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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】センサーユニット、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20221206BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221206BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H04R1/02 330
H04N1/00 567J
H04N1/00 L
H04N1/12 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018234130
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020096306
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山田 昌佳
(72)【発明者】
【氏名】岩井 光
(72)【発明者】
【氏名】清瀬 摂内
【審査官】岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-238292(JP,A)
【文献】特開2001-235539(JP,A)
【文献】国際公開第2011/089644(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0060609(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00、 1/02
1/06、 1/20
1/22、 1/24
1/26、 1/28
1/30、 1/32
1/34、 1/40
1/44、 3/00
7/00、 9/00
13/00、15/00
17/00、17/10
19/00、23/00
29/00、31/00
B41J 11/00-13/32
G01N 29/00-29/52
G01S 1/72- 1/82
3/80- 3/86
5/18- 5/30
7/52- 7/64
15/00-15/96
H04N 1/00
1/04- 1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の送信及び超音波の受信の少なくともいずれかを行う超音波デバイスと、
前記超音波デバイスを保持し、表面が基準電位に維持されたホルダーと、
前記ホルダーを収容するケースと、
前記超音波デバイスの駆動を制御する回路基板と、を備え、
前記ケースは、取付け対象に接する取付け面を有し、
前記取付け面には、前記ケースの内外を連通する連通部が設けられ、
前記ホルダーは、前記連通部から突出して、前記取付け対象に接する突出部を有し、
前記回路基板は、前記基準電位が印加されるグラウンド電極を含み、
前記ホルダーは、前記回路基板の前記グラウンド電極に接する
ことを特徴とするセンサーユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサーユニットにおいて、
前記ケースは、前記ホルダーを収容する収容部を備え、
前記収容部の内周壁には、前記ホルダーを囲い、前記ホルダーに接する導電層が設けら
れている
ことを特徴とするセンサーユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載のセンサーユニットにおいて、
前記ケースは、第一ケースと、第二ケースとを含み、前記第一ケース及び前記第二ケー
スの隙間により前記連通部が構成され、
前記突出部は、前記第一ケース及び前記第二ケースにより挟まれる
ことを特徴とするセンサーユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のセンサーユニットと、
前記ケースの前記取付け面が取り付けられ、前記突出部が接する前記取付け対象と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーユニット、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を送信する超音波センサーをケース内に収容したセンサーユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、回路ユニットが設けられたホルダーに超音波デバイスを固定し、ホルダーをケース内に収容したセンサーユニットである。回路ユニットには、超音波デバイスに接続されるリード線、外部の制御手段に接続される制御線、ケースの内周面に接続される接地線が設けられている。
【0003】
また、上記のようなセンサーユニットでは、外から電磁波が入力されると、超音波デバイスが誤作動したり、超音波デバイスによる検出感度が低下したりすることがある。このため、回路ユニットと接地線で接続されるケース自体を金属により構成したり、ケース表面を金属メッキで覆って、金属メッキに接地線を接続したりして、接地線の接続先を基準電位とすることで、電磁波に対するシールド効果を持たせることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-172449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ケースを金属により形成する場合、ケースを合成樹脂により形成する場合に比べてコストが高くなる。このため、製造コストを考慮すると、ケースを合成樹脂で形成し、接地線に接続されるケースの表面に金属メッキを形成することが好ましい。一方、電子機器においてセンサーユニットを組み込む場合、センサーユニットと、センサーユニットを取り付ける取付け対象との間を同電位にする場合がある。しかし、ケースを合成樹脂で形成して金属メッキを形成する場合、金属メッキと取付け対象とを接続するための端子部や接続線が別途必要となるとの課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一適用例に係るセンサーユニットは、センサーデバイスと、前記センサーデバイスを保持し、表面が基準電位に維持されたホルダーと、前記ホルダーを収容するケースと、を備え、前記ケースは、取付け対象に接する取付け面を有し、前記取付け面には、前記ケースの内外を連通する連通部が設けられ、前記ホルダーは、前記連通部から突出して、前記取付け対象に接する突出部を有する。
【0007】
本適用例のセンサーユニットにおいて、前記センサーデバイスは、超音波の送信及び超音波の受信の少なくともいずれかを行う超音波デバイスである。
【0008】
本適用例のセンサーユニットにおいて、前記超音波デバイスの駆動を制御する回路基板を備え、前記回路基板は、前記基準電位が印加されるグラウンド電極を含み、前記ホルダーは、前記回路基板の前記グラウンド電極に接する。
【0009】
本適用例のセンサーユニットにおいて、前記ケースは、前記ホルダーを収容する収容部を備え、前記収容部の内周壁には、前記ホルダーを囲い、前記ホルダーに接する導電層が設けられている。
【0010】
本適用例のセンサーユニットにおいて、前記ケースは、第一ケースと、第二ケースとを含み、前記第一ケース及び前記第二ケースの隙間により前記連通部が構成され、前記突出部は、前記第一ケース及び前記第二ケースにより挟まれる。
【0011】
第二適用例に係る電子機器は、上述した適用例のセンサーユニットと、前記ケースの前記取付け面が取り付けられ、前記突出部が接する前記取付け対象と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る一実施形態のイメージスキャナーの概略構成を示す外観図。
図2】本実施形態のイメージスキャナーの搬送部の概略を示す側断面図。
図3】本実施形態の超音波センサーによる重送検知方法を説明するための模式図。
図4】本実施形態の送信ユニットの概略構成を示す斜視図。
図5】本実施形態の送信ユニットをセンサー中心軸に沿って切断した際の断面図。
図6】本実施形態のホルダーの斜視図。
図7】本実施形態の超音波デバイスを保持したホルダーを+Zh側から見た平面図。
図8】本実施形態の送信ユニットを-Zh側から見た際の平面図。
図9】本実施形態のイメージスキャナーの制御構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のイメージスキャナー10の概略構成を示す外観図である。図2は、イメージスキャナー10の搬送部の概略を示す側断面図である。なお、図2では、搬送方向(Y方向)に対して直交する主走査方向(X方向)からイメージスキャナー10を見た際の側断面図である。
【0014】
[イメージスキャナー10の概略構成]
イメージスキャナー10は、電子機器の一例であり、このイメージスキャナー10は、図1に示すように、装置本体11と、用紙サポート12と、を備える。装置本体11の内部には、図2に示すように、用紙Pを搬送する搬送部13と、搬送された用紙Pの画像を読み取るスキャン部14と、用紙Pの重送を検出する超音波センサー15と、イメージスキャナー10を制御する制御部16と、が設けられている。なお、本実施形態では用紙Pを対象物として、超音波センサー15が用紙Pの重送を検出する例を示すが、これに限定されない。対象物としては、例えば、フィルムや布帛等、種々のメディアを対象とすることができる。
【0015】
装置本体11には、図1及び図2に示すように、用紙サポート12との接続位置に給送口11Aが設けられている。用紙サポート12に載置された用紙Pは、給送口11Aへ1枚ずつ給送される。給送された用紙Pは、搬送部13により、装置本体11内の所定の搬送経路130に沿って搬送される。そして、その搬送途中の読取位置で、スキャン部14により画像が読み取られた後、装置本体11の前側下部に開口する排出口11Bから排出される。
【0016】
[搬送部13の構成]
搬送部13は、用紙サポート12にセットされた複数枚の用紙Pを、搬送方向(Y方向)に1枚ずつ搬送する。すなわち、搬送部13は、給送口11Aから送られた用紙Pを装置本体11内へ案内しつつ給送し、給送した用紙Pを所定の搬送経路130に沿って搬送する。
【0017】
より具体的には、搬送部13は、搬送経路130のY方向の上流側(-Y側)に配置された第一給送ローラー対131と、第一給送ローラー対131よりもY方向の下流側(+Y側)に配置された第二給送ローラー対132とを備える。さらに、搬送部13は、用紙Pの読取位置を挟んで-Y側に配置された第一搬送ローラー対133と、+Y側に配置された第二搬送ローラー対134とを備える。
【0018】
第一給送ローラー対131は、第一駆動ローラー131Aと第一従動ローラー131Bとにより構成される。同様に、第二給送ローラー対132は、第二駆動ローラー132Aと第二従動ローラー132Bとにより構成される。また、第一搬送ローラー対133は、第三駆動ローラー133Aと第三従動ローラー133Bとにより構成される。同様に、第二搬送ローラー対134は、第四駆動ローラー134Aと第四従動ローラー134Bとにより構成される。各従動ローラー131B~134Bは、それぞれが対をなす駆動ローラー131A~134Aの回転により従動(連れ回り)する。
【0019】
各ローラー対131~134を構成する各駆動ローラー131A~134Aは、それらの動力源である搬送モーター135の動力により回転駆動する。なお、搬送モーター135は、制御部16により制御され、各駆動ローラー131A~134Aを駆動させる。
また、第二給送ローラー対132を構成する第二従動ローラー132Bはリタードローラーとなっており、その外周面の用紙Pに対する摩擦係数が、第二駆動ローラー132Aの外周面の用紙Pに対する摩擦係数よりも大きくなっている。このため、第二給送ローラー対132は、用紙Pを1枚ずつ分離して+Y側へ送り出す分離機構として機能する。よって、第一給送ローラー対131の回転により用紙サポート12に積載された複数の用紙Pは、例えば最上位のものから順番に1枚ずつ給送口11Aから装置本体11内へ給送され、さらに第二給送ローラー対132の回転により1枚ずつ分離されて+Y側へ給送される。
【0020】
[スキャン部14の構成]
図2に示すように、搬送経路130の第一搬送ローラー対133と、第二搬送ローラー対134との間には、用紙Pの画像を読み取る読取位置が設けられ、スキャン部14が設けられている。
スキャン部14は、搬送経路130を挟む両側に設けられた第一スキャン部14Aと第二スキャン部14Bとからなる。このスキャン部14は、搬送中の用紙Pに光を照射可能な光源141と、主走査方向(X方向)に延びるイメージセンサー142とにより構成される。用紙Pの表面を読み取る通常読取モードのときは、第一スキャン部14Aが読取動作を行い、用紙Pの表裏面を読み取る両面読取モードのときは、第一スキャン部14Aと第二スキャン部14Bとが共に読取動作を行う。第一スキャン部14A及び第二スキャン部14Bを構成する光源141及びイメージセンサー142は、制御部16に接続され、制御部16の制御によって、用紙Pの画像を読み取るスキャン処理を実施する。
【0021】
[超音波センサー15の構成]
超音波センサー15は、搬送経路130において、第二給送ローラー対132と第一搬送ローラー対133との間の位置に設けられている。この超音波センサー15は、重送センサーであり、搬送部13により搬送される用紙Pの重送を検出する。
超音波センサー15は、一対のセンサーユニットを備えて構成される。一対のセンサーユニットの一方は、送信ユニット151であり、超音波を送信する。一対の超音波素子の他方は受信ユニット152であり、超音波を受信する。
送信ユニット151は、図2に示すように、搬送経路130上に設けられた送信側取付け対象111に固定されている。また、受信ユニット152は、搬送経路130上に設けられた受信側取付け対象112に固定されている。送信側取付け対象111や受信側取付け対象112は、装置本体11に固定される部材であり、イメージスキャナー10の筐体の一部であってもよく、搬送部13を構成する一部、例えば、各ローラー対131~134を駆動させる搬送モーター135の制御ユニット等であってもよい。
【0022】
図3は、超音波センサー15による重送検知方法を説明するための模式図である。
本実施形態では、送信ユニット151及び受信ユニット152は、図3に示すように、搬送経路130に対して傾斜するセンサー中心軸15Cの軸上で互いに対向し、用紙Pが搬送される搬送経路130を挟んで配置されている。
この超音波センサー15では、搬送部13により搬送経路130に沿って搬送される用紙Pに対して送信ユニット151から超音波を送信する。送信ユニット151から送信された超音波は、用紙Pに入力され、用紙Pを透過した超音波が受信ユニット152で受信される。受信ユニット152で超音波が受信されると、受信ユニット152から受信した超音波の音圧に応じた受信信号が出力され、この受信信号の信号強度に基づいて用紙Pの重送が検出される。
【0023】
図3に示すように、センサー中心軸15Cは、送信ユニット151の中心と受信ユニット152の中心とを通る軸であり、超音波の送受信方向となる。センサー中心軸15Cは、搬送経路130に搬送される用紙Pの表面の法線に対して、5°以上の角度で傾斜することが好ましく、より好ましくは、10°以上の角度である。
センサー中心軸15Cが、用紙Pの表面の法線方向と一致する場合、送信ユニット151から送信された超音波が、用紙Pと送信ユニット151との間で多重反射する虞がある。また、用紙Pを通過した超音波が受信ユニット152と用紙Pとの間で多重反射する虞がある。この場合、受信ユニット152では、送信ユニット151から用紙Pを通過して受信ユニット152で受信される超音波に加えて、用紙Pと送信ユニット151との間で多重反射された超音波と、受信ユニット152と用紙Pとの間で多重反射された超音波と、が受信ユニット152で受信されることになり、正確な重送検出ができない。
これに対して、センサー中心軸15Cを用紙Pの表面の法線に対して傾斜させることで、多重反射された超音波等の不要な超音波成分の受信を低減でき、精度の高い重送検出が可能となる。
【0024】
[送信ユニット151の詳細構成]
次に、送信ユニット151のより詳細な構成について説明する。なお、本実施形態では、受信ユニット152は、送信ユニット151と同一の構成を有するため、受信ユニット152の詳細な説明及び図示は省略する。
図4は、送信ユニット151の概略構成を示す斜視図である。図5は、送信ユニット151をセンサー中心軸15Cに沿って切断した際の断面図である。図5において、センサー中心軸15Cと平行な方向をZh方向、Zh方向に直交する方向をXh方向、Zh方向及びXh方向に直交する方向をYh方向とし、超音波が+Zh方向に送信されるものとして、以下説明する。図5は、送信ユニット151を、Xh方向及びZh方向を含むXhZh平面と平行な面で切断した際の断面図である。
送信ユニット151は、図5に示すように、超音波デバイス20と、ホルダー30と、回路基板40と、ケース50と、保護部60と、を備えて構成されている。
【0025】
[超音波デバイス20の構成]
超音波デバイス20は、複数の超音波トランスデューサーがアレイ状に配置されて構成されるセンサーデバイスであり、図5に示すように、薄板状に形成されている。超音波デバイス20は、超音波の送信または受信を行う作用面21と、作用面21とは反対側の固定面22とを有し、固定面22がホルダー30に固定される。
送信ユニット151では、超音波トランスデューサーに駆動電圧を印加することで、超音波トランスデューサーが振動し、ホルダー30とは反対側の作用面21から搬送経路130に向かって、センサー中心軸15Cに沿って超音波が送信される。なお、受信ユニット152においても、送信ユニット151と同一の構成の超音波デバイス20が設けられており、受信ユニット152の超音波デバイス20は、センサー中心軸15Cに沿って入力された超音波により振動し、振動振幅に応じた電気信号(受信信号)を出力する。
【0026】
[ホルダー30の構成]
ホルダー30は、超音波デバイス20を保持する部材である。
図6は、ホルダー30の斜視図であり、図7は、超音波デバイス20を保持したホルダー30を+Zh側から見た平面図である。
ホルダー30は、センサー中心軸15Cからみた平面視が略矩形状となるブロック状の部材である。ホルダー30は、超音波の送受信方向、つまり、搬送経路130に対向する側に設けられる先端側端面31と、先端側端面31とは反対側の基端側端面32と、先端側端面31及び基端側端面32に連続する周面部33と、を有する。
【0027】
先端側端面31は、センサー中心軸15Cに対して直交する接合面311を備える。接合面311には、超音波デバイス20の固定面22が、例えば両面テープや接着剤等の接合部材により接合されている。
また、先端側端面31には、超音波デバイス20を位置決めする複数の位置決め部312が設けられている。本実施形態では、位置決め部312は、図6及び図7に示すように、接合面311の±Yh側及び、-Xh側にそれぞれ設けられており、超音波デバイス20の端縁に接することで超音波デバイス20を位置決めする。
【0028】
基端側端面32は、傾斜端面321と、接続面322と、基板接合部323と、を有する。
傾斜端面321は、法線がセンサー中心軸15Cに対して傾斜する面である。傾斜端面321は、図7に示すように、センサー中心軸15Cに沿って見た平面視で、超音波デバイス20の作用面21と重なる位置に設けられている。本実施形態では、傾斜端面321は、+Xh側に向かうに従って、-Zh側に傾斜する例を示すが、傾斜端面321の傾斜方向はこれに限定されない。例えば、傾斜端面321は、+Yh側に向かうに従って-Zh方向に傾斜してもよく、その他の傾斜方向に傾斜していてもよい。
【0029】
接続面322は、図5に示すように、傾斜端面321の+Xh側で、傾斜端面321から連続する面である。そして、ホルダー30には、接続面322から接合面311までを貫通する配線孔322Aが設けられ、この配線孔322Aには、超音波デバイス20と回路基板40とを接続する配線23が挿通される。配線23は、例えば、リード線であってもよく、FPC(Flexible Printed Circuits)であってもよい。
【0030】
基板接合部323は、傾斜端面321のYh方向の両端部で、傾斜端面321及び接続面322を挟むように一対設けられている。基板接合部323は、傾斜端面321及び接続面322よりも-Zh側に突出し、突出先端側に、回路基板40が接する基板接合面323A、及び回路基板40の端部を位置決めする基板保持部323Bが設けられている。具体的には、基板接合面323Aは、センサー中心軸15Cに対して傾斜する平面であり、回路基板40に接続される配線ケーブル40Aの延設方向と略平行な平面となる。また、基板接合面323Aには、回路基板40を固定する基板固定孔323Cが設けられている。
基板保持部323Bは、基板接合面323Aに交差する方向に立ち上がる面により構成されている。
基板接合部323に回路基板40を固定するには、回路基板40の一端縁を基板保持部323Bに当接させて位置決めし、回路基板40に設けられた固定孔から基板固定孔323Cに固定ネジを羅合させて回路基板40の裏面を基板接合部323に固定する。
【0031】
このようなホルダー30では、超音波デバイス20からホルダー30側に送信された超音波の多重反射を抑制する。つまり、送信ユニット151において超音波デバイス20から超音波を送信すると、作用面21から搬送経路130に向かう方向のみならず、固定面22からホルダー30に向かう方向にも超音波が送信される。また、受信ユニット152において、超音波デバイス20の作用面21で受信された超音波が超音波デバイス20をホルダー30側に通過する場合がある。
ここで、傾斜端面321の法線が、センサー中心軸15Cと一致する場合、傾斜端面321と超音波デバイス20との間で超音波が多重反射される。送信ユニット151で、このような超音波の多重反射が発生すると、作用面21から受信ユニット152に向かう超音波に重畳されて、送信超音波の音圧が変動し、超音波センサー15による重送検知精度が低下してしまう。また、受信ユニット152で、超音波の多重反射が発生すると、作用面21で本来受信すべき超音波に加え、多重反射された超音波が重畳されたり、多重反射による超音波が本来受信すべき超音波とは異なるタイミングで受信されたりして受信ノイズが増大し、重送検知精度が低下してしまう。
これに対して、本実施形態では、傾斜端面321の法線がセンサー中心軸15Cに対して傾斜している。このため、超音波デバイス20からセンサー中心軸15Cに沿ってホルダー30側に超音波が入力されても、傾斜端面321は、この超音波をセンサー中心軸15Cとは異なる方向に反射する。これにより、上記のような重送検知精度の低下を抑制できる。
【0032】
また、回路基板40の裏面42がセンサー中心軸15Cに対して傾斜するため、超音波デバイス20からホルダー30側に入力された超音波が、センサー中心軸15Cに沿って傾斜端面321を通過し、回路基板40に到達した場合でも、回路基板40でセンサー中心軸15Cに傾斜する方向に反射される。このため、回路基板40と超音波デバイス20との間での超音波の多重反射も抑制される。
【0033】
また、図7に示すように、ホルダー30は、Zh方向から見た平面視で、先端側端面31と基端側端面32とが重なる形状となる。つまり、先端側端面31のYh方向に沿う寸法と、+Yh側の基板接合部323の+Yh側端面から-Yh側の基板接合部323の-Yh側端面までの寸法とは、同一の寸法Wとなる。
また、先端側端面31のXh方向に沿う寸法と、傾斜端面321の-Xh側の端縁から接続面322の+Xh側の端縁までの寸法とは、同一の寸法Wとなる。
そして、ホルダー30の周面部33は、Zh方向から見た際に、先端側端面31の縁と基端側端面32の縁とを結ぶ平面上に配置される接面部331と、接面部331から立ち上がる突出部332とを備える。
【0034】
接面部331は、ケース50の内周面に接する面を構成する。
突出部332は、ケース50の厚みと同一寸法、又は、ケース50の厚みよりも大きい寸法だけ、接面部331から突出する。より具体的には、突出部332は、ホルダー30の±Yh側に突出する露出部332Aと、一対の露出部332Aから-Xh側の接面部331に亘って設けられる第一鍔部332Bと、一対の露出部332Aから+Xh側の接面部331に亘って設けられる第二鍔部332Cと、を備える。
【0035】
これらの突出部332は、ホルダー30をケース50に収納した際に、ケース50の外側に露出する部分である。
露出部332Aは、送信ユニット151を、送信側取付け対象111に固定する際に、送信側取付け対象111に接する。なお、本実施形態では、一対の露出部332Aのいずれか一方が送信側取付け対象111に接する例を示すが、送信ユニット151が一対の送信側取付け対象111により挟まれて保持される場合では、双方の露出部332Aが送信側取付け対象111に接する。
【0036】
第一鍔部332B及び第二鍔部332Cは、後述するケース50を構成する第一ケース51と、第二ケース52とに挟まれる部分である。第一鍔部332B及び第二鍔部332Cにより、ケース50に対するホルダー30の相対位置を決定することができる。
【0037】
また、周面部33には、図6に示すように、ホルダー30をケース50に対して固定するホルダー固定孔333が設けられている。本実施形態では、周面部33の±Xh側の接面部331にそれぞれ2つのホルダー固定孔333が設けられている。
【0038】
そして、本実施形態のホルダー30は、図5に示すように、先端側端面31、基端側端面32、及び周面部33の各表面がホルダー側導電層34により覆われている。このため、送信ユニット151を送信側取付け対象111に固定し、露出部332Aが送信側取付け対象111に接すると、ホルダー30と送信側取付け対象111が電気的に導通して同電位となる。
送信側取付け対象111や受信側取付け対象112は、イメージスキャナー10に設けられる他の電気駆動部材であり、搬送モーター135を駆動制御するモーター駆動制御部のフレーム、スキャン部14のフレーム、及び制御部16のフレーム等を例示することができる。電子機器に組み込まれるこれらの電気駆動部材は、ノイズ等の影響を除外するため、共通の基準電位(グラウンド電位)に設定する必要がある。超音波センサー15を、電気駆動部材のフレームに取り付ける場合、従来、取付け対象の電気駆動部材のフレームにフレームグラウンド端子を設け、リード線により、超音波センサー15の各ホルダー30と、取付け対象の電気駆動部材の筐体に設けられたフレームグラウンド端子とを接続する必要があった。これに対して、本実施形態では、ホルダー30の突出部332が、ケース50外に露出している。このため、この超音波センサー15の送信ユニット151や受信ユニット152を取付け対象の電気駆動部材のフレーム、つまり、送信側取付け対象111や受信側取付け対象112に固定する際に、露出部332Aを直接接触させることで、ホルダー30と、取付け対象111,112とを導通させることができ、共通のグラウンド電位に維持することができる。
【0039】
[回路基板40の構成]
回路基板40は、上述したように、ホルダー30の基板接合面323Aに固定される。
この回路基板40は、超音波デバイス20を駆動するための駆動回路が組み込まれていてもよい。また、回路基板40は、送信ユニット151の外部に設けられた駆動回路と、超音波デバイス20とを接続する中継回路であってもよい。
この回路基板40は、回路面41と、裏面42とを有する。回路面41には、コネクター43が設けられており、配線ケーブル40Aが接続されている。この配線ケーブル40Aは、回路基板40の平面方向と略平行に延設され、第二ケース52に設けられたケーブル口524から送信ユニット151の外部に引き出されている。配線ケーブル40Aには、超音波デバイス20を駆動させるための制御信号、または超音波デバイス20からの出力信号を送受信するための制御線の他、所定の基準電位(グラウンド電位)が印加されるフレームグラウンド線が含まれる。そして、回路基板40は、フレームグラウンド線に接続されるグラウンド電極44を有し、このグラウンド電極44は、回路基板40の裏面42まで延設されている。
【0040】
裏面42を基板接合面323Aに接触させて、回路基板40をホルダー30に固定すると、裏面42に設けられたグラウンド電極44と、ホルダー30の表面のホルダー側導電層34とが接し、ホルダー30の表面がグラウンド電位となる。これにより、ホルダー30に接する送信側取付け対象111もグラウンド電位となる。
【0041】
[ケース50の構成]
ケース50は、合成樹脂により形成され、ホルダー30を±Zh側から挟み込んで保持するケースである。
図8は、送信ユニット151を-Zh側から見た際の平面図である。
ケース50は、図4図5及び図8に示すように、第一ケース51と、第二ケース52と、を備える。
【0042】
第一ケース51は、略筒状部材であり、筒断面が矩形状となる。第一ケース51は、ホルダー30の+Zh側に設けられ、-Zh側の端部が、突出部332の+Zh側端面に沿う形状に形成されており、突出部332の+Zh側端面に接する。
第一ケース51の筒内周部には、図5に示すように、センサー中心軸15Cに直交する平面に沿った保持面511が設けられている。この保持面511には、ホルダー30の先端側端面31の外周縁に沿った一部が接する。また、第一ケース51は、保持面511の外周縁から-Zh側に立ち上がる第一内周面512を有する。第一内周面512は、ホルダー30の先端側端面31のセンサー中心軸15Cに直交する断面形状と同一形状を有し、Yh方向の寸法がWであり、Xh方向の寸法がWである。したがって、第一内周面512には、ホルダー30の接面部331のうち、突出部332よりも+Zh側に位置する面が当接する。
【0043】
第一ケース51の-Zh側には、センサー中心軸15Cに沿った第一通過孔513が設けられる。第一通過孔513には、ホルダー30に固定された超音波デバイス20が臨んで配置されている。
第一ケース51の+Zh側には、搬送経路130側が開口し、第一通過孔513と連通する第二通過孔514が設けられている。この第二通過孔514は、センサー中心軸15Cに対して傾斜する第一傾斜中心軸15C1を有する孔部であり、第一通過孔513の口径よりも大きい。第一通過孔513と第二通過孔514との間には、第一通過孔513の+Zh側の開口縁から、第二通過孔514の外周端縁までを接続する段差面515が設けられている。この段差面515は、第一傾斜中心軸15C1に直交する平面であり、この段差面515には、保護部60が設置される。
【0044】
保護部60は、保護部材61と、保護部材61を固定するキャップ62とを備える。
保護部材61は、超音波をセンサー中心軸15Cに沿って通過させるとともに、紙粉などの異物の第一ケース51内への侵入を抑制する板状部材である。保護部材61は、例えば、複数の線材を平行に配置、又は、互いに交差する方向に配置したメッシュ状に構成されていてもよい。また、保護部材61は、板状部材に複数の貫通孔が穿設された構成としてもよい。貫通孔の形状は特に限定されず、円形であってもよく、多角形状であってもよく、各貫通孔の開口サイズや形状がそれぞれ異なっていてもよい。さらには、保護部材61は、不織布や連続気泡構造を有するフォーム材により形成された多孔質部材により構成されていてもよい。
【0045】
このような保護部材61は、段差面515に沿って配置される。このため、保護部材61の法線は、センサー中心軸15Cに対して傾斜する。したがって、超音波デバイスと保護部材61との間の多重反射が抑制され、多重反射による重送検知精度の低下を抑制できる。
また、キャップ62は、第二通過孔514に勘合される部材であり、保護部材61を段差面515との間で挟み込んで保持する。このキャップ62には、センサー中心軸15Cに沿って貫通する第三通過孔63が設けられている。このため、送信ユニット151の超音波デバイス20から出力された超音波は、センサー中心軸15Cに沿って第一通過孔513、保護部材61に設けられた孔、及び第三通過孔63を通って搬送経路130側に送信される。また、受信ユニット152では、センサー中心軸15Cに沿って第三通過孔63、保護部材61に設けられた孔、及び第一通過孔513を通って入力された超音波が超音波デバイス20で受信される。
【0046】
第二ケース52は、図4及び図8に示すように、センサー中心軸15Cを通る、XhZh平面と平行な面に対して対称形状となる雄ケース52A及び雌ケース52Bとにより構成される。
第二ケース52は、ホルダー30の-Zh側に設けられ、+Zh側の端部が、突出部332の-Zh側端面に沿う形状に形成されており、突出部332の-Zh側端面に接する。
第二ケース52は、雄ケース52A及び雌ケース52Bを組み合わせることで、略筒状部材となり、センサー中心軸15Cを中心軸とした筒状の第一筒部521と、センサー中心軸15Cに対して傾斜する第二傾斜中心軸15C2を中心とした筒状の第二筒部522とを構成する。
【0047】
第一筒部521の筒内周には、ホルダー30の一部、及びホルダー30に固定された回路基板40が配置されている。第一筒部521の内周面である第二内周面523は、ホルダー30の基端側端面32のセンサー中心軸15Cに直交する断面形状と同一形状を有し、Yh方向の寸法がWであり、Xh方向の寸法がWである。したがって、第二内周面523には、ホルダー30の接面部331のうち、突出部332よりも-Zh側に位置する面が当接する。
【0048】
第二筒部522は、第一筒部521に連通して設けられており、回路基板40に接続された配線ケーブル40Aが配置されている。第二筒部522の第一筒部521とは反対側の開口端には、配線ケーブル40Aを外部に引き出すケーブル口524が設けられている。
【0049】
上記のようなケース50では、第一ケース51と第二ケース52との間は、ケース50の内外を連通する連通部となり、突出部332が第一ケース51及び第二ケース52に挟まれて配置され、連通部からケース50の外側に露出する。
【0050】
そして、本実施形態では、図5に示すように、ケース50の内周面、つまり、保持面511、第一内周面512、第一通過孔513の内周面、第二通過孔514の内周面、第一筒部521の第二内周面523、及び第二筒部522の内周面には、例えば金属メッキ等の導電塗料が塗布されることで、ケース側導電層53が形成されている。そして、ケース50は、第一内周面512及び第二内周面523が、ホルダー30と接することで、ケース側導電層53とホルダー側導電層34とが接し、同電位となる。つまり、本実施形態のケース50では、ホルダー30を囲う第一内周面512及び第二内周面523は、ホルダー30を収容する収容部の内周壁を構成し、ホルダー30を囲ってグラウンド電位に維持されたケース側導電層53が配置される。ケース50のケース側導電層53により、シールド効果が得られ、超音波デバイス20を静電気や電磁波から防護することが可能となる。
【0051】
上述したような送信ユニット151は、±Yh側のいずれかの側面を送信側取付け対象111に当接させて、第二ケース52に設けられるYh方向に沿った貫通孔525に固定ビスを挿通し、送信側取付け対象111にねじ止め固定する。本実施形態では、図8に示すように、ケース50の+Yh側の側面が送信側取付け対象111に接する取付け面54である。このため、送信ユニット151の+Yh側の側面から露出するホルダー30の露出部332Aが送信側取付け対象111に接する。ホルダー30の表面には、ホルダー側導電層34が設けられているので、露出部332Aを送信側取付け対象111に接触させることで、送信ユニット151と送信側取付け対象111との基準電位を同一のグラウンド電位にすることができる。
【0052】
[超音波センサー15の回路構成]
図9は、イメージスキャナー10の制御構成を示すブロック図である。
本実施形態の超音波センサー15は、ドライバー回路70を備え、このドライバー回路70には、送信駆動回路71、受信処理回路72、及びグラウンド回路73が設けられている。なお、本実施形態では、ドライバー回路70が、送信ユニット151や受信ユニット152とは別体として設けられ、配線ケーブル40Aにより接続される例を示すが、これに限定されない。例えば、送信駆動回路71は、送信ユニット151内の回路基板40に組み込まれていてもよく、受信処理回路72は、受信ユニット152の回路基板40に組み込まれていてもよい。
【0053】
送信駆動回路71は、送信ユニット151に設けられる超音波デバイス20に接続されており、各超音波デバイス20を駆動させる駆動信号を生成する。
受信処理回路72は、受信ユニット152に設けられる超音波デバイス20から出力される受信信号を処理して制御部16に出力する。
グラウンド回路73には、フレームグラウンド線が接続され、グラウンド電位を印加する。なお、グラウンド回路73は、イメージスキャナー10の装置本体11の筐体に接続されており、イメージスキャナー10内の各電気部品、つまり、搬送モーター135の駆動回路、スキャン部14、超音波センサー15、及び制御部16の基準電位が共通のグラウンド電位に維持されている。
【0054】
[制御部16の構成]
制御部16は、図9に示すように、CPU(Central Processing Unit)等により構成された演算部161と、メモリー等の記録回路により構成された記憶部162とを備える。
この制御部16は、搬送部13の搬送モーター135、スキャン部14、及び超音波センサー15に接続され、これらの搬送モーター135、スキャン部14、及び超音波センサー15の駆動を制御する。また、制御部16は、インターフェイス部17に接続され、パーソナルコンピューター等の外部機器から入力された各種のデータや信号を受信したり、イメージスキャナー10が読み取った読取データを外部機器に出力したりする。
【0055】
記憶部162は、イメージスキャナー10を制御するための各種データや、各種プログラムが記録されている。
演算部161は、記憶部162に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、図9に示すように、搬送制御部161A、読取制御部161B、及び重送判定部161C等として機能する。
【0056】
搬送制御部161Aは、搬送部13の搬送モーター135を制御して、複数のローラー対131~134を回転させることで、用紙サポート12にセットされた用紙Pを1枚ずつ装置本体11内へ給送する。さらに搬送制御部161Aは、給送された用紙Pを搬送経路130に沿って搬送させる。
読取制御部161Bは、用紙Pの搬送中にスキャン部14を制御し、用紙Pの画像を読み取らせる。
【0057】
重送判定部161Cは、用紙Pの状態を検出する状態検出部であり、本実施形態では、超音波センサー15を制御して、受信ユニット152から入力された受信信号に基づいて、用紙Pの重送を判定する。
具体的には、受信信号の電圧値が所定の閾値より小さい場合に、用紙Pが重送されていると判定する。なお、重送判定部161Cに重送と判定された場合、搬送制御部161Aは、用紙Pの搬送を停止する。
【0058】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のイメージスキャナー10は、超音波センサー15を構成する送信ユニット151と、送信ユニット151を固定する送信側取付け対象111とを有する。
送信ユニット151は、超音波デバイス20と、超音波デバイス20を保持し、表面にホルダー側導電層34が形成されてグラウンド電位に維持されたホルダー30と、ホルダー30を収容するケース50と、を備える。ケース50は、第一ケース51及び第二ケース52を備え、連通部を構成する第一ケース51及び第二ケース52の隙間からホルダー30の突出部332が突出し、ケース50の取付け面54を送信側取付け対象111に接触させて固定した際に、この突出部332も送信側取付け対象111に接する。
このため、送信ユニット151を送信側取付け対象111に取り付ける際に、送信ユニット151と送信側取付け対象111とを接続するフレームグラウンド線が不要となり、簡素な構成で、送信ユニット151と送信側取付け対象111とをグラウンドすることができる。
なお、受信ユニット152においても同様であり、送信ユニット151と同様、簡素な構成で、受信ユニット152と受信側取付け対象112とをグラウンドすることができる。
【0059】
本実施形態の超音波センサー15は、超音波デバイス20の駆動を制御する配線が設けられた回路基板40を備え、回路基板40は、グラウンド電位が印加されるグラウンド電極44を含み、ホルダー30は、グラウンド電極44に接している。
このため、ホルダー30に回路基板40を固定すれば、ホルダー30の表面をグラウンド電位に維持することができ、ホルダー30と回路基板40とを接続する端子やリード線を不要にできる。
【0060】
本実施形態の超音波センサー15では、ケース50は、第一ケース51の第一内周面512、及び第二ケース52の第二内周面523により、ホルダー30を収容する収容部を構成し、収容部の内周壁である第一内周面512及び第二内周面523にはケース側導電層53が設けられている。つまり、ホルダー30のホルダー側導電層34に接するケース側導電層53によって、ホルダー30の外周が囲われており、超音波デバイス20を静電気や電磁波から保護するシールド効果を得ることができる。
【0061】
本実施形態では、ケース50は、第一ケース51と、第二ケース52とを含み、第一ケース51及び第二ケース52の隙間により連通部が構成され、ホルダー30の突出部332は、第一ケース51及び第二ケース52により挟まれている。
このため、ホルダー30の突出部332に、第一ケース51及び第二ケース52の端縁を接触させることで、ケース50に対してホルダー30を容易に位置決めすることができる。
【0062】
[変形例]
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
【0063】
[変形例1]
上記実施形態では、送信ユニット151は、+Yh側に露出する露出部332Aが送信側取付け対象111に接する例を示したが、これに限定されない。
例えば、送信ユニット151の-Yh側に露出する露出部332Aが送信側取付け対象111に接してもよい。また、送信ユニット151が2つの送信側取付け対象111に挟まれて配置される場合では、±Yh側に露出する一対の露出部332Aの双方が、送信側取付け対象111に接してもよい。
また、ケース50の-Xh側の側面や+Xh側の側面を、送信側取付け対象111に固定する取付け面54としてもよく、この場合、第一鍔部332Bまたは第二鍔部332Cが送信側取付け対象111に接する構成とすればよい。
なお、受信ユニット152に関しても同様である。
【0064】
[変形例2]
上記実施形態では、ホルダー30は、一対の露出部332A、第一鍔部332B、及び第二鍔部332Cを有する突出部332が、ホルダー30の周方向を囲って設けられる構成とし、突出部332が、第一ケース51及び第二ケース52の隙間から突出する例を示した。これに対して、略筒状のケースの取付け面に、ケース内外を連通する連通孔を設ける構成としてもよい。この場合、ホルダーは、連通孔を通ってケースの外側に突出する突出部を備える構成とすればよい。
例えば、ケースの+Yh側の側面を取付け面として送信側取付け対象111に固定する場合、ケースの+Yh側に連通孔を設け、ホルダーは、連通孔からケース外に露出する突出部が1つのみ設けられる構成としてもよい。
また、ケースの-Zh側を取付け面としてもよい。この場合、ケースの-Zh側端面に連通孔を設け、ホルダーの-Zh側の一部に、ケースから-Zh側に突出して露出する突出部を設ける構成とすればよい。
【0065】
[変形例3]
上記実施形態では、ケース50の第一内周面512、第二内周面523にケース側導電層53を設け、ホルダー30のホルダー側導電層34に接触させたが、これに限定されない。
例えば、ケース50が、導電性の樹脂により構成されている場合では、ケース側導電層53が設けられていなくてもよい。また、ケース50にシールド効果を持たせる必要がない場合では、ケース側導電層53が設けられていなくてもよい。
【0066】
[変形例4]
ホルダー30の表面に、ホルダー側導電層34が設けられる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ホルダー30が導電性の樹脂や金属部材等に構成されていれば、ホルダー側導電層34が設けられていなくてもよい。
また、ホルダー30の一部にホルダー側導電層34が設けられていてもよい。つまり、回路基板40のグラウンド電極44が接する基板接合面323Aから、取付け対象111,112に接する露出部332Aまでに亘ってホルダー側導電層34が設けられる構成としてもよく、この場合でも、ホルダー30と取付け対象111,112とを導通させることができる。
【0067】
[変形例5]
上記実施形態では、電子機器の一例として、イメージスキャナー10を例示したが、これに限定されない。搬送経路130上に搬送された印刷紙に対して、画像を印刷する印刷ヘッドが設けられた印刷装置(プリンター)において、印刷紙の重送を検出する際に上述したような超音波センサー15を適用してもよい。
【0068】
また、このような印刷装置において、印刷紙の種類を判定する際に、超音波センサー15を用いてもよい。つまり、印刷装置は、受信ユニット152からの受信信号の信号強度と、印刷紙の種類とを対応付けたテーブルデータを記憶する記憶部に記憶しておく。そして、印刷装置に設けられた制御部(コンピューター)は、状態検出部として機能し、テーブルデータを参照して、受信ユニット152からの受信信号に対応する印刷紙の種類を判定する。この場合、印刷装置は、印刷紙の種類に応じた最適な画像を印刷紙に形成することができる。
また、対象物としては、用紙Pや印刷紙に限定されず、上述したように、フィルムや布帛等であってもよい。
【0069】
さらに、配管等を流れる流体の流速を検出する流速検出装置において、上述したような超音波センサー15を適用してもよい。つまり、対象物である流体に対して超音波を送信し、流体を通過する超音波を受信すると、流体の流速に応じて超音波の進行方向が変化する。この際、受信信号の電圧値の変化を検出することで、流体の流速を測定することが可能となる。このような流速検出装置では、受信信号の電圧変化から流体の流速を測定するため、送信ユニットから送信される超音波の音軸を、正確に受信ユニットに向けておき、基準位置を設定する必要がある。上述したような超音波センサーを用いることで、基準位置を正確に設定することができ、流速検出装置における流速検出精度を向上させることができる。
【0070】
また、上記実施形態では、超音波を送信する送信ユニット151と、超音波を受信する受信ユニット152とを備えた超音波センサー15を例示した。これに対して、超音波を送信する送信ユニットのみで超音波装置が構成されていてもよく、超音波を受信する受信ユニットのみで超音波装置が構成されていてもよい。
例えば、超音波によりデータを送信するデータ送信装置、超音波を用いて虫や動物を退ける虫除け装置や動物除け装置、ハプティクスに超音波を用いた触覚伝達装置等の超音波装置では、送信ユニットのみが設けられる構成としてもよい。また、超音波を用いたデータ送信装置から送信された超音波信号を受信するデータ受信装置等の超音波装置では、受信ユニットのみが設けられる構成としてもよい。
【0071】
さらには、送信ユニット及び受信ユニットが別体となる超音波装置の例を示したが、超音波の送受信処理を行う1つの送受信ユニットが設けられる構成としてもよい。この場合、送受信ユニットから測定対象に対して超音波を送信し、測定対象で反射されて送受信ユニットに戻ってきた反射超音波を受信する。この場合、送受信ユニットで超音波を送信したタイミングから、送受信ユニットで反射超音波を受信したタイミングまでの時間に基づいて、超音波センサーから測定対象までの距離を測定する距離測定センサーに利用することができる。
【0072】
[変形例6]
さらに、センサーデバイスとして、超音波の送信または超音波の受信を行う超音波デバイス20を例示したが、これに限定されない。
センサーデバイスとして、例えば、レーザー光を出射し、測定対象により反射されたレーザー光を受光することで、測定対象の表面形状を測定するレーザーデバイス等であってよい。この場合でも、レーザーデバイスを備えるセンサーユニットを取付け対象に取り付ける際に、レーザーデバイスを保持したホルダーの一部をケースから露出させ、取付け対象に対してホルダーの一部を接触させることで、センサーユニットと取付け対象とを同一のグラウンド電位に設定することができる。
【0073】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造などに適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0074】
10…イメージスキャナー(電子機器)、15…超音波センサー、20…超音波デバイス(センサーデバイス)、21…作用面、22…固定面、23…配線、30…ホルダー、31…先端側端部、32…基端側端部、33…周面部、34…ホルダー側導電層、40…回路基板、40A…配線ケーブル、41…回路面、42…裏面、43…コネクター、50…ケース、51…第一ケース、52…第二ケース、52A…雄ケース、52B…雌ケース、53…ケース側導電層、54…取付け面、60…保護部、61…保護部材、62…キャップ、63…第三通過孔、111…送信側取付け対象、112…受信側取付け対象、151…送信ユニット、152…受信ユニット、311…接合面、312…位置決め部、321…傾斜端面、322…接続面、322A…配線孔、323…基板接合部、323A…基板接合面、323B…基板保持部、331…接面部、332…突出部、332A…露出部、332B…第一鍔部、332C…第二鍔部、511…保持面、512…第一内周面、513…第一通過孔、514…第二通過孔、515…段差面、521…第一筒部、522…第二筒部、523…第二内周面、524…ケーブル口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9