(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】点灯装置
(51)【国際特許分類】
H05B 41/24 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H05B41/24
(21)【出願番号】P 2018245090
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛利 晋也
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-052998(JP,A)
【文献】特開2005-050667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0160152(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 41/24
H05B 41/288
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプに電力を印加する点灯装置であって、
電源から供給される電圧をスイッチングにより降圧するコンバータ回路と;
前記コンバータ回路から出力される電力をスイッチングにより直流から交流へ変換するインバータ回路と;
1次巻線側に前記インバータ回路が接続され、2次巻線側に前記ランプが接続されるリーケージトランスと;
前記コンバータ回路および前記インバータ回路を駆動することで、前記リーケージトランス
の前記2次巻線側に印加される電流を一定に制御する定電流制御と、前記リーケージトランス
の前記2次巻線側に印加される電力を一定に制御する定電力制御とを行う制御回路と;
を具備
し、
前記制御回路は、
前記ランプの点灯後において、前記リーケージトランスの前記2次巻線側に印加される電圧が、第1の所定値未満になった場合に、前記定電流制御を開始し、その後、前記電圧が第2の所定値より大きくなった場合に、前記定電流制御から前記定電力制御に切り替え、前記定電力制御を行い、前記インバータ回路について、スイッチングの休止区間を固定してスイッチング周波数を変更する周波数制御と、前記スイッチング周波数を固定して前記休止区間を変更するPWM制御とのうち、いずれかの制御を実行して、前記電力を制御する
点灯装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記電源の入力電圧および前記ランプの設定照度に応じた出力電力に基づき決定される出力電圧が前記コンバータ回路の出力可能な電圧範囲外である場合に、前記インバータ回路について、前記周波数制御を行う
請求項
1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記出力電圧が前記周波数制御の出力可能な電圧範囲外である場合に、前記PWM制御を行う
請求項
2に記載の点灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、紫外線ランプ等の放電灯の点灯を制御する点灯装置が提案されている。この種の点灯装置では、コンバータ回路の制御により出力電力を制御する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の点灯装置は、ランプの使用目的により必要となる出力電力が異なったり、使用される国によって電源電圧が異なったりするため、条件に合致した入出力特性となるように専用品を設計するケースが多く、その結果、開発コストが嵩んだり、開発期間が長くなったりするおそれがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、広範囲な入出力特性を実現できる点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る点灯装置は、ランプに電力を印加する。点灯装置は、コンバータ回路と、インバータ回路と、リーケージトランスと、制御回路とを具備する。前記コンバータ回路は、電源から供給される電圧をスイッチングにより降圧する。前記インバータ回路は、前記コンバータ回路から出力される電力をスイッチングにより直流から交流へ変換する。前記リーケージトランスは、1次巻線側に前記インバータ回路が接続され、2次巻線側にランプが接続される。前記制御回路は、前記コンバータ回路および前記インバータ回路を駆動することで、前記リーケージトランスに印加される電流を一定に制御する定電流制御と、前記リーケージトランスに印加される電力を一定に制御する定電力制御とを行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、広範囲な入出力特性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る照射装置の構成例を示す図である。
【
図2】制御回路による定電流制御および定電力制御を説明するための図である。
【
図4】コンバータ回路のスイッチング制御を示す図である。
【
図6】インバータ回路における周波数制御を示す図である。
【
図7】インバータ回路におけるPWM制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で説明する実施形態に係る点灯装置10は、ランプ100に電力を印加する。点灯装置10は、コンバータ回路14と、インバータ回路15と、リーケージトランス16と、制御回路11とを具備する。コンバータ回路14は、電源110から供給される電圧をスイッチングにより降圧する。インバータ回路15は、コンバータ回路14から出力される電力をスイッチングにより直流から交流へ変換する。リーケージトランス16は、1次巻線161側にインバータ回路15が接続され、2次巻線162側にランプ100が接続される。制御回路11は、コンバータ回路14およびインバータ回路15を駆動することで、リーケージトランス16に印加される電流を一定に制御する定電流制御と、リーケージトランス16に印加される電力を一定に制御する定電力制御とを行う。
【0010】
以下で説明する実施形態に係る点灯装置10において、制御回路11は、コンバータ回路14について、リーケージトランス16に印加される電圧を一定に制御する定電圧制御と、定電流制御とを行う。
【0011】
以下で説明する実施形態に係る点灯装置10において、制御回路11は、インバータ回路15について、スイッチングの休止区間を固定してスイッチング周波数を変更する周波数制御と、スイッチング周波数を固定して休止区間を変更するPWM制御とのうち、いずれかの制御を実行して、リーケージトランス16に印加される電力を制御する。
【0012】
以下で説明する実施形態に係る点灯装置10において、制御回路11は、電源110の入力電圧およびランプ100の設定照度に応じた出力電力に基づき決定される出力電圧がコンバータ回路14の出力可能な電圧範囲外である場合に、インバータ回路15について、周波数制御を行う。
【0013】
以下で説明する実施形態に係る点灯装置10において、制御回路11は、出力電圧が周波数制御の出力可能な電圧範囲外である場合に、PWM制御を行う。
【0014】
以下、図面を参照して、実施形態に係る点灯装置について説明する。実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0015】
(実施形態)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る照射装置1の構成例について説明する。
図1は、実施形態に係る照射装置1の構成例を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係る照射装置1は、点灯装置10と、ランプ100と具備する。点灯装置10は、ランプ100に電力を印加する。点灯装置10は、電源110に接続される。電源110は、交流電源である。
【0016】
ランプ100は、例えば、紫外線を照射する放電ランプである。ランプ100は、例えば、大型船舶等のバラスト水処理における殺菌工程や、半導体の露光工程、紫外線硬化型インクや紫外線硬化塗料の乾燥工程、紫外線硬化型樹脂の硬化工程等の紫外線による光化学反応を必要とする工程等で用いられる光源である。
【0017】
点灯装置10は、電源110から供給される電力をランプ100の電力特性に合致した電力に変換してランプ100に印加することで、ランプ100を点灯させる。
図1に示すように、点灯装置10は、制御回路11と、フィルタ回路12と、整流回路13と、コンバータ回路14と、インバータ回路15と、リーケージトランス16とを具備する。
【0018】
制御回路11は、電源110の入力電圧およびランプ100の設定照度に応じた出力電力に基づいてコンバータ回路14およびインバータ回路15を駆動することで、電源110から供給される電力を出力電力に変換し、ランプ100に印加する。
【0019】
つまり、実施形態に係る制御回路11は、コンバータ回路14およびインバータ回路15の双方を制御して出力電力に変換するため、従来の制御回路のように、コンバータ回路のみを制御して出力電力を変換する場合に比べて、幅広い入力電圧に対応できるとともに、出力電力の電力幅もワイド化できる。すなわち、実施形態に係る制御回路11によれば、広範囲な入出力特性を実現できる。なお、制御回路11の詳細な制御については後述する。
【0020】
フィルタ回路12は、いわゆるノイズ除去回路であり、電源110から供給される電圧や電流のリップル成分を除去する。これにより、後段の整流回路13により直流化された電圧や電流において生じるノイズ成分を低減できる。
【0021】
整流回路13は、例えば、ダイオード等を含み、電源110から供給される電力を交流から直流に変換する。
【0022】
コンバータ回路14は、制御回路11の制御により、電源110から供給される電圧をスイッチングにより降圧する。また、コンバータ回路14は、リーケージトランス16に印加される電流を一定に制御する定電流制御と、リーケージトランス16に印加される電圧を一定に制御する定電圧制御とを行う。なお、コンバータ回路14の詳細な回路構成や制御については、
図3および
図4を用いて後述する。
【0023】
インバータ回路15は、制御回路11の制御により、コンバータ回路14から出力される電力をスイッチングにより直流から交流に変換する。また、インバータ回路15は、制御回路11の制御により、リーケージトランス16に印加される電力量を増減する。なお、インバータ回路15の詳細な回路構成や制御については、
図5~
図7を用いて後述する。
【0024】
リーケージトランス16は、1次巻線161側にインバータ回路15が接続され、2次巻線162側にランプ100が接続される。また、リーケージトランス16は、ランプ100の起動直後においては、ランプ100側での電圧の急降下による疑似的な短絡状態が発生した場合に、ランプ100側に過電流が発生しない特性を有する。
【0025】
また、リーケージトランス16のこのような特性とともに、制御回路11は、定電流制御および定電力制御を行うことで、ランプ100の起動時に電源110から過電流が供給されないようにする。ここで、
図2を用いて、ランプ100の起動時における定電流制御および定電力制御について具体的に説明する。
【0026】
図2は、制御回路11による定電流制御および定電力制御を説明するための図である。
図2では、ランプ100の起動時にリーケージトランス16の2次巻線162側における電圧および電流をグラフで示す。なお、
図2に示すグラフでは、縦軸には、電圧、または、電流を示し、横軸には、ランプ100の起動時(左端)からの経過時間を示す。
【0027】
図2に示すように、ランプ100の点灯までの期間は、絶縁破壊するための電圧が上昇する。そして、ランプ100の点灯後、電圧が急降下し電流が急上昇することで、疑似的な短絡状態となる。
【0028】
そのため、制御回路11は、ランプ100の点灯後において、疑似的な短絡状態となるタイミングで、リーケージトランス16(2次巻線162側)に印加される電流を一定にする定電流制御を行う。具体的には、制御回路11は、リーケージトランス16に印加される電圧をモニターし、かかる電圧が所定値未満となった場合に、後述するコンバータ回路14のスイッチ素子141(
図3参照)のPWM制御におけるDutyを低下させて定電流制御を行う。これにより、電圧が所定値未満に低下して疑似的な短絡状態となった場合に、電源110からリーケージトランス16に大電流が供給されることを抑制できるため、電力消費と部品の破壊を抑えることができる。
【0029】
そして、制御回路11は、電圧が上昇して疑似的な短絡状態が解消された場合、定電流制御から定電力制御に切り替える。つまり、制御回路11は、リーケージトランス16に印加される電力を一定する定電力制御を行う。
【0030】
なお、かかる定電力制御では、制御回路11は、電源110の入力電圧およびランプ100の設定照度に応じた出力電力に基づき制御値を決定し、かかる制御値に基づいてコンバータ回路14およびインバータ回路15を同時に、または、個別に制御する。以下、
図3~
図7を用いて、コンバータ回路14およびインバータ回路15の回路構成および制御について説明する。
【0031】
まず、
図3および
図4を用いて、コンバータ回路14の回路構成および制御について説明する。
図3は、コンバータ回路14の回路構成を示す図である。
図4は、コンバータ回路14のスイッチング制御を示す図である。
【0032】
図3に示すように、コンバータ回路14は、入力電圧Vinを降圧して出力電圧Vdcとしてインバータ回路15へ出力する降圧回路であり、例えば、降圧チョッパ回路である。具体的には、コンバータ回路14は、スイッチ素子141と、ダイオード142と、コイル143と、平滑コンデンサ144とを具備する。
【0033】
スイッチ素子141は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)等の半導体スイッチ素子である。スイッチ素子141のソースは、ダイオード142およびコイル143に接続される。スイッチ素子141のドレインは、整流回路13(
図1参照)に接続される。
【0034】
スイッチ素子141のゲートは、制御回路11に接続され、制御回路11から出力される制御信号が入力される。制御信号は、上述した制御値に基づいたPWM制御(定電圧制御の一例)のための信号であり、具体的には、制御値に基づき決定されたDutyのPWM信号である。
【0035】
ダイオード142のカソードは、スイッチ素子141と、コイル143とに接続される。ダイオード142のアノードは、平滑コンデンサ144と、整流回路13とに接続される。
【0036】
平滑コンデンサ144の一端は、コイル143と、インバータ回路15とに接続される。平滑コンデンサ144の他端は、ダイオード142と、整流回路13と、インバータ回路15とに接続される。
【0037】
次に、
図4を用いて、コンバータ回路14のスイッチ素子141に入力される制御信号について説明する。
図4では、電源110の入力電圧が200Vの場合と、440Vの場合とにおける制御信号のDutyと、リーケージトランス16に印加される出力電力との関係をグラフに示す。
図4では、縦軸に、制御信号のDutyを示し、横軸に、出力電力を示す。
【0038】
制御回路11は、電源110の入力電圧と、ランプ100の設定照度に応じた出力電力とに基づいてDuty(制御値)を決定し、PWM信号としてスイッチ素子141のゲートに入力する。
【0039】
具体的には、
図3に示す例では、制御回路11は、入力電圧が200Vの場合、DutyがD2a~D2b%の範囲内となる制御信号を出力可能であり、入力電圧が440Vの場合、DutyがD1a~D1b%の範囲内となる制御信号を出力可能である。
【0040】
換言すれば、コンバータ回路14の出力可能な電圧範囲は、200Vについては、DutyがD2a~D2b%の範囲で出力される電圧範囲であり、440Vについては、DutyがD1a~D1b%の範囲で出力される電圧範囲である。
【0041】
なお、制御回路11は、点灯装置10の操作者の入力操作により、入力電圧や、出力電力の情報を受け付けてもよく、あるいは、入力電圧については、電源110の電圧を検出するセンサを設け、かかるセンサの検出値を入力電圧として取得してもよい。
【0042】
このように、入力電圧に応じたDutyの制御信号によりコンバータ回路14を制御することで、幅広い入力電圧に対応することができる。なお、
図4に示す入力電圧やDutyは、一例であって、コンバータ回路14の素子の耐圧を超えない範囲であれば、任意の値を採用可能である。
【0043】
また、
図3では、コンバータ回路14として、降圧チョッパ回路を示したが、降圧チョッパ回路に限定されず、電源110やランプ100の電力特性に応じて、様々な方式のコンバータ回路を採用可能である。
【0044】
なお、制御回路11は、入力電圧および出力電力に決定されるDutyに基づいた電圧が、コンバータ回路14の出力可能な電圧範囲である場合、コンバータ回路14の制御のみでリーケージトランス16に印加される出力電力を制御する。一方、制御回路11は、入力電圧および出力電力に決定されるDutyが、コンバータ回路14の出力可能な電圧範囲外である場合、コンバータ回路14の制御に加えて、インバータ回路15の制御を併用してリーケージトランス16に印加される出力電力を制御する。
【0045】
ここで、
図5~
図7を用いて、インバータ回路15の回路構成および制御について具体的に説明する。
図5は、インバータ回路15の回路構成を示す図である。
図6は、インバータ回路15における周波数制御を示す図である。
図7は、インバータ回路15におけるPWM制御を示す図である。
【0046】
図5に示すように、インバータ回路15は、コンバータ回路14の出力電圧Vdcが入力側に印加され、出力電圧Vdcを直流から交流に変換する回路であり、例えば、フルブリッジ回路である。具体的には、インバータ回路15は、4つのスイッチ素子151,152,153,154を具備する。
【0047】
スイッチ素子151,152,153,154は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)等の半導体スイッチ素子である。
【0048】
リーケージトランス16の1次巻線161の一端は、スイッチ素子151のソースと、スイッチ素子152のドレインとに接続される。1次巻線161の他端は、スイッチ素子153のソースと、スイッチ素子154のドレインとに接続される。
【0049】
スイッチ素子151のドレイン、スイッチ素子153のドレイン、スイッチ素子152のソースおよびスイッチ素子154のソースは、コンバータ回路14に接続される。
【0050】
スイッチ素子151,152,153,154のゲートは、制御回路11に接続され、制御回路11から出力される制御信号が入力される。制御信号は、上述した制御値に基づいた周波数制御、または、PWM制御のための信号である。
【0051】
例えば、制御回路11は、制御値に基づく出力電圧がコンバータ回路14の出力可能な電圧範囲に収まる場合、電力を直流から交流に変換する制御のみを行い、電力量の調整は行わない。一方、上記したように、制御回路11は、コンバータ回路14の出力可能な電圧範囲外である場合に、インバータ回路15を周波数制御、または、PWM制御して、リーケージトランス16に印加される出力電力の調整を行う。周波数制御とは、スイッチングの休止区間(スイッチ素子151,152,153,154すべてがオフの期間)を固定してスイッチング周波数を変更する制御であり、PWM制御は、スイッチング周波数を固定して休止区間を変更する制御である。ここで、
図6および
図7を用いて、周波数制御およびPWM制御について説明する。
【0052】
図6は、インバータ回路15における周波数制御を示す図である。
図7は、インバータ回路15におけるPWM制御を示す図である。
図6では、縦軸に、出力電力を示し、横軸に、スイッチング周波数を示す。
図7では、縦軸に、出力電力を示し、横軸に、PWM制御におけるDutyを示す。
【0053】
例えば、電源110が200Vである場合において、指定されるランプ100の出力電力が所定値未満の低電圧であるために、コンバータ回路14でのDutyをD2a%未満(
図4参照)とする必要があるときに、制御回路11は、コンバータ回路14のDutyをD2a%に設定し、インバータ回路15側で周波数制御またはPWM制御を行う。
【0054】
具体的には、制御回路11は、電源110の入力電圧およびランプ100の設定照度に応じた出力電力に基づき決定される出力電圧がコンバータ回路14の出力可能な電圧範囲を下回る場合、インバータ回路15について、周波数制御を行う。
【0055】
より具体的には、
図6に示すように、制御回路11によりインバータ回路15のスイッチング周波数を高くするほど、出力電力が低くなる。これは、インバータ回路15のスイッチング周波数を変化させることで、リーケージトランス16の周波数特性によるインピーダンスが変化するためである。これにより、コンバータ回路14の出力可能な電圧範囲を下回る電圧をリーケージトランス16に印加できるため、ランプ100に印加する出力電力を低くできる、すなわち、出力電力をワイド化できる。
【0056】
また、
図6に示すように、周波数制御では、スイッチング周波数が所定値D3b以上の場合は、所定の出力電力W11付近に収束する。このため、所定の出力電力W11以下の出力電力が必要となる場合には、周波数制御から
図7に示すPWM制御に切り替える。
【0057】
つまり、制御回路11は、リーケージトランス16に印加する出力電圧が周波数制御の出力可能な電圧範囲を下回る場合、PWM制御を行う。具体的には、
図7に示すように、PWM制御では、制御回路11によりDutyを低くするほど(
図7のDutyD4a側に近づくほど)、つまり、スイッチングの休止区間を長くするほど、出力電力が低くなる。これは、Dutyを変化させることで、リーケージトランス16に電圧が印加される時間が変化するためである。これにより、ランプ100に印加する出力電力の更なるワイド化を実現できる。
【0058】
なお、制御回路11は、出力電圧がコンバータ回路14の出力可能な電圧範囲を下回る場合に限らず、上回る場合についても、インバータ回路15の周波数制御またはPWM制御を行ってもよい。
【0059】
例えば、電源110が200Vである場合において、指定されるランプ100の出力電力が所定値以上の高電圧であるために、コンバータ回路14でのDutyをD2b%を超える値(
図4参照)とする必要があるときに、制御回路11は、コンバータ回路14のDutyをD2b%に設定し、インバータ回路15側で周波数制御またはPWM制御を行う。
【0060】
具体的には、制御回路11は、電源110の入力電圧およびランプ100の設定照度に応じた出力電力に基づき決定される出力電圧がコンバータ回路14の出力可能な電圧範囲を上回る場合、インバータ回路15について、周波数制御を行う。
【0061】
より具体的には、
図6に示すように、制御回路11によりインバータ回路15のスイッチング周波数を低くするほど、出力電力が高くなる。これにより、コンバータ回路14の出力可能な電圧範囲を上回る電圧をリーケージトランス16に印加できるため、ランプ100に印加する出力電力を高くできる、すなわち、出力電力をワイド化できる。
【0062】
また、
図6に示すように、周波数制御では、スイッチング周波数が所定値D3a未満で、出力電力W21以上の場合は、単位周波数あたりに増加する出力電力が多くなる。このため、所定の出力電力W21以上の出力電力が必要となる場合には、周波数制御から
図7に示すPWM制御に切り替える。
【0063】
つまり、制御回路11は、リーケージトランス16に印加する出力電圧が周波数制御の出力可能な電圧範囲を上回る場合、PWM制御を行う。具体的には、
図7に示すように、PWM制御では、制御回路11によりDutyを高くするほど(
図7のDutyD4b側に近づくほど)、つまり、スイッチングの休止区間を短くするほど、出力電力が高くなる。これにより、高出力時における出力電力の微調整が容易になるとともに、ランプ100に印加する出力電力の更なるワイド化を実現できる。
【0064】
上述したように、実施形態に係る点灯装置10は、ランプ100に電力を印加する。点灯装置100は、コンバータ回路14と、インバータ回路15と、リーケージトランス16と、制御回路11とを具備する。コンバータ回路14は、電源110から供給される電圧をスイッチングにより降圧する。インバータ回路15は、コンバータ回路14から出力される電力をスイッチングにより直流から交流へ変換する。リーケージトランス16は、1次巻線161側にインバータ回路15が接続され、2次巻線162側にランプ100が接続される。制御回路11は、コンバータ回路14およびインバータ回路15を駆動することで、リーケージトランス16に印加される電流を一定に制御する定電流制御と、リーケージトランス16に印加される電力を一定に制御する定電力制御とを行う。これにより、広範囲な入出力特性を実現できる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 照射装置
10 点灯装置
11 制御回路
12 フィルタ回路
13 整流回路
14 コンバータ回路
15 インバータ回路
16 リーケージトランス
100 ランプ
110 電源
141 スイッチ素子
142 ダイオード
143 コイル
144 平滑コンデンサ
151~154 スイッチ素子
161 1次巻線
162 2次巻線