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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ファン、送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/42 20060101AFI20221206BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20221206BHJP
   F04D 29/30 20060101ALI20221206BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20221206BHJP
   F04D 29/70 20060101ALI20221206BHJP
   F04D 29/46 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F04D29/42 H
F04D29/44 U
F04D29/30 101
F04D25/08 301
F04D29/70 L
F04D29/46 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018247769
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020106010
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】劉 俊賢
(72)【発明者】
【氏名】李 柏毅
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-144545(JP,A)
【文献】実公昭38-015686(JP,Y1)
【文献】実開昭61-192253(JP,U)
【文献】特開昭51-000007(JP,A)
【文献】特開2000-265999(JP,A)
【文献】特開2018-168766(JP,A)
【文献】特開平09-303296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/42
F04D 29/44
F04D 29/30
F04D 25/08
F04D 29/70
F04D 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの下部に取り付けられるインペラと、
前記インペラを内部に収容する第1ハウジングと、
を備え、
前記モータは、
上下方向に延びる中心軸を中心に前記インペラとともに回転可能なロータと、
前記ロータと径方向に対向するステータと、
を有し、
前記インペラは、
前記ロータに固定されて前記中心軸から径方向外方に広がるインペラベースと、
前記インペラベースの下面に配置され且つ周方向に複数配列されるブレードと、
を有し、
前記第1ハウジングは、
前記ステータに取り付けられるハウジングベース部と、
第1吸気口が設けられるハウジング蓋部と、
前記モータよりも径方向外方に配置され且つ周方向に延びる通路部と、
を有し、
前記ハウジング蓋部は、前記ハウジングベース部よりも下方に配置され、該ハウジングベース部と軸方向に対向し、
軸方向において前記ハウジングベース部と前記ハウジング蓋部との間には、前記インペラが配置され、
前記通路部は、前記ハウジングベース部の径方向外端部及び前記ハウジング蓋部の径方向外端部と接続され、
前記通路部の周方向における一方端部から他方端部に向かうにつれて、前記通路部の軸方向幅はより長くなり、且つ、前記通路部の上端はより上方に配置され、
前記通路部の周方向における他方端部には、第1排気口が設けられ
前記モータに電力を供給するバッテリーをさらに備え、
前記バッテリーは、前記通路部よりも径方向内方に配置される、ファン。
【請求項2】
前記第1排気口における前記通路部の軸方向幅は、前記モータの軸方向幅よりも長い、請求項1に記載のファン。
【請求項3】
前記通路部は複数であり、
各々の前記通路部の前記第1排気口は、周方向において等間隔に配置される、請求項1又は請求項2に記載のファン。
【請求項4】
前記第1排気口における前記通路部の上端は、前記モータの上端よりも上方に配置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のファン。
【請求項5】
前記通路部の下端は、前記第1吸気口よりも上方に配置される、請求項1から請求項4のいずれかに記載のファン。
【請求項6】
前記通路部の径方向幅は、周方向において一定である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のファン。
【請求項7】
前記通路部の他方端部は、軸方向と垂直な方向に真っ直ぐ延びる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のファン。
【請求項8】
前記バッテリーの上端は、前記第1排気口における前記通路部の上端よりも下方に配置される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のファン。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のファンと、
前記ファンを内部に収容する第2ハウジングと、
を備え、
前記第2ハウジングには、前記ファンの前記第1吸気口と連通する第2吸気口と、前記ファンの前記第1排気口と連通する第2排気口と、が設けられる、送風装置。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のファンと、
前記ファンを内部に収容する第2ハウジングと、
前記第2ハウジングの下方に配置され、前記第2ハウジングを支持するターンテーブルと、
前記ターンテーブルを上下に延びるテーブル回転軸回りに回転駆動可能なテーブル駆動モータと、
を備える、送風装置。
【請求項11】
前記中心軸と前記テーブル回転軸とは、同軸である、請求項10に記載の送風装置。
【請求項12】
前記第2ハウジングの内部に収容されるフィルタをさらに備え、
前記第2吸気口は、前記フィルタを介して前記第1吸気口と連通する、請求項9に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン、及び、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気清浄機などの送風装置には、ファンが搭載されている。ファンには、たとえば特開2007-291877号公報に開示される遠心式多翼送風機のような遠心ファンを採用できる。この遠心式多翼送風機は、複数のブレードを有する円筒状のファンと、ファンを回転駆動する電動モータと、を有する。ファンは、スクロール壁部が螺旋状に延びるスクロールケーシング内に収容される。スクロール壁部は、基準位置からの巻き角度が増大するにつれて、ファンの中心からの径方向距離が大きくなるよう湾曲する。スクロール壁部の上端部には、第1端壁が接続される。スクロール壁部の下端部には、ファンの軸線と直交する平面に平行な第2端壁が接続される。第1端壁は、ファンの軸線と直交する平面に平行な平坦面と、平坦面に対して斜めに連なる傾斜面と、を含む。該傾斜面と第2端壁との間の距離は、上流から下流に向かうに連れて増大する。このため、スクロールケーシング内の渦巻流路の断面積は、上流から下流に向けて徐々に拡大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-291877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2007-291877号公報の遠心式多翼送風機では、電動モータの下端部が第2端壁よりも下方に突出する。そのため、遠心式多翼送風機の軸方向サイズが増大する。
【0005】
本発明は、軸方向サイズの増大を抑制できるファン、及び、送風装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なファンは、モータと、前記モータの下部に取り付けられるインペラと、前記インペラを内部に収容する第1ハウジングと、を備える。前記モータは、上下方向に延びる中心軸を中心に前記インペラとともに回転可能なロータと、前記ロータと径方向に対向するステータと、を有する。前記インペラは、前記ロータに固定されて前記中心軸から径方向外方に広がるインペラベースと、前記インペラベースの下面に配置され且つ周方向に複数配列されるブレードと、を有する。前記第1ハウジングは、前記ステータに取り付けられるハウジングベース部と、第1吸気口が設けられるハウジング蓋部と、前記モータよりも径方向外方に配置され且つ周方向に延びる通路部と、を有する。前記ハウジング蓋部は、前記ハウジングベース部よりも下方に配置され、該ハウジングベース部と軸方向に対向する。軸方向において前記ハウジングベース部と前記ハウジング蓋部との間には、前記インペラが配置される。前記通路部は、前記ハウジングベース部の径方向外端部及び前記ハウジング蓋部の径方向外端部と接続される。前記通路部の周方向における一方端部から他方端部に向かうにつれて、前記通路部の軸方向幅はより長くなり、且つ、前記通路部の上端はより上方に配置される。前記通路部の周方向における他方端部には、第1排気口が設けられる。
【0007】
本発明の例示的な送風装置は、上記のファンと、前記ファンを内部に収容する第2ハウジングと、を備える。前記第2ハウジングには、前記ファンの前記第1吸気口と連通する第2吸気口と、前記ファンの前記第1排気口と連通する第2排気口と、が設けられる。また、本発明の他の例示的な送風装置は、上記のファンと、前記ファンを内部に収容する第2ハウジングと、前記第2ハウジングの下方に配置され、前記第2ハウジングを支持するターンテーブルと、前記ターンテーブルを上下に延びるテーブル回転軸回りに回転駆動可能なテーブル駆動モータと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の例示的なファン、及び、送風装置によれば、軸方向サイズの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る送風装置の一部を透視させた斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る送風装置の斜視断面図である。
図3図3は、実施形態に係る第1ハウジングの斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る送風装置の断面を上方から見た図である。
図5図5は、第1変形例に係る送風装置の一部を透視させた斜視図である。
図6図6は、第1変形例に係る送風装置の斜視断面図である。
図7図7は、第1変形例に係る第1ハウジングの斜視図である。
図8図8は、第1変形例に係る送風装置の断面を上方から見た図である。
図9図9は、第2変形例に係る送風装置の斜視図である。
図10図10は、第2変形例に係る送風装置の縦断面図である。
図11図11は、第2変形例に係るターンテーブル機構を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0011】
なお、本明細書では、送風装置100、100a及びファン1、1aにおいて、中心軸CAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、第1ハウジング4、4aのハウジング蓋部42からハウジングベース部41への向きを「上方」と呼び、ハウジングベース部41からハウジング蓋部42への向きを「下方」と呼ぶ。各々の構成要素において、上方における端部を「上端部」と呼び、軸方向における上端の位置を「上端」と呼ぶ。さらに、下方における端部を「下端部」と呼び、軸方向における下端の位置を「下端」と呼ぶ。また、各々の構成要素の表面において、上方を向く面を「上面」と呼び、下方を向く面を「下面」と呼ぶ。
【0012】
また、中心軸CAと垂直な方向を「径方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸CAへと近づく向きを「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離れる向きを「径方向外方」と呼ぶ。各々の構成要素において、径方向内方における端部を「径方向内端部」と呼び、径方向における径方向内端の位置を「径方向内端」と呼ぶ。さらに、径方向外方における端部を「径方向外端部」と呼び、径方向における径方向外端の位置を「径方向外端」と呼ぶ。また、各々の構成要素の側面において、径方向内方を向く側面を「内側面」と呼び、径方向外方を向く側面を「外側面」と呼ぶ。
【0013】
また、中心軸CAを中心とする回転方向を「周方向」と呼ぶ。各々の構成要素において、周方向における端部を「周方向端部」と呼び、周方向における周方向端の位置を「周方向端」と呼ぶ。また、一方の周方向における端部を「周方向一方端部」と呼び、周方向における周方向一方端の位置を「周方向一方端」と呼ぶ。さらに、他方の周方向における端部を「周方向他方端部」と呼び、周方向における周方向他方端の位置を「周方向他方端」と呼ぶ。また、各々の構成要素の側面において、周方向を向く側面を「周方向側面」と呼ぶ。さらに、一方の周方向を向く側面を「周方向一方側面」と呼び、他方の周方向を向く側面を「周方向他方側面」と呼ぶ。
【0014】
なお、以上に説明した事項は、実際の機器に組み込まれた場合において厳密に適用されるものではない。
【0015】
<1.実施形態>
図1は、実施形態に係る送風装置100の斜視図である。図2は、実施形態に係る送風装置100の斜視断面図である。なお、図1は、後述する第2ハウジング120を透明表示して、その内部を透視できるようにしている。図2は、図1の二点鎖線A-Aに沿い且つ中心軸CAを含む平面で送風装置100を切断した場合の仮想の断面構造を示している。
【0016】
<1-1.送風装置>
本実施形態に係る送風装置100は、空気清浄機である。但し、送風装置100の用途はこの例示に限定されない。
【0017】
図1及び図2に示すように、送風装置100は、ファン1を備える。ファン1は、第1吸気口11で吸引した空気を第1排気口12から送出する。ファン1の構成は、後に説明する。
【0018】
送風装置100は、第2ハウジング120をさらに備える。第2ハウジング120は、ファン1を内部に収容する。第2ハウジング120には、第2吸気口101と第2排気口102とが設けられる。第2吸気口101は、ファン1の第1吸気口11と連通する。第2排気口102は、ファン1の第1排気口12と連通する。こうすれば、後述するようにファン1の軸方向サイズの増大を抑制できるので、該ファン1を搭載する送風装置100の軸方向サイズの増大も抑制できる。さらに、軸方向においてより広範囲に、第2排気口102から気流を送出できる。
【0019】
図1に示すように、第2ハウジング120は、前ハウジング部121と、後ハウジング部122と、下ハウジング部123と、を有する。前ハウジング部121及び後ハウジング部122は、第2ハウジング120の上部を構成する。下ハウジング部123は、第2ハウジング120の下部であり、前ハウジング部121及び後ハウジング部122の下端部を覆う。前ハウジング部121、後ハウジング部122、及び下ハウジング部123で囲まれた空間内に、ファン1が収容される。
【0020】
次に、送風装置100は、フィルタ110をさらに備える。フィルタ110は、第2ハウジング120の内部に収容される。第2吸気口101は、フィルタ110を介して、第1吸気口11と連通する。フィルタ110は、送風装置100の第2吸気口101で吸引される空気に含まれる塵埃を捕集する。そのため、送風装置100は、より清浄な気流を第2排気口102から送出できる。つまり、送風装置100は、空気清浄機能を得ることができる。
【0021】
また、送風装置100は、図1に示すように、制御基板131と、LED132と、PIR(passive infra-red)センサ133と、風量切換スイッチ134と、電源スイッチ135と、をさらに備える。制御基板131には、送風装置100の構成要素の駆動を制御する回路、素子など(図示省略)が搭載される。たとえば、制御基板131は、ファン1のモータ2を制御するモータドライバ(図示省略)を搭載する。LED132は、たとえば制御基板131に搭載されるドライバにより発光制御される発光素子である。PIRセンサ133は、送風装置100の外部に存在する物体の動きを検知する。たとえば、PIRセンサ133は、外部から入射する赤外線を検知し、検知した赤外線の強度変化などによって該赤外線の発生源の動きを検出する。なお、赤外線の発生源は、人体、動物の肉体などである。PIRセンサ133での検知結果に基づいて、たとえば、送風装置100のオンオフを自動的に制御することができる。また、該検知結果に基づいてモータ2の駆動が制御されることにより、ファン1の第1排気口12から送出される風量を自動的に調節することができる。風量切換スイッチ134は、送風装置100の第2排気口102から送出される風量を調節するためのスイッチ素子である。ユーザは、風量切換スイッチ134を操作することにより、ファン1の第1排気口12から送出される風量を手動で調節できる。電源スイッチ135は、送風装置100のオンオフを切り替えるためのスイッチ素子である。
【0022】
<1-2.ファン>
次に、図1及び図2を参照して、ファン1の構成を説明する。図1及び図2に示すように、ファン1は、モータ2と、インペラ3と、第1ハウジング4と、を備える。インペラ3は、モータ2の下部に取り付けられる。第1ハウジング4は、インペラ3を内部に収容する。また、ファン1は、バッテリー5をさらに備える。バッテリー5は、モータ2に電力を供給する。
【0023】
<1-2-1.モータ>
モータ2は、インペラ3を回転させる駆動装置である。本実施形態では、スピンドルモータがモータ2に採用されている。モータ2の軸方向幅をより薄くすることにより、ファン1の軸方向サイズの増大を抑制できる。但し、本実施形態の例示に限定されず、スピンドルモータ以外のモータ2が採用されてもよい。モータ2は、ロータ21と、ステータ22と、を有する。ロータ21は、上下方向に延びる中心軸CAを中心にインペラ3とともに回転可能である。ステータ22は、ロータ21と径方向に対向する。ステータ22は、モータ2を駆動する際に、ロータ21を駆動して中心軸CAを中心に回転させる。
【0024】
<1-2-2.インペラ>
インペラ3は、本実施形態では直接的にモータ2のロータ21に取り付けられる。但し、この例示に限定されず、インペラ3は、ロータ21の一部であってもよい。或いは、インペラ3は、取付部材などを介して、間接的にロータ21に取り付けられてもよい。
【0025】
インペラ3は、ロータ21に固定されるインペラベース31を有する。インペラベース31は、中心軸CAから径方向外方に広がる。
【0026】
インペラ3は、シュラウド32をさらに有する。シュラウド32は、インペラベース31よりも下方に配置される。シュラウド32の中央部には、軸方向にシュラウド32を貫通する開口(符号省略)が設けられる。インペラ3の内部は、該開口及び第1吸気口11を介して、ファン1の外部と連通する。
【0027】
インペラ3は、インペラベース31の下面に配置されるブレード33をさらに有する。ブレード33は、周方向に複数配列される。ブレード33は、軸方向においてインペラベース31とシュラウド32との間に配置される。各々のブレード33の上端部は、インペラベース31の下面に接続される。各々のブレード33の下端部は、シュラウド32の上面に接続される。
【0028】
<1-2-3.第1ハウジング>
次に、図1及び図2図3及び図4とを参照して、第1ハウジング4の構成を説明する。図3は、実施形態に係る第1ハウジング4の斜視図である。図4は、実施形態に係る送風装置100の断面を上方から見た図である。なお、図4は、図1の二点鎖線B-Bに沿い且つ中心軸CAと垂直な平面で送風装置100を切断した場合の仮想の断面構造を示している。
【0029】
第1ハウジング4は、ステータ22に取り付けられるハウジングベース部41を有する。ハウジングベース部41は、径方向外方に向かって広がる板状である。
【0030】
第1ハウジング4は、第1吸気口11が設けられるハウジング蓋部42をさらに有する。ハウジング蓋部42は、ハウジングベース部41よりも下方に配置され、該ハウジングベース部41と軸方向に対向する。第1吸気口11は、本実施形態ではハウジング蓋部42の中央部に設けられ、軸方向から見て中心軸CAと重なる。
【0031】
軸方向において、ハウジングベース部41とハウジング蓋部42との間には、インペラ3が配置される。
【0032】
第1ハウジング4は、モータ2よりも径方向外方に配置される通路部43をさらに有する。通路部43は、周方向に延びる。通路部43には、インペラ3の回転により第1吸気口11から第1排気口12に向かって送出される気流が流れる。通路部43の下端部は、ハウジング蓋部42で覆われる。通路部43は、内壁部431と、外壁部432と、上壁部433と、を有する。内壁部431は、ハウジングベース部41の径方向外端部から上方に延び、且つ、周方向に延びる。外壁部432は、内壁部431よりも径方向外方に配置され、ハウジング蓋部42の径方向外端部から上方に延び、且つ、周方向に延びる。外壁部432は、内壁部431と径方向に間隔を有して対向する。上壁部433は、内壁部431と外壁部432との間の隙間の上端部を覆う。上壁部433の径方向内端部は、内壁部431の上端部に接続される。上壁部433の径方向外端部は、外壁部432の上端部に接続される。なお、内壁部431と外壁部432との間の隙間の下端部は、ハウジング蓋部42で覆われる。
【0033】
通路部43は、ハウジングベース部41の径方向外端部とハウジング蓋部42の径方向外端部とに接続される。より具体的には、内壁部431の下端部は、ハウジングベース部41の径方向外端部に接続される。外壁部432の下端部は、ハウジング蓋部42の径方向外端部に接続される。通路部43の周方向における一方端部から他方端部に向かうにつれて、通路部43の軸方向幅は、より長くなる。さらに、通路部43の上端は、より上方に配置される。つまり、通路部43の周方向における一方端部から他方端部に向かうにつれて、通路部43の上端は、より上方に配置される。言い換えると、気流の上流側から下流側に向かうにつれて、通路部43の上端は、より上方に配置される。さらに、内壁部431の軸方向幅及び外壁部432の軸方向幅はより長くなり、内壁部431の上端及び外壁部432の上端はより上方に配置される。通路部43の周方向における他方端部には、第1排気口12が設けられる。
【0034】
通路部43の周方向における一方端部から他方端部に向かうにつれて該通路部43の軸方向幅が長くなるので、第1排気口12の軸方向幅をより広くできる。さらに、通路部43の周方向における一方端部から他方端部に向かうにつれて、軸方向に沿ってインペラ3からモータ2に向かう上方に向かって、該通路部43の上端の軸方向位置が変化する。従って、上述のような形状の通路部43を設けても、ファン1の軸方向サイズが増大し難い。よって、通路部43を設けることによるファン1の軸方向サイズの増大を抑制しつつ、ファン1は、軸方向においてより広範囲に第1排気口12から気流を送出できる。
【0035】
第1排気口12における通路部43の軸方向幅Wa(図3参照)は、モータ2の軸方向幅よりも長い。こうすれば、モータ2が通路部43よりも上方に突出し難くなる、従って、ファン1の軸方向サイズの増大をより抑制できる。
【0036】
本実施形態では、通路部43は複数である。さらに、各々の通路部43の第1排気口12は、好ましくは、周方向において等間隔に配置される。そのため、ファン1は、周方向において気流をより均等に送出できる。但し、この例示に限定されず、各々の通路部43の第1排気口12は、周方向において等間隔に配置されなくてもよい。また、通路部43の数は、図1から図4では2個である。但し、図1から図4の例示に限定されず、通路部43の数は、2以外の複数であってもよい。
【0037】
第1排気口12における通路部43の上端は、好ましくは図1及び図2に示すように、モータ2の上端よりも上方に配置される。なお、通路部43の下端は、モータ2の下端よりも下方に配置される。こうすれば、モータ2が通路部43よりも上方及び下方に突出しない。そのため、ファン1の軸方向サイズが第1排気口12付近での通路部43の軸方向幅を考慮したサイズよりも増大することを防止できる。
【0038】
通路部43の下端は、好ましくは図1及び図2に示すように、第1吸気口11よりも上方に配置される。たとえば、内壁部431の下端及び外壁部432の下端が、第1吸気口11よりも上方に配置される。こうすれば、第1吸気口11で吸引される空気が、第1吸気口11よりも下方に流れないため、インペラ3の回転により通路部43に向かってスムーズに流れ易い。従って、第1排気口12から送出される気流の風量を増大できる。但し、この例示に限定されず、通路部43の下端は、第1吸気口11と同じ軸方向位置に配置されてもよいし、第1吸気口11よりも下方に配置されてもよい。
【0039】
通路部43の径方向幅Wrは、好ましくは、周方向において一定である。径方向幅Wrは、通路部43内において気流が流れる方向と軸方向とに垂直な方向における通路部43の幅である。たとえば、内壁部431の外側面と外壁部432の内側面との間の間隔が、好ましくは一定である。こうすれば、通路部43の周方向における一方端部から他方端部に向かうにつれて、該通路部43の径方向幅Wrが増大しない。従って、ファン1の径方向サイズの増大を抑制できる。但し、この例示に限定されず、通路部43の径方向幅Wrは、周方向において一定でなくてもよい。
【0040】
通路部43の他方端部は、好ましくは図4に示すように、軸方向と垂直な方向に真っ直ぐ延びる。こうすれば、たとえば通路部43の他方端部が延びる方向及び軸方向と垂直な方向に向かって通路部43の他方端部が広がる構成と比べて、第1排気口12から送出される気流に乱流が発生し難い。そのため、第1排気口12における該気流の送出量の低下を抑制できる。但し、この例示に限定されず、通路部43の他方端部が延びる方向は、軸方向から見て湾曲してもよい。
【0041】
なお、本実施形態では、ハウジングベース部41及び通路部43は、それぞれ同一部材の互いに異なる一部であり、たとえば一体成型で形成される。さらに、ハウジング蓋部42は、ハウジングベース部41及び通路部43とは異なる部材である。但し、本実施形態の例示に限定されず、ハウジングベース部41、ハウジング蓋部42、及び通路部43は、それぞれ同一部材の互いに異なる一部であってもよい。たとえば、ハウジングベース部41、ハウジング蓋部42、及び通路部43の全てが、一体成型で形成されてもよい。或いは、ハウジングベース部41及び通路部43のうちの一方とハウジング蓋部42とは、それぞれ同一部材の互いに異なる一部であってよい。但し、この場合、ハウジングベース部41及び通路部43のうちの他方は、ハウジング蓋部42を含む部材とは異なる部材である。このように、ハウジングベース部41、ハウジング蓋部42、及び通路部43のうちの一部は、他の一部とは異なる部材であってもよい。
【0042】
また、ハウジングベース部41、ハウジング蓋部42、及び通路部43のうちの少なくともいずれかは、それぞれ、たとえば一体成型により形成される1個の構成要素であってもよい。或いは、ハウジングベース部41、ハウジング蓋部42、及び通路部43のうちの少なくともいずれかは、それぞれ、複数に分割された構成要素を含む部材であってもよく、たとえば周方向に分割された複数の構成要素を含んでもよい。
【0043】
つまり、ハウジングベース部41、ハウジング蓋部42、及び通路部43はそれぞれ、第1ハウジング4の互いに異なる部位の名称であり、第1ハウジング4が有する互いに異なる部材には限定されない。
【0044】
<1-2-4.バッテリー>
バッテリー5は、送風装置100の各々の構成要素に電力を供給可能な蓄電装置である。バッテリー5は、外部電源端子(図示省略)と電気的に接続され、外部電源端子を通じて外部の電力源から供給される電力を蓄電する。バッテリー5は、たとえばモータ2、制御基板131、及びPIRセンサ133などと電気的に接続され、放電によってこれらに電力を供給する。バッテリー5は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、及び鉛電池などの二次電池である。
【0045】
バッテリー5は、通路部43よりも径方向内方に配置される。こうすれば、大容量のバッテリー5の搭載によるファン1の径方向サイズの増大を抑制できる。
【0046】
バッテリー5の上端は、好ましくは、第1排気口12における通路部43の上端よりも下方に配置される。こうすれば、バッテリー5の上端が第1排気口12付近にて通路部43の上端よりも上方に配置されない程度において、軸方向サイズが大きいバッテリー5をファン1に採用できる。従って、バッテリー5を設けることによるファン1の軸方向サイズの増大を抑制しつつ、バッテリー5の上端が第1排気口12における通路部43の上端を越えない程度に大きいバッテリー5をファン1に搭載できる。但し、この例示に限定されず、バッテリー5の上端は、第1排気口12における通路部43の上端と同じ軸方向位置に配置されてもよいし、第1排気口12における通路部43の上端よりも上方に配置されてもよい。
【0047】
<2.第1変形例>
次に、実施形態の第1変形例について説明する。以下では、上述の実施形態と異なる構成について説明する。また、上述の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0048】
図5は、第1変形例に係る送風装置100aの斜視図である。図6は、第1変形例に係る送風装置100aの斜視断面図である。図7は、第1変形例に係る第1ハウジング4aの斜視図である。図8は、第1変形例に係る送風装置100aの断面を上方から見た図である。なお、図5は、第2ハウジング120aを透明表示して、その内部を透視できるようにしている。図6は、図5の二点鎖線C-Cに沿い且つ中心軸CAを含む平面で送風装置100aを切断した場合の仮想の断面構造を示している。図8は、図1の二点鎖線D-Dに沿い且つ中心軸CAと垂直な平面で送風装置100aを切断した場合の仮想の断面構造を示している。
【0049】
送風装置100aは、ファン1aを有する。第1変形例では、第1ハウジング4aの通路部43aの数、及び、第1排気口12aの数は1個である。そのため、第2ハウジング120aの前ハウジング部121aには、1個の第2排気口102aが設けられる。
【0050】
<3.第2変形例>
次に、実施形態の第2変形例について説明する。以下では、上述の実施形態及び第1変形例と異なる構成について説明する。また、上述の実施形態又は第1変形例と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0051】
図9は、第2変形例に係る送風装置100bの斜視図である。図10は、第2変形例に係る送風装置100bの縦断面図である。図11は、第2変形例に係るターンテーブル機構を示す斜視断面図である。なお、図10は、図9の二点鎖線E-Eに沿い且つ中心軸CAを含む平面で送風装置100bを切断した場合の仮想の断面構造を示している。図11は、図9の中心軸CAを含む平面で第2変形例に係るターンテーブル機構を切断した場合の仮想の断面構造を示している。
【0052】
送風装置100bは、ファン1aと、第2ハウジング120aと、ターンテーブル141と、テーブル駆動モータ150と、を有する。第2ハウジング120aは、ファン1aを内部に収容する。本変形例においては、ファン1a及び第2ハウジング120aは、第1変形例に係る送風装置100aにおけるファン1a及び第2ハウジング120aと同一である。ただし、ファン1a及び第2ハウジング120aは、送風装置100aと異なる構造であってもよい。
【0053】
ターンテーブル141は、台座部142と、筒状部143と、を有する。台座部142は、軸方向と直交する方向に拡がる円板状の部位である。筒状部143は、台座部142の径方向外縁から下方に延びる筒状の部位である。ターンテーブル141は、第2ハウジング120aの下方に配置され、第2ハウジング120aを支持する。より詳細に述べると、ターンテーブル141の上面には、下ハウジング部123が固定される。なお、台座部142は、円板以外の形状であってもよい。
【0054】
ターンテーブル141は、第3ハウジング140に内包される。第3ハウジング140は、第2ハウジング120aよりも下方に配置される。第3ハウジング140は、中心軸CAと直交する方向に拡がる底板部と、底板部の径方向外縁から上方に延びる円筒状の円筒部と、を有する。ターンテーブル141は、テーブル駆動モータ150に支持されている。テーブル駆動モータ150は、ターンテーブル141を上下に延びるテーブル回転軸CAb回りに回転駆動可能である。これにより、第2ハウジング120aをテーブル回転軸CAb回りに回転させることによって、第2排気口102aの向きを変えてより広範囲に風を排出することが可能である。また、テーブル駆動モータ150の回転角度を制御することによって、第2排気口102aを特定の方向に向けることで、好ましい方向に風を排出することもできる。
【0055】
また、本変形例においては、送風装置100bが、PIRセンサ133を有する。よって、送風装置100bの外部にいる人を感知し、自動的にターンテーブル141が第2ハウジング120aを回転させ、第2排気口102aを当該人の方向に向けることが可能である。
【0056】
本変形例においては、中心軸CAとテーブル回転軸CAbとは、同軸である。すなわち、中心軸CAと直交する面において、中心軸CAとテーブル回転軸CAbとは、重なる。これにより、ファン1aの中心をできるだけ中心軸CAに近づけ、ファン1aの中心をテーブル回転軸CAbに近づけることによって、台座部142の中心にファン1aを配置することが可能となり、ターンテーブル141にかかる負荷を低減することができる。
【0057】
<3.その他>
以上、本発明の実施形態を説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、気流が流れる通路部を有するファン、及び、送風装置に有用である。
【符号の説明】
【0059】
1,1a・・・ファン、11・・・第1吸気口、12,12a・・・第1排気口、2・・・モータ、21・・・ロータ、22・・・ステータ、3・・・インペラ、31・・・インペラベース、32・・・シュラウド、33・・・ブレード、4,4a・・・第1ハウジング、41・・・ハウジングベース部、42・・・ハウジング蓋部、43,43a・・・通路部、431・・・内壁部、432・・・外壁部、433・・・上壁部、5・・・バッテリー、100,100a,100b・・・送風装置、101・・・第2吸気口、102、102a・・・第2排気口、110・・・フィルタ、120,120a・・・第2ハウジング、121,121a・・・前ハウジング部、122・・・後ハウジング部、123・・・下ハウジング部、131・・・制御基板、132・・・LED、133・・・PIRセンサ、134・・・風量切換スイッチ、135・・・電源スイッチ、140・・・第3ハウジング、141・・・ターンテーブル、142・・・台座部、143・・・筒状部、150・・・テーブル駆動モータ、CA・・・中心軸、CAb・・・テーブル回転軸
図1
図2
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