(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】パネルユニットの設置方法
(51)【国際特許分類】
H02S 30/00 20140101AFI20221206BHJP
H02S 20/30 20140101ALI20221206BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20221206BHJP
E04B 1/86 20060101ALI20221206BHJP
E01F 8/00 20060101ALI20221206BHJP
H02S 20/20 20140101ALI20221206BHJP
H01L 31/042 20140101ALI20221206BHJP
【FI】
H02S30/00
H02S20/30 A
H02S20/10 C
H02S20/10 Q
H02S20/10 S
E04B1/86 X
E01F8/00
H02S20/20 100
H01L31/04 500
(21)【出願番号】P 2018243108
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】三浦 国春
(72)【発明者】
【氏名】内海 豊
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-052533(JP,A)
【文献】中国実用新案第204266870(CN,U)
【文献】特開2009-235757(JP,A)
【文献】中国実用新案第203499509(CN,U)
【文献】特開2009-215710(JP,A)
【文献】特開平09-021117(JP,A)
【文献】特開2014-098263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S10/00-99/00
E01F8/00-8/02
E06B9/24-9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定間隔で配置された複数の支柱のうちの第1支柱及び第2支柱の間に配置され、第1辺、第2辺、第3辺及び第4辺を有するパネルユニットの設置方法であって、
前記パネルユニットは、長方形板形状の複数の太陽光電池セルを有するパネル部を備え、
前記太陽光電池セルの長手方向が前記第3辺及び前記第4辺と平行で、前記太陽光電池セルの長手方向の両端部に固定された支持軸を中心として回転する方向に傾けた状態で、前記太陽光電池セルが並べられており、
前記第1辺及び前記第2辺は、相互に対向するとともに、前記第1支柱及び前記第2支柱に取付可能な第1距離を有し、前記第3辺及び前記第4辺は、相互に対向するとともに、前記第1支柱及び前記第2支柱に取付可能な第2距離を有し、
前記パネルユニットの設置場所に応じて、
前記複数の支柱に対して、前記第1辺を垂直方向とする第1取付方向、及び前記第1取付方向を90度回転させた前記第1辺を水平方向とする第2取付方向のいずれかの取付方向に取り付けることを特徴とするパネルユニットの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路の壁等のように、帯形状の構造物に配置される太陽光電池セルを備えたパネルユニットの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路の両脇には、遮音や防音を行なう壁が配置されることがある。更に、この壁に太陽光電池パネルを取り付けて、太陽光エネルギーを活用する技術もある(例えば、特許文献1参照。)。この文献においては、遮音壁を構成する湾曲部の面内に、その高さ方向に対してN段にわたり太陽電池パネルを複数設置し、これらを接続して集電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、太陽光電池セルのパネルを壁やその湾曲部に設けた場合には、そのパネルの受光面は、ほぼ鉛直面となり、発電効率が悪く、発電量が少なかった。
更に、既設構造物にパネルを取り付ける場合には、構造物の利用を妨げないように取付作業を行なう必要がある。例えば、高速道路の場合には、取付時に高速道路を閉鎖するため、取付作業を短時間で終わらせる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するパネルユニットの設置方法は、一定間隔で配置された複数の支柱のうちの第1支柱及び第2支柱の間に配置され、第1辺、第2辺、第3辺及び第4辺を有するパネルユニットの設置方法であって、前記パネルユニットは、長方形板形状の複数の太陽光電池セルを有するパネル部を備え、前記太陽光電池セルの長手方向が前記第3辺及び前記第4辺と平行で、前記太陽光電池セルの長手方向の両端部に固定された支持軸を中心として回転する方向に傾けた状態で、前記太陽光電池セルが並べられており、前記第1辺及び前記第2辺は、相互に対向するとともに、前記第1支柱及び前記第2支柱に取付可能な第1距離を有し、前記第3辺及び前記第4辺は、相互に対向するとともに、前記第1支柱及び前記第2支柱に取付可能な第2距離を有し、前記パネルユニットの設置場所に応じて、前記複数の支柱に対して、前記第1辺を垂直方向とする第1取付方向、及び前記第1取付方向を90度回転させた前記第1辺を水平方向とする第2取付方向のいずれかの取付方向に取り付ける。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発電効率を考慮して太陽光電池セルを有するパネルユニットを効率的に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態において高速道路に設置されたパネルユニットの説明図であって、(a)はパネルユニットが設置された状態、(b)は支柱が設置された状態を示す。
【
図2】実施形態におけるパネルユニットの説明図であって、(a)は第1取付方向のパネルユニット、(b)は(a)を90度回転した第2取付方向のパネルユニット。
【
図3】実施形態におけるパネルユニットに含まれるパネル部の説明図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は太陽光電池セルの端部の拡大図、(d)は設定調整部の要部の拡大図。
【
図4】実施形態におけるパネルユニットの取付時の上面図。
【
図5】変更例において遮音シートを設けたパネルユニットの説明図であって、(a)は第1変更例の側面図、(b)は第1変更例の上面図、(c)は第2変更例の上面図、(d)は第3変更例の上面図、(e)は第4変更例の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図4を用いて、パネルユニット及びパネルユニットの設置方法を具体化した一実施形態を説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態のパネルユニット10は、高速道路W1の両脇に並べて設置される。このパネルユニット10は、
図1(b)に示すように、高速道路W1の両脇に所定間隔で配置された複数の支柱C1の間に配置されて取り付けられる。このパネルユニット10は、正方形形状(矩形形状)を有し、複数の太陽光電池セル23を有する。パネルユニット10は、配置される場所(設置場所)に応じて、太陽光電池セル23が横長となる第1取付方向、又は90度回転して太陽光電池セル23が縦長となる第2取付方向で配置される。第1取付方向は、パネルユニット10の後述する第1辺10aを垂直方向とする取付方向である。また、第2取付方向は、第1取付方向を90度回転させた第1辺10aを水平方向(パネルユニット10の後述する第3辺10cを垂直方向)とする取付方向である。
【0010】
図2(a)は、第1取付方向に配置したパネルユニット10の正面図、
図2(b)は、第2取付方向に配置したパネルユニット10の正面図である。
図2(a)及び(b)に示すように、パネルユニット10は、例えば1.8m程度の正方形形状を有する。
【0011】
パネルユニット10は、4個のパネル部20と、取付部材15とを備える。パネルユニット10は、パネル部20を縦横2個ずつ並べて、パネル部20の隣り合う後述するフレーム部21の側面を固定することにより一体化される。取付部材15は、四角枠形状を有し、一体化されたパネル部20の外側に位置するフレーム部21に取り付けられる。この取付部材15は、互いに対向する第1辺10a及び第2辺10bと、互いに対向する第3辺10c及び第4辺10dとを有する。第3辺10cは、第1辺10aと直交する。本実施形態では、取付部材15の第1辺10a、第2辺10b、第3辺10c、第4辺10dが、パネルユニット10の第1辺、第2辺、第3辺及び第4辺にそれぞれ対応する。各辺(10a,10b,10c,10d)には、複数の貫通孔16が形成される。第1辺10aの貫通孔16と、第2辺10bの貫通孔16との第1距離L1は、2つの支柱(離間した第1支柱及び第2支柱)に取付可能な第1距離である。更に、第3辺10cの貫通孔16と、第4辺10dの貫通孔16との第2距離L2は、第1距離L1と等しい。
【0012】
図3(a)は、パネル部20の正面図、
図3(b)は、パネル部20の側面図、
図3(c)及び(d)は、パネル部20の要部の拡大斜視図である。
図3(a)に示すように、パネル部20は、略四角枠形状のフレーム部21、複数の太陽光電池セル23及び2個の設定調整部25を備える。設定調整部25は、一列に並んだ太陽光電池セル23の両側部にそれぞれ配置される。
【0013】
フレーム部21は、ほぼ正方形形状であって、上面部21a、下面部21b及び2個の側面部21cを有する。
複数の太陽光電池セル23は、設定可能な最大傾斜角度で傾斜した場合でも、上下に重ならない間隔で配置される。この太陽光電池セル23は、太陽光を受光するセルを片面に配置した部材(モジュール)である。本実施形態では、セルの受光面が上面となるように配置される。
【0014】
図3(a)~(c)に示すように、各太陽光電池セル23は、略長方形板形状を有する。太陽光電池セル23の長手方向の両端部の中央には、支持軸24が固定されている。この支持軸24は、フレーム部21の側面部21cに、回転可能に支持される。本実施形態の太陽光電池セル23は、第1辺10a及び第2辺10bの延在方向(長手方向)に対して傾くように回転可能に支持される。
更に、太陽光電池セル23の短手方向の長さL3は、パネルユニット10を設置した場合に、高速道路W1の建築限界を超えない範囲に設けられる。
【0015】
図3(c)~(d)に示すように、設定調整部25は、さや管26、角度調整棒27、複数の角度調整軸28及び固定部材としての固定冶具29を備える。
【0016】
円筒形状のさや管26は、フレーム部21の下面部21bの上に固定される。さや管26の上部には、直径を通る線状に並んだ1対の係合孔26aが形成される。さや管26の内部には、角度調整棒27の下部が嵌合されて配置される。角度調整棒27は、太陽光電池セル23の配列方向に対して変位可能な調整部材である。角度調整棒27の下部には、複数対の調整孔27hが軸方向に並んで形成される。対となる調整孔27hは、直径を通る線状に並ぶ。各調整孔27hは、さや管26の係合孔26aと整合する。係合孔26aが整合する調整孔27hを変更することにより、太陽光電池セル23及びさや管26に対する角度調整棒27の位置(高さ)を変更できる。そして、固定冶具29を、さや管26の係合孔26a及び角度調整棒27の調整孔27hに貫通させることにより、角度調整棒27の高さを固定する。
【0017】
角度調整棒27には、各太陽光電池セル23に応じて、連結部材としての角度調整軸28が設けられる。各角度調整軸28は、太陽光電池セル23の短手方向の一端部側に固定される。角度調整棒27の高さを変更することにより、角度調整軸28が固定された太陽光電池セル23の端部の高さが変更されて、水平方向に対する太陽光電池セル23の角度を変更することができる。本実施形態では、太陽光電池セル23が、水平方向に対して上向き又は下向きに、例えば-40度~40度で、約10度ずつで傾斜を変更できるように、調整孔27hが設けられる。
【0018】
次に、
図4を用いて、上述したパネルユニット10の設置方法について説明する。
(設置作業の前処理)
まず、管理装置を用いて、各パネルユニット10の設置向き及び太陽光電池セル23の角度を定めた取付指示書を作成する。
【0019】
管理装置は、入力部及び出力部を備えたコンピュータ端末である。入力部は、キーボードやポインティングデバイス等であり、出力部は、ディスプレイや印刷装置である。管理装置は、年間の積算日射強度最大値に対する方位・傾斜角度毎の割合(日射強度)を記憶している。この日射強度では、方位として、0度(真南)、45度(南東、南西)、90度(真東)、135度(北東、北西)、180度(真北)を用いる。また、傾斜角度は、0度(水平)、10度、20度、30度、40度を用いる。なお、真北の0度~40度は、真南の0度~-40度である。
【0020】
管理装置は、入力部を介して、パネルユニット10を設置する範囲の高速道路W1、その周辺の地図の情報やその周囲の建物高さ情報等の日射に対する障害物情報を取得する。管理装置は、この地図において、高速道路W1の両脇の位置であって、所定間隔毎に、パネルユニット10の設置場所(設置位置の座標)を特定する。更に、管理装置は、特定した設置場所において各パネルユニット10の配置面の方位を特定する。また、管理装置は、取得した障害物情報から、高速道路W1に隣接する建物B1による影の時間に応じた影形成情報を取得する。
【0021】
そして、管理装置は、配置面の方位及び影形成情報と、記憶している日射強度とを用いて、各パネルユニット10において発電効率が最も高くなる取付方向及び傾斜(0度~40度の範囲で10度毎)を、パネルユニット10毎に特定する。そして、管理装置は、各パネルユニット10の設置場所と、そのパネルユニット10の取付方向(第1取付方向又は第2取付方向)と、設定角度とを関連付けた取付指示データを生成する。管理装置は、取付指示データに基づいて取付指示書を印刷する。この取付指示書には、各パネルユニット10毎に、設置場所、取付方向及び設定角度を記載した一覧表を含める。
【0022】
例えば、配置面の方位が南(北)向きで、南側に建物がなく、この位置(緯度)において最大日射強度が30度の場合には、この設置場所において、第1取付方向及び設定角度30度を取付指示書に含める。
また、配置面の方位が南(北)向きであっても、南側に建物があり、パネルユニット10に真東側からのみ太陽光が入射し、この緯度において最大日射強度が10度の場合には、この設置場所において、第2取付方向及び設定角度10度を取付指示書に含める。
更に、配置面の方位が東(西)向きであって、東西に建物B1等の障害物がない場合は、第1取付方向及び設置角度0度~10度を取付指示書に含める。
更に、配置面の方位が東(西)向きであっても、東西に建物B1等の障害物があり、日射がさえぎられる場合には、第2取付方向及び設定角度30度を取付指示書に含める。
【0023】
(設置作業)
パネルユニット10の設置作業においては、作業員は、まず、複数の支柱C1を、間隔をおいて、高速道路W1の両脇に、順次、立設する。
【0024】
図4に示すように、ここでは、支柱C1としてH形鋼を用いる。この支柱C1の片方のフランジには、ウェブを挟んでフランジの幅方向に、ネジ孔h1が1個ずつ形成されている。このネジ孔h1は、パネルユニット10の貫通孔16に対応する位置に設けられる。
【0025】
そして、
図1(b)に示すように、この支柱C1を、パネルユニット10を取り付ける間隔をおいて配置する。この場合、ネジ孔h1が設けられたフランジが道路側となるように、支柱C1を配置する。
【0026】
そして、道路側から、2個の支柱C1の間に、パネルユニット10を配置する。この場合、作業員は、各パネルユニット10の設置位置において、取り付けるパネルユニット10を、取付指示書で指定された取付方向(第1取付方向又は第2取付方向)に配置する。そして、ボルト30を、各支柱C1のネジ孔h1と整合させた貫通孔16に貫通させて、各支柱C1のネジ孔h1に螺合させ、パネルユニット10を2つの支柱C1に固定する。
【0027】
次に、取付指示書の設定角度となる調整孔27hを、さや管26の係合孔26aと整合し、この調整孔27h及び係合孔26aに固定冶具29を貫通させる。これにより、パネル部20の各太陽光電池セル23の傾きを一度に設定角度にすることができる。
【0028】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のパネルユニット10において、互いに対向する第1辺10aと第2辺10bの第1距離L1と、互いに対向する第3辺10cと第4辺10dとの第2距離L2とは、同じで、かつ2つの支柱C1に取り付け可能な距離である。これにより、第1辺10aが垂直となる第1取付方向及び第3辺10cが垂直となる第2取付方向のうち、設置場所に応じた取付方向で、パネルユニット10を取り付けることができる。従って、各設置場所において、発電効率が高い取付方向でパネルユニット10を取り付けることができる。
【0029】
(2)本実施形態のパネルユニット10は、パネル部20のすべての太陽光電池セル23を連動させて、傾斜を設定する設定調整部25を備える。これにより、パネルユニット10を取り付けた後、太陽光電池セル23を、それぞれの設置場所において、発電効率を考慮した傾斜角度に効率的に設定することができる。
【0030】
(3)本実施形態では、長方形状の太陽光電池セル23の短手方向の一端部側は、角度調整軸28を介して角度調整棒27が設けられる。これにより、角度調整棒27の高さを調整して、太陽光電池セル23の傾斜角度を効率的に設定することができる。
【0031】
(4)本実施形態では、パネルユニット10は、建築限界を超えない範囲の長さL3の複数の太陽光電池セル23を有する。これにより、太陽光電池セルを垂直よりも傾けて発電効率を大きくしても、道路の建築限界を超えないようにすることができる。
(5)本実施形態では、パネルユニット10は、複数のパネル部20を有する。これにより、建築限界を超えない範囲の長さL3を有する太陽光電池セル23の長手方向の長さを短くすることができる。更に、複数のパネル部20を一体化したパネルユニット10を、取り付けることができる。
【0032】
(6)本実施形態では、管理装置は、パネルユニット10の設置場所の配置面の方位及び影形成情報と日射強度とを用いて、発電効率が高くなる取付方向及び傾斜を特定する。そして、管理装置は、各パネルユニット10の設置位置、取付方向及び設定角度を関連付けた取付指示データを含む取付指示書を出力する。これにより、取付指示書を用いて、発電効率が高くなる取付方向及び傾斜となるように、建物B1等の影の影響を考慮しつつ、パネルユニット10を効率的に設置することができる。
【0033】
(7)本実施形態では、道路側のフランジにネジ孔h1を形成した支柱C1に、パネルユニット10の取付部材15の貫通孔16を整合して、ボルト30で取り付ける。これにより、パネルユニット10を道路側から効率的に取り付けることができる。
【0034】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態において、パネルユニット10は、設定調整部25で一度に角度調整できる4個のパネル部20を備える。パネルユニット10が有するパネル部20の数は、これに限られず、2個であってもよいし、縦横3個に並べた9個等であってもよい。この場合、パネル部は、縦横同じ個数に配置する場合に限られない。また、各パネル部20において、太陽光電池セルの設定角度を異ならせてもよい。更に、上記実施形態では、各パネル部20をそれぞれ分離できる構成としたが、隣り合うフレーム部21を共通にして一体化した複数のパネル部としてもよい。
【0035】
・上記実施形態において、第1辺が第2辺の長さが同じであるパネルユニット10を用いた。パネルユニット10は、第1辺及び第2辺の長さが同じである場合に限られず、例えば、2倍等、第1辺の長さが第2辺の長さの整数倍の矩形形状であればよい。この場合には、パネルユニット10を第1取付方向、第1取付方向を90度回転した第2取付方向のいずれかで取り付けることができる。更に、取り付けたパネルユニット10を、既に取り付けられている隣のパネルユニット10と、索部材等によって連結させてもよい。この場合には、強風等があっても、パネルユニット10を脱落し難くすることができる。
【0036】
・上記実施形態のパネルユニット10の各パネル部20は、太陽光電池セル23の傾斜角度を設定する設定調整部25を有する。これに代えて、パネルユニット10において、設定調整部25を省略してもよい。この場合、太陽光電池セル23を、第1辺10a、第2辺10b、第3辺10c、第4辺10dの外周を含む取付面に対して、予め設定した傾斜角度(例えば、真南向きの30度)でフレーム部21に固定してもよい。
【0037】
・上記実施形態のパネルユニット10は、各パネルユニット10において発電効率が最も高くなる取付方向及び傾斜で取り付けた。パネルユニット10の取付方向及び傾斜は、発電効率が最も高くなる場合に限られず、太陽光の入射方向に応じた取付方向や角度に設定できればよい。例えば、取り付けたパネルユニット10全体の発電量が変動の少なくなるように、各パネルユニット10の取付方向及び傾斜を設定してもよい。この場合、管理装置は、隣接する建物による影の時間に応じた影形成情報や日射強度を用いて、発電量の変動が最小となるように各パネルユニット10の取付方向及び傾斜を、設置位置に応じて特定する。
【0038】
・上記実施形態のパネルユニット10は、複数の太陽光電池セルを有する。パネルユニット10に、更に、遮音シートを取り付けてもよい。この場合、太陽光電池セルが受光する日射面と反対側の面に遮音シートを設ける。これにより、発電効率を考慮して、高速道路からの騒音を低減することができる。
【0039】
具体的には、
図5(a)及び(b)に示すように、道路の外側が日射面の場合には、太陽光電池セル23の道路側の全面を覆うように、遮音シート31を設ける。この遮音シート31には、取付部材15の貫通孔16に対応する位置に貫通孔を設ける。そして、貫通孔16及び遮音シート31の貫通孔を整合させて、ボルト35を貫通させて、支柱C1のネジ孔h1に螺合させる。
【0040】
また、
図5(c)に示すように、道路側が日射面の場合には、太陽光電池セル23の道路の外側の全面を覆うように、遮音シート32を設ける。この遮音シート32には、取付部材15の貫通孔16に対応する位置に貫通孔を設ける。そして、貫通孔16及び遮音シート32の貫通孔を整合させて、ボルト35を貫通させて、支柱C1のネジ孔h1に螺合させる。
【0041】
・上記実施形態のパネルユニット10は、四角枠形状の取付部材15を有する。パネルユニット10の取付部材15は、この形状に限られず、パネルユニット10の対向する辺の第1距離L1及び第2距離L2が、少なくとも2つの支柱(第1支柱及び第2支柱)に取付可能な形状であればよい。例えば、取付部材は、角が丸い角丸四角形状であってもよいし、角を面取りした八角枠形状であってもよい。また、取付部材の各辺(10a,10b,10c,10d)は、連結した形状に限られず、それぞれ分離した形状で構成してもよい。
更に、取付部材の各辺(10a,10b,10c,10d)は、ユニット化したパネル部20の外周となる長さでない部材で構成してもよい。例えば、支柱C1のネジ孔h1を形成し固定可能な大きさの小型のプレート形状の取付部材で構成してもよい。この場合、各取付部材を、ネジ孔h1に対応する部分にそれぞれ配置し、これら取付部材を用いて、パネルユニット10を支柱C1に取り付ける。この場合、取付部材における支柱C1に取り付ける部分によって、パネルユニット10の第1辺、第2辺、第3辺及び第4辺が構成される。
また、取付部材は、一部が簡単な構成であってもよい。例えば、パネルユニット10の上側及び下側の取付部材(第3辺10c及び第4辺10d)を、第1距離に応じた長さを有する鋼材等の強固な部材でそれぞれ構成する。更に、側面側の取付部材(第1辺10a及び第2辺10b)を、パネル部20のフレーム部21の角を覆う大きさの小型プレート等により構成する。この場合、左右方向に隣り合うパネル部20の接続部を、上述した強固な部材で連結し、上下方向に隣り合うパネル部20の接続部を小型プレートやボルト等で連結する。これにより、パネルユニット10の上側及び下側を、パネルユニット10の側面側やパネル部20の上下方向の接続部よりも、支柱C1に強固に固定するようにしてもよい。
【0042】
・上記実施形態では、第1距離L1及び第2距離L2を同じにした。第1距離L1と第2距離L2は、それぞれが支柱に取付可能な長さであれば、同じでなくてもよい。例えば、第2距離L2が、第1距離L1や2つの支柱の距離より短くてもよい。例えば、パネルユニットの第3辺と第4辺との間隔である第2距離L2が2つの支柱の距離より短い場合には、第3辺及び第4辺の構成部材と、それぞれを固定する各支柱とを連結可能な大きさの固定部材を用いて、パネルユニットを支柱に取り付ける。
・上記実施形態では、パネルユニット10の第1辺、第2辺、第3辺及び第4辺を、取付部材15の第1辺10a、第2辺10b、第3辺10c、第4辺10dで構成した。パネルユニットの各辺は、パネル部とは別体の取付部材で構成する場合に限られず、パネル部のフレーム部によって構成してもよい。具体的には、パネル部のフレーム部に貫通孔を形成し、この貫通孔にボルト等の固定部材を貫通させて支柱に固定してもよい。この場合、ユニット化したパネル部の外周に位置するフレーム部(上側のパネル部20の上面部21a、下側のパネル部20の下面部21b、右側のパネル部20の右の側面部21c及び左側のパネル部20の左の側面部21d)が、パネルユニットの第1辺、第2辺、第3辺及び第4辺を構成する。
【0043】
・上記実施形態のパネルユニット10は、取付部材15を用いて、2つの支柱C1に固定した。パネルユニット10の固定は、この方法に限られない。例えば、
図5(d)及び(e)に示すように、2つの支柱C1のフランジの間に挟み込むパネルユニット50をボルト35により押圧して固定してもよい。この場合、貫通孔を省略した取付部材を有したパネルユニットであってもよいし、取付部材15を省略して、パネル部のフレーム部を取付部材として兼用するパネルユニットでもよい。これらの場合、パネルユニット50を、2つの支柱C1の間に、上から挿入して配置し、ボルト35により支柱C1のフランジに圧接して固定する。なお、ここでは、ボルト35及び支柱C1に圧接するパネルユニットの部分(例えばフレーム部)が、パネルユニットの第1辺、第2辺、第3及び第4辺を構成する。この場合においても、複数の太陽光電池セルは、第1辺及び第2辺の長手方向(フレーム部の上面部及び下面部(又は2個の側面部)の長手方向)に対して傾けて並べられる。また、ここで、ボルト35の代わりに、バネ等の弾性部材により、パネルユニット10を支柱C1に圧接させてもよい。なお、
図5(d)及び(e)の場合においても、ボルト35は道路側から取り付け、遮音シート31,33は、日射面と反対側に設ける。
【0044】
このパネルユニット50の取付時には、2個の支柱C1の間で支柱C1のフランジの間の空間に、上から、パネルユニット50を挿入する。そして、遮音シート31,33の貫通孔を貫通したボルト35を支柱C1に取り付ける。この場合、ボルト35で、パネルユニット50を、支柱C1のフランジに押圧して、パネルユニット50を固定する。
【0045】
・上記実施形態の取付指示書には、各パネルユニット10毎に、設置場所、取付方向及び設定角度を含めた。取付指示書には、各パネルユニット10を取り付ける位置、方向及び傾斜角度が特定できる情報を含めばよい。例えば、設置場所の代わりに取付開始位置からの取付順番に関する情報を含めたり、設置角度の代わりに調整孔27hの特定情報を含めてもよい。
【0046】
・上記実施形態のパネルユニット10は、複数の支柱C1を立設させた後、この支柱C1に取り付けた。既存の支柱C1がパネルユニット10の第1距離L1及び第2距離L2に取付可能な間隔で設置されている場合には、新たに支柱C1を立設せずに、既存の支柱C1にパネルユニット10を取り付けてもよい。
・上記実施形態のパネルユニット10は、高速道路W1の両脇に配置した。パネルユニット10は、高速道路W1の両脇に設置する場合に限られず、例えば、家を囲む塀として設置してもよい。
【0047】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記第1辺又は前記第3辺が垂直方向になるように立設して並べた場合に、前記太陽光電池セルの水平方向の長さが、設置する場所における建築限界を超えない範囲に収まる幅で構成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のパネルユニット。
従って、この(a)に記載の発明によれば、設置する場所における建築限界を考慮した大きさのパネルユニットを効率的に取り付けることができる。
【0048】
(b)前記太陽光電池セルは、矩形形状を有し、回動可能に支持され、
前記設定調整部は、
前記太陽光電池セルの短手方向の端部を上下させるために、前記太陽光電池セルの長手方向の端部にそれぞれ設けられた連結部材と、
複数の前記連結部材が連結され、前記太陽光電池セルの配列方向に対して変位可能な調整部材と、
前記太陽光電池セルに対する前記調整部材の位置を固定する固定部材とを備えることを特徴とする請求項1~3の何れか1項又は(a)に記載のパネルユニット。
従って、この(b)に記載の発明によれば、簡単な構成で、複数の太陽光電池セルの角度を、効率的に所定角度に設定することができる。
【0049】
(c)請求項1~3の何れか1項、前記(a)又は前記(b)に記載のパネルユニットの設置方法であって、
一定間隔で配置された複数の支柱の間に、前記取付部材の第1辺及びこの第1辺に対向する第2辺を垂直方向とする第1取付方向、及び前記第1辺と交差する第3辺及びこの第3辺に対向する第4辺を垂直方向とする第2取付方向のうち、前記パネルユニットの設置位置に応じて決定された取付方向で、前記パネルユニットを取り付けることを特徴とするパネルユニットの設置方法。
従って、この(c)に記載の発明によれば、設置位置に応じて発電効率を考慮してパネルユニットを取り付けることができる。
【符号の説明】
【0050】
C1…支柱、h1…ネジ孔、L1…第1距離、L2…第2距離、L3…長さ、W1…高速道路、10,50…パネルユニット、10a…第1辺、10b…第2辺、10c…第3辺、10d…第4辺、15…取付部材、16…貫通孔、20…パネル部、21…フレーム部、21a…上面部、21b…下面部、21c…側面部、23…太陽光電池セル、24…支持軸、25…設定調整部、26…さや管、26a…係合孔、27…角度調整棒、27h…調整孔、28…角度調整軸、29…固定冶具、30,35…ボルト、31,32,33…遮音シート。