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特許7188144無線情報収集システム、無線情報取集装置および無線情報収集方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】無線情報収集システム、無線情報取集装置および無線情報収集方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/22 20090101AFI20221206BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20221206BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20221206BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20221206BHJP
【FI】
H04W40/22
H04W4/38
H04W84/18
H04W88/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019016081
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020123910
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】福田 茂紀
(72)【発明者】
【氏名】川上 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】角田 潤
【審査官】久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-92737(JP,A)
【文献】特開2016-158114(JP,A)
【文献】特開2008-131517(JP,A)
【文献】特開2006-287468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線でデータを送信する複数のデバイスと、
前記複数のデバイスが送信したデータを受信するゲートウェイと、を備え、
前記複数のデバイスは、受信可能範囲内の他のデバイスが送信したデータを中継する機能を持ち、
前記ゲートウェイは、前記複数のデバイスの中継待ちの条件と、前記複数のデバイスの受信可能範囲内のデバイスのIDを格納しており、
前記ゲートウェイは、前記複数のデバイスのうち第1デバイスに無線通信障害が生じた場合に、前記第1デバイスについての受信可能範囲内のデバイスのうち、前記第1デバイスの中継待ちの条件に合致する第2デバイスに、前記第1デバイスの中継依頼を通知することを特徴とする無線情報収集システム。
【請求項2】
前記中継待ちの条件は、無線の設定と、中継待ちスケジュールとを含むことを特徴とする請求項1記載の無線情報収集システム。
【請求項3】
前記複数のデバイスは、周期的に、受信可能範囲内のデバイスを探索し、探索結果を前記ゲートウェイに送信することを特徴とする請求項1または2に記載の無線情報収集システム。
【請求項4】
前記ゲートウェイは、データを受信しない期間が閾値を上回るか否かを判定することで、デバイスに無線通信障害が発生しているか否かを判定することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の無線情報収集システム。
【請求項5】
データを無線で送信する機能と、受信可能範囲内の他のデバイスが送信したデータを中継する機能と、を備えた複数のデバイスから、前記複数のデバイスが送信したデータを受信する受信部と、
前記複数のデバイスの中継待ちの条件と、前記複数のデバイスの受信可能範囲内のデバイスのIDとを格納する格納部と、
前記複数のデバイスのうち第1デバイスに無線通信障害が生じた場合に、前記第1デバイスについての受信可能範囲内のデバイスのうち、前記第1デバイスの中継待ちの条件に合致する第2デバイスに、前記第1デバイスの中継依頼を通知する通知部と、を備えることを特徴とする無線情報収集装置。
【請求項6】
データを無線で送信する機能と、受信可能範囲内の他のデバイスが送信したデータを中継する機能と、を備えた複数のデバイスから、前記複数のデバイスが送信したデータをゲートウェイが受信し、
前記複数のデバイスの中継待ちの条件と、前記複数のデバイスの受信可能範囲内のデバイスのIDとを前記ゲートウェイの格納部に格納し、
前記複数のデバイスのうち第1デバイスに無線通信障害が生じた場合に、前記第1デバイスについての受信可能範囲内のデバイスのうち、前記第1デバイスの中継待ちの条件に合致する第2デバイスに、前記第1デバイスの中継依頼を前記ゲートウェイの通知部が通知する、ことを特徴とする無線情報収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、無線情報収集システム、無線情報収集装置および無線情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フィールドエリアデバイスのデータをゲートウェイが収集し、クラウドへ送信する技術が開示されている。例えば、各デバイスが無線でデータを中継器に送信し、ゲートウェイが中継器からデータを受信することがある。無線通信障害が発生すると、デバイスからデータを収集することができなくなる。そこで、他のデバイスにデータを中継させる技術が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-95235号公報
【文献】特開2017-50746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、各通信ノードが転送先の判断を自身が行っているため、各デバイスによるルーティング負荷が大きくなってしまう。この場合、各デバイスがデータ送信を行う回数が少なくなってしまう。
【0005】
1つの側面では、本発明は、データ送信回数を増加させることができる無線情報収集システム、無線情報収集装置、無線情報収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、無線情報収集システムは、無線でデータを送信する複数のデバイスと、前記複数のデバイスが送信したデータを受信するゲートウェイと、を備え、前記複数のデバイスは、受信可能範囲内の他のデバイスが送信したデータを中継する機能を持ち、前記ゲートウェイは、前記複数のデバイスの中継待ちの条件と、前記複数のデバイスの受信可能範囲内のデバイスのIDを格納しており、前記ゲートウェイは、前記複数のデバイスのうち第1デバイスに無線通信障害が生じた場合に、前記第1デバイスについての受信可能範囲内のデバイスのうち、前記第1デバイスの中継待ちの条件に合致する第2デバイスに、前記第1デバイスの中継依頼を通知することを特徴とする。
【0007】
他の態様では、無線情報収集装置は、データを無線で送信する機能と、受信可能範囲内の他のデバイスが送信したデータを中継する機能と、を備えた複数のデバイスから、前記複数のデバイスが送信したデータを受信する受信部と、前記複数のデバイスの中継待ちの条件と、前記複数のデバイスの受信可能範囲内のデバイスのIDとを格納する格納部と、前記複数のデバイスのうち第1デバイスに無線通信障害が生じた場合に、前記第1デバイスについての受信可能範囲内のデバイスのうち、前記第1デバイスの中継待ちの条件に合致する第2デバイスに、前記第1デバイスの中継依頼を通知する通知部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
データ送信回数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】IoTフィールド運用管理を例示する図である。
図2】実施例1に係る無線情報収集システムの概要について例示する図である。
図3】デバイスデータの中継の流れの概要について例示する図である。
図4】(a)は実施例1に係る無線情報収集システムの全体構成を表す機能ブロック図であり、(b)は孤立デバイステーブルを例示する図である。
図5】実施例1に係るシーケンスを例示する図である。
図6】(a)はゲートウェイのハードウェア構成を例示するブロック図であり、(b)はデバイスのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施例の説明に先立って、IoT(Internet of Things)フィールド運用管理の概要について説明する。図1は、IoTフィールド運用管理を例示する図である。図1で例示するように、ゲートウェイ(GW)は、フィールドエリアネットワークの各デバイスからデータを収集する。例えば、各デバイスは、有線で中継器を介してゲートウェイにデータを送信する。または、各デバイスは、有線で中継器を介さずにゲートウェイにデータを送信する。または、各デバイスは、有線でL2SWなどのスイッチングハブを介してゲートウェイにデータを送信する。または、各デバイスは、無線でアクセスポイントや中継器を介してゲートウェイにデータを送信する。
【0011】
ゲートウェイは、L2SWなどのスイッチングハブやブロードバンドルータなどを介して、インターネットを経由してクラウド上のプラットフォームに各デバイスのデータを送信する。プラットフォームは、アプリケーションからの要求に応じて、各デバイスから収集したデータ分析し、現場で起きた障害やその原因を特定することで、IoTシステムの運用管理を効率化する。
【0012】
このようなIoTフィールド運用管理においては、無線通信障害で普段利用しているアクセスポイントや中継器と通信できず孤立したデバイスからデータを収集できなくなることがある。そこで、当該障害が発生した経路の代替経路をスキャンして、孤立したデバイスからデータを収集することが考えられる。しかしながら、各デバイスがデータの中継先を自身で判断する場合には、無線による周辺走査や周辺デバイス情報の蓄積、送信デバイス選択処理など無線、記憶領域、CPU処理などのルーティング負荷が増大してしまう。その結果、本来のデータ送信に用いるリソースが少なくなってしまい、送信可能なデータ量や回数が少なくなってしまう。
【0013】
以下の実施例では、デバイスの負荷を軽減し、ゲートウェイにデータを送信するためのデータ送信回数を増加させることができる無線情報収集システム、無線情報収集装置、無線情報収集方法について説明する。
【実施例1】
【0014】
図2は、実施例1に係る無線情報収集システムの概要について例示する図である。図2で例示するように、ゲートウェイは、1以上の中継器を介して、複数のデバイスDevA~DevEからデータを収集する。デバイスDevA~DevEは、無線で中継器にデータを送信する。
【0015】
各デバイスは、中継器にデータを無線送信しない期間に、周辺のデバイスの電波を傍受する。電波を傍受できたデバイスは、受信可能範囲内のデバイスである。各デバイスは、受信可能範囲内のデバイスを確認し、中継依頼対象として定期的にゲートウェイに送信する。ゲートウェイは、各デバイスの受信可能範囲内のデバイスを格納しておく。図2の例では、デバイスDevBは、受信可能範囲内のデバイスとしてデバイスDevAおよびDevCを確認し、中継依頼対象として定期的にゲートウェイに送信する。
【0016】
また、各デバイスは中継待ち条件(無線種別、中継待ち無線設定、中継待ちスケジュールなど)をゲートウェイに事前に送信する。ゲートウェイは、各デバイスの中継待ち条件を格納しておく。
【0017】
各デバイスは、無線通信障害が発生した場合(孤立デバイスとなった場合)に、無線種別、無線設定、および中継待ちスケジュールに従って、中継待ちモードに移行する。図2では、デバイスDevBに無線通信障害が発生しているため、デバイスDevBが孤立デバイスとなっている。
【0018】
ゲートウェイは。デバイスDevBの無線通信障害を検出した際に、デバイスDevBについて登録した中継依頼対象のうち、デバイスDevBの中継待ち条件と合致するデバイスに、中継依頼を通知する。中継依頼には、中継依頼対象と中継待ち条件とが含まれる。
【0019】
ゲートウェイから中継依頼を受信したデバイスは、当該中継依頼に従って、孤立デバイスとデバイス間通信を行い、孤立デバイスのデータを中継器へ中継する。図2の例では、デバイスDevAおよびデバイスDevCのうち条件に合致するデバイスDevAが、ゲートウェイからの中継依頼に従って、デバイスDevBとデバイス間通信を行い、デバイスDevBのデータを中継器へ中継する。
【0020】
このような無線情報収集システムでは、デバイスの設定を変更するだけでデータ中継を実現できるようになる。
【0021】
図3は、デバイスデータの中継の流れの概要について例示する図である。図3で例示するように、各デバイスは、孤立デバイスとなった場合の中継待ち条件(無線種別、中継待ち無線設定、および中継待ちスケジュール)をゲートウェイに登録しておく。また、各デバイスは、無線通信が正常である場合に各無線種別で周辺のデバイス通信を傍受し、受信可能範囲内のデバイス(傍受デバイス)のID等をゲートウェイに登録しておく。
【0022】
まず、中継器とデバイスDevBとの間に無線通信障害が発生すると、ゲートウェイは、デバイスDevBの孤立状態を検出する。例えば、ゲートウェイは、デバイスDevBから所定期間以上にわたってデータを受信できない(タイムアウト)場合に、デバイスDevBの孤立状態を検出することができる。
【0023】
デバイスDevBは、中継器と所定期間以上にわたって無線通信できない場合に、自身が登録済みの中継待ち条件に従って、中継待ちの状態となる。
【0024】
次に、ゲートウェイは、孤立デバイスとなったデバイスDevBについて登録された傍受デバイスのうち、中継待ち条件が合致するデバイスに、中継依頼を通知する。図3の例では、ゲートウェイは、デバイスDevAに中継依頼を通知する。
【0025】
デバイスDevAは、デバイスDevBの無線種別、中継待ち無線設定、および無線待ちスケジュールに合わせて、デバイスDevBとデバイス間接続を行う。
【0026】
次に、デバイスDevAは、デバイスDevBの中継待ちプロトコルで接続し、デバイスDevBのデータを取得する。その後、デバイスDevAは、デバイスDevBのデータを、中継器を介してゲートウェイに送信する。
【0027】
図4(a)は、実施例1に係る無線情報収集システム100の全体構成を表す機能ブロック図である。図4(b)は、孤立デバイステーブルを例示する図である。図4(a)で例示するように、無線情報収集システム100は、少なくとも、ゲートウェイ10、中継器20、複数のデバイス30を備える。
【0028】
ゲートウェイ10は、孤立デバイス情報格納部11、データ受信部12、データ格納部13、孤立デバイス検出部14、中継依頼通知部15などとして機能する。孤立デバイス情報格納部11は、孤立デバイステーブルを格納している。データ受信部12は、中継器20を介して、各デバイス30からデータを受信する。データ格納部13は、各デバイスから受信したデータを格納している。孤立デバイス検出部14は、中継器20との間で無線通信障害が発生した孤立デバイスを検出する。例えば、孤立デバイス検出部14は、データを受信しない期間が閾値を上回るか否かを判定することで、デバイスに無線通信障害が発生しているか否かを判定する。中継依頼通知部15は、孤立デバイスのデータを受信可能な周辺デバイスに、中継依頼を通知する。
【0029】
図4(b)で例示するように、孤立デバイステーブルには、各デバイスに関連付けて、最終受信時刻、無線種別、中継待ち無線設定、中継待ちスケジュール、傍受デバイスなどが格納されている。「最終受信時刻」には、各デバイス30からデータを受信した最終時刻が格納されている。図4(b)の例では、デバイスDevAおよびデバイスDevCからは予め決められた周期でデータを受信できているため、「正常接続中」に係る情報が格納されている。デバイスDevBからは、予め決められた周期を超えてもデータが受信できていないため(タイムアウト)、最終受信時刻が格納されている。
【0030】
「無線種別」には、各デバイス30が中継待ちを行う場合の無線種別が格納されている。図4(b)の例では、各デバイス30は、中継待ちを行う場合の第1無線種別としてWi-Fi(登録商標)を用い、第2無線種別としてBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を用いる。
【0031】
「中継待ち無線設定」には、中継待ちを行う場合の無線設定が格納されている。例えば、デバイスDevBでは、第1無線種別について、SSIDの1チャネルが無線設定として登録されている。また、デバイスDevBでは、第2無線種別について、ビーコンモードが無線設定として登録されている。「中継待ちスケジュール」には、中継待ちを行う際の待ち時間(周期)とその稼働時間が格納されている。例えば、デバイスDevAでは、常時稼働するように設定されている。デバイスDevBでは、待ち時間が10分周期に設定され、稼働時間が1分に設定されている。
【0032】
「傍受デバイス」には、各無線種別について、周辺のデバイスのうち受信可能範囲内のデバイスのIDなどが格納されている。例えば、各デバイスは、第1無線種別および第2無線種別で周辺のデバイスの電波を傍受することで、受信可能範囲内のデバイスを検出する。例えば、デバイスDevBでは、第1無線種別についてデバイスDevCが受信可能範囲内のデバイスであり、第2無線種別についてデバイスDevAが受信可能範囲内のデバイスである。
【0033】
中継器20は、無線通信部21、通信ブリッジ部22などとして機能する。無線通信部21は、各デバイス30と無線通信を行う。通信ブリッジ部22は、無線通信部21が各デバイスとの無線通信によって受信したデータをゲートウェイ10に有線または無線で送信する。
【0034】
各デバイス30は、中継待ち条件通知部31、データ送信部32、第1無線通信部33、第2無線通信部34、周辺デバイス検出部35、中継依頼受信部36、デバイス間接続部37、中継処理部38などとして機能する。中継待ち条件通知部31は、中継器20と無線通信を行うことで、中継待ち条件(無線種別、中継待ち無線設定、中継待ちスケジュールなど)をゲートウェイ10に通知する。
【0035】
データ送信部32は、中継器20と無線通信を行うことで、中継器20にデータを送信する。第1無線通信部33は、第1無線種別での無線通信を行う。第2無線通信部34は、第2無線種別での無線通信を行う。周辺デバイス検出部35は、第1無線通信部33による第1無線種別での無線通信機能を用いて、第1無線種別の受信可能範囲内のデバイス30を検出する。また、周辺デバイス検出部35は、第2無線通信部34による第2無線種別での無線通信機能を用いて、第2無線種別の受信可能範囲内のデバイス30を検出する。
【0036】
中継依頼受信部36は、中継器20と無線通信を行うことで、ゲートウェイ10から中継依頼を受信する。デバイス間接続部37は、受信した中継待ち条件に合致する無線種別での無線通信機能を用いて、周辺のデバイス30とデバイス間通信を行う。中継処理部38は、周辺のデバイス30から受信したデータをデータ送信部32に送信させる処理を行う。
【0037】
図5は、本実施例に係るシーケンスを例示する図である。図5では、無線障害発生前と無線障害発生後のシーケンスが例示されている。デバイス30aは、無線障害発生後に孤立デバイスとなるデバイスである。デバイス30bは、無線障害発生後に孤立したデバイス30aの送信データを中継するデバイスである。
【0038】
まず、無線障害発生前のシーケンスについて説明する。デバイス30bの中継待ち条件通知部31は、中継器20と無線通信を行うことで、デバイス30bの中継待ち条件をゲートウェイ10に送信する(ステップS1)。デバイス30aの中継待ち条件通知部31は、中継器20と無線通信を行うことで、デバイス30aの中継待ち条件をゲートウェイ10に送信する(ステップS2)。ゲートウェイ10の孤立デバイス情報格納部11は、各デバイスに関連付けて中継待ち条件を格納する。
【0039】
デバイス30bのデータ送信部32は、中継器20と無線通信を行うことで、所定の周期でデバイス30bのデータをゲートウェイ10に送信する。デバイス30aのデータ送信部32は、中継器20と無線通信を行うことで、所定の周期でデバイス30aのデータをゲートウェイ10に送信する。データ格納部13は、デバイス30aおよびデバイス30bのデータを格納する。
【0040】
デバイス30aおよびデバイス30bは、定期的に周辺のデバイスをスキャンする。具体的には、デバイス30bの周辺デバイス検出部35は、中継器20との無線通信を切断し、傍受デバイスをスキャンする(ステップS3)。それにより、デバイス30bの周辺デバイス検出部35は、第1無線種別および第2無線種別の傍受デバイスのリストを作成する。デバイス30bの周辺デバイス検出部35は、中継器20と無線通信を行うことで、傍受デバイスのリスト(中継依頼対象)をゲートウェイ10に送信する(ステップS4)。デバイス30aの周辺デバイス検出部35は、中継器20との通信を切断し、傍受デバイスをスキャンする(ステップS5)。それにより、デバイス30aの周辺デバイス検出部35は、第1無線種別および第2無線種別の傍受デバイスのリストを作成する。デバイス30aの周辺デバイス検出部35は、中継器20と無線通信を行うことで、傍受デバイスのリスト(中継依頼対象)をゲートウェイ10に送信する(ステップS6)。孤立デバイス情報格納部11は、孤立デバイステーブルに傍受デバイスのリストを追加する。
【0041】
無線通信障害が発生すると、デバイス30aは、中継器20と無線通信できなくなり、データをゲートウェイ10に送信できなくなる。孤立デバイス検出部14は、所定期間以上にわたってデバイス30aからのデータ受信ができない(タイムアウト)場合に、デバイス30aが孤立デバイスとなったことを検出する。そこで、中継依頼通知部15は、孤立デバイス情報格納部11に格納されている孤立デバイステーブルを参照し、デバイス30aについて傍受デバイスを抽出する。次に、中継依頼通知部15は、抽出した傍受デバイスのうち、デバイス30aの中継待ち条件と合致する中継待ち条件が登録された傍受デバイスを選択する。図5の例では、デバイス30bが選択されるものとする。そこで、中継依頼通知部15は、中継器20を介して、デバイス30bに中継依頼を通知する(ステップS7)。
【0042】
ここで、中継待ち条件が合致するとは、中継依頼対象のデバイス30bと孤立デバイス30aと無線種別が同一で、デバイス30bは「孤立デバイス30aの中継待ちスケジュール周期に、同デバイスの中継待ち無線設定で無線接続をして、中継処理を実施可能なこと」を意味する。必ずしも中継待ちスケジュールの周期が同一でなくてもよい。
【0043】
デバイス30bの中継依頼受信部36は、中継依頼を受信する。デバイス間接続部37は、受信した中継待ち条件に対応する無線種別で、デバイス30aとのデバイス間接続を行う(ステップS8)。デバイス30bの中継処理部38は、デバイス30aからデータを取得する(ステップS9)。その後、デバイス間接続部37は、デバイス30aとのデバイス間接続を切断し、中継器20にデバイス30aのデータを送信する(ステップS10)。
【0044】
本実施例によれば、ゲートウェイ10が、孤立デバイステーブルを格納しており、中継デバイスに中継依頼を通知する。この構成では、各デバイス30が多数のデバイス情報を管理して自身で中継デバイスを探索する必要がない。それにより、各デバイス30の負荷が軽減され、ゲートウェイ10にデータを送信するための本来のデータ送信時間を増加させることができる。
【0045】
なお、中継デバイスおよび孤立デバイスの無線LANなどの設定変更を行うだけで、ゲートウェイ10の指示によってデバイス間中継を実現することができる。中継待ち条件(無線種別、中継待ち無線設定、中継待ちスケジュールなど)を登録しておくことで、中継デバイスおよび孤立デバイスの双方が、少ない試行でより確実に中継することが可能である。ゲートウェイ10が、各デバイスの複数無線プロトコルの通信可能範囲と、無線通信障害発生時の中継待ちスケジュールを管理することで、通常の中継器へのデータ送信と異なるプロトコルを使ったデバイス間中継が可能である。
【0046】
図6(a)は、ゲートウェイ10のハードウェア構成を例示するブロック図である。図6(b)は、デバイス30のハードウェア構成を例示するブロック図である。図6(a)を参照して、ゲートウェイ10は、CPU101、RAM102、記憶装置103、通信装置104等を備える。CPU(Central Processing Unit)101は、中央演算処理装置である。CPU101は、1以上のコアを含む。RAM(Random Access Memory)102は、CPU101が実行するプログラム、CPU101が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置103は、不揮発性記憶装置である。記憶装置103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。記憶装置103は、プログラムを記憶している。通信装置104は、中継器20との通信を行うための通信装置である。なお、本実施例においては、ゲートウェイ10の各部は、プログラムの実行によって実現されているが、専用の回路などのハードウェアを用いてもよい。
【0047】
図6(b)を参照して、デバイス30は、CPU201、RAM202、記憶装置203、無線通信装置204等を備える。CPU201は、中央演算処理装置である。CPU201は、1以上のコアを含む。RAM202は、CPU201が実行するプログラム、CPU201が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置203は、不揮発性記憶装置である。記憶装置203として、例えば、ROM、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。記憶装置203は、プログラムを記憶している。無線通信装置204は、中継器20との無線通信を行うための無線通信装置である。なお、本実施例においては、デバイス30の各部は、プログラムの実行によって実現されているが、専用の回路などのハードウェアを用いてもよい。
【0048】
なお、上記例では、各デバイス30は、中継器20に対して無線でデータを送信し、中継器20がデータをゲートウェイ10に中継しているが、それに限られない。例えば、ゲートウェイ10に無線受信機能が備わっていれば、ゲートウェイ10が無線送信されたデータを直接受信してもよい。このように、ゲートウェイ10は、各デバイス30から無線送信されたデータを直接受信してもよく、間に他の装置を介して間接的に受信してもよい。
【0049】
上記各例において、複数のデバイス30が、無線でデータを送信する複数のデバイスとして機能する。ゲートウェイ10が、前記複数のデバイスが送信したデータを受信するゲートウェイの一例として機能する。データ受信部12が、データを無線で送信する機能と、受信可能範囲内の他のデバイスが送信したデータを中継する機能と、を備えた複数のデバイスから、前記複数のデバイスが送信したデータを受信する受信部の一例として機能する。孤立デバイス情報格納部11が、前記複数のデバイスの中継待ちの条件と、前記複数のデバイスの受信可能範囲内のデバイスのIDとを格納する格納部の一例として機能する。中継依頼通知部15が、前記複数のデバイスのうち第1デバイスに無線通信障害が生じた場合に、前記第1デバイスについての受信可能範囲内のデバイスのうち、前記第1デバイスの中継待ちの条件に合致する第2デバイスに、前記第1デバイスの中継依頼を通知する通知部の一例として機能する。
【0050】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 ゲートウェイ
20 中継器
30 デバイス
11 孤立デバイス情報格納部
12 データ受信部
13 データ格納部
14 孤立デバイス検出部
15 中継依頼通知部
21 無線通信部
22 通信ブリッジ部
31 中継待ち条件通知部
32 データ送信部
33 第1無線通信部
34 第2無線通信部
35 周辺デバイス検出部
36 中継依頼受信部
37 デバイス間接続部
38 中継処理部
100 無線情報収集システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6