(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20221206BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20221206BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
F28F9/02 301J
F28F3/08 311
F28D9/02
(21)【出願番号】P 2019041688
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【氏名又は名称】津田 拓真
(72)【発明者】
【氏名】三枝 弘
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026274(JP,A)
【文献】特開平04-073594(JP,A)
【文献】特開2020-079693(JP,A)
【文献】特開2016-001099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0246933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28F 3/08
F28D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が流れる第1流路(W30)が内部に形成される第1流体用プレート部材(41)と、第2流体が流れる第2流路(W31)が内部に形成される第2流体用プレート部材(42)とが交互に積層して配置され、前記第1流路を流れる前記第1流体と前記第2流路を流れる第2流体との間で熱交換が行われる熱交換器であって、
前記第1流体用プレート部材の一端部には、
前記第1流路の一端部に連通される第1連通孔(H12,H13)と、
前記第1連通孔とは独立して設けられる第2連通孔(H14,H15)と、
前記第1連通孔及び前記第2連通孔とは独立して設けられ、前記第1連通孔及び前記第2連通孔の間に配置される第3連通孔(H16,H17)と、が形成され、
前記第2流体用プレート部材の一端部には、
前記第2流路の一端部に連通される第4連通孔(H24,H25)と、
前記第4連通孔とは独立して設けられる第5連通孔(H22,H23)と、
前記第4連通孔及び前記第5連通孔とは独立して設けられ、前記第4連通孔及び前記第5連通孔の間に配置される第6連通孔(H26,H27)と、が形成され、
前記第1連通孔及び前記第5連通孔は、互いに連通されることにより、前記第1流体が流れる第1タンク部(T11,T12)を構成し、
前記第2連通孔及び前記第4連通孔は、互いに連通されることにより、前記第2流体が流れる第2タンク部(T21,T22)を構成し、
前記第3連通孔及び前記第6連通孔は、互いに連通されることにより、第3タンク部(T31,T32)を構成し、
前記第1流体用プレート部材、及び前記第2流体用プレート部材が積層して配置される方向を積層方向とするとき、
前記第3タンク部は、前記積層方向において前記第1タンク部及び前記第2タンク部と部分的に重なるように設けられるとともに、前記第1タンク部及び前記第2タンク部のいずれか一方のタンク部に連通されている
熱交換器。
【請求項2】
前記第3タンク部は、前記積層方向において前記一方のタンク部と重なるように配置される部分に形成される連通孔を通じて前記一方のタンク部に連通されている
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記一方のタンク部の内部空間を複数の空間に仕切る隔壁(43a~43c,44a~44c)を更に備え、
前記第1流体用プレート部材及び前記第2流体用プレート部材の積層体の一側面には、前記第1流体及び前記第2流体のいずれか一方の流体が流入する流入口(45a,46a)、及び前記流入口と同一の流体が排出される排出口(45b,46b)が設けられている
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記隔壁により仕切られた複数の空間には、異なる流体が流れている
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1流体及び前記第2流体のいずれか一方が流入する流入口、又は前記第1流体及び前記第2流体のいずれか一方が排出される排出口を3つ以上備える
請求項1~4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
積層して配置される複数の第1流体用プレート部材には、
前記第1流体として熱媒体が前記第1流路を流れる第1流体用第1プレート部材(41e)と、
前記第1流体用第1プレート部材とは別の第1流体用第2プレート部材(41f)と、が含まれ、
積層して配置される複数の第2流体用プレート部材には、
前記第1流体用第1プレート部材に対応して配置される第2流体用第1プレート部材(42e)と、
前記第1流体用第2プレート部材に対応して配置され、且つ前記第2流体として冷却水が流れる前記第2流路を有する第2流体用第2プレート部材(42f)と、が含まれ、
前記第1流体用第2プレート部材の前記第1流路には、前記第1流体用第1プレート部材を通過した後に膨張部(13)を通じて減圧された熱媒体が流れ、
前記第2流体用第1プレート部材の前記第2流路には、前記第1流体用第2プレート部材を通過した熱媒体が流れ、
前記第1流体用第1プレート部材、及び前記第2流体用第1プレート部材により、それぞれを流れる熱媒体の間で熱交換を行う内部熱交換部(12)が構成され、
前記第1流体用第2プレート部材、及び前記第2流体用第2プレート部材により、それぞれを流れる熱媒体及び冷却水の間で熱交換を行う蒸発部(15)が構成されている
請求項1~5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
積層して配置される複数の第1流体用プレート部材には、
前記第1流体として熱媒体が前記第1流路を流れる第1流体用第1プレート部材(41g)と、
前記第1流体用第1プレート部材とは別の第1流体用第2プレート部材(41i)と、
前記第1流体用第1プレート部材、及び前記第1流体用第2プレート部材の間に配置される第1流体用第3プレート部材(41h)と、が含まれ、
積層して配置される複数の第2流体用プレート部材には、
前記第1流体用第1プレート部材に対応して配置され、且つ前記第2流体として冷却水が流れる前記第2流路を有する第2流体用第1プレート部材(42g)と、
前記第1流体用第2プレート部材に対応して配置され、且つ前記第2流体として冷却水が流れる前記第2流路を有する第2流体用第2プレート部材(42i)と、
第1流体用第3プレート部材に対応して配置される第2流体用第3プレート部材(42h)と、が含まれ、
前記第1流体用第3プレート部材の前記第1流路、及び第2流体用第3プレート部材の前記第2流路は、互いに連通されることにより、前記第1流体用第1プレート部材を通過した熱媒体を一時的に貯留する貯液部(17)を構成し、
第1流体用第2プレート部材の前記第1流路には、前記貯液部に貯留されている熱媒体が流れ、
前記第1流体用第1プレート部材、及び前記第2流体用第1プレート部材により、それぞれに流れる熱媒体及び冷却水の間で熱交換を行う凝縮部(11)が構成され、
前記第1流体用第2プレート部材、及び前記第2流体用第2プレート部材により、それぞれを流れる熱媒体及び冷却水の間で熱交換を行うことで、前記貯液部に貯留されている熱媒体を過冷却する過冷却部(18)が構成されている
請求項1~5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
積層して配置される複数の第1流体用プレート部材には、
前記第1流体として熱媒体が前記第1流路を流れる第1流体用第1プレート部材(41j,41k)と、
前記第1流体用第1プレート部材とは別の第1流体用第2プレート部材(41m)と、
前記第1流体用第1プレート部材、及び第1流体用第2プレート部材とは別の第1流体用第3プレート部材(41n)と、が含まれ、
積層して配置される複数の第2流体用プレート部材には、
前記第1流体用第1プレート部材に対応して配置され、前記第2流体として第1冷却水が流れる第2流体用第1プレート部材(42j)と、
前記第1流体用第2プレート部材に対応して配置される第2流体用第2プレート部材(42m)と、
前記第1流体用第3プレート部材に対応して配置され、前記第2流体として、前記第1冷却水よりも温度が低い第2冷却水が流れる第2流体用第3プレート部材(42n)と、が含まれ、
前記第1流体用第2プレート部材には、前記第1流体用第1プレート部材を通過した熱媒体が流れ、
前記第1流体用第3プレート部材には、前記第1流体用第2プレート部材を通過した後に膨張部(13)を通じて減圧された熱媒体が流れ、
前記第2流体用第2プレート部材には、前記第1流体用第3プレート部材を通過した熱媒体が流れ、
前記第1流体用第1プレート部材、及び前記第2流体用第1プレート部材により、それぞれを流れる熱媒体及び前記第1冷却水の間で熱交換を行うことにより、前記熱媒体を凝縮させる凝縮部(11)が構成され、
前記第1流体用第2プレート部材、及び前記第2流体用第2プレート部材により、それぞれを流れる熱媒体の間で熱交換を行う内部熱交換部(12)が構成され、
前記第1流体用第3プレート部材、及び前記第2流体用第3プレート部材により、それぞれを流れる熱媒体及び前記第2冷却水の間で熱交換を行うことにより、前記熱媒体を蒸発させる蒸発部(15)が構成されている
請求項1~5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1流体用プレート部材、及び前記第2流体用プレート部材は、積層方向から見て線対称の形状を有するプレート部材(60)を向かい合わせで接合させた構造からなる
請求項1~8のいずれか一項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載の熱交換器がある。特許文献1に記載の熱交換器は、積層して配置される複数のプレート部材を備えている。各プレート部材には、熱媒体が流れる熱媒体流路、又は冷却水が流れる冷却水流路が形成されている。熱媒体流路を有する熱媒体用プレート部材、及び冷却水流路を有する冷却水用プレート部材は交互に配置されている。
【0003】
複数のプレート部材の積層構造の左端部には、各プレート部材の熱媒体流路の左端部に連通される第1熱媒体用タンク部が形成されている。第1熱媒体用タンク部は、その内部の途中に形成される隔壁により、第1熱媒体用上側タンク部と第1熱媒体用下側タンク部とに区画されている。複数のプレート部材の積層構造の右端部には、各プレート部材の熱媒体流路の右端部に連通される第2熱媒体用タンク部が形成されている。
【0004】
複数のプレート部材のうち、最も上方に配置される最上段プレート部材には、第1熱媒体用上側タンク部に熱媒体を流入させる熱媒体用流入口が設けられている。複数のプレート部材のうち、最も下方に配置される最下段プレート部材には、第1熱媒体用下側タンク部に集められる熱媒体を排出する熱媒体用排出口が設けられている。
【0005】
特許文献1に記載の熱交換器では、熱媒体用流入口から第1熱媒体用上側タンク部に流入した熱媒体が、複数の熱媒体用プレート部材のうちの中央よりも上方に配置される熱媒体用プレート部材、第2熱媒体用タンク部、複数の熱媒体用プレート部材のうちの中央よりも下方に配置される熱媒体用プレート部材、及び第1熱媒体用下側タンク部を流れ、熱媒体用排出口から排出される。このように、この熱交換器では、第2熱媒体用タンク部において熱媒体が逆方向にターンするように流れる。また、特許文献1に記載の熱交換器では、冷却水の流れる流路が、流れ方向が対向している点を除き、熱媒体の流れる流路と略同一の構造で形成されている。この熱交換器では、熱媒体流路を流れる熱媒体と、冷却水流路を流れる冷却水との間で熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載の熱交換器のように、第1熱媒体用タンク部の途中に隔壁を設けるようにすれば、熱媒体を逆方向にターンさせるように流すことが可能である。しかしながら、このような構造の場合、最上段プレート部材及び最下段プレート部材のいずれか一方に熱媒体用流入口が突出するように形成され、いずれか他方に熱媒体用排出口が形成されることになる。すなわち、最上段プレート部材及び最下段プレート部材のそれぞれに突出物が形成されることになる。これが、熱交換器の搭載性を悪化させる要因となっている。
【0008】
特許文献1に記載の熱交換器のように、第1熱媒体用タンク部の途中に隔壁を設けるといった単純な構造だけで熱媒体の流れ方を変化させようとすると、最上段プレート部材及び最下段プレート部材のいずれか一方に熱媒体用流入口及び熱媒体用排出口の両方を配置することができるような複雑な熱媒体の流れ方を実現することは困難である。結果的に、特許文献1に記載の熱交換器では、その搭載性の悪化が避けられないものとなっている。
【0009】
近年の熱交換器にあっては、その使用目的に応じた、より複雑な熱媒体の流れを実現可能であることが求められている。
本開示は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱媒体の流れ方の設計の自由度を向上させることの可能な熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する熱交換器では、第1流体が流れる第1流路(W30)が内部に形成される第1流体用プレート部材(41)と、第2流体が流れる第2流路(W31)が内部に形成される第2流体用プレート部材(42)とが交互に積層して配置され、第1流路を流れる第1流体と第2流路を流れる第2流体との間で熱交換が行われる。第1流体用プレート部材の一端部には、第1流路の一端部に連通される第1連通孔(H12,H13)と、第1連通孔とは独立して設けられる第2連通孔(H14,H15)と、第1連通孔及び第2連通孔とは独立して設けられ、第1連通孔及び第2連通孔の間に配置される第3連通孔(H16,H17)と、が形成されている。第2流体用プレート部材の一端部には、第2流路の一端部に連通される第4連通孔(H24,H25)と、第4連通孔とは独立して設けられる第5連通孔(H22,H23)と、第4連通孔及び第5連通孔とは独立して設けられ、第4連通孔及び第5連通孔の間に配置される第6連通孔(H26,H27)と、が形成されている。第1連通孔及び第5連通孔は、互いに連通されることにより、第1流体が流れる第1タンク部(T11,T12)を構成している。第2連通孔及び第4連通孔は、互いに連通されることにより、第2流体が流れる第2タンク部(T21,T22)を構成している。第3連通孔及び第6連通孔は、互いに連通されることにより、第3タンク部(T31,T32)を構成している。第1流体用プレート部材、及び第2流体用プレート部材が積層して配置される方向を積層方向とするとき、第3タンク部は、積層方向において第1タンク部及び第2タンク部と部分的に重なるように設けられるとともに、第1タンク部及び第2タンク部のいずれか一方のタンク部に連通されている。
【0011】
この構成によれば、第1タンク部を流れる第1流体、又は第2タンク部を流れる第2流体が第3タンク部を流れる。この第3タンク部を使用目的に応じて任意の流路として用いることにより、第1タンク部及び第2タンク部のみを有する従来の熱交換器と比較すると、第1流体又は第2流体のより複雑な流れを実現することが可能となる。よって、第1流体又は第2流体の流れ方の設計の自由度を向上させることができる。
【0012】
なお、上記手段、特許請求の範囲に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、熱媒体の流れ方の設計の自由度を向上させることの可能な熱交換器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、ヒートポンプサイクル及び冷却水循環回路の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の熱交換器の正面構造を示す正面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の第1プレート部材の分解斜視構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の第2プレート部材の分解斜視構造を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2のV-V線に沿った断面構造を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、
図2のVI-VI線に沿った断面構造を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の第2プレート部材の分解斜視構造を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第1プレート部材の分解斜視構造を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の第2プレート部材の分解斜視構造を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の第1プレート部材の分解斜視構造を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の第2プレート部材の分解斜視構造を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態の第1プレート部材の分解斜視構造を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態の熱交換器における熱媒体の流れを模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の熱交換器における冷却水の流れを模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態の熱交換器の正面構造を模式的に示す正面図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態の熱交換器における冷却水の流れを模式的に示す図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態の熱交換器の正面構造を模式的に示す図である。
【
図22】
図22は、
図19のXXII-XXII線に沿った断面構造を模式的に示す断面図である。
【
図23】
図23は、第3実施形態の熱交換器における冷却水の流れを模式的に示す図である。
【
図24】
図24は、第4実施形態の熱交換器の正面構造を模式的に示す図である。
【
図27】
図27は、第4実施形態の熱交換器における冷却水の流れを模式的に示す図である。
【
図28】
図28は、第5実施形態の第1プレート部材の第1プレート片の平面構造を示す平面図である。
【
図29】
図29は、第5実施形態の第1プレート部材の第2プレート片の平面構造を示す平面図である。
【
図30】
図30は、第5実施形態の第1プレート部材の平面構造を示す平面図である。
【
図31】
図31は、第5実施形態の第2プレート部材の平面構造を示す平面図である。
【
図32】
図32は、第6実施形態のプレート部材の平面構造を示す平面図である。
【
図33】
図33は、第7実施形態の第1プレート部材の平面構造を示す平面図である。
【
図34】
図34は、第8実施形態の熱交換器の断面構造を模式的に示す断面図である。
【
図35】
図35は、第8実施形態の熱交換器の断面構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、熱交換器の一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
はじめに、熱交換器の第1実施形態について説明する。本実施形態の熱交換器は、
図1に示されるヒートポンプサイクル1及び冷却水循環回路2との間で熱交換を行うための水冷コンデンサ11として用いられるものである。
図1に示されるヒートポンプサイクル1及び冷却水循環回路2は車両に搭載されている。まず、ヒートポンプサイクル1及び冷却水循環回路2の概要について説明する。
【0016】
ヒートポンプサイクル1は、圧縮機10と、水冷コンデンサ11と、内部熱交換部12と、膨張部13,14と、蒸発部15,16とを備えている。ヒートポンプサイクル1では、これらの要素が配管を介して環状に連結されており、各要素を熱媒体が循環している。本実施形態では、熱媒体が第1流体に相当する。
【0017】
圧縮機10は、ヒートポンプサイクル1を循環する熱媒体を圧縮して吐出する。圧縮機10において圧縮された高温高圧の熱媒体は水冷コンデンサ11へと流れる。
水冷コンデンサ11では、圧縮機10から吐出される高温高圧の熱媒体と、冷却水循環回路2を循環する冷却水とが熱交換を行うことにより、熱媒体の熱を冷却水が吸収して、熱媒体が凝縮される。水冷コンデンサ11において凝縮された熱媒体は、内部熱交換部12へと流れる。水冷コンデンサ11が凝縮部に相当する。
【0018】
内部熱交換部12では、水冷コンデンサ11から吐出される熱媒体と、蒸発部15,16から吐出される熱媒体とが熱交換を行う。蒸発部15,16から吐出される熱媒体の温度は、水冷コンデンサ11から吐出される熱媒体の温度よりも低い。したがって、内部熱交換部12では、水冷コンデンサ11から吐出される熱媒体が、蒸発部15,16から吐出される熱媒体と熱交換を行うことにより、過冷却される。内部熱交換部12には、膨張部13及び蒸発部15が設けられる第1流路W11と、膨張部14及び蒸発部16が設けられる第2流路W12とが並列に接続されている。したがって、内部熱交換部12において過冷却された熱媒体は、第1流路W11又は第2流路W12に流れる。
【0019】
第1流路W11では、内部熱交換部12において過冷却された熱媒体が膨張部13により減圧された後、蒸発部15に流入する。蒸発部15には、電池冷却回路3を循環する冷却水が流れている。
電池冷却回路3は、電池冷却器30と、ポンプ31とを備えている。電池冷却回路3では、電池冷却器30、ポンプ31、及び蒸発部15が配管を介して環状に接続されている。電池冷却器30では、その内部を流れる冷却水と、車両に搭載される電池との間で熱交換が行われることにより、電池の熱が冷却水に吸収されて、電池が冷却される。電池冷却器30は、電池の熱を吸収することにより温度が上昇した冷却水をポンプ31に吐出する。ポンプ31は、電池冷却回路3の電池冷却器30及び蒸発部15に冷却水を循環させる。
【0020】
蒸発部15では、膨張部13により減圧された熱媒体と、電池冷却器30において温度が上昇した冷却水との間で熱交換が行われることにより、冷却水の熱を熱媒体が吸収して、熱媒体が蒸発する。これにより、電池冷却回路3を循環する冷却水が冷却される。蒸発部15において蒸発した熱媒体は、内部熱交換部12を通過した後、圧縮機10に吸入される。
【0021】
第2流路W12では、内部熱交換部12において過冷却された熱媒体が膨張部14により減圧された後、蒸発部16に流入する。蒸発部16は、車両に搭載される空調装置の空調ダクト内に配置されている。空調ダクト内には、車室内に導入される空調空気が流れている。蒸発部16では、その内部を流れる熱媒体と、空調ダクト内を流れる空調空気との間で熱交換が行われることにより、空調空気の熱を熱媒体が吸収して、熱媒体が蒸発する。これにより、空調空気が冷却されるため、冷却された空調空気が空調ダクトを通じて車室内に流れることにより、車室内の冷房が可能となる。蒸発部16において蒸発した熱媒体は、内部熱交換部12を通過した後、圧縮機10に吸入される。
【0022】
冷却水循環回路2は、ヒータ20が設けられる第1流路W21と、ラジエータ21が設けられる第2流路W22とを備えている。第1流路W21及び第2流路W22は、水冷コンデンサ11に対して並列に接続されている。
第1流路W21には、ヒータ20の他、開閉弁22、及びポンプ23が設けられている。開閉弁22は、第1流路W21を開閉させる。ポンプ23は、水冷コンデンサ11とヒータ20との間で冷却水を循環させる。ヒータ20は、空調ダクト内に配置されている。ヒータ20では、その内部を流れる冷却水と、空調ダクト内を流れる空調空気との間で熱交換が行われることにより、冷却水の熱を空調空気が吸収して、空調空気が加熱される。この加熱された空調空気が空調ダクトを通じて車室内に導入されることにより、車室内の暖房が可能となる。
【0023】
第2流路W22には、ラジエータ21の他、開閉弁24、及びポンプ25が設けられている。開閉弁24は、第2流路W22を開閉させる。ポンプ25は、水冷コンデンサ11とラジエータ21との間で冷却水を循環させる。ラジエータ21は、車両のグリル開口部に配置されている。ラジエータ21では、その内部を流れる冷却水と、グリル開口部から導入される外気との間で熱交換が行われることにより、冷却水の熱を外気に放出して、冷却水が冷却される。
【0024】
ヒートポンプサイクル1及び冷却水循環回路2では、空調空気を加熱する場合、換言すれば車室内を暖房する場合、開閉弁22が開状態に設定され、且つ開閉弁24が閉状態に設定される。これにより、水冷コンデンサ11において熱媒体の熱を冷却水が吸収することにより冷却水の温度が上昇するとともに、温度の上昇した冷却水がヒータ20を流れることにより、空調空気が加熱される。
【0025】
また、ヒートポンプサイクル1及び冷却水循環回路2では、空調空気を冷却する場合、換言すれば車室内を冷房する場合、開閉弁22が閉状態に設定され、且つ開閉弁24が開状態に設定される。これにより、水冷コンデンサ11において熱媒体の熱を冷却水が吸収することにより冷却水の温度が上昇するとともに、温度の上昇した冷却水がラジエータ21に流れることにより、冷却水が外気により冷却される。また、水冷コンデンサ11において冷却された熱媒体がヒートポンプサイクル1を循環することにより、蒸発部16において空調空気の冷却が可能になるとともに、蒸発部15を通じて電池冷却器30による電池の冷却が可能となる。
【0026】
本実施形態では、
図1に示される水冷コンデンサ11として、
図2に示される熱交換器4が用いられている。次に、熱交換器4の具体的な構造について説明する。
図2に示されるように、熱交換器4は、第1プレート部材41と第2プレート部材42とが交互に積層された構造を有している。第1プレート部材41は、熱媒体の流れる流路を内部に有している。第2プレート部材42は、冷却水の流れる流路を内部に有している。本実施形態では、第1プレート部材41が第1流体用プレート部材に相当し、第2プレート部材42が第2流体用プレート部材に相当する。以下では、便宜上、プレート部材41,42が積層されている方向を「Z軸方向」と称する。また、Z軸方向のうちの一方向を「Z1方向」と称し、他方向を「Z2方向」と称する。
【0027】
図3に示されるように、第1プレート部材41は、互いに接合される2つのプレート片410a,410bにより構成されている。第1プレート部材41は、Z軸方向に直交する断面形状が略矩形状をなすとともに、Z軸方向の厚さが薄くなるように扁平状に形成されている。同様に、
図4に示されるように、第2プレート部材42も、互いに接合される2つのプレート片420a,420bにより構成されるとともに、扁平矩形状に形成されている。以下では、便宜上、Z軸方向に直行する2軸方向のうち、各プレート部材41,42の長手方向に相当する方向を「X軸方向」と称し、各プレート部材41,42の短手方向に相当する方向を「Y軸方向」と称する。また、X軸方向のうちの一方向を「X1方向」と称し、その他方向を「X2方向」と称する。
【0028】
図3に示されるように、第1プレート部材41を構成するプレート片410a,410bには、Z軸方向に直交する断面形状が略矩形状をなす凹部411a,411bがそれぞれ形成されている。凹部411aは、第1プレート片410aにおいてZ1方向に突出するように形成されている。凹部411bは、第2プレート片410bにおいてZ2方向に突出するように形成されている。第1プレート部材41では、プレート片410a,410bのそれぞれの凹部411a,411bによって囲まれる空間により、熱媒体の流れる内部流路W30が構成されている。本実施形態では、内部流路W30が第1流路に相当する。
【0029】
第1プレート片410aにおいて一方の対角に位置する2つの角部には、凹部412a,413aがそれぞれ形成されている。第1プレート片410aにおいて他方の対角に位置する2つの角部には、凹部414a,415aがそれぞれ形成されている。第1プレート片410aにおいて凹部412aと凹部414aとの間に位置する部分には、凹部416aが形成されている。第1プレート片410aにおいて凹部413aと凹部415aとの間に位置する部分には、凹部417aが形成されている。
【0030】
同様に、第2プレート片410bにも、凹部412b~417bが形成されている。
第1プレート部材41では、第1プレート片410aの凹部412aと第2プレート片410bの凹部412bとによって囲まれる空間により、連通部412が構成されている。同様に、第1プレート片410aの各凹部413a~417aと第2プレート片410bの各凹部413b~417bとによって囲まれる空間により、連通部413~417が構成されている。
【0031】
連通部414及び連通部415は、Z軸方向に直交する断面形状が円形状をなす空間となっている。これに対し、連通部412,413,416,417は、Z軸方向に直交する断面形状が長孔状をなす空間となっている。連通部412は、内部流路W30の対角の一方の角部に連通されている。連通部413は、内部流路W30の対角の他方の角部に連通されている。第1プレート部材41には、連通部412~417のそれぞれをZ軸方向に貫通する連通孔H12~H17が形成されている。
【0032】
本実施形態では、連通孔H12,H13が、内部流路W30の一端部に連通される第1連通孔に相当する。また、連通孔H14,H15が、第1連通孔とは独立して設けられる第2連通孔に相当する。さらに、連通孔H16,H17が、第1連通孔及び第2連通孔とは独立して設けられ、且つ第1連通孔及び第2連通孔の間に配置される第3連通孔に相当する。
【0033】
図4に示されるように、第2プレート部材42を構成するプレート片420a,420bも、第1プレート部材41のプレート片410a,410bと略同一の構造を有している。すなわち、第1プレート片420aには、凹部421a~427aが形成されている。また、第2プレート片420bには、凹部421b~427bが形成されている。第2プレート部材42では、第1プレート片420aの凹部421aと第2プレート片420bの凹部421bとによって囲まれる空間により、冷却水の流れる内部流路W31が形成されている。また、第1プレート片420aの各凹部422a~427aと第2プレート片420bの各凹部422b~427bとによって囲まれる空間により、連通部422~427が構成されている。
【0034】
連通部422及び連通部423は、Z軸方向に直交する断面形状が円形状をなす空間となっている。これに対し、連通部424~427は、Z軸方向に直交する断面形状が長孔状をなす空間となっている。連通部424は、内部流路W30の対角の一方の角部に連通されている。また、連通部425は、内部流路W30の対角の他方の角部に連通されている。第1プレート部材41には、連通部422~427のそれぞれをZ軸方向に貫通する連通孔H12~H27が形成されている。
【0035】
本実施形態では、連通孔H24,H25が、内部流路W31の一端部に連通される第4連通孔に相当する。また、連通孔H22,H23が、第4連通孔とは独立して設けられる第5連通孔に相当する。さらに、連通孔H26,H27が、第4連通孔及び第5連通孔とは独立して設けられ、第4連通孔及び第5連通孔の間に配置される第6連通孔に相当する。
【0036】
図5は、
図2のV-V線に沿った断面構造を模式的に示したものである。
図5に示されるように、熱交換器4では、各プレート部材41,42の連通部412,422が各プレート部材41,42の連通孔H12,H22を通じて互いに連通されることにより、端部タンク部T11が構成されている。端部タンク部T11は、その途中に設けられる隔壁43a~43cにより、第1タンク空間T11aと第2タンク空間T11bとに区画されている。また、各プレート部材41,42の連通部414,424が各プレート部材41,42の連通孔H14,H24を通じて互いに連通されることにより、端部タンク部T22が構成されている。さらに、各プレート部材41,42の連通部416,426が各プレート部材41,42の連通孔H16,H26を通じて互いに連通されることにより、中央タンク部T31が構成されている。Z軸方向から見たとき、第1プレート部材41の連通部416は、隣り合う第2プレート部材42の連通部424と重なるように配置されている。また、Z軸方向から見たとき、第2プレート部材42の連通部426は、隣り合う第1プレート部材41の連通部412と重なるように配置されている。
【0037】
図6は、
図2のVI-VI線に沿った断面構造を模式的に示したものである。
図6に示されるように、熱交換器4では、各プレート部材41,42の連通部413,423が各プレート部材41,42の連通孔H13,H23を通じて互いに連通されることにより、端部タンク部T12が構成されている。また、各プレート部材41,42の連通部415,425が各プレート部材41,42の連通孔H15,H25を通じて互いに連通されることにより、端部タンク部T21が構成されている。端部タンク部T21は、その途中に設けられる隔壁44a~44cにより、第1タンク空間T21aと第2タンク空間T21bとに区画されている。さらに、各プレート部材41,42の連通部417,427が各プレート部材41,42の連通孔H17,H27を通じて互いに連通されることにより、中央タンク部T32が構成されている。Z軸方向からみたとき、第1プレート部材41の連通部417は、隣り合う第2プレート部材42の連通部425と重なるように配置されている。また、Z軸方向から見たとき、第2プレート部材42の連通部427は、隣り合う第1プレート部材41の連通部413と重なるように配置されている。
【0038】
本実施形態では、端部タンク部T11,T12が第1タンク部に相当する。また、端部タンク部T21,T22が第2タンク部に相当する。さらに、中央タンク部T31,T32が第3タンク部に相当する。
図5及び
図6では、複数の第1プレート部材41及び第2プレート部材42のうち、Z2方向側の端部に配置される第1プレート部材41が符号41a~41cで示され、Z2方向側の端部に配置される第2プレート部材42が符号42a~42cで示されている。以下では、便宜上、第1プレート部材41a~41cを除く第1プレート部材41を符号41dで表し、第2プレート部材42a~42cを除く第2プレート部材42を符号42dで表す。
【0039】
図5に示されるように、第1プレート部材41b,41cのそれぞれの連通部412は、連通孔H32a,H32bを通じて、第2プレート部材42b,42cのそれぞれの連通部426に連通されている。また、
図6に示されるように、第1プレート部材41a~41cのそれぞれの連通部417は、連通孔H31a,H31bを通じて、第2プレート部材42b,42cのそれぞれの連通部425に連通されている。
【0040】
具体的には、第1プレート部材41a~41c及び第2プレート部材42a~42cは、
図7~
図12に示されるような構造を有している。
図7に示されるように、第2プレート部材42aは、第2プレート片420bの凹部425bにおいて連通孔H25が閉塞されている点で、
図4に示される第2プレート部材42と異なる。凹部425bの底壁部は隔壁44aを構成している。
【0041】
図8に示されるように、第1プレート部材41aは、プレート片410a,410bのそれぞれの凹部415a,415bにおいて連通孔H15が閉塞されている点、及び第2プレート片410bの凹部412bにおいて連通孔H12が閉塞されている点で、
図3に示される第1プレート部材41と異なる。凹部415a,415bのそれぞれの底壁部は隔壁44b,44cを構成している。また、凹部412bの底壁部は隔壁43aを構成している。さらに、第2プレート片410bの凹部417bには、連通孔H31aが形成されている。
【0042】
図9に示されるように、第2プレート部材42bは、プレート片420a,420bのそれぞれの凹部422a,422bにおいて連通孔H22が閉塞されている点、及び第1プレート片420aにおいて連通孔H25が閉塞されている点で、
図4に示される第2プレート部材42と異なる。凹部422a,422bの底壁部は隔壁43b,43cを構成している。また、連通部425には、連通孔H31bが設けられている。連通孔H31bは、
図8に示される第1プレート部材41aの連通孔H31aに連通されている。これらの連通孔H31a,H31bにより、第2プレート部材42bの連通部425と、第1プレート部材41aの連通部417とが互いに連通されている。また、第2プレート片420bの凹部426bには、連通孔H32bが形成されている。
【0043】
図10に示されるように、第1プレート部材41bは、第1プレート片410aの凹部412aにおいて連通孔H12が閉塞されている点、及び第2プレート片410bの凹部417bにおいて連通孔H17が閉塞されている点で、
図3に示される第1プレート部材41と異なる。また、連通部412には、連通孔H32aが形成されている。連通孔H32aは、
図9に示される第2プレート部材42bの連通孔H32bに連通されている。これらの連通孔H32a,H32bにより、第1プレート部材41bの連通部412と、第2プレート部材42bの連通部426とが互いに連通されている。また、連通部417には、連通孔H31aが形成されている。連通孔H31aは、
図9に示される第2プレート部材42bの連通部425の連通孔H31bに連通されている。これらの連通孔H31a,H31bにより、第1プレート部材41bの連通部417と第2プレート部材42bの連通部425とが互いに連通されている。
【0044】
図11に示されるように、第2プレート部材42cは、第2プレート片420bの凹部424bの連通孔H24が閉塞されている点、第2プレート片420bの凹部426bの連通孔H26が閉塞されている点、及び第2プレート片420bの凹部425bの連通孔H25が閉塞されている点で、
図4に示される第2プレート部材42と異なる。また、第2プレート部材42cでは、連通部427の連通孔H27が閉塞されている。連通部426には、連通孔H32bが形成されている。連通孔H32bは、
図10に示される第1プレート部材41bの連通部412の連通孔H32aに連通されている。これらの連通孔H32a,H32bにより、第2プレート部材42cの連通部426と第1プレート部材41bの連通部412とが互いに連通されている。また、
図11に示されるように、第2プレート部材42cでは、第1プレート片420aの凹部425aに連通孔H31bが形成されている。連通孔H31bは、
図10に示される第1プレート部材41bの連通部417の連通孔H31aに連通されている。これらの連通孔H31a,H31bにより、第2プレート部材42cの連通部425と第1プレート部材41bの連通部417とが互いに連通されている。
【0045】
図12に示されるように、第1プレート部材41cは、連通部414~417のそれぞれの連通孔H14~H17が閉塞されている点で、
図3に示される第1プレート部材41と異なる。また、第1プレート部材41cでは、第2プレート片410bの凹部412bの連通孔H12、及び第2プレート片410bの凹部413bの連通孔H13が閉塞されている。さらに、第1プレート片410aの凹部412aには、連通孔H32aが形成されている。連通孔H32aは、
図11に示される第2プレート部材42cの連通部426の連通孔H32bに連通されている。これらの連通孔H32a,H32bにより、第1プレート部材41cの連通部412と第2プレート部材42cの連通部426とが互いに連通されている。
【0046】
図7~
図12に示されるような第1プレート部材41a~41c及び第2プレート部材42a~42cを用いることで、
図5及び
図6に示されるような熱交換器4の構造が実現される。すなわち、第1プレート部材41a及び第2プレート部材42bに形成される隔壁43a~43cにより、端部タンク部T11の内部空間が第1タンク空間T11aと第2タンク空間T11bとに区画されている。また、第1プレート部材41b,41c及び第2プレート部材42b,42cに形成される連通孔H32a,H32bを通じて、端部タンク部T11の第2タンク空間T11bと中央タンク部T31とが連通されている。さらに、第1プレート部材41a及び第2プレート部材42aに形成される隔壁44a~44cにより、端部タンク部T21の内部空間が第1タンク空間T21aと第2タンク空間T21bとに区画されている。また、第1プレート部材41b,41c、及び第2プレート部材42b,42cに形成される連通孔H31a,H31bを通じて、端部タンク部T21の第2タンク空間T21bと中央タンク部T32とが連通されている。本実施形態では、連通孔H31a,H31b,H32a,H32bが第7連通孔に相当する。
【0047】
なお、
図5及び
図6に示されるように、Z1方向の最も端部に配置される第1プレート部材41dでは、連通孔H13,H14が閉塞されている。これにより、端部タンク部T12のZ1方向の端部、及び端部タンク部T22のZ軸方向の端部が閉塞されている。
また、
図5に示されるように、プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において端部タンク部T11に対応する位置には、熱媒体用流入口45aが設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において中央タンク部T31に対応する位置には、熱媒体用排出口45bが設けられている。
図6に示されるように、プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において端部タンク部T21に対応する位置には、冷却水用流入口46aが設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において中央タンク部T32に対応する位置には、冷却水用排出口46bが設けられている。
【0048】
次に、本実施形態の熱交換器4の動作例について説明する。
図13に矢印で示されるように、熱交換器4では、熱媒体用流入口45aから端部タンク部T11の第1タンク空間T11aに熱媒体が流入する。端部タンク部T11の第1タンク空間T11aに流入した熱媒体は、
図5に示される第1プレート部材41a,41dの連通部412から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41a,41dでは、連通部412から連通部413に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41a,41dにおいて連通部413まで流れた熱媒体は、
図6に示される端部タンク部T12に集められた後、
図6に矢印で示されるように、端部タンク部T12の内部をZ2方向に向かって流れる。
【0049】
端部タンク部T12の内部をZ2方向に向かって流れた熱媒体は、第1プレート部材41b,41cの連通部413から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41b,41cでは、連通部413から連通部412に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41b,41cにおいて連通部412まで流れた熱媒体は、
図5に示される端部タンク部T11の第2タンク空間T11bに集められる。端部タンク部T11の第2タンク空間T11bに集められた熱媒体は、
図5に矢印で示されるように、連通孔H32a,H32bを通じて、中央タンク部T31のZ2方向の端部に流入する。
図13に矢印で示されるように、中央タンク部T31に流入した熱媒体は、そのZ1方向の端部から熱媒体用排出口45bを通じて排出される。
【0050】
一方、
図14に矢印で示されるように、熱交換器4では、冷却水用流入口46aから端部タンク部T21の第1タンク空間T21aに冷却水が流入する。端部タンク部T21の第1タンク空間T21aに流入した冷却水は、
図6に示される第2プレート部材42a,42dの連通部425から、その内部流路W31に分配される。第2プレート部材42a,42dでは、連通部425から連通部424に向かって冷却水が流れる。第2プレート部材42a,42dにおいて連通部424まで流れた冷却水は、
図5に示される端部タンク部T22に集められた後、
図5に矢印で示されるように、端部タンク部T22の内部をZ2方向に向かって流れる。
【0051】
端部タンク部T22の内部をZ2方向に向かって流れた冷却水は、第2プレート部材42b,42cの連通部424から、その内部流路W31に分配される。第2プレート部材42b,42cでは、連通部424から連通部425に向かって冷却水が流れる。第2プレート部材42b,42cにおいて連通部425まで流れた冷却水は、
図6に示される端部タンク部T21の第2タンク空間T21bに集められる。端部タンク部T21の第2タンク空間T21bに集められた冷却水は、
図6に矢印で示されるように、連通孔H31a,H31bを通じて、中央タンク部T32のZ2方向の端部に流入する。中央タンク部T32に流入した冷却水は、
図14に矢印で示されるように、そのZ1方向の端部から冷却水用排出口46bを通じて排出される。
【0052】
このような構造を有する熱交換器4では、
図13に矢印で示されるように熱媒体が流れるとともに、
図14に矢印で示されるように冷却水が流れる。熱交換器4では、第1プレート部材41の内部流路W30を流れる熱媒体と、第2プレート部材42の内部流路W31を流れる冷却水との間で熱交換が行われることにより、熱媒体が凝縮される。
なお、本実施形態の熱交換器4では、冷媒及び冷却水のそれぞれの流れ方を適宜変更することも可能である。例えば冷却水の流れ方として、冷却水用排出口46bから冷却水が流入し、且つ冷却水用流入口46aから冷却水が排出されるような流れ方を採用してもよい。
【0053】
以上説明した本実施形態の熱交換器4によれば、以下の(1)~(3)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)
図5に示されるように、中央タンク部T31は、Z軸方向において端部タンク部T11及び端部タンク部T22と部分的に重なるように配置されるとともに、端部タンク部T11に連通されている。また、
図6に示されるように、中央タンク部T32は、Z軸方向において端部タンク部T12及び端部タンク部T21と部分的に重なるように配置されるとともに、端部タンク部T21に連通されている。また、端部タンク部T11を流れる熱媒体が中央タンク部T31を流れるとともに、端部タンク部T21を流れる冷却水が中央タンク部T32を流れる。これにより、熱交換器4において各流入口45a,46aが設けられる端部から熱媒体及び冷却水が排出されるような熱媒体及び冷却水の流れを実現することができる。すなわち、従来の熱交換器と比較すると、熱媒体及び冷却水のより複雑な流れを実現することができるため、熱媒体及び冷却水の流れ方の設計の自由度を向上させることができる。結果的に、熱交換器4のZ1方向の一側面に、熱媒体用流入口45a、熱媒体用排出口45b、冷却水用流入口46a、及び冷却水用排出口46bの全てを配置することができるため、熱交換器4の搭載性を向上させることができる。
【0054】
(2)
図5に示されるように、中央タンク部T31は、第1プレート部材41b,41c及び第2プレート部材42b,42cに形成される連通孔H32a,H32bにより、端部タンク部T11に連通されている。また、
図6に示されるように、中央タンク部T32は、第1プレート部材41b,41c、及び第2プレート部材42b,42cに形成される連通孔H31a,H31bにより、端部タンク部T21に連通されている。このような構成によれば、中央タンク部T31を端部タンク部T11に容易に連通させることができるとともに、中央タンク部T32を端部タンク部T21に容易に連通させることができる。
【0055】
(3)端部タンク部T11には、その内部空間を第1タンク空間T11aと第2タンク空間T11bとに仕切る隔壁43a~43cが設けられている。また、端部タンク部T21には、その内部空間を第1タンク空間T21aと第2タンク空間T21bとに仕切る隔壁44a~44cが設けられている。このような構成によれば、
図5及び
図6に示されるように、熱媒体及び冷却水を熱交換器4のZ2方向の端部で折り返して流すような流れを実現することが可能となる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、熱交換器4の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態の熱交換器4との相違点を中心に説明する。
図15に示される本実施形態の熱交換器4は、
図1に示される内部熱交換部12、膨張部13、及び蒸発部15を一体的に備える構造を有している。
【0057】
図16は、
図15のXVI-XVI線に沿った断面構造を模式的に示したものである。
図16に示されるように、本実施形態の熱交換器4では、端部タンク部T22の途中に配置される第1プレート部材41の連通部414及び第2プレート部材42の連通部424に隔壁45が設けられている。この隔壁45により、端部タンク部T22の内部空間は、第1タンク空間T22aと第2タンク空間T22bとに区画されている。
【0058】
図17は、
図15のXVII-XVII線に沿った断面構造を模式的に示したものである。
図17に示されるように、本実施形態の熱交換器4では、端部タンク部T12の途中に配置される第1プレート部材41の連通部413及び第2プレート部材42の連通部423に隔壁46が設けられている。この隔壁46により、端部タンク部T12の内部空間は、第1タンク空間T12aと第2タンク空間T12bとに区画されている。
【0059】
以下では、便宜上、複数の第1プレート部材41のうち、隔壁43~46よりもZ1方向に位置する第1プレート部材41を符号41eで表し、隔壁43~46よりもZ2方向に位置する第1プレート部材41を符号41fで表す。同様に、複数の第2プレート部材42のうち、隔壁43~46よりもZ1方向に位置する第2プレート部材42を符号42eで表し、隔壁43~46よりもZ2方向に位置する第2プレート部材42を符号42fで表す。
【0060】
なお、本実施形態では、第1プレート部材41eが第1流体用第1プレート部材に相当し、第1プレート部材41fが第1流体用第2プレート部材に相当する。また、第2プレート部材42eが第2流体用第1プレート部材に相当し、第2プレート部材42fが第2流体用第2プレート部材に相当する。
【0061】
図16に示されるように、第1プレート部材41eの連通部416及び第2プレート部材42eの連通部424は連通孔H33を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T22の第1タンク空間T22aは、連通孔H33を通じて中央タンク部T31に連通されている。
【0062】
プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において端部タンク部T11に対応する位置には、熱媒体用流入口45aが設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ2方向の一側面において端部タンク部T22に対応する位置には、冷却水用排出口46bが設けられている。
【0063】
図17に示されるように、本実施形態の第1プレート部材41及び第2プレート部材42は、それらの連通部415,425に連通孔H31a,H31bが形成されていない点で、第1実施形態の各プレート部材41,42と異なる。但し、本実施形態の第1プレート部材41fの連通部413及び第2プレート部材42fの連通部427は連通孔H34を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T12の第2タンク空間T12bは、連通孔H34を通じて中央タンク部T32に連通されている。
【0064】
プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において端部タンク部T12及び中央タンク部T32に対応する位置には、膨張部13が設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ2方向の一側面において端部タンク部T21に対応する位置には、冷却水用流入口46aが設けられている。
【0065】
次に、本実施形態の熱交換器4の作用及び効果について説明する。
図15に示されるように、熱交換器4では、水冷コンデンサ11から吐出される熱媒体が、熱媒体用流入口45aを通じて、端部タンク部T11の第1タンク空間T11aに流入する。端部タンク部T11の第1タンク空間T11aに流入した熱媒体は、
図16に示される第1プレート部材41eの連通部412から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41eでは、連通部412から連通部413に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41eにおいて連通部413まで流れた熱媒体は、
図17に示されるように、端部タンク部T12の第1タンク空間T12aに集められた後、その内部をZ1方向に向かって流れる。
【0066】
端部タンク部T12の第1タンク空間T12aの内部をZ1方向に向かって流れた熱媒体は、膨張部13に流入することにより、減圧される。膨張部13を通じて減圧された熱媒体は、中央タンク部T32に流入するとともに、中央タンク部T32をZ2方向に向かって流れる。中央タンク部T32を流れる熱媒体は、連通孔H34を通じて、端部タンク部T12の第2タンク空間T12bに流入する。端部タンク部T12の第2タンク空間T12bに流入した熱媒体は、第1プレート部材41fの連通部413から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41fでは、連通部413から連通部412に向かって熱媒体が流れる。
【0067】
第1プレート部材41fにおいて連通部412まで流れた熱媒体は、
図16に示されるように、端部タンク部T11の第2タンク空間T11bに集められた後、連通孔H32を通じて中央タンク部T31をZ1方向に向かって流れる。中央タンク部T32を流れる熱媒体は、連通孔H33を通じて、端部タンク部T22の第1タンク空間T22aに流入する。端部タンク部T22の第1タンク空間T22aに流入した熱媒体は、第2プレート部材42eの連通部424から、その内部流路W31に分配される。第2プレート部材42eでは、連通部424から連通部425に向かって熱媒体が流れる。
【0068】
第2プレート部材42eにおいて連通部425まで流れた熱媒体は、
図17に示されるように、端部タンク部T21の第1タンク空間T21aに集められた後、熱媒体用排出口45bから排出される。
一方、
図18に示されるように、熱交換器4では、電池冷却回路3を流れる冷却水が、冷却水用流入口46aを通じて、端部タンク部T21の第2タンク空間T21bに流入する。端部タンク部T21の第2タンク空間T21bに流入した冷却水は、
図17に示されるように、第2プレート部材42fの連通部425から、その内部流路W31に分配される。第2プレート部材42fでは、連通部425から連通部424に向かって冷却水が流れる。第2プレート部材42fにおいて連通部424まで流れた冷却水は、
図16に示されるように、端部タンク部T22の第2タンク空間T22bに集められた後、冷却水用排出口46bから排出される。
【0069】
このように、本実施形態の熱交換器4では、端部タンク部T21が隔壁44により第1タンク空間T21a及び第2タンク空間T21bに仕切られるとともに、それらの第1タンク空間T21a及び第2タンク空間T21bに異なる流体が流れている。
このような構造を有する熱交換器4では、
図15に矢印で示されるように熱媒体が流れるとともに、
図18に矢印で示されるように冷却水が流れることになる。熱交換器4では、第1プレート部材41eを流れる熱媒体と、第2プレート部材42eを流れる熱媒体との間で熱交換が行われる。そのため、第1プレート部材41e及び第2プレート部材42eが内部熱交換部12を構成している。
【0070】
また、熱交換器4では、第1プレート部材41fを流れる熱媒体と、第2プレート部材42fを流れる冷却水との間で熱交換が行われる。そのため、第1プレート部材41f及び第2プレート部材42fが蒸発部15を構成している。
以上説明した本実施形態の熱交換器4によれば、以下の(4)に示される作用及び効果を得ることができる。
【0071】
(4)熱交換器4が内部熱交換部12、膨張部13、及び蒸発部15を一体的に備えているため、それらが別々に設けられている場合と比較すると、ヒートポンプサイクル1の構造を簡素化することが可能となる。
<第3実施形態>
次に、熱交換器4の第3実施形態について説明する。以下、第1実施形態の熱交換器4との相違点を中心に説明する。なお、本実施形態の熱交換器4では、X1方向が鉛直方向上方に相当し、X2方向が鉛直方向下方に相当する。
【0072】
図19に示される本実施形態の熱交換器4は、
図1に示される水冷コンデンサ11として用いられるものである。本実施形態の熱交換器4は、貯液部17及び過冷却部18を有している点で第1実施形態の熱交換器4と異なる。
図20は、
図19のXX-XX線に沿った断面構造を模式的に示したものである。
図20に示されるように、本実施形態の熱交換器4では、端部タンク部T22の途中に配置される第1プレート部材41の連通部414及び第2プレート部材42の連通部424に隔壁45,47が設けられている。これらの隔壁45,47により、端部タンク部T22の内部空間は、第1タンク空間T22aと、第2タンク空間T22bと、第3タンク空間T22cとに区画されている。
【0073】
以下では、便宜上、複数の第1プレート部材41のうち、隔壁45よりもZ1方向に配置されている第1プレート部材41を符号「41g」で表す。また、隔壁47よりもZ2方向に配置されている第1プレート部材41を符号「41i」で表す。さらに、隔壁45と隔壁47との間に配置されている第1プレート部材41を符号「41h」で表す。同様に、複数の第2プレート部材42についても、符号「42g~42i」で表す。
【0074】
第1プレート部材41gの連通部416及び第2プレート部材42gの連通部424は、連通孔H33を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T22の第1タンク空間T22aは中央タンク部T31に連通されている。また、第1プレート部材41iの連通部416及び第2プレート部材42iの連通部424は、連通孔H35を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T22の第3タンク空間T22cも中央タンク部T31に連通されている。
【0075】
プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において端部タンク部T11に対向する位置には、熱媒体用流入口45aが設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ2方向の一側面において中央タンク部T31に対応する位置には、冷却水用流入口46aが設けられている。
【0076】
図21は、
図19のXXI-XXI線に沿った断面構造を示したものである。
図21に示されるように、端部タンク部T12の途中に配置される第1プレート部材41の連通部413及び第2プレート部材42の連通部423には、隔壁46,48が設けられている。これらの隔壁46,48により、端部タンク部T12の内部空間は、第1タンク空間T12aと、第2タンク空間T12bと、第3タンク空間T12cとに区画されている。
【0077】
第1プレート部材41gの連通部417及び第2プレート部材42gの連通部425は、連通孔H36を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T21の第1タンク空間T21aは中央タンク部T32に連通されている。また、第1プレート部材41iの連通部417及び第2プレート部材42の連通部425は、連通孔H37を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T21の第3タンク空間T21cも、中央タンク部T32に連通されている。
【0078】
プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において中央タンク部T32に対向する位置には、冷却水用排出口46bが設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ2方向の一側面において端部タンク部T12に対応する位置には、熱媒体用排出口45bが設けられている。
【0079】
図22は、
図19のXXII-XXII線に沿った断面構造を示したものである。
図22に示されるように、第1プレート部材41h及び第2プレート部材42hのそれぞれのX軸方向の中央部には、連通孔H38が形成されている。連通孔H38により、第1プレート部材41hの内部流路W30及び第2プレート部材42hの内部流路W31が互いに連通されている。本実施形態では、連通孔H38を通じて互いに連通された第1プレート部材41hの内部流路W30及び第2プレート部材42hの内部流路W31により、貯液部17が構成されている。貯液部17は、熱媒体を一時的に貯留するとともに、液相の熱媒体と気相の熱媒体とを分離する部分として用いられる。
【0080】
なお、本実施形態では、第1プレート部材41gが第1流体用第1プレート部材に相当し、第1プレート部材41iが第1流体用第2プレート部材に相当し、第1プレート部材41hが第1流体用第3プレート部材に相当する。また、第2プレート部材42gが第2流体用第1プレート部材に相当し、第2プレート部材42iが第2流体用第2プレート部材に相当し、第2プレート部材42hが第2流体用第3プレート部材に相当する。
【0081】
次に、本実施形態の熱交換器4の動作例について説明する。なお、以下では、複数の第1プレート部材41gのうち、隔壁43よりもZ1方向に配置される第1プレート部材41gを「第1プレート部材41gの上半分」と称し、隔壁43よりもZ2方向に配置される第1プレート部材41gを「第1プレート部材41gの下半分」と称する。
【0082】
図19に示されるように、熱交換器4では、熱媒体用流入口45aを通じて端部タンク部T11の第1タンク空間T11aに熱媒体が流入する。端部タンク部T11の第1タンク空間T11aに流入した熱媒体は、
図20に示されるように、第1プレート部材41gの上半分の連通部412から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41gの上半分では、連通部412から連通部413に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41gの上半分において連通部413まで流れた熱媒体は、
図21に示されるように、端部タンク部T12の第1タンク空間T12aに集められた後、その内部をZ2方向に向かって流れる。
【0083】
端部タンク部T12の第1タンク空間T12aをZ2方向に向かって流れた熱媒体は、第1プレート部材41gの下半分の連通部413から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41gの下半分では、連通部413から連通部412に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41gの下半分において連通部412まで流れた熱媒体は、
図20に示されるように、端部タンク部T11の第2タンク空間T11bに集められた後、その内部をZ2方向に向かって流れる。
【0084】
熱媒体は、端部タンク部T11の第2タンク空間T11bをZ2方向に向かって流れる際に、貯液部17において一時的に貯留された後、端部タンク部T11の第2タンク空間T11bのZ2方向の端部まで流れる。端部タンク部T11の第2タンク空間T11bのZ2方向の端部まで流れた熱媒体は、第1プレート部材41iの連通部412から、その内部空間W30に分配される。第1プレート部材41iでは、連通部412から連通部413に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41iにおいて連通部413まで流れた熱媒体は、
図21に示されるように、端部タンク部T12の第3タンク空間T12cに集められた後、熱媒体用排出口45bから外部に排出される。
【0085】
一方、
図23に示されるように、熱交換器4では、冷却水用流入口46aを通じて、端部タンク部T22の中央タンク部T31に冷却水が流入する。中央タンク部T31に流入した冷却水は、
図20に示されるように、連通孔H33,H35を通じて、端部タンク部T22の第1タンク空間T22a及び第3タンク空間T22cに流入する。端部タンク部T22の第1タンク空間T22a及び第3タンク空間T22cに流入した冷却水は、
図20に示されるように、第2プレート部材42g,42iの連通部424から、その内部流路W31に分配される。第2プレート部材42g,42iでは、連通部424から連通部425に向かって冷却水が流れる。第2プレート部材42g,42iにおいて連通部425まで流れた冷却水は、
図21に示されるように、端部タンク部T21の第1タンク空間T21a及び第3タンク空間T21cに集められた後、連通孔H36,H37を通じて中央タンク部T32に流入する。中央タンク部T32に流入した冷却水は、Z1方向に向かって流れることにより、冷却水用排出口46bから排出される。
【0086】
このような構造を有する熱交換器4では、
図19に矢印で示されるように熱媒体が流れるとともに、
図23に矢印で示されるように冷却水が流れることになる。熱交換器4では、第1プレート部材41gを流れる熱媒体と、第2プレート部材42gを流れる冷却水との間で熱交換が行われる。そのため、第1プレート部材41g及び第2プレート部材42gが水冷コンデンサ11を構成している。
【0087】
第1プレート部材41gを通過した熱媒体は、液相の熱媒体と気相の熱媒体とが混合した状態になっている。熱交換器4では、第1プレート部材41gを通過した液相の熱媒体及び気相の熱媒体が、第1プレート部材41h及び第2プレート部材42hに形成される貯液部17に流入することにより、一時的に貯留される。これにより、貯液部17において、液相の熱媒体と気相の熱媒体とが分離される。
【0088】
貯液部17に貯められている液相の熱媒体は第1プレート部材41iに流入する。熱交換器4では、第1プレート部材41iを流れる熱媒体と、第2プレート部材42iを流れる冷却水との間で熱交換が行われることにより、液相の熱媒体が更に冷却される。したがって、第1プレート部材41i及び第2プレート部材42iは過冷却部18を構成している。
【0089】
以上説明した本実施形態の熱交換器4によれば、以下の(5)に示される作用及び効果を得ることができる。
(5)熱交換器4が水冷コンデンサ11、貯液部17、及び過冷却部18を一体的に備えているため、それらが別々に設けられている場合と比較すると、ヒートポンプサイクル1の構造を簡素化することが可能となる。
【0090】
<第4実施形態>
次に、熱交換器4の第4実施形態について説明する。以下、第1実施形態の熱交換器4との相違点を中心に説明する。
図24に示される本実施形態の熱交換器4は、
図1に示される水冷コンデンサ11、内部熱交換部12、膨張部13、及び蒸発部15を一体的に備える構造を有している。
【0091】
図25は、
図24のXXV-XXV線に沿った断面構造を模式的に示したものである。
図25に示されるように、本実施形態の熱交換器4では、端部タンク部T11の途中に配置される第1プレート部材41の連通部412及び第2プレート部材42の連通部422に隔壁43,50が設けられている。これらの隔壁43,50により、端部タンク部T11の内部空間は、第1タンク空間T11aと、第2タンク空間T11bと、第3タンク空間T11cとに区画されている。
【0092】
端部タンク部T22の途中に配置される第1プレート部材41の連通部414及び第2プレート部材42の連通部424には、隔壁45,47が設けられている。これらの隔壁45,47により、端部タンク部T22の内部空間は、第1タンク空間T22aと、第2タンク空間T22bと、第3タンク空間T22cとに区画されている。
【0093】
中央タンク部T31の途中に配置される第1プレート部材41の連通部416及び第2プレート部材42の連通部426には、隔壁51が設けられている。この隔壁51により、中央タンク部T31は、第1タンク空間T31aと、第2タンク空間T31bとに区画されている。
【0094】
以下では、便宜上、複数の第1プレート部材41のうち、隔壁43よりもZ1方向に配置されている第1プレート部材41を符号「41j」で表す。また、隔壁43と隔壁45との間に配置されている第1プレート部材41を符号「41k」で表す。さらに、隔壁45と隔壁47,50との間に配置されている第1プレート部材41を符号「41m」で表す。また、隔壁47,50よりもZ2方向に配置されている第1プレート部材41を符号「41n」で表す。
【0095】
また、複数の第2プレート部材42のうち、隔壁45,50よりもZ1方向に配置されている第2プレート部材42を符号「42j」で表す。さらに、隔壁45と隔壁47,50との間に配置されている第2プレート部材42を符号「42m」で表す。また、隔壁47,50よりもZ2方向に配置されている第2プレート部材42を符号「42n」で表す。
【0096】
第1プレート部材41nの連通部412及び第2プレート部材42nの連通部426は、連通孔H40を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T11の第3タンク空間T11cは中央タンク部T31の第2タンク空間T31bに連通されている。
第1プレート部材41j,41kの連通部416及び第2プレート部材42jの連通部424は、連通孔H41を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T22の第1タンク空間T22aは中央タンク部T31の第1タンク空間T31aに連通されている。
【0097】
第1プレート部材41mの連通部416及び第2プレート部材42mの連通部424は、連通孔H42を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T22の第2タンク空間T22bは中央タンク部T31の第2タンク空間T31bに連通されている。
プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において端部タンク部T11に対応する位置には、熱媒体用流入口45aが設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において端部タンク部T22に対応する位置には、第1冷却水用流入口46aが設けられている。第1冷却水用流入口46aは、
図1に示される冷却水循環回路2を循環する冷却水が流入する。
【0098】
プレート部材41,42の積層体のZ2方向の一側面において端部タンク部T22に対応する位置には、第2冷却水用流入口47aが設けられている。第2冷却水用流入口47aには、
図1に示される電池冷却回路3を循環する冷却水が流入する。第2冷却水用流入口47aに流入する冷却水の温度は、第1冷却水用流入口46aに流入する冷却水の温度よりも低い。そのため、以下では、第2冷却水用流入口47aに流入する冷却水を低温冷却水と称し、第1冷却水用流入口46aに流入する冷却水を高温冷却水と称する。本実施形態では、高温冷却水が第1冷却水に相当し、低温冷却水が第2冷却水に相当する。
【0099】
図26は、
図24のXXVI-XXVI線に沿った断面構造を模式的に示したものである。
図26に示されるように、端部タンク部T12の途中に配置される第1プレート部材41の連通部413及び第2プレート部材42の連通部423には隔壁46,48が設けられている。これらの隔壁46,48により、端部タンク部T12の内部空間は、第1タンク空間T12aと、第2タンク空間T12bと、第3タンク空間T12cとに区画されている。
【0100】
端部タンク部T21の途中に配置される第1プレート部材41の連通部415及び第2プレート部材42の連通部425には隔壁44,49が設けられている。これらの隔壁44,49により、端部タンク部T21の内部空間は、第1タンク空間T21aと、第2タンク空間T21bと、第3タンク空間T21cとに区画されている。
【0101】
中央タンク部T32の途中に配置される第1プレート部材41の連通部417及び第2プレート部材42の連通部427には隔壁52が設けられている。この隔壁52により、中央タンク部T32の内部空間は、第1タンク空間T32aと、第2タンク空間T32bとに区画されている。
【0102】
以下では、複数の第1プレート部材41mのうち、隔壁52よりもZ1方向に配置されているものを「第1プレート部材41mの上半分」と称し、隔壁52よりもZ2方向に配置されているものを「第1プレート部材41mの下半分」と称する。また、複数の第2プレート部材42mのうち、隔壁52よりもZ1方向に配置されるものを「第2プレート部材42mの上半分」と称し、隔壁52よりもZ2方向に配置されるものを「第2プレート部材42mの下半分」と称する。
【0103】
第1プレート部材41mの下半分の連通部413及び第2プレート部材42mの下半分の連通部427は、連通孔H43を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T12の第2タンク空間T12bは中央タンク部T32の第2タンク空間T32bに連通されている。
【0104】
第1プレート部材41mの上半分の連通部417及び第2プレート部材42mの上半分の連通部425は、連通孔H44を通じて互いに連通されている。これにより、端部タンク部T21の第2タンク空間T21bは中央タンク部T32の第1タンク空間T32aに連通されている。
【0105】
プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において端部タンク部T21に対応する位置には、第1冷却水用排出口46bが設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ1方向の一側面において中央タンク部T32に対応する位置には、熱媒体用排出口45bが設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ2方向の一側面において端部タンク部T21に対応する位置には、第2冷却水用排出口47bが設けられている。プレート部材41,42の積層体のZ2方向の一側面において端部タンク部T12及び中央タンク部T32に対応する位置には、膨張部13が設けられている。
【0106】
なお、本実施形態では、第1プレート部材41j,41kが第1流体用第1プレート部材に相当し、第1プレート部材41mが第1流体用第2プレート部材に相当し、第1プレート部材41nが第1流体用第3プレート部材に相当する。また、第2プレート部材42jが第2流体用第1プレート部材に相当し、第2プレート部材42mが第2流体用第2プレート部材に相当し、第2プレート部材42nが第2流体用第3プレート部材に相当する。
【0107】
次に、本実施形態の熱交換器4の動作例について説明する。
図24に示されるように、熱交換器4では、熱媒体用流入口45aを通じて端部タンク部T11の第1タンク空間T11aに熱媒体が流入する。端部タンク部T11の第1タンク空間T11aに流入した熱媒体は、
図25に示されるように、第1プレート部材41jの連通部412から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41jでは、連通部412から連通部413に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41jにおいて連通部413まで流れた熱媒体は、
図26に示されるように、端部タンク部T12の第1タンク空間T12aに集められた後、その内部をZ2方向に流れる。
【0108】
端部タンク部T12の第1タンク空間T12aをZ2方向に向かって流れた熱媒体は、第1プレート部材41kの連通部413から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41kでは、連通部413から連通部412に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41kにおいて連通部412まで流れた熱媒体は、
図25に示されるように、端部タンク部T11の第2タンク空間T11bに集められた後、その内部をZ2方向に流れる。
【0109】
端部タンク部T11の第2タンク空間T11bをZ2方向に向かって流れた熱媒体は、第1プレート部材41mの連通部412から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41mでは、連通部412から連通部413に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41mにおいて連通部413まで流れた熱媒体は、
図26に示されるように、端部タンク部T12の第2タンク空間T12bに集められた後、その内部をZ2方向に向かって流れる。
【0110】
端部タンク部T12の第2タンク空間T12bをZ2方向に向かって流れた熱媒体は、連通孔H43を通じて中央タンク部T32の第2タンク空間T32bに流入した後、その内部をZ2方向に流れる。中央タンク部T32の第2タンク空間T32bをZ2方向に流れた熱媒体の一部は膨張部13に流入し、残りの熱媒体は、
図1に示される蒸発部16に向かって流れる。
【0111】
膨張部13に流入した熱媒体は、膨張部13を通じて減圧された後、端部タンク部T12の第3タンク空間T12cに流入して、第1プレート部材41nの連通部413から、その内部流路W30に分配される。第1プレート部材41nでは、連通部413から連通部412に向かって熱媒体が流れる。第1プレート部材41nにおいて連通部412まで流れた熱媒体は、
図25に示されるように、端部タンク部T11の第3タンク空間T11cに集められた後、連通孔H40を通じて、中央タンク部T31の第2タンク空間T31bをZ1方向に向かって流れる。
【0112】
中央タンク部T31の第2タンク空間T31bをZ1方向に向かって流れた熱媒体は、連通孔H42を通じて端部タンク部T22の第2タンク空間T22bに流入する。端部タンク部T22の第2タンク空間T22bに流入した熱媒体は、第2プレート部材42mの連通部424から、その内部流路W31に流入する。第2プレート部材42mでは、連通部424から連通部425に向かって熱媒体が流れる。第2プレート部材42mにおいて連通部425まで流れた熱媒体は、
図26に示されるように、端部タンク部T21の第2タンク空間T21bに集められた後、連通孔H44を通じて中央タンク部T32の第1タンク空間T32aに流入する。中央タンク部T32の第1タンク空間T32aに流入した熱媒体は、その内部をZ1方向に向かって流れて、熱媒体用排出口45bから排出される。
【0113】
一方、
図27に示されるように、高温冷却水は、第1冷却水用流入口46aを通じて、端部タンク部T22の第1タンク空間T22aに流入する。端部タンク部T22の第1タンク空間T22aに流入した高温冷却水は、
図25に示されるように、第2プレート部材42jの連通部424から、その内部流路W31に分配される。第2プレート部材42jでは、連通部424から連通部425に向かって高温冷却水が流れる。第2プレート部材42jにおいて連通部425まで流れた高温冷却水は、
図26に示されるように、端部タンク部T21の第1タンク空間T21aに集められた後、第1冷却水用排出口46bから排出される。
【0114】
また、
図27に示されるように、低温冷却水は、第2冷却水用流入口47aを通じて、端部タンク部T22の第3タンク空間T22cに流入する。端部タンク部T22の第3タンク空間T22cに流入した低温冷却水は、
図25に示されるように、第2プレート部材42jの連通部424から、その内部流路W31に分配される。第2プレート部材42jでは、連通部424から連通部425に向かって低温冷却水が流れる。第2プレート部材42jにおいて連通部425まで流れた低温冷却水は、
図26に示されるように、端部タンク部T21の第3タンク空間T21cに集められた後、第2冷却水用排出口47bから排出される。
【0115】
このような構造を有する熱交換器4では、
図24に矢印で示されるように熱媒体が流れるとともに、
図27に矢印で示されるように高温冷却水及び低温冷却水が流れることになる。熱交換器4では、第1プレート部材41j,41kを流れる熱媒体と、第2プレート部材42jを流れる高温冷却水との間で熱交換が行われる。そのため、第1プレート部材41j,41j及び第2プレート部材42jが水冷コンデンサ11を構成している。
【0116】
また、第1プレート部材41j,41jを通過した熱媒体は、第1プレート部材41mに流入する。熱交換器4では、第1プレート部材41mを流れる熱媒体と、第2プレート部材42mを流れる熱媒体との間で熱交換が行われる。そのため、第1プレート部材41m及び第2プレート部材42mが内部熱交換部12を構成している。
【0117】
さらに、熱交換器4では、膨張部13を通過することにより減圧された熱媒体が第1プレート部材41nを流れている。この第1プレート部材41nを流れる熱媒体と、第2プレート部材42nを流れる低温冷却水との間で熱交換が行われる。そのため、第1プレート部材41n及び第2プレート部材42nが蒸発部15を構成している。
【0118】
以上説明した本実施形態の熱交換器4によれば、以下の(6)に示される作用及び効果を得ることができる。
(6)熱交換器4が水冷コンデンサ11、内部熱交換部12、膨張部13、及び蒸発部15を一体的に備えているため、それらが別々に設けられている場合と比較すると、ヒートポンプサイクル1の構造を簡素化することが可能となる。
【0119】
<第5実施形態>
次に、熱交換器4の第5実施形態について説明する。以下、第1実施形態の熱交換器4との相違点を中心に説明する。
図28に示されるように、本実施形態の第1プレート部材41の第1プレート片410aは、X軸方向において連通部412,413が対向するように配置された構造を有している。また、第1プレート片410aでは、連通部414,415もX軸方向において対向するように配置されている。
【0120】
図29に示されるように、第1プレート部材41の第2プレート片410bは、X軸方向に平行な直線を軸として、
図28に示される第1プレート部材41を反転させた形状を有している。
図30に示されるように、第1プレート部材41は、
図28に示される第1プレート片410aと、
図29に示される第2プレート片410bとが組み付けられた後、ろう付け等により接合された構造を有している。
【0121】
また、
図31に示されるように、第2プレート部材42は、Y軸方向に平行な直線を軸として、
図30に示される第1プレート部材41を反転させた形状を有している。
なお、
図28~
図31では、連通孔の図示が省略されている。
【0122】
以上説明した本実施形態の熱交換器4によれば、以下の(7)に示される作用及び効果を得ることができる。
(7)本実施形態の熱交換器4では、
図28に示される第1プレート片410aと同一の形状を有するプレート片を成形すれば、そのプレート片の配置を変更するだけで、第1プレート部材41の各プレート片410a,410bだけでなく、第2プレート部材42の各プレート片420a,420bも実現することができる。すなわち、一種類のプレート片を成形すれば、第1プレート部材41及び第2プレート部材42を製造することができるため、各プレート部材41,42の製造が容易となる。
【0123】
<第6実施形態>
次に、熱交換器4の第6実施形態について説明する。以下、第1実施形態の熱交換器4との相違点を中心に説明する。
本実施形態の第1プレート部材41は、
図32に示される一枚のプレート部材60を中央の軸線m1に沿って折り曲げることにより成形される。
【0124】
具体的には、
図32に示されるように、プレート部材60において中央の軸線m1により区画される一方の領域には、第1プレート片410aが成形されている。プレート部材60において軸線m1により区画される他方の領域には、第2プレート片410bが成形されている。プレート部材60は、Z軸方向から見て、すなわち積層方向からみて軸線m1を中心に線対称の形状を有している。プレート部材60における軸線m1上の部分には、切欠き61が形成されている。
【0125】
第1プレート部材41は、
図32に示されるプレート部材60を軸線m1に沿って向かい合わせるように折り曲げた後、第1プレート片410aと第2プレート片410bとをろう付け等により接合させることにより製造される。その際、軸線m1上には切欠き61が形成されているため、プレート部材60を軸線m1に沿って折り曲げ易くなっている。
【0126】
なお、第2プレート部材42も、同様に、一枚のプレート部材により成形される。
以上説明した本実施形態の熱交換器4によれば、以下の(8)に示される作用及び効果を得ることができる。
【0127】
(8)本実施形態の熱交換器4では、一枚のプレート部材60により第1プレート部材41を成形することができるため、第1プレート部材41の成形が容易になる。また、第2プレート部材42についても同様の作用及び効果を得ることができる。
<第7実施形態>
次に、熱交換器4の第7実施形態について説明する。以下、第1実施形態の熱交換器4との相違点を中心に説明する。
【0128】
図33に示されるように、本実施形態の第1プレート部材41の外周部分には、マーキングMとしての切欠きが形成されている。第2プレート部材42の外周部分にも、同様にマーキングMが形成されている。
図3、
図4、及び
図7~
図12に示される各プレート部材41,42には、それぞれ異なるマーキングMが施されている。
【0129】
なお、マーキングMとしては、切欠きに代えて、凹部や凸部等を用いることも可能である。
以上説明した本実施形態の熱交換器4によれば、以下の(9)に示される作用及び効果を得ることができる。
【0130】
(9)熱交換器4の製造が完了した後、熱交換器4を外側から各プレート部材41,42のマーキングMを視認することにより、各プレート部材41,42が
図5及び
図6に示されるように積層して配置されているか否かを容易に確認することができる。
<第8実施形態>
次に、熱交換器4の第8実施形態について説明する。以下、第1実施形態の熱交換器4との相違点を中心に説明する。
【0131】
図34に示されるように、本実施形態の熱交換器4では、端部タンク部T11の第2タンク空間T11bと中央タンク部T31とを連通させる連通孔H32a,H32bが形成されていない点で、第1実施形態の熱交換器4と異なる。また、
図35に示されるように、熱交換器4では、端部タンク部T21の第2タンク空間T21bと中央タンク部T32とを連通させる連通孔H31a,H31bも形成されていない。
【0132】
一方、
図34に示されるように、熱交換器4におけるZ2方向の端部には、連通部材70が設けられている。連通部材70は、プレート部材41,42の積層体におけるZ2方向の一側面において端部タンク部T11の第2タンク空間T11b及び中央タンク部T31に対応する位置に設けられている。連通部材70は、端部タンク部T11の第2タンク空間T11bと中央タンク部T31とを連通させている。
【0133】
また、
図35に示されるように、熱交換器4におけるZ2方向の端部には、連通部材71が更に設けられている。連通部材71は、プレート部材41,42の積層体におけるZ2方向の一側面において端部タンク部T21の第2タンク空間T21b及び中央タンク部T32に対応する位置に設けられている。連通部材71は、端部タンク部T21の第2タンク空間T21bと中央タンク部T32とを連通させている。
【0134】
以上説明した本実施形態の熱交換器4によれば、以下の(10)に示される作用及び効果を得ることができる。
(10)連通部材70により端部タンク部T11の第2タンク空間T11bと中央タンク部T31とが連通されるとともに、連通部材71により端部タンク部T21の第2タンク空間T21bと中央タンク部T32とが連通されている。このような構成によれば、熱交換器4に、第1実施形態のような連通孔H31a,H31b,H32a,H32bを形成する必要がなくなるため、各プレート部材41,42の構造を簡素化することができる。
【0135】
<他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・各実施形態の熱交換器4は、車両のヒートポンプサイクル1及び冷却水循環回路2に限らず、任意の熱交換システムに適用することができる。また、適用される熱交換システムに応じて、熱交換器4において熱交換が行われる第1流体及び第2流体として、熱媒体及び冷却水以外の任意の流体を用いることが可能である。
【0136】
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0137】
H12,H13:連通孔(第1連通孔)
H14,H15:連通孔(第2連通孔)
H16,H17:連通孔(第3連通孔)
H24,H25:連通孔(第4連通孔)
H22,H23:連通孔(第5連通孔)
H26,H27:連通孔(第6連通孔)
T11,T12:端部タンク部(第1タンク部)
T21,T22:端部タンク部(第2タンク部)
T31,T32:中央タンク部(第3タンク部)
W30:内部流路(第1流路)
W31:内部流路(第2流路)
4:熱交換器
11:水冷コンデンサ(凝縮部)
12:内部熱交換部
13:膨張部
15:蒸発部
17:貯液部
18:過冷却部
41:第1プレート部材(第1流体用プレート部材)
42:第2プレート部材(第2流体用プレート部材)
43a~43c,44a~44c:隔壁
45a:熱媒体用流入口
46a:冷却水用流入口
45b:熱媒体用排出口
46b:冷却水用排出口
41e,41g,41j,41k:第1プレート部材(第1流体用第1プレート部材)
41f,41i,41m:第1プレート部材(第1流体用第2プレート部材)
41h,41n:第1プレート部材(第1流体用第3プレート部材)
42e,42g,42j:第2プレート部材(第2流体用第1プレート部材)
42f,42i,42m:第2プレート部材(第2流体用第2プレート部材)
42h,42n:第2プレート部材(第2流体用第3プレート部材)
60:プレート部材