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特許7188311ジャイロセンサー、電子機器、及び移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ジャイロセンサー、電子機器、及び移動体
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/5747 20120101AFI20221206BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01C19/5747
B81B3/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019140790
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021025774
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 照夫
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117099(JP,A)
【文献】特開2016-1148(JP,A)
【文献】特開2013-234904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/5747
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸およびZ軸としたとき、
基板と、
前記Z軸のプラス側に位置している前記基板の上面に支持され、静電容量の変化に基づ
いて角速度を検出する素子部と、
を含み、
前記素子部は、
前記基板の前記上面に固定されている固定部と、
前記基板の前記上面と平行であり、前記X軸に沿ったX軸方向に変位可能な質量部と、
前記質量部を前記X軸方向に駆動する駆動部と、
前記質量部に接続され、前記Z軸に沿ったZ軸方向に変位可能な第1検出部と、
前記質量部に接続され、前記Z軸方向に変位可能な第2検出部と、
前記第1検出部と前記固定部とを接続している第1弾性部と、
前記第2検出部と前記固定部とを接続している第2弾性部と、
を含み、
前記第1弾性部は、前記X軸方向のプラス側とマイナス側に折り返しを含み、
前記第2弾性部は、前記X軸方向のプラス側とマイナス側に折り返しを含
前記第1検出部と前記第2検出部は、前記X軸及び前記Y軸を含む平面に沿って、それ
ぞれ逆位相で回転する、
ジャイロセンサー。
【請求項2】
請求項において、
前記Z軸方向からの平面視で、前記固定部は、前記第1検出部と前記第2検出部との間
に配置されている、
ジャイロセンサー。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1検出部は、前記Y軸のプラス側に配置され、
前記第2検出部は、前記Y軸のマイナス側に配置されている、
ジャイロセンサー。
【請求項4】
請求項1ないし請求項の何れか一項において、
前記第1検出部と前記第1弾性部とを接続している第1接合部と、
前記第2検出部と前記第2弾性部とを接続している第2接合部と、
を含む、
ジャイロセンサー。
【請求項5】
請求項において、
前記第1検出部の前記第1接合部との接続側に第1溝が設けられている、
ジャイロセンサー。
【請求項6】
請求項または請求項において、
前記第2検出部の前記第2接合部との接続側に第2溝が設けられている、
ジャイロセンサー。
【請求項7】
請求項1ないし請求項の何れか一項において、
前記Z軸方向からの平面視で、前記固定部は、前記第1検出部の重心と前記第2検出部
の重心とを結ぶ仮想直線と、前記質量部と、の間に配置されている、
ジャイロセンサー。
【請求項8】
請求項1ないし請求項の何れか一項において、
前記第1弾性部は、
前記固定部から前記第1検出部へ前記Y軸に沿ったY軸方向に延在し、
前記X軸のプラス方向からマイナス方向に折り返している折り返し部を有する、
ジャイロセンサー。
【請求項9】
請求項1ないし請求項の何れか一項において、
前記第2弾性部は、
前記固定部から前記第2検出部へ前記Y軸に沿ったY軸方向に延在し、
前記X軸のプラス方向からマイナス方向に折り返している折り返し部を有する、
ジャイロセンサー。
【請求項10】
請求項1乃至請求項の何れか一項に記載のジャイロセンサーを備えている、
電子機器。
【請求項11】
請求項1乃至請求項の何れか一項に記載のジャイロセンサーを備えている、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロセンサー、電子機器、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコンMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術で製造したジャイロセンサー素子を用いたジャイロスコープ又はジャイロセンサーが開発されている。
このようなジャイロスコープとして、例えば、特許文献1に、中心に位置する駆動アクチュエーターが、駆動アクチュエーターの両側に接続された2つの質量素子を駆動し回動運動をさせることで駆動アクチュエーターの駆動方向の軸回りの角速度を検出するジャイロスコープが開示されている。このジャイロスコープは、質量素子の一方の端部が駆動アクチュエーターに接続され、他方の端部が基板に固定された固定部に弾性ばねを介して接続されている。弾性ばねは、固定部を中心とする面内回動運動を許容すると同時に、捻りばねの機能も有する。従って、駆動アクチュエーターにより質量素子が面内回動運動をしている際に、駆動アクチュエーターの駆動方向の軸回りに回転運動を受けると、面内回動運動の速度や変位量に応じて質量素子にコリオリ力が加わる。このコリオリ力は、弾性ばねを捻る方向に作用し、2つの質量素子を逆位相で変位させ、その変位量を基板上に配置された検知電極で差動的に検知することで、駆動アクチュエーターの駆動方向の軸回りの角速度を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-211386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のジャイロセンサーのうち回転駆動振動を与えるジャイロセンサーは、固定部から伸びる弾性ばねが駆動アクチュエーター側の方向へ伸びているので、質量素子の回転半径が短くなっている。そのため、駆動アクチュエーターの駆動に伴う質量素子の面内回動運動の変位量が小さくなり、駆動アクチュエーターの駆動方向の軸回りに回転運動を受けても、質量素子の検知電極側への変位量が小さくなり、検出感度が低下するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ジャイロセンサーは、基板と、前記基板に固定されている固定部と、前記基板の主面と平行な第1軸に沿って変位する質量部と、前記質量部を前記第1軸に沿って駆動する駆動部と、前記質量部に接続され、前記第1軸と交差する第2軸のまわりに回動可能で、且つ、前記基板に水平な回動運動に作用するコリオリ力により前記第2軸に沿って変位可能な検出部と、前記検出部と前記固定部とを接続している弾性部と、を有し、前記固定部は、平面視で、前記検出部の重心と前記質量部との間に配置されていることを特徴とする。
【0006】
上記のジャイロセンサーにおいて、前記固定部は、前記弾性部と前記質量部との間に配置されていることが好ましい。
【0007】
上記のジャイロセンサーにおいて、前記検出部から前記第1軸と前記第2軸とに交差する第3軸に沿って延在し、前記弾性部と前記検出部とを接合する接合部は、前記検出部の重心と前記質量部との間に配置されていることが好ましい。
【0008】
上記のジャイロセンサーにおいて、前記検出部は、前記検出部の前記質量部側と反対側の端部より、前記弾性部に近い位置に配置された溝を有することが好ましい。
【0009】
上記のジャイロセンサーにおいて、前記溝は、前記溝の前記第1軸方向の中心が前記接合部の前記第1軸方向の中心を通る前記第3軸に沿った延長線と重ならない位置に配置されていることが好ましい。
【0010】
ジャイロセンサーは、基板と、前記基板の主面と平行な第1軸に沿って変位する質量部と、前記質量部を前記第1軸に沿って駆動する駆動部と、前記基板に固定されている固定部と、前記固定部の前記第1軸に交差する第2軸に沿った第1方向に配置され、前記質量部に接続され、前記第1軸と前記第2軸とに交差する第3軸まわりに回動可能で、且つ、前記基板に水平な回動運動に作用するコリオリ力により前記第3軸に沿って変位可能な第1検出部と、前記固定部の前記第1方向と反対の第2方向に配置され、前記質量部に接続され、前記第3軸まわりに回動可能で、且つ、前記基板に水平な回動運動に作用するコリオリ力により前記第3軸に沿って前記第1検出部と逆相で変位可能な第2検出部と、前記第1検出部と前記固定部とを接続している第1弾性部と、前記第2検出部と前記固定部とを接続している第2弾性部と、を有し、前記固定部は、平面視で、前記第1検出部の重心と前記第2検出部の重心とを結ぶ仮想直線と、前記質量部と、の間に配置されていることを特徴とする。
【0011】
電子機器は、上記のジャイロセンサーを備えていることを特徴とする。
【0012】
移動体は、上記のジャイロセンサーを備えていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るジャイロセンサーの概略構成を示す平面図。
図2図1のA-A線での断面図。
図3図1のB部の拡大図。
図4】ジャイロセンサーの動作を説明する平面図。
図5】第2実施形態に係るジャイロセンサーの概略構成を示す平面図。
図6】第3実施形態に係るジャイロセンサーを備える電子機器としての携帯電話の構成を示す斜視図。
図7】第4実施形態に係るジャイロセンサーを備える移動体としての自動車の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
先ず、第1実施形態に係るジャイロセンサー1について、図1図4を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るジャイロセンサー1を示す平面図である。図2は、図1のA-A線での断面図である。図3は、図1のB部の拡大図である。図4は、ジャイロセンサー1の動作を説明する平面図である。なお、図1では、基板2は概略的に図示し、また、蓋部3の図示を省略している。また、上記各図では、説明の便宜上、一部の構成要素を省略してある。例えば、電気信号を取り出す配線や過大な振動・衝撃を緩衝するストッパーと呼ばれる保護構造等である。また、各図において、分かり易くするために、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。また、図中のX軸、Y軸、Z軸は、互いに直交する座標軸であり、X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向がプラス方向である。また、本実施形態では、第1軸をX軸、第2軸をZ軸、第3軸をY軸として説明する。
【0015】
図1に示すジャイロセンサー1は、X軸まわりの角速度を検知することのできる角速度センサーである。このジャイロセンサー1は、図2に示すように、素子部4と、素子部4を収納しているパッケージ10と、を有している。
【0016】
パッケージ10は、素子部4を支持している基板2と、基板2に接合されている蓋部3と、を有し、基板2と蓋部3との間には、素子部4を収納している空間Sが形成されている。
【0017】
基板2及び蓋部3は、それぞれ、板状をなし、X軸及びY軸を含む平面であるXY平面に沿って配置されている。
【0018】
基板2には、素子部4側となる上方に開放する凹部21が設けられている。凹部21の中央部には、凹部21の底面22から突出した突出部24が設けられている。また、突出部24の上面となる主面23には、素子部4の一部である後述する固定部48が固定されている。また、凹部21には、底面22から突出した複数の図示しない突出部が設けられ、素子部4の一部である後述する固定部43や固定駆動部27,28の一部が固定されている。また、凹部21の底面22には、素子部4の一部である後述する検出部45との間で静電容量を生じる固定検出部25が設けられている。
【0019】
蓋部3には、基板2側となる下方に開放する凹部31が設けられている。蓋部3は、素子部4を非接触で覆うようにして基板2上に設けられており、凹部31を除く下面33が基板2の凹部21を囲む主面23に接合している。
【0020】
また、空間Sは、凹部21と凹部31とで形成された気密空間であり、減圧状態、例えば、1×10+2Pa~1×10-2Pa程度となっている。これにより、角速度の検出感度を向上させることができる。
【0021】
基板2の構成材料としては、特に限定されないが、絶縁性を有する材料を用いることが好ましく、具体的には、高抵抗なシリコン材料、ガラス材料を用いるのが好ましく、例えば、アルカリ金属イオンを一定量含むガラス材料、例えば、パイレックス(登録商標)ガラスのような硼珪酸ガラスを用いるのが好ましい。これにより、素子部4がシリコンを主材料として構成されている場合、基板2と素子部4とを陽極接合することができる。陽極接合することにより、素子部4を強固に基板2へ固定することができる。よって、剥離が発生し難い高信頼性のジャイロセンサー1を提供できる。それ以外に、石英基板、水晶基板、或いはSOI(Silicon on Insulator)基板であっても良い。
【0022】
また、蓋部3の構成材料としては、特に限定されず、例えば、前述した基板2と同様の材料を用いることができる。
【0023】
このような基板2と蓋部3との接合方法としては、基板2及び蓋部3の構成材料によっても異なり、特に限定されず、例えば、接着剤、ロウ材、ガラスフリット材等の接合材を用いた接合法、直接接合、陽極接合等の固体接合法等を用いることができる。特に、ガラスフリット材では、凹凸がある表面であってもガラスフリット材が流れ出し、良好に気密空間を確保することができる。特に、ジャイロセンサー1の場合は、気密空間を減圧状態にして保持する必要があるため、ガラスフリット材が好適に用いられる。
【0024】
素子部4は、図1に示すように、基板2に固定される固定部48と、基板2の主面23と平行なX方向に変位する質量部41と、質量部41をX方向に駆動する駆動部40と、質量部41に接続され、Z軸のまわりに回動可能で、且つ、基板2に水平な回動運動に作用するコリオリ力によりZ方向に変位可能な検出部45と、検出部45と固定部48とを接続している弾性部47と、を有している。なお、本実施形態では、固定部48、検出部45、及び弾性部47は、それぞれ一対であり、質量部41の両側にそれぞれ対称に配置、所謂、Y軸に対して線対称に配置されている。
【0025】
質量部41は、X方向を長辺とする矩形状で、中央に開口部49aを有している。開口部49aには、質量部41に接続している複数の駆動部40と、基板2に固定されている複数の固定駆動部27,28と、が配置されている。
【0026】
駆動部40及び固定駆動部27,28は、それぞれX方向に延在する複数の梁部を有し、櫛歯状に配置されている。固定駆動部27は、駆動部40のX方向のプラス側に配置され、駆動部40及び固定駆動部27のそれぞれの梁部が噛合うように配置されている。また、固定駆動部28は、駆動部40のX方向のマイナス側に配置され、駆動部40及び固定駆動部28のそれぞれの梁部が噛合うように配置されている。
【0027】
質量部41は、X方向の両端が折り返し形状の4つの駆動ばね42を介して、基板2に固定している4つの固定部43にそれぞれ接続している。なお、駆動ばね42は、X方向から印加される外力によりX方向に撓む、又は、変形するように形成されている。そのため、駆動ばね42は、質量部41をX方向に変位可能としている。
【0028】
質量部41のX方向の中央部でY方向のプラス側の開口部49aと反対側の端部からY軸のプラス方向に延在する結合ばね44が設けられており、結合ばね44の質量部41側と反対側の端部に検出部45が接続されている。また、質量部41のX方向の中央部でY方向のマイナス側の開口部49aと反対側の端部からY軸のマイナス方向に延在する結合ばね44が設けられており、結合ばね44の質量部41側と反対側の端部に検出部45が接続されている。
【0029】
検出部45は、X方向に長い矩形状で、X方向の中央部で、検出部45の重心Gより質量部41側に近い位置に開口部49bを有している。開口部49bには、基板2に固定されている固定部48と、固定部48に接続している弾性部47と、弾性部47からY方向に延在し、検出部45と接合する接合部46と、が配置されている。
【0030】
弾性部47は、固定部48からそれぞれX方向のプラス方向とマイナス方向に折り返しながらY方向に延在し、接合部46に接続されている。弾性部47は、X方向やY方向から印加される外力によりX方向やY方向に撓む、又は、変形するように形成されている。なお、Z方向から印加される外力に対しては変形し難い構造となっている。そのため、質量部41がX方向に変位した際に、検出部45は、図3に示す、弾性部47と固定部48との接続点を中心軸Jとし、J軸まわりに基板2と水平に回動、又は、変位可能となる。
【0031】
接合部46は、検出部45の重心Gと質量部41との間に配置され、弾性部47からY方向に延在し検出部45と接合している。そのため、固定部48と検出部45までの長さを長くすることができ、検出部45の中心軸Jからの回転半径を長くすることができ、駆動部40の駆動に伴う検出部45の面内回動運動の変位量を大きくすることができる。
【0032】
また、接合部46は、Y軸まわりに捻じれるように形成されている。そのため、検出部45が面内回動運動している際に、X軸まわりの角速度ωxが加わると、検出部45の面内回動運動に作用するコリオリ力が検出部45のX方向のプラス側と、検出部45のX方向のマイナス側と、にそれぞれ逆方向に加わり、検出部45がZ方向に変位可能となる。具体的には、検出部45のX方向のプラス側がZ軸のプラス方向に変位すると、検出部45のX方向のマイナス側がZ軸のマイナス方向に変位する。逆に、検出部45のX方向のプラス側がZ軸のマイナス方向に変位すると、検出部45のX方向のマイナス側がZ軸のプラス方向に変位する。また、Y軸のプラス方向に配置された検出部45とY軸のマイナス方向に配置された検出部45は、逆位相で変位する。
【0033】
なお、基板2の凹部21の底面22で検出部45と対向する位置に検出部45と離間して固定検出部25が設けられており、X軸まわりの角速度ωxが加わり検出部45がZ方向に変位することで、固定検出部25との間隔の変化を静電容量変化として検出することで、X軸まわりの角速度ωxを検知することができる。
【0034】
また、固定検出部25の形状は、Y方向に平行な上底と下底を有する台形形状で、Y方向の長さが長い下底が固定部48側になるように配置されている。このように配置することで、検出部45の回転運動の際に、検出部45と固定検出部25とが常に重なっているので、検出部45と固定検出部25との対向面積を一定に保つことができ、X軸まわりの角速度ωxの検出精度を維持することができる。
【0035】
固定部48は、検出部45の開口部49b内に配置され、平面視で、検出部45の重心Gと質量部41との間、及び、弾性部47と質量部41との間に配置されている。そのため、固定部48と検出部45とを接続する弾性部47を質量部41側から遠ざかる方向に配置することができ、検出部45の中心軸Jからの回転半径を長くすることができる。従って、駆動部40の駆動に伴う検出部45の面内回動運動の変位量が大きくなり、X軸まわりの角速度ωxが加わると、作用するコリオリ力により検出部45のZ方向への変位量が大きくなるので、検出感度を高めることができる。
【0036】
検出部45には、検出部45の質量部41側と反対側の端部より、弾性部47に近い位置に配置された溝50,51を有している。また、溝50は、図3に示すように、溝50のX方向の中心P2が接合部46のX方向の中心P1を通るY軸に沿った延長線Lと重ならない位置に配置されている。また、溝51についても同様に、溝51の中心が接合部46の中心を通る延長線と重ならない位置に配置されている。このように、検出部45に溝50,51を設けることで、弾性部47の加工誤差に伴う、X軸方向の駆動振動以外の異なる振動成分である不要振動成分、所謂、クアドラチャ信号の増大を低減することができる。一般的に、不要振動成分の要因となる加工誤差は、所望の加工形状に対して対称性を持たないため、上述のようにX軸、Y軸、Z軸に対して回転対称、線対称、点対称などの対称性を持たない溝50,51を用いて補償するのが好ましい。
【0037】
上述したような素子部4は、リン、ボロン等の不純物がドープされた導電性のシリコン基板をエッチングによってパターニングすることで一括形成されている。
【0038】
また、固定検出部25の構成材料としては、例えば、アルミニウム、金、白金、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)等を用いることができる。
【0039】
次に、上述した構成のジャイロセンサー1は、次のようにしてX軸まわりの角速度ωxを検出することができる。
【0040】
まず、ジャイロセンサー1が有する駆動部40と固定駆動部27,28との間に駆動電圧を印加すると、固定駆動部27,28と駆動部40との間に周期的に強度が変化する静電引力が生じる。これにより、図4に示すように、駆動ばね42の弾性変形を伴って駆動部40がX方向に振動し、矢印X1の方向に変位すると、駆動部40と同様に矢印X1の方向に変位する質量部41に接続された2つの検出部45は、それぞれが接続された固定部48と弾性部47との接点を中心にZ軸まわりに逆位相で回転運動をする。
【0041】
質量部41のY方向のプラス側に位置する検出部45は、検出部45のX方向のプラス側が矢印Y1方向に変位し、検出部45のX方向のマイナス側が矢印Y2の方向に変位する。なお、変位した検出部45を図4では、破線で示している。逆に、質量部41のY方向のマイナス側に位置する検出部45は、検出部45のX方向のマイナス側が矢印Y1方向に変位し、検出部45のX方向のプラス側が矢印Y2の方向に変位する。つまり、質量部41のY方向のプラス側に位置する検出部45は、反時計回りに回転し、質量部41のY方向のマイナス側に位置する検出部45は、時計回りに回転する。なお、駆動部40と質量部41とが矢印X1と逆方向に変位すると、質量部41のY方向のプラス側に位置する検出部45は、時計回りに回転し、質量部41のY方向のマイナス側に位置する検出部45は、反時計回りに回転する。
【0042】
このように検出部45がZ軸回りに面内回動運動している状態で、ジャイロセンサー1にX軸まわりの角速度ωxが加わると、コリオリ力が働き、検出部45がZ方向に変位する。このとき、質量部41のY方向のプラス側に位置する検出部45は、検出部45のX方向のプラス側が矢印Z2方向に変位し、検出部45のX方向のマイナス側が矢印Z1の方向に変位する。逆に、質量部41のY方向のマイナス側に位置する検出部45は、検出部45のX方向のマイナス側が矢印Z2方向に変位し、検出部45のX方向のプラス側が矢印Z1の方向に変位する。
【0043】
なお、駆動部40と質量部41とが矢印X1と逆方向に変位すると、質量部41のY方向のプラス側に位置する検出部45は、検出部45のX方向のプラス側が矢印Z1方向に変位し、検出部45のX方向のマイナス側が矢印Z2の方向に変位する。逆に、質量部41のY方向のマイナス側に位置する検出部45は、検出部45のX方向のマイナス側が矢印Z1方向に変位し、検出部45のX方向のプラス側が矢印Z2の方向に変位する。
【0044】
このように検出部45がZ方向に変位することにより、検出部45と固定検出部25との間の距離が変化する。この距離の変化に伴って、検出部45と固定検出部25との間の静電容量が変化する。そして、この静電容量の変化量に基づいて、ジャイロセンサー1に加わったX軸まわりの角速度ωxを検出することができる。
【0045】
上述のように、本実施形態のジャイロセンサー1は、固定部48を質量部41に近い位置に配置し、固定部48と検出部45とを接続する弾性部47を質量部41側から遠ざかる方向に配置する構成とすることで、検出部45の中心軸Jからの回転半径を長くすることができる。そのため、駆動部40の駆動に伴う検出部45の面内回動運動の変位量が大きくなり、X軸まわりの角速度ωxが加わると、作用するコリオリ力により検出部45のZ方向への変位量が大きくなるので、ジャイロセンサー1の検出感度を高めることができる。従って、高い検出感度を有するジャイロセンサー1を得ることができる。また、固定部48と検出部45とを接続する弾性部47を質量部41側から遠ざかる方向に配置する構成とすることで、弾性部47とその周辺に掛かる応力集中を分散させることができる。従って、疲労破壊等の要因により信頼性が低下することを防ぐことができる。よって、高性能で高信頼性のジャイロセンサー1を提供することができる。
【0046】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るジャイロセンサー1aについて、図5を参照して説明する。
図5は、第2実施形態に係るジャイロセンサー1aの概略構成を示す平面図である。なお、図5では、基板2及び蓋部3の図示を省略している。また、図5は、説明の便宜上、一部の構成要素を省略してあり、分かり易くするために、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。また、図中のX軸、Y軸、Z軸は、互いに直交する座標軸であり、X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向がプラス方向である。また、本実施形態では、第1軸をX軸、第2軸をY軸、第3軸をZ軸とし、また、第1方向をY軸のプラス方向、第2方向をY軸のマイナス方向として説明する。
【0047】
本実施形態のジャイロセンサー1aは、第1実施形態のジャイロセンサー1と同様に、X軸まわりの角速度を検知することのできる角速度センサーである。ジャイロセンサー1aは、第1実施形態のジャイロセンサー1に比べ、素子部4aの構成が異なり、質量部81の周辺に4つの検出部85a,85bを有している。
【0048】
本実施形態の素子部4aは、図5に示すように、基板2に固定される固定部88と、基板2の主面23と平行なX方向に変位する質量部81と、質量部81をX方向に駆動する複数の駆動部80と、固定部88の第1方向としてのY軸のプラス方向に配置し、質量部81に接続され、Z軸のまわりに回動可能で、且つ、基板2に水平な回動運動に作用するコリオリ力によりZ方向に変位可能な第1検出部85aと、固定部88の第2方向としてのY軸のマイナス方向に配置し、質量部81に接続され、Z軸のまわりに回動可能で、且つ、基板2に水平な回動運動に作用するコリオリ力によりZ方向に変位可能な第2検出部85bと、第1検出部85aと固定部88とを接続している第1弾性部87aと、第2検出部85bと固定部88とを接続している第2弾性部87bと、を有している。なお、本実施形態では、固定部88、第1検出部85a、第2検出部85b、第1弾性部87a、第2弾性部87b、及び2つの駆動部80は、それぞれ一対であり、質量部81の両側にそれぞれ対称に配置、所謂、Y軸に対して線対称に配置されている。
【0049】
質量部81は、Y方向を長辺とする矩形状の角柱部81aと、角柱部81aのY方向の両端にX方向を長辺とする矩形状の接続部81bと、を有している。角柱部81aには、Y方向の中央部でX方向の両端にそれぞれX方向のプラス方向とマイナス方向に折り返しながらX方向に延在し、固定部88に接続されている駆動ばね82が設けられている。また、角柱部81aには、X方向の両端にX方向に延在する梁部を櫛歯状に有する駆動部80が4つ設けられている。
角柱部81aのY方向のプラス側に配置された接続部81bのX方向の両端側には、それぞれ、Y方向のマイナス側に延在し、第1検出部85aに接続されている結合ばね84が設けられており、角柱部81aのY方向のマイナス側に配置された接続部81bのX方向の両端側には、それぞれ、Y方向のプラス側に延在し、第2検出部85bに接続されている結合ばね84が設けられている。
【0050】
接続部81bには、Y方向の角柱部81a側とは反対を開口する切欠き部81cが設けられており、切欠き部81cのX方向の中央部に固定部83が配置され、切欠き部81cのX方向の両端に接続部81bと固定部83とを接続する弾性ばね89が設けられている。なお、駆動ばね82及び弾性ばね89は、X方向から印加される外力によりX方向に撓む、又は、変形するように形成されている。そのため、質量部81は、X方向に変位可能となる。
【0051】
角柱部81aのX方向のプラス側とマイナス側には、それぞれ、X方向に延在する複数の梁部を櫛歯状に有し、駆動部80の有する複数の梁部とそれぞれ噛合うように配置された4つの固定駆動部29が配置されている。なお、固定駆動部29の一部は基板2に固定されている。駆動部80と固定駆動部29との間に駆動電圧を印加すると、固定駆動部29と駆動部80との間に周期的に強度が変化する静電引力が生じ、これにより、駆動ばね82の弾性変形を伴って駆動部80がX方向に振動し、駆動部80と同様に変位する質量部81に接続された第1検出部85aと第2検出部85bとが、面内回動運動をする。
【0052】
駆動ばね82が接続されている固定部88は、Y方向のプラス側に第1弾性部87aと、第1弾性部87aからY方向に延在し、第1検出部85aと接合する接合部86aと、が接続され、Y方向のマイナス側に第2弾性部87bと、第2弾性部87bからY方向に延在し、第2検出部85bと接合する接合部86bと、が接続されている。
【0053】
第1弾性部87a及び第2弾性部87bは、固定部88からそれぞれX方向のプラス方向とマイナス方向に折り返しながらY方向に延在し、接合部86a,86bにそれぞれ接続されている。第1弾性部87a及び第2弾性部87bは、X方向やY方向から印加される外力によりX方向やY方向に撓む、又は、変形するように形成されている。なお、Z方向から印加される外力に対しては変形し難い構造となっている。そのため、質量部81がX方向に変位した際に、第1検出部85aは、第1弾性部87aと固定部88との接続点を中心軸とし、その軸まわりに基板2と水平に回動、又は、変位可能となり、第2検出部85bは、第2弾性部87bと固定部88との接続点を中心軸とし、その軸まわりに基板2と水平に回動、又は、変位可能となる。また、X方向の外力が印加されると、第1検出部85aが時計回りに回転すると、第2検出部85bは、反時計回りに回転し、第1検出部85aが反時計回りに回転すると、第2検出部85bは、時計回りに回転する。また、Y方向のプラス側とマイナス側に配置された第1検出部85a及び第2検出部85bは、それぞれ逆位相で回転する。
【0054】
接合部86a,86bは、Y軸まわりに捻じれるように形成されている。そのため、第1検出部85a及び第2検出部85bが面内回動運動している際に、X軸まわりの角速度ωxが加わると、第1検出部85aと第2検出部85bとにそれぞれ逆方向のコリオリ力が加わり、第1検出部85a及び第2検出部85bがZ方向に変位可能となる。具体的には、第1検出部85aがZ軸のプラス方向に変位すると、第2検出部85bがZ軸のマイナス方向に変位する。逆に、第1検出部85aがZ軸のマイナス方向に変位すると、第2検出部85bがZ軸のプラス方向に変位する。また、Y方向のプラス側とマイナス側に配置された第1検出部85a及び第2検出部85bは、それぞれ逆位相で変位する。
【0055】
基板2の凹部21の底面22に、第1検出部85aと対向する位置に第1検出部85aと離間して第1固定検出部25aを設け、第2検出部85bと対向する位置に第2検出部85bと離間して第2固定検出部25bを設けることで、X軸まわりの角速度ωxが加わり第1検出部85a及び第2検出部85bがZ方向に変位することで、第1固定検出部25a及び第2固定検出部25bとの間隔の変化を静電容量変化として検出することで、X軸まわりの角速度ωxを検知することができる。
【0056】
固定部88は、平面視で、第1検出部85aの重心Gaと第2検出部85bの重心Gbとを結ぶ仮想直線Laと、質量部81と、の間に配置されているので、固定部88が仮想直線Laより質量部81と反対側に配置されている場合に比べ、第1検出部85a及び第2検出部85bの回転半径を長くすることができる。そのため、駆動部80の駆動に伴う第1検出部85a及び第2検出部85bの面内回動運動の変位量が大きくなり、X軸まわりの角速度ωxが加わると、作用するコリオリ力により第1検出部85a及び第2検出部85bのZ方向への変位量が大きくなるので、検出感度を高めることができる。
【0057】
第1検出部85a及び第2検出部85bには、接合部86a,86bに近い位置に配置された溝90,91,92,93が設けられている。このように、第1検出部85a及び第2検出部85bに溝90,91,92,93を設けることで、第1弾性部87a及び第2弾性部87bの加工誤差に伴う、X軸方向の駆動振動以外の異なる振動成分である不要振動成分、所謂、クアドラチャ信号の増大を低減することができる。前述の通り、不要振動成分の要因となる加工誤差は、所望の加工形状に対して対称性を持たないため、上述のようにX軸、Y軸、Z軸に対して回転対称、線対称、点対称などの対称性を持たない溝90,91,92,93を用いて補償するのが好ましい。
【0058】
上述したように、本実施形態のジャイロセンサー1aは、固定部88が第1検出部85aの重心Gaと第2検出部85bの重心Gbとを結ぶ仮想直線Laと、質量部81と、の間に配置されているので、第1検出部85a及び第2検出部85bの回転半径を長くすることができる。そのため、駆動部80の駆動に伴う第1検出部85a及び第2検出部85bの面内回動運動の変位量が大きくなり、X軸まわりの角速度ωxが加わると、作用するコリオリ力により第1検出部85a及び第2検出部85bのZ方向への変位量が大きくなるので、検出感度を高めることができる。従って、高い検出感度を有するジャイロセンサー1aを得ることができる。また、第1検出部85a及び第2検出部85bの回転半径を長くすることで、接合部86a,86bやその周辺に掛かる応力集中を分散させることができる。従って、疲労破壊等の要因により信頼性が低下することを防ぐことができる。よって、高性能で高信頼性のジャイロセンサー1aを提供することができる。
【0059】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るジャイロセンサー1,1aを備えている電子機器の一例として、携帯電話1200を挙げて説明する。なお、以下の説明では、ジャイロセンサー1を適用した構成を例示して説明する。
図6は、ジャイロセンサー1を備えている携帯電話1200の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、携帯電話1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204及び送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1201が配置されている。
このような携帯電話1200には、ジャイロセンサー1が内蔵されている。
【0060】
このような電子機器は、上述したジャイロセンサー1を備えていることから、上記実施形態で説明した効果が反映され、性能に優れている。
なお、上述したジャイロセンサー1,1aを備えている電子機器としては、携帯電話1200以外に、例えば、インクジェットプリンターなどのインクジェット式吐出装置、ラップトップ型やモバイル型のパーソナルコンピューター、テレビ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、各種ナビゲーション装置、ページャー、通信機能付も含む電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、魚群探知機、各種測定機器、計器類、フライトシミュレーターなどや電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡などの医療機器が挙げられる。いずれの場合にも、これらの電子機器は、上述したジャイロセンサー1,1aを備えていることから、上記実施形態で説明した効果が反映され、性能に優れている。
【0061】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係るジャイロセンサー1,1aを備えている移動体の一例として、自動車1500を挙げて説明する。なお、以下の説明では、ジャイロセンサー1を適用した構成を例示して説明する。
図7は、ジャイロセンサー1を備えている自動車1500を示す斜視図である。
図7に示すように、自動車1500は、ジャイロセンサー1を、例えば、搭載されているナビゲーション装置、姿勢制御装置などの姿勢検出センサーとして用いている。
これによれば、自動車1500は、上述したジャイロセンサー1を備えていることから、上記実施形態で説明した効果が反映され、性能に優れている。
【0062】
上述したジャイロセンサー1,1aは、自動車1500に限らず、自走式ロボット、自走式搬送機器、列車、船舶、飛行機、人工衛星などを含む移動体の姿勢検出センサーなどとして好適に用いることができ、いずれの場合にも、上記実施形態で説明した効果が反映され、性能に優れた移動体を提供することができる。
【0063】
以下、実施形態から導き出される内容を記載する。
【0064】
ジャイロセンサーは、基板と、前記基板に固定されている固定部と、前記基板の主面と平行な第1軸に沿って変位する質量部と、前記質量部を前記第1軸に沿って駆動する駆動部と、前記質量部に接続され、前記第1軸と交差する第2軸のまわりに回動可能で、且つ、前記基板に水平な回動運動に作用するコリオリ力により前記第2軸に沿って変位可能な検出部と、前記検出部と前記固定部とを接続している弾性部と、を有し、前記固定部は、平面視で、前記検出部の重心と前記質量部との間に配置されていることを特徴とする。
【0065】
この構成によれば、固定部が検出部の重心と質量部との間に配置されているので、固定部と検出部とを接続する弾性部を質量部側から遠ざかる方向に配置することができ、検出部の回転半径を長くすることができる。そのため、駆動部の駆動に伴う検出部の面内回動運動の変位量が大きくなり、第1軸まわりの外力を受けると、作用するコリオリ力により検出部の第2軸に沿った変位量が大きくなるので、検出感度を高めることができる。
【0066】
上記のジャイロセンサーにおいて、前記固定部は、前記弾性部と前記質量部との間に配置されていることが好ましい。
【0067】
この構成によれば、固定部が弾性部と質量部との間に配置されているので、固定部を質量部側に近づけ、また、弾性部が固定部の質量部側とは反対側で、質量部側から遠ざかる方向に配置することができる。そのため、検出部の回転半径を長くすることができ、駆動部の駆動に伴う検出部の面内回動運動の変位量を大きくすることができる。
【0068】
上記のジャイロセンサーにおいて、前記検出部から前記第1軸と前記第2軸とに交差する第3軸に沿って延在し、前記弾性部と前記検出部とを接合する接合部は、前記検出部の重心と前記質量部との間に配置されていることが好ましい。
【0069】
この構成によれば、弾性部と検出部とを接合する接合部が検出部の重心と質量部との間に配置されているので、固定部と接合部が接合する検出部までの長さを長くすることができる。そのため、検出部の回転半径をより長くすることができ、駆動部の駆動に伴う検出部の面内回動運動の変位量をより大きくすることができる。
【0070】
上記のジャイロセンサーにおいて、前記検出部は、前記検出部の前記質量部側と反対側の端部より、前記弾性部に近い位置に配置された溝を有することが好ましい。
【0071】
この構成によれば、検出部の弾性部に近い位置に溝が配置されているので、弾性部の加工誤差に伴う、第1軸に沿った駆動振動以外の異なる振動成分である不要振動成分、所謂、クアドラチャ信号の増大を低減することができる。
【0072】
上記のジャイロセンサーにおいて、前記溝は、前記溝の前記第1軸方向の中心が前記接合部の前記第1軸方向の中心を通る前記第3軸に沿った延長線と重ならない位置に配置されていることが好ましい。
【0073】
この構成によれば、検出部が第2軸まわりに回動するので、溝を接合部の延長線と重ならない位置に配置することで、第2軸まわりの回動振動以外の異なる振動成分である不要振動成分、所謂、クアドラチャ信号の増大を低減することができる。
【0074】
ジャイロセンサーは、基板と、前記基板の主面と平行な第1軸に沿って変位する質量部と、前記質量部を前記第1軸に沿って駆動する駆動部と、前記基板に固定されている固定部と、前記固定部の前記第1軸に交差する第2軸に沿った第1方向に配置され、前記質量部に接続され、前記第1軸と前記第2軸とに交差する第3軸まわりに回動可能で、且つ、前記基板に水平な回動運動に作用するコリオリ力により前記第3軸に沿って変位可能な第1検出部と、前記固定部の前記第1方向と反対の第2方向に配置され、前記質量部に接続され、前記第3軸まわりに回動可能で、且つ、前記基板に水平な回動運動に作用するコリオリ力により前記第3軸に沿って前記第1検出部と逆相で変位可能な第2検出部と、前記第1検出部と前記固定部とを接続している第1弾性部と、前記第2検出部と前記固定部とを接続している第2弾性部と、を有し、前記固定部は、平面視で、前記第1検出部の重心と前記第2検出部の重心とを結ぶ仮想直線と、前記質量部と、の間に配置されていることを特徴とする。
【0075】
この構成によれば、固定部が第1検出部の重心と第2検出部の重心とを結ぶ仮想直線と、質量部と、の間に配置されているので、固定部が仮想直線より質量部と反対側に配置されている場合に比べ、第1検出部及び第2検出部の回転半径を長くすることができる。そのため、駆動部の駆動に伴う第1検出部及び第2検出部の面内回動運動の変位量が大きくなり、第1軸まわりの外力を受けると、作用するコリオリ力により第1検出部及び第2検出部の第2軸に沿った変位量が大きくなるので、検出感度を高めることができる。
【0076】
電子機器は、上記のジャイロセンサーを備えていることを特徴とする。
【0077】
この構成によれば、高い感度特性を有し、高精度なジャイロセンサーを備えているため、高性能な電子機器を提供することができる。
【0078】
移動体は、上記のジャイロセンサーを備えていることを特徴とする。
【0079】
この構成によれば、高い感度特性を有し、高精度なジャイロセンサーを備えているため、高性能な移動体を提供することができる。
【符号の説明】
【0080】
1,1a…ジャイロセンサー、2…基板、3…蓋部、4…素子部、23…主面、25…固定検出部、27,28…固定駆動部、40…駆動部、41…質量部、42…駆動ばね、43…固定部、44…結合ばね、45…検出部、46…接合部、47…弾性部、48…固定部、50,51…溝、1200…電子機器としての携帯電話、1500…移動体としての自動車、G…重心、J…中心軸、L…延長線、P1,P2…中心。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7