(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】液晶パネル製造装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1337 20060101AFI20221206BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02F1/1337
G02F1/13 101
(21)【出願番号】P 2019056647
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 純
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛雄
(72)【発明者】
【氏名】日野 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】田内 亮彦
(72)【発明者】
【氏名】西原 隆史
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-098313(JP,A)
【文献】特開2007-220660(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0146865(US,A1)
【文献】特開2013-080199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G02F 1/13
G02F 1/1334
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、前記発光部の両端に設けられる非発光部とを有し、光反応性物質を含有する被処理パネルに光を照射する複数の放電ランプ
と;
前記複数の放電ランプと前記被処理パネルとの間に配置されるシャッタと;
を具備し、
前記複数の放電ランプは、各放電ランプの直径D[mm]と径方向に隣り合う放電ランプ間のピッチd1[mm]とが1.1D≦d1≦10Dの関係を有
し、
前記シャッタは、1000[mm/s]以上の駆動速度で開閉する可動部を有し、
前記可動部は、複数の第1可動片と複数の第2可動片とを有し、
前記シャッタが開状態から閉状態に動作される場合、前記複数の第1可動片は第1方向に、前記複数の第2可動片は前記第1方向とは反対の第2方向に、それぞれ移動し、
前記シャッタが閉状態から開状態に動作される場合、前記複数の第1可動片は前記第2方向に、前記複数の第2可動片は前記第1方向に、それぞれ移動する、
液晶パネル製造装置。
【請求項2】
前記複数の放電ランプは、
径方向に隣り合う放電ランプの発光部同士が20[mm]以上120[mm]以下の範囲でオーバーラップするように千鳥配列されている、請求項1に記載の
液晶パネル製造装置。
【請求項3】
前記被処理パネルは、液晶層と、前記液晶層を挟んで対向する一対の基板とを有し、
前記複数の放電ランプは、電圧を印加した前記液晶層に紫外線を照射する、請求項
1または2に記載の液晶パネル製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶パネル製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光反応性物質を含有する液晶体を封入した被処理パネルに対する電圧の印加と紫外線の照射を並行することで、液晶体に含まれるモノマーの配向状態を制御する液晶パネル製造装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011‐146363号公報
【文献】特開2009‐266574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高性能な液晶パネルを製造するためには、照射性能を向上させて被処理パネルに対する紫外線の照射ムラを低減することが求められる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、被処理パネルに対する紫外線の照射ムラを低減することができる液晶パネル製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の液晶パネル製造装置は、複数の放電ランプとシャッタとを具備する。放電ランプは、発光部と、発光部の両端に設けられる非発光部とを有する。放電ランプは、光反応性物質を含有する被処理パネルに光を照射する。シャッタは、複数の放電ランプと被処理パネルとの間に配置される。複数の放電ランプは、各放電ランプの直径D[mm]と径方向に隣り合う放電ランプ間のピッチd1[mm]とが1.1D≦d1≦10Dの関係を有する。シャッタは、1000[mm/s]以上の駆動速度で開閉する可動部を有する。可動部は、複数の第1可動片と複数の第2可動片とを有する。シャッタが開状態から閉状態に動作される場合、複数の第1可動片は第1方向に、複数の第2可動片は第1方向とは反対の第2方向に、それぞれ移動する。シャッタが閉状態から開状態に動作される場合、複数の第1可動片は第2方向に、複数の第2可動片は第1方向に、それぞれ移動する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被処理パネルに対する紫外線の照射ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る液晶パネル製造装置の側面図である。
【
図4】実施形態に係るランプモジュールの模式図である。
【
図6】実施形態に係る液晶パネル製造装置が備えるシャッタの平面図である。
【
図8】シャッタの可動部が閉じた液晶パネル製造装置の側面図である。
【
図9】可動部の駆動速度とパネル性能との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で説明する実施形態に係るランプモジュール41は、複数の放電ランプ1を具備する。放電ランプ1は、発光部と、発光部の両端に設けられる非発光部13とを有する。放電ランプ1は、光反応性物質を含有する被処理パネル6に光を照射する。複数の放電ランプ1は、各放電ランプの直径D[mm]と径方向に隣り合う放電ランプ1間のピッチd1[mm]とが1.1D≦d1≦10Dの関係を有する。
【0010】
また、以下で説明する実施形態に係る複数の放電ランプ1は、径方向に隣り合う放電ランプ1の発光部同士が20[mm]以上120[mm]以下の範囲でオーバーラップするように千鳥配列されている。
【0011】
また、以下で説明する実施形態に係る液晶パネル製造装置100は、ランプモジュール41とシャッタ60とを具備する。シャッタ60は、複数の放電ランプ1と被処理パネル6との間に配置される。シャッタ60は、1000[mm/s]以上の駆動速度で開閉する可動部67を有する。
【0012】
また、以下で説明する実施形態に係る被処理パネル6は、液晶層9と、液晶層9を挟んで対向する一対の基板7、8とを有し、複数の放電ランプ1は、電圧を印加した液晶層9に紫外線を照射する。
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下に示す各実施形態は、本発明が開示する技術を限定するものではない。また、以下に示す各実施形態及び各変形例は、矛盾しない範囲で適宜組合せることができる。また、各実施形態の説明において、同一構成には同一符号を付与して後出の説明を適宜省略する。
【0014】
[実施形態]
まず、
図1を用いて実施形態に係る液晶パネル製造装置の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る液晶パネル製造装置の側面図である。
【0015】
なお、説明を分かりやすくするために、
図1には、鉛直下向きを正方向とし、鉛直上向きを負方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後出の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。
【0016】
図1に示すように、実施形態に係る液晶パネル製造装置100は、照射部40と、ステージ部50と、シャッタ60とを有する。液晶パネル製造装置100は、ステージ部50に配置された被処理パネル6に紫外線を照射して液晶パネルを製造する装置である。
【0017】
照射部40は、ランプモジュール41と、点灯装置42と、反射板43とを有する。ランプモジュール41は、複数の放電ランプ1を有する。放電ランプ1は、点灯装置42を介して不図示の電源装置から供給された電力により、被処理パネル6の処理に適した波長の紫外線を放射する。ここで、
図2を用いて放電ランプ1の構成例について説明する。
【0018】
図2は、実施形態に係る放電ランプの側面図である。
図2に示すように、実施形態に係る放電ランプ1は、発光管10と、一対の口金11と、一対の接点12と、一対の電極20と、蛍光体30とを有する。一対の電極20は、発光管10の長さ方向の両端部に設けられており、発光管10を支持する一対の口金11の端部に位置するピン状の一対の接点12にそれぞれ接続されている。
【0019】
放電ランプ1は、例えば、管径D=15.5[mm]、発光長L1=1650[mm]、管長L2=1700[mm]、全長L3=1714.1[mm]の熱陰極蛍光ランプである。また、放電ランプ1の照度設定値は、例えば、0.5[mW/cm2](313[nm])とすることができる。発光管10は、石英(SiO2)を主成分とする硬質ガラスであり、接点12を介した通電により生じた光を透過する。発光管10は、発光部の一例である。一方、発光管10の両端に配置された口金11および接点12を総称して、非発光部13と称する場合がある。
【0020】
また、放電ランプ1は、蛍光体30として、例えば、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)およびバリウム(Ba)のうち、一以上を有するアルミン酸塩と、賦活剤としてのセリウム(Ce)とを含有する。具体的には、例えば、SrAl12O19:Ce(セリウム賦活アルミン酸ストロンチウム)または(MgSrBa)Al11O19:Ceを蛍光体30として適用することができる。蛍光体30は、例えば、発光管10の内面に塗布されている。また、発光管10の内部には、例えばアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)等の希ガスを含む不活性ガスと、水銀とが封入されている。
【0021】
反射板43は、放電ランプ1から放射される紫外線をステージ部50に向かうように反射させることで、照射効率を高めるものである。
図1に示した例では、反射板43は、ランプモジュール41の背面側(Z軸負方向側)にのみ配置させたが、これに限らず、例えば、照射部40やステージ部50の内部に配置させてもよい。
【0022】
ステージ部50は、ステージ51と、リフトピン52とを有する。ステージ51は、所定の位置に載置された被処理パネル6に電圧を印加する。ステージ51は、例えば、放熱性の高いアルミニウムを使用することができる。また、ステージサイズは、特に制限されないが、例えば、3000[mm](X軸方向)×3400[mm]のステージ51であってもよい。また、ステージ51の表面にフッ素樹脂をコーティングすると、パネル交換後の迅速な除電が可能となり、液晶パネルを効率よく製造することができる。
【0023】
リフトピン52は、載置された被処理パネル6を昇降させる昇降機であり、主として被処理パネル6の搬出入に使用される。具体的には、リフトピン52は、不図示の搬出入口からステージ部50に搬入された被処理パネル6を受け取る。また、リフトピン52は、ステージ51上に載置された紫外線照射後の被処理パネル6を浮上させ、不図示の搬送ロボットに受け渡す。
【0024】
上述したように、実施形態に係る放電ランプ1は、被処理パネル6の処理に適した波長の紫外線を放射することで液晶パネルを効率よく製造することができるものである。ここで、
図3を用いて、被処理パネル6について説明する。
【0025】
図3は、液晶パネルを模式的に示す断面図である。
図3に示す被処理パネル6は、一対の基板7、8と、基板7と基板8との間に設けられた液晶層9とを有する。
【0026】
基板7は、例えば、赤色、緑色、青色の光を透過するカラーフィルタ(図示しない)が基材上に配置され、保護膜でカラーフィルタが覆われてなるカラーフィルタ基板である。基板8は、液晶層9を挟んで基板7と対向するように設けられた対向基板であり、複数の電極がアレイ状に配置されている。
【0027】
液晶層9は、液晶組成物と光反応性物質としての重合性モノマーとを含む。液晶層9は、放電ランプ1から放射された特定の波長を有する紫外線を吸収することで重合性モノマーが重合し、ステージ51上での電圧の印加によって配向を制御させた液晶組成物が安定化される。
【0028】
次に、実施形態に係るランプモジュール41における複数の放電ランプ1の配置について説明する。
図4は、実施形態に係るランプモジュールの模式図である。
【0029】
図4に示すように、複数の放電ランプ1は、天板44に設けられたソケット(不図示)にそれぞれ装着されており、放電ランプ1の長さ方向がシャッタ60の開閉方向であるX軸方向に沿うようにそれぞれ平行に配置されている。なお、天板44は、反射板43(
図1参照)を兼ねてもよい。ソケットは、放電ランプ1を点灯させる点灯装置42(
図1参照)と電気的に接続されており、点灯装置42よりソケットを介して放電ランプ1に電力が供給されることで、放電ランプ1が点灯する。放電ランプ1の点灯により、ステージ51上に載置された被処理パネル6に向けて紫外線が照射される。
【0030】
また、複数の放電ランプ1は、径方向(Y軸方向)に隣り合う放電ランプ1間のピッチd1[mm]が等間隔となるようにそれぞれ配置されている。具体的には、各放電ランプ1の直径D[mm](
図2参照)に対し、1.1D≦d1≦10Dの関係を有するように配置される。ピッチd1[mm]を上記した範囲に規定することで、ステージ51上に載置された被処理パネル6の全体にわたって紫外線の照射ムラを低減することができ、高性能な液晶パネルの製造が可能となる。
【0031】
一方、ピッチd1[mm]が10Dを超えると、ランプモジュール41から照射される紫外線の均斉度が低下する。また、ピッチd1[mm]が10Dを超えると、単位面積当たりに配置される放電ランプ1の数が少なくなるため、所定の照度を満足できない。このため、高性能な液晶パネルの製造が困難となる。また、ピッチd1[mm]が1.1D未満とすると、径方向に隣り合う放電ランプ1の発光部(発光管10)または非発光部13とソケット(不図示)とが干渉する可能性が高く、現実的でない。
【0032】
また、ランプモジュール41は、径方向に隣り合う放電ランプ1の発光部としての発光管10同士が所定の寸法d2[mm]だけオーバーラップするように千鳥配列される。寸法d2[mm]は、ランプモジュール41の長手方向(X軸方向)の均斉度に影響を及ぼす。具体的には、
図4に示す寸法d2[mm]が、例えば、20[mm]以上120[mm]以下の範囲となるように配列されることにより、被処理パネル6に対する紫外線の照射ムラを低減することができ、高性能な液晶パネルの製造が可能となる。寸法d2[mm]が20[mm]未満だと、オーバーラップさせた部分の近傍において照度が相対的に低下し、均斉度が低下する。また、寸法d2[mm]が120[mm]を超えると、オーバーラップさせた部分の近傍において照度が相対的に増大し、均斉度が低下する。この点につき、
図5に示した例を用いて説明する。
【0033】
図5は、配向分布を比較した結果を示す図である。
図5に示す例では、管径D=15.5[mm]、発光長L1=1650[mm]の発光管10を有する複数の放電ランプ1を、ピッチd1=19[mm]、寸法d2=130、60、10[mm]だけオーバーラップするように千鳥配列されたランプモジュール41をそれぞれ作製し、配向分布を比較したものである。
【0034】
また、
図5中、横軸の「測定ポイント[mm]」は、
図4に記載されている寸法d2のX軸方向に平行な中心を0[mm]と規定し、ランプ軸方向に沿って300[mm]離れた箇所をそれぞれ300[mm]、900[mm]と規定したものである。また、縦軸の「313nm相対照度」とは、
図4に記載のとおり、複数の放電ランプ1の配列が異なることによる照度分布に影響がない箇所、具体的にはX=+450[mm]、-450[mm]の照度値を基準に、規格化したものである。照度値は、照度計:UV-M03A(オーク製作所製)、センサ:UV-SN31(オーク製作所製)で測定した値である。なお、X=+450[mm]、-450[mm]のポイントにおける照度値は同じであるが、X=+450[mm]とX=-450[mm]のポイントにおける照度値が異なる場合は、おのおのの照度値を足し合わせた平均値を基準に規格化してもよい。
【0035】
図5に示すように、寸法d2=60[mm]の場合には、被処理パネル6に対する紫外線の照射ムラが少なく、高性能な液晶パネルの製造が可能となる。一方、寸法d2[mm]=10[mm]の場合には、測定ポイント=-300[mm]~300[mm]付近において照度が相対的に低下し、均斉度が低下する。また、寸法d2[mm]=130[mm]の場合には、測定ポイント=-400[mm]~400[mm]付近において照度が相対的に増大してしまい、均斉度が低下する。
【0036】
図1に戻り、液晶パネル製造装置100についてさらに説明する。シャッタ60は、照射部40とステージ部50との間に配置されており、ステージ部50に搬入された被処理パネル6に対し、照射部40から照射される紫外線の照射時間やタイミングを制御する。ここで、
図6~
図8を用いて、シャッタ60についてさらに説明する。
【0037】
図6は、実施形態に係る液晶パネル製造装置が備えるシャッタの平面図である。
図7は、可動部が閉じたシャッタの平面図である。
図8は、シャッタの可動部が閉じた液晶パネル製造装置の側面図である。
【0038】
図6、
図7に示すように、シャッタ60は、固定部62と、可動部67と、駆動部68とを有する。照射部40から照射される紫外線は、開口61を介してステージ部50に向けて照射される。開口61は、可動部67が開くことによってシャッタ60の中央に形成される。開口61は、可動部67の開閉方向であるX軸方向の寸法X1[mm]、固定部62が延在するY軸方向の寸法Y1[mm]を最大とする被処理パネル6に対し、照射部40から放射される紫外線を均等に照射可能となるように設計される。具体的には、液晶パネル製造装置100は、寸法X1=2970[mm]、寸法Y1=3370[mm]となる被処理パネル6の加工が可能である。
【0039】
図7、
図8に示すように、可動部67は、可動片63~66を含む。また、駆動部68は、可動片63~66の開閉を制御する一対の駆動ユニット68a~68dをそれぞれ有する。駆動ユニット68a~68dは、例えば、リニアモータその他の直動モータを有してもよい。不図示のシャッタ制御部により可動部67が開→閉に動作されるとき、駆動ユニット68a、68bは可動片63、64をX軸正方向側にそれぞれ移動させ、駆動ユニット68c、68dは可動片65、66をX軸負方向側にそれぞれ移動させる。また、可動部67が閉→開に動作されるとき、駆動ユニット68a、68bは可動片63、64をX軸負方向側にそれぞれ移動させ、駆動ユニット68c、68dは可動片65、66をX軸正方向側にそれぞれ移動させる。なお、駆動部68は、回転モータの駆動を直線運動に変換する直動機構を有してもよい。
【0040】
上述のように、シャッタ60は、ステージ部50に搬入された被処理パネル6に対し、照射部40から照射される紫外線の照射時間やタイミングを制御する。具体的には、
図8に示すように、リフトピン52が上昇した状態でステージ部50に搬入された後、リフトピン52の降下によってステージ51上に載置された被処理パネル6は、所定の電圧印加が開始された後、照射部40から被処理パネル6への紫外線照射が実施される。
【0041】
すなわち、照射部40から被処理パネル6への紫外線照射は、駆動部68による可動部67の駆動速度を制御し、可動部67の閉→開、開→閉の状態遷移に要する時間を低減することによって実現することができる。具体的には、液晶パネル製造装置100は、シャッタ60の可動部67が、例えば1000[mm/s]以上、さらに1000[mm/s]以上2000[mm/s]以下の駆動速度で開閉するよう駆動部68を制御すると、被処理パネル6に対する紫外線の照射ムラが低減する。ここで、「駆動速度」とは、可動部67が閉→開、開→閉と状態遷移するのに要した駆動時間に基づいてそれぞれ算出された駆動速度を平均することで算出されたものである。なお、可動部67が「開」または「閉」の状態を維持した時間については、駆動時間に含まれない。
【0042】
図9は、可動部の駆動速度とパネル性能との関係を示す図である。
図9では、可動部67の駆動速度を500[mm/s]~3000[mm/s]の間で変更させたときの被処理パネル6の状態を、シャッタ耐久性と並べて示したものである。
図9中、「○」、「△」、「×」は、○>△>×の順で被処理パネル6の状態またはシャッタ60の耐久性がよいことをそれぞれ示すものである。
【0043】
図9に示すように、可動部67の駆動速度が1000[mm/s]以上だと、例えば
図6に示す被処理パネル6は、可動部67の駆動方向であるX軸方向の全体にわたって良好な液晶パネルが得られる。一方、可動部67の駆動速度が1000[mm/s]未満(500[mm/s]、700[mm/s])だと、可動部67の駆動方向に照射ムラが生じ、所望する品質の液晶パネルが得られない場合がある。
【0044】
なお、可動部67の駆動速度は、シャッタ60の耐久性に影響する場合がある。
図9に示すように、可動部67の駆動速度が2000[mm/s]以下の場合には、シャッタ60の耐久性に対する影響は認められないが、可動部67の駆動速度が2000[mm/s]を超える(2500[mm/s]、3000[mm/s])と、シャッタ60の駆動部68や可動部67に経時劣化が生じやすくなる。
【0045】
上述したように、実施形態に係るランプモジュール41は、複数の放電ランプ1を具備する。放電ランプ1は、発光部と、発光部の両端に設けられる非発光部13とを有する。放電ランプ1は、光反応性物質を含有する被処理パネル6に光を照射する。複数の放電ランプ1は、各放電ランプの直径D[mm]と径方向に隣り合う放電ランプ1間のピッチd1[mm]とが1.1D≦d1≦10Dの関係を有する。このため、被処理パネル6に対する紫外線の照射ムラを低減することができる。
【0046】
また、実施形態に係る複数の放電ランプ1は、径方向に隣り合う放電ランプ1の発光部同士が20[mm]以上120[mm]以下の範囲でオーバーラップするように千鳥配列されている。このため、被処理パネル6に対する紫外線の照射ムラをさらに低減することができる。
【0047】
また、実施形態に係る液晶パネル製造装置100は、ランプモジュール41とシャッタ60とを具備する。シャッタ60は、複数の放電ランプ1と被処理パネル6との間に配置される。シャッタ60は、1000[mm/s]以上の駆動速度で開閉する可動部67を有する。このため、被処理パネル6に対する紫外線の照射ムラを低減することができる。
【0048】
なお、上記した実施形態では、放電ランプ1は、蛍光体30として、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)およびバリウム(Ba)のうち、一以上を有するアルミン酸塩を含有するとして説明されたが、これに限らず、蛍光体30として、例えばLaPO4:Ce(セリウム賦活リン酸ランタン)を適用してもよい。また、放電ランプ1として、熱陰極蛍光ランプに代えて、メタルハライドランプを使用してもよい。
【0049】
また、上記した実施形態では、シャッタ60の可動部67がX軸方向に沿って開閉するとして説明したが、これに限らず、Y軸方向に沿って開閉してもよい。
【0050】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 放電ランプ
6 被処理パネル
7、8 基板
9 液晶層
10 発光管
20 電極
30 蛍光体
40 照射部
41 ランプモジュール
50 ステージ部
51 ステージ
60 シャッタ
61 開口
67 可動部
68 駆動部
100 液晶パネル製造装置