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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】車載内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/12 20060101AFI20221206BHJP
   F02D 43/00 20060101ALI20221206BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F02D41/12
F02D43/00 301A
F02D43/00 301H
F02D45/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019021524
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020128728
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 慎司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏典
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-025400(JP,A)
【文献】特開2006-233828(JP,A)
【文献】特開2009-114957(JP,A)
【文献】特開2010-223012(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114518(WO,A1)
【文献】特開2014-098473(JP,A)
【文献】特開2012-219778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/00 - 45/00
F01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両減速時に規定のフューエルカット条件が成立しているときに、全ての気筒内での燃焼を休止させるフューエルカット処理を実行する制御部を備えた車載内燃機関の制御装置において、
前記制御部は、前記フューエルカット処理を一時的に中断して燃料噴射弁から燃料を噴射させることによって前記気筒内で燃焼を行わせるファイアリング処理を実行するとともに、油温が低いほど前記フューエルカット処理を一時的に中断して前記ファイアリング処理を実行する頻度を高くする
車載内燃機関の制御装置。
【請求項2】
車両減速時に規定のフューエルカット条件が成立しているときに、全ての気筒内での燃焼を休止させるフューエルカット処理を実行する制御部を備えた車載内燃機関の制御装置において、
前記制御部は、前記フューエルカット処理の継続時間が判定継続時間に達したことを条件に、当該フューエルカット処理を一時的に中断して燃料噴射弁から燃料を噴射させることによって前記気筒内で燃焼を行わせるファイアリング処理を実行し、
油温又は油温の相関値が低いほど前記判定継続時間を短くする頻度調整部を備える
車載内燃機関の制御装置。
【請求項3】
車両減速時に規定のフューエルカット条件が成立しているときに、全ての気筒内での燃焼を休止させるフューエルカット処理を実行する制御部を備えた車載内燃機関の制御装置において、
前記制御部は、前記フューエルカット処理の実行中において、吸気通路におけるスロットルバルブよりも下流側の負圧が判定負圧以上である状態の継続時間が判定負圧継続時間に達したことを条件に、当該フューエルカット処理を一時的に中断して燃料噴射弁から燃料を噴射させることによって前記気筒内で燃焼を行わせるファイアリング処理を実行する
車載内燃機関の制御装置。
【請求項4】
油温又は油温の相関値が低いほど前記判定負圧継続時間を短くする頻度調整部を備える
請求項に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項5】
車両減速時に規定のフューエルカット条件が成立しているときに、全ての気筒内での燃焼を休止させるフューエルカット処理を実行する制御部を備えた車載内燃機関の制御装置において、
前記制御部は、前記フューエルカット処理を一時的に中断して燃料噴射弁から燃料を噴射させることによって前記気筒内で燃焼を行わせるファイアリング処理を実行し、
油温が低いほど当該ファイアリング処理の実行時間を長くする
車載内燃機関の制御装置。
【請求項6】
全ての前記気筒のうちの1つを対象気筒としたとき、
前記フューエルカット処理を一時的に中断している期間に、前記車載内燃機関の1サイクル中において前記対象気筒として選択された前記気筒内のみで燃焼を行わせる前記ファイアリング処理を、前記対象気筒を変更しつつ全ての前記気筒に対して順に行う
請求項1~請求項5のうち何れか一項に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記ファイアリング処理は、前記車載内燃機関における1サイクル中において前記各気筒内で燃焼を行わせて終了する処理である
請求項1~請求項のうち何れか一項に記載の車載内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ファイアリング処理では、空燃比をストイキとする燃料噴射量であるストイキ噴射量よりも多い量の燃料を前記燃料噴射弁から噴射させる
請求項1~請求項のうち何れか一項に記載の車載内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両減速時にフューエルカット処理を実行する車載内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両減速時に、燃料噴射弁の燃料噴射を停止させることによって気筒内での燃焼を休止させるフューエルカット処理が実行される制御装置の一例が記載されている。この制御装置では、フューエルカット処理の継続時間が所定時間以上になったときにスロットルバルブの開度が増大される。これにより、吸気通路におけるスロットルバルブよりも下流側の負圧である吸気管負圧が小さくなる。その結果、膨張行程時に気筒内の圧力が低くなることが抑制されるため、クランクケース側から気筒内にオイルが流入することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-83812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フューエルカット処理の実行中にスロットルバルブの開度を大きくすると、エンジンブレーキが小さくなり、車両の減速度が変化するおそれがある。エンジンブレーキの低下を抑制するためにスロットルバルブの開度の増大量をあまり大きくしないと、フューエルカット処理の実行中で吸気管負圧を十分に小さくすることができず、気筒内へのオイルの流入を十分に抑制できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車載内燃機関の制御装置は、車両減速時に規定のフューエルカット条件が成立しているときに、全ての気筒内での燃焼を休止させるフューエルカット処理を実行する制御部を備えている。この制御装置において、制御部は、フューエルカット処理を一時的に中断して燃料噴射弁から燃料を噴射させることによって気筒内で燃焼を行わせるファイアリング処理を実行する。
【0006】
フューエルカット処理の実行によって各気筒内での燃焼が停止されている場合であっても、各気筒内ではピストンが往復動する。気筒内で燃焼が停止されている状態でピストンが往復動している場合、ピストンに取り付けられているピストンリングは、ピストンのリング溝内で以下のように変位する。
【0007】
すなわち、吸気行程でピストンが下死点に向けて移動している場合、リング溝内では、ピストンリングが燃焼室側に変位する。吸気行程の次の圧縮行程でピストンが上死点に向けて移動している場合、リング溝内ではピストンリングがクランクケース側に変位する。圧縮行程の次の膨張行程でピストンが下死点に向けて移動している場合、リング溝内ではピストンリングが燃焼室側に変位する。圧縮行程の次の排気行程でピストンが上死点に向けて移動している場合、リング溝内ではピストンリングがクランクケース側に変位する。
【0008】
また、フューエルカット処理が実行されていると、クランクケース側から燃焼室内にオイルが流入することがある。こうした事象は、フューエルカット処理の実行中での上記のようなリング溝内における、燃焼室側へのピストンリングの変位と、クランクケース側へのピストンリングの変位とが何度も繰り返されることによってオイルがリング溝内を通って燃焼室側に汲み上げられることが原因であると推測される。
【0009】
上記構成によれば、フューエルカット条件が成立している場合であっても、フューエルカット処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される。ファイアリング処理の実行中では気筒内で燃焼が行われる。気筒内で燃焼が行われると、燃焼に起因して燃焼室の圧力が高くなるため、膨張行程でピストンが下死点に向けて移動しているときにピストンリングがリング溝におけるクランクケース側の壁面に当接した状態を維持することができる。その結果、膨張行程におけるピストンの下死点に向けての移動に伴い、リング溝内にオイルが入り込むことを抑制するとともに、ピストンリングによってオイルを掻き落とすことができる。このようにオイルを掻き落としてからフューエルカット処理を再開させることにより、オイルが燃焼室内に流入しにくくなる。
【0010】
したがって、フューエルカット処理の実行中にクランクケース側からオイルが燃焼室内に流入することを抑制できるようになる。
油温が低いほどオイルの粘度は高い。そして、本願の発明者は、種々の実験やシミュレーションを行った結果、オイルの粘度が高いほど、上記のようなリング溝内でのピストンリングの往復動の繰り返しによってオイルが燃焼室内に流入しやすくなるという知見を得た。そこで、制御部は、油温が低いほどフューエルカット処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行する頻度を高くすることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、オイルの粘度が高いと推測される状況下でフューエルカット処理が実行された場合、当該フューエルカット処理を一時的に中断してファイアリング処理が実行される頻度が高くなる。これにより、オイルの粘度が高い場合であっても、フューエルカット処理の実行中にクランクケース側からオイルが燃焼室内に流入することを抑制できる。
【0012】
フューエルカット処理の継続時間が長いほど、上記のようなリング溝内でのピストンリングの往復動の繰り返しによって汲み上げられたオイルが燃焼室内に流入する事象が生じやすいと推測される。そこで、車載内燃機関の制御装置の一態様において、制御部は、フューエルカット処理の継続時間が判定継続時間に達したことを条件に、当該フューエルカット処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行する。
【0013】
上記構成によれば、フューエルカット条件が長期に亘って成立し続けるとしても、フューエルカット処理の継続時間が判定継続時間に達すると、フューエルカット処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される。そのため、フューエルカット条件が長期に亘って成立し続ける場合であっても、クランクケース側からオイルが燃焼室内に流入することを抑制できる。
【0014】
車載内燃機関の制御装置の一態様は、油温又は油温の相関値が低いほど判定継続時間を短くする頻度調整部を備える。この構成によれば、油温が低くてオイルの粘度が高いほど、判定継続時間が短くなる。そのため、油温が低いほどフューエルカット処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行する頻度を高くする構成を実現することができる。
【0015】
吸気通路におけるスロットルバルブよりも下流側の負圧が大きいほど、燃焼室の圧力が低くなりやすい。そして、燃焼室の圧力が低いほど、リング溝を通ってクランクケース側からオイルが燃焼室内に流入しやすい。そのため、吸気通路におけるスロットルバルブよりも下流側の負圧が大きい状態の継続時間が長いほど、上記のようなリング溝内でのピストンリングの往復動の繰り返しによってオイルが燃焼室内に流入する事象が生じやすいと推測される。そこで、車載内燃機関の制御装置の一態様において、制御部は、フューエルカット処理の実行中において、吸気通路におけるスロットルバルブよりも下流側の負圧が判定負圧以上である状態の継続時間が判定負圧継続時間に達したことを条件に、当該フューエルカット処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行する。
【0016】
上記構成によれば、フューエルカット条件が長期に亘って成立し続けるとしても、吸気通路におけるスロットルバルブよりも下流側の負圧が判定負圧以上である状態の継続時間が判定継続時間に達すると、フューエルカット処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される。そのため、フューエルカット条件が長期に亘って成立し続ける場合であっても、クランクケース側からオイルが燃焼室内に流入することの抑制が可能となる。
【0017】
車載内燃機関の制御装置の一態様は、油温又は油温の相関値が低いほど判定負圧継続時間を短くする頻度調整部を備える。この構成によれば、油温が低くてオイルの粘度が高いほど、判定負圧継続時間が短くなる。そのため、油温が低いほどフューエルカット処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行する頻度を高くする構成を実現することができる。
【0018】
なお、フューエルカット処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行する場合、オイルの粘度が高いほど、ファイアリング処理中においてピストンリングによってオイルを掻き落としにくいと推測される。そこで、車載内燃機関の制御装置の一態様において、制御部は、フューエルカット処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行するに際し、油温が低いほど当該ファイアリング処理の実行時間を長くする。
【0019】
上記構成によれば、油温が低くてオイルの粘度が高くても、1回のファイアリング処理の実行時間を長くすることにより、当該ファイアリング処理中においてピストンリングによってオイルを掻き落とすことができる。その結果、オイルの粘度が高い状態でのフューエルカット処理の実行中にクランクケース側からオイルが燃焼室内に流入することを抑制できる。
【0021】
車載内燃機関の制御装置の一態様では、全ての気筒のうちの1つを対象気筒としたとき、フューエルカット処理を一時的に中断している期間に、車載内燃機関の1サイクル中において対象気筒として選択された気筒内のみで燃焼を行わせるファイアリング処理を、対象気筒を変更しつつ全ての気筒に対して順に行う。この構成によれば、フューエルカット条件が成立している状況下において、ファイリング処理の実行によって燃焼が行われる気筒を順次変更することが可能となる。
【0022】
また、車載内燃機関の制御装置の一態様において、ファイアリング処理は、車載内燃機関における1サイクル中において各気筒内で燃焼を行わせて終了する処理である。このようなファイリング処理を実行した場合、車載内燃機関における1サイクルで、全ての気筒内で燃焼が行われる。そのため、フューエルカット処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行することにより、各気筒内にオイルがクランクケース側から流入する事象が生じにくくなる。
【0023】
内燃機関の排気通路には、酸素の吸蔵機能を有する触媒コンバータが設けられていることがある。こうした内燃機関では、未燃燃料が触媒コンバータに供給されると、触媒コンバータに吸蔵されている酸素と当該未燃燃料とが反応する。すると、当該反応によって触媒コンバータの温度が上昇する。
【0024】
フューエルカット処理が実行されている場合、吸入空気がそのまま触媒コンバータに流入することとなるため、触媒コンバータの温度が低下しやすい。
そこで、制御部は、ファイアリング処理では、空燃比をストイキとする燃料噴射量であるストイキ噴射量よりも多い量の燃料を燃料噴射弁から噴射させることが好ましい。この構成によれば、フューエルカット条件が成立している場合であっても、ファイアリング処理の実行によって未燃燃料を触媒コンバータに供給することができる。未燃燃料が触媒コンバータに供給されると、触媒コンバータに吸蔵されている酸素と当該未燃燃料とが反応するため、触媒コンバータを昇温させることができる。これにより、フューエルカット条件の成立中における触媒コンバータの温度低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態における車載内燃機関の制御装置の機能構成と、同制御装置によって制御される内燃機関の概略構成とを示す図。
図2】フューエルカット処理の実行中において、同内燃機関のピストンが下死点に向けて移動している様子を示す模式図。
図3】フューエルカット処理の実行中において、ピストンが上死点に向けて移動している様子を示す模式図。
図4】フューエルカット処理の実行中において、ピストンが下死点に向けて移動している際に、ピストンリングのリング溝の壁面への当接がオイルによって妨げられている様子を示す模式図。
図5】フューエルカット処理の実行中において、ピストンが上死点に向けて移動している際に、ピストンリングのリング溝の壁面への当接がオイルによって妨げられている様子を示す模式図。
図6】車両が走行しているときに実行される処理ルーチンを説明するフローチャート。
図7】油温と判定負圧継続時間との関係を示すマップ。
図8】ファイアリング処理を実行する際に実行される処理ルーチンを説明するフローチャート。
図9】ファイアリング処理の実行中において、膨張行程中にピストンが下死点に向けて移動している様子を示す模式図。
図10】第1実施形態において、フューエルカット処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される場合を説明するタイミングチャート。
図11】第2実施形態において、車両が走行しているときに実行される処理ルーチンを説明するフローチャート。
図12】油温と判定継続時間との関係を示すマップ。
図13】第3実施形態において、フューエルカット処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される場合を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、車載内燃機関の制御装置の第1実施形態を図1図10に従って説明する。
図1には、本実施形態の制御装置60と、制御装置60によって制御される内燃機関10とが図示されている。内燃機関10は、車両に搭載されており、車両の動力源として機能するものである。
【0027】
内燃機関10は、複数(図1では1つのみ図示)の気筒11を備えている。各気筒11内には、往復動するピストン12が設けられている。各気筒11内においてピストン12よりも上方の空間が燃焼室13となっている。各ピストン12は、コネクティングロッド14を介してクランク軸15に連結されている。クランク軸15は、クランクケース16内に配置されている。クランクケース16の下方には、オイルを貯留するオイルパン17が設けられている。
【0028】
内燃機関10の吸気通路18には、吸気通路18を流れる吸入空気の量を調整するスロットルバルブ19が設けられている。吸気バルブ20が開弁している場合、吸気通路18を介して吸入空気が燃焼室13に導入される。
【0029】
内燃機関10には、燃料を噴射する燃料噴射弁21が設けられている。図1には、燃料噴射弁21として、燃焼室13内に燃料を直接噴射する筒内噴射弁が図示されている。また、内燃機関10には、吸入空気と燃料とを含む混合気を火花放電によって点火する点火装置22が設けられている。燃料噴射弁21及び点火装置22は、気筒数と同数設けられている。混合気の燃焼によって燃焼室13内に生じた排気は、排気バルブ23が開弁しているときに排気通路24に排出される。排気通路24には、排気浄化装置の触媒コンバータ25が設けられている。触媒コンバータ25は、酸素を吸蔵する機能と、未燃燃料を酸化させる機能との双方を有している。
【0030】
図1及び図2に示すように、ピストン12には、複数のピストンリング30が取り付けられている。具体的には、図2に示すように、ピストン12が往復動する方向をピストン移動方向Zとした場合、ピストン12の側壁121には、ピストン移動方向Zに沿って複数のリング溝40が設けられている。そして、各リング溝40内にピストンリング30が収容されている。各ピストンリング30の外周面31は、気筒11の内周面111に圧接している。一方、各ピストンリング30の内周面32とリング溝40の底面41との間には多少の隙間が介在している。また、ピストン移動方向Zにおけるピストンリング30の寸法であるピストンリング30の幅は、リング溝40の幅よりも狭い。そのため、ピストンリング30は、リング溝40内でピストン移動方向Zに変位可能である。
【0031】
本実施形態では、車両減速中に規定のフューエルカット条件(以下、「F/C条件」ともいう。)が成立しているときに、全ての気筒11内での燃焼を停止させるフューエルカット処理(以下、「F/C処理」ともいう。)が実行される。F/C処理の実行中では、クランク軸15が回転しているため、各気筒11内でピストン12が往復動している。F/C処理の実行中では、ピストン12の各リング溝40を通じてオイルが燃焼室13内に流入することがある。
【0032】
図2及び図3を参照し、F/C処理の実行中にクランクケース16側からオイルが燃焼室13に流入する際における推測される流れについて説明する。
吸気行程では、図2に白抜き矢印で示すようにピストン12が下死点に向けて移動する。この場合、各リング溝40内では、ピストンリング30が燃焼室13側(図中上側)に変位する。すると、図2に実線矢印で示すように、リング溝40内に介在していたオイルが、ピストンリング30によって燃焼室13側(図中上側)に押し出されるとともに、リング溝40内には、クランクケース16側(図中下側)からオイルが流入する。
【0033】
吸気行程の次の圧縮行程では、図3に白抜き矢印で示すようにピストン12が上死点に向けて移動する。この場合、各リング溝40内では、ピストンリング30がクランクケース16側に変位する。すると、リング溝40内においてクランクケース16側の壁面43とピストンリング30との間に介在していたオイルが、ピストンリング30の内周面32とリング溝40の底面41との間を通って、リング溝40内において燃焼室13側の壁面42とピストンリング30との間に移動する。
【0034】
圧縮行程の次の膨張行程では、図2に白抜き矢印で示すようにピストン12が下死点に向けて移動する。F/C処理の実行中では燃焼室13で燃焼が行われないため、吸気行程の場合と同様に、各リング溝40内では、ピストンリング30が燃焼室13側に変位する。すると、図2に実線矢印で示すように、リング溝40内に介在していたオイルが、ピストンリング30によって燃焼室13側に押し出されるとともに、リング溝40内には、クランクケース16側からオイルが流入する。
【0035】
膨張行程の次の排気行程では、図3に白抜き矢印で示すようにピストン12が上死点に向けて移動する。この場合、圧縮行程の場合と同様に、各リング溝40内では、ピストンリング30がクランクケース16側に変位する。すると、リング溝40内においてクランクケース16側の壁面43とピストンリング30との間に介在していたオイルが、ピストンリング30の内周面32とリング溝40の底面41との間を通って、リング溝40内において燃焼室13側の壁面42とピストンリング30との間に移動する。
【0036】
すなわち、F/C処理が実行されている場合、各リング溝40内では、ピストンリング30の燃焼室13側への変位と、ピストンリング30のクランクケース16側への変位とが繰り返される。そして、こうしたピストンリング30の往復の変位が何度も繰り返されると、オイルがリング溝40内を通過して燃焼室13内に流入することがあると推測される。
【0037】
ところで、F/C処理の実行中においては、オイルの粘度が高いほど、オイルがリング溝40内を通過してクランクケース16側から燃焼室13内に流入しやすい。以下では、その理由について説明する。
【0038】
油温が高くてオイルの粘度が低い場合、吸気行程や膨張行程のようにピストン12が下死点に向けて移動する際には、図2に示すようにピストンリング30がリング溝40の燃焼室13側の壁面42に押し付けられる。壁面42にピストンリング30が押し付けられると、リング溝40内から燃焼室13側に流出するオイルの流れが遮断される。また、圧縮行程や排気行程のようにピストン12が上死点に向けて移動する際には、図3に示すようにピストンリング30がリング溝40のクランクケース16側の壁面43に押し付けられる。壁面43にピストンリング30が押し付けられると、クランクケース16側からリング溝40内に流入するオイルの流れが遮断される。このようにピストン12の往復動時にピストンリング30の壁面42への当接及びピストンリング30の壁面43への当接が繰り返されると、燃焼室13に向かうオイルの流れの遮断が何度も繰り返されるため、F/C処理中にオイルがクランクケース16側から燃焼室13に流入する頻度はそれほど高くない。
【0039】
その一方で、油温が低くてオイルの粘度が高いと、オイルの動粘性係数が高いため、ピストン12の往復動時にピストンリング30が壁面42や壁面43に当接しにくい。すなわち、吸気行程や膨張行程のようにピストン12が下死点に向けて移動する場合、ピストンリング30が燃焼室13側に移動するものの、ピストンリング30と壁面42との間に介在するオイルによって、ピストンリング30と壁面42との当接が妨げられている。すなわち、ピストン12が下死点に向けて移動する場合、動粘性係数の高い当該オイルによって、図4に示すように、ピストンリング30と壁面42との間に隙間が介在する状態が維持される。この場合、リング溝40内から燃焼室13側に流出するオイルの流れが遮断されない。
【0040】
圧縮行程や排気行程のようにピストン12が上死点に向けて移動する場合、ピストンリング30がクランクケース16側に移動するものの、ピストンリング30と壁面43との間に介在するオイルによって、ピストンリング30と壁面43との当接が妨げられている。すなわち、ピストン12が上死点に向けて移動する場合、動粘性係数の高い当該オイルによって、図5に示すように、ピストンリング30と壁面43との間に隙間が介在する状態が維持される。この場合、クランクケース16側からリング溝40内に流入するオイルの流れが遮断されない。このようにピストン12の往復動時に燃焼室13に向かうオイルの流れが妨げられないと、ピストン12の往復動時に燃焼室13に向かうオイルの流れが遮断される機会がある場合と比較し、F/C処理中にオイルがクランクケース16側から燃焼室13に流入する頻度が高い。
【0041】
図1に示すように、制御装置60には、圧力センサ101、油温センサ102、クランク角センサ103、アクセル開度センサ104などの各種のセンサの検出信号が入力される。圧力センサ101は、吸気通路18におけるスロットルバルブ19よりも下流側の圧力を検出し、当該圧力に応じた信号を出力する。油温センサ102は、内燃機関10内を循環するオイルの温度である油温TMPを検出し、当該油温TMPに応じた信号を出力する。クランク角センサ103は、クランク軸15の回転速度である機関回転速度NEに応じた信号を出力する。アクセル開度センサ104は、車両のアクセルペダルの操作量であるアクセル開度ACを検出し、アクセル開度ACに応じた信号を出力する。そして、制御装置60は、各種のセンサ101~104から出力された検出信号を基に、各燃料噴射弁21及び各点火装置22を制御する。
【0042】
制御装置60は、機能部として、制御部61と、条件成立判定部62と、頻度調整部63とを有している。
制御部61は、規定のF/C条件が成立している場合、F/C処理を実行する。ただし、F/C処理の実行中にF/C条件が非成立になった場合、制御部61は、F/C処理を終了し、各燃料噴射弁21及び各点火装置22を制御することによって各気筒11内での燃焼を再開させる。また、制御部61は、F/C条件が成立している状況下で後述するファイアリングフラグFLGにオンがセットされた場合、F/C処理を一時中断してファイアリング処理を実行する。そして、制御部61は、ファイアリング処理を終了すると、F/C処理を再開する。なお、ファイアリング処理については後述する。
【0043】
条件成立判定部62は、F/C処理の実行中において、ファイアリング処理の実行を許可するための条件が成立したか否かを判定する。そして、条件成立判定部62は、ファイアリング処理の実行を許可するための条件が成立したときに、ファイアリングフラグFLGにオンをセットする。
【0044】
頻度調整部63は、F/C条件が成立している期間内でのファイアリング処理の実行頻度を調整する。本実施形態では、頻度調整部63は、油温TMPが低いほどファイアリング処理の実行頻度を高くする。すなわち、油温TMPが低いほどファイアリングフラグFLGにオンがセットされやすくなる。なお、実行頻度の調整方法については後述する。
【0045】
次に、図6及び図7を参照し、車両が走行しているときに制御装置60の条件成立判定部62によって実行される処理ルーチンについて説明する。本処理ルーチンは、ファイアリングフラグFLGにオンをセットするためのルーチンである。そのため、本処理ルーチンは、ファイアリングフラグFLGにオフがセットされている場合には車両走行中に繰り返し実行される。
【0046】
図6に示すように、本処理ルーチンにおいて、はじめのステップS11では、F/C条件が成立しているか否かの判定が行われる。すなわち、条件成立判定部62は、機関回転速度NEが判定回転速度NEThよりも大きいこと、及び、アクセル操作が行われていないことの双方が成立しているときに、F/C条件が成立していると判定する。判定回転速度NEThは、例えば、アイドル運転時における機関回転速度NEよりも少し大きい値に設定されている。また、条件成立判定部62は、アクセル開度ACが「0」であるときにアクセル操作が行われていないと判定する。F/C条件が成立している場合には、F/C処理が制御部61によって実行されている。一方、F/C条件が成立していない場合には、F/C処理が実行されておらず、各気筒11内で燃焼が行われている。
【0047】
ステップS11において、F/C条件が成立しているとの判定がなされていない場合(NO)、処理がステップS15に移行される。一方、F/C条件が成立しているとの判定がなされている場合(S11:YES)、処理が次のステップS13に移行される。
【0048】
ステップS13において、吸気通路18におけるスロットルバルブ19よりも下流側の負圧である吸気管負圧NPmcが判定負圧NPTh以上であるか否かの判定が行われる。吸気管負圧NPmcは、圧力センサ101によって検出された吸気通路18におけるスロットルバルブ19よりも下流側の圧力を基に導出することができる。例えば当該圧力が絶対圧である場合、当該圧力が大気圧よりも低いときには吸気管負圧NPmcが正の値となる。すなわち、当該圧力が低いほど、吸気管負圧NPmcが大きくなる。
【0049】
F/C処理が実行されている場合、スロットルバルブ19の開度であるスロットル開度は、アイドル運転時におけるスロットル開度、若しくはアイドル運転時におけるスロットル開度近傍の値となっている。さらに、F/C処理の実行中における機関回転速度NEは、アイドル運転中における機関回転速度NEよりも大きい。そのため、F/C処理の実行中では、吸気管負圧NPmcが大きくなりやすい。吸気管負圧NPmcが大きいほど、燃焼室13の圧力が低くなりやすいため、F/C処理の実行中に各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13内に流入しやすい。そこで、吸気管負圧NPmcが大きいか否かの判断基準として、判定負圧NPThが設定されている。
【0050】
ステップS13において、吸気管負圧NPmcが判定負圧NPTh以上である場合(YES)、処理が次のステップS14に移行される。ステップS14において、ステップS11及びステップS13の全てにおいて判定結果が「YES」である状態の継続時間TM1が更新される。そして、処理が後述するステップS16に移行される。一方、ステップS13において、吸気管負圧NPmcが判定負圧NPTh未満である場合(NO)、処理が次のステップS15に移行される。
【0051】
ステップS15において、継続時間TM1が「0」にリセットされる。これは、F/C処理が実行されていなかったり、吸気管負圧NPmcが判定負圧NPTh未満であったりするためである。その後、本処理ルーチンが一旦終了される。
【0052】
ステップS16において、更新した継続時間TM1が判定負圧継続時間TMTh1以上であるか否かの判定が行われる。各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13内に流入する事象は、継続時間TM1が長いほど発生しやすい。そこで、判定負圧継続時間TMTh1は、各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13内に流入する事象が発生する可能性があるか否かの判断基準として設定されている。そのため、継続時間TM1が判定負圧継続時間TMTh1以上である場合、各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13内に流入する事象が発生する可能性があると判断できる。
【0053】
本実施形態では、判定負圧継続時間TMTh1は、頻度調整部63によって調整される。すなわち、上述したように油温TMPが低くてオイルの粘度が高いほど、各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13内に流入する事象が生じやすい。そのため、頻度調整部63は、油温TMPが低いほど短くなるように判定負圧継続時間TMTh1を設定する。例えば、頻度調整部63は、図7に示すマップを用い、判定負圧継続時間TMTh1を設定する。
【0054】
図7に示すマップは、油温TMPと判定負圧継続時間TMTh1との関係を示すマップである。このマップでは、油温TMPが高いほど判定負圧継続時間TMTh1が長い。
図6に戻り、ステップS16において、継続時間TM1が判定負圧継続時間TMTh1以上である場合(YES)、処理が次のステップS17に移行される。本実施形態では、ステップS13及びステップS16の判定が何れも「YES」である場合、ファイアリング処理の実行の許可条件が成立したと判断することができる。そのため、ステップS17において、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされる。そして、本処理ルーチンが終了される。この場合、詳しくは後述するが、ファイアリング処理が実行されてファイアリングフラグFLGにオフがセットされるまでの間、本処理ルーチンの実行が停止される。一方、継続時間TM1が判定負圧継続時間TMTh1未満である場合(S16:NO)、ステップS17の処理が行われることなく、本処理ルーチンが一旦終了される。すなわち、この場合には、ファイアリングフラグFLGにはオフがセットされたままとなる。
【0055】
次に、図8を参照し、F/C処理の実行中にファイアリングフラグFLGにオンがセットされたことを契機に制御部61が実行する処理ルーチンについて説明する。
本処理ルーチンにおいて、ステップS21では、内燃機関10の各気筒11のうち、ファイアリング処理の実行対象となる気筒である対象気筒の選択が行われる。ここでは内燃機関10の気筒数が3つであるものとして説明する。本処理ルーチンの実行が開始されてステップS21の処理が始めて行われる場合、各気筒11のうちの第1気筒#1が対象気筒として選択される。
【0056】
続いて、ステップS22において、対象気筒に対するファイアリング処理が実行される。ファイアリング処理とは、対象気筒として選択された気筒11内に燃料を供給し、当該気筒11内の燃焼室13で燃焼を行わせる処理である。例えば対象気筒が第1気筒#1である場合、ファイアリング処理では、第1気筒#1用の燃料噴射弁21から燃料を噴射させ、第1気筒#1用の点火装置22を作動させることによって、第1気筒#1内の燃焼室13で混合気の燃焼を行わせる。対象気筒以外の気筒(この場合、第2気筒#2及び第3気筒#3)では、燃料の供給及び点火は行われず、燃焼は行われない。つまり、本実施形態では、制御部61は、ファイアリング処理の実行の許可条件が成立すると、すなわちファイアリングフラグFLGにオンがセットされると、F/C処理を一時的に中断して1つの気筒11においてファイアリング処理を実行する。そして、制御部61は、ファイアリング処理を終了すると、F/C処理を再開する。
【0057】
ちなみに、ファイアリング処理では、対象気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁21の燃料噴射量がストイキ噴射量よりも多くなるように、当該燃料噴射弁21が制御される。ストイキ噴射量とは、気筒11内の空燃比をストイキとする燃料噴射量のことである。そのため、F/C条件が成立している場合であっても、対象気筒内からは排気とともに未燃燃料が排気通路24に排出される。
【0058】
次のステップS23では、対象気筒に対するファイアリング処理が内燃機関10のNサイクル分実行されたか否かの判定が行われる。すなわち、対象気筒(例えば、第1気筒#1)内のみで燃焼が行われることがNサイクル連続したか否かの判定が行われる。ここでいう「N」は、「1」以上の整数(例えば、3)に設定されている。
【0059】
本実施形態では、制御部61は、対象気筒内のみで燃焼が行われるサイクル数である「N」の調整を通じてファイアリング処理の実行時間を可変させる。すなわち、制御部61は、油温TMPが低くてオイルの粘度が高いほど「N」を大きくすることにより、ファイアリング処理の実行時間を長くする。
【0060】
そして、ステップS23において、対象気筒に対するファイアリング処理がNサイクル分実行されたとの判定がなされない場合(NO)、処理が前述したステップS22に移行される。
【0061】
一方、ステップS23において、対象気筒に対するファイアリング処理がNサイクル分実行されたとの判定がなされた場合(YES)、処理が次のステップS24に移行される。ステップS24において、本処理ルーチンが開始されてから、全ての気筒11においてファイアリング処理の実行が完了したか否かの判定が行われる。すなわち、対象気筒として最後に選択された気筒11内(例えば、第3気筒#3内)のみで燃焼が行われることがNサイクル連続した後では、ステップS24の判定結果が「YES」とされる。ファイアリング処理の実行によって燃焼が行われていない気筒11が未だある場合(S24:NO)、処理が前述したステップS21に移行される。これにより、対象気筒が変更される。そして、ステップS21では、対象気筒が変更される。例えば第1気筒#1内のみで燃焼が行われることがNサイクル連続した後では、各気筒11のうち、第1気筒#1以外の気筒、例えば第2気筒#2が対象気筒として選択される。また、例えば第2気筒#2内のみで燃焼が行われることがNサイクル連続した後では、各気筒11のうち、第1気筒#1及び第2気筒#2以外の気筒、例えば第3気筒#3が対象気筒として選択される。
【0062】
一方、ファイアリング処理の実行によって燃焼が行われていない気筒11が既にない場合(S24:YES)、処理が次のステップS25に移行される。ステップS25において、ファイアリングフラグFLGにオフがセットされる。これは、各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13に流入する事象が発生する可能性が全ての気筒11において低下したと判断できるためである。続いて、次のステップS26において、条件成立判定部62によって更新される継続時間TM1が「0」にリセットされる。その後、本処理ルーチンが終了される。
【0063】
なお、対象気筒に対してファイアリング処理が実行されると、対象気筒の膨張行程時には、燃焼に起因して対象気筒内の燃焼室13の圧力が高くなる。そのため、図9に白抜き矢印で示すようにピストン12が下死点に向けて移動している場合、ピストンリング30がリング溝40におけるクランクケース16側の壁面43に当接した状態が維持される。その結果、膨張行程におけるピストン12の下死点に向けての移動に伴い、リング溝40内にオイルが入り込むことを抑制するとともに、オイルをピストンリング30によって掻き落とすことができる。このように掻き落とされたオイルは、図9に実線矢印で示すように気筒11の内周面111に沿って流下する。
【0064】
次に、図10を参照し、本実施形態の作用及び効果について説明する。ここでは、内燃機関10が3つの気筒11を有するものとして説明する。
車両が走行している最中のタイミングt11でアクセル開度ACが「0」になる。タイミングt11では、機関回転速度NEが判定回転速度NEThよりも大きいため、F/C条件が成立する。すると、F/C処理の実行によって、全ての気筒11(#1,#2,#3)内で燃焼が停止される。このようにF/C処理が実行されていると、吸気管負圧NPmcが大きくなる。そして、タイミングt12で吸気管負圧NPmcが判定負圧NPth以上になる。すなわち、タイミングt12以降では、F/C処理が実行されており、且つ吸気管負圧NPmcが判定負圧NPTh以上である状態が継続される。すると、当該状態の継続時間TM1の更新がタイミングt12から開始される。
【0065】
継続時間TM1が更新されていくと、タイミングt13で継続時間TM1が判定負圧継続時間TMTh1に達するため、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされる。すると、F/C処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行されることとなる。本実施形態では、ファイアリング処理が対象気筒を選択して実行される。すなわち、条件成立判定部62によってファイアリングフラグFLGにオンがセットされたということは、継続時間TM1が判定負圧継続時間TMTh1に達したことを意味する。そして、本実施形態では、継続時間TM1が判定負圧継続時間TMTh1に達すると、制御部61によってF/C処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される。したがって、本実施形態では、制御部61は、継続時間TM1が判定負圧継続時間TMTh1に達したことを条件に、F/C処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行するということができる。
【0066】
タイミングt13以降では、まずはじめに第1気筒#1が対象気筒として選択され、第1気筒#1に対してファイリング処理が実行される。すると、内燃機関10のNサイクル(図10に示す例では、3サイクル)の間、第1気筒#1内で燃焼が行われる一方で第1気筒#1以外の第2気筒#2内及び第3気筒#3内では燃焼が停止される状態が継続される。なお、このようにF/C処理を一時的に中断して第1気筒#1に対するファイアリング処理を実行することが繰り返されている期間では、継続時間TM1の更新が停止される。
【0067】
このように第1気筒#1内で燃焼が行われると、燃焼に起因して第1気筒#1内の燃焼室13の圧力が高くなるため、図9に示したように膨張行程では、ピストンリング30がリング溝40におけるクランクケース16側の壁面43に当接した状態でピストン12が下死点に向けて移動する。その結果、膨張行程におけるピストン12の下死点に向けての移動に伴い、リング溝40内にオイルが入り込むことを抑制するとともに、オイルをピストンリング30によって掻き落とすことができる。こうしてオイルを掻き落とすことにより、その後にF/C処理が再開された以降では、第1気筒#1の燃焼室13にオイルが流入しにくくなる。
【0068】
第1気筒#1内のみ燃焼が行われる状態がNサイクル継続すると、図10に示すように対象気筒が第1気筒#1から第2気筒#2に変更される。そして、第2気筒#2に対してファイアリング処理が実行される。本実施形態では、Nサイクルの間、第2気筒#2内で燃焼が行われる一方で第2気筒#2以外の第1気筒#1内及び第3気筒#3内では燃焼が停止される状態が継続される。なお、このようにF/C処理を一時的に中断して第2気筒#2に対するファイアリング処理を実行することが繰り返されている期間では、継続時間TM1の更新が停止される。
【0069】
このように第2気筒#2内で燃焼が行われると、燃焼に起因して第2気筒#2内の燃焼室13の圧力が高くなるため、上記第1気筒#1内で燃焼が行われた場合と同様に、F/C処理が再開された以降では、第2気筒#2内の燃焼室13にオイルが流入しにくくなる。
【0070】
第2気筒#2内のみ燃焼が行われる状態がNサイクル継続すると、対象気筒が第2気筒#2から第3気筒#3に変更される。そして、第3気筒#3に対してファイアリング処理が実行される。本実施形態では、Nサイクルの間、第3気筒#3内で燃焼が行われる一方で第3気筒#3以外の第1気筒#1内及び第2気筒#2内では燃焼が停止される状態が継続される。なお、このようにF/C処理を一時的に中断して第3気筒#3に対するファイアリング処理を実行することが繰り返されている期間では、継続時間TM1の更新が停止される。
【0071】
このように第3気筒#3内で燃焼が行われると、燃焼に起因して第3気筒#3内の燃焼室13の圧力が高くなるため、上記第1気筒#1内で燃焼が行われた場合と同様に、F/C処理が再開された以降では、第3気筒#3内の燃焼室13にオイルが流入しにくくなる。
【0072】
そして、第3気筒#3内のみ燃焼が行われる状態がNサイクル継続すると、ファイアリングフラグFLGにオフがセットされ、且つ、継続時間TM1が「0」にリセットされる(タイミングt14)。F/C条件が成立したままであるため、タイミングt14以降では、ファイアリング処理が行われなくなり、F/C処理が再開される。そして、タイミングt14以降では、継続時間TM1の更新が行われる。
【0073】
すなわち、本実施形態では、F/C条件が長期にわたって成立し続けるとしても、継続時間TM1が判定負圧継続時間TMTh1以上になると、F/C処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される。そのため、F/C条件が長期に亘って成立し続ける場合であっても、クランクケース16側からオイルが各気筒11内の燃焼室13に流入することを抑制できる。
【0074】
図10に示す例では、F/C処理の実行中のタイミングt15でアクセル操作が開始される。すると、F/C条件が成立していない状態になるため、F/C処理が終了される。また、継続時間TM1が「0」にリセットされる。
【0075】
本実施形態では、さらに以下に示す効果を得ることができる。
F/C処理では、吸入空気がそのまま燃焼室13から排気通路24に排出されて触媒コンバータ25を通過する。そのため、F/C処理が実行されていない場合と比較し、触媒コンバータ25の温度が低下しやすい。本実施形態にあっては、ファイアリング処理では、ストイキ噴射量よりも多い量の燃料が燃料噴射弁21から噴射される。そのため、ファイアリング処理が実行されると、F/C条件が成立している場合であっても未燃燃料が触媒コンバータ25に供給される。すると、触媒コンバータ25に吸蔵されている酸素と未燃燃料が反応するため、当該反応によって触媒コンバータ25を昇温させることができる。つまり、F/C条件の成立中における触媒コンバータ25の温度低下を抑制することができる。
【0076】
また、油温TMPが低くてオイルの粘度が高いほど、各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13に流入する事象が生じやすいため、F/C条件が成立している期間内でのファイアリング処理の実行頻度が増加される。このように当該事象の生じやすさに応じてファイアリング処理の実行頻度を可変させることにより、F/C条件が長期に亘って成立し続ける場合においてクランクケース16側からオイルが各気筒11内の燃焼室13に流入することの抑制効果を高くすることができる。
【0077】
言い換えると、本実施形態では、油温TMPが高くてオイルの粘度が低いほど、上記事象が生じにくいため、ファイアリング処理の実行頻度が減少される。これにより、ファイアリング処理の不要な実行を抑制することができ、ひいては内燃機関10の燃料消費を抑制することができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、車載内燃機関の制御装置の第2実施形態を図11及び図12に従って説明する。第2実施形態では、ファイアリング処理の実行の許可条件が成立したか否かの判定の内容が第1実施形態と相違している。そこで、以下の説明においては、第1実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、第1実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0079】
図11及び図12を参照し、車両が走行しているときに制御装置60の条件成立判定部62によって実行される処理ルーチンについて説明する。本処理ルーチンは、ファイアリングフラグFLGにオフがセットされている場合には車両走行中に繰り返し実行される。
【0080】
図11に示すように、本処理ルーチンにおいて、はじめのステップS31では、上記ステップS11と同様に、F/C条件が成立しているか否かの判定が行われる。F/C条件が成立しているとの判定がなされていない場合(S31:NO)、処理がステップS34に移行される。一方、F/C条件が成立しているとの判定がなされている場合(S31:YES)、処理が次のステップS33に移行される。
【0081】
ステップS33において、F/C条件が成立している状態の継続時間TM2が更新される。F/C処理の継続時間が長いほど、各リング溝40内でのピストンリング30の往復動の繰り返しによって汲み上げられたオイルが燃焼室13に流入する事象が生じやすい。そのため、本実施形態では、吸気管負圧NPmcが判定負圧NPTh以上であるか否かには拘わらず、F/C条件が成立すると、継続時間TM2の更新が開始される。そして、処理が後述するステップS35に移行される。
【0082】
ステップS34において、継続時間TM2が「0」にリセットされる。その後、本処理ルーチンが一旦終了される。
ステップS35において、更新した継続時間TM2が判定継続時間TMTh2以上であるか否かの判定が行われる。各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13に流入する事象は、継続時間TM2が長いほど発生しやすい。そこで、判定継続時間TMTh2は、各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13に流入する事象が発生する可能性があるか否かの判断基準として設定されている。そのため、継続時間TM2が判定継続時間TMTh2以上である場合、各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13に流入する事象が発生する可能性があると判断できる。
【0083】
本実施形態では、判定継続時間TMTh2は、頻度調整部63によって調整される。すなわち、上述したように油温TMPが低くてオイルの粘度が高いほど、各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13内に流入する事象が生じやすい。そのため、頻度調整部63は、油温TMPが低いほど短くなるように判定継続時間TMTh2を設定する。例えば、頻度調整部63は、図12に示すマップを用い、判定継続時間TMTh2を設定する。
【0084】
図12に示すマップは、油温TMPと判定継続時間TMTh2との関係を示すマップである。このマップでは、油温TMPが高いほど判定継続時間TMTh2が長い。
図11に戻り、ステップS35において、継続時間TM2が判定継続時間TMTh2以上である場合(YES)、処理が次のステップS36に移行される。本実施形態では、ステップS35の判定が「YES」である場合、ファイアリング処理の実行の許可条件が成立したと判断することができる。そのため、ステップS36において、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされる。そして、本処理ルーチンが終了される。この場合、ファイアリング処理が実行されてファイアリングフラグFLGにオフがセットされるまでの間、本処理ルーチンの実行が停止される。一方、継続時間TM2が判定継続時間TMTh2未満である場合(S35:NO)、ステップS36の処理が行われることなく、本処理ルーチンが一旦終了される。すなわち、この場合には、ファイアリングフラグFLGにオフがセットされたままとなる。
【0085】
本実施形態では、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされると、図8に示した処理ルーチンと同等の処理ルーチンが実行される。すなわち、制御部61によってF/C処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される。条件成立判定部62によってファイアリングフラグFLGにオンがセットされるということは、継続時間TM2が判定継続時間TMTh2に達したことを意味する。そして、本実施形態では、継続時間TM2が判定継続時間TMTh2に達すると、制御部61によってF/C処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される。したがって、本実施形態では、制御部61は、継続時間TM2が判定継続時間TMTh2に達したことを条件に、F/C処理を一時的に中断してファイアリング処理を実行するということができる。そして、何れの気筒11内で燃焼が行われると(S24:YES)、制御部61によって、ファイアリングフラグFLGにオフがセットされ(S25)、且つ、継続時間TM2が「0」にリセットされる。したがって、本実施形態では、上記第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0086】
なお、継続時間TM2の更新の開始は、第1実施形態における継続時間TM1の更新よりも早くなりやすい。そのため、判定継続時間TMTh2を、判定負圧継続時間TMTh1よりも大きい値に設定してもよい。
【0087】
(第3実施形態)
次に、車載内燃機関の制御装置の第3実施形態を図13に従って説明する。第3実施形態では、ファイアリング処理の内容が第1及び第2各実施形態と相違している。そこで、以下の説明においては、第2実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、第2実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0088】
本実施形態で実行されるファイアリング処理は、内燃機関10のNサイクルの間、全ての気筒11内で燃焼を行わせる処理である。
図13を参照し、本実施形態の作用とともに第2実施形態との相違点を説明し、その効果について説明する。
【0089】
車両が走行している最中のタイミングt31でアクセル開度ACが「0」になる。タイミングt31では、機関回転速度NEが判定回転速度NEThよりも大きいため、F/C条件が成立する。すると、F/C処理の実行によって、全ての気筒11内で燃焼が停止される。そして、F/C条件が成立した場合、継続時間TM2の更新が開始される。タイミングt32で継続時間TM2が判定継続時間TMTh2に達するため、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされる。すると、F/C処理が一時的に中断されてファイアリング処理が実行される。
【0090】
ファイアリング処理では、何れの気筒11内でも燃焼が行われる。このように各気筒11内で燃焼が行われると、燃焼に起因して各気筒11内の燃焼室13の圧力が高くなるため、膨張行程では、ピストンリング30がリング溝40におけるクランクケース16側の壁面43に当接した状態でピストン12が下死点に向けて移動する。その結果、膨張行程におけるピストン12の下死点に向けての移動に伴い、リング溝40内にオイルが入り込むことを抑制するとともに、オイルをピストンリング30によって掻き落とすことができる。こうしてオイルを掻き落とすことにより、その後にF/C処理が再開された以降では、各気筒11内の燃焼室13にオイルが流入しにくくなる。したがって、F/C処理の実行中に各リング溝40内を通ってオイルが各気筒11内の燃焼室13に流入することを抑制できる。
【0091】
タイミングt33でファイアリング処理が終了されると、F/C条件が成立したままであるため、F/C処理が再開されるとともに、継続時間TM2が「0」にリセットされる。F/C処理の実行中のタイミングt34で機関回転速度NEが判定回転速度NEThとなるため、F/C条件が成立していない状態になる。これにより、F/C処理が終了される。
【0092】
本実施形態では、以下に示す効果をさらに得ることができる。
第1実施形態及び第2実施形態で実行されるファイアリング処理では、内燃機関10の1サイクルで1つの気筒11内のみで燃焼が行われる。そのため、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされてからファイアリングフラグFLGにオフがセットされるまでに要する時間が比較的長くなる。これに対し、本実施形態で実行されるファイアリング処理では、内燃機関10の1サイクルで何れの気筒11内でも燃焼が行われる。そのため、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされてからファイアリングフラグFLGにオフがセットされるまでに要する時間を、第1実施形態及び第2実施形態の場合よりも短くすることができる。
【0093】
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0094】
・ファイアリング処理によって燃料噴射弁21から燃料を噴射させる場合、気筒11内で燃焼を行わせることができるのであれば、燃料噴射弁21の燃料噴射量を、ストイキ噴射量よりも多い量にしなくてもよい。例えば、燃料噴射弁21の燃料噴射量を、ストイキ噴射量としてもよいし、ストイキ噴射量よりも少なくしてもよい。
【0095】
・第3実施形態では、ファイアリング処理の実行期間を、内燃機関10のNサイクル分としていた。しかし、ファイアリング処理を、内燃機関10における1サイクル中において各気筒11内で燃焼を行わせて終了する処理としてもよい。この場合、ファイアリング処理において各気筒11で燃焼が行われる回数が少なくなってしまう。そのため、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされている間にファイアリング処理をN回に分けて行うようにしてもよい。すなわち、ファイアリング処理を連続して実行しなくてもよい。もちろん、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされている間にファイアリング処理を行う回数はN回に限らず、任意の回数に設定すればよい。
【0096】
・上記各実施形態では、油温TMPに応じてファイアリング処理の実行頻度を可変させているが、油温TMPに応じてファイアリング処理の実行頻度を可変させなくてもよい。この場合、上記の判定継続時間TMTh2及び判定負圧継続時間TMTh1は予め設定された長さで固定されることとなる。
【0097】
・内燃機関10内を循環する冷却水の温度が高いほど、油温TMPが高い、すなわちオイルの粘度が低いと推測できる。そのため、油温TMPの相関値として冷却水の温度を利用するようにしてもよい。この場合、冷却水の温度が低いほどファイアリング処理の実行頻度を高くすることが望ましい。
【0098】
・油温TMPの相関値である冷却水の温度に応じてファイアリング処理の実行時間を可変させるようにしてもよい。例えば、冷却水の温度が低いほど、ファイアリング処理の実行時間を長くするようにしてもよい。
【0099】
・油温TMPに応じてファイアリング処理の実行時間を可変させなくてもよい。
・本願発明者は、F/C処理の実行中にあっては、機関回転速度NEが大きいときほど、各リング溝40を通ってオイルが燃焼室13内に流入する事象が生じにくいという知見を得ている。そこで、例えば、F/C条件の成立時点の機関回転速度NEが小さいほど、判定継続時間TMTh2及び判定負圧継続時間TMTh1を小さくするようにしてもよい。
【0100】
・上記各実施形態では、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされている間に、全ての気筒11内において燃焼を行わせるようにしている。しかし、ファイアリングフラグFLGにオンがセットされている間にファイリング処理の実行によって燃焼室13で燃焼を行わせる気筒は、内燃機関10の各気筒11の一部であってもよい。
【0101】
・燃料噴射弁21は、吸気通路18に燃料を噴射するポート噴射弁であってもよい。また、制御装置60の制御対象となる内燃機関は、ポート噴射弁及び筒内噴射弁の双方を備えるものであってもよい。
【0102】
・制御装置60の制御対象となる内燃機関は、火花点火式の内燃機関ではなく、圧縮点火式の内燃機関であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…内燃機関、11…気筒、18…吸気通路、19…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、60…制御装置、61…制御部、63…頻度調整部。
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