(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】露光装置 画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20221206BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20221206BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20221206BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20221206BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20221206BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/45
B41J2/447 101P
G03G15/04 111
G03G21/16 147
F16F15/02 C
H04N1/036
(21)【出願番号】P 2019032550
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 淳一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 敏
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-209591(JP,A)
【文献】特開平02-226245(JP,A)
【文献】特開2015-033771(JP,A)
【文献】特開2018-001570(JP,A)
【文献】特開2000-255100(JP,A)
【文献】特開2019-049686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
G03G 15/04
G03G 21/16
F16F 15/02
H04N 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延び、重力方向に向けて発光する複数の発光素子を有する基板と、
前記一方向に延び、前記基板が取り付けられている筐体と、
前記筐体の両端側の部分を、重力方向で支持している支持部と、
前記一方向において前記筐体の中央側の部分に取り付けられ、前記支持部によって重力方向に支持され、錘を有する構造部と、
を備える露光装置。
【請求項2】
前記構造部は、前記筐体に対する重力方向の位置が調整可能に前記筐体に取り付けられている請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記構造部は、
前記錘と、
前記錘が取り付けられている取付部と、
前記取付部に設けられ、重力方向に対して交差する交差方向から前記筐体を挟む一対の板バネと、
を備える請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記構造部は、
前記一方向に延びている前記錘と、
前記一方向に延び、前記錘を前記一方向から挟み、前記錘が取り付けられ、前記一方向の両端部で前記支持部に重力方向で接触している取付部と、
を備える請求項1~3の何れか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記取付部の前記一方向の一端部には、重力方向の下方を向いた下面が形成され、
前記支持部には、重力方向の上方を向き、前記下面と面で接触する上面が形成されている請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
像保持体と、
前記像保持体を露光して静電潜像を形成する請求項1~5の何れか1項に記載の露光装置と、
前記露光装置が形成した前記像保持体の静電潜像を現像する現像装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の露光装置は、一方向に延びる板状の本体部と、本体部の一方の面に実装されている複数の発光素子とを有する基板と、一方向に延び、貫通孔が形成される枠状であって、本体部の板厚方向が貫通孔の貫通方向となるように、基板が貫通孔の内部に固定されている筐体と、一方向に対して交差した断面が、本体部の他方の面側が開放されたU字状とされ、貫通孔に嵌め込まれているU字部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置の稼動に伴って発生する装置本体の振動によって、露光装置に備えられた筐体も振動してしまうことがある。
【0005】
従来、この筐体の振動を抑制するため、錘を有した構造部が、筐体に取り付けられている。この筐体は、長尺状の部材であって、筐体の長手方向の両端部分が露光装置に備えられた支持部によって支持されている。そして、構造部は、筐体の長手方向の中央側の部分に取り付けられ、筐体にのみ支持されている。
【0006】
構造部が筐体にのみ支持されているため、像保持体に対する露光装置の露光方向が重力方向の場合には、構造部に作用する重力によって、筐体が重力方向(=露光方向)に撓んでしまうことがある。
【0007】
本発明の課題は、筐体の振動を抑制する部材を備えた構成において、重力方向において、構造部が筐体にのみ支持されている場合と比して、筐体が重力方向に撓むのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係る露光装置は、一方向に延び、重力方向に向けて発光する複数の発光素子を有する基板と、前記一方向に延び、前記基板が取り付けられている筐体と、前記筐体の両端側の部分を、重力方向で支持している支持部と、前記一方向において前記筐体の中央側の部分に取り付けられ、前記支持部によって重力方向に支持され、錘を有する構造部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2態様に係る露光装置は、第1態様に記載の露光装置において、前記構造部は、前記筐体に対する重力方向の位置が調整可能に前記筐体に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3態様に係る露光装置は、第2態様に記載の露光装置において、前記構造部は、前記錘と、前記錘が取り付けられている取付部と、前記取付部に設けられ、重力方向に対して交差する交差方向から前記筐体を挟む一対の板バネと、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4態様に係る露光装置は、第1~第3態様の何れか1態様に記載の露光装置において、前記構造部は、前記一方向に延びている前記錘と、前記一方向に延び、前記錘を前記一方向から挟み、前記錘が取り付けられ、前記一方向の両端部で前記支持部に重力方向で接触している取付部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5態様に係る露光装置は、第4態様に記載の露光装置において、前記取付部の前記一方向の一端部には、重力方向の下方を向いた下面が形成され、前記支持部には、重力方向の上方を向き、前記下面と面で接触する上面が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第6態様に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を露光して静電潜像を形成する請求項1~5の何れか1項に記載の露光装置と、前記露光装置が形成した前記像保持体の静電潜像を現像する現像装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1態様に係る露光装置は、筐体の振動を抑制する部材を備えた構成において、重力方向において、構造部が筐体にのみ支持されている場合と比して、筐体が重力方向に撓むのを抑制することができる。
【0015】
本発明の第2態様に係る露光装置は、重力方向において、構造部と筐体との相対位置関係が変化しないように、構造部が筐体に取り付けられている場合と比して、重力方向において支持部と筐体との相対位置ばらつきを吸収することができる。
【0016】
本発明の第3態様に係る露光装置は、交差方向において、構造部と筐体との相対位置関係が変化しないように、構造部が筐体に取り付けられている場合と比して、交差方向において構造部の重心と、筐体の重心とがずれるのを抑制することができる。
【0017】
本発明の第4態様に係る露光装置は、取付部が一方向の中央部だけで支持部に重力方向で接触している場合と比して、構造部の姿勢を安定させることができる。
【0018】
本発明の第5態様に係る露光装置は、取付部の一方向の両端部が、支持部と点で接触している場合と比して、構造部の姿勢を安定させることができる。
【0019】
本発明の第6態様に係る画像形成装置は、重力方向において、構造部が筐体にのみ支持されている露光装置を備える場合と比して、出力画像の品質低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る露光装置を示した斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る露光装置を示した分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る露光装置に備えられた振動抑制部を示した斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る露光装置を示した拡大側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る露光装置を示した側面図である。
【
図6】(A)(B)本発明の実施形態に係る露光装置を示した断面図である。
【
図7】(A)(B)(C)本発明の実施形態に係る露光装置に設けられた錘の動きを示した動作図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【
図9】本発明の実施形態に対する比較形態に係る露光装置を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る露光装置、及び画像形成装置の一例を
図1~
図9に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(=重力方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(=水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(=水平方向)を示す。
【0022】
(全体構成)
図8に示されるように、実施形態に係る画像形成装置10には、上下方向(矢印H方向)の下方から上方へ向けて、記録媒体としてのシート部材Pが収容される収容部14と、収容部14に収容されたシート部材Pを搬送する搬送部16と、収容部14から搬送部16によって搬送されるシート部材Pに画像形成を行う画像形成部20とが、この順で備えられている。
【0023】
〔収容部〕
収容部14には、画像形成装置10の装置本体10aから装置奥行方向の手前側に引き出し可能な収容部材26が備えられており、この収容部材26にシート部材Pが積載されている。さらに、収容部材26には、収容部材26に積載されたシート部材Pを、搬送部16を構成する搬送経路28に送り出す送出ロール30が備えられている。
【0024】
〔搬送部〕
搬送部16には、収容部14から送り出されたシート部材Pが搬送される搬送経路28に沿ってシート部材Pを搬送する、複数の搬送ロール32が備えられている。
【0025】
〔画像形成部〕
画像形成部20には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが備えられている。なお、以後の説明では、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略して記載することがある。
【0026】
各色の画像形成ユニット18は、装置本体10aに対して夫々着脱可能とされている。そして、各色の画像形成ユニット18には、像保持体36と、像保持体36の表面を帯電する帯電部材38と、像保持体36に露光光を夫々照射する露光装置42とが備えられている。さらに、各色の画像形成ユニット18には、帯電した像保持体36に露光装置42が露光光を照射することで形成された静電潜像を現像してトナー画像とし、可視化する現像装置40が備えられている。なお、露光装置42の構成については、詳細を後述する。
【0027】
また、画像形成部20には、図中矢印A方向に周回する無端状の転写ベルト22と、各色の画像形成ユニット18によって形成されたトナー画像を転写ベルト22に転写する一次転写ロール44とが備えられている。さらに、画像形成部20には、転写ベルト22に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール46と、トナー画像が転写されたシート部材Pを加熱、加圧してトナー画像をシート部材Pに定着する定着ユニット50とが備えられている。
【0028】
(画像形成装置の作用)
画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
先ず、電圧が印加された各色の帯電部材38は、各色の像保持体36の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、外部から受け取った画像データに基づいて、露光装置42は、帯電した各色の像保持体36の表面に露光光を照射して静電潜像を形成する。
【0029】
これにより、データに対応した静電潜像が各色の像保持体36の表面に形成される。さらに、各色の現像装置40は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。また、各色の像保持体36の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール44によって転写ベルト22に転写される。
【0030】
そこで、収容部材26から送出ロール30によって搬送経路28へ送り出されたシート部材Pは、転写ベルト22と二次転写ロール46とが接触する転写位置Tへ送り出される。転写位置Tでは、シート部材Pが転写ベルト22と二次転写ロール46との間で搬送されることで、転写ベルト22の表面のトナー画像は、シート部材Pの表面に転写される。
【0031】
シート部材Pの表面に転写されたトナー画像は、定着ユニット50によってシート部材Pに定着される。そして、トナー画像が定着されたシート部材Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0032】
(要部構成)
次に、露光装置42等について説明する。
露光装置42は、LEDプリントヘッドであって、
図5に示されるように、像保持体36の下方に配置されている。
【0033】
そして、露光装置42は、
図1、
図2に示されるように、装置奥行方向(=一方向)に延びており、板面が上下方向を向いた基板60と、基板60の上方に配置され、装置奥行方向に延びているレンズアレイ62とを備えている。さらに、露光装置42は、装置奥行方向に延び、基板60及びレンズアレイ62が取り付けられている筐体66と、筐体66に取り付けられている振動抑制部68とを備えている。また、露光装置42は、筐体66及び振動抑制部68を支持している支持部材70と、圧縮コイルスプリング78(以下「スプリング78」)とを備えている。振動抑制部68は構造部の一例である。
【0034】
〔基板〕
基板60は、
図2に示されるように、板状の本体部64と、本体部64の上面64aに実装されている複数の発光素子72とを有している。本体部64は、プリント配線基板であって、板面が上下方向を向いており、上方から見て装置奥行方向が延びる矩形状とされている。発光素子72は、発光ダイオード(LED)であって、本体部64の上面64aに千鳥状に配置されて装置奥行方向に延びている。そして、複数の発光素子72は、上方向(=重力方向)に発光するようになっている。
【0035】
〔レンズアレイ〕
レンズアレイ62は、
図2に示されるように、装置奥行方向に延びる直方体状とされている。また、装置奥行方向に直交するレンズアレイ62の断面形状は、装置上下方向に延びる矩形状とされている(
図6(A)参照)。さらに、レンズアレイ62には、複数のロッドレンズ82が千鳥状に配置されて装置奥行方向に延びている。そして、夫々のロッドレンズ82は、上下方向に延びており、夫々の発光素子72から出射された光を透過させて像保持体36(
図5参照)に結像させるようになっている。
【0036】
このように、露光装置42の像保持体36に対しする露光方向は、上下方向(=重力方向)とされている。
【0037】
〔筐体〕
筐体66は、樹脂材料である液晶ポリマーで成形され、
図2に示されるように、装置奥行方向に延びている。さらに、筐体66には、装置上下方向に貫通し、装置奥行方向に延びる貫通孔84が形成されている。このように、筐体66は枠状とされている。
【0038】
装置奥行方向に直交する筐体66の断面形状は、
図6(A)、(B)に示されるように、筐体66の重心Gを通り、装置上下方向に延びる線Jに対して、対称形状とされている。そして、筐体66において貫通孔84が形成されている部分では、
図6(A)に示されるように、貫通孔84を挟んで、装置上下方向に延びる一対の壁部66aが形成されている。
【0039】
筐体66に形成された貫通孔84の上端部分には、レンズアレイ62が図示せぬ接着剤(UV硬化型接着剤)によって固定されている。また、筐体66とレンズアレイ62との間の隙間には、レンズアレイ62の全周に亘って封止剤88が充填されている。これにより、筐体66とレンズアレイ62との間から、埃等が筐体66の内部に侵入しないようになっている。
【0040】
また、筐体66には、貫通孔84の下端部の開口を広くするように、貫通孔84の全周に亘って段部84aが形成されている。そして、発光素子72とレンズアレイ62とが上下方向で対向するように、この段部84aに、基板60の端部部分が図示せぬ接着剤を用いて固定されている。これにより、段部84aと基板60との間から、埃等が筐体66の内部に侵入しないようになっている。
【0041】
さらに、
図2、
図6(B)に示されるように、筐体66において貫通孔84が形成されていない装置奥行方向の両端部分には、上方を向いた平面状の上面部66bと、下方を向いた平面状の下面部66cとが形成されている。そして、装置本体10aは、上面部66bと上下方向で接触する一対の基準フレーム130を備えている。
【0042】
〔支持部材70、スプリング78〕
支持部材70は、トリミングされた板金を折り曲げて形成され、
図2に示されるように、装置奥行方向に延びている。さらに、装置奥行方向に直交する断面は、
図6(A)に示されるように、上方が開口したU字状とされている。支持部材70は、支持部の一例である。
【0043】
この支持部材70は、
図2、
図6(A)に示されるように、板面が装置幅方向を向いた一対の側板74と、板面が上下方向を向いた底板76とを有している。この底板76は、上方から見て、装置奥行方向に延びる矩形状とされており、底板76において装置奥行方向の中央側の部分には、装置幅方向に延びる矩形状の貫通孔76aが形成されている。また、支持部材70は、装置本体10aに設けられた図示せぬフレーム部材によって下方から支持されている。
【0044】
スプリング78は、4個設けられ、
図2、
図6(B)に示されるように、筐体66に形成された下面部66cと、支持部材70の底板76に形成され、上方を向いた上面76bとの間に、圧縮された状態で配置されている。具体的には、スプリング78は、筐体66の両端部分に夫々2個配置されており、装置奥行方向に並んでいる。
【0045】
この構成において、支持部材70は、筐体66の両端側の部分を、スプリング78を介して上下方向(=重力方向)で支持している。そして、スプリング78の付勢力によって、
図5に示されるように、筐体66の上面部66bが、基準フレーム130に押し付けられることで、筐体66の上下方向の位置が決まるようになっている。これにより、支持部材70と筐体66との上下方向の相対位置関係がばらつくようになっている。
【0046】
〔振動抑制部68〕
振動抑制部68は、動吸振器(=ダイナミックダンパ)であって、
図1、
図2に示されるように、装置奥行方向おいて筐体66の中央側の部分に取り付けられており、支持部材70によって上下方向(=重力方向)に支持されている。ここで、「装置奥行方向おいて筐体66の中央側の部分」とは、筐体66の装置奥行方向の長さを100としたときに、筐体66の一端から30以上70以下の範囲の中で定められた部分である。
【0047】
つまり、本実施形態では、振動抑制部68は、筐体66の装置奥行方向の長さを100としたときに、筐体66の一端から30以上70以下の範囲の中で定められた部分に取り付けられている。ここで、筐体66に生じる振動を抑制する観点から、振動抑制部68が筐体66の一端から40以上60以下の範囲の中で定められた部分に取り付けられていればさらによく、振動抑制部68が筐体66の一端から45以上55以下の範囲の中で定められた部分に取り付けられていれば特によい。
【0048】
振動抑制部68は、
図1に示されるように、装置奥行方向に延びており、筐体66に対して下方で、かつ、支持部材70の底板76に対して上方に配置されている。振動抑制部68は、
図3に示されるように、装置奥行方向に延びている錘102と、装置奥行方向から錘102を挟み、装置幅方向に弾性変形可能な一対の弾性部104とを備えている。さらに、振動抑制部68は、弾性部104を介して錘102が取り付けられている取付部108と、筐体66を装置幅方向から挟む一対の板バネ124を有する保持部120とを備えている。
【0049】
-錘102、弾性部104-
錘102は、金属材料で形成され、
図3に示されるように、装置奥行方向に延びる円柱状である。また、一対の弾性部104は、ゴム材料で形成され、装置奥行方向から102を挟むように配置されている。そして、弾性部104は、装置奥行方向に延びる円柱状とされ、弾性部104の一端に錘102が図示せぬ固定材で固定されている。
【0050】
-取付部108-
取付部108は、トリミングされた板金を折り曲げることで形成され、
図3に示されるように、装置奥行方向に延びている。取付部108は、板面が装置奥行方向を向き、錘102及び一対の弾性部104を装置奥行方向から挟むように配置された一対の挟持板110と、板面が上下方向を向き、一対の挟持板110を連結させている連結板112とを有している。さらに、取付部108は、一方の挟持板110に接続されたL字状のL字板114と、他方の挟持板110に接続された平板状の平板118とを有している。
【0051】
一対の挟持板110は、装置奥行方向に離間し、前述したように、錘102及び一対の弾性部104を装置奥行方向から挟んでいる。また、一対の挟持板110は、装置奥行方向から見て上下方向に延びる一対の縁と装置幅方向に延びる一対の縁とを有する矩形状とされている。また、挟持板110の下端縁110aは、支持部材70の底板76に形成された上面76bと接触している(
図1参照)。
【0052】
さらに、装置奥行方向から見て、挟持板110の領域内に、錘102及び一対の弾性部104が配置されている。そして、挟持板110において弾性部104側の面110bに弾性部104の他端が図示せぬ固定材で固定されている。
【0053】
連結板112は、錘102及び一対の弾性部104の上方に配置されており、上下方向から見て、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。そして、連結板112の装置奥行方向の両端縁112aに、一対の挟持板110の上端縁110cが接続されている。
【0054】
平板118は、装置奥行方向の奥側の挟持板110の下端縁110aに接続され、板面が上下方向を向いている。そして、平板118は、挟持板110の下端縁110aから装置奥行方向の奥側へ延びている。さらに、平板118には、下方を向いた下面118aが形成されており、この下面118aは、
図4に示されるように、支持部材70の底板76に形成された上面76bと面で接触している。
【0055】
L字板114は、
図3に示されるように、装置奥行方向の手前側の挟持板110の下端縁110aに接続されている。具体的には、L字板114は、挟持板110の下端縁110aの装置奥行方向の中央側の部分から下方に延び、板面が装置奥行方向を向いた基部114aと、基部114aの下端縁から装置奥行方向の手前側に延び、板面が上下方向を向いた先端部114bとを有している。
【0056】
L字板114の装置幅方向の長さは、支持部材70の底板76に形成された貫通孔76a(
図1参照)の装置幅方向の長さと比して短くなっている。そして、L字板114の一部は、
図1、
図4に示されるように、底板76に形成された貫通孔76aから底板76の下方へ突出している。さらに、L字板114の先端部114bの一部は、上下方向で底板76の下方を向いた下面76cと対向している。
【0057】
この構成において、振動抑制部68を支持部材70に対して上方へ持ち上げようとすると、L字板114の先端部114bと底板76とが接触する。これにより、振動抑制部68が支持部材70から上方へ抜け出るのを(=移動するのを)抑制している。このように、L字板114は、振動抑制部68が支持部材70から抜け出るのを抑制する抜止手段として機能している。
【0058】
また、前述したように、取付部108の下面118aと、支持部材70の底板76の上面76bとは、面で接触している。さらに、L字板114の装置幅方向の長さは、支持部材70の底板76に形成された貫通孔76aの装置幅方向の長さと比して短くなっている。このため、振動抑制部68は、支持部材70に対して、予め決められた範囲内で装置幅方向(=交差方向)に移動可能となっている。
【0059】
-保持部120-
保持部120は、トリミングされたばね鋼板によって形成され、
図3に示されるように、取付部108の連結板112の上方で、装置奥行方向において連結板112の中央側の部分に配置されている。
【0060】
保持部120は、装置奥行方向から見て上方が開口したU字状とされており、連結板112と接触する底板122と、装置幅方向において底板122の両端縁から立ち上がり、筐体66(
図6(A)参照)を装置幅方向から挟み込む一対の板バネ124とを有している。
【0061】
底板122は、板面が上下方向を向き、上方から見て装置奥行方向に延びる矩形状とされている。また、底板122において装置奥行方向に延びている一対の縁は、連結板112において装置奥行方向に延びている一対の縁と上方から見て重なっている。そして、この底板122が、図示せぬ固定材を用いて連結板112の上面112bに固定されている。
【0062】
一対の板バネ124は、底板122の両端縁から立ち上がり、装置幅方向に離間している。そして、板バネ124は、装置幅方向から見て、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。さらに、板バネ124は折り曲げられ、板バネ124には、
図6(A)に示されるように、装置奥行方向から見て、対向する板バネ124側に突出する突出部124aが形成されている。
【0063】
夫々の板バネ124に形成された突出部124aが筐体66の壁部66aと接触して、夫々の板バネ124が弾性的に撓むことで、一対の板バネ124は、筐体66の装置奥行方向の中央側の部分を、装置幅方向から挟み込むようになっている。換言すれば、筐体66を挟み込んでいない状態での一対の突起部124a間の距離は、筐体66の装置幅方向の厚さと比して小さくなっている。このようにして、振動抑制部68は、筐体66の中央側の部分に取り付けられている。
【0064】
ここで、保持部120の底板122と、筐体66とは上下方向で離間している。そして、筐体66の上下方向の位置は、基準フレーム130の位置によって決められ、振動抑制部68の上下方向の位置は、支持部材70の底板76の位置によって決められている。このため、筐体66の上下方向の位置と、振動抑制部68の上下方向の位置がばらついてしまう。そこで、一対の板バネ124による筐体66の挟み込み位置を調整することで、筐体66と、振動抑制部68との相対ばらつきが吸収されるようになっている。このように、振動抑制部68は、振動抑制部68の筐体66に対する重力方向の位置が調整可能に筐体66に取り付けられている。そして、底板122と筐体66との間に形成された空間を有する支持部材70は、筐体66と、振動抑制部68との相対ばらつきを吸収する吸収手段として機能している。
【0065】
また、振動抑制部68は、一対の板バネ124が筐体66を装置幅方向から挟み込むことで、筐体66に取り付けられている。これにより、夫々の板バネ124の筐体66に対する撓み量が同様となるように、振動抑制部68が支持部材70に対して装置幅方向に移動する。そして、振動抑制部68の重心と、筐体66の重心とが、装置幅方向で同様の位置になる。つまり、一対の板バネ124は、振動抑制部68の装置幅方向の位置と、筐体66の装置幅方向の位置を調整する位置調整手段として機能している。
【0066】
この構成において、画像形成装置10の画像形成動作に伴なって筐体66へ装置幅方向の振動が伝達されたときは、
図7(A)(B)(C)に示されるように、振動抑制部68の弾性部104が変形しながら錘102が装置幅方向に振動する。これにより、筐体66の振動が抑制されるようになっている。
【0067】
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について、比較形態に係る露光装置542と比較しつつ説明する。先ず、露光装置542の構成について、露光装置42と異なる部分を主に説明する。
【0068】
〔露光装置542の構成〕
露光装置542は、
図9に示されるように、基板60と、レンズアレイ62と、筐体66と、支持部材70と、スプリング78とを備えている。さらに、露光装置542は、筐体66に取り付けられた振動抑制部568を備えている。
【0069】
振動抑制部568は、質量ダンパ(=マスダンパ)であって、装置奥行方向おいて筐体66の中央側の部分に取り付けられており、支持部材70の底板76とは上下方向で離間している。換言すれば、重力方向において、振動抑制部568は、筐体66にのみ支持されている。
【0070】
振動抑制部568は、装置奥行方向に延びる円柱状の錘602と、錘602が取り付けられている取付部608とを備えている。取付部608は、装置奥行方向から錘602を挟み込む挟持部608aと、筐体66を装置幅方向から挟み込む挟持部608bとを有している。このようにして、振動抑制部568は、筐体66に取り付けられている。
【0071】
この構成において、振動抑制部568が取り付けられた筐体66の固有振動数は、画像形成装置10の画像形成動作に伴なって筐体66へ伝達される振動数からずれる。これにより、筐体66の振動が抑制されるようになっている。
【0072】
〔露光装置42、542の作用〕
次に、露光装置42、542の作用について説明する。
【0073】
図8に示す画像形成装置10の画像形成動作が開始され、像保持体36の表面が帯電すると、画像データに基づいて露光装置42、542は、発光素子72を発光させて像保持体36の表面に露光光を照射する(
図6(A)参照)。
【0074】
ここで、画像形成動作によって生じる、装置本体10a内の駆動部材の振動が、露光装置42の筐体66に伝達される。前述したように、筐体66における装置奥行方向の両端側の部分が支持されている。また、装置奥行方向に直交するレンズアレイ62の断面形状は、
図6(A)に示されるように、装置上下方向に延びる矩形状とされ、筐体66には、装置上下方向に延びる一対の壁部66aが形成されている。このため、レンズアレイ62が取り付けられた筐体66の上下方向の曲げ剛性が、筐体66の装置幅方向の曲げ剛性と比して高くなっている。これにより、レンズアレイ62が取り付けられた筐体66は、装置幅方向に振動しやすくなっている(
図1の矢印F参照)。
【0075】
このため、画像形成動作に伴なって筐体66へ伝達される振動と筐体66の固有振動とによる共振が発生した場合に、筐体66が顕著に振動する。
【0076】
露光装置542では、筐体66に振動抑制部568が取り付けられている。このため、前述したように、振動抑制部568が取り付けられた筐体66の固有振動数は、画像形成動作に伴なって筐体66へ伝達される振動数からずれている。これにより、露光装置542の筐体66の振動が抑制される。
【0077】
しかし、露光装置542では、振動抑制部568は、支持部材70の底板76とは上下方向で離間している。このため、振動抑制部568に作用した重力によって、露光装置542の筐体66が重力方向に撓んでしまうことがある。換言すれば、露光装置542の筐体66が露光方向に撓んでしまうことがある。具体的には、装置奥行方向において筐体66の中央側の部分が、両端部側の部分に対して下方へ位置するように、筐体66が上下方向(=露光方向)に撓んでしまう。このように、筐体66が露光方向に撓むことで、発光素子72から出射され、ロッドレンズ82を透過した光を像保持体36に結像させる結像誤差が大きくなる。このため、露光装置542の露光によって、像保持体36に形成される静電潜像の品質が低下する。
【0078】
これに対して、露光装置42では、筐体66に振動抑制部68が取り付けられている。このため、前述したように、画像形成装置10の画像形成動作に伴なって筐体66へ装置幅方向の振動が伝達されたときは、
図7(A)(B)(C)に示されるように、振動抑制部68の弾性部104が変形しながら錘102が装置幅方向に振動する。これにより、露光装置42の筐体66の振動が抑制される。
【0079】
ここで、振動抑制部68は、支持部材70によって上下方向(=重力方向)に支持されている。このため、振動抑制部68に作用した重力によって、筐体66が露光方向に撓むのが抑制されている。
【0080】
(まとめ)
以上説明したように、筐体66の振動を抑制する部材を備えた構成において、露光装置42では、露光装置542と比して、筐体66が重力方向(=露光方向)に撓むのが抑制される。
【0081】
また、露光装置42では、一対の板バネ124が筐体66を挟み込むことで、振動抑制部68が筐体66に取り付けられている。換言すれば、一対の板バネ124による筐体66の挟み込み位置を調整することで、筐体66と、振動抑制部68との相対ばらつきが吸収されるようになっている。このため、振動抑制部と筐体との相対位置関係が変化しないように、振動抑制部が筐体に取り付けられている場合と比して、重力方向における振動抑制部68と筐体66との相対位置ばらつきが吸収される。
【0082】
また、露光装置42では、保持部120に形成された一対の板バネ124が、筐体66を装置幅方向から挟むことで、振動抑制部68が筐体66に取り付けられている。さらに、取付部108は、支持部材70に対して、予め決められた範囲で装置幅方向に移動可能となっている。このため、振動抑制部と筐体との相対位置関係が変化しないように、振動抑制部が筐体に取り付けられている場合と比して、振動抑制部68の重心と、筐体66の重心とが装置幅方向でずれるのが抑制される。
【0083】
また、露光装置42では、錘102は、装置奥行方向に延びており、取付部108は、装置奥行方向に延び、一対の弾性部104及び錘102を装置奥行方向から挟んでいる。さらに、取付部108の両端側に形成された一対の挟持板110の下端縁110aが、重力方向の上方から支持部材70の底板76に形成された上面76bと接触することで、振動抑制部68は、支持部材70によって支持されている。これにより、取付部の装置奥行方向の中央部だけで支持部材に重力方向で接触している場合と比して、振動抑制部68の姿勢が安定する。
【0084】
また、露光装置42では、取付部108の装置奥行方向の奥側の部分に形成された下面118aと、支持部材70の底板76に形成された上面76bとが面で接触している。このため、取付部の装置奥行方向の両端部が、底板の上面と点で接触している場合と比して、振動抑制部68の姿勢が安定する。
【0085】
また、画像形成装置10では、露光装置42を備えている。このため、露光装置542を備える場合と比して、像保持体36に形成される静電潜像の品質低下が抑制されることで、出力画像の品質低下が抑制される。
【0086】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、露光装置42は、動吸振器である振動抑制部68を備えることで、筐体66に生じる振動を抑制したが、露光装置が質量ダンパを備えることで筐体に生じる振動を抑制してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、取付部108の装置奥行方向の奥側の部分に形成された下面118aと、支持部材70の底板76に形成された上面76bとが面で接触していたが、取付部の装置奥行方向の両端側の部分が面で、底板に形成された上面と接触してもよい。この場合には、装置奥行方向の一端側の部分だけが、底板の上面と面で接触する場合と比して、振動抑制部の姿勢が安定する。
【0088】
また、上記実施形態では、振動抑制部68は、保持部120に形成された一対の板バネ124が、筐体66を装置幅方向から挟むことで、振動抑制部68が筐体66に取り付けられたが、固定材等を用いて、振動抑制部が筐体に取り付けられてもよい。振動抑制部68が支持部材70に支持されていればよい。
【0089】
また、上記実施形態では、支持部材70は、一体的に形成されたが、筐体66を支持する部分と、振動抑制部68を支持する部分とが分かれていてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、振動抑制部68は下方から支持部材70に支持されたが、振動抑制部が、吊り糸等で上方から支持されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 画像形成装置
36 像保持体
40 現像装置
42 露光装置
60 基板
66 筐体
68 振動抑制部(構造部の一例)
70 支持部材(支持部の一例)
72 発光素子
76b 上面
102 錘
108 取付部
118a 下面
124 板バネ