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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/10 20060101AFI20221206BHJP
   A01B 71/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
A01B63/10 F
A01B71/02 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019137217
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021019517
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-12-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 智博
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143788(JP,A)
【文献】実開平07-001702(JP,U)
【文献】特開平07-227103(JP,A)
【文献】特開2010-126108(JP,A)
【文献】特開平07-025261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 1/00 - 79/02
B62D 41/00 - 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦席(10)の後方で左右フェンダ(35L,35R)の間に左右フレーム(38)を設け、前記左右フレーム(38)に該左右フレーム(38)より下方に位置すべく外部油圧取出用機器(43a,43b)を支持し、該左右フレーム(38)より上方に突出すべくナンバープレート(39)を設けた作業車両であって、
操縦席(10)の後方で左右フェンダ(35L,35R)の間であって、該左右フェンダ(35L,35R)を連結補強しながら背面板(37)を支持する左右フレーム(38)を設け、該左右フレーム(38)に、ナンバープレート(39)を支持する台座(38a)と、低速車マーク(40)の支柱を保持する保持枠(38b)と、作業機(6)の電装接続用のソケット(41)の取付座(38c)と、外部油圧ホース(42)及び外部油圧取出用機器(43a,43b)を支持する外部油圧用ブラケット(44)を形成し、
ナンバープレート(39)と低速車マーク(40)はいずれも左右フレーム(38)よりも上方に、かつ左右方向に並列して設けられ、
前記ソケット(41)は前記左右フレーム(38)と同等の高さ位置に配置され、
外部油圧用ブラケット(44L,44R)は左右フレーム(38)より下方にあって、前記左右フレーム(38)の左右両側部にそれぞれに設けられ、かつ、前記外部油圧ホース(42a,42b)をそれぞれ固定する構成とし、
前記外部油圧ホース(42a,42b)の各端部それぞれに前記外部油圧取出用機器(43a,43b)を備え
前記外部油圧取出用機器(43a,43b)を、リフトアーム(28L)およびリフトロッド(30L)による左側昇降リンクと安全フレーム(33)の左側の下部支柱(34L)との間、又はリフトアーム(28R)およびリフトロッド(30R)による右側昇降リンクと前記安全フレーム(33)の右側の下部支柱(34R)との間に設けてなり、
前記安全フレーム(33)の下部支柱(34L,34R)の各下端は、後車軸(15L,15R)を支持するリヤアクスルケース(32L,32R)に支持構成されるとともに、U型の上部フレーム(36)が延出上端の連結部を介して接続されるように、前記左右フェンダ(35L,35R)の内側で、かつ、前記左右フェンダ(35L,35R)及び前記左右フレーム(38)の高さからそれぞれ外方に向け湾曲形成されて延出され、
前記ナンバープレート(39)と前記低速車マーク(40)はいずれも前記安全フレーム(33)の湾曲形成された部位の内側に設けられ、
前記外部油圧取出用機器(43a,43b)は、前記左側および右側昇降リンクが略最大上昇位置に近い場合に、前記リフトアーム(28L,28R)の最も高い位置よりもさらに高い位置に配置される作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用トラクタ等の作業車両に関し、特に外部油圧取出機器の配置構成に関する。
【背景技術】
【0002】
安全フレーム仕様のトラクタの後部において、取付ブラケットの中央部側にトップリンクを保持するトップリンクホルダーを取付け、この左右一側に取付部材を介してナンバープレートを取付けた構成が公知である(特許文献1)。また、運転席後方の左右一対の安全フレーム支柱間に、外部油圧取出装置を設けた構成がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-34136号公報
【文献】特開平11-89314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によると、ナンバープレートはトップリンクにて視認を妨げられることは少なくなるが、プレートの高さ位置に配慮がなく遠方からの視認性に難がある。また、特許文献2の構成によると、外部油圧取出装置の配置によってナンバープレートや低速車マークの配置に制限を受け易い。
【0005】
この発明は、ナンバープレートや外部油圧取出機器を効率的に配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0007】
第1の本発明は、操縦席(10)の後方で左右フェンダ(35L,35R)の間に左右フレーム(38)を設け、前記左右フレーム(38)に該左右フレーム(38)より下方に位置すべく外部油圧取出用機器(43a,43b)を支持し、該左右フレーム(38)より上方に突出すべくナンバープレート(39)を設けた作業車両であって、
操縦席(10)の後方で左右フェンダ(35L,35R)の間であって、該左右フェンダ(35L,35R)を連結補強しながら背面板(37)を支持する左右フレーム(38)を設け、該左右フレーム(38)に、ナンバープレート(39)を支持する台座(38a)と、低速車マーク(40)の支柱を保持する保持枠(38b)と、作業機(6)の電装接続用のソケット(41)の取付座(38c)と、外部油圧ホース(42)及び外部油圧取出用機器(43a,43b)を支持する外部油圧用ブラケット(44)を形成し、
ナンバープレート(39)と低速車マーク(40)はいずれも左右フレーム(38)よりも上方に、かつ左右方向に並列して設けられ、
前記ソケット(41)は前記左右フレーム(38)と同等の高さ位置に配置され、
外部油圧用ブラケット(44L,44R)は左右フレーム(38)より下方にあって、前記左右フレーム(38)の左右両側部にそれぞれに設けられ、かつ、前記外部油圧ホース(42a,42b)をそれぞれ固定する構成とし、
前記外部油圧ホース(42a,42b)の各端部それぞれに前記外部油圧取出用機器(43a,43b)を備え、
前記外部油圧取出用機器(43a,43b)を、リフトアーム(28L)およびリフトロッド(30L)による左側昇降リンクと安全フレーム(33)の左側の下部支柱(34L)との間、又はリフトアーム(28R)およびリフトロッド(30R)による右側昇降リンクと前記安全フレーム(33)の右側の下部支柱(34R)との間に設けてなり、
前記安全フレーム(33)の下部支柱(34L,34R)の各下端は、後車軸(15L,15R)を支持するリヤアクスルケース(32L,32R)に支持構成されるとともに、U型の上部フレーム(36)が延出上端の連結部を介して接続されるように、前記左右フェンダ(35L,35R)の内側で、かつ、前記左右フェンダ(35L,35R)及び前記左右フレーム(38)の高さからそれぞれ外方に向け湾曲形成されて延出され、
前記ナンバープレート(39)と前記低速車マーク(40)はいずれも前記安全フレーム(33)の湾曲形成された部位の内側に設けられ、
前記外部油圧取出用機器(43a,43b)は、前記左側および右側昇降リンクが略最大上昇位置に近い場合に、前記リフトアーム(28L,28R)の最も高い位置よりもさらに高い位置に配置される作業車両である。
本発明に関連する第1の発明は、操縦席10の後方で左右フェンダ35L,35Rの間に左右フレーム38を設け、左右フレーム38に左右フレーム38より下方に位置すべく外部油圧取出機器43a,43bを支持し、左右フレーム38より上方に突出すべくナンバープレート39を設ける。
【0008】
本発明に関連する第発明は、本発明に関連する第発明において、外部油圧取出用機器43a,43bを、リフトアーム28Lおよびリフトロッド30Lによる左側昇降リンクと、安全フレーム33の左側の下部支柱34Lとの間に設け、又はリフトアーム28Rおよびリフトロッド30Rによる右側昇降リンクと、安全フレーム33の右側の下部支柱34Rとの間に設ける。
【0009】
本発明に関連する第発明は、本発明に関連する第1又は発明において、外部油圧取出機器43a,43bとナンバープレート39を共通の左右フレーム38に取り付けてなる。
【0010】
本発明に関連する第発明は、本発明に関連する第発明において、背面視において安全フレーム33の左右支柱間にナンバープレート39と低速車マーク40を設けてなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、外部油圧取出用機器(43a,43b)とナンバープレート(39)を効率的に配置できる。
本発明に関連する第発明によると、外部油圧取出機器43a,43bとナンバープレート39を効率的に配置できる。
【0012】
本発明に関連する第発明によると、本発明に関連する第の発明の効果に加え、昇降リンク上昇時に外部油圧取出機器43a,43bに干渉する恐れがない。また、作業機側の油圧ホースを着脱し易い。
【0013】
本発明に関連する第3に記載の発明によると、本発明に関連する第1又はの発明の効果に加え、共通の左右フレーム38に設けるものであるから、構成を簡素化できる。
【0014】
本発明に関連する第4に記載の発明によると、本発明に関連する第の発明の効果に加え、ナンバープレート39と低速車マーク40を効率よく配置できる。そして、高い位置にあるから後方からの視認性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】農用トラクタの側面図である。
図2】農用トラクタの平面図である。
図3】要部を拡大して示す背面図である。
図4】要部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
作業車両としての農用トラクタは、動力によって自走しながら圃場等で作業を行う。農用トラクタは、機体1前側にあって駆動可能でかつ操舵可能な左右の前輪2L,2Rと、機体1後側に装着される左右の後輪3L,3Rと、動力源としてのエンジン4と、変速装置を内装するトランスミッションケース5を備える。なお、左右一対に設けられる部材において、図中符号Lは左側を示し、符合Rは右側を示す。
【0018】
また、機体1後部に、ロータリ等の作業機6を装着可能な連結装置7が配設されている。連結装置7は、中央上部のトップリンクと下部左右のロアリンクからなる3点リンクとされ、油圧力で作業機6を昇降連動する構成である。
【0019】
トラクタは、機体1上の操縦席10の前側のダッシュボード12からステアリングハンドル13が立設されると共に、操縦席10の周りにクラッチペダル、ブレーキペダル、アクセルペダル等の各種操作ペダルや前後進レバー、変速レバー等の各種操作レバーが配置されている。
【0020】
前記ミッションケース5内には伝動機構を配置している。伝動機構について、エンジン4からの動力は、公知の前後進切替機構、主変速機構、副変速機構を介して後輪デフ機構に伝達され、左右各デフ出力軸から最終減速機構を経由した変速動力は後車軸15L,15Rを経て前記左右の後輪3L,3Rを駆動する公知の構成としている。
【0021】
前記連結装置7は、前述のように中央上部のトップリンク20と下部左右のロアリンク21L,21Rからなる3点リンクとされる。トップリンク20は、その前端側をミッションケース5の後上部に立設した起立枠部材22や水平枠23に剛体的に構成されたトップリンクブラケット24に水平ピン25連結される。一方ロアリンク21L,21Rは、それらの前端側をミッションケース5の後端下部に左右突出させたロアリンクピン26L,26Rにリンクボールを介して連結される。
【0022】
前記ミッションケース5後上部にシリンダケース27を施蓋状に設け、シリンダケース27には油圧リフトアーム28L,28Rを連結させたアーム軸29を水平姿勢に支持するとともに、該アーム軸29を回動連動すべくシリンダケース27内に形成したシリンダを摺動するピストン(いずれも図示せず)に連動する公知の構成としている。油圧リフトアーム28L,28Rにはリフトロッド30L,30Rを備え、前記ロアリンク21L,21Rを昇降連動するよう構成している。
【0023】
ミッションケース5の後面には作業機6を駆動すべく動力取出軸31を突出させて設けている。また、前記後車軸15L,15Rを支持するリヤアクスルケース32L,32Rに、安全フレーム33の下部支柱34L,34R各下端を支持構成している。安全フレーム33の下部支柱34L,34Rはフェンダ35L,35R高さからそれぞれ外方に向け湾曲形成されて延出し、延出上端の連結部を介してU型の上部フレーム36を接続している。
【0024】
前記左右のフェンダ35L,35Rの間において、操縦席10の背面板37側にてこれらのフェンダ35L,35Rを連結補強しながら背面板37の支持構成するための左右フレーム38を設けている。そして、この左右フレーム38に、ナンバープレート39の台座38aと、低速車マーク40支柱を保持する保持枠38bと、作業機6の電装接続用ソケット41の取付座38cを形成している。ナンバープレート39は機体1の後面側から視てやや左寄りに、一方低速車マーク40は右寄りにあって、いずれも左右フレーム38よりも上方に位置して設けられる。なお、ソケット41は低速車マーク40の近くで略左右フレーム38と同等の高さ位置に配置される。
【0025】
前記左右フレーム38には、外部油圧用ホース42及びカプラ43を支持する外部油圧用ブラケット44を連結できる連結孔38dを備えている。外部油圧用ブラケット44L,44Rは複数(図例では左右に一対)に設けられ、それぞれ共通の構成をしている。すなわち、外部油圧用ブラケット44L,44Rの各中央から下方側に形成された延出部44aL,44aRに、それぞれ一対の油圧ホース42a,42bを固定している。油圧ホース42a,42bは例えば前記シリンダケース27に組み込まれた外部油圧用のバルブや配管等に接続されていて、一方は圧油供給用に、他方は圧油回収用に構成されている。そして、油圧ホース42a,42bの各端部にはカプラ43a,43bを備えている。これらは雌カプラに構成されていて、図外他作業機側の油圧ホース側雄カプラを着脱自在に連結できる構成である。
【0026】
上記左右フレーム38に、上方に突出してナンバープレート39と低速車マーク40を配置し、下方にカプラ43a,43bのような外部油圧取出用機器を設けるものであるから、効率的に配置できる。
【0027】
また、カプラ43a,43bのような外部油圧取出用機器を、前記トップリンク20と安全フレーム33の左側の下部支柱34Lの間に設け、又は前記トップリンク20と安全フレーム33の右側の下部支柱34Rの間に設けるものであるから(図3)、トップリンク20が高い位置で昇降回動する場合であっても干渉しない。また、作業機側の油圧ホースを着脱しやすい。
【0028】
さらに、カプラ43a,43bのような外部油圧取出用機器を、リフトアーム28L・リフトロッド30Lによる左側昇降リンクと、安全フレーム33の左側の下部支柱34Lとの間に設け、又はリフトアーム28R・リフトロッド30Rによる右側昇降リンクと、安全フレーム33の右側の下部支柱34Rとの間に設けると、左右の昇降リンクが作動しても外部取出用機器に接触することがなく、また、作業機側の油圧ホースを着脱しやすい。なお、図3の左右昇降リンクが略最大上昇位置に近い場合であって、油圧リフトアーム28L,28Rの最も高い位置よりもさらに高い位置にカプラ43a,43bを配置するものであるから両者が干渉することがない。
【0029】
図4において、カプラ43a,43bには不使用時のプラグ45a,45bを捻じ込んでいる。使用に際しては、プラグ45a,45bを外して作業機側の油圧ホース側カプラ(図示せず)を接続するものである。
【符号の説明】
【0030】
10 操縦席
28L リフトアーム(昇降リンク)
28R リフトアーム(昇降リンク)
30L リフトロッド(昇降リンク)
30R リフトロッド(昇降リンク)
33 安全フレーム
34L 下部支柱
34R 下部支柱
35L フェンダ
35R フェンダ
38 左右フレーム
39 ナンバープレート
40 低速車マーク
43a カプラ(外部油圧取出機器)
43b カプラ(外部油圧取出機器)
図1
図2
図3
図4