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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】物品把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B25J15/08 R
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019056336
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020157386
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 昭博
(72)【発明者】
【氏名】延塚 幸平
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-074084(JP,U)
【文献】特開平05-277979(JP,A)
【文献】米国特許第04572564(US,A)
【文献】特開平05-169387(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014219381(DE,A1)
【文献】特開平10-146787(JP,A)
【文献】米国特許第04609220(US,A)
【文献】特開2017-177294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持する物品把持装置であって、
互いに平行に配列された複数の支持ロッドを前記支持ロッドの軸方向に個別に移動自在にそれぞれ保持する一対のロッド保持部材と、
前記一対のロッド保持部材を前記支持ロッドの前記軸方向と平行に延在する各々の回転軸の周りに回転自在に支持する支持部材と、
前記一対のロッド保持部材を個別に前記回転軸の周りに正逆方向に回転させる回転駆動機構と、
を備える物品把持装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品を把持する物品把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークとしてのシリンダヘッドをクランプするシリンダヘッド把持装置として、左右一対の形状倣い機構と、当該一対の形状倣い機構を接近離間させるねじ送り装置とを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシリンダヘッド把持装置の形状倣い機構は、多数のバイスピン(支持ロッド)と、前部開口から先端係止爪が張り出すと共に後部開口から押出端部が張り出すように多数のバイスピンをスライド自在に積層収納する保持角筒と、保持角筒内に収納されたバイスピン群をワーク形状に倣わせたうえ、スライド方向と直交する方向から締め付けて先端をワーク形状に合わせてロックする押圧部材とを含む。かかるシリンダヘッド把持装置によりシリンダヘッドをクランプする際には、各形状倣い機構のバイスピンのロックを解除すると共に、ねじ送り装置により一対の形状倣い機構をバイスピンの移動方向(軸方向)と平行な方向に離間させる。次いで、シリンダヘッドを一対の形状倣い機構の間に配置し、ねじ送り装置により当該一対の形状倣い機構をバイスピンの移動方向と平行な方向に互いに接近させる。これにより、シリンダヘッドに当接した各バイスピンが保持角筒内をスライドしてシリンダヘッドのクランプ面形状に応じて外方に押し出される。そして、押圧部材により各形状倣い機構のバイスピンをロックすることで、シリンダヘッドがシリンダヘッド把持装置によりクランプされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-255478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたシリンダヘッド把持装置は、一対の形状倣い機構によりワークを両側から挟み付けて把持するものであり、ワークの両側(側方)に比較的大きなスペースが確保されていない場合、当該ワークを把持することができない。このため、上記従来のシリンダヘッド把持装置の使用環境は、非常に大きく制限される。
【0005】
そこで、本開示は、様々な形状の物品を把持可能であると共に、物品の周囲のスペースが狭い場合であっても当該物品を把持することができる物品把持装置の提供を主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の物品把持装置は、物品を把持する物品把持装置であって、互いに平行に配列された複数の支持ロッドを前記支持ロッドの軸方向に個別に移動自在にそれぞれ保持する一対のロッド保持部材と、前記支持ロッドの前記軸方向と直交する平面に沿った方向における前記一対のロッド保持部材の間隔が変化するように前記一対のロッド保持部材の少なくとも何れか一方を移動させる移動機構とを含むものである。
【0007】
本開示の物品把持装置により物品を把持する際には、各ロッド保持部材の複数の支持ロッドを物品の表面形状に倣わせた後、移動機構により一対のロッド保持部材少なくとも何れか一方を移動させて支持ロッドの軸方向と直交する平面に沿った方向における一対のロッド保持部材の間隔を狭めるか、あるいは広げる。これにより、物品に形成された孔部や凹部に入り込んだ一対のロッド保持部材の支持ロッド同士を接近または離間させて当該物品を把持したり、物品に形成された凸部の側面に当接した一対のロッド保持部材の支持ロッドにより当該凸部を挟み付けて物品を把持したりすることが可能となる。更に、物品の周囲に支持ロッドが入り込むスペースがあれば、物品の側面に当接した一対のロッド保持部材の支持ロッドにより当該物品を挟み付けて把持することもできる。従って、本開示の物品把持装置によれば、様々な形状の物品を把持可能となり、物品の周囲のスペースが狭い場合であっても当該物品を把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の物品把持装置を含む物品移送装置を示す概略構成図である。
図2】本開示の物品把持装置を示す底面図である。
図3】本開示の物品把持装置の要部を示す拡大断面図である。
図4】本開示の物品把持装置の要部を示す拡大断面図である。
図5】本開示の物品把持装置の要部を示す拡大断面図である。
図6】本開示の物品把持装置により把持される物品を例示する斜視図である。
図7】本開示の物品把持装置により物品を把持して移送先まで移送する手順を示すフローチャートである。
図8】(a),(b),(c)および(d)は、本開示の物品把持装置により物品を把持して移送先まで移送する手順を示す説明図である。
図9】(a),(b),(c)および(d)は、本開示の物品把持装置により他の物品を把持して移送先まで移送する手順を示す説明図である。
図10】(a),(b),(c)および(d)は、本開示の物品把持装置により更に他の物品を把持して移送先まで移送する手順を示す説明図である。
図11】(a),(b),(c)および(d)は、本開示の物品把持装置により他の物品を把持して移送先まで移送する手順を示す説明図である。
図12】本開示の他の物品把持装置を含む物品移送装置を示す概略構成図である。
図13図12の物品把持装置を示す底面図である。
図14】本開示の更に他の物品把持装置を含む物品移送装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示の物品把持装置20を含む物品移送装置1を示す平面図である。同図に示す物品移送装置1は、例えばパレットや搬送コンベヤ上のワーク(物品)を取り出して予め定められた移送先へと移送可能なものであり、ロボットハンドとしての物品把持装置20に加えて、先端部(手先部)に当該物品把持装置20が取り付けられるロボットアーム2や制御装置3等を含む。ロボットアーム2は、多関節アーム機構や当該多関節アーム機構を駆動する複数のアクチュエータ(図示省略)等を含む。ロボットアーム2は、図1におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に物品把持装置20を移動させると共に、当該物品把持装置20をZ軸周りに回転させることができる。制御装置3は、CPU,ROM,RAM等(何れも図示省略)を含み、ロボットアーム2の複数のアクチュエータと、図示しない電気ケーブルを介して接続される物品把持装置20とを制御する。
【0011】
図1に示すように、物品把持装置20は、互いに平行に配列された複数(本実施形態では、例えば8本)の支持ロッドRを当該支持ロッドRの軸方向(長手方向)に個別に移動自在にそれぞれ保持する一対のロッド保持部材21a,21bと、一対のロッド保持部材21a,21bの各々を支持ロッドRの軸方向(移動方向)と直交する平面に沿った方向に接近離間自在に支持する支持部材22と、一対のロッド保持部材21a,21bを当該平面に沿った方向に接近離間させる移動機構23とを含む。
【0012】
各支持ロッドRは、本実施形態において、例えば直径数mmの丸棒である。各支持ロッドRの先端部は、基端側の部分よりも細径に形成されており、各支持ロッドRの先端には、面取り加工または球面加工が施されている。ただし、支持ロッドRは、細径の角棒であってもよい。本実施形態において、各支持ロッドRは、ロッド移動機構としてのエアシリンダ24のピストンロッドとして機能する。そして、ロッド保持部材21a,21bは、図1および図2に示すように、格子状に束ねられた複数(本実施形態では、例えば8個)のエアシリンダ24をそれぞれ保持し、各支持ロッドRの先端部は、対応するロッド保持部材21aまたは21bの一方の端部(図1における下側の端部)から外方に突出する
【0013】
図3に示すように、各エアシリンダ24は、図示しないブッシュ等を介して支持ロッドRを軸方向に移動自在(摺動自在)に支持するシリンダチューブ25を含む。シリンダチューブ25内には、支持ロッドRが挿通される空洞部250が形成されており、支持ロッドRには、空洞部250内で当該空洞部250の軸長よりも短い間隔をおいて並ぶように第1ピストンP1および第2ピストンP2が固定されている。第1ピストンP1は、シリンダチューブ25の基端側における空洞部250の一部と共に第1エア室251を画成し、第2ピストンP2は、シリンダチューブ25の先端側における空洞部250の一部と共に第2エア室252を画成する。更に、シリンダチューブ25には、第1エア室251に連通する第1ポート25aと、第2エア室252に連通する第2ポート25bとが形成されている。
【0014】
第2ポート25bを介して第2エア室252からのエアの流出が許容された状態で、図示しないエア供給源からのエア(圧縮空気)が第1ポート25aから第1エア室251に供給されると、支持ロッドRは、その先端がシリンダチューブ25の先端面から離間するように(図3中下側(一側))軸方向に移動する。これにより、支持ロッドRをシリンダチューブ25(ロッド保持部材21aまたは21b)から突出させることができる。また、第1ポート25aを介して第1エア室251からのエアの流出が許容された状態で、図示しないエア供給源からのエアが第2ポート25bから第2エア室252に供給されると、支持ロッドRは、その先端がシリンダチューブ25の先端面に近接するように(図3中上側(他側))軸方向に移動する。これにより、支持ロッドRの基端側の部分をシリンダチューブ25内に退避させる(収容する)ことができる。更に、第1ポート25aを介した第1エア室251からのエアの流出と、第2ポート25bを介した第2エア室252からのエアの流出とが許容されている際には、シリンダチューブ25(ロッド保持部材21aまたは21b)に対して、支持ロッドRを重力や他の部材から加えられる外力に応じて軸方向に自在に移動させることができる。
【0015】
また、エアシリンダ24は、支持ロッドRの軸方向における移動を規制するロック機構27を含む。ロック機構27は、シリンダチューブ25に形成された第2の空洞部253と、当該第2の空洞部253内に配置されるロックピストン28と、弾性力により支持ロッドRを挟持してロック可能なロッド挟持部材(偏心リング)29とを含む。第2の空洞部253は、上記空洞部250から独立した空洞部であって、当該空洞部250よりも基端側に位置するようにシリンダチューブ25に形成されている。図3に示すように、空洞部250を通過した支持ロッドRは、当該第2の空洞部253内に挿通される。
【0016】
ロックピストン28は、第2の空洞部253内の支持ロッドRの側方(図3における左側)に当該支持ロッドRの軸方向と直交する方向に摺動自在に配置される。また、ロックピストン28は、図4および図5に示すように、第2の空洞部253と共に支持ロッドR側とは反対側にロックエア室254を画成し、シリンダチューブ25には、当該ロックエア室254に連通する第3ポート25cが形成されている。更に、ロックピストン28は、支持ロッドRに近接するにつれて細幅になるように当該支持ロッドRに向けて突出する突起28pを有する。
【0017】
ロッド挟持部材29は、略C字状の断面形状を有し、当該ロッド挟持部材29には、支持ロッドRが挿通されると共に、当該支持ロッドRに直交する方向からロックピストン28の突起28pが嵌合される。ロッド挟持部材29に突起28pの先端が嵌まっている際には、図4に示すように、ロッド挟持部材29の互いに対向する内面同士の間隔が狭まり、それにより支持ロッドRがロッド挟持部材29により強固に挟持される。これに対して、図5に示すように、ロッド挟持部材29が突起28pの基端側の部分により押し広げられると、ロッド挟持部材29による支持ロッドRの挟持が解除される。
【0018】
従って、第3ポート25cを介してロックエア室254からのエアの流出を許容することでロッド挟持部材29の弾性力によりロックピストン28を当該ロッド挟持部材29から離間させ、ロッド挟持部材29により支持ロッドRを挟持して当該支持ロッドRの軸方向移動を規制することができる(図4参照)。また、図示しないエア供給源からのエアが第3ポート25cからロックエア室254に供給されると、ロックピストン28は、第2の空洞部253内で支持ロッドRに向けて移動し、それに伴ってロックピストン28の突起28pによりロッド挟持部材29が押し広げられる(図5参照)。これにより、ロッド挟持部材29による支持ロッドRの挟持が解除され、当該支持ロッドRの軸方向移動が許容される。
【0019】
物品把持装置20の支持部材22は、一対のロッド保持部材21a,21bのすべての支持ロッドRが平行に延在すると共に各支持ロッドRの先端が図1中下側に位置するように、各支持ロッドRの軸方向(移動方向)と直交する平面に沿って延在する図示しないリニアガイド等を介して一対のロッド保持部材21a,21bの各々を当該平面に沿った方向に移動自在に支持する。また、支持部材22は、図示しないボルト等を介してロボットアーム2に連結(固定)される。
【0020】
物品把持装置20の移動機構23は、一対のロッド保持部材21a,21bの双方を互いに接近離間するように移動させる図示しないエアシリンダを含み、支持部材22内に収容(支持)されている。すなわち、移動機構23は、一対のロッド保持部材21a,21bの双方を移動させて上記平面に沿った方向における一対のロッド保持部材21a,21bの間隔(距離)を狭めたり広げたりする(変化させる)ことができる。ただし、移動機構23は、電気モータ等を含む電動アクチュエータであってもよい。そして、上記各エアシリンダ24の第1から第3ポート25a-25cや移動機構23のエアシリンダのポートは、図示しないエアチューブ等を介して複数のバルブを含む図示しない空気圧回路に接続される。当該空気圧回路の複数のバルブは、何れも上記制御装置3により制御される。
【0021】
次に、図6から図11等を参照しながら、上述の物品把持装置20の動作について説明する。ここでは、図6に示すように、パレットP上に平積みされた複数のワーク(物品)W1,W2,W3およびW4を物品移送装置1により1個ずつ取り出していく場合を例にとって物品把持装置20の動作を説明する。図6に示すワークW1は、間隔をおいて配置された複数の貫通孔Hを有する板状部材である。また、ワークW2は、表面から突出する凸部Wpを有する部材である。更に、ワークW3は、比較的大径の単一の円孔(貫通孔)Hを有する円環状の部材である。また、ワークW4は、比較的低背かつ小径の円筒状部材である。
【0022】
図7は、物品移送装置1を構成する物品把持装置20によりワークW1-W4を把持して予め定められた移送先まで移送する手順を示すフローチャートである。物品移送装置1の制御装置3は、ワークW1-W4をパレットPから取り出して移送先まで移送する際、パレットPの配置箇所の上方に設置された図示しない3Dビジョンカメラ(3Dセンサ)に当該パレットPおよびワークW1-W4を撮像させ、3Dビジョンカメラにより撮像された情報(3次元点群データ)を当該3Dビジョンカメラから取得する(ステップS100)。更に、制御装置3は、3Dビジョンカメラからの情報に基づいて、取り出し可能なワーク(ここでは、ワークW1-W4のすべて)を選択すると共に(ステップS110)、選択したワークW1-W4の形状、位置および姿勢を取得する(ステップS120)。
【0023】
続いて、制御装置3は、最初の取り出し対象となるワーク(ここでは、ワークW1)の上方まで物品把持装置20を移動させるようにロボットアーム2を制御する(ステップS130)。図8(a)に示すように、物品把持装置20が取り出し対象となるワークW1の上方に位置すると、制御装置3は、ロッド保持部材21a,21bの各エアシリンダ24の第1および第3ポート25a,25cにエアが供給されると共に第2ポート25bからエアが排出されるように上記空気圧回路を制御する(ステップS140)。
【0024】
これにより、ステップS140では、ロック機構27(ロッド挟持部材29)による各支持ロッドRのロック(軸方向移動の規制)が解除されると共に(図5参照)、各エアシリンダ24によってロッド保持部材21a,21bの各支持ロッドRがシリンダチューブ25からワークW1側に移動(突出)させられる。また、ステップS140において、制御装置3は、各エアシリンダ24へのエアの供給開始から所定時間が経過したタイミングで、各エアシリンダ24の第3ポート25cへのエアの供給が継続されると共に、第1ポート25aへのエアの供給が停止され、かつ第1ポート25aを介した第1エア室251からのエアの流出および第2ポート25bを介した第2エア室252からのエアの流出とが許容されるように上記空気圧回路を制御する。これにより、外力等に応じた各支持ロッドRの移動が許容される。
【0025】
ステップS140の処理の後、制御装置3は、取り出し対象となるワークW1の形状(寸法)に応じて移動機構23を制御し、一対のロッド保持部材21a,21b同士の接近離間方向における間隔を調整する(ステップS150)。ワークW1の取り出しに際しては、ステップS150にて一対のロッド保持部材21a,21b同士の間隔が例えば最大に設定される(図8(b)参照)。更に、制御装置3は、各支持ロッドRが個別に軸方向に移動してワークW1の表面形状に倣うようにロボットアーム2により各ロッド保持部材21a,21bをワークW1に接近させる(ステップS160)。これにより、図8(b)に示すように、ロッド保持部材21aの複数の支持ロッドRの一部(少なくとも1本)がワークW1の何れかの貫通孔Hに入り込むと共に、ロッド保持部材21bの複数の支持ロッドRの一部(少なくとも1本)がワークW1の他の貫通孔Hに入り込む。また、ロッド保持部材21a,21bの残余の支持ロッドRの先端は、ワークW1の表面(図中上面)に当接する。
【0026】
ロボットアーム2の作動すなわち物品把持装置20の移動を停止させた後、制御装置3は、ロッド保持部材21a,21bの各エアシリンダ24のロック機構27(ロッド挟持部材29)により各支持ロッドRがロック(挟持)されるように、各エアシリンダ24の第3ポート25cへのエアの供給を停止させる(ステップS170)。次いで、制御装置3は、一対のロッド保持部材21a,21b同士を支持ロッドRの軸方向と直交する平面に沿った方向に互いに接近または離間させるように移動機構23(空気圧回路)を制御する(ステップS180)。図8(c)に示すように、ワークW1の取り出しに際しては、ステップS180にて一対のロッド保持部材21a,21bが互いに接近するように移動機構23により移動させられ、当該一対のロッド保持部材21a,21bの上記平面に沿った方向における間隔(距離)が狭められる。また、ステップS180において、制御装置3は、互いに接近または離間した一対のロッド保持部材21a,21bを停止位置に保持するように移動機構23(空気圧回路)を制御する。これにより、ワークW1の何れかの貫通孔Hに入り込んだロッド保持部材21aの一部の支持ロッドRと、ワークW1の他の貫通孔Hに入り込んだロッド保持部材21bの一部の支持ロッドRとによりワークW1がしっかりと把持される。
【0027】
ロッド保持部材21aの一部の支持ロッドRと、ロッド保持部材21bの一部の支持ロッドRとによりワークW1が把持されると、図8(d)に示すように、制御装置3は、物品把持装置20を移送先まで移動させるようにロボットアーム2を制御する(ステップS190)。そして、ワークW1が移送先の所定箇所に載置されると、制御装置3は、一対のロッド保持部材21a,21bが例えばステップS180における接近距離だけ互いに離間するように移動機構23を制御すると共に、物品把持装置20がワークW1から離間するようにロボットアーム2を制御する(ステップS200)。これにより、各支持ロッドR(物品把持装置20)によるワークW1の把持が解除(アンクランプ)され、ワークW1が移送先へと受け渡される。
【0028】
ステップS200の処理の後、制御装置3は、パレットP上の全ワークの取り出しが完了したか否かを判定し(ステップS210)、パレットP上の全ワークの取り出しが完了していないと判定した場合(ステップS210:NO)、再度ステップS130以降の処理を実行する。ワークW1の次に図6に示すワークW2を取り出す場合、制御装置3は、ワークW2の上方まで物品把持装置20を移動させるようにロボットアーム2を制御する(ステップS130)。
【0029】
図9(a)に示すように、物品把持装置20が取り出し対象となるワークW2の上方に位置すると、制御装置3は、ロック機構27による各支持ロッドRのロックが解除されると共に、各エアシリンダ24がロッド保持部材21a,21bの各支持ロッドRをシリンダチューブ25からワークW2側に移動(突出)させるように上記空気圧回路を制御する(ステップS140)。更に、制御装置3は、各エアシリンダ24へのエアの供給開始から所定時間が経過したタイミングで、各エアシリンダ24の第3ポート25cへのエアの供給を継続させつつ、第1ポート25aへのエアの供給を停止させると共に外力等に応じた各支持ロッドRの移動を許容する。
【0030】
ステップS140の処理の後、制御装置3は、取り出し対象となるワークW2の形状(寸法)に応じて移動機構23を制御し、一対のロッド保持部材21a,21b同士の接近離間方向における間隔を調整する(ステップS150)。ワークW2の取り出しに際しては、ステップS150にて一対のロッド保持部材21a,21b同士の間隔が例えば最大に設定される(図9(b)参照)。更に、制御装置3は、各支持ロッドRが個別に軸方向に移動してワークW2の表面形状に倣うようにロボットアーム2により各ロッド保持部材21a,21bをワークW2に接近させる(ステップS160)。これにより、図9(b)に示すように、ロッド保持部材21aの複数の支持ロッドRの一部(少なくとも1本)の先端がワークW2の凸部Wpの一側(図中左側)の表面(図中上面)に当接する共に、ロッド保持部材21bの複数の支持ロッドRの一部(少なくとも1本)の先端がワークW2の凸部Wpの他側(図中右側)の表面(図中上面)に当接する。また、ロッド保持部材21a,21bの残余の支持ロッドRの先端は、ワークW2の凸部Wpの表面(図中上面)に当接する。
【0031】
ロボットアーム2の作動を停止させた後、制御装置3は、ロッド保持部材21a,21bの各エアシリンダ24の第3ポート25cに対するエアの供給を停止させる(ステップS170)。これにより、各エアシリンダ24のロック機構27により各支持ロッドRがロックされ、各支持ロッドRの軸方向移動が規制される。次いで、制御装置3は、一対のロッド保持部材21a,21b同士が支持ロッドRの軸方向と直交する平面に沿った方向に互いに接近または離間すると共に停止位置に保持されるように移動機構23を制御する(ステップS180)。図9(c)に示すように、ワークW2の取り出しに際しては、ステップS180にて一対のロッド保持部材21a,21bが互いに接近するように移動機構23により移動させられ、当該一対のロッド保持部材21a,21bの上記平面に沿った方向における間隔(距離)が狭められる。これにより、ワークW2の凸部Wpの一側(図中左側)の表面に当接したロッド保持部材21aの一部の支持ロッドRと、ワークW2の凸部Wpの他側(図中右側)の表面に当接したロッド保持部材21bの一部の支持ロッドRとによりワークW2の凸部Wp(側面)がしっかりと把持される
【0032】
ロッド保持部材21aの一部の支持ロッドRと、ロッド保持部材21bの一部の支持ロッドRとによりワークW2が把持されると、図9(d)に示すように、制御装置3は、物品把持装置20を移送先まで移動させるようにロボットアーム2を制御する(ステップS190)。そして、ワークW2が移送先の所定箇所に載置されると、制御装置3は、一対のロッド保持部材21a,21bが例えばステップS180における接近距離だけ互いに離間するように移動機構23を制御すると共に、物品把持装置20がワークW2から離間するようにロボットアーム2を制御する(ステップS200)。これにより、各支持ロッドR(物品把持装置20)によるワークW2の把持が解除(アンクランプ)され、ワークW2が移送先へと受け渡される。
【0033】
また、ワークW2の次に図6に示すワークW3を取り出す場合、制御装置3は、ワークW3の上方まで物品把持装置20を移動させるようにロボットアーム2を制御する(ステップS130)。図10(a)に示すように、物品把持装置20が取り出し対象となるワークW3の上方に位置すると、制御装置3は、ロック機構27による各支持ロッドRのロックが解除されると共に、各エアシリンダ24がロッド保持部材21a,21bの各支持ロッドRをシリンダチューブ25からワークW3側に移動(突出)させるように上記空気圧回路を制御する(ステップS140)。更に、ステップS140において、制御装置3は、各エアシリンダ24へのエアの供給開始から所定時間が経過したタイミングで、各エアシリンダ24の第3ポート25cへのエアの供給を継続させつつ、第1ポート25aへのエアの供給を停止させると共に外力等に応じた各支持ロッドRの移動を許容する。
【0034】
ステップS140の処理の後、制御装置3は、取り出し対象となるワークW3の形状(寸法)に応じて移動機構23を制御し、一対のロッド保持部材21a,21b同士の接近離間方向における間隔を調整する(ステップS150)。ワークW3の取り出しに際しては、ステップS150にて一対のロッド保持部材21a,21b同士の間隔が例えば最小に設定される(図10(b)参照)。更に、制御装置3は、各支持ロッドRが個別に軸方向に移動してワークW3の表面形状に倣うようにロボットアーム2により各ロッド保持部材21a,21bをワークW3に接近させる(ステップS160)。これにより、図10(b)に示すように、ロッド保持部材21aの複数の支持ロッドRの一部(少なくとも1本)およびロッド保持部材21bの複数の支持ロッドRの一部(少なくとも1本)がワークW3の円孔Oに入り込む。また、ロッド保持部材21a,21bの残余の支持ロッドRの先端は、ワークW3の表面(図中上面)に当接する。
【0035】
ロボットアーム2の作動を停止させた後、制御装置3は、ロッド保持部材21a,21bの各エアシリンダ24のロック機構27により各支持ロッドRがロックされるように、各エアシリンダ24の第3ポート25cへのエアの供給を停止させる(ステップS170)。次いで、制御装置3は、一対のロッド保持部材21a,21b同士が支持ロッドRの軸方向と直交する平面に沿った方向に互いに接近または離間すると共に停止位置に保持されるように移動機構23を制御する(ステップS180)。図10(c)に示すように、ワークW3の取り出しに際しては、テップS180にて一対のロッド保持部材21a,21bが互いに離間するように移動機構23により移動させられ、当該一対のロッド保持部材21a,21bの上記平面に沿った方向における間隔(距離)が広げられる。これにより、ワークW3の円孔Oに入り込んだロッド保持部材21aの一部の支持ロッドRと、当該円孔Oに入り込んだロッド保持部材21bの一部の支持ロッドRとによりワークW3が円孔Oの内側からしっかりと把持される
【0036】
ロッド保持部材21aの一部の支持ロッドRと、ロッド保持部材21bの一部の支持ロッドRとによりワークW3が把持されると、図10(d)に示すように、制御装置3は、物品把持装置20を移送先まで移動させるようにロボットアーム2を制御する(ステップS190)。そして、ワークW3が移送先の所定箇所に載置されると、制御装置3は、一対のロッド保持部材21a,21bが例えばステップS180における離間距離だけ互いに接近するように移動機構23を制御すると共に、物品把持装置20がワークW3から離間するようにロボットアーム2を制御する(ステップS200)。これにより、各支持ロッドR(物品把持装置20)によるワークW3の把持が解除(アンクランプ)され、ワークW3が移送先へと受け渡される。
【0037】
更に、ワークW3の次に図6に示すワークW4を取り出す場合、制御装置3は、ワークW4の上方まで物品把持装置20を移動させるようにロボットアーム2を制御する(ステップS130)。図11(a)に示すように、物品把持装置20が取り出し対象となるワークW4の上方に位置すると、制御装置3は、ロック機構27による各支持ロッドRのロックが解除されると共に、各エアシリンダ24がロッド保持部材21a,21bの各支持ロッドRをシリンダチューブ25からワークW4側に移動(突出)させるように上記空気圧回路を制御する(ステップS140)。更に、ステップS140において、制御装置3は、各エアシリンダ24へのエアの供給開始から所定時間が経過したタイミングで、各エアシリンダ24の第3ポート25cへのエアの供給を継続させつつ、第1ポート25aへのエアの供給を停止させると共に外力等に応じた各支持ロッドRの移動を許容する。
【0038】
ステップS140の処理の後、制御装置3は、取り出し対象となるワークW4の形状(寸法)に応じて移動機構23を制御し、一対のロッド保持部材21a,21b同士の接近離間方向における間隔を調整する(ステップS150)。ワークW4の取り出しに際しては、ステップS150にて一対のロッド保持部材21a,21b同士の間隔が例えば最大に設定される(図11(b)参照)。更に、制御装置3は、各支持ロッドRが個別に軸方向に移動してワークW4の表面形状に倣うようにロボットアーム2により各ロッド保持部材21a,21bをワークW4に接近させる(ステップS160)。これにより、図11(b)に示すように、ロッド保持部材21aの複数の支持ロッドRの一部(少なくとも1本)およびロッド保持部材21bの複数の支持ロッドRの一部(少なくとも1本)がワークW4の外周面と対向する。また、ロッド保持部材21a,21bの残余の支持ロッドRの先端は、ワークW4の表面(図中上面)に当接する。
【0039】
ロボットアーム2の作動を停止させた後、制御装置3は、ロッド保持部材21a,21bの各エアシリンダ24のロック機構27により各支持ロッドRがロックされるように、各エアシリンダ24の第3ポート25cへのエアの供給を停止させる(ステップS170)。次いで、制御装置3は、一対のロッド保持部材21a,21b同士が支持ロッドRの軸方向と直交する平面に沿った方向に互いに接近または離間すると共に停止位置に保持されるように移動機構23を制御する(ステップS180)。図11(c)に示すように、ワークW4の取り出しに際しては、ステップS180にて一対のロッド保持部材21a,21bが互いに接近するように移動機構23により移動させられ、当該一対のロッド保持部材21a,21bの上記平面に沿った方向における間隔(距離)が狭められる。これにより、ワークW4の外周面に当接したロッド保持部材21aの一部の支持ロッドRと、ワークW4の外周面に当接したロッド保持部材21bの一部の支持ロッドRとによりワークW4が外側からしっかりと把持される
【0040】
ロッド保持部材21aの一部の支持ロッドRと、ロッド保持部材21bの一部の支持ロッドRとによりワークW4が把持されると、図11(d)に示すように、制御装置3は、物品把持装置20を移送先まで移動させるようにロボットアーム2を制御する(ステップS190)。そして、ワークW4が移送先の所定箇所に載置されると、制御装置3は、一対のロッド保持部材21a,21bが例えばステップS180における接近距離だけ互いに離間するように移動機構23を制御すると共に、物品把持装置20がワークW4から離間するようにロボットアーム2を制御する(ステップS200)。これにより、各支持ロッドR(物品把持装置20)によるワークW4の把持が解除(アンクランプ)され、ワークW4が移送先へと受け渡される。そして、制御装置3は、パレットP上の全ワークの取り出しが完了したと判定すると(ステップS210:YES)、物品把持装置20を待機位置まで戻すようにロボットアーム2を制御し(ステップS220)、図7の一連の処理を終了させる。
【0041】
上述のように、物品把持装置20によりワークW1-W4を把持する際には、各ロッド保持部材21a,21bの複数の支持ロッドRをワークW1-W4の表面形状に倣わせた後(ステップS100-S160)、移動機構23により一対のロッド保持部材21a,21bを互いに接近または離間するように移動させ、支持ロッドRの軸方向(移動方向)と直交する平面に沿った方向における一対のロッド保持部材21a,21bの間隔を狭めるか、あるいは広げる(ステップS180)。これにより、ワークW1,W3に形成された貫通孔Hあるいは円孔O(孔部)に入り込んだ一対のロッド保持部材21a,21bの支持ロッドR同士を接近または離間させて当該ワークW1,W3を把持したり、ワークW2に形成された凸部Wpの側面に当接した一対のロッド保持部材21a,21bの支持ロッドRにより当該凸部Wpを挟み付けて当該ワークW2を把持したりすることができる。更に、ワーク(物品)の周囲に支持ロッドRが入り込むスペースがあれば、ワークW4の側面に当接した一対のロッド保持部材21a,21bの支持ロッドRにより当該ワークW4を挟み付けて把持することも可能となる。加えて、物品把持装置20によれば、ワーク(物品)の表面に形成された凹部(溝)に入り込んだ一対のロッド保持部材21a,21bの支持ロッドR同士を接近または離間させて当該ワークを把持することもできる。従って、物品把持装置20によれば、様々な形状のワーク(物品)を把持可能となり、ワークの周囲のスペースが狭い場合であっても当該ワークを把持することができる。
【0042】
また、物品把持装置20の各ロッド保持部材21a,21bは、複数の支持ロッドRごとに、対応する支持ロッドRの軸方向移動を個別に規制可能なロック機構27を含む。これにより、各ロッド保持部材21a,21bの複数の支持ロッドRをワークW1-W4の表面形状に倣わせた状態に保持(ロック)することができるので、当該ワークW1-W4をしっかりと把持することが可能となる。この結果、例えば、ワークW1-W4を把持した後に物品把持装置20の向きを変えながらワークを移送するような場合であっても、ワークW1-W4を落下させることなく移送先まで移送することができる。ただし、ロッド保持部材21a,21bから上述のようなロック機構が省略されてもよい。また、ロック機構27は、エア駆動式のロック機構に限られるものではなく、例えば電磁式のロック機構であってもよい。
【0043】
更に、物品把持装置20の各ロッド保持部材21a,21bは、それぞれ対応する支持ロッドRを軸方向の一側(図3中下側)および他側(図3中上側)に移動させるロッド移動機構としてのエアシリンダ24をそれぞれ複数含む。これにより、物品把持装置20によりワークW1-W4を把持する前に、一対のロッド保持部材21a,21bの全支持ロッドRを各エアシリンダ24によりワークW1-W4側に突出させておくことが可能となり、物品把持装置20によりワークW1等を把持しない際に、各支持ロッドRを対応するエアシリンダ24によりロッド保持部材21a,21b内に退避させることができる。ただし、物品把持装置20によりワークW1-W4を把持する前に、一対のロッド保持部材21a,21bの全支持ロッドRを重力等により確実にワークW1-W4側に突出させることができるのであれば、各ロッド保持部材21a,21bから上述のようなロッド移動機構が省略されてもよい。また、ロッド移動機構は、エアシリンダ等のエア駆動式のアクチュエータに限られるものではなく、電気モータ等を含む電動アクチュエータや電磁アクチュエータであってもよい。
【0044】
なお、物品把持装置20において、支持部材22は、一対のロッド保持部材21a,21bの何れか一方のみが他方に対して上記平面に沿った方向に移動自在となるように当該一対のロッド保持部材21a,21bを支持するものであってもよく、移動機構23は、上記平面に沿った方向における一対のロッド保持部材21a,21bの間隔が変化するように当該一対のロッド保持部材21a,21bの何れか一方のみを移動させるものであってもよい。また、物品把持装置20から支持部材22を省略し、一対のロッド保持部材21a,21bを移動機構23に支持させてもよい。
【0045】
更に、図7のステップS200では、一対のロッド保持部材21a,21bを互いに接近または離間させるように移動機構23が制御されると共に、ロッド保持部材21a,21bの各エアシリンダ24の第2および第3ポート25b,25cにエアが供給され、かつ第1ポート25aからエアが排出されるように上記空気圧回路が制御されてもよい。これにより、ロック機構27(ロッド挟持部材29)による各支持ロッドRのロック(軸方向移動の規制)を解除すると共に、各エアシリンダ24によりロッド保持部材21a,21bの各支持ロッドRをワークW1側からシリンダチューブ25内へと移動させ、各支持ロッドR(物品把持装置20)によるワークW1等の把持を解除することができる。また、物品把持装置20は、ロボットアーム2以外の移動装置に連結されて当該移動装置より移動させられてもよい。
【0046】
図12は、本開示の他の物品把持装置20Bを示す斜視図であり、図13は、物品把持装置20Bを示す底面図である。なお、物品把持装置20Bの構成要素のうち、上述の物品把持装置20と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0047】
図12および図13に示す物品把持装置20Bも、ロボットアーム2に連結されて物品移送装置1を構成可能なものである。図示するように、物品把持装置20Bは、上述の一対のロッド保持部材21a,21b、支持部材22および移動機構23を含むアッセンブリを2組有する。これにより、支持ロッドRの総数を増加させて物品把持装置20Bの把持力をより大きくすると共に、より大型のワーク(物品)を物品把持装置20Bによって把持することが可能となる。
【0048】
ただし、物品把持装置20Bは、一対のロッド保持部材21a,21b、支持部材22および移動機構23を含むアッセンブリを3組以上有するように構成されてもよい。また、物品把持装置20Bは、一対のロッド保持部材21a,21b、支持部材22および移動機構23を含むアッセンブリ同士を支持ロッドRの軸方向(移動方向)と直交する平面に沿った方向に互いに接近離間可能に構成されてもよい。更に、支持部材22は、複数組のロッド保持部材21a,21bを接近離間自在に支持するように構成されてもよく、移動機構23は、複数組のロッド保持部材21a,21bを接近離間させるように構成されてもよい。また、物品把持装置20Bも、ロボットアーム2以外の移動装置に連結されて当該移動装置より移動させられてもよい。
【0049】
更に、物品把持装置20Bにおいても、各支持部材22は、一対のロッド保持部材21a,21bの何れか一方のみが他方に対して上記平面に沿った方向に移動自在となるように当該一対のロッド保持部材21a,21bを支持するものであってもよく、各移動機構23は、上記平面に沿った方向における一対のロッド保持部材21a,21bの間隔が変化するように当該一対のロッド保持部材21a,21bの何れか一方のみを移動させるものであってもよい。また、物品把持装置20Bにおいても、支持部材22を省略し、一対のロッド保持部材21a,21bを移動機構23に支持させてもよい。
【0050】
図14は、本開示の更に他の物品把持装置20Cを示す平面図である。なお、物品把持装置20Cの構成要素のうち、上述の物品把持装置20等と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0051】
図14に示す物品把持装置20Cも、ロボットアーム2に連結されて物品移送装置1を構成可能なものである。図示するように、物品把持装置20Cは、互いに平行に配列された複数(本実施形態では、例えば8本)の支持ロッドRを当該支持ロッドRの軸方向(長手方向)に個別に移動自在にそれぞれ保持する一対のロッド保持部材21a,21bと、各ロッド保持部材21a,21bを支持ロッドRの軸方向(移動方向)と平行に延在する各々の回転軸(図中一点鎖線参照)の周りに回転自在に支持する支持部材22Cと、ロッド保持部材21a,21bを個別に各々の回転軸の周りに正逆方向に回転させる回転駆動機構23Cとを含むものである。かかる物品把持装置20Cによりワーク(物品)を把持する際には、各ロッド保持部材21a,21bの複数の支持ロッドRをワークの表面形状に倣わせた後、回転駆動機構23Cにより一対のロッド保持部材21a,21bを互い同方向または逆方向に回転させる。
【0052】
これにより、ワークに形成された孔部や凹部に入り込んだ一対のロッド保持部材21a,21bの支持ロッドR同士を接近または離間させて当該ワークを把持したり、ワークに形成された凸部の側面に当接した一対のロッド保持部材21a,21bの支持ロッドRにより当該凸部を挟み付けてワークを把持したりすることが可能となる。更に、ワークの周囲に支持ロッドRが入り込むスペースがあれば、ワークの側面に当接した一対のロッド保持部材21a,21bの支持ロッドRにより当該ワークを挟み付けて把持することもできる。従って、物品把持装置20Cによっても、様々な形状のワークを把持可能となり、ワークの周囲のスペースが狭い場合であっても当該ワークを把持することができる。かかる物品把持装置20Cも、一対のロッド保持部材21a,21b、支持部材22Cおよび回転駆動機構23Cを含むアッセンブリを複数組有するように構成されてもよく、ロボットアーム2以外の移動装置に連結されて当該移動装置より移動させられてもよい。
【0053】
以上説明したように、本開示の物品把持装置は、物品(W1,W2,W3,W4)を把持する物品把持装置(20,20B)であって、互いに平行に配列された複数の支持ロッド(R)を前記支持ロッド(R)の軸方向に個別に移動自在にそれぞれ保持する一対のロッド保持部材(21a,21b)と、前記支持ロッド(R)の前記軸方向と直交する平面に沿った方向における前記一対のロッド保持部材(21a,21b)の間隔が変化するように前記一対のロッド保持部材(21a,21b)の少なくとも何れか一方を移動させる移動機構(23)とを含むものである。
【0054】
本開示の物品把持装置により物品を把持する際には、各ロッド保持部材の複数の支持ロッドを物品の表面形状に倣わせた後、移動機構により一対のロッド保持部材少なくとも何れか一方を移動させて支持ロッドの軸方向(移動方向)と直交する平面に沿った方向における一対のロッド保持部材の間隔を狭めるか、あるいは広げる。これにより、物品に形成された孔部や凹部に入り込んだ一対のロッド保持部材の支持ロッド同士を接近または離間させて当該物品を把持したり、物品に形成された凸部の側面に当接した一対のロッド保持部材の支持ロッドにより当該凸部を挟み付けて物品を把持したりすることが可能となる。更に、物品の周囲に支持ロッドが入り込むスペースがあれば、物品の側面に当接した一対のロッド保持部材の支持ロッドにより当該物品を挟み付けて把持することもできる。従って、本開示の物品把持装置によれば、様々な形状の物品を把持可能となり、物品の周囲のスペースが狭い場合であっても当該物品を把持することができる。
【0055】
また、前記物品把持装置(20,20B)は、前記一対のロッド保持部材(21a,21b)の少なくとも何れか一方が他方に対して前記平面に沿った方向に移動自在となるように前記一対のロッド保持部材(21a,21b)を支持する支持部材(22)を更に含むものであってもよい。
【0056】
更に、前記移動機構(23)は、前記支持部材(22)により支持されてもよい。
【0057】
また、前記一対のロッド保持部材(21a,21b)は、前記複数の支持ロッド(R)の移動を規制可能なロック機構(27)をそれぞれ含んでもよい。これにより、各ロッド保持部材の複数の支持ロッドを物品の表面形状に倣わせた状態に保持(ロック)することができるので、当該物品をしっかりと把持することが可能となる。
【0058】
更に、前記一対のロッド保持部材(21a,21b)は、前記複数の支持ロッド(R)を前記軸方向の一側および他側に移動させるロッド移動機構(24)をそれぞれ含んでもよい。これにより、物品把持装置により物品を把持する前に、一対のロッド保持部材の全支持ロッドをロッド移動機構により物品側に突出させておくことが可能となり、物品把持装置により物品を把持しない際に、各支持ロッドをロッド移動機構によりロッド保持部材側に退避させることができる。
【0059】
また、前記物品把持装置(20B)は、前記一対のロッド保持部材(21a,21b)を複数組含むものであってもよい。これにより、支持ロッドの総数を増加させて物品把持装置の把持力をより大きくすると共に、より大型の物品を物品把持装置によって把持することが可能となる。
【0060】
更に、前記物品把持装置(20,20B,20C)は、ロボットアーム(2)に取り付けられ、前記ロボットアーム(2)により移動させられるものであってもよい。すなわち、本開示の物品把持装置は、物品を把持して移送するのに極めて好適である。
【0061】
本開示の他の物品把持装置は、物品(W1,W2,W3,W4)を把持する物品把持装置(20C)であって、互いに平行に配列された複数の支持ロッド(R)を前記支持ロッド(R)の軸方向に個別に移動自在にそれぞれ保持する一対のロッド保持部材(21a,21b)と、前記一対のロッド保持部材(21a,21b)を前記支持ロッド(R)の前記軸方向と平行に延在する各々の回転軸の周りに回転自在に支持する支持部材(22C)と、前記一対のロッド保持部材(21a,21b)を個別に前記回転軸の周りに正逆方向に回転させる回転駆動機構(23C)とを含むものである。
【0062】
本開示の他の物品把持装置により物品を把持する際には、各ロッド保持部材の複数の支持ロッドを物品の表面形状に倣わせた後、回転駆動機構により一対のロッド保持部材を互い同方向または逆方向に回転させる。これにより、物品に形成された孔部や凹部に入り込んだ一対のロッド保持部材の支持ロッド同士を接近または離間させて当該物品を把持したり、物品に形成された凸部の側面に当接した一対のロッド保持部材の支持ロッドにより当該凸部を挟み付けて物品を把持したりすることが可能となる。更に、物品の周囲に支持ロッドが入り込むスペースがあれば、物品の側面に当接した一対のロッド保持部材の支持ロッドにより当該物品を挟み付けて把持することもできる。従って、かかる物品把持装置によっても、様々な形状の物品を把持可能となり、物品の周囲のスペースが狭い場合であっても当該物品を把持することができる。
【0063】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本開示の発明は、物品を把持する物品把持装置の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 物品移送装置、2 ロボットアーム、3 制御装置、20,20B,20C 物品把持装置、21a,21b ロッド保持部材、22,22C 支持部材、23 移動機構、23C 回転駆動機構、24 エアシリンダ、25 シリンダチューブ、250 空洞部、251 第1エア室、252 第2エア室、253 第2の空洞部、254 ロックエア室、25a 第1ポート、25b 第2ポート、25c 第3ポート、27 ロック機構、28 ロックピストン、28p 突起、29 ロッド挟持部材、H 貫通孔、O 円孔、P1 第1ピストン、P2 第2ピストン、R 支持ロッド、W1,W2,W3,W4 ワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14