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  • 特許-信号入力装置及び信号検出方法 図1
  • 特許-信号入力装置及び信号検出方法 図2
  • 特許-信号入力装置及び信号検出方法 図3
  • 特許-信号入力装置及び信号検出方法 図4
  • 特許-信号入力装置及び信号検出方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】信号入力装置及び信号検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20221206BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01H9/54 C
G01R31/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019081000
(22)【出願日】2019-04-22
(65)【公開番号】P2020177862
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 酉磨
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-257749(JP,A)
【文献】特表2011-530204(JP,A)
【文献】特開2012-080759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54 - 9/56
G01R 31/00 - 31/01
G01R 31/24 - 31/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部スイッチのオン状態及びオフ状態を検出する信号入力装置であって、
前記外部スイッチに電圧を出力する電圧出力状態と前記外部スイッチへの電圧の出力を遮断する電圧遮断状態とを切り替え可能な断続部と、
前記電圧出力状態において出力された電圧が前記外部スイッチを経て入力される入力電圧に感応して検出信号を出力する検出部と、
前記断続部を制御すると共に前記検出信号を取得可能な制御部とを備え、
前記制御部は、
前記断続部を制御して前記外部スイッチに出力される電圧をパルス状に変化させ、所定時間内に前記検出信号が変化することを確認する確認モードと、
前記外部スイッチに出力される電圧を変化させたときの前記入力電圧の応答性に基づいて、前記確認モードにおける前記所定時間を調整する調整モードと、
前記電圧出力状態であるときに前記検出信号が変化したとき、前記外部スイッチのオンオフ状態が変化したことを検出する通常モードとを有する、
信号入力装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記入力電圧が閾値を越えて変化したときに前記検出信号が変化し、
前記制御部は、前記調整モードにおいて前記外部スイッチに出力される電圧を変化させてから前記入力電圧が前記閾値を越えて変化するまでの時間を計測し、当該計測された時間以上の時間に前記所定時間を設定する、
請求項1に記載の信号入力装置。
【請求項3】
信号入力装置によって外部スイッチのオン状態及びオフ状態を検出する信号検出方法であって、
前記信号入力装置から前記外部スイッチに出力される電圧を変化させてから、前記外部スイッチを経て前記信号入力装置に入力される入力電圧が閾値を越えて変化するまでの時間を計測する計測ステップと、
前記外部スイッチに出力される電圧をパルス状に変化させ、前記計測ステップで計測された時間に基づいて設定された所定時間内に前記入力電圧が前記閾値を越えて変化することを確認する確認ステップと、
を有する信号検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部スイッチのオン状態及びオフ状態を検出する信号入力装置及び信号検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工作機械やプラント等の設備を制御するための制御装置では、外部スイッチのオン状態及びオフ状態を高い信頼性を以って検出することが必要な場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の安全回路は、プログラマブル論理回路を有しており、このプログラマブル論理回路の一部が外部スイッチの動作に障害があるか否かをテストパルスにより監視するテスト監視装置として構成されている。テストパルスは、外部スイッチの評価を行う評価回路の駆動制御信号に重畳され、外部スイッチが規定通りに動作している場合、重畳されたテストパルスがフィードバック入力端において検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-530204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構成では、例えば外部スイッチとの間の配線が長いと、この配線における浮遊容量等によってパルス波形がなまり、外部スイッチが正常に作動するか否かの判定が正確に行えないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、外部スイッチとの間の配線長が長い場合でも、外部スイッチが正常に作動するか否かの判定を正確に行うことが可能な信号入力装置及び信号検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するため、外部スイッチのオン状態及びオフ状態を検出する信号入力装置であって、前記外部スイッチに電圧を出力する電圧出力状態と前記外部スイッチへの電圧の出力を遮断する電圧遮断状態とを切り替え可能な断続部と、前記電圧出力状態において出力された電圧が前記外部スイッチを経て入力される入力電圧に感応して検出信号を出力する検出部と、前記断続部を制御すると共に前記検出信号を取得可能な制御部とを備え、前記制御部は、前記断続部を制御して前記外部スイッチに出力される電圧をパルス状に変化させ、所定時間内に前記検出信号が変化することを確認する確認モードと、前記外部スイッチに出力される電圧を変化させたときの前記入力電圧の応答性に基づいて、前記確認モードにおける前記所定時間を調整する調整モードと、前記電圧出力状態であるときに前記検出信号が変化したとき、前記外部スイッチのオンオフ状態が変化したことを検出する通常モードとを有する、信号入力装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記の目的を達成するため、信号入力装置によって外部スイッチのオン状態及びオフ状態を検出する信号検出方法であって、前記信号入力装置から前記外部スイッチに出力される電圧を変化させてから、前記外部スイッチを経て前記信号入力装置に入力される入力電圧が閾値を越えて変化するまでの時間を計測する計測ステップと、前記外部スイッチに出力される電圧をパルス状に変化させ、前記計測ステップで計測された時間に基づいて設定された所定時間内に前記入力電圧が前記閾値を越えて変化することを確認する確認ステップと、を有する信号検出方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る信号入力装置及び信号検出方法によれば、外部スイッチとの間の配線長が長い場合でも、外部スイッチが正常に作動するか否かの判定を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る信号入力装置の構成例を示す概略構成図である。
図2】(a)及び(b)は、確認モードにおける制御信号及び検出信号の時間的な変化の一例を示し、(a)は正常時の信号波形を、(b)は短絡異常が発生した場合の信号波形を、それぞれ示している。
図3】(a)及び(b)は、テストパルスを発生したときの制御信号、入力電圧、及び検出信号の変化の一例を示し、(a)は第1及び第2の導線が短い場合の波形を、(b)は第1及び第2の導線が長い場合の波形を、それぞれ示している。
図4】調整モードにおける制御信号、入力電圧、及び検出信号の波形の例を示すグラフである。
図5】調整モードにおける調整結果に基づいて設定されたパルス幅のテストパルスの波形の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る信号入力装置1の構成例を示す概略構成図である。この信号入力装置1は、外部スイッチのオン状態及びオフ状態を高い信頼性を以って検出するためのものであり、本実施の形態では、信号入力装置1が複数の外部スイッチのオン状態及びオフ状態を検出する。信号入力装置1は、直流電源4から直流電圧の供給を受けて動作する。本実施の形態では、直流電源4の出力電圧が24Vである。
【0013】
信号入力装置1は、例えば工作機械等の設備を制御する制御装置であるプログラマブルコントローラの入力モジュールとして用いられ、外部スイッチのオンオフ状態の検出結果を上位コントローラであるCPUモジュールに出力する。外部スイッチは、例えば制御対象の設備の動作を即座に停止させるための非常停止スイッチである。本実施の形態では、信号入力装置1が2つの外部スイッチ(第1及び第2の外部スイッチ2,3)のオンオフ状態を検出する場合について説明するが、信号入力装置1に接続される外部スイッチの数は特に限定されるものではなく、一つでもよいし、三つ以上でもよい。
【0014】
信号入力装置1は、例えば予め不揮発性メモリに記憶されたプログラムをCPU(演算処理装置)が実行することにより実現される制御部11と、第1及び第2のスイッチング素子12,13と、第1及び第2のフォトカプラ14,15と、第1乃至第4の抵抗器16~19とを有している。なお、制御部11をASIC(特定用途向け集積回路)やFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等のハードウェアにより実現してもよい。
【0015】
第1のスイッチング素子12及び第1のフォトカプラ14は、第1の外部スイッチ2のオンオフ状態を検出するための第1の検出回路部1Aの構成要素である。第2のスイッチング素子13及び第2のフォトカプラ15は、第2の外部スイッチ3のオンオフ状態を検出するための第2の検出回路部1Bの構成要素である。第1の外部スイッチ2は、第1及び第2の導線51,52によって信号入力装置1に接続され、第2の外部スイッチ3は、第3及び第4の導線53,54によって信号入力装置1に接続されている。
【0016】
本実施の形態では、第1のスイッチング素子12がベース、コレクタ、エミッタを有するトランジスタであり、制御部11から第1のスイッチング素子12のベースに制御信号Vcs1が出力される。第1のスイッチング素子12は、制御部11から制御信号Vcs1が供給されたとき、コレクタ-エミッタ間が導通状態となる。第1のスイッチング素子12のコレクタには、第1の抵抗器16を介して電源電圧Vccが供給される。第1のスイッチング素子12のエミッタは、信号入力装置1の出力端子101に接続されている。
【0017】
同様に、第2のスイッチング素子13は、ベース、コレクタ、エミッタを有するトランジスタであり、制御部11から第2のスイッチング素子13のベースに制御信号Vcs2が出力される。第2のスイッチング素子13は、制御部11から制御信号Vcs2が供給されたとき、コレクタ-エミッタ間が導通状態となる。第2のスイッチング素子13のコレクタには、第3の抵抗器18を介して電源電圧Vccが供給される。第2のスイッチング素子13のエミッタは、信号入力装置1の出力端子103に接続されている。
【0018】
第1の外部スイッチ2は、一対の電極21,22と、一対の電極21,22に接触及び離間する金属導体からなる接触子23と、一対の電極21,22及び接触子23を収容する筐体24と、作業者等が操作するための操作部25とを有している。第2の外部スイッチ3も同様に、一対の電極31,32と、一対の電極31,32に接触及び離間する金属導体からなる接触子33と、一対の電極31,32及び接触子33を収容する筐体34と、作業者等が操作するための操作部35とを有している。
【0019】
第1の外部スイッチ2は、図略の弾性体によって接触子23が一対の電極21,22に付勢されており、操作部25が操作されていないときには一対の電極21,22が接触子23によって短絡されている。また、操作部25が筐体24に向かって押されると、接触子23が一対の電極21,22から離間して一対の電極21,22の導通が遮断される。第2の外部スイッチ3についても同様である。
【0020】
第1の外部スイッチ2の一対の電極21,22のうち一方の電極21は、第1の導線51により信号入力装置1の出力端子101に接続され、他方の電極22は、第2の導線52により信号入力装置1の入力端子102に接続されている。また、第2の外部スイッチ3の一対の電極31,32のうち一方の電極31は、第3の導線53により信号入力装置1の出力端子103に接続され、他方の電極32は、第4の導線54により信号入力装置1の入力端子104に接続されている。
【0021】
第1及び第2のフォトカプラ14,15は、発光ダイオードとフォトトランジスタとを光結合して構成されている。第1のフォトカプラ14は、発光ダイオードのアノードが入力端子102に接続され、フォトトランジスタのコレクタに電源電圧Vccが供給されている。第2のフォトカプラ15は、発光ダイオードのアノードが入力端子104に接続され、フォトトランジスタのコレクタに電源電圧Vccが供給されている。第1のフォトカプラ14のフォトトランジスタのエミッタは、第2の抵抗器17を介して電気的に接地されている。第2のフォトカプラ15のフォトトランジスタのエミッタは、第4の抵抗器19を介して電気的に接地されている。第1及び第2のフォトカプラ14,15の発光ダイオードのカソードは、電気的に接地されている。
【0022】
第2の抵抗器17と第1のフォトカプラ14のフォトトランジスタのエミッタとの間の電圧は、第1のフォトカプラ14の検出信号Vds1として制御部11に入力される。第4の抵抗器19と第2のフォトカプラ15のフォトトランジスタのエミッタとの間の電圧は、第2のフォトカプラ15の検出信号Vds2として制御部11に入力される。すなわち、第1及び第2のフォトカプラ14,15は、エミッタ出力により、検出信号Vds1,Vds2を制御部11に出力する。
【0023】
第1の検出回路部1Aにおいて、第1のスイッチング素子12は、第1の外部スイッチ2に電圧を出力する電圧出力状態と第1の外部スイッチ2への電圧の出力を遮断する電圧遮断状態とを切り替え可能な断続部として機能する。また、第1のフォトカプラ14は、電圧出力状態において出力された電圧が第1の外部スイッチ2を経て入力端子102に入力される入力電圧Vin1に感応して検出信号Vds1を出力する検出部として機能する。検出信号Vds1は、入力電圧Vin1が所定の閾値を越えて変化したときに変化する。本実施の形態では、この閾値の電圧が7.2Vである。
【0024】
第2の検出回路部1Bにおいて、第2のスイッチング素子13は、第2の外部スイッチ3に電圧を出力する電圧出力状態と第2の外部スイッチ3への電圧の出力を遮断する電圧遮断状態とを切り替え可能な断続部として機能する。また、第2のフォトカプラ15は、電圧出力状態において出力された電圧が第2の外部スイッチ3を経て入力端子104に入力される入力電圧Vin2に感応して検出信号Vds2を出力する検出部として機能する。検出信号Vds2は、入力電圧Vin2が所定の閾値を越えて変化したときに変化する。本実施の形態では、この閾値の電圧が上記と同様に7.2Vである。
【0025】
制御部11は、制御信号Vcs1,Vcs2によって第1及び第2のスイッチング素子12,13を制御すると共に検出信号Vds1,Vds2を取得可能であり、この検出信号Vds1,Vds2によって第1及び第2の外部スイッチ2,3のオンオフ状態を検出することができる。また、制御部11は、複数の動作モードで動作する。本実施の形態では、この複数の動作モードが、確認モード、調整モード、通常モードである。
【0026】
確認モードは、第1及び第2のスイッチング素子12,13を制御して第1及び第2の外部スイッチ2,3に出力される電圧をパルス状に変化させ、所定時間内に検出信号Vds1,Vds2が変化することを確認するモードである。この確認モードでは、第1乃至第4の導線51~54の配線等に異常がなく、第1の外部スイッチ2の操作部25が操作された場合には検出信号Vds1が変化し、第2の外部スイッチ3の操作部35が操作された場合には検出信号Vds2が変化することを確認するためのものである。
【0027】
調整モードは、第1及び第2の外部スイッチ2,3に出力される電圧を変化させたときの入力電圧Vin1,Vin2の応答性に基づいて、確認モードにおける所定時間を調整するモードである。確認モードにおける所定時間を調整することの必要性及び具体的な手順については後述する。
【0028】
通常モードは、信号入力装置1の出力端子101,103から第1及び第2の外部スイッチ2,3に電圧が出力される電圧出力状態で検出信号Vds1,Vds2が変化したとき、第1及び第2の外部スイッチ2,3のオンオフ状態が変化したことを検出するモードである。換言すれば、制御部11は、確認モード及び調整モード以外の動作時において、検出信号Vds1が変化したときには第1の外部スイッチ2のオンオフ状態が変化したと判定し、検出信号Vds2が変化したときには第2の外部スイッチ3のオンオフ状態が変化したと判定する。
【0029】
図2(a)及び(b)は、確認モードにおける制御信号Vcs1,Vcs2及び検出信号Vds1,Vds2の時間的な変化の一例を示し、(a)は正常時の信号波形を、(b)は第2の導線52と第4の導線54とが短絡する短絡異常が発生した場合の信号波形を、それぞれ示している。
【0030】
図2(a)に示すように、正常時には、制御部11が制御信号Vcs1をパルス状に変化させたとき、この制御信号Vcs1に同期して検出信号Vds1が変化し、制御部11が制御信号Vcs2をパルス状に変化させたとき、この制御信号Vcs2に同期して検出信号Vds2が変化する。一方、第2の導線52と第4の導線54とが短絡している場合には、図2(b)に示すように、制御部11が制御信号Vcs1,Vcs2を変化させても検出信号Vds1,Vds2が変化しない。このような異常が発生した場合には、制御部11が異常信号を出力し、上位コントローラに異常を報知する。以下、確認モードにおける制御信号Vcs1,Vcs2のパルス状の変化をテストパルスという。
【0031】
ところで、例えば設備の構成等によっては、第1乃至第4の導線51~54の長さが長くなる場合がある。このような場合、第1乃至第4の導線51~54における浮遊容量の影響により、入力電圧Vin1,Vin2の波形の変化が鈍くなることがある。このように入力電圧Vin1,Vin2の波形が鈍る(なまる)と、確認モードにおいて検出信号Vds1,Vds2が所定時間内に変化せず、異常を誤検出してしまうおそれがある。
【0032】
図3(a)及び(b)は、テストパルスを発生したときの制御信号Vcs1、入力電圧Vin1、及び検出信号Vds1の変化の一例を示し、(a)は第1及び第2の導線51,52が短い場合の波形を、(b)は第1及び第2の導線51,52が長い場合の波形を、それぞれ示している。
【0033】
図3(a)及び(b)では、時刻t0においてテストパルスが発生し、時刻t1において検出信号Vds1の信号状態を確認する場合について図示している。この図示例では、テストパルスのパルス幅が300μ秒であり、時刻t0と時刻t1との間隔が200μ秒である。
【0034】
第1及び第2の導線51,52が短い場合には、図3(a)に示すように、時刻t1よりも前に入力電圧Vin1が第1のフォトカプラ14の閾値Vsh(本実施の形態では7.2V)を下回り、検出信号Vds1が変化している。この場合には、確認モードにおいて異常が誤検出されない。一方、第1及び第2の導線51,52が長く、浮遊容量によって入力電圧Vin1が大きく鈍ると、図3(b)に示すように、時刻t1における入力電圧Vin1の電圧値Vaが閾値Vshよりも高く、時刻t1までに検出信号Vds1の信号状態が変化しない。この場合には、異常が誤検出される。
【0035】
そこで、本実施の形態では、調整モードにおいて、制御部11が、第1及び第2の外部スイッチ2,3に出力される電圧を変化させてから入力電圧Vin1,Vin2が閾値Vshを越えて変化するまでの時間を計測し、確認モードにおける所定時間を当該計測された時間以上の時間に設定する。次に、この具体例について図4及び図5を参照して説明する。
【0036】
図4は、調整モードにおける制御信号Vcs1、入力電圧Vin1、及び検出信号Vds1の波形の一例を示すグラフである。図5は、調整モードにおける調整結果に基づいて設定されたパルス幅のテストパルスの波形の一例を示すグラフである。
【0037】
制御部11は、調整モードにおいて、制御信号Vcs1をオフ状態とし、入力電圧Vin1が閾値Vshを下回るのに十分な時間のパルス幅のパルス信号を発生させる。また、制御部11は、調整モードにおいて一定の時間間隔で検出信号Vds1の信号状態を確認する。図4の図示例では、時刻t0において制御信号Vcs1をオフ状態とした後、時刻t1,t2,t3,t4,及びt5において200μ秒ごとに検出信号Vds1の信号状態を確認する。
【0038】
図4に示す例では、時刻t0から400μ秒経過した後の時刻t2では入力電圧Vin1の電圧値Vbが閾値Vshよりも高く、600μ秒経過した時刻t3では入力電圧Vin1の電圧値Vbが閾値Vshよりも低い。このため、検出信号Vds1は時刻t2と時刻t3との間で変化し、制御部11は時刻t3において検出信号Vds1が変化したことを検知する。この場合、制御部11における計測時間は600μ秒となる。
【0039】
これにより、制御部11は、第1の外部スイッチ2に対して確認モードの動作を行う場合の所定時間を、上記の計測時間(ここでは600μ秒)以上の時間に設定する。より具体的には、確認モードにおける所定時間を、計測時間と同じ時間(600μ秒)もしくは計測時間よりも長い時間(例えば700μ秒)に設定する。なお、確認モードにおける所定時間は、計測時間よりも長い時間に設定することが、異常の誤検出を防ぐためにはより望ましい。また、制御部11は、第2の外部スイッチ3に関しても、上記と同様に確認モードの動作を行う際の所定時間を設定する。
【0040】
制御部11は、テストパルスのパルス幅を、確認モードにおける所定時間として設定した時間よりも長い時間に設定する。図5では、パルス幅を800μ秒とした場合のテストパルスの波形の例を図4と同じ時間軸で示している。
【0041】
調整モードにおいて設定された所定時間及びテストパルスのパルス幅は、信号入力装置1の不揮発性メモリに記憶される。調整モードの動作は、例えば信号入力装置1の電源投入時に一回行ってもよく、あるいは第1乃至第4の導線51~54によって第1及び第2の外部スイッチ2,3を信号入力装置1に接続した際に一回のみ行ってもよい。
【0042】
調整モードにおいて、信号入力装置1から第1及び第2の外部スイッチ2,3に出力される電圧を変化させてから入力電圧Vin1,Vin2が閾値Vshを越えて変化するまでの時間を計測する処理は、本発明に係る信号検出方法の計測ステップにあたる。また、確認モードにおいて第1及び第2の外部スイッチ2,3に出力される電圧をパルス状に変化させ、計測ステップで計測された時間に基づいて設定された所定時間内に入力電圧Vin1,Vin2が閾値Vshを越えて変化することを確認する処理は、本発明に係る信号検出方法の確認ステップに相当する。
【0043】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、確認モードにおいて、調整モードにおいて調整された所定時間内に前記検出信号が変化することを確認するので、例えば第1乃至第4の導線51~54の配線長が長い場合でも、異常の誤検出を発生させることなく、第1及び第2の外部スイッチ2,3が正常に作動するか否かの判定を正確に行うことが可能となる。
【0044】
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、これらの実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…信号入力装置 11…制御部
12…第1のスイッチング素子(断続部) 13…第2のスイッチング素子(断続部)
14…第1のフォトカプラ(検出部) 15…第2のフォトカプラ(検出部)
2…第1の外部スイッチ 3…第2の外部スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5