(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】カップ製品の箱詰め方法
(51)【国際特許分類】
B65B 5/08 20060101AFI20221206BHJP
B65B 35/36 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65B5/08
B65B35/36
(21)【出願番号】P 2019009251
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】水島 健人
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-9325(JP,U)
【文献】特開平8-277035(JP,A)
【文献】特開2007-22798(JP,A)
【文献】特開2018-43763(JP,A)
【文献】特開平7-53043(JP,A)
【文献】特開2005-335762(JP,A)
【文献】特開2007-217020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/00
B65B 35/00
B65B 43/00
B65G 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品底部から製品上部にかけて製品側面がテーパー状に外方へ傾斜している商品充填済みのカップ製品であって、コンベアで一方向に列にして搬送される前記カップ製品を、上開きの箱に箱詰めするに当たり、
コンベアの搬送終端側の外方であってコンベアの搬送方向の延長線を含む立面内の部分に前記箱が配置されるとともに、コンベア上で複数個のカップ製品が一列にして整列する製品溜め空間がコンベアの搬送終端側に形成され、
製品溜め空間を跨ぐ形状の門型フレームとこの門型フレームの起立部に枢支される複数枚の傾斜滑り板とを備えて、この傾斜滑り板を、前記製品溜め空間を間にして対向配置して、対向する前記傾斜滑り板それぞれが製品溜め空間に位置するカップ製品の製品側面に当接してカップ製品を傾斜滑り板間で支持可能にしたホルダーが、製品溜め空間と前記箱との間をコンベアの搬送方向を含む立面内で移動可能に設けられていて、
前記ホルダーが跨いで傾斜滑り板を対応位置させた製品溜め空間に、前記箱におけるコンベアの搬送方向に沿った縦詰め列にして複数個のカップ製品を整列させ、
前記縦詰め列にして整列した複数個のカップ製品を組とするカップ製品縦列組が形成された後に、前記ホルダーを上昇させて、カップ製品縦列組のカップ製品それぞれを対の傾斜滑り板の間で支持して製品溜め空間から上方に移動させ、上方に移動したこのカップ製品縦列組の下方の製品溜め空間を空所として形成し、
前記カップ製品縦列組を支持する前記ホルダーを、コンベアの搬送方向を含む立面内で箱側に移動させて、前記ホルダーを箱に対応位置させた後に、前記傾斜滑り板の対向間隔の拡大によりカップ製品の支持を解除して、前記カップ製品縦列組を箱へ落とし込みをし、
前記落とし込みにより、カップ製品が箱の縦詰め列の方向に並んだ状態にしてカップ製品縦列組を箱内に配置することを特徴とするカップ製品の箱詰め方法。
【請求項2】
製品底部から製品上部にかけて製品側面がテーパー状に外方へ傾斜している商品充填済みのカップ製品であって、コンベアで一方向に列にして搬送される前記カップ製品を、上開きの箱に多段にして箱詰めするに当たり、
コンベアの搬送終端側の外方であってコンベアの搬送方向の延長線を含む立面内の部分に前記箱が配置されるとともに、コンベア上で複数個のカップ製品が一列にして整列する製品溜め空間がコンベアの搬送終端側に形成され、
製品溜め空間を跨ぐ形状の門型フレームとこの門型フレームの起立部に枢支される複数枚の傾斜滑り板とを備えて、この傾斜滑り板を、前記製品溜め空間を間にして対向配置させるとともに、前記起立部の上下方向に複数段にして配置して、対向する前記傾斜滑り板それぞれが製品溜め空間に位置するカップ製品の製品側面に当接してカップ製品を傾斜滑り板間で支持可能にしたホルダーが、製品溜め空間と前記箱との間をコンベアの搬送方向を含む立面内で移動可能に設けられていて、
前記ホルダーが跨いで傾斜滑り板を対応位置させた製品溜め空間に、前記箱におけるコンベアの搬送方向に沿った縦詰め列でのカップ製品の縦詰め数に応じた個数にしてカップ製品を整列させ、
前記縦詰め数で整列したカップ製品を組とするカップ製品縦列組が形成されるごとに、前記ホルダーを上昇させて、カップ製品縦列組のカップ製品それぞれを対の傾斜滑り板の間で支持して製品溜め空間から上方に移動させ、上方に移動したこのカップ製品縦列組の下方の製品溜め空間を空所として形成して、カップ製品縦列組を支持する傾斜滑り板の下段となる傾斜滑り板を前記空所の製品溜め空間に対応位置させ、
傾斜滑り板が対応位置した製品溜め空間での前記カップ製品縦列組の形成とカップ製品縦列組の上方への移動を伴なったホルダーの上昇による前記製品溜め空間での空所の形成とを交互に繰り返して、前記箱の上下方向での詰め段数に応じた組数にした複数組のカップ製品縦列組を、ホルダーで上下に組み分けされた状態で支持し、
前記複数組のカップ製品縦列組を支持する前記ホルダーを、製品溜め空間からコンベアの搬送方向を含む立面内で箱側に移動させて、前記ホルダーを箱に対応位置させた後に、前記傾斜滑り板の対向間隔の拡大によりカップ製品の支持を解除して、前記複数組のカップ製品縦列組を上下に重なった状態で箱へ落とし込みをし、
前記落とし込みにより、カップ製品が箱の縦詰め数に応じた個数で縦詰め列に並んで且つ箱の詰め段数に応じた積み重ね状態にしてカップ製品を箱内に配置することを特徴とするカップ製品の箱詰め方法。
【請求項3】
上記コンベアを、上記箱の横詰め列でのカップ製品の横詰め数に応じた列数で並設して、並設されたコンベアそれぞれの搬送終端側で上記製品溜め空間が形成されており、上記ホルダーは、製品溜め空間ごとに対応する複数の上記門型フレームをコンベアの搬送方向と直交する方向に並設して備えていて、
コンベアそれぞれの搬送による製品溜め空間での上記カップ製品縦列組の形成とこのカップ製品縦列組の上方移動を伴なったホルダーの上昇によるコンベアそれぞれの製品溜め空間での上記空所の形成とを交互に繰り返して、上記箱の上下方向での詰め段数に応じた組数にした複数組のカップ製品縦列組を、並設された門型フレームそれぞれの部分で上下に組み分けされた状態で配置し、
前記複数組のカップ製品縦列組を門型フレームそれぞれの部分で配置して支持する前記ホルダーを、製品溜め空間からコンベアの搬送方向を含む立面内で箱側に移動させて、前記ホルダーを箱に対応位置させた後に、前記傾斜滑り板の対向間隔の拡大によりカップ製品の支持を解除して、前記複数組のカップ製品縦列組を上下に重なった状態で箱へ落とし込みをし、
前記落とし込みにより、カップ製品が箱の縦詰め数に応じた個数で縦詰め列に並んで且つ箱の詰め段数に応じた積み重ね状態であって、箱の横詰め数に応じた個数で横詰め列に並んで箱内に配置する請求項2に記載の箱詰め方法。
【請求項4】
上記ホルダーを二体を備えていて、このホルダーそれぞれが、上記製品溜め空間と上記箱との間を交互に移動する請求項1から3の何れか一項に記載の箱詰め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などが充填されたカップ製品を生産工場で出荷する際に行なう箱詰めの方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から生産した製品を出荷する際には、同一形状の製品を複数個ずつまとめて段ボール箱などの箱に収めた形態にしている。そして、昨今の箱詰め作業では、複数節の可動腕(マニピュレーター)を備えるロボットを箱詰めの動作が行なえるように制御して、箱詰め作業の省力化が試みられている。
【0003】
ロボットでの箱詰めの動作の例としては、特許文献1に示されているように、まず、製造されたアイスカップなどの商品充填済みカップ製品を、製造ラインに繋がる製品搬送用のコンベアを用いてロボットの作動領域まで搬送して、カップ製品が集合する場所をロボットの作業領域中に形成している。
【0004】
またカップ製品を収容する箱も、製函ラインを構成するコンベアの搬送経路の一部を上記ロボットの作業領域中に位置させて、カップ製品投入側の開口を上方に向けた箱を前記カップ製品と相対させるようにしている。
【0005】
そして、ロボットの作業腕の先端に設けられた吸盤装置によってカップ製品を吸引保持しながら、ロボットの移し込みの動作によって箱の開口側へと移動させ、カップ製品が箱の開口に対応した時点で吸引状態を止め、圧縮空気を吸盤装置から吹き出すなどしてカップ製品を収容させるようにしている。
【0006】
このように製品を一時的に集合させて溜める空間からカップ製品を吸引保持しながら箱側に移動させ、吸引を解除してカップ製品を箱に収める動きをロボットによって繰り返すことでカップ製品を箱に収容し、その後、カップ製品を収容した箱を製函ラインの搬送終端側へと搬送するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、作業腕を有するロボットの利用を考慮する場合、ロボットの設置位置を中心にして作業腕が及ぶ範囲を人を立ち入らせない領域にして広い空間を確保する必要があり、ロボットの設置によって箱詰めに関わる作業員の作業領域が狭くなったり他の機械が設置できなくなる可能性がある。
【0009】
また、上記カップ製品の一種としてカップアイス(冷菓製品)があり、このカップ製品を吸盤装置で吸引保持する点にも以下の問題が生じている。即ち、このカップアイスの製造に際しては、アイスクリーム充填機で液状化したアイスクリームを充填してトップシールを施して封緘している。その後、冷凍を行なう硬化トンネルに順次通してアイスクリームを冷却固化させたカップ製品が箱詰め作業エリアに送り出され、冷えた状態で出荷用の段ボール箱に複数個をまとめながら箱詰めしている。
【0010】
そして、箱詰め作業エリアで、作業腕の先端に吸盤装置を取り付けたロボットを用いて箱詰め作業を行なったり、カップ製品を保持する機構部分に前記吸盤装置を組み付けた吊り込み装置を用いて箱詰め作業を行なっている。
【0011】
しかしながら、上記カップアイスの場合のカップ製品が硬化トンネルを通って箱詰め作業エリアに届いた状態では、硬化トンネルの使用状況によるが、製品の表面に霜や結露が多く付いている場合があり、このように外面に霜や結露が生じているカップ製品は、吸盤装置にとては取り扱い難い形態である。
【0012】
特に、吸引キャップを当接させた箇所での吸着がうまく行われず、吸引ミスや箱の手前でカップ製品が落下することが多発する傾向にあり、また吸盤装置によってカップ製品から蓋部分だけが吊り上げられる不具合も発生していた。そのため、冷菓のカップ製品を箱詰め作業を、吸盤装置を備えるロボットや吊り込み装置によって自動化することが困難である。そのため、現状では作業者の手作業によって冷菓製品の箱詰めを行なう場合も多い。
【0013】
そこで本発明は上記事情に鑑み、作業員の立ち入りが広く規制され勝ちなマニピュレーター付きのロボットを導入せずとも、また吸盤装置でのる上記不具合を生じさせずにカップ製品を段ボール箱などの箱に収容することを課題とし、カップ製品が搬送されるコンベア上から段ボール箱などの箱にカップ製品に箱詰めする作業の自動化を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、製品底部から製品上部にかけて製品側面がテーパー状に外方へ傾斜している商品充填済みのカップ製品であって、コンベアで一方向に列にして搬送される前記カップ製品を、上開きの箱に箱詰めするに当たり、
コンベアの搬送終端側の外方であってコンベアの搬送方向の延長線を含む立面内の部分に前記箱が配置されるとともに、コンベア上で複数個のカップ製品が一列にして整列する製品溜め空間がコンベアの搬送終端側に形成され、
製品溜め空間を跨ぐ形状の門型フレームとこの門型フレームの起立部に枢支される複数枚の傾斜滑り板とを備えて、この傾斜滑り板を、前記製品溜め空間を間にして対向配置して、対向する前記傾斜滑り板それぞれが製品溜め空間に位置するカップ製品の製品側面に当接してカップ製品を傾斜滑り板間で支持可能にしたホルダーが、製品溜め空間と前記箱との間をコンベアの搬送方向を含む立面内で移動可能に設けられていて、
前記ホルダーが跨いで傾斜滑り板を対応位置させた製品溜め空間に、前記箱におけるコンベアの搬送方向に沿った縦詰め列にして複数個のカップ製品を整列させ、
前記縦詰め列にして整列した複数個のカップ製品を組とするカップ製品縦列組が形成された後に、前記ホルダーを上昇させて、カップ製品縦列組のカップ製品それぞれを対の傾斜滑り板の間で支持して製品溜め空間から上方に移動させ、上方に移動したこのカップ製品縦列組の下方の製品溜め空間を空所として形成し、
前記カップ製品縦列組を支持する前記ホルダーを、コンベアの搬送方向を含む立面内で箱側に移動させて、前記ホルダーを箱に対応位置させた後に、前記傾斜滑り板の対向間隔の拡大によりカップ製品の支持を解除して、前記カップ製品縦列組を箱へ落とし込みをし、
前記落とし込みにより、カップ製品が箱の縦詰め列の方向に並んだ状態にしてカップ製品縦列組を箱内に配置することを特徴とするカップ製品の箱詰め方法を提供して、上記課題を解消するものである。
【0015】
(請求項2の発明)
また、もう一つの発明は本発明は、製品底部から製品上部にかけて製品側面がテーパー状に外方へ傾斜している商品充填済みのカップ製品であって、コンベアで一方向に列にして搬送される前記カップ製品を、上開きの箱に多段にして箱詰めするに当たり、
コンベアの搬送終端側の外方であってコンベアの搬送方向の延長線を含む立面内の部分に前記箱が配置されるとともに、コンベア上で複数個のカップ製品が一列にして整列する製品溜め空間がコンベアの搬送終端側に形成され、
製品溜め空間を跨ぐ形状の門型フレームとこの門型フレームの起立部に枢支される複数枚の傾斜滑り板とを備えて、この傾斜滑り板を、前記製品溜め空間を間にして対向配置させるとともに、前記起立部の上下方向に複数段にして配置して、対向する前記傾斜滑り板それぞれが製品溜め空間に位置するカップ製品の製品側面に当接してカップ製品を傾斜滑り板間で支持可能にしたホルダーが、製品溜め空間と前記箱との間をコンベアの搬送方向を含む立面内で移動可能に設けられていて、
前記ホルダーが跨いで傾斜滑り板を対応位置させた製品溜め空間に、前記箱におけるコンベアの搬送方向に沿った縦詰め列でのカップ製品の縦詰め数に応じた個数にしてカップ製品を整列させ、
前記縦詰め数で整列したカップ製品を組とするカップ製品縦列組が形成されるごとに、前記ホルダーを上昇させて、カップ製品縦列組のカップ製品それぞれを対の傾斜滑り板の間で支持して製品溜め空間から上方に移動させ、上方に移動したこのカップ製品縦列組の下方の製品溜め空間を空所として形成して、カップ製品縦列組を支持する傾斜滑り板の下段となる傾斜滑り板を前記空所の製品溜め空間に対応位置させ、
傾斜滑り板が対応位置した製品溜め空間での前記カップ製品縦列組の形成とカップ製品縦列組の上方への移動を伴なったホルダーの上昇による前記製品溜め空間での空所の形成とを交互に繰り返して、前記箱の上下方向での詰め段数に応じた組数にした複数組のカップ製品縦列組を、ホルダーで上下に組み分けされた状態で支持し、
前記複数組のカップ製品縦列組を支持する前記ホルダーを、製品溜め空間からコンベアの搬送方向を含む立面内で箱側に移動させて、前記ホルダーを箱に対応位置させた後に、前記傾斜滑り板の対向間隔の拡大によりカップ製品の支持を解除して、前記複数組のカップ製品縦列組を上下に重なった状態で箱へ落とし込みをし、
前記落とし込みにより、カップ製品が箱の縦詰め数に応じた個数で縦詰め列に並んで且つ箱の詰め段数に応じた積み重ね状態にしてカップ製品を箱内に配置することを特徴とするカップ製品の箱詰め方法であり、このカップ製品の箱詰め方法を提供して、上記課題を解消するものである。
【0016】
(請求項3の発明)
そして上記発明においては、上記コンベアを、上記箱の横詰め列でのカップ製品の横詰め数に応じた列数で並設して、並設されたコンベアそれぞれの搬送終端側で上記製品溜め空間が形成されており、上記ホルダーは、製品溜め空間ごとに対応する複数の上記門型フレームをコンベアの搬送方向と直交する方向に並設して備えていて、
コンベアそれぞれの搬送による製品溜め空間での上記カップ製品縦列組の形成とこのカップ製品縦列組の上方移動を伴なったホルダーの上昇によるコンベアそれぞれの製品溜め空間での上記空所の形成とを交互に繰り返して、上記箱の上下方向での詰め段数に応じた組数にした複数組のカップ製品縦列組を、並設された門型フレームそれぞれの部分で上下に組み分けされた状態で配置し、
前記複数組のカップ製品縦列組を門型フレームそれぞれの部分で配置して支持する前記ホルダーを、製品溜め空間からコンベアの搬送方向を含む立面内で箱側に移動させて、前記ホルダーを箱に対応位置させた後に、前記傾斜滑り板の対向間隔の拡大によりカップ製品の支持を解除して、前記複数組のカップ製品縦列組を上下に重なった状態で箱へ落とし込みをし、
前記落とし込みにより、カップ製品が箱の縦詰め数に応じた個数で縦詰め列に並んで且つ箱の詰め段数に応じた積み重ね状態であって、箱の横詰め数に応じた個数で横詰め列に並んで箱内に配置することが可能である。
【0017】
(請求項4の発明)
また、上記発明においては、上記ホルダーを二体を備えていて、このホルダーそれぞれが、上記製品溜め空間と上記箱との間を交互に移動することが良好である。
【発明の効果】
【0018】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、コンベアの搬送終端側の製品溜め空間をホルダーの門型フレームで跨ぐようにし、門型フレームで対向するようにして取り付けられている傾斜滑り板は、この傾斜滑り板の下端の間がカップ製品の製品側面に当接する間隔としていて、ホルダーが上方に移動することで、製品溜め空間に並ぶ複数個のカップ製品の製品側面に傾斜滑り板の下端が当接しながらカップ製品を支持し、このホルダーの上昇によって複数個のカップ製品が並んだ状態のままで製品溜め空間から上方に移動し、先に製品溜め空間に並んでいた複数個のカップ製品が上方に移動することで、製品溜め空間が空所になるようにしている。
【0019】
そしてホルダーは、複数個のカップ製品を支持した状態のままで、コンベアの搬送方向を含む立面内を移動して箱側へと達し、その箱の位置に対応したときに、カップ製品を支持していた対の傾斜滑り板による支持を解除することで、箱内に複数個のカップ製品が箱へ落とし込みされ、この落とし込みにより、カップ製品が、箱の縦詰め列(コンベアの搬送方向に沿った列)となって並んだ状態にして箱内に収容されるようにしている。
【0020】
このようにホルダーが備える傾斜滑り板をカップ製品を搬送方向に直交する方向から製品側面に当接させて、対の傾斜滑り板で両製品側面側からカップ製品を支持し、コンベアの製品溜め空間から箱側へと移動させるようにしているので、カップ製品の外面に霜や結露が付いていたとしても、カップ製品の脱落やカップ製品からキャップが外れるなどの不具合が生じず、箱詰めができるようになるという効果を奏する。
【0021】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明に係る発明によれば、コンベアの搬送終端側の製品溜め空間をホルダーの門型フレームで跨ぐようにし、門型フレームで対向するようにして取り付けられている傾斜滑り板は、この傾斜滑り板の下端の間がカップ製品の製品側面に当接する間隔としていて、ホルダーが上方に移動することで、製品溜め空間に並ぶ複数個のカップ製品の製品側面に傾斜滑り板の下端が当接しながらカップ製品を支持し、このホルダーの上昇によって複数個のカップ製品が並んだ状態のままで製品溜め空間から上方に移動し、先に製品溜め空間に並んでいた複数個のカップ製品が上方に移動することで、製品溜め空間が空所になるようにしている。
【0022】
さらに、空所となった製品溜め空間に、コンベアの搬送により再び複数個のカップ製品が一列にして並び、この並んだ複数個のカップ製品を、再度のホルダーの上昇によって、先の傾斜滑り板の下段となる位置にある傾斜滑り板で同様に支持した状態で上方に移動させて、製品溜め空間を空所とするようにしている。この製品溜め空間での複数個のカップ製品が並ぶ状態を形成するとともに、ホルダーの上昇により先に並んでいた複数個のカップ製品を上方に移動させて、製品溜め空間を空所として形成することを繰り返すようにしている。
【0023】
上記製品溜め空間でのカップ製品を並べるとともに、カップ製品を上方に移動して製品溜め空間を空所とすることとを交互に繰り返すことによって、それぞれ組となって上下に組み分けられた状態の複数個のカップ製品を、ホルダーが支持するようにしている。
【0024】
そしてホルダーは、上下に組み分けられた複数個のカップ製品を支持した状態のままで、コンベアの搬送方向を含む立面内を移動して箱側へと達し、その箱の位置に対応したときに、カップ製品を支持していた対の傾斜滑り板による支持を解除することで、箱内に複数個のカップ製品が上下に重なった状態で箱へ落とし込みされ、この落とし込みにより、カップ製品が、箱の縦詰め列(コンベアの搬送方向に沿った列)となって並ぶとともに上下に積み重ね状態にして、箱内に収容されるようにしている。
【0025】
このようにホルダーが備える傾斜滑り板をカップ製品を搬送方向に直交する方向から製品側面に当接させて、対の傾斜滑り板で両製品側面側からカップ製品を支持し、コンベアの製品溜め空間から箱側へと移動させるようにしているので、請求項1の発明と同様に、カップ製品の外面に霜や結露が付いていたとしても、カップ製品の脱落やカップ製品からキャップが外れるなどの不具合が生じず、箱詰めができるようになるという効果を奏する。
【0026】
また、ホルダーをコンベアの搬送方向を含む立面内で移動させるものであることから、箱詰めの作業場所に、作業員の立ち入りを規制するような空間を広く確保する必要が無く、箱詰めの作業を行なわせる機器をコンパクトなサイズにすることができるという効果を奏する。
【0027】
さらに、ホルダーからの落とし込みにより、カップ製品が箱の縦詰め列でのカップ製品の数に応じた個数で並んで且つ箱の詰め段数に応じた積み重ね状態にして箱内に配置するので、箱へカップ製品を効率よく詰めることができるようになるという効果を奏するものである。
【0028】
(請求項3の発明の効果)
請求項3の発明によれば、ホルダーからの落とし込みにより、カップ製品が箱の縦詰め列でのカップ製品の数に応じた個数で並んで且つ箱の詰め段数に応じた積み重ね状態であって、箱の横詰め列でのカップ製品の数に応じた個数にして箱内に配置するので、箱へカップ製品を効率よく詰めることができるようになるという効果を奏するものである。
【0029】
(請求項4の発明の効果)
請求項4の発明によれば、上記ホルダーを二体を備えていて、このホルダーそれぞれが、製品溜め空間と前記箱との間を交互にコンベアの搬送方向を含む立面内を移動するものとしているので、一方のホルダーでコンベアからのカップ製品の受けを行なわせるとともに、他方のホルダーで箱へのカップ製品の落とし込みが行なえるようにすることができ、箱詰め作業の効率を高めることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係る箱詰め方法を実施する箱詰め装置の一例をコンベアの搬送方向に直交する方向から見た状態で示す説明図である。
【
図2】同じく箱詰め装置の一例をコンベアの搬送方向側から見た状態で示す説明図である。
【
図3】箱詰め委装置の一例におけるカップ製品の受け位置を上方から見た状態で示す説明図である。
【
図4】門型フレームにおける傾斜滑り板の上下配置を概略的に示す説明図である。
【
図5】門型フレームにおける傾斜滑り板と傾斜滑り板に支持されるカップ製品とをコンベア搬送方向から見た状態で示す説明図である。
【
図6】カップ製品の受け位置でのホルダーの上昇とカップ製品縦列組の形成とを示すもので、(A)はカップ製品受け位置でカップ製品の送り込みが開始されるときのホルダーの状態を示す説明図、(B)は最上段の傾斜滑り板の間でカップ製品縦列組が形成された状態を示す説明図、(C)は最上段のカップ製品縦列組を上方移動させるホルダーの上昇を示す説明図、(D)は次段の傾斜滑り板の間でカップ製品縦列組が形成された状態を示す説明図、(E)は最上段と次段のカップ製品縦列組を上方移動させるホルダーの上昇を示す説明図、(F)は最下段の傾斜滑り板の間でカップ製品縦列組が形成された状態を示す説明図、(G)はカップ製品受け位置から離れるホルダーを示す説明図である。
【
図7】落とし込み位置でのホルダーとカップ製品の落とし込みとを示すもので、(A)は落とし込み位置に達したホルダーを示す説明図、(B)は傾斜滑り板の傾斜維持を解除してカップ製品の落とし込みをした状態を示す説明図、(C)は落とし込み位置からホルダーが離れた状態を示す説明図、(D)は楔型材が降下している状態を示す説明図である。
【
図8】箱に収容したカップ製品の配列を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
つぎに本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1は箱詰め装置で、この箱詰め装置1は、アイスクリームが充填されたカップ本体に蓋を被せて化粧材を取り付けたカップ製品を箱詰めする装置であり、冷凍工程から送り出されてきたカップ製品を複数個ずつにして段ボール製の箱の内に収容する装置である。カップ製品の形状は、側面視が上方に開くテーパー状とされていて、製品底部から製品上部にかけて製品側面が外方に向けて傾斜しているものである。なお、カップ製品を、アイスクリームが充填されたカップアイス(冷菓製品)として説明しているが、本発明を用いて箱詰めするカップ製品は、カップアイスに限定されるものではない。
【0032】
(箱詰め装置)
図1と
図2とは本発明を実施する箱詰め装置1を示していて、箱詰め装置1は一方向から送り込まれているカップ製品をまとめる空間とカップ製品をまとめる前記空間の下方にしてカップ製品を収容する箱を配置する空間との二つの空間を内側に形成されている架台2と、複数個のカップ製品を支持するホルダー3と、ホルダー3を上下方向と前後方向(カップ製品の搬送方向を含む立面内)に位置を制御しながら移動させるマスト4とから構成されている。
【0033】
(マスト)
マスト4は、ホルダー3を、カップ製品を受ける位置(カップ製品の受け位置a)からそのカップ製品を箱5に収容することができる位置(落とし込み位置d)まで移動させ、再びカップ製品を受ける位置へと移動させる動作を繰り返して行なうものであり、カップ製品の受け位置aではそのカップ製品を受けることができるようにホルダー3の上下方向の位置を変化させる動作をし、複数個のカップ製品を受けた後では、ホルダー3を上昇させた位置となる上方位置bと、この上方位置bからカップ製品の受け入れ側とは反対側に移動させた位置となる落とし込み待機位置cと、落とし込み待機位置cからホルダー3を降下させて箱5に対応させた位置となる落とし込み位置dとへ順にホルダー3を移し、箱5へカップ製品が収容された後に再びカップ製品の受け位置aにこのホルダー3を移すものである。なお、
図2においてコンベア7の下の白矢印はカップ製品の搬送方向を示し、マスト4の横の黒矢印はマスト4の移動を示している。
【0034】
上記箱詰め装置1では、マスト4を二体にして備えていて、マスト4ごとに上記ホルダー3が支持されている。そして、後述するコンベアによるカップの搬送方向に沿ってマスト4が交互に移動し、マスト4それぞれが支持するホルダー3を上記カップ製品の受け位置a、上方位置b、落とし込み待機位置c、落とし込み位置dとの順に移動させるとともに、移動に際してホルダー3同士がぶつかり合うことが無いようにマスト4におけるホルダー3の位置が予め設定されている。
【0035】
なお、以下の実施の形態の説明では、一つのホルダー3について記載しているが、もう一方のマスト4で支持される他方のホルダー3も、ぶつかり合うことがないようにしながら同様の動作を行なうように設けられている。
【0036】
(箱搬送部)
実施の箱詰め装置1において、上記ホルダー3で複数個のカップ製品を収容するために供給される空の箱5は、上面が開口した状態でこの箱詰め装置1の横方向からカップ製品の落とし込みを行なう部分に適宜の搬送手段、例えばローラーコンベアによって送り込まれる。そして、所定個数のカップ製品が収容された後には、箱詰め装置1の外へ同様の搬送手段によって送り出され、上面の封緘を行なう工程へと箱5を移動させるようにしている。(
図2)
【0037】
(コンベア)
図3に示されているように、商品が充填されたカップ製品6を箱詰め装置1に向けて搬送するコンベア7は平行な二列とされていて、それぞれのコンベア7で一方向に一列にしてカップ製品6が搬送される。コンベア7の搬送終端の部分は、箱詰め装置1でのカップ製品の受け位置aまで延設されており、さらに前記コンベア7の搬送終端側の外方であって上方から見てコンベア7の搬送方向の延長線上に重なる部分(コンベア7の搬送方向を含む立面内にある部分)に、上記箱5を配置する部分が設定されており、その箱5を配置した部分を、上述したカップ製品の落とし込みをして収容する部分としている。
【0038】
カップ製品6を一列にして搬送するコンベア7にあっては、カップ製品6がコンベア7の搬送終端側に到達したときに、コンベア7の側方からストッパー8が突き出て搬送方向で先端のカップ製品6から順にして移動止めするように設けられており、カップ製品6が一列にして整列する製品溜め空間9が、コンベア7の搬送終端側に形成されている。そして、カップ製品6の受け位置aにあるときのホルダー3の内側に、二列の製品溜め空間9が位置するようにしている。
【0039】
本箱詰め装置1でカップ製品6を収容する箱5の大きさは、コンベア7の搬送方向に沿った方向であってカップ製品6を箱5の縦詰め列の方向で並べる個数を三個とし、コンベア7の搬送方向に直交する方向であってカップ製品6を箱5の横詰め列の方向で並べる個数を二個としている。前記コンベア7を二列に並べているので、上記製品溜め空間9は二列となり、この製品溜め空間9で移動止めされるカップ製品6はコンベア7の搬送方向に直交した方向での並びが、前記箱5の横詰め列の方向で並ぶカップ製品6それぞれの位置に対応するようにしている。
【0040】
また、上記製品溜め空間9それぞれで移動止めされるカップ製品6の個数は三個として、箱5の縦詰め列での個数と同じとされている。そして、前記製品溜め空間9でカップ製品6が一列に三個にして並んで組として形成されるカップ製品縦列組10は、ホルダー3がカップ製品6の受け位置aにおいて、コンベア7の搬送方向に直交する方向で二列に並ぶこととなり、ホルダー3によって後述するようにカップ製品縦列組10が二列に並列した状態のままで、箱5に収容される。
【0041】
(ホルダー)
製品溜め空間9から箱5へ複数個のカップ製品6を移すホルダー3は、下部開放の門型フレーム11と、この門型フレーム11の起立部12それぞれに枢支されている傾斜滑り板13とを備えているものであり、本実施の例では門型フレーム11がコンベア7の搬送方向に直交する方向に二体にして並設され、門型フレーム11がコンベア7ごとに対応して、各コンベア7の延長線上ごとに門型フレーム11が位置することができるように設けられている。(
図4、
図5参照)
【0042】
(門型フレーム)
門型フレーム11は製品溜め空間9とコンベア7とを跨ぐことができるように上述したように下部が開放されている。なお、本実施の例においてカップ製品6を順次搬送するコンベア7は、例えばカップ製品6の製品底部と同幅のベルト、或いは細幅のベルトが回るものであり、上記ストッパー8の動作はコンベア7にぶつかることなしに必要時にカップ製品6の製品底部側に当接してカップ製品6の移動止めを行なう。そして、コンベア7は門型フレーム11にもぶつかることがないものである。
【0043】
(傾斜滑り板
図4、
図5)
図4は製品溜め空間9を跨ぐ一つの門型フレーム11において、対となって対向する起立部12の内、一方の起立部12の対向面側が見える状態にしていて、その起立部12での傾斜滑り板13の配置を概略的に示している。図示されているように傾斜滑り板13それぞれは、各起立部12の対向面側に位置しており、起立部12の上下方向に複数段にして配置されている。また、傾斜滑り板13は、製品溜め空間9の長手方向に沿って長尺とされ、製品溜め空間9で形成されるカップ製品縦列組10の全てのカップ製品6に、下辺14側が接触できる長さを有している。
【0044】
そして、
図5に示されているように一方の起立部12と他方の起立部12とのそれぞれに枢支されている傾斜滑り板13は、コンベア7の搬送方向と直交する方向であって製品溜め空間9が間に配置可能となる間隔を存して対向配置されており、この傾斜滑り板13それぞれは、下端14同士がカップ製品6の製品側面15に当接する間隔となるように傾斜できるものとされている。
【0045】
このように傾斜滑り板13それぞれを、上端の枢支されている部分から下り傾斜にて門型フレーム11の中心側に傾けて、傾斜滑り板13の下端14が、カップ製品縦列組10の長手方向に直交する方向の両方から製品側面15に当接することによって、このカップ製品6を傾斜滑り板13間で支持可能にしている。
【0046】
上述したように各門型フレーム11では、起立部12の上下に複数段にして傾斜滑り板13が配置されて、対向する傾斜滑り板13の対を複数段にして備えており、各段においてカップ製品6が支持できるようにしている。そして、各段で対となる傾斜滑り板13によってカップ製品6を支持するに際して上下のカップ製品6が互いに接触し合うことがない間隔にして、上下の傾斜滑り板13が配置されている。
【0047】
上記門型フレーム11それぞれでは、箱5にカップ製品6を上下に詰める段の数、即ち、カップ製品6の詰め段数(積み重ね段数)に応じる段数にして傾斜滑り板13が配置されており、上述した箱5にあってはカップ製品6の詰め段数が三段とされ、この箱5の詰め段数に応じて、図示の門型フレーム11では各起立部12に上下に三段にして傾斜滑り板13が枢着されている。
【0048】
上記ホルダー3では、門型フレーム11が、箱5の横詰め列でのカップ製品の数(二個)に応じて二列に並設され、また各門型フレーム11の起立部12に枢支されている傾斜滑り板13が、上下に三段にして配置され、さらには、門型フレーム11が跨ぐ製品溜め空間9では、三個のカップ製品6が一列に並んでなるカップ製品縦列組10が形成されて、このカップ製品縦列組10を一組ずつにして、門型フレーム11での対の傾斜滑り板13の間で支持できるようにしている。
【0049】
上記カップ製品縦列組10を構成するカップ製品6が三個である点は、箱5の縦詰め列でのカップ製品の個数に応じるものであり、また一つの門型フレーム11が支持するカップ製品縦列組10が上下に三組とされている点は、箱5の詰め段数に応じるものであるので、一体のホルダー3は、箱5に収容するカップ製品6全てを箱5での収容形態にして支持できるものとされている。
【0050】
なお、
図4と
図5とは一つの門型フレーム11を示している。また、
図4において符号13aは、起立部12が傾斜滑り板13を枢支するためのヒンジである。
【0051】
(傾斜滑り板の傾斜)
ホルダー3は、カップ製品6の受け位置aにあるときに、門型フレーム11の最上段の傾斜滑り板13の間の製品溜め空間9でカップ製品縦列組10が形成されると、マスト4に案内されながら上昇し、次段の傾斜滑り板13の対が、製品溜め空間9に対応するようにしている。この上昇時には、カップ製品縦列組10を傾斜滑り板13の下端14の間で当接させながら支持して上方に移動させることができるように、カップ製品6の受け位置aで上昇が開始される前に、各傾斜滑り板13が門型フレーム11の中心側に向けて傾斜し、傾斜滑り板13の下端14の間が、前述のようにカップ製品6の製品側面15に接する間隔となるように設けられている。
【0052】
また、傾斜滑り板13の傾斜は、上記カップ製品6の受け位置aで上昇する時点、或いはホルダー3がカップ製品6の受け位置aに配置されて製品溜め空間9にカップ製品6が送り込まれる時点から、ホルダー3が箱5の内側にカップ製品6を収容する直前まで継続するように設けられ、ホルダー3が箱5にカップ製品6を収容する時からカップ製品6の受け位置aに戻るまでの間では、傾斜滑り板13が鉛直に、或いは鉛直に近い状態で上端の枢支部分から垂下するようにして、少なくとも箱5への収容に際し、箱5の底に向けて降下するカップ製品6の動きを妨げないように、またカップ製品6の受け位置aで製品溜め空間9を跨ぐ降下に際し、コンベア7との接触が生じないように図られている。
【0053】
(傾斜維持手段)
ホルダー3には、傾斜滑り板13それぞれの傾斜を維持する傾斜維持手段16を有している。この傾斜維持手段16は、上述したようにホルダー3がカップ製品6の受け位置aで上昇する時点や製品溜め空間9にカップ製品6が送り込まれる時点から上記落とし込み位置dでカップ製品6の落とし込みを開始するまでの間で、傾斜滑り板13の上記傾斜状態を維持するものである。
【0054】
図4に傾斜維持手段16の機構が概略的に示されていて、各段の傾斜滑り板13それぞれの下面側に配された楔型材17と、起立部12に沿って上下方向に移動可能に設けられて、前記楔型材17を支持している対の楔連動アーム18と、門型フレーム11の上方に位置させた楔連動アーム18の横材19に当接して、楔連動アーム18を上げ下げする楔上下シリンダ20とからなるものである。なお、
図4は上述したように説明を容易にするために並設される門型フレーム11の一方を示しており、この
図4に示されていないもう一方の門型フレーム11においても傾斜維持手段16を備えている。
【0055】
そして、楔上下シリンダ20は、必要時に楔型材17を引き上げる伸張動作を行なって傾斜滑り板13が傾斜状態となるようにし、また楔上下シリンダ20が収縮して楔型材17が降下することで傾斜滑り板13が下方に向けて垂下するようにしており、前記楔型材17による傾斜滑り板13の傾斜の維持によって、対向する傾斜滑り板13の下端14の間が、カップ製品6を支持できる間隔となるようになり、また楔型材17が降下することで傾斜滑り板13が鉛直方向、或いほぼ鉛直に近い状態に垂下して、対向する傾斜滑り板13の下端14の間が拡大し、カップ製品6が支持されずに落下する間隔となるようにしている。
【0056】
(カップ製品受け位置のホルダー、
図6A)
図6の(A)は、ホルダー3が上記カップ製品6の受け位置aに在って製品溜め空間9にカップ製品6の送り込みが開始されるときの状態を示していて、傾斜維持手段16による傾斜維持の動作の状態が示されている。
図6の(A)に示すように、門型フレーム11がコンベア7の製品溜め空間9を跨ぐようにホルダー3がカップ製品6の受け位置に配置されるときには、前記門型フレーム11において上下に三段の対の傾斜滑り板13の内、まず最初に、最上段の傾斜滑り板13の対が製品溜め空間9に対応する。(製品待機)
【0057】
ホルダー3がカップ製品6の受け位置aに配置されたときには、傾斜維持手段16が各楔型材17を上昇させていて、各傾斜滑り板13が門型フレーム11の中心側に向けて下り傾斜する状態に傾斜している。各段で対向する傾斜滑り板13の下端14は、製品溜め空間9に送り込まれてくるカップ製品6の製品側面15に当接する位置、或いはその製品側面15から僅かに離れた位置となり、ホルダー3が上昇すれば、傾斜滑り板13の下端14の間でカップ製品6を支持して、ホルダー3の上昇とともにカップ製品6(カップ製品縦列組10)を上方に移動させることができるようにしている。
【0058】
(最上位のカップ製品縦列組形成
図6B)
図6の(B)は、最上段の傾斜滑り板13の間となっている製品溜め空間9にカップ製品6が送り込まれ、個々のカップ製品6が移動止めされて、三個のカップ製品6によってカップ製品縦列組10が形成された状態を示している。なお、上述したように傾斜滑り板13の下端14がカップ製品6の製品側面15に当接する位置にある場合、カップ製品6の製品側面15に対して傾斜滑り板13の下端14は、カップ製品6の移動(カップ製品縦列組の形成)を妨げることなしに摺接するように設けられている。また、必要個数のカップ製品6が一列に並んでカップ製品縦列組10が形成されると、コンベア7の搬送動作は一旦停止する。(1段目集積)
【0059】
(最上段のカップ製品縦列組の上方移動
図6C)
図6の(C)は、上記最上段の対の傾斜滑り板13の間で形成されたカップ製品縦列組10を支持しながら、上記マスト4の動作によってホルダー3が上昇し、最上段の下位である次段の対の傾斜滑り板13が製品溜め空間9に対応した状態を示している。このようにホルダー3が上昇することによって先に組として形成されたカップ製品縦列組10は上方に移動することとなり、製品溜め空間9は空となる。そして、先形成されたカップ製品縦列組10が上方移動した後の空の製品溜め空間9に次段の傾斜滑り板13が対応位置すればホルダー3の上昇が停止し、コンベア7が搬送動作が再開される。(1段上昇)
【0060】
(中位のカップ製品縦列組形成
図6D)
図6の(D)は、次段の傾斜滑り板13の間となっている製品溜め空間9にカップ製品6が送り込まれ、先形成の組と同様にしてカップ製品縦列組10が形成された状態を示している(中位のカップ製品縦列組の形成)。そして、対の傾斜滑り板13の間となりながら製品溜め空間9で中位のカップ製品縦列組10が形成されると、コンベア7の搬送動作は一旦停止する。(2段目集積)
【0061】
(中位のカップ製品縦列組の上方移動
図6E)
図6の(E)は、最上段と次段の傾斜滑り板13の間で形成された最上位と中位の二組のカップ製品縦列組10を支持しながら、上述と同様にしてホルダー3が上昇し、次段の下位である最下段の対の傾斜滑り板13が製品溜め空間9に対応し、ホルダー3の上昇が停止した状態を示している。先形成された中位のカップ製品縦列組10が上方移動した後の空の製品溜め空間9に最下段の傾斜滑り板13が対応位置すれば、ホルダー3の上昇が停止して、コンベア7が搬送動作が再開される。(1段上昇)
【0062】
(最下位のカップ製品縦列組形成
図6F)
図6の(F)は、最下段の傾斜滑り板13の間となっている製品溜め空間9にカップ製品6が送り込まれ、先形成の組と同様にしてカップ製品縦列組10が形成された状態を示している(最下位のカップ製品縦列組の形成)。そして、製品溜め空間9で最下位のカップ製品縦列組10が形成されると、コンベア7の搬送動作は一旦停止する。(3段目集積)
【0063】
(三段のカップ製品縦列組の支持
図6G)
図6の(G)は、三つの段の全ての傾斜滑り板13の間でカップ製品縦列組10を支持したホルダー3を示していて、マスト4の動作によってホルダー3はカップ製品6の受け位置aから離れて、上方位置bと、コンベア7の搬送方向に沿った方向であって上記箱5の上方となる落とし込み待機位置cと、その落とし込み待機位置cから箱5に向けて降下してから箱5の上面となる位置とで一旦停止し、箱5の上面で一旦停止した後に箱5の内部に降下して箱底面に接するようにして、落とし込み位置dにてホルダー3の移動が停止される。(集積完了)
【0064】
(ホルダーの箱での落とし込み位置
図7A)
図7の(A)は、上下に組み分けされた状態で三組のカップ製品縦列組10を支持しているホルダー3が、カップ製品6の落とし込み位置dに移動した状態を示している。ホルダー3が降下する位置は箱5の一側面に沿うように設定されている。
【0065】
(カップ製品の落とし込み
図7B、
図7D)
図7の(B)は、カップ製品6の落とし込み位置にあるホルダー3が、上下三組のカップ製品縦列組10を積み重ねて落とし込んだ状態を示している。このカップ製品縦列組10の落とし込みに際して、
図7の(D)で示すように傾斜維持手段16は、全ての楔型材17が、傾斜滑り板13を傾斜維持する位置から下方に移動するように設けられており、楔型材17が下がることによって、傾斜滑り板13それぞれは枢支された上端の部分から鉛直方向に垂下し、或いは鉛直方向に近い状態で垂下し、対向する傾斜滑り板13の下端14の間が、カップ製品6の最長幅となる部分(例えば、製品上部の幅)より広い間隔に拡大するようにしている。
【0066】
上下三組のカップ製品縦列組10での各カップ製品6それぞれは傾斜滑り板13による支持が解除されたため、自重によって傾斜滑り板13を開きながら下方に移動し、三段に積み重なった状態で箱5の内部で配置される。
【0067】
(ホルダーの箱からの上昇
図7C、
図7D)
図7の(C)は、カップ製品6それぞれに対する支持を解除したホルダー3が、マスト4の動作によって箱5から上昇した状態を示している。ホルダー3は傾斜滑り板13を垂下させた状態でマスト4の動作によって上記カップ製品6の受け位置aへ移動する。楔型材17は
図7の(D)に示すように降下した位置にある。
【0068】
図8に示すように、カップ製品6が落とし込まれた箱5の縦詰め列の方向X(コンベア7の搬送方向に沿った方向)では、この箱5の大きさに応じた個数(三個)にしてカップ製品6が縦並びし、また箱5の横詰め列の方向Yにおいても、箱5の大きさに応じる個数(二個)にしてカップ製品6が横並びして収容され、さらに、箱5の大きさに応じた詰め段数(三段)にしてカップ製品6が積み重ねられた状態で収容される。このように、ホルダー3から一回のカップ製品6の落とし込みによって、箱5に収める収容数に合致したカップ製品6が、箱5の大きさに応じた配置になって収容されるようにしている。所定の配列と段数にしてカップ製品6が落とし込まれた箱5は箱詰め装置1から送り出され、次の封緘工程に移動するようにしている。
【0069】
(箱詰めの方法)
箱詰め装置1を用いた箱詰めの方法を以下に説明する。本方法では、箱詰め装置1の内側に搬送終端側が位置するようにしてコンベア7を設置しており、上述したように前記搬送終端側の外方であってコンベア7の搬送方向を含む立面内の部分にして、上記落とし込み待機位置cの下方でありカップ製品6の落とし込みをする位置に箱5を配置する。また、カップ製品6を箱詰め装置1に送り込むコンベア7は、箱5の横詰め列の方向Yでのカップ製品6の横詰め数(二個)に応じた列数である二列に並設する。
【0070】
箱詰め装置1の内側に入り込むコンベア7の搬送終端側の部分では、コンベア7上で三個のカップ製品6を搬送されてきた順にストッパー8で移動止して、三個のカップ製品6が一列にして整列する製品溜め空間9が形成されるようにしている。勿論、この製品溜め空間9は箱詰め装置1の内側の空間に形成される。
【0071】
箱詰め装置1の内側には、製品溜め空間9を跨ぐ形状にした下部開放の上記門型フレーム11とこの門型フレーム11の起立部12に枢支される上記傾斜滑り板13とを備えた上記ホルダー3があり、製品溜め空間9それぞれに対応する門型フレーム11をコンベア7の搬送方向に直交する方向に並設している。さらにこの箱詰め装置1はそれぞれがコンベア7の搬送方向に沿った方向に移動することができる上記マスト4があり、マスト4それぞれがホルダー3を上下方向に移動可能に支持する。よって、この箱詰め装置1はホルダー3を二つ備える。
【0072】
そして、ホルダー3の傾斜滑り板13を、上述したように搬送方向と直交する方向であって製品溜め空間9が間に配置可能になる間隔を存して対向配置させるとともに、起立部12の上下方向に三段にして配置して、搬送方向と直交する方向に対向する傾斜滑り板13の下端14それぞれがカップ製品6の製品側面15に当接する間隔となるように傾斜滑り板13を傾斜させてカップ製品6を傾斜滑り板13間で支持可能にする。
【0073】
ホルダー3それぞれはマスト4に支持されながら、製品溜め空間9と箱5との間をコンベアの搬送方向を含む立面内で移動するようにしていて、互いの位置が重なることがないようにカップ製品6の受け位置aから上昇位置bへ、上昇位置bから落とし込み待機位置cへ、落とし込み待機位置cから落とし込み位置dへ、落とし込み位置dから前記受け位置aと移動する。
【0074】
上記ホルダー3がカップ製品6の受け位置aに到着する時、門型フレーム11が製品溜め空間9を跨いで最上段の傾斜滑り板13を製品溜め空間9に対応位置させる。そして、最上段の傾斜滑り板13が対応位置した製品溜め空間9に、箱5におけるコンベア7の搬送方向に沿った縦詰め列でのカップ製品6の数に応じた三個にしてカップ製品6を整列させる。
【0075】
二列の製品溜め空間10で縦詰め数で整列したカップ製品6を組とするカップ製品縦列組10が形成されるごとに、ホルダー3を上昇する。このホルダー3の上昇によって、カップ製品縦列組10のカップ製品6それぞれを、対向する対の傾斜滑り板13の間で支持して製品溜め空間10から上方に移動させ、上方に移動したこのカップ製品縦列組10の下方の製品溜め空間9を空所として形成する。そして、カップ製品縦列組10を支持する傾斜滑り板13の下段となる傾斜滑り板13を、空所となっている製品溜め空間9に対応位置させる。
【0076】
カップ製品6の受け位置aにおいて、コンベア7それぞれの搬送による製品溜め空間9でのカップ製品縦列組10の形成と、カップ製品縦列組10の上方移動を伴なったホルダー3の上昇による製品溜め空間9それぞれでの空所の形成とを交互に繰り返す。そして、ホルダー3は、並設された門型フレーム11それぞれで、箱5の上下方向での詰め段数に応じた組数である三組のカップ製品縦列組10を上下に組み分けされた状態で支持する。
【0077】
つぎに、門型フレーム11それぞれで上下三組のカップ製品縦列組10を支持するホルダー3は、製品溜め空間9を跨いでいた受け位置aから、上方位置b、落とし込み待機位置c、落とし込み位置dへとコンベア7の搬送方向を含む立面内で箱5側に移動する。
【0078】
そして、落とし込み位置dにおいて、門型フレーム11ごとに箱5の詰め段数に応じた組数で上下に組み分けされた三組のカップ製品縦列組10を箱5に対応位置させ、傾斜滑り板13の下端14の対向間隔を上述のようにして拡大し、カップ製品6の支持を解除して、三組が上下に重なった状態で並列した計六組のカップ製品縦列組10を箱5へ落とし込む。
【0079】
上記落とし込みによって、カップ製品6が、箱5の縦詰め数に応じた個数で縦詰め列の方向Xに並んで、且つ箱5の詰め段数に応じた積み重ね状態であって、箱5の横詰め数に応じた個数で横詰め列の方向Yに並んで箱5内に配置される。
図8参照
【0080】
上記実施の例では箱5の内側を落とし込み位置dとしているが、箱5の開いた上面に近接した位置を落とし込み位置dとし、ホルダー3が箱5の内側に降下せずに開いた上面に近接した位置で停止し、その位置でカップ製品6の落とし込みが行なわれるようにすることも可能である。
【0081】
また、上記実施の例においてはマスト4を二体として二つのホルダー3が交互に箱詰めをするものとして説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、一つのマスト4により支持された一つのホルダー3にて箱詰めを行なうようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…箱詰め装置
3…ホルダー
4…マスト
5…箱
6…カップ製品
7…コンベア
8…ストッパー
9…製品溜め空間
10…カップ製品縦列組
11…門型フレーム
12…起立部
13…傾斜滑り板
14…傾斜滑り板の下端
15…カップ製品の製品側面
16…傾斜維持手段
17…楔型材
a…カップ製品の受け位置
b…上昇位置
c…落とし込み待機位置
d…落とし込み位置
X…縦詰め列の方向
Y…横詰め列の方向