(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/569 20210101AFI20221206BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20221206BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20221206BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20221206BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20221206BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20221206BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/284
H01M50/296
H01M50/204 401H
H01M10/04 Z
H01M10/658
H01M10/625
(21)【出願番号】P 2019167904
(22)【出願日】2019-09-16
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】溝口 朝道
(72)【発明者】
【氏名】榊原 雅大
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-071784(JP,A)
【文献】特開2004-253155(JP,A)
【文献】特開2018-028983(JP,A)
【文献】特開2018-164007(JP,A)
【文献】国際公開第2011/052699(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/04
H01M 10/658
H01M 10/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に離間して並ぶ2つの電極(15,16)を備える複数の電池セル(13)、および、複数の前記電極それぞれと前記積層方向で対向する態様で接続された複数の導電板(12)を備える積層体(10)と、
複数の前記電池セルと複数の前記導電板それぞれの前記積層方向の並びを保持する保持部(30)と、
前記積層方向に直交する縦方向で前記積層体と対向配置されるとともに、複数の前記導電板それぞれから離間する態様で延びた複数の導電突起部(20)と接続される複数のスルーホール(51)の形成された配線基板(50)と、を有し、
複数の前記導電突起部は、前記積層方向で離間しつつ対向する態様で、前記積層方向に並んでいる電池モジュール。
【請求項2】
複数の前記導電突起部それぞれは前記縦方向に延びている請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
複数の前記導電突起部それぞれの前記積層方向と前記縦方向に直交する横方向の位置は、複数の前記電池セルにおける前記横方向の端側になっている請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記配線基板には外部機器と電気的に接続するためのコネクタ(52)が設けられており、
前記配線基板における前記積層方向と前記縦方向に直交する横方向に離間して並ぶ2つの端部のうちの一方側に複数の前記スルーホールが形成され、2つの前記端部のうちの他方側に前記コネクタが設けられている請求項1~3いずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記積層体は、前記電池セルと前記導電板の他に、前記導電板と前記保持部との間に介在され、前記導電板と前記保持部との間の熱伝導を抑制する断熱部材を有する請求項1~4いずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、積層方向に積層された複数の単位セルを備える積層体と、この積層体を積層方向に拘束する拘束具と、を備えるバイポーラ電池が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように特許文献1に記載のバイポーラ電池の積層体には複数の単位セルが含まれている。しかしながら、これら複数の単位セルの電圧を検出するための具体的な構成が未開示であった。また複数の単位セル(電池セル)は膨張する。そのためにその膨張による電気的な接続不良の抑制された電圧の検出機構が望まれる。
【0005】
そこで本明細書に記載の開示は、複数の電池セルの膨張による電気的な接続不良の発生の抑制された、複数の電池セルの電圧の検出機構を備える電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の1つは、積層方向に離間して並ぶ2つの電極(15,16)を備える複数の電池セル(13)、および、複数の電極それぞれと積層方向で対向する態様で接続された複数の導電板(12)を備える積層体(10)と、
複数の電池セルと複数の導電板それぞれの積層方向の並びを保持する保持部(30)と、
積層方向に直交する縦方向で積層体と対向配置されるとともに、複数の導電板それぞれから離間する態様で延びた複数の導電突起部(20)と接続される複数のスルーホール(51)の形成された配線基板(50)と、を有し、
複数の導電突起部は、積層方向で離間しつつ対向する態様で、積層方向に並んでいる。
【0007】
これによれば、複数の電池セル(13)の電圧が導電突起部(20)を介して配線基板(50)に入力される。これにより複数の電池セル(13)の電圧を検出することができる。
【0008】
そして複数の電池セル(13)と複数の導電板(12)それぞれの積層方向の並びが保持部(30)によって保持されている。そのため、複数の電池セル(13)の積層方向への膨張による複数の導電突起部(20)の積層方向での離間距離(間隔)の変動が抑制される。これにより、複数の導電突起部(20)それぞれと複数のスルーホール(51)それぞれとの積層方向での相対位置に変動の生じることが抑制される。導電突起部(20)とスルーホール(51)との接続部位に応力の作用することが抑制される。配線基板(50)と導電突起部(20)とで電気的な接続不良の生じることが抑制される。
【0009】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】積層体と拘束具を説明するための図表である。
【
図5】積層体と拘束具を説明するための図表である。
【
図12】
図2のXII-XII線に沿う断面図である。
【
図13】電池モジュールの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1~
図12に基づいて本実施形態に係る電池モジュールを説明する。本実施形態の電池モジュールは電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの車両に適用される。
【0013】
以下においては互いに直交の関係にある3方向を、x方向、y方向、および、z方向と示す。x方向が横方向に相当する。y方向が縦方向に相当する。z方向が積層方向に相当する。
【0014】
<車載電源>
図1~
図3に電池モジュール100の外観を示す。この電池モジュール100は車両に複数搭載される。複数の電池モジュール100はワイヤハーネスなどによって直列接続される。これにより車載電源が構成されている。車載電源は車両の電気負荷に電力供給する機能を果たしている。なおもちろんではあるが、1つの電池モジュール100によって車載電源が構成されてもよい。
【0015】
車載電源には車両に搭載されたファンから風が供給される。これにより車載電源の過度な温度変化が抑制されている。なお車載電源が液体の冷媒で温度調整される構成を採用することもできる。
【0016】
車載電源の配置場所としては、例えば車両の前部座席下の空間、後部座席下の空間、および、後部座席とトランクルームとの間の空間などを適宜採用することができる。
【0017】
<電池モジュールの概要>
図1~
図3に記載の電池モジュール100は積層体10、拘束具30、および、カバー70を有する。このカバー70の内部には
図6および
図7に示す配線基板50が内包されている。積層体10は発電機能を備える複数の単位セル11を備えている。これら複数の単位セル11は拘束具30によってz方向に積層配置されている。配線基板50は複数の単位セル11それぞれと電気的に接続されている。カバー70は配線基板50を覆う態様で拘束具30に連結されている。
【0018】
積層体10はz方向に複数の単位セル11が積層配置されることで構成される。係る構成であるものの、
図2および
図3に示すように積層体10は、z方向の長さがx方向とy方向それぞれの長さよりも短くなっている。
【0019】
図1のX-X線に沿う断面図である
図10に示すように単位セル11は、z方向で離間して配置される2つの導電板12と、これら2つの導電板12の間に設けられる発電要素13と、2つの導電板12の間で発電要素13の周りを囲むシール部材14と、を有する。z方向で隣接して並ぶ2つの単位セル11は両者の間に位置する1つの導電板12を共有している。係る構成のため、導電板12の総数は発電要素13の総数よりも1つ多くなっている。
【0020】
図1および
図2に示す電池モジュール100の拘束構造のみを抜き出した
図4および
図5に示すように拘束具30は、第1押圧板31、第2押圧板32、および、連結部33を有する。第1押圧板31と第2押圧板32がz方向で離間して配置される。これら第1押圧板31と第2押圧板32との間に積層体10が設けられる。第1押圧板31と第2押圧板32とは互いにz方向で近づく態様で連結部33によって連結される。これにより第1押圧板31と第2押圧板32との間に設けられた積層体10がz方向で圧縮される。この圧縮によって複数の単位セル11のz方向の並びが保持されるとともに、複数の単位セル11が電気的に接続されている。
【0021】
拘束具30が保持部に相当する。
図4の(a)欄は積層体と拘束具の上面図を示している。
図4の(b)欄と
図5の(a)欄は積層体と拘束具の側面図を示している。
図5の(b)欄は積層体と拘束具の正面図を示している。
【0022】
複数の導電板12それぞれにはy方向に局所的に延びる導電突起部20が形成されている。複数の導電突起部20は複数の発電要素13それぞれと同電位になっている。これら複数の導電突起部20が
図6および
図7に示す配線基板50に接続されている。
【0023】
図1および
図2に示すカバー70内に配置された
図6および
図7に示す配線基板50は、絶縁基板に導電性の配線パターンの形成されたプリント基板である。配線基板50はy方向で
図4および
図5に示す積層体10と対向する態様で設けられる。そして配線基板50に形成された複数のスルーホール51それぞれに
図4および
図5に示す複数の導電突起部20が挿入される。これらがはんだによって接続される。これにより
図4および
図5に示す複数の単位セル11それぞれの電圧が配線基板50に入力される。
【0024】
配線基板50には監視ユニットが形成されている。
図4および
図5に示す複数の単位セル11それぞれの電圧が配線基板50に入力される。配線基板50にはコネクタ52が設けられている。このコネクタ52に車両に搭載された電池ECUや補機バッテリなどの外部機器が接続される。配線基板50に形成された監視ユニットは補機バッテリから供給される電力によって駆動する。監視ユニットは入力された複数の単位セル11それぞれの電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換する。そして監視ユニットは変換したデジタル信号を通信によって車両に搭載された電池ECUに出力する。
【0025】
カバー70はy方向に開口する箱形状を成している。カバー70の中空に配線基板50の少なくとも一部が収納される態様で、カバー70は
図4および
図5に示す拘束具30に連結される。カバー70には自身の中空と外部空間とを連通するための通し孔71cが形成されている。この通し孔71cを介して、コネクタ52の先端側がカバー70の中空の外(外部空間)に配置される。以下、
図1~
図3に示す電池モジュール100の構成要素を個別に説明する。
【0026】
<単位セル>
図10に示すように単位セル11は、導電板12、発電要素13、および、シール部材14を有する。2つの導電板12の間に発電要素13とシール部材14が設けられる。2つの導電板12のうちの一方に発電要素13の正極15が接続される。2つの導電板12のうちの他方に発電要素13の負極16が接続される。導電板12、正極15、および、負極16によって、いわゆるバイポーラ電極が構成されている。
【0027】
導電板12はニッケル板やニッケルメッキ銅板などの導電性を備える金属板をプレス加工することで製造される。
図4に示すように導電板12はz方向の厚さの薄い扁平形状を成している。導電板12はy方向を長手方向、x方向を短手方向とする矩形の平板形状を成している。
【0028】
導電板12は、z方向で離間して並ぶ上面12aと下面12b、および、これらを連結する側面を有する。上面12aと下面12bは側面よりも面積が大きくなっている。
【0029】
図12に示すように導電板12の側面は、y方向に並ぶ前面12cと後面12d、および、x方向に並ぶ左面12eと右面12fを有する。前面12cと後面12dそれぞれはx方向に延びている。左面12eと右面12fそれぞれはy方向に延びている。
【0030】
図10に示すように発電要素13は、正極15、負極16、および、セパレータ17を有する。正極15は水素化ニッケルなどの正極活性物質の含有された金属である。負極16は水素吸蔵合金などの負極活性物質の含有された金属である。セパレータ17は水酸化カリウム水溶液などの電解液の含有された不織布である。発電要素13が電池セルに相当する。
【0031】
正極15と負極16それぞれはz方向の厚さの薄い平板形状を成している。セパレータ17はz方向の厚さの薄い平板形状を成している。正極15と負極16それぞれのz方向に並ぶ上面と下面は、これらを連結する側面よりも面積が大きくなっている。そして正極15と負極16それぞれはセパレータ17よりもz方向に直交する平面の体格が小さくなっている。
【0032】
セパレータ17はz方向で離間して並ぶ上主面17aと下主面17b、および、これらを連結する側面を有する。上主面17aと下主面17bは側面よりも面積が大きくなっている。
【0033】
このセパレータ17の上主面17aの中央側に正極15が設けられる。下主面17bの中央側に負極16が設けられる。上主面17aと下主面17bの端側には正極15と負極16が設けられない構成になっている。
【0034】
このようにセパレータ17を介して正極15と負極16がz方向に積層されている。セパレータ17は電子を通すが分子を通さない性質を有する。電解液の含有されたセパレータ17を介して正極15と負極16との間で電子(電流)の流れる構成になっている。
【0035】
発電要素13は酸化還元反応によって充放電する。そして発電要素13はこの酸化還元反応によって水素などのガスを発生する。また電解液は経年劣化によってガスを発生する。これらガスがセパレータ17に含まれると、正極15と負極16との間の抵抗が増大する。これにより単位セル11の出力が低下する。
【0036】
これを避けるためには、発電要素13に圧力を付与して、電解液の経年劣化に起因するガスの発生を抑制する必要がある。またセパレータ17にガスが溜まることを抑制する必要がある。このような発電要素13への圧力印加が拘束具30によって成される。
【0037】
シール部材14は電解液の漏れを抑制する機能を果たす。シール部材14はz方向まわりの周方向で環状を成している。シール部材14はz方向で離間して並ぶ環状上面14aと環状下面14bを有する。これら環状上面14aと環状下面14bはz方向まわりの周方向で環状を成している。
【0038】
上記したようにシール部材14はz方向において2つの導電板12の間に設けられる。シール部材14の環状上面14aが2つの導電板12のうちの一方の下面12bに全周にわたって接触している。シール部材14の環状下面14bが2つの導電板12のうちの他方の上面12aに全周にわたって接触している。シール部材14と2つの導電板12とによって閉塞空間が構成されている。この閉塞空間に発電要素13が設けられる。このようにシール部材14と2つの導電板12は発電要素13を収納するケースとしての役割を果たしている。
【0039】
この閉塞空間内で、2つの導電板12のうちの一方の下面12bの中央側に正極15が設けられる。2つの導電板12のうちの他方の上面12aの中央側に負極16が設けられる。
【0040】
2つの導電板12は、上記した拘束具30によるz方向の圧縮によって互いにz方向で近づく態様で変位する。これにより、2つの導電板12の間に設けられたシール部材14がz方向で圧縮される。2つの導電板12とシール部材14との間の隙間が閉塞される。
【0041】
また、2つの導電板12のうちの一方の下面12bと正極15とが圧縮される態様で接触する。2つの導電板12のうちの他方の上面12aと負極16とが圧縮される態様で接触する。これにより、2つの導電板12と発電要素13とが電気的に接続される。それとともに、複数の単位セル11がz方向に直列配置され、電気的に直列接続される。
【0042】
なお、上記したように単位セル11の備える導電板12、正極15、負極16、および、セパレータ17それぞれのz方向に並ぶ上面と下面は側面に比べて面積の大きい構成となっている。そしてこれらは上面と下面の中央側で連結される。そのために単位セル11の中央側は端側に比べてz方向に膨張しやすくなっている。
【0043】
<導電突起部>
図4および
図5に示すように導電板12の前面12cには、導電板12から離間する態様で局所的にy方向に延びた導電突起部20が形成されている。この導電突起部20が
図10に示す発電要素13の電圧を取り出すための端子としての役割を果たしている。
【0044】
複数の単位セル11それぞれの備える導電板12は同等の形状を備えている。複数の単位セル11は、複数の単位セル11それぞれの備える導電突起部20のx方向の位置が同等となる態様でz方向に積層配置される。
【0045】
このように複数の単位セル11がz方向に積層配置された状態で、複数の導電突起部20はz方向で離間しつつ対向する態様でz方向に並んでいる。複数の導電突起部20のうちの任意の1つのz方向への投影位置に他の全ての導電突起部20が位置している。複数の導電突起部20のx方向の位置が同等になっている。そして複数の導電突起部20のz方向の離間距離(間隔)が同等になっている。
【0046】
<拘束具>
図4および
図5に示すように拘束具30は、第1押圧板31、第2押圧板32、および、連結部33を有する。
【0047】
第1押圧板31は剛性の高い金属材料から構成される。第1押圧板31は直方体形状を成している。第1押圧板31はz方向で離間して並ぶ第1外面31aと第1内面31b、および、これらを連結する第1連結面を有する。
【0048】
第1連結面は、y方向に並ぶ第1前面31cと第1後面31d、および、x方向に並ぶ第1左面31eと第1右面31fを有する。第1前面31cと第1後面31dそれぞれはx方向に延びている。第1左面31eと第1右面31fそれぞれはy方向に延びている。
【0049】
図4の(a)欄に破線で示すように、第1押圧板31における第1ボルト35の配置場所に第1ボルト孔31gが形成されている。
図1のXI-XI線に沿う断面図である
図11に示すように第1ボルト孔31gは第1外面31aと第1内面31bとに開口している。複数の第1ボルト孔31gは第1押圧板31の縁側に形成されている。複数の第1ボルト孔31gは第1押圧板31の中央側を囲む態様で環状に並んでいる。
【0050】
本実施形態では計10個の第1ボルト孔31gが第1押圧板31に形成されている。計10個の第1ボルト孔31gのうちの4つが第1押圧板31の4隅に形成されている。
【0051】
そして、第1前面31c側と第1後面31d側それぞれにおいて、隅に形成された2つの第1ボルト孔31gの間に1つの第1ボルト孔31gが形成されている。第1前面31c側と第1後面31d側それぞれで3つの第1ボルト孔31gがx方向に並んでいる。x方向に並ぶ3つの第1ボルト孔31gの離間間隔が相等しくなっている。
【0052】
第1左面31e側と第1右面31f側それぞれにおいて、隅に形成された2つの第1ボルト孔31gの間に2つの第1ボルト孔31gが形成されている。第1左面31e側と第1右面31f側それぞれで4つの第1ボルト孔31gがy方向に並んでいる。y方向に並ぶ4つの第1ボルト孔31gの離間間隔が相等しくなっている。
【0053】
第2押圧板32は第1押圧板31と同等の形状を有している。第2押圧板32は直方体形状を成している。第2押圧板32はz方向で離間して並ぶ第2外面32aと第2内面32b、および、これらを連結する第2連結面を有する。
【0054】
第2連結面は、y方向に並ぶ第2前面32cと第2後面32d、および、x方向に並ぶ第2左面32eと第2右面32fを有する。第2前面32cと第2後面32dそれぞれはx方向に延びている。第2左面32eと第2右面32fそれぞれはy方向に延びている。なお、z方向に面する平面において、第2前面32c、第2後面32d、第2左面32e、および、第2右面32fは、第1押圧板31の備える第1前面31c、第1後面31d、第1左面31e、および、第1右面31fと同等の位置関係にある。
【0055】
図4および
図5には図示していないが、第2押圧板32には、第1ボルト孔31gと同等の第2ボルト孔32gが形成されている。
図1のXI-XI線に沿う断面図である
図11に示すように、第2ボルト孔32gは第2外面32aと第2内面32bとに開口している。
【0056】
本実施形態では計10個の第2ボルト孔32gが第2押圧板32に形成されている。これら計10個の第2ボルト孔32gのz方向に面する平面での配置場所は、
図4の(a)欄に破線で示す第1ボルト孔31gのz方向に面する平面での配置場所と同等になっている。複数の第2ボルト孔32gは第2押圧板32の縁側に形成されている。複数の第2ボルト孔32gは第2押圧板32の中央側を囲む態様で環状に並んでいる。
【0057】
計10個の第2ボルト孔32gのうちの4つが第2押圧板32の4隅に形成されている。そして、第2前面32c側と第2後面32d側それぞれにおいて、隅に形成された2つの第2ボルト孔32gの間に1つの第2ボルト孔32gが形成されている。第2前面32c側と第2後面32d側それぞれで3つの第2ボルト孔32gがx方向に並んでいる。x方向に並ぶ3つの第2ボルト孔32gの離間間隔が相等しくなっている。
【0058】
第2左面32e側と第2右面32f側それぞれにおいて、隅に形成された2つの第2ボルト孔32gの間に2つの第2ボルト孔32gが形成されている。第2左面32e側と第2右面32f側それぞれで4つの第2ボルト孔32gがy方向に並んでいる。y方向に並ぶ4つの第2ボルト孔32gの離間間隔が相等しくなっている。
【0059】
図11に示すように第1押圧板31と第2押圧板32は、z方向で第1内面31bと第2内面32bとが対向する態様で対向配置される。第1押圧板31に形成された計10個の第1ボルト孔31gと第2押圧板32に形成された計10個の第2ボルト孔32gとがz方向で対向配置される。これら計10個の第1ボルト孔31gと計10個の第2ボルト孔32gとの間に連結部33が設けられる。
【0060】
図11に示すように連結部33は、連結軸34、第1ボルト35、および、第2ボルト36を有する。連結軸34はz方向に延びる柱状を成している。連結軸34はz方向に面する第1端面34aと第2端面34bを有する。連結軸34には第1端面34aに開口する第1連結孔34cと第2端面34bに開口する第2連結孔34dが形成されている。
【0061】
図11に示すように連結軸34の第1端面34aと第1押圧板31の第1内面31bとがz方向で対向配置される。第1連結孔34cの中空と第1ボルト孔31gの中空とがz方向で連通される。
【0062】
図11に示すように第1ボルト35の軸部が第1ボルト孔31gにおける第1外面31a側の開口から、第1ボルト孔31gの中空と第1連結孔34cの中空に向かって挿入される。第1連結孔34cにねじ溝が形成されている。このねじ溝に第1ボルト35の軸部の先端側が締結される。第1ボルト35の頭部が第1外面31aに接触する。これにより第1押圧板31が連結軸34と第1ボルト35の頭部とによってz方向で挟持される。連結軸34に第1押圧板31がねじ締結される。
【0063】
同様にして、連結軸34の第2端面34bと第2押圧板32の第2内面32bとがz方向で対向配置される。第2連結孔34dの中空と第2ボルト孔32gの中空とがz方向で連通される。
【0064】
第2ボルト36の軸部が第2ボルト孔32gにおける第2外面32a側の開口から、第2ボルト孔32gの中空と第2連結孔34dの中空に向かって挿入される。第2連結孔34dにねじ溝が形成されている。このねじ溝に第2ボルト36の軸部の先端側が締結される。第2ボルト36の頭部が第2外面32aに接触する。これにより第2押圧板32が連結軸34と第2ボルト36の頭部とによってz方向で挟持される。連結軸34に第2押圧板32がねじ締結される。
【0065】
以上に示した連結部33を介した第1押圧板31と第2押圧板32の連結によって、拘束具30が組み立てられる。なお、このように拘束具30を組み立てる前に、
図10に示す複数の単位セル11を備える積層体10を第2押圧板32に予め設けておく。そして上記したように第1押圧板31と第2押圧板32を連結部33にねじ締結する。
【0066】
このねじ締結過程で第1押圧板31と第2押圧板32とがz方向で近づく。これにより第1押圧板31と第2押圧板32との間に設けられた積層体10がz方向で圧縮される。すなわち、
図10に示すように複数の単位セル11がz方向で圧縮される。複数の単位セル11それぞれで導電板12と発電要素13が電気的に接続される。それとともに複数の単位セル11が電気的に直列接続される。
【0067】
直列接続された複数の単位セル11は電位順にz方向に並ぶ。そのために直列接続された複数の単位セル11のうちの最低電位と最高電位に位置する単位セル11は両端に位置する。最低電位に位置する単位セル11は第2押圧板32側に位置している。最高電位に位置する単位セル11は第1押圧板31側に位置している。
【0068】
この最低電位に位置する単位セル11の備える2つの導電板12のうちの負極16と接続される導電板12はz方向において第2押圧板32側に位置している。最高電位に位置する単位セル11の備える2つの導電板12のうちの正極15と接続される導電板12はz方向において第1押圧板31側に位置している。
【0069】
導電板12と押圧板とが直接接触すると、両者が電気的に接続される。最低電位に位置する単位セル11の負極16と最高電位に位置する単位セル11の正極15とが拘束具30を介して短絡する。
【0070】
これを防ぐために、以下に示す構成などが
図1~
図3に示す電池モジュール100に適宜採用される。例えば、導電板12と押圧板との間に絶縁体を介在させる。押圧板と連結軸34のうちの少なくとも一方を絶縁性の樹脂製にする。第1連結孔34cと第2連結孔34dそれぞれの中空にねじ溝の形成された絶縁部材を設ける。
【0071】
本実施形態では、図示しないが、最低電位の
図10に示す単位セル11の導電板12と第2押圧板32との間、および、最高電位の単位セル11の導電板12と第1押圧板31との間それぞれに絶縁性と断熱性を備える断熱部材が設けられる。
【0072】
図4および
図5に示すように、第1押圧板31の第1前面31cにはy方向に突起する第1突起部31hが2つ形成されている。これら2つの第1突起部31hはx方向に離間している。
図11に示すように、これら2つの第1突起部31hそれぞれには、第1突起部31hの先端面に開口する第1連結ボルト孔31iが形成されている。
【0073】
同様にして、
図4および
図5に示すように、第2押圧板32の第2前面32cにはy方向に突起する第2突起部32hが2つ形成されている。これら2つの第2突起部32hはx方向に離間している。
図11に示すように、これら2つの第2突起部32hそれぞれには、第2突起部32hの先端面に開口する第2連結ボルト孔32iが形成されている。
【0074】
図4および
図5に示すように、2つの第1突起部31hのうちの一方と2つの第2突起部32hのうちの一方とがz方向で離間しつつ並んでいる。残り1つの第1突起部31hと残り1つの第2突起部32hとがz方向で離間しつつ並んでいる。これら2つの第1突起部31hの先端面と2つの第2突起部32hの先端面それぞれのy方向の位置が同等になっている。これら4つの先端面に
図6および
図7に示す配線基板50が設けられる。
【0075】
<配線基板>
図6および
図7に示すように配線基板50は絶縁基板に配線パターンの形成されたものである。配線基板50はy方向の厚さの薄い扁平形状を成している。配線基板50はx方向を長手方向、z方向を短手方向とする矩形の平板形状を成している。
【0076】
図6の(a)欄は配線基板の正面図を示している。
図6の(b)欄は配線基板の側面図を示している。
図6の(c)欄は配線基板の背面図を示している。また、
図7の(a)欄は
図6の(a)欄と同等にして、配線基板の正面図を示している。
図7の(b)欄は配線基板の側面図を示している。
【0077】
配線基板50はy方向で離間して並ぶ対向面50aと搭載面50b、および、これらを連結する第3連結面を有する。第3連結面は、z方向に並ぶ第3上面50cと第3下面50d、および、x方向に並ぶ第3左面50eと第3右面50fを有する。第3上面50cと第3下面50dそれぞれはx方向に延びている。第3左面50eと第3右面50fそれぞれはz方向に延びている。
【0078】
配線基板50には、対向面50aと搭載面50bとに開口する複数のスルーホール51が形成されている。複数のスルーホール51はx方向において第3左面50e側に位置している。複数のスルーホール51は第3上面50cと第3下面50dの間でz方向に離間して並んでいる。複数のスルーホール51のz方向の離間間隔は同等になっている。複数のスルーホール51のz方向の隣接間隔は上記した
図10と
図12に示す複数の導電突起部20のz方向の離間間隔と同等になっている。
【0079】
図10と
図12に示すように、対向面50aと積層体10とがy方向で対向する態様で、配線基板50は積層体10と対向配置される。導電突起部20がスルーホール51の対向面50a側の開口からその中空へと向かって挿入される。そして導電突起部20とスルーホール51とがはんだを介して電気的に接続される。
【0080】
図6および
図7に示すように、配線基板50の搭載面50bにはコネクタ52が搭載されている。コネクタ52はy方向に開口する筒形状を成す樹脂製の筒部と、筒部の中空内に設けられた接続端子と、を有する。
【0081】
コネクタ52はx方向において第3右面50f側に位置している。コネクタ52と複数のスルーホール51とはx方向で離間している。コネクタ52の接続端子とスルーホール51とは図示しない配線パターンを介して電気的に接続されている。なおこの配線パターンにノイズを除去するためのフィルタなどが設けられてもよい。
【0082】
配線基板50には対向面50aと搭載面50bとに開口する複数の連結孔50gが形成されている。本実施形態では計4個の連結孔50gが配線基板50に形成されている。これら計4個の連結孔50gは配線基板50の4隅に形成されている。
【0083】
図10および
図11に示すように配線基板50はy方向で積層体10と対向配置されるとともに拘束具30ともy方向で対向配置される。配線基板50のz方向で並ぶ2つの端部のうちの一方が第1押圧板31とy方向で対向配置される。2つの端部のうちの他方が第2押圧板32とy方向で対向配置される。
【0084】
配線基板50の対向面50aにおける連結孔50gの形成領域が第1突起部31hと第2突起部32hそれぞれの先端面とy方向で対向配置される。第1突起部31hと対向配置される連結孔50gの中空と第1連結ボルト孔31iの中空とがy方向で連通される。第2突起部32hと対向配置される連結孔50gの中空と第2連結ボルト孔32iの中空とがy方向で連通される。これらに
図11に示す第3ボルト73の軸部が挿入される。
【0085】
<カバー>
図8および
図9に示すようにカバー70は底壁71と周壁72を有する。
図8の(a)欄はカバーの正面図を示している。
図8の(b)欄はカバーの側面図を示している。
図8の(c)欄はカバーの背面図を示している。また、
図9の(a)欄は
図8の(a)欄と同等にして、カバーの正面図を示している。
図9の(b)欄はカバーの側面図を示している。
【0086】
底壁71はy方向の厚さの薄い扁平形状を成している。底壁71はx方向を長手方向、z方向を短手方向とする矩形の平板形状を成している。底壁71はy方向に並ぶ内底面71aと外底面71b、および、これらを連結する連結面を有する。
【0087】
底壁71には、内底面71aと外底面71bとに開口する通し孔71cが形成されている。この通し孔71cを介して
図6および
図7に示すコネクタ52の先端側がカバー70の中空の外に配置される。
【0088】
図8および
図9に示すように、周壁72は底壁71の内底面71aからy方向に起立している。周壁72は内底面71aの縁の延びる方向に沿って環状に延びている。周壁72の環状の内周面72aと底壁71の内底面71aとによってカバー70の中空が区画されている。
【0089】
上記したように底壁71は矩形の平板形状を成している。そのためにカバー70には、本来であれば、この底壁71の4隅に角部が形成される。しかしながら本実施形態ではこの角部が非形成となっている。底壁71の4隅が局所的に切欠かれるとともに、この4隅において周壁72が底壁71から離間する態様でy方向に延びた後にカバー70の中空から離間する態様でy方向に面する方向に延び、再びy方向に延びている。周壁72にはこのy方向に面する方向に延びる平坦部位72dが計4箇所形成されている。この平坦部位72dにはy方向に貫通する取付孔72cが形成されている。取付孔72cは平坦部位72dの内周面72aとその裏の外周面72bとに開口している。
【0090】
図10と
図11に示すように、底壁71の内底面71aが積層体10、拘束具30、および、配線基板50それぞれとy方向で対向する態様で、カバー70は拘束具30に設けられる。カバー70の周壁72の先端面の全周が拘束具30とy方向で対向配置される。具体的に言えば、周壁72の先端面は、第1押圧板31の第1前面31c、第2押圧板32の第2前面32c、および、複数の連結軸34のうちの押圧板の前面の端側に位置する2つの連結軸34の側面とy方向で対向配置される。
【0091】
そして上記した4つの取付孔72cの中空が、配線基板50の備える4つの連結孔50gの中空とy方向で連通される。
図11に示すように、第3ボルト73の軸部が取付孔72cにおける外周面72b側の開口から、取付孔72cの中空と連結孔50gの中空とに向かって挿入される。これら4つの第3ボルト73の軸部のうちの2つが第1連結ボルト孔31iの中空に挿入される。残り2つの第3ボルト73の軸部が第2連結ボルト孔32iの中空に挿入される。
【0092】
第1連結ボルト孔31iと第2連結ボルト孔32iそれぞれにねじ溝が形成されている。このねじ溝に第3ボルト73の軸部の先端側が締結される。第3ボルト73の頭部がカバー70の平坦部位72dの外周面72bに接触する。これによりカバー70と配線基板50が拘束具30と第3ボルト73の頭部とによってy方向で挟持される。拘束具30にカバー70と配線基板50がねじ締結される。
【0093】
<作用効果>
複数の単位セル11それぞれは発電要素13と導電板12を備えている。この導電板12の導電突起部20が配線基板50のスルーホール51にはんだによって接続される。これにより複数の発電要素13の電圧が配線基板50に入力される。複数の発電要素13の電圧が検出される。
【0094】
また、バイポーラ電極としての機能を果たす導電板12の導電突起部20が配線基板50に接続される。したがって導電板12と配線基板50とが別体のワイヤなどの導電部材を介して間接的に電気的に接続される構成と比べて部品点数の増大が抑制される。
【0095】
上記したように発電要素13でのガスの発生のために、単位セル11はz方向に膨張しようとする。この膨張によって、z方向に並ぶ複数の単位セル11それぞれに含まれる導電板12の導電突起部20のz方向の離間間隔が変動する虞がある。
【0096】
これに対して、複数の単位セル11のz方向の並びが拘束具30によって保持されている。複数の単位セル11に含まれる導電突起部20はy方向に延びるとともにz方向に離間して並んでいる。
【0097】
そのため、複数の単位セル11それぞれに含まれる発電要素13のz方向への膨張による複数の導電突起部20のz方向の離間間隔の変動が抑制される。これにより、複数の導電突起部20それぞれと複数のスルーホール51それぞれとのz方向の相対位置に変動の生じることが抑制される。導電突起部20とスルーホール51とを接続するはんだに応力の作用することが抑制される。導電突起部20と配線基板50とに電気的な接続不良の生じることが抑制される。
【0098】
なお、単位セル11の中央側は端側に比べて膨張しやすくなっている。そのため、複数の単位セル11のz方向の膨張度合いは、単位セル11の中央側と端側とで多少の違いが生じる。上記したように拘束具30によって複数の単位セル11のz方向の並びが保持されているものの、第1ボルト35や第2ボルト36のゆるみなどが生じると、単位セル11の膨張によって複数の導電突起部20のz方向の離間間隔が微小ながらも変動する虞がある。そしてその離間間隔の変動が単位セル11の中央側と端側とで異なってくる可能性がある。
【0099】
これに対して、本実施形態では、
図5の(b)欄に示すように、複数の導電突起部20はx方向において単位セル11の中央側ではなく端側に位置している。単位セル11の端側は中央側に比べて膨張しがたくなっている。そのために上記した単位セル11の膨張によって複数の導電突起部20のz方向の離間間隔が変動しがたくなっている。これにより複数の導電突起部20それぞれと配線基板50との電気的な接続信頼性にバラツキの生じることが効果的に抑制される。
【0100】
積層体10はz方向の長さがx方向とy方向それぞれの長さよりも短くなっている。すなわち積層体10は、z方向の長さが、z方向に直交する方向の長さよりも短くなっている。そのために複数の導電突起部20のz方向の離間間隔が狭くなっている。これにより複数の導電突起部20と接続される複数のスルーホール51の配線基板50における形成領域を集約することができる。複数の導電突起部20と複数のスルーホール51との接続が容易になる。
【0101】
本実施形態では、最低電位の単位セル11の導電板12と第2押圧板32との間、および、最高電位の単位セル11の導電板12と第1押圧板31との間それぞれに断熱部材が設けられている。
【0102】
これにより、複数の単位セル11のうちの両端に位置する単位セル11と拘束具30との間での熱伝導が抑制される。複数の単位セル11のうちのz方向で両端に位置する単位セル11と中央側に位置する単位セル11とに温度差の生じることが抑制される。
【0103】
このため、複数の単位セル11それぞれに含まれる導電板12に温度差の生じることが抑制される。複数の導電板12の熱膨張による伸縮度合いに差の生じることが抑制される。複数の導電板12それぞれに形成された導電突起部20のy方向の伸縮度合いに差の生じることが抑制される。複数の導電突起部20のy方向の伸縮度合いに差が生じることで、複数の導電突起部20と複数のスルーホール51とを接続するはんだに応力の作用することが抑制される。導電突起部20と配線基板50とに電気的な接続不良の生じることがより効果的に抑制される。
【0104】
配線基板50に複数のスルーホール51が形成されている。それとともに配線基板50にコネクタ52が搭載されている。複数のスルーホール51とコネクタ52とがx方向で離間している。
【0105】
上記したようにスルーホール51と導電突起部20とがはんだを介して接続される。そのために配線基板50におけるスルーホール51の形成領域に、ガスによる単位セル11の膨張や導電板12の熱膨張などに起因する応力が作用する虞がある。これにより配線基板50におけるスルーホール51の形成領域に歪みが生じる虞がある。
【0106】
また、コネクタ52に電池ECUや補機バッテリなどの外部機器が接続される。そのために配線基板50におけるコネクタ52の搭載領域に、外部機器との接続に起因する応力などが作用する虞がある。これにより配線基板50におけるコネクタ52の搭載領域に歪みが生じる虞がある。
【0107】
しかしながら、上記したようにスルーホール51とコネクタ52とはx方向で離間している。そのため配線基板50におけるスルーホール51の形成領域に生じた歪みがコネクタ52と外部機器との接続に影響をあたることが抑制される。配線基板50におけるコネクタ52の搭載領域に生じた歪みがスルーホール51と導電突起部20との接続に影響をあたえることが抑制される。
【0108】
以上、本開示物の好ましい実施形態について説明したが、本開示物は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示物の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0109】
(第1の変形例)
本実施形態では配線基板50に監視ユニットの形成された例を示した。そして配線基板50に設けられたコネクタ52に電池ECUや補機バッテリなどの外部機器が接続される例を示した。しかしながら例えば
図13に示すように、コネクタ52にワイヤハーネス90が接続され、このワイヤハーネス90に監視ユニットの接続された構成を採用することもできる。この変形例ではコネクタ52と監視ユニットとがワイヤハーネス90を介して接続される。これにより電池モジュール100と監視ユニットとの干渉が抑制される。また電池モジュール100の車載配置場所に対して、監視ユニットの車載配置場所が制限されがたくなる。
【0110】
(第2の変形例)
本実施形態ではコネクタ52がy方向に開口する筒形状を成す樹脂製の筒部と、筒部の中空内に設けられた接続端子と、を有する例を示した。しかしながら筒部がx方向やz方向に開口する構成を採用することもできる。この場合、コネクタ52に対して接続される電池ECUや補機バッテリなどの外部機器やワイヤハーネス90の挿抜方向は、y方向ではなくx方向やz方向になる。
【0111】
(第3の変形例)
本実施形態では拘束具30が第1押圧板31、第2押圧板32、および、連結部33を有し、第1押圧板31と第2押圧板32とが互いにz方向で近づく態様で連結部33によって連結されることで積層体10がz方向に圧縮される例を示した。しかしながら拘束具30としては上記例に限定されない。例えば、連結部33の代わりに、第1押圧板31と第2押圧板32を拘束する拘束バンドや、これら2つの押圧板を互いに近づける付勢力を付与する弾性体などを採用することもできる。
【0112】
(第4の変形例)
本実施形態では導電突起部20が導電板12から延びる構成を示した。しかしながら別体の導電突起部20が導電板12に例えば溶接などによって固定された構成を採用することもできる。
【0113】
(第5の変形例)
本実施形態では第3ボルト73によって配線基板50とカバー70それぞれが拘束具30に固定される例を示した。しかしながら配線基板50とカバー70それぞれが異なる固定部材によって拘束具30に固定される構成を採用することもできる。
【0114】
また、配線基板50とカバー70それぞれが拘束具30の押圧板に固定される例を示した。しかしながら配線基板50とカバー70の少なくとも一方が連結軸に固定される構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0115】
10…積層体、12…導電板、13…発電要素、15…正極、16…負極、20…導電突起部、30…拘束具、50…配線基板、51…スルーホール、52…コネクタ、100…電池モジュール