周部に形成され、遮光層12が形成されず、板部材11の透光性が保持される領域である。溶着意匠部1cは、対向部62aより幅狭の線状の意匠で形成される。溶着意匠部1cの背後側に、半透過性のスモーク色のインキが印刷形成された半透過層13が形成される。
【0017】
半透過層13は、遮光層12と同系色の黒色のスモークインキにより形成される。尚、スモークインキがカーボンブラックを含有すると、カーボンブラックが後述するレーザー光を吸収するので、半透過層13は、カーボンブラックを含有しない染料型のインキが好適である。また、吸収性部品(ここではケース部材6)は、レーザーエネルギーの約30%を吸収できれば発熱可能なので、半透過層13は、レーザー光を透過可能なもので有る必要があり、特に、光の透過率が30%以上に形成されるものが好適である。
【0018】
インジケータ意匠部1dは、遮光領域1aの透光領域1bと溶着意匠部1cとの間に形成され、遮光層12が形成されず、板部材11の透光性が保持される領域である。インジケータ意匠部1dは、運転者のウインカー操作に伴って左右する方向のターンインジケータの形等、様々な車両用の作動灯や警告灯の形に形成される。インジケータ意匠部1dの背後側に、溶着意匠部1cと半透過層13が形成される。
【0019】
表示器2は、デジタル画像によって各種車両情報の画像を表示するフラットパネル式のディスプレイである。表示器2の表示状態(表示内容)は、図示しない制御部によって制御される。尚、表示器2が表示する各種車両情報は、例えば、車速、エンジン回転数、積算走行距離、航続可能距離、平均燃費、周囲の他車両の状況等である。
【0020】
表示器2は、運転者(前面)から見た外形形状が透光領域1bと同等の大きさの横長四角形を成し、表示パネル1の背面側(一方側)で、透光領域1bと対向するように配置される。表示器2は、表示パネル1の透光領域1bから表示面が視認される。
【0021】
表示器2には、表示パネル1の背面側から透過照明する図示しないバックライトが設けられる。バックライトは、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光体と、拡散板やプリズムシート等の光学シートと、透明樹脂の導光体と、を有し、表示器2をムラなく照明する。表示器2は、バックライトから放出される光と、表示器2における表示面の各画素部の開閉動作によって各種画像が表示面に発光表示される。
【0022】
照明室部材3は、白色の合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)からなり、表示パネル1と回路基板5の間に配置される。照明室部材3の前面側は、表示パネル1に当接し、個々のインジケータ意匠部1dを取り巻く筒状に形成される。また、照明室部材3の背面側は、回路基板5に当接し、複数のインジケータ意匠部1dに対応して回路基板5に実装される個々の光源4を取り巻く筒状に形成される。
【0023】
光源4は、適宜色を発するトップビュー型のチップ型発光ダイオードからなり、照明室部材3内に配置される。光源4の発する光は、照明室部材3を通り、表示パネル1を背後から照明し、インジケータ意匠部1dを透過し、視認者に視認される。
【0024】
回路基板5は、例えばFR-4(Flame Retardant-4)等の平板状のガラスエポキシ系基材に配線パターン(図示せず)を施した硬質配線基板からなり、表示器2を支持し、光源4を実装し、表示器2,光源4を駆動・制御するための指令信号を出力する制御手段,抵抗,コンデンサ等の各種回路部品(図示せず)が前記配線パターンに導通接続されている。
【0025】
ケース部材6は、黒色の光吸収性及び熱可塑性の合成樹脂(例えば、ABS樹脂)からなり、底面部61と、側壁部62と、を有する前面側が開口した直方体の箱形状に形成される。ケース部材6は、前面側が表示パネル1に当接し、表示パネル1との内部に、表示器2,照明室部材3,回路基板5を収容する。
【0026】
底面部61は、回路基板5の背面側に位置する。側壁部62は、表示パネル1の外周部に対向して配置され、表示パネル1の背面側で表示器2と照明室部材3を取り囲むように形成される。側壁部62は、表示パネル1と当接する対向部62aを有する。尚、表示パネル1の溶着意匠部1cは、対向部62aに対向する位置に配置される。
【0027】
表示パネル1とケース部材6とはレーザー溶着により接合される。レーザー光は、表示パネル1の前面側から溶着意匠部1cに向けて照射され、溶着意匠部1cを透過し対向部62aに照射される。すると、対向部62aは、レーザー光を吸収し、発熱し、溶融する。そして、対向部62aが凝固すると、表示パネル1と対向部62aとが接合される。尚、レーザー光は、YAGレーザーや、ダイオードレーザーや、ファイバーレーザーや、赤外線レーザー等である。
【0028】
このように、レーザー溶着により表示パネル1とケース部材6とを接合することにより、両面テープ等で接着する場合に比べ、強い接合強度で表示パネル1とケース部材6とを接合することができ、且つ、接合工程の時間短縮が可能である。
【0029】
また、このように、黒色のインキである遮光層12と、黒色のスモークインキである半透過層13と、黒色の材料であるケース部材6とにより、溶着意匠部1cを目立たなくすることができる。
【0030】
(第2の実施形態)
本開示に係る表示装置100の第2の実施形態を図3に基づいて説明する。前述した第1の実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。
【0031】
第1の実施形態では、溶着意匠部1cは半透過層13が形成されていたが、本実施形態では、半透過層13は形成されない。また、溶着意匠部1cは、遮光領域1aの外周部に線状の意匠で形成されていたが、本実施形態では、遮光領域1aの外周部に至る意匠で形成される。また、溶着意匠部1cは、遮光層12と一体に印刷形成された網点(隙間を有するドット形状の模様。小さな点の集まり。)である網点領域1eを有する。網点領域1eは、溶着意匠部1cの全体に渡って形成される。網点領域1eは、網点により光の透過率が30%以上に形成される。
【0032】
また、第1の実施形態では、ケース部材6は黒色の合成樹脂であったが、本実施形態では、ケース部材6はマグネシウム等の比較的軽量な金属からなる。ケース部材6は、マグネシウムは耐腐食性が低いので、表面全体に酸化を防止する処置として陽極酸化被膜処理を施しており、黒色の塗装も施している。
【0033】
また、ケース部材6は、側壁部62の対向部62aの溶着意匠部1cに対向する位置に、凹状に形成された凹部62bを有する。
【0034】
また、本実施形態では、接合部材7を有する。接合部材7は、黒色の光吸収性及び熱可塑性の合成樹脂(例えば、ABS樹脂)からなり、断面矩形で溶着意匠部1cに沿ったリング状に形成される。接合部材7は、凹部62bに収容される。
【0035】
表示パネル1とケース部材6とは、接合部材7を介してレーザー溶着により接合される。レーザー光は、表示パネル1の前面側から溶着意匠部1cに向けてレーザー光が照射され、溶着意匠部1cを透過し接合部材7に照射される。すると、接合部材7は、レーザー光を吸収し、発熱し、溶融する。そして、接合部材7が凝固すると、表示パネル1と対向部62aとが接合される。
【0036】
このように、レーザー溶着により、接合部材7を介して表示パネル1とケース部材6とを接合することにより、強い接合強度で表示パネル1とケース部材6とを接合することができる。
【0037】
また、このように、黒色のインキである遮光層12と、黒色のインキである網点領域1eと、黒色の材料である接合部材7とにより、溶着意匠部1cを目立たなくすることができる。
【0038】
尚、本開示は前述した本実施形態に限定されるものでなく、本開示の要旨の範囲において、種々の変形が可能である。例えば、遮光層12や半透過層13はインキであったが、塗料であってもよい。
【0039】
また、第2の実施形態では、ケース部材6は、マグネシウムに黒色塗装を施しているものであったが、アルミニウムに黒色の陽極酸化被膜処理を施しているものでもよい。また、表示器2は、指針と文字板からなるアナログ式の計器装置であってもよい。
【0040】
また、図4に示すように、網点領域1eは、接合部材7に対向する位置の光の透過率が30%以上に形成されればよく、全体として、内側から外側になるにつれて透過率が高くなる(100%になる)グラデーションに形成されてもよい。
【0041】
また、第1の実施形態では、ケース部材6に備えられた、表示パネル1と当接する対向部62aは平面形状であったが、溶着による樹脂バリの発生を抑制したい場合は、図5に示すように、円弧形状の凸部であるリブ部62bを設定してもよい。
【0042】
本開示は、車両用の表示装置に関し、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用の表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 表示パネル
1a 遮光領域
1b 透光領域
1c 溶着意匠部
1d 意匠部
1e 網点領域
11 板部材
12 遮光層
13 半透過層
2 表示器
3 照明室部材
4 光源
5 回路基板
6 ケース部材
62a 対向部
62b リブ部
7 接合部材
図1
図2
図3
図4
図5