(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】シフトレンジ制御装置
(51)【国際特許分類】
F16H 61/32 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
F16H61/32
(21)【出願番号】P 2019181710
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】宮野 遥
(72)【発明者】
【氏名】坂口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山田 純
(72)【発明者】
【氏名】中山 誠二
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-227307(JP,A)
【文献】特開2004-120810(JP,A)
【文献】特開2018-135919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(10)の駆動を制御することでシフトレンジを切り替えるシフトレンジ制御装置であって、
前記モータの回転を検出する回転位置検出部(13)の検出値に基づいて実回転位置を演算するモータ位置演算部(51)と、
要求レンジに応じた目標レンジ、および、前記目標レンジに応じた目標回転位置を設定する目標設定部(52)と、
前記実回転位置が前記目標回転位置となるように前記モータの駆動を制御し、前記実回転位置が前記目標回転位置を含む制御範囲内に到達すると、前記モータを停止させる停止制御を行う駆動制御部(54)と、
前記モータの反転を検出する反転判定部(55)と、
前記停止制御中に前記モータの反転が検出された場合、前記要求レンジに応じたシフトレンジが確定したと判定するレンジ確定判定部(56)と、
を備えるシフトレンジ制御装置。
【請求項2】
前記レンジ確定判定部は、前記停止制御中において、前記実回転位置が停滞している状態が、前記停止制御を継続する停止制御継続時間より短い時間に設定される停滞判定時間に亘って継続した場合、前記要求レンジに応じたシフトレンジが確定したと判定する請求項1に記載のシフトレンジ制御装置。
【請求項3】
前記停止制御中において前記要求レンジと前記目標レンジとが不一致の場合、前記目標レンジを再設定して前記モータを再駆動し、前記要求レンジと前記目標レンジとを一致させた状態にてレンジ確定判定を行う請求項1または2に記載のシフトレンジ制御装置。
【請求項4】
前記停止制御中において前記目標レンジと現在レンジとが不一致の場合、前記モータを再駆動し、前記目標レンジと前記現在レンジとを一致させた状態にてレンジ確定判定を行う請求項1または2に記載のシフトレンジ制御装置。
【請求項5】
前記停止制御中において前記目標回転位置と前記実回転位置との偏差が再駆動判定値より大きい場合、前記モータを再駆動し、前記偏差が前記再駆動判定値以下の状態にてレンジ確定判定を行う請求項1または2に記載のシフトレンジ制御装置。
【請求項6】
前記要求レンジに応じたシフトレンジが確定したと判定された場合、シフトレンジが確定した旨の情報を他の制御部(60)に通知する請求項1~5のいずれか一項に記載のシフトレンジ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトレンジ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの駆動を制御することでシフトレンジの切り替えを制御するシフトレンジ制御装置が知られている。例えば特許文献1では、角度偏差が角度判定閾値より小さくなると、急ブレーキ制御に切り替える。また、モータの反転が検出されると、固定相通電制御に切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、固定相通電時間に亘って固定相通電制御を継続した後、通電をオフにする。ここで、固定相通電が終了したときにレンジ確定判定をすることで、モータが確実に停止している状態での判定が可能であるものの、例えばレンジ確定判定後にトランスミッションの油圧制御を開始する場合、レンジ確定判定が早いほうがフィーリングの面で好ましい。一方、モータが駆動している状態にてレンジ確定が判定されてトランスミッションの油圧制御が開始されると、例えば電源瞬断等によりモータがオーバーシュートすると、トランスミッションが故障する虞がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、適切にレンジ確定を判定可能なシフトレンジ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシフトレンジ制御装置は、モータ(10)の駆動を制御することでシフトレンジを切り替えるものであって、モータ位置演算部(51)と、目標設定部(52)と、駆動制御部(54)と、反転判定部(55)と、レンジ確定判定部(56)と、を備える。
【0007】
モータ位置演算部は、モータの回転を検出する回転位置検出部(13)の検出値に基づいて実回転位置を演算する。目標設定部は、要求レンジに応じた目標レンジ、および、目標レンジに応じた目標回転位置を設定する。駆動制御部は、実回転位置が目標回転位置となるようにモータの駆動を制御し、実回転位置が目標回転位置を含む制御範囲内に到達すると、モータを停止させる停止制御を行う。
【0008】
反転判定部は、モータの反転を検出する。レンジ確定判定部は、停止制御中にモータの反転が検出された場合、要求レンジに応じたシフトレンジが確定したと判定する。これにより、適切にシフトレンジの確定を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムを示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムを示す概略構成図である。
【
図3】第1実施形態による駆動モード選択処理を説明するフローチャートである。
【
図4】第1実施形態による反転検出処理を説明するフローチャートである。
【
図5】第1実施形態による制御選択処理を説明するフローチャートである。
【
図6】第1実施形態によるモータ制御処理を説明するタイムチャート、および、ディテントローラが移動する状態を説明する模式図である。
【
図7】第1実施形態によるモータ制御処理を説明するタイムチャートである。
【
図8】第1実施形態によるモータ制御処理を説明するタイムチャートである。
【
図9】第1実施形態によるモータ制御処理を説明するタイムチャートである。
【
図10】第1実施形態によるモータ制御処理を説明するタイムチャートである。
【
図11】第2実施形態による駆動モード選択処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明によるシフトレンジ制御装置を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0011】
本実施形態のシフトレンジ制御装置を
図1~
図10に示す。
図1および
図2に示すように、シフトバイワイヤシステム1は、モータ10、シフトレンジ切替機構20、パーキングロック機構30、および、シフトレンジ制御装置40等を備える。
【0012】
モータ10は、図示しない車両に搭載されるバッテリから電力が供給されることで回転し、シフトレンジ切替機構20の駆動源として機能する。本実施形態のモータ10は、3相のスイッチトリラクタンスモータであって、図示しないステータに巻回されるU相、V相およびW相のモータ巻線を有する。
【0013】
図2に示すように、回転位置検出部であるエンコーダ13は、モータ10の図示しないロータの回転位置を検出する。エンコーダ13は、例えば磁気式のロータリーエンコーダであって、ロータと一体に回転する磁石と、磁気検出用のホールIC等により構成される。エンコーダ13は、ロータの回転に同期して、所定の角度ごとにパルス信号であるエンコーダ信号を出力する。
【0014】
減速機14は、モータ10のモータ軸105(
図6参照)と出力軸15との間に設けられ、モータ10の回転を減速して出力軸15に出力する。これにより、モータ10の回転がシフトレンジ切替機構20に伝達される。出力軸15には、出力軸15の角度を検出する出力軸センサ16が設けられる。出力軸センサ16は、例えばポテンショメータである。
【0015】
図1に示すように、シフトレンジ切替機構20は、ディテントプレート21、ディテントスプリング25、および、ディテントローラ26等を有し、減速機14から出力された回転駆動力を、マニュアルバルブ28、および、パーキングロック機構30へ伝達する。
【0016】
ディテントプレート21は、出力軸15に固定され、モータ10により駆動される。ディテントプレート21には、出力軸15と平行に突出するピン24が設けられる。ピン24は、マニュアルバルブ28と接続される。ディテントプレート21がモータ10によって駆動されることで、マニュアルバルブ28は軸方向に往復移動する。すなわち、シフトレンジ切替機構20は、モータ10の回転運動を直線運動に変換してマニュアルバルブ28に伝達する。マニュアルバルブ28は、バルブボディ29に設けられる。マニュアルバルブ28が軸方向に往復移動することで、図示しない油圧クラッチへの油圧供給路が切り替えられ、油圧クラッチの係合状態が切り替わることでシフトレンジが変更される。
【0017】
ディテントプレート21のディテントスプリング25側には、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)の各レンジに対応する4つの谷部22が形成される。ディテントローラ26は、モータ10の駆動に伴い、谷部22を移動する。
【0018】
モータ軸105と出力軸15との間には、遊びが形成されている。
図6では、減速機14と出力軸15とが一体となっており、モータ軸105と減速機14との間に「遊び」が形成されているが、モータ軸105と減速機14とが一体となっており、減速機14と出力軸15との間に「遊び」が形成されていてもよい。「遊び」とはモータ軸105と出力軸15との間に存在する遊びやガタ等の合計と捉えることができる。
【0019】
ディテントスプリング25は、弾性変形可能な板状の付勢部材であり、先端にディテントローラ26が設けられる。ディテントローラ26は、谷部22のいずれかに嵌まり込む。ディテントスプリング25は、ディテントローラ26をディテントプレート21の回動中心側に付勢する。ディテントプレート21に所定以上の回転力が加わると、ディテントスプリング25が弾性変形し、ディテントローラ26が谷部22を移動する。ディテントローラ26が谷部22のいずれかに嵌まり込むことで、ディテントプレート21の揺動が規制され、マニュアルバルブ28の軸方向位置、および、パーキングロック機構30の状態が決定され、自動変速機5のシフトレンジが固定される。
【0020】
パーキングロック機構30は、パーキングロッド31、円錐体32、パーキングロックポール33、軸部34、および、パーキングギア35を有する。パーキングロッド31は、略L字形状に形成され、一端311側がディテントプレート21に固定される。パーキングロッド31の他端312側には、円錐体32が設けられる。円錐体32は、他端312側にいくほど縮径するように形成される。ディテントローラ26がPレンジに対応する谷部に嵌まり込む方向にディテントプレート21が回転すると、円錐体32が矢印Pの方向に移動する。
【0021】
パーキングロックポール33は、円錐体32の円錐面と当接し、軸部34を中心に揺動可能に設けられる。パーキングロックポール33のパーキングギア35側には、パーキングギア35と噛み合い可能な凸部331が設けられる。ディテントプレート21の回転により、円錐体32が矢印P方向に移動すると、パーキングロックポール33が押し上げられ、凸部331とパーキングギア35とが噛み合う。一方、円錐体32が矢印NotP方向に移動すると、凸部331とパーキングギア35との噛み合いが解除される。
【0022】
パーキングギア35は図示しない車軸に設けられ、パーキングロックポール33の凸部331と噛み合い可能に設けられる。パーキングギア35と凸部331とが噛み合うと、車軸の回転が規制される。シフトレンジがP以外のレンジであるNotPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングロックポール33によりロックされず、車軸の回転は、パーキングロック機構30により妨げられない。また、シフトレンジがPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングロックポール33によってロックされ、車軸の回転が規制される。
【0023】
図2に示すように、シフトレンジ制御装置40は、駆動回路41、および、ECU50等を備える。駆動回路41は、モータ巻線の通電を切り替える3相インバータであって、図示しないスイッチング素子を有し、モータ10の各相への通電を切り替える。駆動回路41とバッテリとの間には、モータリレー46が設けられる。モータリレー46は、イグニッションスイッチ等である車両の始動スイッチがオンされているときにオンされ、モータ10側へ電力が供給される。また、モータリレー46をオフすることで、モータ10側への電力の供給が遮断される。
【0024】
ECU50は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。ECU50における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。後述の上位ECU60も同様である。
【0025】
ECU50は、ドライバ要求シフトレンジに応じたシフト信号、ブレーキスイッチからの信号および車速等に基づいてモータ10の駆動を制御することで、シフトレンジの切り替えを制御する。本実施形態では、ECU50は、ブレーキ信号、車速および要求レンジ等の情報を上位ECU60から取得する。ECU50は、モータ位置演算部51、目標設定部52、モード選択部53、駆動制御部54、反転判定部55、および、レンジ確定判定部56等を有する。
【0026】
モータ位置演算部51は、エンコーダ13から出力されるエンコーダ信号の各相のパルスエッジをカウントし、エンコーダカウント値θenを演算する。エンコーダカウント値θenは、モータ10の回転位置に応じた値であって、「実回転位置」に対応する。本実施形態では、PレンジからDレンジへ切り替えるときのモータ10の回転方向を正回転、DレンジからPレンジへ切り替えるときのモータ10の回転方向を逆回転とし、エンコーダカウント値θenは、正回転時にカウントアップされ、逆回転時にカウントダウンされるものとする。
【0027】
目標設定部52は、上位ECU60から取得される要求レンジに応じた目標レンジを設定する。また、目標レンジに応じ、モータ10を停止させる位置である目標カウント値θcmdを設定する。モード選択部53は、駆動モードを選択する。
【0028】
駆動制御部54は、選択された駆動モードに応じ、ディテントローラ26が目標シフトレンジに応じた谷部22に嵌まり合うように、モータ10の駆動を制御する。駆動制御部54は、目標レンジが変更されると、フィードバック制御により、モータ10を駆動する。図中等フィードバックを「F/B」を記載する。具体的には、エンコーダカウント値θenに応じた通電相に通電し、エンコーダカウント値θenに応じて通電相を切り替えていくことでモータ10を回転させる。
【0029】
エンコーダカウント値θenが目標カウント値θcmdを含む制御範囲内となると、駆動モードをフィードバック制御から停止制御に切り替え、モータ10を停止させる。本実施形態の停止制御は、同一相への通電を継続する固定相通電制御である。本実施形態では、停止制御を停止制御継続時間TH1に亘って行った後、駆動モードをスタンバイモードとし、モータ10の駆動制御を終了する。停止制御継続時間TH1は、モータ10を停止させるのに要する時間に応じて設定される。以下、エンコーダカウント値θenが目標カウント値θcmdを含む制御範囲内(例えばθcmd±2カウント)となることを、「目標に到達した」とする。
【0030】
反転判定部55は、エンコーダカウント値θenに基づき、モータ10のロータの反転を判定する。以下、モータ10のロータの反転を、単に「モータ反転」とする。本実施形態では、モータ10の回転方向が、フィードバック制御時と反対方向になることを、「モータ反転」とする。レンジ確定判定部56は、シフトバイワイヤシステム1におけるレンジ確定を判定し、レンジ確定が判定された場合、レンジが確定した旨の情報であるレンジ確定フラグFlgCを上位ECU60に送信する。
【0031】
上位ECU60は、車速、アクセル開度、および、ドライバ要求シフトレンジ等に基づき、変速用油圧制御ソレノイド6の駆動を制御する。本実施形態では、ドライバ要求シフトレンジが変化し、ECU50からのレンジ確定フラグFlgCがオンになると、変速用油圧制御ソレノイド6の駆動を開始する。変速用油圧制御ソレノイド6を制御することで、変速段が制御される。変速用油圧制御ソレノイド6は、変速段数等に応じた本数が設けられる。また、上位ECU60は、レンジ確定フラグFlgCがオンになると、例えばインスツルメントパネルの表示を変更することで、確定したレンジをユーザに通知する。
【0032】
ところで、要求シフトレンジが変更されてから、自動変速機5の油圧制御開始までの時間が短い方がフィーリングの面で好ましい。その反面、モータ10の駆動中に油圧制御を開始すると、例えば電源瞬断等によりモータ10がオーバーシュートやアンダーシュートした場合、自動変速機5に異常が生じる虞がある。
【0033】
ここで、ディテントローラ26が要求レンジに応じた谷部22に位置している状態にて、モータ10の反転を検出すれば、オーバーシュートが生じず、ディテントローラ26を要求レンジに応じた谷部22に保持可能である。そこで本実施形態では、停止制御中におけるモータ10の反転判定に基づいてレンジを確定させることで、自動変速機5の油圧制御開始のタイミングを可及的早くなるようにしている。
【0034】
本実施形態の駆動モード選択処理を
図3のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、ECU50の例えばモード選択部53にて所定の周期(例えば1[ms])で実行される。なお、処理の一部は、ECU50の別の演算部にて実行されてもよい。他の制御処理についても同様である。また、演算周期は処理毎に同じでもよいし、異なっていてもよい。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。他のステップも同様である。
【0035】
S101では、モード選択部53は、現在の駆動モードを判定する。駆動モードがスタンバイモードの場合はS102、フィードバックモードの場合はS104、停止モードの場合はS106へ移行する。
【0036】
S102では、モード選択部53は、目標レンジが切り替わったか否か判断する。目標レンジが切り替わっていないと判断された場合(S102:NO)、スタンバイモードを継続する。目標レンジが切り替わったと判断された場合(S102:YES)、S103へ移行し、駆動モードをフィードバックモードに切り替える。
【0037】
駆動モードがフィードバックモードである場合に移行するS104では、モード選択部53は、エンコーダカウント値θenおよび目標カウント値θcmdに基づき、エンコーダカウント値θenが目標に到達したか否か判断する。目標に到達していないと判断された場合(S104:NO)、フィードバックモードを継続する。目標に到達したと判断された場合(S104:YES)、S105へ移行し、駆動モードを停止モードに切り替える。
【0038】
駆動モードが停止モードである場合に移行するS106では、モード選択部53は、停止モードに切り替わってから、停止制御継続時間TH1が経過したか否か判断する。停止制御継続時間TH1が経過していないと判断された場合(S106:NO)、停止モードを継続する。停止制御継続時間TH1が経過したと判断された場合(S106:YES)、S107へ移行する。
【0039】
S107では、モード選択部53は、後述する再フィードバックフラグFlgA、または、目標再設定フラグFlgBがオンか否か判断する。再フィードバックフラグFlgAまたは目標再設定フラグFlgBがオンであると判断された場合(S107:YES)、S102へ戻り、駆動モードをフィードバックモードに切り替える。目標再設定フラグFlgBがオンである場合、要求レンジに応じた目標レンジおよび目標カウント値θcmdを再設定する。再フィードバックフラグFlgAおよび目標再設定フラグFlgBが共にオフであると判断された場合(S107:NO)、S108へ移行し、駆動モードをスタンバイモードとする。
【0040】
反転検出処理を
図4のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、ECU50の例えば反転判定部55にて所定の周期(例えば1[ms])で実行される。S201では、反転判定部55は、駆動モードが停止モードか否か判断する。駆動モードが停止モードではないと判断された場合(S201:NO)、S202へ移行し、反転フラグFlgRをオフにする。駆動モードが停止モードであると判断された場合(S201:YES)、S203へ移行する。
【0041】
S203では、反転判定部55は、エンコーダカウント値θenの今回値から前回値を引いた値が0か否か判断する。ここでは、エンコーダカウント値θenの今回値が前回値と等しい場合、肯定判断される。図中、添え字の(n)が今回値、(n-1)が前回値を意味する。エンコーダカウント値θenの今回値から前回値を引いた値が0であると判断された場合(S203:YES)、S204へ移行し、エンコーダ停滞時間T2を計時する停滞タイマをカウントアップする。エンコーダカウント値θenの今回値から前回値を引いた値が0ではないと判断された場合(S203:NO)、S205へ移行する。
【0042】
S205では、反転判定部55は、停止モードに入る前のフィードバックモードにおけるモータ10の回転方向が正回転方向であったか否か判断する。モータ10の回転方向が正回転方向であったと判断された場合(S205:YES)、S206へ移行し、逆回転方向であったと判断された場合(S205:NO)、S207へ移行する。
【0043】
S206では、反転判定部55は、エンコーダカウント値θenの今回値から前回値を引いた値が負の値か否か判断する。ここでは、エンコーダカウント値θenの今回値が前回値より小さい場合、肯定判断される。エンコーダカウント値θenの今回値から前回値を引いた値が0より大きいと判断された場合(S206:NO)、モータ10は反転していないので、S208の処理を行わず、本ルーチンを終了する。エンコーダカウント値θenの今回値から前回値を引いた値が負の値であると判断された場合(S206:YES)、S208へ移行し、反転フラグFlgRをオンにする。
【0044】
S207では、反転判定部55は、エンコーダカウント値θenの今回値から前回値を引いた値が正の値か否か判断する。ここでは、エンコーダカウント値θenの今回値が前回値より大きい場合、肯定判断される。エンコーダカウント値θenの今回値から前回値を引いた値が0より小さいと判断された場合(S207:NO)、モータ10は反転していないので、S208の処理を行わず、本ルーチンを終了する。エンコーダカウント値θenの今回値から前回値を引いた値が正の値であると判断された場合(S207:NO)、S208へ移行し、反転フラグFlgRをオンにする。
【0045】
制御選択処理を
図5のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、例えばECU50のレンジ確定判定部56にて所定の周期(例えば1[ms])で実行される。S301では、レンジ確定判定部56は、駆動モードが停止モードか否か判断する。駆動モードが停止モードではないと判断された場合(S301:NO)、S302へ移行し、再フィードバックフラグFlgA、目標再設定フラグFlgBおよびレンジ確定フラグFlgCをオフにする。駆動モードが停止モードであると判断された場合(S301:YES)、S303へ移行する。
【0046】
S303では、レンジ確定判定部56は、目標レンジと要求レンジとが一致しているか否か判断する。目標レンジと要求レンジとが一致していないと判断された場合(S303:NO)、S304へ移行し、目標レンジを要求レンジと一致するように再設定し、S305にて目標再設定フラグFlgBをオンにする。目標レンジと要求レンジとが一致していると判断された場合(S303:YES)、S306へ移行する。
【0047】
S306では、レンジ確定判定部56は、目標カウント値θcmdとエンコーダカウント値θenとの差の絶対値であるカウント偏差ΔCPが、再駆動判定値CPerr以下か否か判断する。再駆動判定値CPerrは、再度、モータ10を駆動する必要がある位置に応じて設定される。カウント偏差ΔCPが再駆動判定値CPerrより大きいと判断された場合(S306:NO)、S308へ移行し、再フィードバックフラグFlgAをオンにする。カウント偏差ΔCPが再駆動判定値CPerr以下であると判断された場合(S306:YES)、S307へ移行する。
【0048】
S307では、レンジ確定判定部56は、目標レンジと現在レンジとが一致しているか否か判断する。目標レンジと現在レンジとが一致していないと判断された場合(S307:NO)、S308へ移行し、再フィードバックフラグFlgAをオンにする。目標レンジと現在レンジとが一致していると判断された場合(S307:YES)、S309へ移行する。
【0049】
S309では、レンジ確定判定部56は、反転フラグFlgRがオンか否か判断する。反転フラグFlgRがオンであると判断された場合(S309:YES)、S311へ移行する。反転フラグFlgRがオフであると判断された場合(S308:NO)、S310へ移行する。
【0050】
S310では、レンジ確定判定部56は、エンコーダカウント値θenが停滞してから、停滞判定時間TH2が経過したか否か判断する。停滞判定時間TH2は、停止制御継続時間TH1より短い時間に設定される。エンコーダカウント値θenが停滞してから停滞判定時間TH2が経過していないと判断された場合(S310:NO)、S311の処理を行わず、本ルーチンを終了する。エンコーダカウント値θenが停滞してから停滞判定時間TH2が経過したと判断された場合(S310:YES)、S311へ移行し、レンジ確定フラグFlgCをオンにする。また、レンジ確定判定部56は、レンジ確定フラグFlgCを上位ECU60へ送信する。
【0051】
モータ制御処理を
図6~
図10のタイムチャートに基づいて説明する。
図6のタイムチャートは、共通時間軸を横軸とし、上から、駆動モード、上位ECU60からの要求レンジ、現在レンジおよび目標レンジ、モータ位置、反転フラグFlgR、レンジ確定フラグFlgCを示す。
図6では、目標レンジおよび目標カウント値θcmdを一点鎖線、現在レンジおよびエンコーダカウント値θenを実線で示す。
図7以降も同様である。また、
図6のタイムチャートの下側には、モータ10の回転方向を紙面左右方向とし、ディテントローラ26がディテントプレート21を移動する状態を模式的に示した。
【0052】
時刻x10にて、ドライバのシフト操作によりドライバ要求シフトレンジがPレンジからDレンジに切り替わると、ECU50には、要求レンジをDレンジとする旨の情報が上位ECU60から送信される。ECU50は、目標レンジをDレンジとし、目標レンジに応じた目標カウント値θcmdを設定する。また、ECU50は、駆動モードをスタンバイモードからフィードバックモードに切り替え、エンコーダカウント値θenが目標カウント値θcmdとなるように、モータ10を駆動する。これにより、ディテントローラ26がPレンジに対応する谷部から、Dレンジに対応する谷部の方向に移動する。
【0053】
時刻x11にて、エンコーダカウント値θenが目標に到達すると、駆動モードをフィードバックモードから停止モードに切り替える。また、停止モード中の時刻x12にて、モータ10の反転が検出されると、反転フラグFlgRがオンされる。停止制御を行っている状態にてモータ10が反転すれば、モータ10がオーバーシュートすることはないため、ディテントローラ26はDレンジに対応する谷部にて確実に保持可能である。そこで本実施形態では、時刻x12にてレンジ確定フラグFlgCをオンし、上位ECU60へ送信する。上位ECU60では、レンジ確定フラグFlgCがオンになると、自動変速機5の油圧制御を開始する。また、インスツルメントパネル等のレンジ表示をDレンジに切り替える。
【0054】
停止制御を開始した時刻x11から停止制御継続時間TH1が経過した時刻x13では、停止制御を終了し、スタンバイモードに移行する。また、反転フラグFlgRおよびレンジ確定フラグFlgCをオフにする。これにより、停止制御が完了した時刻x13にてレンジ確定し、自動変速機5の油圧制御を開始する場合と比較し、油圧制御開始を早めることができ、フィーリング向上に寄与する。
【0055】
図7~
図10のタイムチャートでは、共通時間軸を横軸とし、上から、駆動モード、上位ECU60からの要求レンジ、現在レンジおよび目標レンジ、モータ位置、反転フラグFlgR、レンジ確定フラグFlgC、再フィードバックフラグFlgA、目標再設定フラグFlgBを示す。
【0056】
図7は、レンジ切替中に要求レンジが変更された場合を示している。時刻x20での処理は、
図6中の時刻x10での処理と同様である。
図7では、レンジ切替中の時刻x21にて、要求レンジがDレンジからNレンジに変更されている。
【0057】
時刻x22にて、エンコーダカウント値θenが目標に到達すると、駆動モードをフィードバックモードから停止モードに切り替える。このとき、要求レンジと目標レンジとが一致していないので、目標再設定フラグFlgBがオンされる。また、停止制御中の時刻x23にてモータ10が反転し、反転フラグFlgRがオンされるが、目標再設定フラグFlgBがオンであるので、この時点ではレンジ確定フラグFlgCをオンせず、レンジ確定しない。
【0058】
停止制御を開始した時刻x22から停止制御継続時間TH1が経過した時刻x24において、目標再設定フラグFlgBがオンであるので、目標レンジおよび目標カウント値θcmdを再設定するとともに、駆動モードをフィードバックモードに切り替え、モータ10を駆動する。また、反転フラグFlgRおよび目標再設定フラグFlgBをオフにする。
【0059】
時刻x25にて、エンコーダカウント値θenが新たに設定された目標カウント値θcmdを含む制御範囲内に到達すると、駆動モードをフィードバックモードから停止モードに切り替える。また、停止モード中の時刻x26にて、モータ10の反転が検出されると、反転フラグFlgRがオンされる。このとき、再フィードバックフラグFlgAおよび目標再設定フラグFlgBがオフであるので、レンジ確定フラグFlgCをオンし、上位ECU60へ送信する。時刻x26および時刻x27の処理は、
図6中の時刻x12および時刻x13の処理と同様である。
【0060】
図8は、シフトレンジをPレンジからNレンジに切り替える例であって、モータ10のオーバーシュートが発生した場合を示している。時刻x30から時刻x31の処理は、要求レンジおよび目標レンジがNレンジである点を除き、
図6中の時刻x10および時刻x11の処理と同様である。
【0061】
停止制御中の時刻x32にて、モータ10のオーバーシュートにより、カウント偏差ΔCPが再駆動判定値CPerrより大きくなると、再フィードバックフラグFlgAがオンされる。また、停止制御中の時刻x33にてモータ10が反転し、反転フラグFlgRがオンされるが、再フィードバックフラグFlgAがオンであるので、この時点ではレンジ確定フラグFlgCをオンせず、レンジ確定しない。
【0062】
停止制御を開始した時刻x31から停止制御継続時間T1が経過した時刻x34において、再フィードバックフラグFlgAがオンであるので、駆動モードをフィードバックモード切り替え、モータ10を駆動する。なお、要求レンジは変更されていないので、目標レンジおよび目標カウント値θcmdは変更されない。
【0063】
時刻x35にて、エンコーダカウント値θenが目標カウント値θcmdを含む制御範囲内に再度到達すると、駆動モードをフィードバックモードから停止モードに切り替える。また、停止モード中の時刻x36にて、モータ10の反転が検出されると、反転フラグFlgRがオンされる。このとき、再フィードバックフラグFlgAおよび目標再設定フラグFlgBがオフであるので、レンジ確定フラグFlgCをオンし、上位ECU60へ送信する。時刻x36および時刻x37の処理は、
図6中の時刻x12および時刻x13の処理と同様である。
【0064】
図9は、シフトレンジをPレンジからNレンジに切り替える例であって、モータ10のオーバーシュートが発生した場合を示している。時刻x40から時刻x41の処理は、要求レンジおよび目標レンジがNレンジである点を除き、
図6中の時刻x10および時刻x11の処理と同様である。
【0065】
時刻x42にて、モータ10のオーバーシュートにより、ディテントローラ26がDレンジに対応する谷部22まで移動し、現在レンジがDレンジになると、目標レンジと現在レンジとが一致していないので、再フィードバックフラグFlgAがオンされる。また、停止制御中の時刻x43にてモータ10が反転し、反転フラグFlgRがオンされるが、再フィードバックフラグFlgAがオンであるので、この時点ではレンジ確定フラグFlgCをオンせず、レンジ確定しない。時刻x44から時刻x47の処理は、
図8中のx34~時刻x37の処理と同様である。
【0066】
図10は、モータ10が反転することなく停止した場合を示している。時刻x50および時刻x51の処理は
図6中の時刻x10および時刻x11の処理と同様である。時刻x52にて、モータ10が反転することなくエンコーダカウント値θenが停滞すると、エンコーダ停滞時間T2の計時を開始する。エンコーダカウント値θenの停滞が停滞判定時間TH2に亘って継続すると、時刻x52から停滞判定時間TH2が経過した時刻x53にて、レンジ確定フラグFlgCがオンされ、上位ECU60に送信される。
【0067】
停止制御を開始した時刻x51から停止制御継続時間TH1が経過した時刻x54では、停止制御を終了し、スタンバイモードに移行する。また、レンジ確定フラグFlgCをオフにする。本実施形態では、停滞判定時間TH2が停止制御継続時間TH1より短く設定されているので、モータ10が反転せずに制御範囲内にて停止した場合であっても、停止制御が完了した時刻x54にてレンジ確定する場合と比較し、自動変速機5の油圧制御の開始を早めることができ、フィーリングの向上に寄与する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のシフトレンジ制御装置40は、モータ10の駆動を制御することでシフトレンジを切り替えるものであって、モータ位置演算部51と、目標設定部52と、駆動制御部54と、反転判定部55と、レンジ確定判定部56と、を備える。モータ位置演算部51は、モータ10の回転を検出するエンコーダ13の検出値に基づいてエンコーダカウント値θenを演算する。目標設定部52は、要求レンジに応じた目標レンジ、および、目標レンジに応じた目標カウント値θcmdを設定する。駆動制御部54は、エンコーダカウント値θenが目標カウント値θcmdとなるようにモータ10の駆動を制御し、エンコーダカウント値θenが目標カウント値θcmdを含む制御範囲内に到達すると、モータ10を停止させる停止制御を行う。
【0069】
反転判定部55は、モータ10の反転を検出する。レンジ確定判定部56は、停止制御中にモータ10の反転が検出された場合、要求レンジに応じたシフトレンジが確定したと判定する。本実施形態では、停止制御中のモータ反転を検出すればオーバーシュートしないことに着目し、反転が検出された場合、シフトレンジが確定したと判定する。これにより、適切にシフトレンジの確定を判定することができる。また、例えば停止制御完了後にレンジ確定する場合よりも、短い時間にてレンジ確定可能である。また、速やかにレンジ確定させることで、自動変速機5の油圧制御開始を早められるので、運転者のフィーリングを向上可能である。
【0070】
レンジ確定判定部56は、停止制御中において、エンコーダカウント値θenが停滞している状態が、停止制御を継続する停止制御継続時間TH1より短い時間に設定される停滞判定時間TH2に亘って継続した場合、要求レンジに応じたシフトレンジが確定したと判定する。これにより、ロータが反転しなかった場合であっても、適切にレンジ確定を判定することができる。
【0071】
ECU50は、停止制御中において要求レンジと目標レンジとが不一致の場合、目標レンジを再設定してモータ10を再駆動し、要求レンジと目標レンジとを一致させた状態にてレンジ確定判定を行う。換言すると、例えばレンジ切替中に要求レンジが変更された場合等、要求レンジと目標レンジとが不一致の場合、停止制御中にモータ10の反転が検出されたとしても、シフトレンジを確定せず、モータ10を再駆動する。これにより、レンジ確定の誤判定を防ぐことができる。
【0072】
ECU50は、停止制御中において目標レンジと現在レンジとが不一致の場合、モータ10を再駆動し、目標レンジと現在レンジとを一致させた状態にてレンジ確定判定を行う。換言すると、例えばオーバーシュートにより目標レンジと現在レンジとが不一致になった場合、停止制御中にモータ10の反転が検出されたとしても、シフトレンジを確定せず、モータ10を再駆動する。これにより、レンジ確定の誤判定を防ぐことができる。
【0073】
ECU50は、停止制御中において、目標カウント値θcmdとエンコーダカウント値θenとの偏差であるカウント偏差ΔCPが再駆動判定値CPerrより大きい場合、モータ10を再駆動し、カウント偏差ΔCPが再駆動判定値CPerr以下の状態にてレンジ確定判定を行う。換言すると、例えば、オーバーシュートによりカウント偏差ΔCPが再駆動判定値CPerrより大きくなった場合、停止制御中にモータ10の反転が検出されたとしても、シフトレンジを確定させず、モータ10を再駆動する。これにより、レンジ確定の誤判定を防ぐことができる。
【0074】
ECU50は、要求レンジに応じたシフトレンジが確定したと判定された場合、シフトレンジが確定した旨の情報を他の制御部である上位ECU60に通知する。これにより、自動変速機5の油圧制御やユーザへの報知等のレンジ確定によって実行される各種処理を速やかに開始することができる。
【0075】
(第2実施形態)
第2実施形態を
図11に示す。本実施形態は、駆動モード選択処理が異なっているので、この点を中心に説明する。本実施形態の駆動モード選択処理を
図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0076】
本実施形態では、S106にて、停止制御継続時間TH1が経過していないと判断された場合(S106:NO)、S107へ移行し、再フィードバックフラグFlgA、または、目標再設定フラグFlgBがオンであるか否か判断する。再フィードバックフラグFlgAまたは目標再設定フラグFlgBがオンであると判断された場合(S107:YES)、S103へ移行し、駆動モードをフィードバックモードに切り替える。再フィードバックフラグFlgAおよび目標再設定フラグFlgBが共にオフであると判断された場合(S107:NO)、停止制御を継続する。
【0077】
すなわち本実施形態では、レンジ切替中に要求レンジの変更が行われた場合、または、モータ10がオーバーシュートした場合、停止制御継続時間TH1の経過を待たずにフィードバックモードに切り替える。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0078】
実施形態において、エンコーダ13が「回転位置検出部」、上位ECU60が「他の制御部」、エンコーダカウント値θenが「実回転位置」、目標カウント値θcmdが「目標回転位置」、カウント偏差ΔCPが「目標回転位置と実回転位置との偏差」、レンジ確定フラグFlgCが「シフトレンジが確定した旨の情報」に対応する。
【0079】
(他の実施形態)
上記実施形態では、回転位置検出部は、エンコーダである。他の実施形態では、ロータの回転位置を検出可能なものであればよく、例えばレゾルバ等のリニアセンサであってもよい。上記実施形態では、出力軸センサとしてポテンショメータを例示した。他の実施形態では、出力軸センサとして、ポテンショメータ以外のものを用いてもよいし、出力軸センサを省略してもよい。
【0080】
上記実施形態では、モータは、スイッチトリラクタンスモータである。他の実施形態では、スイッチトリラクタンスモータ以外のもの、例えばDCブラシレスモータ等であってもよい。上記実施形態では、ディテントプレートには4つの谷部が設けられる。他の実施形態では、谷部の数は4つに限らず、いくつであってもよい。例えば、ディテントプレートの谷部を2つとし、PレンジとNotPレンジとを切り替えるものとしてもよい。また、シフトレンジ切替機構やパーキングロック機構等は、上記実施形態と異なっていてもよい。
【0081】
上記実施形態では、モータ軸と出力軸との間に減速機が設けられる。減速機の詳細について、上記実施形態では言及していないが、例えば、サイクロイド歯車、遊星歯車、モータ軸と略同軸の減速機構から駆動軸へトルクを伝達する平歯歯車を用いたものや、これらを組み合わせて用いたもの等、どのような構成であってもよい。また、他の実施形態では、モータ軸と出力軸との間の減速機を省略してもよいし、減速機以外の機構を設けてもよい。
【0082】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0083】
10・・・モータ
13・・・エンコーダ(回転位置検出部)
40・・・シフトレンジ制御装置
50・・・ECU
51・・・モータ位置演算部
52・・・目標設定部
54・・・駆動制御部
55・・・反転判定部
56・・・レンジ確定判定部
60・・・上位ECU(他の制御部)