(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】制動制御装置
(51)【国際特許分類】
B60T 13/20 20060101AFI20221206BHJP
B60T 13/68 20060101ALI20221206BHJP
B60T 13/122 20060101ALI20221206BHJP
B60T 8/1761 20060101ALI20221206BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20221206BHJP
B60T 8/175 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B60T13/20
B60T13/68
B60T13/122 D
B60T8/1761
B60T7/12 F
B60T8/175
(21)【出願番号】P 2019010294
(22)【出願日】2019-01-24
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 正明
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-11285(JP,A)
【文献】特開2003-312463(JP,A)
【文献】特開平10-76929(JP,A)
【文献】実開平7-17673(JP,U)
【文献】特開平2-182561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12 - 8/1769
8/32 - 8/96
B60T 13/00 - 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の各車輪に設けられブレーキ液圧によって制動力を発生させるホイールシリンダと、前記ホイールシリンダと接続された流路に設けられた加圧手段と、前記加圧手段と前記ホイールシリンダとの間に設けられた液圧調整手段と、を備える制動装置を制御する制動制御装置であって、
前記制動装置において、
前記液圧調整手段は、第1の調圧弁と、第2の調圧弁と、リザーバと、ポンプと、モータと、を有し、
前記第1の調圧弁は、前記ホイールシリンダと前記加圧手段とを結ぶ流路に設けられ、
前記第2の調圧弁は、前記ホイールシリンダと前記リザーバとを結ぶ流路に設けられ、
前記リザーバは、前記ホイールシリンダと前記第2の調圧弁を経由して接続するとともに前記加圧手段と前記第1の調圧弁との間と接続流路で接続される位置に配置され、ブレーキ液を貯留するリザーバ室の容積を減少させる方向に可動部を所定圧力で押圧する機構を有し、
前記ポンプは、前記リザーバ内のブレーキ液を汲み出して前記加圧手段と前記ホイールシリンダを接続する流路の所定位置に吐出し、
前記モータは、前記ポンプを作動させ、
前記制動制御装置は、
走行状態に応じて前記各車輪の制動力を制御する制動制御状態において、すべての前記ホイールシリンダのブレーキ液圧が保持または減圧のいずれかの状態である全輪非増圧状態か否かを判定し、前記全輪非増圧状態と判定した場合、前記モータを停止するとともに、前記第1の調圧弁を閉弁状態とし、さらに、前記加圧手段の発生する圧力を前記リザーバ内で発生する前記所定圧力より小さい圧力とするモータ汲み出し抑制制御を実行する制御部を、備える制動制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記全輪非増圧状態でないと判定した場合、前記加圧手段によって所定のブレーキ液圧を発生させる、請求項1に記載の制動制御装置。
【請求項3】
前記制動装置は、前記接続流路に導入弁が設けられ、前記導入弁が開状態で前記接続流路は開放され、前記導入弁が閉状態で前記接続流路は遮断され、
前記制御部は、前記モータ汲み出し抑制制御の実行中に前記導入弁を開状態とする、請求項1または請求項2に記載の制動制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記リザーバに貯留されたブレーキ液量が所定量以上と判定したとき、前記モータ汲み出し抑制制御を実行せず、前記モータを駆動する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項5】
前記制動装置は、前記各車輪のうち少なくとも2つ以上の車輪について、前記液圧調整手段による増圧、保持、減圧の動作を同期させる、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の制動装置として、上流機構(マスタシリンダ等)で発生させた液圧を用いて各車輪に制動力を付与する技術がある。そのような制動装置において、例えば、ABS(Antilock Brake System)制御を実行する場合、上流機構でブレーキ液の加圧を継続しつつ、各車輪のホイールシリンダ内のブレーキ液をリザーバに適宜移動させることで制動力を調整し、各車輪のロックを防止する。
【0003】
また、上流機構でブレーキ液の加圧を継続している場合、リザーバ内のブレーキ液が所定量以上になると、モータを駆動してポンプを作動させることでリザーバ内のブレーキ液を汲み出して所定の流路に吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、モータが連続駆動によって加熱して所定温度に達すると、システム保護のために制動制御等の機能を停止させる必要があった。そして、モータがある程度冷めるまで機能を再開できなかった。
【0006】
そこで、本発明の課題の一つは、車両の制動制御状態におけるポンプ作動用のモータの連続駆動を抑制することができる制動制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制動制御装置は、例えば、車両の各車輪に設けられブレーキ液圧によって制動力を発生させるホイールシリンダと、前記ホイールシリンダと接続された流路に設けられた加圧手段と、前記加圧手段と前記ホイールシリンダとの間に設けられた液圧調整手段と、を備える制動装置を制御する制動制御装置である。前記制動装置において、前記液圧調整手段は、第1の調圧弁と、第2の調圧弁と、リザーバと、ポンプと、モータと、を有する。前記第1の調圧弁は、前記ホイールシリンダと前記加圧手段とを結ぶ流路に設けられる。前記第2の調圧弁は、前記ホイールシリンダと前記リザーバとを結ぶ流路に設けられる。前記リザーバは、前記ホイールシリンダと前記第2の調圧弁を経由して接続するとともに前記加圧手段と前記第1の調圧弁との間と接続流路で接続される位置に配置され、前記ブレーキ液を貯留するリザーバ室の容積を減少させる方向に可動部を所定圧力で押圧する機構を有する。前記ポンプは、前記リザーバ内のブレーキ液を汲み出して前記加圧手段と前記ホイールシリンダを接続する流路の所定位置に吐出する。前記モータは、前記ポンプを作動させる。前記制動制御装置は、走行状態に応じて前記各車輪の制動力を制御する制動制御状態において、すべての前記ホイールシリンダのブレーキ液圧が保持または減圧のいずれかの状態である全輪非増圧状態か否かを判定し、前記全輪非増圧状態と判定した場合、前記モータを停止するとともに、前記第1の調圧弁を閉弁状態とし、さらに、前記加圧手段の発生する圧力を前記リザーバ内で発生する前記所定圧力より小さい圧力とするモータ汲み出し抑制制御を実行する制御部を備える。
【0008】
また、本発明の制動制御装置において、例えば、前記制御部は、前記全輪非増圧状態でないと判定した場合、前記加圧手段によって所定のブレーキ液圧を発生させる。
【0009】
また、本発明の制動制御装置において、例えば、前記液圧調整手段は、前記接続流路に導入弁が備えられ、前記導入弁が開状態で前記接続流路は開放され、前記導入弁が閉状態で前記接続流路は遮断され、前記制御部は、前記モータ汲み出し抑制制御の実行中に前記導入弁を開状態とする。
【0010】
また、本発明の制動制御装置において、例えば、前記制御部は、前記リザーバに貯留されたブレーキ液量が所定量以上と判定したとき、前記モータ汲み出し抑制制御を実行せず、前記モータを駆動する。
【0011】
また、本発明の制動制御装置において、例えば、前記制動装置は、前記各車輪のうち少なくとも2つ以上の車輪について、前記液圧調整手段による増圧、保持、減圧の動作を同期させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態の車両の概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のブレーキ制御部の概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、下り坂を走行する車両の様子を示す模式図である。
【
図4】
図4は、比較例と第1実施形態における制御の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のブレーキECUによる処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態のブレーキECUによる処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第3実施形態のブレーキ制御部の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態(第1実施形態~第3実施形態)が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の車両100の概略構成を示す模式図である。第1実施形態では、車両100は、例えば、内燃機関(エンジン20)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ。不図示)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。また、車両100は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。また、車両100における車輪の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。また、第1実施形態では、一例として、車両100は、四輪車(四輪自動車)であり、左右二つの前輪FL,FRと、左右二つの後輪RL,RRとを有する。なお、
図1では、車両前後方向(矢印FB)の前方は、左側である。
【0015】
車両100は、エンジン20と、ブレーキ制御部30(制動装置)と、撮像装置51と、レーダ装置52と、ブレーキスイッチ42と、ブレーキペダルストロークセンサ48と、踏力センサ49と、アクセルペダルストロークセンサ47と、前後方向加速度センサ43と、制御装置40と、を備える。
【0016】
また、車両100は、左右二つの前輪FR,FLのそれぞれに対応して、ホイールシリンダWfr,Wflと車輪速度センサ41fr,41flとを備える。また、左右二つの後輪RR,RLのそれぞれに対応して、ホイールシリンダWrr,Wrlと車輪速度センサ41rr,41rlとを備える。なお、これ以降、車輪速度センサ41fr,41fl,41rr,41rlを総称する場合には、「車輪速度センサ41」と呼ぶ。また、ホイールシリンダWfr,Wfl,Wrr,Wrlを総称する場合には、「ホイールシリンダW」と呼ぶ。
【0017】
なお、車両100は、
図1に示す構成以外にも車両100としての基本的な構成を備えるが、第1実施形態の技術的特徴に直接関係のない事項(構成、機能等)については説明を適宜省略する。
【0018】
撮像装置51は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。レーダ装置52は、例えば、ミリ波レーダ装置である。
【0019】
車輪速度センサ41は、各車輪速度センサ41に対応する車輪が所定角度回転する毎にパルスを有する信号を出力する。
【0020】
アクセルペダルストロークセンサ47は、アクセルペダルAPに設けられ、運転者によるアクセルペダルAPの踏込み量(ストローク量)を検知する。
【0021】
ブレーキスイッチ42、ブレーキペダルストロークセンサ48、踏力センサ49は、いずれもブレーキペダルBPに設けられている。ブレーキスイッチ42は、運転者によるブレーキペダルBPの操作の有無を示すブレーキ操作信号を出力する。具体的には、ブレーキスイッチ42は、ブレーキペダルBPが操作されている場合にはオン(High)のブレーキ操作信号を出力し、ブレーキペダルBPが操作されていない場合にはオフ(Low)のブレーキ操作信号を出力する。ブレーキペダルストロークセンサ48は、運転者によるブレーキペダルBPの踏込み量(ストローク量)を検知する。踏力センサ49は、ブレーキペダルBPが踏み込まれた際のブレーキ踏力またはペダル作動力を検出する。
【0022】
前後方向加速度センサ43は、車体前後方向の加速度(前後加速度)を検出し、前後加速度を表す信号を出力する。
【0023】
エンジン20は、運転者によるアクセルペダルAPの操作に応じた動力を出力する。ブレーキ制御部30は、ブレーキECU12(制御部)からの指令により、各車輪FR,FL,RR,RLにブレーキ液圧によるブレーキ力を発生させる。ブレーキ制御部30は、ブレーキペダルBPの操作量に応じたブレーキ液圧を発生し、車輪FR,FL,RR,RLにそれぞれ配置されたホイールシリンダWfr,Wfl,Wrr,Wrlに供給するブレーキ液圧をそれぞれ調整可能となっている。
【0024】
制御装置40は、車両100の各部から信号やデータ等を受け取るとともに、車両100の各部の制御を実行する。制御装置40は、
図1に示すように、ブレーキECU(Electronic Control Unit)12と、エンジンECU13と、を主に備える。
【0025】
エンジンECU13は、燃料の噴射制御および吸気量の調整制御などのエンジン20の各種制御を司る。
【0026】
ブレーキECU12は、自車両に対する制動トルクの調整制御、及び車輪FR,FL,RR,RL毎の制動トルクの調整制御などを司る。ブレーキECU12は、車輪FR,FL,RR,RL毎に設けられた各車輪速度センサ41のうち少なくとも一つの車輪速度センサ41からの検出信号に基づき自車両の車体速度と、前後方向加速度センサ43からの検出信号に基づき自車両の加速度等を算出し、他のECUへ送出する。また、ブレーキECU12は、前述したブレーキペダルストロークセンサ48や踏力センサ49の信号のいずれか、あるいは両方の信号に基づいてブレーキペダルBPの操作量を検出する。ブレーキECU12の詳細については後述する。
【0027】
各ECUは、コンピュータとして構成されており、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理部(不図示)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶部を備える。
【0028】
演算処理部は、不揮発性の記憶部(例えばROMや、フラッシュメモリ等)に記憶された(インストールされた)プログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行し、各ECUとして機能する。また、記憶部には、制御に関わる各種演算で用いられるデータ(テーブル(データ群)や、関数等)や、演算結果(演算途中の値も含む)等が記憶される。
【0029】
なお、上述した車両100の構成はあくまで一例であって、種々に変更して実施することができる。車両100を構成する個々の装置としては、公知の装置を用いることができる。また、車両100の各構成は、他の構成と共用することができる。
【0030】
次に、
図2を参照して、ブレーキ制御部30の詳細について説明する。
図2は、第1実施形態のブレーキ制御部30の概略構成を示す図である。ブレーキ制御部30は、ブレーキペダルBPの操作量に応じたブレーキ液圧を発生するブレーキ液圧発生部32(加圧手段)と、車輪FR,FL,RR,RLにそれぞれ配置されたホイールシリンダWfr,Wfl,Wrr,Wrlに供給するブレーキ液圧をそれぞれ調整可能なFRブレーキ液圧調整部33,FLブレーキ液圧調整部34,RRブレーキ液圧調整部35,RLブレーキ液圧調整部36と、還流ブレーキ液供給部37と、マスタ液圧センサ44とを含んで構成される。
【0031】
なお、以下において、FRブレーキ液圧調整部33,FLブレーキ液圧調整部34,RRブレーキ液圧調整部35,RLブレーキ液圧調整部36について、特に区別しないときは、単に「液圧調整部」(液圧調整手段)と呼ぶ場合がある。
【0032】
ブレーキ液圧発生部32は、マスタシリンダMCと、マスタシリンダMC内のピストンを変位させるピストン駆動部PPから構成される。ピストン駆動部PPは、例えば、ポンプを用いて蓄圧された油圧によってマスタシリンダMC内のピストンを押圧して、ピストンの位置を所定の位置に移動させる油圧機構や、モータの回転を直動変換して接続されたマスタシリンダMC内のピストンの位置を所定の位置に移動させる電動機構が用いられる。ブレーキ液圧発生部32は、ブレーキECU12の指示に従いピストン駆動部PPによりマスタシリンダMC内のピストンを変位させることによって、マスタシリンダMCにマスタシリンダ液圧を発生させる。
【0033】
マスタシリンダMCは、第1ポート、及び第2ポートからなる2系統の出力ポートを有していて、リザーバタンクRSからのブレーキ液の供給を受けて、上記マスタシリンダMC内のピストンの変位に応じた第1マスタシリンダ液圧Pmを第1ポートから発生するとともに、同第1マスタシリンダ液圧と略同一の液圧である第2マスタシリンダ液圧Pmを第2ポートから発生する。以下、マスタシリンダ液圧を「MC液圧」とも呼ぶ。
【0034】
これらマスタシリンダMC及びピストン駆動部PPの構成及び作動は周知であるので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。そして、ブレーキ液圧発生部32は、ブレーキECU12の指示に従い、ブレーキペダルBPの操作量に応じた第1MC液圧及び第2MC液圧を発生する。また、ブレーキ液圧発生部32は、ブレーキECU12の指示に従い、ブレーキペダルBPの操作量によらず、ブレーキ制御に必要な任意の第1MC液圧及び第2MC液圧を発生する。
【0035】
マスタ液圧センサ44は、マスタシリンダMCのMC液圧を検知して、検知信号を制御装置40に送出する。具体的には、マスタ液圧センサ44は、MC液圧として、第1マスタシリンダ液圧と略同一の液圧である第2マスタシリンダ液圧Pmを検知する。ここで、MC液圧として、第1マスタシリンダ液圧を検知するようにマスタ液圧センサ44を構成してもよい。
【0036】
マスタシリンダMCの第1ポートと、FRブレーキ液圧調整部33及びFLブレーキ液圧調整部34との間には、常開リニア電磁弁PC1(第1の調圧弁)が介装されている。同様に、マスタシリンダMCの第2ポートと、RRブレーキ液圧調整部35及びRLブレーキ液圧調整部36との間には、常開リニア電磁弁PC2(第1の調圧弁)が介装されている。
【0037】
FRブレーキ液圧調整部33は、2ポート2位置切換型の常開電磁開閉弁である増圧弁PUfrと、2ポート2位置切換型の常閉電磁開閉弁である減圧弁PDfrとから構成される。増圧弁PUfrは、常開リニア電磁弁PC1(第1の調圧弁)とホイールシリンダWfrとを連通・遮断できる。減圧弁PDfrは、ホイールシリンダWfrとリザーバRS1とを連通・遮断できる。この結果、増圧弁PUfr、及び減圧弁PDfrを制御することでホイールシリンダWfr内のブレーキ液圧(ホイールシリンダ液圧Pwfr)が増圧・保持・減圧され得る。以下、ホイールシリンダ液圧を「WC液圧」とも呼ぶ。
【0038】
また、増圧弁PUfrには増圧弁PUfrのホイールシリンダWfr側から増圧弁PUfrの常開リニア電磁弁PC1(第1の調圧弁)側へのブレーキ液の一方向の流れのみを許容するチェック弁CV1が並列に配設されている。これにより、操作されているブレーキペダルBPが開放されたときに増圧弁PUfrが遮断状態であってもWC液圧Pwfrが迅速に減圧される。
【0039】
同様に、FLブレーキ液圧調整部34,RRブレーキ液圧調整部35,RLブレーキ液圧調整部36は、それぞれ、増圧弁PUfl及び減圧弁PDfl,増圧弁PUrr及び減圧弁PDrr,増圧弁PUrl及び減圧弁PDrlから構成される。そして、これらの増圧弁及び減圧弁が制御されることにより、ホイールシリンダWfl,ホイールシリンダWrr及びホイールシリンダWrl内のブレーキ液圧(WC液圧Pwfl,Pwrr,Pwrl)をそれぞれ増圧、保持、減圧できる。また、増圧弁PUfl,PUrr及びPUrlの各々にも、上記チェック弁CV1と同様の機能を達成し得るチェック弁CV2,CV3及びCV4がそれぞれ並列に配設されている。
【0040】
還流ブレーキ液供給部37は、直流モータMTと、直流モータMTにより作動する2つの液圧ポンプ(ギヤポンプ)HP1,HP2を含んでいる。液圧ポンプHP1は、減圧弁PDfr,PDflから還流されてきたリザーバRS1内のブレーキ液を汲み上げ、汲み上げたブレーキ液をチェック弁CV8を介してホイールシリンダWfr及びホイールシリンダWflとマスタシリンダMCの第1ポートとを結ぶ流路の所定に位置に供給する。本実施形態では、ホイールシリンダWfr及びホイールシリンダWflとマスタシリンダMCの第1ポートとを結ぶ流路上にあるFRブレーキ液圧調整部33及びFLブレーキ液圧調整部34と、常開リニア電磁弁PC1(第1の調圧弁)との間に供給(吐出)する。また、マスタシリンダMCの第1ポートと常開リニア電磁弁PC1との間と、リザーバRS1を結ぶ第1の接続流路を有しており、液圧ポンプHP1作動時にリザーバRS1が空になった場合、第1の接続流路とリザーバRS1を通じてブレーキ液を液圧ポンプHP1に導入することができる。
【0041】
同様に、液圧ポンプHP2は、減圧弁PDrr,PDrlから還流されてきたリザーバRS2内のブレーキ液を汲み上げ、汲み上げたブレーキ液をチェック弁CV11を介してホイールシリンダWrr及びホイールシリンダWrlとマスタシリンダMCの第2ポートとを結ぶ流路の所定に位置に供給する。本実施形態では、ホイールシリンダWrr及びホイールシリンダWrlとマスタシリンダMCの第2ポートとを結ぶ流路上にあるRRブレーキ液圧調整部35及びRLブレーキ液圧調整部36と、常開リニア電磁弁PC1(第1の調圧弁)との間に供給(吐出)する。なお、液圧ポンプHP1,HP2の吐出圧の脈動を低減するため、チェック弁CV8と常開リニア電磁弁PC1との間の液圧回路、及びチェック弁CV11と常開リニア電磁弁PC2との間の液圧回路には、それぞれ、ダンパDM1,DM2が配設されている。また、マスタシリンダMCの第2ポートと常開リニア電磁弁PC2との間と、リザーバRS2を結ぶ第2の接続流路を有しており、液圧ポンプHP2作動時にリザーバRS2が空になった場合、第2の接続流路とリザーバRS2を通じてブレーキ液を液圧ポンプHP2に導入することができる。
【0042】
また、常開リニア電磁弁PC1には、常開リニア電磁弁PC1のマスタシリンダMCの第1ポート側から、常開リニア電磁弁PC1のFRブレーキ液圧調整部33及びFLブレーキ液圧調整部34側へのブレーキ液の一方向の流れのみを許容するチェック弁CV5が並列に配設されている。また、常開リニア電磁弁PC2にも、上記のチェック弁CV5と同様のチェック弁CV6が並列に配設されている。
【0043】
以上、説明した構成により、ブレーキ制御部30は、二つの前輪FR,FLに係わる系統と、二つの後輪RR,RLに係わる系統の2系統の液圧回路から構成される。ブレーキ制御部30は、全ての電磁弁が非励磁状態にあるときブレーキペダルBPの操作量に応じたブレーキ液圧(即ち、MC液圧Pm)をホイールシリンダW**にそれぞれ供給できる。なお、各種変数等の末尾に付された「**」は、同各種変数等が各車輪FR等のいずれに関するものであるかを示すために同各種変数等の末尾に付される「fl」,「fr」等の包括表記である。
【0044】
他方、この状態において、モータMTを駆動して液圧ポンプHP1,HP2を作動させるとともに、常開リニア電磁弁PC1,PC2、並びに増圧弁PU**、及び減圧弁PD**を制御することで、WC液圧Pw**を独立して調整できる。
【0045】
即ち、ブレーキ制御部30は、運転者によるブレーキペダルBPの操作にかかわらず、各車輪に付与される制動力を車輪毎に独立して調整できる。以上により、ブレーキ制御部30は、ブレーキECU12、エンジンECU13などから構成される制御装置40からの指示により、公知のDAC(Downhill Assist Control)、ABS制御、TRC(TRaction Control)等の各制御を実行できる。
【0046】
ここで、
図3を参照して、DACについて説明する。
図3は、下り坂を走行する車両100の様子を示す模式図である。車両100が下り坂を走行する場合、通常の制動制御を実行すると、車輪のスリップやロックが起きる可能性がある。そこで、DACでは、車輪のスリップやロックを回避するようにブレーキ圧を制御し、かつ、車速を低速に維持する。これにより、運転者は、安心してステアリング操作に集中することが可能となる。
【0047】
また、TRCでは、車両の発進時や加速時にブレーキ圧を制御し、車輪の空転を防止する。
【0048】
しかし、従来技術では、DAC、ABS制御、TRC等のブレーキ制御を実行し続けると、ポンプ作動用のモータが連続駆動によって加熱してシステム保護のために制動制御等の機能を停止させる必要が生じてしまう場合があった。
【0049】
そこで、以下では、車両100の制動制御状態におけるポンプ作動用のモータの連続駆動を抑制する技術について説明する。これによって、DAC、ABS制御、TRC等の連続実行可能時間を長くすることができる。
【0050】
図1に戻って、ブレーキECU12は、走行状態に応じて各車輪の制動力を制御する制動制御状態において、すべてのホイールシリンダWのブレーキ液圧が保持または減圧のいずれかの状態である全輪非増圧状態か否かを判定する。そして、ブレーキECU12は、全輪非増圧状態と判定した場合、モータMTを停止して液圧ポンプHP1、HP2を停止するとともに、常開リニア電磁弁PC1,PC2(第1の調圧弁)を閉弁状態とし、さらに、ブレーキ液圧発生部32(加圧手段)の発生する圧力をリザーバRS1,RS2内で発生する所定圧力より小さい圧力とするモータ汲み出し抑制制御を実行する。なお、リザーバRS1,RS2は、ブレーキ液を貯留するリザーバ室の容積を減少させる方向に可動部を所定圧力で押圧する機構(例えばリターンスプリングによる押圧機構)を有する。また、リザーバRS1,RS2は、ボール弁等を備えるいわゆる調圧リザーバである。ボール弁が下降して台座に当接すると、閉弁状態となる。液圧ポンプHP1が停止状態にあるとき、リザーバRS1に接続される第1の接続流路の圧力がリザーバ室の容積を減少させる方向に可動部を押圧する所定圧力以下となるとリザーバRS1のボール弁は開弁状態となり、第1の接続流路の圧力がリザーバ室の容積を減少させる方向に可動部を押圧する所定圧力より大きくなるとリザーバRS1のボール弁は閉弁状態となる。同様に、液圧ポンプHP2が停止状態にあるとき、ザーバRS2に接続される第2の接続流路の圧力がリザーバ室の容積を減少させる方向に可動部を押圧する所定圧力以下となるとリザーバRS2のボール弁は開弁状態となり、第2の接続流路の圧力がリザーバ室の容積を減少させる方向に可動部を押圧する所定圧力より大きくなるとリザーバRS2のボール弁は閉弁状態となる。
【0051】
また、全輪非増圧状態の場合、具体的には、前輪の系統では、常開リニア電磁弁PC1の閉弁によって常開リニア電磁弁PC1の上流側の圧力が低下しても常開リニア電磁弁PC1のホイールシリンダ側に必要なブレーキ液圧(例えばホイールシリンダ圧以上の液圧)を確保し、前輪FL,FRについては、それぞれに対応する増圧弁PU、減圧弁PDを制御することで指示信号に応じた液圧の保持、減圧を行う。また、後輪の系統では、常開リニア電磁弁PC2の閉弁によって常開リニア電磁弁PC1の上流側の圧力が低下しても常開リニア電磁弁PC1のホイールシリンダ側に必要なブレーキ液圧(例えばホイールシリンダ圧以上の液圧)を確保し、後輪RL,RRについては、それぞれに対応する増圧弁PU、減圧弁PDを制御することで指示信号に応じた液圧の保持、減圧を行う。
【0052】
このような動作によって、全輪非増圧状態の場合、上流加圧(ブレーキ液圧発生部32による加圧)を停止させても各車輪の液圧に関する保持、減圧の制御を行うことができるとともに、ブレーキ液圧発生部32(加圧手段)の発生する圧力がリザーバRS1,RS2内で発生する所定圧力より小さい圧力となることで、モータMTを駆動しなくてもリザーバRS1,RS2に溜まったブレーキ液を第1の調圧弁よりもマスタシリンダMC側となる第1の調圧弁の上流部に排出できる。本実施形態では、リザーバRS1に溜まったブレーキ液は第1の接続流路を通じて、第1の接続流路が接続される常開リニア電磁弁PC1の上流部に排出され、リザーバRS2に溜まったブレーキ液は第2の接続流路を通じて、第2の接続流路が接続される常開リニア電磁弁PC2の上流部に排出される。
【0053】
また、ブレーキECU12は、全輪非増圧状態でないと判定した場合、ブレーキ液圧発生部32によって所定のブレーキ液圧を発生させる。
【0054】
次に、
図4を参照して、比較例(従来技術)と第1実施形態における制御の流れについて説明する。
図4は、比較例と第1実施形態における制御の流れを示すシーケンス図である。ここでは、例として、DAC中にABS制御を実行する場合について説明する。
【0055】
比較例、第1実施形態について、次の点は共通である。まず、後輪RR、RLの増圧、保持、減圧の動作を同期させている。また、各車輪における液圧の経時的変化は同じである。つまり、後輪RR、RLの液圧は増減を3回繰り返し、前輪FR、FLの液圧は増減をそれよりも多く繰り返している。
【0056】
そして、比較例では、上流加圧が常時ONとなっている。また、後輪差圧弁(常開リニア電磁弁PC2)、前輪差圧弁(常開リニア電磁弁PC1)は常時OFF(開)となっている。したがって、リザーバに貯留されているブレーキ液の量であるリザーバ液量(
図4ではリザーバRS1,RS2の液量の合計を概略的に示している。)は、ポンプ(液圧ポンプHP1,HP2)がONになっているとき以外は、減少することはない。よって、リザーバ液量がある程度以上になると、ポンプを作動させてブレーキ液を汲み出す必要がある。リザーバ液量は、例えば、ブレーキ制御の制御情報である減圧時のホイールシリンダ圧力や減圧時間やポンプの吐出量等に基づいて、リザーバへのブレーキ液の流入量とリザーバからの流出量を算定して推定する方法や、リザーバにストロークセンサ等を設けて検出する方法等を用いて得ることができる。
【0057】
一方、第1実施形態では、全輪非増圧状態の時間帯である時刻t1~t2、t3~t4、t5~t6、t7~t8、t9~t10、t11~t12において、上流加圧をOFFとし、後輪差圧弁(常開リニア電磁弁PC2)、前輪差圧弁(常開リニア電磁弁PC1)をON(閉)としている。そのため、それらの時間帯では、第1の調圧弁の上流部の圧力がリザーバRS1,RS2内の所定圧力よりも低いことによって、モータMTを駆動しなくても(つまり、ポンプ(液圧ポンプHP1,HP2)がOFFでも)リザーバRS1,RS2に溜まったブレーキ液を第1の調圧弁の上流部に自動的に排出できる。
【0058】
次に、
図5を参照して、第1実施形態のブレーキECU12による処理について説明する。
図5は、第1実施形態のブレーキECU12による処理を示すフローチャートである。
【0059】
まず、ステップS1において、ブレーキECU12は、制動制御状態か否かを判定し、Yesの場合はステップS2に進み、Noの場合はステップS1に戻る。
【0060】
ステップS2において、ブレーキECU12は、全輪非増圧状態か否かを判定し、Yesの場合はステップS3に進み、Noの場合はステップS4に進む。
【0061】
ステップS3において、ブレーキECU12は、モータ汲み出し抑制制御を実行する。具体的には、ブレーキECU12は、上流加圧を停止し、後輪差圧弁(常開リニア電磁弁PC2)、前輪差圧弁(常開リニア電磁弁PC1)をON(閉)にする。これにより、モータMTを駆動しなくてもリザーバRS1,RS2に溜まったブレーキ液が第1の調圧弁の上流部に自動的に排出される。ステップS3の後、ステップS4に進む。
【0062】
ステップS4において、ブレーキECU12は、制動制御状態か否かを判定し、Yesの場合はステップS2に戻り、Noの場合は処理を終了する。なお、ステップS3でモータ汲み出し抑制制御を開始した後、ステップS2でNoとなった場合は、モータ汲み出し抑制制御を停止する。
【0063】
このように、第1実施形態によれば、車両の制動制御状態におけるポンプ作動用のモータの連続駆動を抑制することができる。つまり、制動制御状態において、全輪非増圧状態の場合、上流加圧を停止させるとともに、後輪差圧弁(常開リニア電磁弁PC2)、前輪差圧弁(常開リニア電磁弁PC1)をON(閉)にすることで、各車輪の液圧に関する保持、減圧の制御を行うことができるとともに、モータMTを駆動しなくてもリザーバRS1,RS2に溜まったブレーキ液を第1の調圧弁の上流部に自動的に排出できる。
【0064】
したがって、モータMTの加熱による制動制御等の機能停止の可能性を低減することができる。また、上流加圧を連続させないことで、ブレーキ液圧発生部32の負荷を低減できる。
【0065】
なお、ブレーキ制御部30は、各車輪のうち少なくとも2つ以上の車輪について、液圧調整部による増圧、保持、減圧の動作を同期させるようにしてもよい。そうすれば、全輪非増圧状態の時間帯が増えることになり、より効果的である。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。第2実施形態において、ブレーキECU12は、リザーバ(リザーバRS1,RS2の少なくともいずれか)に貯留されたブレーキ液量が所定量(例えば満タンの8割)以上と判定したとき、モータ汲み出し抑制制御を実行せず、モータMTを駆動する。
【0067】
図6は、第2実施形態のブレーキECUによる処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、ブレーキECU12は、制動制御状態か否かを判定し、Yesの場合はステップS11に進み、Noの場合はステップS1に戻る。
【0068】
ステップS11において、ブレーキECU12は、リザーバ液量が所定量以上か否かを判定し、Yesの場合はステップS12に進み、Noの場合はステップS2に進む。以下、一例として、ステップS11でYesの場合とは、リザーバRS1のブレーキ液量が所定量以上であったものとする。しかし、これに限定されず、リザーバRS2のブレーキ液量が所定量以上となったときも同様である。
【0069】
ステップS12において、ブレーキECU12は、モータMTを駆動する。これにより、ポンプ(液圧ポンプHP1)が作動し、リザーバRS1内のブレーキ液が減少する。ステップS12の後、ステップS4に進む。
【0070】
ステップS2において、ブレーキECU12は、全輪非増圧状態か否かを判定し、Yesの場合はステップS3に進み、Noの場合はステップS4に進む。
【0071】
ステップS3において、ブレーキECU12は、モータ汲み出し抑制制御を実行し、ステップS4に進む。
【0072】
ステップS4において、ブレーキECU12は、制動制御状態か否かを判定し、Yesの場合はステップS11に戻り、Noの場合は処理を終了する。
【0073】
このように、第2実施形態によれば、リザーバRS1,RS2の少なくともいずれかに貯留されているブレーキ液量が所定量(例えば満タンの8割)以上のときは、全輪非増圧状態であっても、モータ汲み出し抑制制御を実行せず(実行していた場合は中止し)、モータMTを駆動する。これにより、該当するリザーバのブレーキ液量を迅速に減少させて、満タンになってしまう可能性をより低減することができる。
【0074】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第1実施形態と同様の事項については、説明を適宜省略する。
図7は、第3実施形態のブレーキ制御部30の概略構成を示す図である。第3実施形態では、ブレーキ制御部30は、第1の接続流路に開閉動作を行う常閉電磁開閉弁38(導入弁)を備える。また、第2の接続流路に開閉動作を行う常閉電磁開閉弁39(導入弁)を備える。また、
図7のリザーバRS1とリザーバRS2は、
図2のリザーバRS1とリザーバRS2のようにボール弁等を有する調圧リザーバではなく、通常のリザーバである。そして、ブレーキECU12は、モータ汲み出し抑制制御の実行中に常閉電磁開閉弁38及び常閉電磁開閉弁39を開状態とする。
【0075】
このように、第3実施形態によれば、
図7に示すタイプのブレーキ制御部30においてもモータ汲み出し抑制制御を実現することができる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0077】
例えば、上述の実施形態ではDAC中にABS制御を実行する場合について説明したが、これに限定されず、DAC中でABS制御を実行しない場合や、DAC中以外でABS制御を実行する場合や、TRCを実行する場合等に本発明を適用してもよい。
【0078】
また、上流加圧を停止する場合、上流加圧をOFFにする代わりに、上流加圧によって、リザーバRS1,RS2においてリターンスプリング等によって発生する所定圧力よりも弱い液圧を発生させてもよい。
【0079】
また、上記実施形態1~3では、ブレーキ液圧発生部32はピストンを用いて上流加圧を行うが、ピストン以外の方法で上流加圧を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
12…ブレーキECU、13…エンジンECU、20…エンジン、30…ブレーキ制御部、40…制御装置、100…車両。