(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】付着物検出装置、および付着物検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20221206BHJP
G06T 7/11 20170101ALI20221206BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G06T7/11
(21)【出願番号】P 2019172203
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】池田 修久
(72)【発明者】
【氏名】朝山 信徳
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴
(72)【発明者】
【氏名】谷 泰司
(72)【発明者】
【氏名】山本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】塩田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】上林 輝彦
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第11354794(US,B2)
【文献】特開2019-29897(JP,A)
【文献】特開2019-29901(JP,A)
【文献】特開2017-32410(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104850219(CN,A)
【文献】特開2019-133333(JP,A)
【文献】特開2018-26671(JP,A)
【文献】特開2014-30188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01B 11/00-G01B 11/30
G06T 1/00
G06T 7/00
H04N 5/222-H04N 5/257
H04N 7/18
G08G 1/00-G08G 99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置によって撮像された撮像画像から付着物の候補領域を抽出する抽出部と、
所定の除外条件を満たす領域を前記候補領域から除外する除外部と、
前記候補領域から前記除外条件を満たす領域が除外されて確定される領域を確定領域とすると、前記撮像画像の対象領域に対して前記確定領域が占める面積の割合である占有領域が予め設定された閾値以上となった場合に、前記撮像装置に前記付着物が付着していると判定する判定部と、
前記判定部が前記撮像装置に前記付着物が付着していると判定した場合に、付着物検出フラグを「ON」に更新し、前記判定部が前記撮像装置に前記付着物が付着していないと判定した場合に、前記付着物検出フラグを「OFF」に更新する更新部と
、
前記撮像装置に対する前記付着物の付着が検出された過去の撮像画像における前記候補領域の付着候補情報を記憶する記憶部と
を備え、
前記除外部は、
前記更新部によって前記付着物検出フラグが「OFF」に更新されていた場合には、第1除外条件を満たす領域を前記候補領域から除外し、
前記更新部によって前記付着物検出フラグが「ON」に更新されていた場合には、前記第1除外条件とは異なる第2除外条件を満たす領域を前記候補領域から除外し、
前記更新部による更新時に対して、前記撮像画像の同じ位置に同じ形状の前記候補領域が抽出されている場合には、前記第2除外条件を満たさないものと
し、
前記記憶部に記憶された前記付着候補情報と、現在の撮像画像における付着候補情報とが一致しない領域は、前記第2除外条件を満たす領域であるものとする
ことを特徴とする付着物検出装置。
【請求項2】
前記除外部は、
前記更新部によって前記付着物検出フラグが「OFF」に更新されていた場合には、前記候補領域の中心部分の輝度情報に基づいた特徴が誤検知特徴に合致する領域を前記候補領域から除外する
ことを特徴とする請求項1に記載の付着物検出装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記付着候補情報として、前記過去の撮像画像における前記候補領域の輝度分布の起伏情報、および前記過去の撮像画像における前記候補領域の矩形情報を記憶し、
前記除外部は、
前記撮像装置に対する前記付着物の付着が検出されている場合には、前記記憶部に記憶された前記起伏情報、および前記矩形情報と、現在の撮像画像における起伏情報、および矩形情報とが一致しない領域を前記候補領域から除外する
ことを特徴とする請求項
1に記載の付着物検出装置。
【請求項4】
前記更新部は、前記撮像画像における候補領域の付着候補情報に、所定回数連続して一致しない前記付着候補情報を前記記憶部から消去する
ことを特徴とする請求項
1または
3に記載の付着物検出装置。
【請求項5】
前記除外部は、
前記撮像装置が搭載された車両の速度が所定の低車速以下である場合に、前記所定の除外条件を満たす領域を、前記候補領域から除外する
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか一つに記載の付着物検出装置。
【請求項6】
撮像装置によって撮像された撮像画像から付着物の候補領域を抽出する抽出工程と、
所定の除外条件を満たす領域を、前記候補領域から除外する除外工程と、
前記候補領域から前記除外条件を満たす領域が除外されて確定される領域を確定領域とすると、前記撮像画像の対象領域に対して前記確定領域が占める面積の割合である占有領域が予め設定された閾値以上となった場合に、前記撮像装置に前記付着物が付着していると判定する判定工程と、
前記判定工程において前記撮像装置に前記付着物が付着していると判定された場合に、付着物検出フラグを「ON」に更新し、前記判定工程において前記撮像装置に前記付着物が付着していないと判定された場合に、前記付着物検出フラグを「OFF」に更新する更新工程と
、
前記撮像装置に対する前記付着物の付着が検出された過去の撮像画像における前記候補領域の付着候補情報を記憶する記憶工程と
を含み、
前記除外工程では、
前記更新工程において前記付着物検出フラグが「OFF」に更新されていた場合には、第1除外条件を満たす領域が前記候補領域から除外され、
前記更新工程において前記付着物検出フラグが「ON」に更新されていた場合には、前記第1除外条件とは異なる第2除外条件を満たす領域が前記候補領域から除外
され、
前記更新工程における更新時に対して、前記撮像画像の同じ位置に同じ形状の前記候補領域が抽出されている場合には、前記第2除外条件を満たさないものと
し、
前記記憶工程において記憶された前記付着候補情報と、現在の撮像画像における付着候補情報とが一致しない領域は、前記第2除外条件を満たす領域であるものとする
ことを特徴とする付着物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着物検出装置、および付着物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、付着物が存在すると推定される候補領域について画像解析を行い、候補領域の一部を除外する付着物検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、安定して付着物を検出する点で改善の余地があった。例えば、一旦、過去の画像において付着物の付着が確定した領域に対応する候補領域が誤って除外され、付着物検出が不安定になるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安定した付着物検出を行う付着物検出装置、および付着物検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る付着物検出装置は、抽出部と、除外部と、判定部と、更新部と、記憶部とを備える。抽出部は、撮像装置によって撮像された撮像画像から付着物の候補領域を抽出する。除外部は、所定の除外条件を満たす領域を候補領域から除外する。ここで、候補領域から除外条件を満たす領域が除外されて確定される領域を確定領域とする。そうすると、判定部は、撮像画像の対象領域に対して確定領域が占める面積の割合である占有領域が予め設定された閾値以上となった場合に、撮像装置に付着物が付着していると判定する。更新部は、判定部が撮像装置に付着物が付着していると判定した場合に、付着物検出フラグを「ON」に更新し、判定部が撮像装置に付着物が付着していないと判定した場合に、付着物検出フラグを「OFF」に更新する。記憶部は、撮像装置に対する付着物の付着が検出された過去の撮像画像における候補領域の付着候補情報を記憶する。除外部は、更新部によって付着物検出フラグが「OFF」に更新されていた場合には、第1除外条件を満たす領域を候補領域から除外し、更新部によって付着物検出フラグが「ON」に更新されていた場合には、第1除外条件とは異なる第2除外条件を満たす領域を候補領域から除外する。ここで、更新部による更新時に対して、撮像画像の同じ位置に同じ形状の候補領域が抽出されている場合に、第2除外条件は満たされないものとする。記憶部に記憶された付着候補情報と、現在の撮像画像における付着候補情報とが一致しない領域は、第2除外条件を満たす領域であるものとする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、安定した付着物検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、付着物検出方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、付着物検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、輝度分布の抽出対象となる画素列を説明する図である。
【
図8】
図8は、差分の変化量を正規化したヒストグラムを示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る付着物検出処理を説明するフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態に係る除外処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る付着物検出装置、および付着物検出方法について詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1を用いて実施形態に係る付着物検出方法の概要について説明する。
図1は、付着物検出方法の概要を示す図である。実施形態に係る付着物検出方法は、付着物検出装置1(
図2参照)によって実行される。なお、
図1には、例えば、撮像装置であるカメラ10(
図2参照)のレンズに水滴などの付着物が付着した状態で撮像された撮像画像Iを示している。付着物は、泥や、埃や、雪片等が含まれてもよく、付着物の領域がぼやけた領域となる付着物であればよい。
【0011】
付着物検出装置1は、撮像画像Iに設定された所定の対象領域に対して付着物が付着している確定領域が占める面積の割合である占有率が予め設定された閾値(例えば、40%)以上となった場合に、カメラ10のレンズに付着物が付着していると判定する。なお、対象領域は、撮像画像I全体であってもよく、一部の領域であってもよい。また、付着物検出装置1は、占有率が閾値よりも小さい場合に、カメラ10のレンズに付着物が付着していないと判定する。
【0012】
確定領域について、詳しくは後述するが、確定領域は、付着物が付着している可能性がある候補領域100から、所定の除外条件を満たす領域が除外されて検出される。以下において、候補領域100から除外される領域を「除外領域」と称する場合がある。
【0013】
ところで、従来は、候補領域100から除外領域を除外する場合に、レンズに付着物が付着しているか否かに関わらず、同じ除外条件によって候補領域100から除外領域を除外していた。
【0014】
しかしながら、一旦、レンズに付着物が付着していると判定され、実際には付着物が付着しているにもかかわらず、撮像画像Iの状態によって、候補領域100から除外領域として除外される領域があることがわかった。そのため、レンズへの付着物の付着判定が頻繁に切り替えられ、付着物検出が安定しないおそれがある。
【0015】
そこで、実施形態に係る付着物検出装置1は、付着物検出方法を実行することで、安定した付着物検出を可能とした。
【0016】
具体的には、実施形態に係る付着物検出装置1は、カメラ10で撮像された撮像画像Iの各画素から検出されるエッジに基づき、レンズに付着した付着物に対応する付着物領域の候補となる候補領域100を抽出する(S1)。
【0017】
そして、付着物検出装置1は、付着物検出フラグが「OFF」である場合には、第1除外条件を満たす除外領域を、候補領域100から除外する(S2)。付着物検出フラグは、カメラ10のレンズに付着物が付着していると判定されていない場合には「OFF」となり、カメラ10のレンズに付着物が付着していると判定されている場合には「ON」となる。第1除外条件については、後述する。
【0018】
また、付着物検出装置1は、付着物検出フラグが「ON」である場合には、第1除外条件とは異なる第2除外条件を満たす除外領域を、候補領域100から除外する(S3)。第2除外条件については、後述する。
【0019】
これにより、付着物検出装置1は、付着物検出フラグに基づいて、異なる除外条件によって候補領域100から除外領域を除外し、残った候補領域100を用いて付着物の検出判定を行う(S4)。
【0020】
例えば、付着物検出装置1は、付着物検出フラグが「ON」の場合には、付着物検出フラグが「OFF」の場合よりも除外条件を緩和し、候補領域100から除外領域を除外する。すなわち、付着物検出装置1は、付着物検出フラグが「ON」の場合には、付着物検出フラグが「OFF」の場合よりも、候補領域100が除外され難くする。
【0021】
レンズに付着物が付着していると判定されている場合には、付着物検出装置1は、厳しい除外条件によって多くの候補領域100を除外せずに、付着物の付着判定を緩和することによって、付着物が検出される状態を維持する。これによって、付着物検出装置1は、レンズへの付着物の付着判定が頻繁に切り替えられることを抑制し、安定した付着物検出が可能となる。
【0022】
次に、実施形態に係る付着物検出装置1について、
図2を参照して説明する。
図2は、付着物検出装置1の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、実施形態に係る付着物検出装置1は、カメラ10と、各種機器50とに接続される。なお、
図2では、付着物検出装置1は、カメラ10と、各種機器50とは別体で構成される場合を示したが、これに限らず、カメラ10および各種機器50の少なくとも一方と一体で構成されてもよい。
【0023】
カメラ10は、たとえば、魚眼レンズ等のレンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備えた車載カメラである。カメラ10は、例えば、車両の前後方、側方の様子を撮像可能な位置にそれぞれ設けられ、撮像された撮像画像Iを付着物検出装置1へ出力する。
【0024】
各種機器50は、付着物検出装置1の検出結果を取得して、車両の各種制御を行う機器である。各種機器50は、例えば、カメラ10のレンズに付着物が付着していることや、ユーザによる付着物の拭き取り指示を通知する表示装置や、流体や気体等をレンズに向かって噴射して付着物を除去する除去装置、自動運転等を制御する車両制御装置を含む。
【0025】
付着物検出装置1は、制御部2と、記憶部3とを備える。制御部2は、取得部20と、抽出部21と、算出部22と、変換部23と、除外部24と、判定部25と、更新部26と、検出部27とを備える。記憶部3は、起伏条件情報DB30と、付着候補情報DB31とを備える。
【0026】
ここで、付着物検出装置1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、データフラッシュ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0027】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部2の取得部20、抽出部21、算出部22、変換部23、除外部24、判定部25、更新部26、および検出部27として機能する。
【0028】
また、制御部2の取得部20、抽出部21、算出部22、変換部23、除外部24、判定部25、更新部26、および検出部27の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。また、取得部20、抽出部21、算出部22、変換部23、除外部24、判定部25、更新部26、および検出部27は、統合されてもよく、複数に分けられてもよい。
【0029】
また、記憶部3は、たとえば、RAMやデータフラッシュに対応する。RAMやデータフラッシュは、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、付着物検出装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0030】
起伏条件情報DB30は、起伏条件情報を記憶する。起伏条件情報は、後述の判定部25による判定処理の基準となる条件を含む情報であり、例えば、輝度分布の起伏のパターン条件を含む。なお、パターン条件とは、輝度分布をマップ化した場合の起伏の形状パターンや、輝度分布における輝度のデータ列のパターン等である。なお、起伏条件情報を用いた判定処理については後述する。
【0031】
付着候補情報DB31は、付着物が検出された過去の撮像画像Iにおける候補領域100の付着候補情報を記憶する。付着候補情報は、候補領域100の矩形情報、および候補領域100の輝度分布の起伏情報である。
【0032】
矩形情報は、撮像画像Iにおける候補領域100の位置、および大きさを示す情報である。矩形情報は、候補領域100の左上のX座標、Y座標、および候補領域100の幅、高さである。X座標、およびY座標は、撮像画像I中の所定の座標を原点として設定される。なお、所定の座標は、各撮像画像Iにおいて同じ位置に設定される。
【0033】
輝度分布の起伏情報は、候補領域100における輝度分布の起伏変化のパターンである。輝度分布の起伏変化のパターンについては後述する。矩形情報、および輝度分布の起伏情報は、紐付けられて記憶されている。
【0034】
取得部20は、カメラ10で撮像された画像を取得し、現在の撮像画像Iである現在フレームを生成(取得)する。具体的には、取得部20は、取得した画像における各画素を輝度に応じて白から黒までの各階調に変換するグレースケール化処理を行う。また、取得部20は、取得した画像に画素の間引き処理を行い、取得した画像よりもサイズが小さい画像を生成する。
【0035】
また、取得部20は、間引き処理を施した画像に基づいて、各画素における画素値の和および二乗和の積分画像である現在フレームを生成する。なお、画素値とは、画素の輝度やエッジに対応する情報である。このように、付着物検出装置1は、取得した画像に対して間引き処理を行い、積分画像を生成することで、後段における処理の計算を高速化できるため、付着物を検出するための処理時間を短くすることができる。
【0036】
なお、取得部20は、各画素について、平均化フィルタなどの平滑化フィルタを用いて平滑化処理を行ってもよい。また、取得部20は、間引き処理を行わず、取得した画像と同じサイズの現在フレームを生成してもよい。
【0037】
抽出部21は、取得部20が取得した撮像画像Iの中から候補領域100を抽出する。具体的には、まず、抽出部21は、撮像画像Iにおける各画素の輝度およびエッジ情報を抽出する。各画素の輝度は、例えば、0~255のパラメータで表現される。
【0038】
また、抽出部21は、各画素の輝度に基づいてエッジ検出処理を行って、各画素について、X軸方向(撮像画像Iの左右方向)のエッジと、Y軸方向(撮像画像Iの上下方向)のエッジとを検出する。エッジ検出処理には、例えば、Sobelフィルタや、Prewittフィルタ等の任意のエッジ検出フィルタを用いることができる。
【0039】
そして、抽出部21は、X軸方向のエッジと、Y軸方向のエッジとに基づき、三角関数を用いることで、画素のエッジ角度およびエッジ強度の情報を含むベクトルをエッジ情報として検出する。具体的には、エッジ角度は、ベクトルの向きによって表現され、エッジ強度は、ベクトルの長さによって表現される。
【0040】
そして、抽出部21は、予め作成された付着物の輪郭を示すテンプレート情報と、検出したエッジ情報とのマッチング処理(テンプレートマッチング)を行い、テンプレート情報と類似するエッジ情報を抽出する。そして、抽出部21は、抽出したエッジ情報の領域、すなわち、付着物の輪郭を含む矩形状の領域である候補領域100を抽出する。
【0041】
また、抽出部21は、候補領域100における所定の画素列の輝度分布を抽出する。具体的には、抽出部21は、除外領域が除外された候補領域100における所定の画素列の輝度分布を抽出する。
図3は、輝度分布の抽出対象となる画素列を説明する図である。
図3に示すように、抽出部21は、撮像画像Iにおける水平方向の3列の画素列H1~H3と、垂直方向の3列の画素列V1~V3とについて、輝度分布を抽出する。これにより、輝度分布を2次元の情報として扱うことができるため、後段の処理負荷を軽減できる。
【0042】
なお、抽出する画素列は、水平方向、または、垂直方向のいずれか一方の画素列であってもよい。また、抽出する画素列の列数は、3列に限らず、2列以下や、4列以上であってもよい。
【0043】
図2に戻って算出部22について説明する。算出部22は、除外領域が除外された候補領域100を所定画素数を単位とする単位領域に分割し、単位領域毎に輝度の代表値を算出する。なお、算出部22による代表値の算出方法については、
図4および
図5を用いて後述する。
【0044】
変換部23は、候補領域100における画素の輝度を、所定の輝度範囲を単位とする単位輝度に変換する。例えば、変換部23は、輝度を示す0~255のパラメータを所定数毎に区切った単位輝度に変換する。なお、上述の算出部22によって算出される輝度の代表値は、変換部23によって変換された単位輝度で表現可能である。かかる点について、
図4および
図5を用いて説明する。
【0045】
図4および
図5は、算出部22の処理内容を示す図である。まず、
図4を用いて、算出部22による単位領域の設定方法について説明する。
図4では、水平方向における一の画素列Hの輝度分布を示す。
【0046】
図4に示すように、算出部22は、水平方向における画素列を、例えば8個の単位領域R1~R8(まとめて単位領域Rと記載する場合がある。)に分割する。なお、単位領域R1~R8の各幅(画素数)は、同じ(すなわち、画素列を均等割りした画素数)であってもよく、各幅がそれぞれ異なってもよい。
【0047】
また、単位領域Rの分割数は、8個に限らず、任意の数を設定可能である。なお、単位領域Rの分割数は、撮像画像Iから抽出される候補領域100のサイズに関わらず、すべて同じ数(
図4では8個)であることが好ましい。これにより、抽出される候補領域100のサイズが様々であっても、単位領域Rの数を揃えることで、統一した情報となるため、後段の判定処理等の処理負荷を抑えることができる。
【0048】
次に、
図5に示すように、算出部22は、単位領域R毎に輝度の代表値を算出する。
図5の上段に示すように、変換部23は、算出部22による代表値の算出処理に先立って、各画素の輝度値(例えば、0~255)を単位輝度へ変換する。具体的には、
図5では、0~255を8個の単位輝度に均等に分割する。単位輝度は、
図5の中段に示す「0」~「7」である。この場合、輝度値の幅が32単位で分割される。例えば「0」の単位輝度は輝度値で0~31に対応し、「1」の単位輝度は輝度値で32~63に対応する。つまり、単位輝度への変換は、輝度の分割数を減らす処理である。これにより、輝度分布の輝度を所望の単位輝度の数まで減らすことができるため、後段の処理負荷を軽減できる。なお、輝度から単位輝度への変換において、その分割数ならびに分割幅は、任意に設定可能である。上記のように均等幅でなくてもよい。
【0049】
そして、算出部22は、単位領域R1~R8毎に単位輝度のヒストグラムを作成する。
図5の中段では、階級を単位輝度「0」~「7」とし、度数を画素数とする一の単位領域R1のヒストグラムを示す。
【0050】
そして、
図5の下段に示すように、算出部22は、作成したヒストグラムに基づいて単位領域R1~R8それぞれについて、輝度の代表値を算出する。例えば、算出部22は、ヒストグラムにおける最頻値の階級(
図5では、階級「3」)の単位輝度を、単位領域R1における輝度の代表値として算出する。これにより、輝度分布のデータ数を画素数から単位領域Rの数に減らすことができるため、後段の処理負荷を軽減できる。
【0051】
なお、算出部22は、最頻値の単位輝度を代表値としたが、これに限らず、例えば、ヒストグラムにおける中央値や平均値等を代表値としてもよい。
【0052】
また、算出部22は、ヒストグラムに基づいた代表値の算出処理に限らず、例えば、各単位領域Rについて、輝度値の平均値を算出し、かかる平均値に対応する単位輝度を輝度の代表値としてもよい。
【0053】
また、算出部22は、単位輝度を代表値としたが、例えば、単位領域Rにおける輝度値の平均値等をそのまま代表値としてもよい。つまり、代表値は、単位輝度で表現されもよく、輝度値で表現されてもよい。
【0054】
また、算出部22は、
図6に示すように、隣接する単位領域R1~R8の単位輝度の変化量D1~D7を算出する。
図6は、算出部22の処理内容を示す図である。
図6の上段には、一の候補領域100における輝度分布を示しており、単位領域R1~R8毎の代表値を棒グラフに中抜きで示している。
【0055】
具体的には、算出部22は、隣接する単位領域間で、それぞれの単位輝度の差分をとり、変化量とする。すなわち隣接する単位領域間でどの程度輝度に変化が生じたかを変化量として算出する。なお、ここでは単純に差分としたが方法はこれに限らない。例えば各種の補完方法によって輝度分布を表す連続関数を生成し、その微分値を変化量として算出してもよい。なお、
図6の下段には、変化量D1~D7の各値が入力されたテーブルを示している。
【0056】
変化量D1~D7のパターンは、輝度分布の起伏変化のパターンである。すなわち、輝度分布の起伏変化のパターンは、隣接する単位領域R1~R8の単位輝度の変化量D1~D7のパターンである。
【0057】
なお、輝度分布の起伏情報として、付着候補情報DB31に記憶される輝度分布の起伏変化のパターンは、単位領域R1~R8の単位輝度であってもよい。
【0058】
図2に戻り、除外部24は、抽出部21によって抽出された候補領域100から、所定の除外条件を満たす除外領域を除外する。具体的には、除外部24は、付着物検出フラグが「OFF」の場合には、第1除外条件を満たす除外領域を候補領域100から除外する。また、除外部24は、付着物検出フラグが「ON」の場合には、第2除外条件を満たす除外領域を候補領域100から除外する。第1除外条件、および第2除外条件については後述する。
【0059】
判定部25は、付着物検出フラグが「ON」であるか、「OFF」であるかを判定する。また、判定部25は、候補領域100が所定の除去条件(第1除去条件、および第2除去条件)を満たすか否かを判定する。
【0060】
判定部25は、付着物検出フラグが「OFF」の場合には、候補領域100が第1除去条件を満たすか否かを判定する。なお、判定部25は、抽出部21によって抽出された全ての候補領域100について第1除去条件を満たすか否かを判定する。第1除去条件は、路面反射に起因する誤検出を防止するための条件である。
【0061】
ここで、第1除去条件について
図7を参照し説明する。
図7は、第1除去条件を説明する図である。
【0062】
判定部25は、
図7の上段に示す候補領域100の中央部分の輝度値について、
図7の中段に示すように、Y軸方向に隣接する輝度値の差分を算出する。さらに、判定部25は、算出した差分について、
図7の下段に示すように、さらにY軸方向に隣接する差分の変化量を算出する。なお、差分の変化量は、絶対値である。
【0063】
そして、判定部25は、度数総和が所定値(例えば、1000)となるように正規化し、
図8に示すようにヒストグラムを生成する。
図8は、差分の変化量を正規化したヒストグラムを示す図である。
図8に示すヒストグラムでは、横軸が差分の変化量であり、縦軸が度数である。判定部25は、差分の変化量が35以上の度数を度数和として算出し、度数和が5以上である場合に、第1除外条件を満たすと判定する。度数和が5以上となる候補領域100は、候補領域100の中心が明るい路面反射が撮像された領域である。そのため、度数和が5以上である候補領域100は、除外領域であり、上記した除外部24において除外される。
【0064】
ここでは、差分の変化量を用いた度数和を算出し、候補領域100を路面反射が撮像された領域であるか否かを判定している。これは、輝度が急激に変化し、輝度値の変化が「+」方向から「-」方向に、または、「-」方向から「+」方向に大きい場合には、路面反射の領域である可能性が高いためである。差分の変化量を算出することによって、輝度値の変化の方向性がわかり、候補領域100を路面反射が撮像された領域であるか否かを正確に判定することができる。
【0065】
例えば、
図7の中段において、右側の輝度値の変化が、「0」→「20」→「-20」→「-3」→「-1」である場合には、差分の変化量は、「20」→「40」→「17」→「2」となる。このように、差分の変化量を算出することによって、輝度値の大きな変化を検出することができる。従って、差分の変化量の度数和を算出することによって、候補領域100を路面反射が撮像された領域であるか否かを正確に判定することができる。
【0066】
このように、判定部25は、候補領域100の中心部分の輝度情報に基づいた特徴が誤検知特徴に合致するか否かを判定する。そして、候補領域100の中心部分の輝度情報に基づいた特徴が誤検知特徴に合致する除外領域は、除外部24によって除外される。
【0067】
一方、判定部25は、度数和が5未満である場合に、第1除外条件を満たさないと判定する。度数和が5未満である候補領域100は、除外領域ではなく、上記した除外部24において除外されない。
【0068】
また、判定部25は、付着物検出フラグが「ON」の場合には、候補領域100が第2除外条件を満たすか否かを判定する。なお、判定部25は、抽出部21によって抽出された全ての候補領域100について第2除外条件を満たすか否かを判定する。
【0069】
判定部25は、候補領域100の付着候補情報が、付着候補情報DB31に記憶されている付着候補情報に一致しない場合に、第2除外条件を満たすと判定する。第2除外条件は、第1除外条件よりも除外条件が緩和された条件である。
【0070】
具体的には、判定部25は、候補領域100の矩形情報が、付着候補情報DB31に記憶されている矩形情報に一致せず、または候補領域100の輝度分布の起伏情報が、付着候補情報DB31に記憶されている輝度分布の起伏情報に一致しない場合に、第2除外条件を満たすと判定する。第2除外条件を満たす候補領域100は、除外領域であり、上記した除外部24において除外される。
【0071】
一方、判定部25は、候補領域100の付着候補情報が、付着候補情報DB31に記憶されている付着候補情報に一致する場合に、第2除外条件を満たさないと判定する。
【0072】
具体的には、判定部25は、候補領域100の矩形情報が、付着候補情報DB31に記憶されている矩形情報に一致し、かつ候補領域100の輝度分布の起伏パターンが、付着候補情報DB31に記憶されている輝度分布の起伏パターンに一致する場合に、第2除外条件を満たさないと判定する。第2除外条件を満たさない候補領域100は、除外領域ではなく、上記した除外部24において除外されない。すなわち、撮像画像Iの同じ位置に、同じ形状の候補領域100が抽出される場合には、抽出された候補領域100は、除外されない。
【0073】
また、判定部25は、候補領域100に含まれる画素の輝度分布の起伏に基づいて候補領域100が付着物領域であるか否かを判定する。なお、判定部25は、抽出部21によって抽出された候補領域100のうち、除外部24によって除外領域が除外された候補領域100について、付着物領域であるか否か判定する。
【0074】
判定部25は、輝度分布の起伏変化のパターンが所定の変化パターンを満たす場合に、候補領域100が付着物領域であると判定する。
【0075】
所定の変化パターンは、起伏条件情報として、記憶部3の起伏条件情報DB30に記憶されている。所定のパターンは、変化量D1~D7それぞれの閾値範囲を含み、例えば、
図9の上段に示すテーブルとして記憶される。所定の変化パターンは、複数記憶されている。
図9は、判定部25による判定処理を説明する図である。なお、
図9の下段には、候補領域100における変化量D1~D7の各値が入力されたテーブルを示している。
【0076】
判定部25は、候補領域100における変化量D1~D7の各値と、記憶部3に記憶された起伏条件情報とを比較して判定処理を行う。判定部25は、候補領域100における変化量D1~D7それぞれが、起伏条件情報で設定された変化量D1~D7それぞれの閾値範囲に収まる場合に、候補領域100が付着物領域であると判定する。
【0077】
換言すれば、判定部25は、隣接する単位領域R1~R8の単位輝度の変化量D1~D7のパターンが、起伏条件情報で設定された閾値範囲である変化パターンを満たす場合に、付着物領域であると判定する。
【0078】
また、判定部25は、変化量D1~D7を用いることで、全体的な輝度値の大小を無視できるため、起伏の形状が類似して輝度値の大小が異なる場合による誤判定を減らすことができる。さらに、輝度値の大小を無視できるため、輝度値毎に判定条件を設定する必要がなくなることで、条件を記憶するための記憶容量を削減でき、かつ、輝度値毎に判定処理を行う必要がないため、処理量を減らすことができる。
【0079】
また、起伏条件情報において変化量D1~D7の最大および最小を設定して幅をもたせることで、付着物の形状がくずれたとしても付着物領域として検出することができる。すなわち、付着物の形状が異なる場合であっても付着物領域として高精度に検出することができる。
【0080】
なお、
図9では、起伏条件情報について、すべての変化量D1~D7の閾値範囲を設定した場合を示したが、小さいサイズの付着物領域を検出する場合には、変化量D1~D7のうち、一部の変化量の閾値範囲のみを設定してもよい。
【0081】
また、
図9では、判定部25は、起伏条件情報の閾値範囲に含まれるか否かで判定を行う場合を示したが、例えば、変化量D1~D7の閾値範囲に基づいて輝度分布の起伏がマップ化された起伏条件情報に基づいて判定処理を行ってもよい。かかる点について、
図10を用いて説明する。
【0082】
図10の上段では、輝度分布の起伏変化の変化量の閾値範囲を示しており、
図10の下段には、
図10の上段に示す変化量D1~D4の閾値範囲がマップ化された起伏条件情報を示している。具体的には、横軸を単位領域R1~R8の位置とし、縦軸を相対輝度としたマップを示している。なお、かかるマップは、予め生成される。
【0083】
例えば、変化量D1は、+1~+2の閾値範囲であるため、単位領域R1には相対輝度の所定位置の2マスを閾値として設定する。そして、単位領域R2は、変化量D1の閾値範囲を満たす位置の1マスを閾値として設定する。つづいて、変化量D2は、値が+1であるため、単位領域R2に設定されたマスから1つ上がった単位領域R3のマスを閾値として設定する。つづいて、変化量D3は、値が-1であるため、単位領域R3に設定されたマスから1つ下がった単位領域R4のマスを閾値として設定する。つづいて、変化量D4は、-2~-1の閾値範囲であるため、単位領域R4に設定されたマスから1つ、および、2つ下がった単位領域R5の2つのマスを閾値として設定する。これにより、起伏条件情報のマップが完成する。
【0084】
つまり、起伏条件情報におけるマップは、変化量D1~D4に基づく単位領域R1~R5における単位輝度の起伏形状を表現した情報である。なお、単位領域R6~R8については、変化量D5~D7の閾値範囲が設定されていないため、検出される輝度が任意でよい。かかる起伏条件情報およびマップは、予め複数のパターン分用意されている。なお、
図10は、凸状の起伏条件情報を示すが、凹状の起伏条件情報およびマップも用意されている。
【0085】
判定部25は、上記の同様の手法により、抽出した候補領域100における単位領域R1~R8の変化量D1~D7に基づいてマップを作成し、起伏条件情報における上記のマップとのマッチング処理を行い、双方のマップが一致する場合に、付着物領域と判定する。
【0086】
図10に示す例では、判定部25は、候補領域100に基づくマップが、起伏条件情報のマップのような凸状である場合に、中心から周囲に向かって暗くなるぼやけた領域である付着物領域と判定する。一方、判定部25は、候補領域100に基づくマップが、起伏条件情報のマップのような凹状である場合に、中心から周囲に向かって明るくなるぼやけた領域である付着物領域と判定する。
【0087】
つまり、判定部25は、候補領域100における輝度分布の起伏が、凸状、または、凹状である場合、候補領域100が付着物領域であると判定する。これにより、輝度値(単位輝度)の要素を除いた起伏形状のみに判定処理を行うことができるため、輝度値の大小による未検出を減らすことができる。従って、付着物を高精度に検出することができる。
【0088】
また、判定部25は、時系列の撮像画像Iに基づき、候補領域100を連続して付着物領域である判定した場合に、候補領域100が付着物領域の確定領域であると判定する。
【0089】
また、判定部25は、確定領域の占有率を算出することによって、最終的な付着物の判定処理を行う。具体的には、判定部25は、占有率が予め設定された閾値(例えば、40%)以上の場合に、カメラ10のレンズに付着物が付着していると判定する。判定部25は、占有率が閾値よりも小さい場合に、カメラ10のレンズに付着物が付着していないと判定する。
【0090】
更新部26は、カメラ10のレンズに付着物が付着していると判定された場合に、付着物検出フラグを「ON」にする。また、更新部26は、カメラ10のレンズに付着物が付着していないと判定された場合に、付着物検出フラグを「OFF」にする。
【0091】
また、更新部26は、付着候補情報DB31を更新する。更新部26は、付着物検出フラグが「ON」であり、かつ確定領域における付着候補情報が付着候補情報DB31に記憶されていない場合には、新たに付着候補情報を記憶する。
【0092】
また、更新部26は、付着物検出フラグが「ON」であり、かつ付着候補情報DB31に記憶された付着候補情報に一致する付着候補情報を有する候補領域100が連続して所定回数(例えば、3回)検出されない場合には、一致しない付着候補情報を付着候補情報DB31から消去する。すなわち、更新部26は、付着物検出フラグが「ON」であり、かつ所定回数連続して、撮像画像Iにおける候補領域100の付着候補情報に一致しない付着候補情報を付着候補情報DB31から消去する。
【0093】
なお、更新部26は、付着候補情報のうち矩形情報に基づいて付着候補情報を付着候補情報DB31から消去してもよい。具体的には、更新部26は、付着物検出フラグが「ON」であり、かつ付着候補情報DB31に記憶された付着候補情報の矩形情報に一致する矩形情報を有する候補領域100が連続して所定回数(例えば、3回)検出されない場合には、一致しない付着候補情報を付着候補情報DB31から消去する。
【0094】
検出部27は、判定部25による判定結果に基づいて、候補領域100から付着物領域を検出する。また、検出部27は、判定部25による判定結果に基づいて、付着物領域の確定領域を検出する。
【0095】
次に、実施形態に係る付着物検出処理について
図11を参照し説明する。
図11は、実施形態に係る付着物検出処理を説明するフローチャートである。
【0096】
制御部2は、カメラ10で撮像された画像を取得し、取得した画像に対してグレースケール化処理および間引き処理した後、縮小した画像の画素値に基づいて生成した積分画像を撮像画像Iとして取得する(S100)。
【0097】
制御部2は、撮像画像Iの各画素から検出されるエッジ情報に基づき、カメラ10に付着した付着物に対応する付着物領域の候補領域100を抽出する(S101)。
【0098】
制御部2は、抽出した候補領域100から除外領域を除外する除外処理を行い(S102)、除外領域が除外された候補領域100から付着物領域を検出し(S103)、付着物領域の確定領域を検出する(S104)。
【0099】
制御部2は、占有率を算出し(S105)、占有率が閾値以上であるか否かを判定する(S106)。制御部2は、占有率が閾値以上である場合には(S106:Yes)、付着物検出フラグを「ON」にする(S107)。制御部2は、占有率が閾値よりも小さい場合には(S106:No)、付着物検出フラグを「OFF」にする(S108)。
【0100】
次に、実施形態に係る除外処理について
図12を参照し説明する。
図12は、実施形態に係る除外処理を説明するフローチャートである。
【0101】
制御部2は、付着物検出フラグが「OFF」であるか否かを判定する(S200)。制御部2は、付着物検出フラグが「OFF」である場合には(S200:Yes)、候補領域100が第1除外条件を満たすか否かを判定する(S201)。制御部2は、候補領域100が第1除外条件を満たす場合には(S201:Yes)、候補領域100を除外領域として除外する(S202)。
【0102】
制御部2は、抽出された全ての候補領域100について第1除外条件を満たすか否かの判定を行ったか否かを判定する(S203)。制御部2は、第1除外条件を満たすか否かの判定を行っていない候補領域100がある場合には、第1除外条件を満たすか否かの判定を行っていない候補領域100に対し、第1除外条件を満たすか否かを判定する(S201)。
【0103】
制御部2は、付着物検出フラグが「ON」である場合には(S200:No)、候補領域100が第2除外条件を満たすか否かを判定する(S204)。制御部2は、候補領域100が第2除外条件を満たす場合には(S204:Yes)、候補領域100を除外領域として除外する(S205)。
【0104】
制御部2は、抽出された全ての候補領域100について第2除外条件を満たすか否かの判定を行ったか否かを判定する(S206)。制御部2は、第2除外条件を満たすか否かの判定を行っていない候補領域100がある場合には、第2除外条件を満たすか否かの判定を行っていない候補領域100に対し、第2除外条件を満たすか否かを判定する(S204)。
【0105】
付着物検出装置1は、撮像画像Iから付着物の候補領域100を抽出し、付着物検出フラグが「OFF」である場合には、第1除外条件を満たす除外領域を、抽出した候補領域100から除外する。また、付着物検出装置1は、付着物検出フラグが「ON」である場合には、第2除外条件を満たす除外領域を、抽出した候補領域100から除外する。
【0106】
これにより、付着物検出装置1は、カメラ10のレンズへの付着物の付着判定が頻繁に切り替えられることを抑制し、付着物検出を安定させることができる。
【0107】
付着物検出装置1は、第2除外条件を第1除外条件よりも緩和し、候補領域100から除外領域を除外する。
【0108】
これにより、付着物検出装置1は、付着物検出フラグが「ON」である場合に、誤検出により候補領域100が除外領域として除外されることを抑制し、付着物検出フラグが「OFF」になることを抑制することができる。
【0109】
付着物検出装置1は、付着物検出フラグが「OFF」である場合には、候補領域100の中心部分の輝度情報に基づいた特徴が誤検知特徴に合致する除外領域を候補領域100から除外する。
【0110】
これにより、付着物検出装置1は、路面反射の影響によって抽出された領域を、候補領域100から除外することができ、付着物の検出精度を向上させることができる。
【0111】
付着物検出装置1は、付着物検出フラグが「ON」である場合には、付着候補情報DB31に記憶された付着候補情報に一致しない付着候補情報を有する除外領域を候補領域100から除外する。
【0112】
具体的には、付着物検出装置1は、付着候補情報DB31に記憶された候補領域100の矩形情報、および候補領域100の輝度分布の起伏情報に一致しない除外領域を候補領域100から除外する。すなわち、付着物検出装置1は、付着候補情報DB31に記憶された候補領域100の矩形情報、および候補領域100の輝度分布の起伏情報に一致する領域を候補領域100から除外しない。
【0113】
これにより、付着物検出装置1は、撮像画像Iの同じ位置に同じ形状の特徴を有する領域が候補領域100から除外されることを抑制し、付着物検出フラグが「OFF」になることを抑制することができる。
【0114】
また、付着物検出装置1は、取得された撮像画像Iから抽出された候補領域100の付着候補情報に、所定回数連続して一致しない付着候補情報を付着候補情報DB31から消去する。
【0115】
これにより、付着物検出装置1は、不適切な付着候補情報に基づいて、候補領域100の選別が行われることを抑制することができる。そのため、付着物検出装置1は、処理負荷を低減することができる。また、付着物検出装置1は、付着物の検出精度を向上させることができる。また、付着物検出装置1は、候補領域100が誤抽出された場合に、誤抽出された情報に基づいて付着候補情報DB31から付着候補情報が消去されることを抑制することができる。
【0116】
変形例に係る付着物検出装置1は、車速が所定の低車速(例えば、15km/h)以下である場合に、上記第1除外条件、または第2除外条件を満たす除外領域を候補領域100から除外してもよい。
【0117】
車速が低い場合に、第1除外条件を満たす領域を除外領域として、候補領域100から除外すると、付着物検出フラグが「ON」から「OFF」に変更される頻度が高くなる。これは、車速が低くなると、路面反射の影響によって候補領域100が除外されやすくなるためである。
【0118】
これに対し、変形例に係る付着物検出装置1は、車速が低い場合に、上記処理を適用することによって、付着物検出フラグが誤って「ON」から「OFF」にされることを抑制することができる。
【0119】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 付着物検出装置
2 制御部
3 記憶部
10 カメラ(撮像装置)
20 取得部
21 抽出部
24 除外部
25 判定部
26 更新部
27 検出部
30 起伏条件情報DB
31 付着候補情報DB