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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/405 20071001AFI20221206BHJP
   B60K 6/22 20071001ALI20221206BHJP
   B60K 6/36 20071001ALI20221206BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20221206BHJP
   B60K 6/547 20071001ALI20221206BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20221206BHJP
   B60K 17/16 20060101ALI20221206BHJP
   F16H 57/03 20120101ALI20221206BHJP
   F16H 57/02 20120101ALI20221206BHJP
【FI】
B60K6/405
B60K6/22 ZHV
B60K6/36
B60K6/48
B60K6/547
B60K17/04 G
B60K17/16 Z
F16H57/03
F16H57/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018239451
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020100267
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 将英
(72)【発明者】
【氏名】北岡 圭史
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189197(JP,A)
【文献】特開2013-180680(JP,A)
【文献】特開2013-204675(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/352941(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/405
B60K 6/22
B60K 6/36
B60K 6/48
B60K 6/547
B60K 17/04
B60K 17/16
F16H 57/03
F16H 57/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力ギヤを有し、動力源から動力が伝達される入力軸と、ファイナルドライブギヤおよび前記複数の入力ギヤに噛み合う複数の出力ギヤを有する出力軸とを備えた変速機構と、
前記ファイナルドライブギヤに噛み合うファイナルドリブンギヤを有し、前記変速機構から伝達される動力を左右の駆動輪に伝達するディファレンシャル装置と、
前記変速機構および前記ディファレンシャル装置を収容する変速機ケースと、
前記変速機ケースの上部に取付けられたモータと、
前記モータの動力を減速して前記変速機構に伝達する減速機構と、
前記減速機構を収容する減速機ケースとを備え、
前記変速機ケースの側壁に、前記ディファレンシャル装置を回転自在に支持する支持部が設けられたハイブリッド車両用駆動装置であって、
前記減速機ケースは、前記変速機ケースに一体に形成され、前記減速機構を取り囲むケース部と、前記ケース部に接合されたカバー部とを有し、
前記ケース部は、前記変速機ケースの内部を、前記減速機構と前記変速機構とを収容する第1の収容室と、前記変速機構と前記ディファレンシャル装置とを収容する第2の収容室とに仕切る隔壁部と、前記隔壁部から前記変速機ケースの上壁よりも上方に延び、延びる方向の上部に前記モータが取付けられるモータ取付部を有する縦壁部と、前記減速機構を取り囲むように前記隔壁部および前記縦壁部から前記入力軸の軸方向外方に突出し、延びる方向の先端部に前記カバー部が接合された周壁部とを備えており、
前記変速機ケースを前記入力軸の軸方向から見た場合に、前記変速機ケースの前記側壁に、前記支持部を取り囲む円弧状のリブが形成されており、
前記リブの延びる方向の一端部および他端部の少なくとも一方の端部が前記周壁部に連結されていることを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項2】
前記周壁部は、前記減速機構よりも下方において水平方向に延びる水平壁部と、前記減速機構の側方において上下方向に延びる垂直壁部と、前記水平壁部と前記垂直壁部とを連絡する傾斜壁部とを有し、
前記リブの延びる方向の一端部および他端部の少なくとも一方の端部は、前記水平壁部と前記傾斜壁部の連絡部付近または前記傾斜壁部と前記垂直壁部の連絡部付近に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項3】
前記変速機ケースの前記側壁に、前記入力軸の軸方向に延び、オイルポンプを収容する筒状のポンプ収容部が設けられており、
前記リブの延びる方向の一端部は、前記水平壁部と前記傾斜壁部の連絡部付近または前記傾斜壁部と前記垂直壁部の連絡部付近に連結されており、
前記リブの延びる方向の他端部は、前記ポンプ収容部に連結されていることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項4】
前記ポンプ収容部は、前記周壁部に連結されていることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項5】
前記リブを第1のリブとした場合に、前記第1のリブの内側の前記変速機ケースの前記側壁に第2のリブが設けられており、
前記第2のリブの延びる方向の一端部は、前記水平壁部と前記傾斜壁部の連絡部付近または前記傾斜壁部と前記垂直壁部の連絡部付近に連結されており、
前記第2のリブの延びる方向の一端部側は、前記ポンプ収容部に連結されており、
前記前記変速機ケースの前記側壁に、前記支持部から放射方向外方に延び、前記第1のリブと前記第2のリブとを連結する複数の第3のリブが設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項6】
前記第1のリブと前記第2のリブは、前記入力軸の軸方向において前記隔壁部を跨いで前記周壁部に連結されていることを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車軸からトランスアクスルケースに作用する反力に対してトランスアクスルケースの剛性を向上するものとして、特許文献1に記載されるトランスアクスルのケース構造が知られている。
【0003】
このケース構造は、エンジンに連結された発進装置を収容するクラッチハウジングと、クラッチハウジングに連結された減速機構を収容するミッションケースとを備えており、クラッチハウジングとミッションケースとで構成された収容部には減速機構の出力を車軸に伝達するディファレンシャル装置が収容されている。
【0004】
ミッションケースのデフ支持面部には弓形のリブが設けられており、リブは、ディファレンシャル装置を支持する支持穴の周囲の領域のうち、減速機構の軸心から遠い側の領域を通り、リブの両端は、クラッチハウジングとエンジンとの締結部に位置している。
【0005】
このため、ディファレンシャル装置を介して支持穴に支持された車軸が駆動されるときにトランスアクスルケースに作用する反力は、リブを介してクラッチハウジングとエンジンとの締結部によって効率的に受け止められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-132358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来のトランスアクスルケースのケース構造にあっては、リブの両端がクラッチハウジングとエンジンとの締結部に位置しているだけであるので、リブによって車軸からの反力に対するトランスアクスルケースの剛性を高めるのには限界がある。このため、車軸からの反力によってトランスアクスルケースが振動することや変形することを抑制できないおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、変速機ケースの構造を利用してディファレンシャル装置を支持する支持部の剛性を向上でき、ファイナルドライブギヤとファイナルドリブンギヤとの噛み合いによって軸同士が離れようとする斥力に対して変速機ケースが振動することや変形することを抑制できるハイブリッド車両用駆動装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の入力ギヤを有し、動力源から動力が伝達される入力軸と、ファイナルドライブギヤおよび前記複数の入力ギヤに噛み合う複数の出力ギヤを有する出力軸とを備えた変速機構と、前記ファイナルドライブギヤに噛み合うファイナルドリブンギヤを有し、前記変速機構から伝達される動力を左右の駆動輪に伝達するディファレンシャル装置と、前記変速機構および前記ディファレンシャル装置を収容する変速機ケースと、前記変速機ケースの上部に取付けられたモータと、前記モータの動力を減速して前記変速機構に伝達する減速機構と、前記減速機構を収容する減速機ケースとを備え、前記変速機ケースの側壁に、前記ディファレンシャル装置を回転自在に支持する支持部が設けられたハイブリッド車両用駆動装置であって、前記減速機ケースは、前記変速機ケースに一体に形成され、前記減速機構を取り囲むケース部と、前記ケース部に接合されたカバー部とを有し、前記ケース部は、前記変速機ケースの内部を、前記減速機構と前記変速機構とを収容する第1の収容室と、前記変速機構と前記ディファレンシャル装置とを収容する第2の収容室とに仕切る隔壁部と、前記隔壁部から前記変速機ケースの上壁よりも上方に延び、延びる方向の上部に前記モータが取付けられるモータ取付部を有する縦壁部と、前記減速機構を取り囲むように前記隔壁部および前記縦壁部から前記入力軸の軸方向外方に突出し、延びる方向の先端部に前記カバー部が接合された周壁部とを備えており、前記変速機ケースを前記入力軸の軸方向から見た場合に、前記変速機ケースの前記側壁に、前記支持部を取り囲む円弧状のリブが形成されており、前記リブの延びる方向の一端部および他端部の少なくとも一方の端部が前記周壁部に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように上記の本発明によれば、変速機ケースの構造を利用してディファレンシャル装置を支持する支持部の剛性を向上でき、ファイナルドライブギヤとファイナルドリブンギヤとの噛み合いによって軸同士が離れようとする斥力に対して変速機ケースが振動することや変形することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両用駆動装置の左側面図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両用駆動装置の後面図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両用駆動装置の斜視図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両用駆動装置のスケルトン図である。
図5図5は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両用駆動装置の左側面図であり、カバー部材を取り外した状態を示す。
図6図6は、図1のVI-VI方向矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両用駆動装置は、複数の入力ギヤを有し、動力源から動力が伝達される入力軸と、ファイナルドライブギヤおよび複数の入力ギヤに噛み合う複数の出力ギヤを有する出力軸とを備えた変速機構と、ファイナルドライブギヤに噛み合うファイナルドリブンギヤを有し、変速機構から伝達される動力を左右の駆動輪に伝達するディファレンシャル装置と、変速機構およびディファレンシャル装置を収容する変速機ケースと、変速機ケースの上部に取付けられたモータと、モータの動力を減速して変速機構に伝達する減速機構と、減速機構を収容する減速機ケースとを備え、変速機ケースの側壁に、ディファレンシャル装置を回転自在に支持する支持部が設けられたハイブリッド車両用駆動装置であって、減速機ケースは、変速機ケースに一体に形成され、減速機構を取り囲むケース部と、ケース部に接合されたカバー部とを有し、ケース部は、変速機ケースの内部を、減速機構と変速機構とを収容する第1の収容室と、変速機構とディファレンシャル装置とを収容する第2の収容室とに仕切る隔壁部と、隔壁部から変速機ケースの上壁よりも上方に延び、延びる方向の上部にモータが取付けられるモータ取付部を有する縦壁部と、減速機構を取り囲むように隔壁部および縦壁部から入力軸の軸方向外方に突出し、延びる方向の先端部にカバー部が接合された周壁部とを備えており、変速機ケースを入力軸の軸方向から見た場合に、変速機ケースの側壁に、支持部を取り囲む円弧状のリブが形成されており、リブの延びる方向の一端部および他端部の少なくとも一方の端部が周壁部に連結されている。
【0013】
これにより、本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両用駆動装置は、変速機ケースの構造を利用してディファレンシャル装置を支持する支持部の剛性を向上でき、ファイナルドライブギヤとファイナルドリブンギヤとの噛み合いによって軸同士が離れようとする斥力に対して変速機ケースが振動することや変形することを抑制できる。
【実施例
【0014】
以下、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両用駆動装置について、図面を用いて説明する。
図1から図6は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両用駆動装置を示す図である。
【0015】
図1から図6において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態のハイブリッド車両用駆動装置の上下前後左右方向とし、車両の前後方向に対して直交する方向が左右方向、ハイブリッド車両用駆動装置の高さ方向が上下方向である。
【0016】
まず、構成を説明する。
図1において、ハイブリッド車両(以下、単に車両という)1は、車体2を備えており、車体2は、ダッシュパネル3によって前側のエンジンルーム2Aと後側の車室2Bとに仕切られている。エンジンルーム2Aにはハイブリッド車両用駆動装置(以下、単に駆動装置という)4が設置されており、駆動装置4は、前進6速、後進1速の変速段を有する。
【0017】
図2において、駆動装置4は、変速機ケース5を備えており、変速機ケース5は、ライトケース6およびレフトケース7を有する。
【0018】
ライトケース6には内燃機関からなるエンジン8が連結されている。エンジン8は、クランク軸9を有し(図4参照)、クランク軸9は、車両1の幅方向に延びるように設置されている。すなわち、本実施例のエンジン8は、横置きエンジンから構成されており、本実施例の車両1は、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)車両である。本実施例のエンジン8は、動力源を構成する。
【0019】
レフトケース7は、ライトケース6に対してエンジン8と反対側に連結されている。すなわち、レフトケース7は、ライトケース6の左側に連結されている。ライトケース6の左側の外周縁にはフランジ部6Fが形成されている。
【0020】
図1図2において、レフトケース7の右側の外周縁にはフランジ部7Fが形成されている。ライトケース6のフランジ部6Fとレフトケース7のフランジ部7Fは、ライトケース6とレフトケース7の結合部であり、それぞれの左右方向に向く端面は、重ね合わされて結合される接合面(合わせ面)となっている。
【0021】
フランジ部7Fにはボルト23A(図1参照)が挿入される図示しない複数のボス部が設けられており、フランジ部6Fにはフランジ部7Fのボス部に合致する図示しない複数のボス部が形成されている。
【0022】
変速機ケース5は、ボルト23Aがフランジ部6Fのボス部とフランジ部7Fのボス部に締結されることにより、ライトケース6とレフトケース7が締結されて一体化され、変速機ケース5を構成する。
【0023】
ライトケース6にはクラッチ10(図4参照)が収容されている。レフトケース7には、図4に示す入力軸11、前進用出力軸12、後進用出力軸13およびディファレンシャル装置15が収容されている。
【0024】
入力軸11、前進用出力軸12および後進用出力軸13は、平行に設置されている。本実施例の前進用出力軸12は、本発明の出力軸を構成する。
【0025】
図4において、入力軸11は、クラッチ10を介してエンジン8に連結されており、クラッチ10を介してエンジン8の動力が伝達される。入力軸11は、1速段用の入力ギヤ16A、2速段用の入力ギヤ16B、3速段用の入力ギヤ16C、4速段用の入力ギヤ16D、5速段用の入力ギヤ16Eおよび6速段用の入力ギヤ16Fを有する。
【0026】
入力ギヤ16A、16Bは、入力軸11に固定されており、入力軸11と一体で回転する。入力ギヤ16Cから入力ギヤ16Fは、入力軸11に図示しないニードルベアリングを介して相対回転自在に設けられている。
【0027】
前進用出力軸12は、1速段用の出力ギヤ17A、2速段用の出力ギヤ17B、3速段用の出力ギヤ17C、4速段用の出力ギヤ17D、5速段用の出力ギヤ17E、6速段用の出力ギヤ17Fおよび前進用のファイナルドライブギヤ17Gを有し、出力ギヤ17Aから出力ギヤ17Fは、同一の変速段を構成する入力ギヤ16Aから入力ギヤ16Fに噛み合っている。
【0028】
出力ギヤ17A、17Bは、前進用出力軸12に図示しないニードルベアリングを介して相対回転自在に設けられている。出力ギヤ17Cから出力ギヤ17Fおよびファイナルドライブギヤ17Gは、前進用出力軸12に固定されており、前進用出力軸12と一体で回転する。
【0029】
1速段においては、エンジン8の動力が入力軸11から入力ギヤ16Aおよび出力ギヤ17Aを介して前進用出力軸12に伝達される。2速段においては、エンジン8の動力が入力軸11から入力ギヤ16Bおよび出力ギヤ17Bを介して前進用出力軸12に伝達される。
【0030】
出力ギヤ17Aと出力ギヤ17Bの間において前進用出力軸12上には第1の同期装置18が設けられている。
【0031】
第1の同期装置18は、シフト操作によって1速段にシフトされると、1速段の出力ギヤ17Aを前進用出力軸12に連結し、シフト操作によって2速段にシフトされると、2速段用の出力ギヤ17Bを前進用出力軸12に連結する。この操作により、出力ギヤ17Aまたは出力ギヤ17Bは、前進用出力軸12に連結され、前進用出力軸12と一体で回転する。
【0032】
入力ギヤ16Cと入力ギヤ16Dの間において入力軸11上には第2の同期装置19が設けられている。
【0033】
第2の同期装置19は、シフト操作によって3速段にシフトされると、入力ギヤ16Cを入力軸11に連結し、シフト操作によって4速段にシフトされると、入力ギヤ16Dを入力軸11に連結する。この操作により、入力ギヤ16Cまたは入力ギヤ16Dが入力軸11に連結され、入力軸11と一体で回転する。
【0034】
3速段においては、エンジン8の動力が入力軸11から入力ギヤ16Cおよび出力ギヤ17Cを介して前進用出力軸12に伝達される。4速段においては、エンジン8の動力が入力軸11から入力ギヤ16Dおよび出力ギヤ17Dを介して前進用出力軸12に伝達される。
【0035】
このように入力軸11上に設けられた第2の同期装置19は、入力ギヤ16Cと出力ギヤ17Cからなる1つの変速ギヤ組と、入力ギヤ16Dと出力ギヤ17Dからなる1つの変速ギヤ組との中から1つの変速ギヤ組を選択し、入力軸11から選択された変速ギヤ組を介して前進用出力軸12に動力を伝達させる。
【0036】
入力ギヤ16Eと入力ギヤ16Fの間において入力軸11上には第3の同期装置20が設けられている。
【0037】
第3の同期装置20は、シフト操作によって5速段にシフトされると、入力ギヤ16Eを入力軸11に連結し、シフト操作によって6速段にシフトされると、入力ギヤ16Fを入力軸11に連結する。この操作により、入力ギヤ16Eまたは入力ギヤ16Fが入力軸11に連結され、入力軸11と一体で回転する。
【0038】
5速段においては、エンジン8の動力が入力軸11から入力ギヤ16Eおよび出力ギヤ17Eを介して前進用出力軸12に伝達される。6速段においては、エンジン8の動力が入力軸11から入力ギヤ16Fおよび出力ギヤ17Fを介して前進用出力軸12に伝達される。
【0039】
後進用出力軸13にはリバースギヤ22Aおよび後進用のファイナルドライブギヤ22Bが設けられている。リバースギヤ22Aは、後進用出力軸13に図示しないニードルベアリングを介して相対回転自在に設けられており、出力ギヤ17Aに噛み合っている。ファイナルドライブギヤ22Bは、後進用出力軸13に固定されており、後進用出力軸13と一体で回転する。
【0040】
後進用出力軸13には第4の同期装置21が設けられている。第4の同期装置21は、シフト操作によって後進段にシフトされると、リバースギヤ22Aを後進用出力軸13に連結する。この操作により、リバースギヤ22Aは、後進用出力軸13に連結され、後進用出力軸13と一体で回転する。
【0041】
後進段においては、エンジン8の動力が入力軸11から入力ギヤ16A、前進用出力軸12と相対回転する出力ギヤ17Aおよびリバースギヤ22Aを介して後進用出力軸13に伝達される。
【0042】
前進用のファイナルドライブギヤ17Gおよび後進用のファイナルドライブギヤ22Bは、ディファレンシャル装置15のファイナルドリブンギヤ15Aに噛み合っている。これにより、前進用出力軸12の動力および後進用出力軸13の動力は、前進用のファイナルドライブギヤ17Gまたは後進用のファイナルドライブギヤ22Bを経てディファレンシャル装置15に伝達される。
【0043】
ディファレンシャル装置15は、ファイナルドリブンギヤ15Aと、ファイナルドリブンギヤ15Aが外周部に取付けられたデフケース15Bと、デフケース15Bに内蔵された差動機構15Cとを有する。
【0044】
図6において、デフケース15Bの右端部には筒状部15mが設けられており、筒状部15mには右側のドライブシャフト24R(図4参照)の一端部が挿通されている。デフケース15Bの左端部には筒状部15n(図3参照)が設けられており、筒状部15nには左側のドライブシャフト24L(図4参照)の一端部が挿通されている。
【0045】
図4に示すように、左右のドライブシャフト24L、24Rの一端部は、差動機構15Cに連結されており、左右のドライブシャフト24L、24Rの他端部は、左右の駆動輪40L、40Rに連結されている。ディファレンシャル装置15は、エンジン8の動力を差動機構15Cによって左右のドライブシャフト24L、24Rに分配して駆動輪40L、40Rに伝達する。
【0046】
本実施例の入力軸11、前進用出力軸12、入力ギヤ16Aから入力ギヤ16F、出力ギヤ17Aから出力ギヤ17Fおよびファイナルドライブギヤ17Gは、変速機構41を構成する。
【0047】
図2において、レフトケース7の上部にはモータ32が設置されている。モータ32は、モータケース32Aと、モータケース32Aに回転自在に支持されたモータ軸32B(図4参照)とを有する。モータケース32Aの内部にはいずれも図示しないロータと、コイルが巻き付けられたステータが収容されており、モータ軸32Bは、ロータと一体に設けられている。
【0048】
モータ32において、コイルに三相交流が供給されることにより、周方向に回転する回転磁界を発生する。ステータは、発生した磁束をロータに鎖交させることにより、モータ軸32Bと一体のロータを回転駆動させる。
【0049】
図2において、レフトケース7には減速機ケース25が設けられており、減速機ケース25は、ケース部26およびカバー部27を有する。減速機ケース25には減速機構33(図5参照)が収容されている。
【0050】
図4において、減速機構33は、モータ32のモータ軸32Bに設けられた第1のドライブギヤ34と、第1の中間軸35と、第2の中間軸36と、前進用出力軸12に設けられた4速段用の出力ギヤ17Dとを備えている。
【0051】
第1の中間軸35には第1のドリブンギヤ35Aおよび第2のドライブギヤ35Bが設けられている。第2の中間軸36には第2のドリブンギヤ36Aおよび第3のドライブギヤ36Bが設けられている。
【0052】
第1のドリブンギヤ35Aは、第1のドライブギヤ34の直径よりも大径に形成されており、第1のドライブギヤ34に噛み合っている。第2のドライブギヤ35Bは、第1のドリブンギヤ35Aおよび第2のドリブンギヤ36Aの直径よりも小径に形成されており、第2のドリブンギヤ36Aに噛み合っている。
【0053】
第3のドライブギヤ36Bは、第2のドリブンギヤ36Aの直径と同一径で、かつ、4速段用の出力ギヤ17Dの直径よりも大径に形成されており、4速段用の出力ギヤ17Dに噛み合っている。
【0054】
減速機構33は、ドライブギヤ34、35B、36Bおよびドリブンギヤ35A、36Aの直径が任意の減速比となるように設定されることにより、モータ32の動力を減速して前進用出力軸12に伝達する。
【0055】
図2図5に示すように、ケース部26は、側壁部28を有する。側壁部28は、レフトケース7の上壁7Aから上方に延びる縦壁部28Aと、縦壁部28Aの下部からレフトケース7の上壁7Aよりも下方に延びる隔壁部28Bとを有する。
【0056】
本実施例の側壁部28は、縦壁部28Aおよび隔壁部28Bが一体に形成されており、レフトケース7の上壁7Aを境にして上壁7Aよりも上方に位置する部位が縦壁部28Aを構成し、上壁7Aよりも下方に位置する部位が隔壁部28Bを構成する。
【0057】
図2図6において、ケース部26は、周壁部29を有し、周壁部29は、縦壁部28Aおよび隔壁部28Bから入力軸11の軸方向外方(左方)に向かって突出している。入力軸11の軸方向は、車両1の幅方向(左右方向)であり、前進用出力軸12と後進用出力軸13の軸方向も同じ幅方向である。
【0058】
図2に示すように、周壁部29の上端29uは、レフトケース7の上壁7Aよりも上方に延びており、隔壁部28Bの下端は、周壁部29の下部に連結されている。
【0059】
図5に示すように、入力軸11の軸方向から見て周壁部29は、L字形状に形成されており、減速機構33を取り囲んでいる。図1において、カバー部27は、ボルト23Bによって周壁部29の突出方向の先端部29tに接合(締結)されており(図2参照)、周壁部29の開口端を閉塞している。
【0060】
図6に示すように、隔壁部28Bは、レフトケース7の内部を減速機構収容室45とギヤ収容室47とに仕切っている。
【0061】
図5図6において、隔壁部28Bには開口部28hが形成されており、入力軸11および前進用出力軸12は、開口部28hを通して減速機構収容室45とギヤ収容室47とに設置されている。
【0062】
入力ギヤ16A、16B、16Cおよび出力ギヤ17A、17B、17Cは、ギヤ収容室47に設置されており、入力ギヤ16D、16E、16Fおよび出力ギヤ17D、17E、17Fおよび減速機構33は、減速機構収容室45に設置されている。
【0063】
具体的には、減速機構33は、カバー部27と、周壁部29と、側壁部28によって囲まれる減速機構収容室45に収容されている。図6に示すように、減速機構33は、カバー部27と周壁部29と隔壁部28Bとによって囲まれた減速機構収容室45に収容されている。
【0064】
図2図5において、縦壁部28Aの上部にはモータ取付部28Cが設けられている。モータ取付部28Cは、モータ32の外径、すなわち、モータケース32Aの外径と同等の外径を有する円盤状に形成されている。
【0065】
モータ取付部28Cの外周部には複数のボス部28mが設けられており、ボス部28mは、モータ取付部28Cの外周部に沿って設けられている。モータ取付部28Cにはボルト23C(図5参照)が挿通され、ボルト23Cがモータケース32Aに形成された図示しないねじ溝に締結されることにより、モータ32がモータ取付部28Cに締結される。
【0066】
モータ32の後方にはモータコネクタ32Cが設けられており、モータコネクタ32Cにはモータ32を駆動するための図示しないパワーケーブルが接続されている。
【0067】
モータ32の上部には冷却水導入管部32aと冷却水排出管部32bが設けられている。冷却水導入管部32aは、モータ32に冷却水を導入し、冷却水排出管部32bは、モータ32を冷却した冷却水をモータ32から排出する。
【0068】
図1図2に示すように、変速機ケース5にはフロントブラケット46Aおよびリヤブラケット46Bが設けられている。フロントブラケット46Aは、モータケース32Aの右端部とライトケース6とを連結しており、モータケース32Aをライトケース6に支持している。
【0069】
リヤブラケット46Bは、モータコネクタ32Cの後端部とライトケース6とを連結しており、モータコネクタ32Cをライトケース6に支持している。このように、モータ32は、モータ取付部28Cと反対側がライトケース6に連結されている。本実施例の減速機構収容室45は、本発明の第1の収容室を構成し、ギヤ収容室47は、本発明の第2の収容室を構成する。
【0070】
図2において、ライトケース6側の左側壁6Bには支持部6Cが設けられており、デフケースの筒状部15mは、軸受55(図6参照)を介して支持部6Cに回転自在に支持されている。
【0071】
図3図5において、レフトケース7の左側壁7Bには支持部7C(図1参照)が設けられている。デフケース15Bの筒状部15nは、図示しない軸受を介して支持部7Cに回転自在に支持されている。
【0072】
支持部7Cは、レフトケース7の左側壁7Bから入力軸11の軸方向外方(左方)に突出しており、筒状に形成されている。支持部6Cは、ライトケース6の左側壁6Bから入力軸11の軸方向外方(右方)に突出しており、筒状に形成されている。
【0073】
図5において、レフトケース7の左側壁7Bには第1のリブ51が設けられている。変速機ケース5を入力軸11の軸方向から見た場合、すなわち、変速機ケース5を車両1の幅方向の左側面から見た場合に、第1のリブ51は、支持部7Cを取り囲む円弧状に形成されている。第1のリブ51は、レフトケース7の左側壁7Bから入力軸11の軸方向外方(左方)に突出している。本実施例の左側壁7Bは、本発明の側壁を構成する。
【0074】
周壁部29は、減速機構33よりも下方において水平方向に延びる水平壁部29aと、減速機構33の後方において上下方向に延びる垂直壁部29bと、水平壁部29aと垂直壁部29bとを連絡する傾斜壁部29cとを有する。隔壁部28Bの下端は、水平壁部29aと傾斜壁部29cに連結されている。
【0075】
第1のリブ51の延びる方向の一端部51aは、傾斜壁部29cと垂直壁部29bの連絡部付近において周壁部29に連結されている。
【0076】
周壁部29よりも下方において、レフトケース7の左側壁7Bにはポンプ収容部48が設けられている。ポンプ収容部48は、入力軸11の軸方向に延びる筒状に形成されている。
【0077】
ポンプ収容部48にはオイルポンプ49が設けられている。オイルポンプ49は、後進用出力軸13の左端部に連結されており、後進用出力軸13によって駆動され、変速機ケース5の底部に貯留されるオイルを吸入して吐出する。
【0078】
オイルポンプ49は、後進用出力軸13によって駆動される機械式のオイルポンプから構成されているが、電動式のオイルポンプからから構成されてもよい。要は、変速機ケース5の底部に貯留されるオイルを吸入して吐出できる構成であれば、何でもよい。
【0079】
第1のリブ51の延びる方向の他端部51bは、ポンプ収容部48の下部に連結されている。このように第1のリブ51は、傾斜壁部29cと垂直壁部29bの連絡部付近から支持部7Cを取り囲むようにレフトケース7のフランジ部7Fの内縁に沿って延び、延びる方向の他端部51bがポンプ収容部48に連結されている。ポンプ収容部48の上部は、周壁部29の水平壁部29aに連結されている。
【0080】
第1のリブ51の内側において、レフトケース7の左側壁7Bには第2のリブ52が設けられている。第2のリブ52の延びる方向の一端部52aは、水平壁部29aと傾斜壁部29cの連絡部付近に連結されており、第2のリブ52の延びる方向の一端部52a側は、ポンプ収容部48の上部に連結されている。
【0081】
このように、ポンプ収容部48は、上下方向において第2のリブ52の延びる方向の一端部52aと第1のリブ51の延びる方向の他端部51bとに挟まれるようにして設置されている。
【0082】
図2に示すように、第1のリブ51の延びる方向の一端部51aと第2のリブ52の延びる方向の一端部52aは、入力軸11の軸方向において隔壁部28Bを跨いで周壁部29に連結されている。
【0083】
図5に示すように、第1のリブ51の内側において、レフトケース7の左側壁7Bには第3のリブ53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g、53h、53i、53jが設けられている。第3のリブ53aから第3のリブ53jは、支持部7Cから放射方向外方に延びており、第3のリブ53b、53c、53d、53eは、第1のリブ51と第2のリブ52とを連結している。
【0084】
第2のリブ52の延びる方向の他端部52bは、第3のリブ53aから第3のリブ53eのうち、最も後方に位置する第3のリブ53eに連結されている。第2のリブ52は、一端部52aから後方に延び、他端部52bがファイナルドリブンギヤ15Aの回転軸15aよりも後方に位置している。
【0085】
レフトケース7の左側壁7Bにおいて、第1のリブ51の一端部51aの真下には膨出部7Dが設けられている。膨出部7Dは、レフトケース7の左側壁7Bから入力軸11の軸方向外方(左方)に膨出しており、第3のリブ53aから第3のリブ53jのうち、最も上方に位置する第3のリブ53hに連結されている。
【0086】
次に、作用を説明する。
前進用出力軸12のファイナルドライブギヤ17Gとディファレンシャル装置15のファイナルドリブンギヤ15Aとが噛み合っている。
【0087】
これにより、ファイナルドライブギヤ17Gからファイナルドリブンギヤ15Aに動力が伝達されるときに、ファイナルドライブギヤ17Gとファイナルドリブンギヤ15Aとの噛み合いによって前進用出力軸12とファイナルドリブンギヤ15Aの回転軸15aが離れようとする斥力F1が前進用出力軸12の軸線O1とファイナルドリブンギヤ15Aの回転軸15aの軸線O2を結んだ方向に作用する(図5参照)。
【0088】
この斥力F1は、ディファレンシャル装置15を支持する支持部7Cからレフトケース7の左側壁7Bに入力されるので、レフトケース7が変形したり、振動するおそれがある。
【0089】
本実施例の駆動装置4によれば、レフトケース7の左側壁7Bに、ディファレンシャル装置15を回転自在に支持する支持部7Cが設けられている。
【0090】
変速機ケース5を入力軸11の軸方向から見た場合に、レフトケース7の左側壁7Bには支持部7Cを取り囲む円弧状の第1のリブ51が形成されており、第1のリブ51の延びる方向の一端部51aが周壁部29に連結されている。
【0091】
これにより、第1のリブ51によって支持部7Cの剛性を高くできる上に、ディファレンシャル装置15から支持部7Cに入力された斥力F1を第1のリブ51を通して周壁部29で受けることができる。
【0092】
一方、周壁部29は、隔壁部28Bから前進用出力軸12の軸方向に突出しており、箱型に形成されているので剛性が高い。これに加えて、第1のリブ51の一端部51aを前進用出力軸12の軸方向の広い範囲で剛性の高い周壁部29に連結できるので、斥力F1を剛性の高い周壁部29の広い範囲で受けることができる。
【0093】
このように、本実施例の駆動装置4は、変速機ケース5の周壁部29を利用してディファレンシャル装置15を支持する支持部7Cの剛性を向上でき、ファイナルドライブギヤ17Gとファイナルドリブンギヤ15Aの噛み合いによる斥力F1に対して変速機ケース5が振動することや変形することを抑制できる。
【0094】
このため、変速機ケース5の変形や振動に伴う荷重が駆動装置4から車体2に伝達されることを抑制でき、車両1の乗り心地が悪化することを防止できる。また、エンジン8の始動時等においては、ディファレンシャル装置15から変速機ケース5に過大な荷重が伝達されるが、斥力F1に対して変速機ケース5が振動することや変形することを抑制できるので、始動時に車両1の乗り心地が悪化することを防止できる。
【0095】
また、ディファレンシャル装置15の自重等により、支持部7Cに上下方向の荷重やファイナルドリブンギヤ15Aの回転方向の荷重F2(図5参照)が加わることがある。
【0096】
本実施例の駆動装置4によれば、第1のリブ51が支持部7Cを取り囲む円弧状に形成されている。
【0097】
これにより、ディファレンシャル装置15から支持部7Cに上下方向に加わる荷重や、ファイナルドリブンギヤ15Aの回転により支持部7Cに加わるファイナルドリブンギヤ15Aの回転方向の荷重F2に対して支持部7Cの剛性を向上できるとともに、これらの荷重F2等を第1のリブ51を通して周壁部29で受けることができる。
【0098】
このため、これらの上下方向に加わる荷重や、ファイナルドリブンギヤ15Aの回転方向に加わる荷重F2に対して支持部7Cの剛性を高くでき、変速機ケース5が振動することや変形することを抑制できる。
【0099】
また、本実施例の駆動装置4によれば、周壁部29は、減速機構33よりも下方において水平方向に延びる水平壁部29aと、減速機構33の側方において上下方向に延びる垂直壁部29bと、水平壁部29aと垂直壁部29bとを連絡する傾斜壁部29cとを有する。
【0100】
第1のリブ51の延びる方向の一端部51aは、傾斜壁部29cと垂直壁部29bの連絡部付近に連結されている。
【0101】
このように、第1のリブ51の延びる方向の一端部51aを、周壁部29の中でも剛性の高い傾斜壁部29cと垂直壁部29bの連絡部付近に連結することにより、ディファレンシャル装置15から支持部7Cに入力された斥力F1を、第1のリブ51を通してより一層剛性の高い周壁部29で受けることができる。このため、斥力F1に対して変速機ケース5が振動することや変形することをより効果的に抑制できる。
【0102】
なお、第1のリブ51の延びる方向の一端部51aが傾斜壁部29cと垂直壁部29bの連絡部付近に連結され、延びる方向の他端部51bが水平壁部29aと傾斜壁部29cの連絡部付近に連結されてもよい。
【0103】
また、第1のリブ51の延びる方向の一端部51aが周壁部29に連結されずに、延びる方向の他端部51bが水平壁部29aと傾斜壁部29cの連絡部付近に連結されてもよい。
【0104】
また、本実施例の駆動装置4のレフトケース7の左側壁7Bには、前進用出力軸12の軸方向に延び、オイルポンプ49を収容する筒状のポンプ収容部48が設けられており、第1のリブ51の延びる方向の他端部51bは、ポンプ収容部48に連結されている。
【0105】
このように、第1のリブ51の延びる方向の一端部51aを剛性の高い周壁部29に連結し、第1のリブ51の延びる方向の他端部51bを剛性の高いポンプ収容部48に連結することにより、剛性の高い周壁部29とポンプ収容部48によってディファレンシャル装置15を支持する支持部7Cの剛性をより一層高くできる。
【0106】
さらに、ファイナルドライブギヤ17Gとファイナルドリブンギヤ15Aの噛み合いによる斥力F1を第1のリブ51を介して周壁部29およびポンプ収容部48で受けることができ、変速機ケース5が振動することや変形することをより効果的に抑制できる。
【0107】
また、本実施例の駆動装置4によれば、ポンプ収容部48は、周壁部29に連結されているので、周壁部29をポンプ収容部48で補強できる上に、ポンプ収容部48を周壁部29によって補強できる。
【0108】
このため、より一層剛性の高い周壁部29とポンプ収容部48によってディファレンシャル装置15を支持する支持部7Cの剛性をより一層向上できる。
【0109】
さらに、ファイナルドライブギヤ17Gとファイナルドリブンギヤ15Aの噛み合いによる斥力F1を第1のリブ51を介してより一層剛性の高い周壁部29とポンプ収容部48とで受けることができ、変速機ケース5が振動することや変形することをより効果的に抑制できる。
【0110】
また、本実施例の駆動装置4によれば、第1のリブ51の内側のレフトケース7の左側壁7Bに第2のリブ52が設けられている。第2のリブ52の延びる方向の一端部52aは、水平壁部29aと傾斜壁部29cの連絡部付近に連結されており、第2のリブ52の延びる方向の一端部52a側は、ポンプ収容部48に連結されている。
【0111】
これに加えて、レフトケース7の左側壁7Bに、支持部7Cから放射方向外方に延びる第3のリブ53aから第3のリブ53jが設けられており、第3のリブ53bから第3のリブ53eが第1のリブ51と第2のリブ52とを連結している。
【0112】
このようにレフトケース7の左側壁7Bにおいて支持部7Cの周囲に第2のリブ52と複数の第3のリブ53aから第3のリブ53jとを設けることにより、レフトケース7の左側壁7Bの平坦面を減少させて、レフトケース7の左側壁7Bの剛性をより一層高くでき、支持部7Cの剛性をより一層向上できる。
【0113】
また、複数の第3のリブ53bから第3のリブ53eによって第1のリブ51と第2のリブ52とを連結しているので、ファイナルドライブギヤ17Gとファイナルドリブンギヤ15Aの噛み合いによる斥力F1を、第3のリブ53bから第3のリブ53e、第2のリブ52および第1のリブ51を介して剛性の高い周壁部29およびポンプ収容部48で受けることができ、変速機ケース5が振動することや変形することをより効果的に抑制できる。
【0114】
また、本実施例の駆動装置4によれば、第1のリブ51の延びる方向の一端部51aと第2のリブ52の延びる方向の一端部52aは、入力軸11の軸方向において隔壁部28Bを跨いで周壁部29に連結されている。
【0115】
これにより、第1のリブ51の延びる方向の一端部51aと第2のリブ52の延びる方向の一端部52aを隔壁部28Bに連結される剛性の高い周壁部29の部位に連結できる。このため、レフトケース7の左側壁7Bの剛性をより一層高くでき、支持部7Cの剛性をより一層向上できる。この結果、変速機ケース5が振動することや変形することをより効果的に抑制できる。
【0116】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0117】
1...車両、4...駆動装置(ハイブリッド車両用駆動装置)、5...変速機ケース、6...ライトケース(変速機ケース)、7...レフトケース(変速機ケース)、7A...上壁、7B...左側壁(側壁)、7C...支持部、8...エンジン(動力源)、11...入力軸(変速機構)、12...前進用出力軸(変速機構)、15...ディファレンシャル装置、16A,16B,16C,16D,16E、16F...入力ギヤ(変速機構)、17A,17B,17C,17D,17E、17F...出力ギヤ(変速機構)、17G...ファイナルドライブギヤ(変速機構)、28A...縦壁部、28B...隔壁部、28C...モータ取付部、29...周壁部、29a...水平壁部、29b...垂直壁部、29c...傾斜壁部、29t...先端部(周壁部の延びる方向の先端部)、33...減速機構、40L,40R...駆動輪、41...変速機構、45...減速機構収容室(第1の収容室)、47...ギヤ収容室(第2の収容室)、48...ポンプ収容部、49...オイルポンプ、51...第1のリブ、51a...一端部(第1のリブの延びる方向の一端部)、51b...他端部(第1のリブの延びる方向の他端部)、52...第2のリブ、52a...一端部(第2のリブの延びる方向の一端部)、53b,53c,53d,53e...第3のリブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6