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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】物品保管設備および物品の搬送制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20221206BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20221206BHJP
   E04H 13/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65G1/04 541
B65G1/04 501
B65G1/137 B
E04H13/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019200279
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021070583
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古屋 春仁
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071189(JP,A)
【文献】特開2009-143651(JP,A)
【文献】特開2004-345838(JP,A)
【文献】特開2006-248690(JP,A)
【文献】特開平10-152207(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0134488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/137
E04H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向と交差して広がる搬送路に沿って設けられ、それぞれに物品を保管可能な第一保管位置と当該第一保管位置に対して前記第一方向において前記搬送路とは反対側に位置され前記物品を保管可能な第二保管位置とが設けられた複数の保管棚と、
前記物品を支持し前記搬送路に沿って搬送する第一支持部を有するとともに、前記第一保管位置および前記第二保管位置のそれぞれと前記搬送路内での前記第一支持部による前記物品の第一支持位置との間で前記物品を搬送可能な、第一搬送機構と、
前記物品を支持し前記搬送路に沿って搬送する第二支持部を有するとともに、前記第一保管位置および前記第二保管位置のそれぞれと前記搬送路内での前記第二支持部による前記物品の第二支持位置との間で前記物品を搬送可能な、第二搬送機構と、
前記第一搬送機構および前記第二搬送機構による前記物品の搬送を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第一搬送機構および前記第二搬送機構の双方が前記物品を搬送可能な一つの前記保管棚に設けられた保管位置を、
前記第一搬送機構による前記第一支持位置と前記第二保管位置との間での前記物品の搬送において前記第一支持位置と前記第二保管位置との間の前記第一保管位置に別の物品が存在した場合に前記第一搬送機構が当該別の物品を待避させる第一待避位置、および前記第二搬送機構による前記第二支持位置と前記第二保管位置との間での前記物品の搬送において前記第二支持位置と前記第二保管位置との間の前記第一保管位置に別の物品が存在した場合に前記第二搬送機構が当該別の物品を待避させる第二待避位置、のうち少なくとも一方の待避位置、
ならびに前記第一搬送機構と前記第二搬送機構との間での前記物品の受け渡しにおいて前記物品を支持する中継位置、
のうち少なくとも一方として設定する、物品保管設備。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第一搬送機構および前記第二搬送機構の双方が前記物品を搬送可能な一つの前記保管棚に設けられた前記保管位置を、前記第一待避位置および前記第二待避位置のうち少なくとも一方の前記待避位置、ならびに前記中継位置、のうち少なくとも一方として設定する第一制御モードによる制御と、
前記中継位置、前記第一待避位置、および前記第二待避位置をそれぞれ異なる前記保管棚に設けられた保管位置に設定する第二制御モードによる制御と、
を選択的に実行可能である、請求項1に記載の物品保管設備。
【請求項3】
前記制御装置は、
全ての前記保管位置の数に対する前記物品が保管されている前記保管位置の数の比率が所定値より大きい場合に前記第一制御モードによる制御を実行し、
前記比率が前記所定値より小さい場合に前記第二制御モードによる制御を実行する、請求項2に記載の物品保管設備。
【請求項4】
前記第一支持部および前記第二支持部は、前記搬送路に沿う第二方向において、それぞれ移動可能にかつ互いに追い越し不能に構成され、
前記制御装置は、前記第二制御モードにおいて、前記中継位置の設定を、前記複数の保管棚のうち前記第二方向の中央部に位置する前記保管棚に含まれる前記保管位置に固定する、請求項2または3に記載の物品保管設備。
【請求項5】
前記第一支持部および前記第二支持部は、前記搬送路に沿うとともに前記第二方向と直交する第三方向において、それぞれ移動可能に構成され、
前記制御装置は、前記第二制御モードにおいて、前記中継位置の設定を、前記複数の保管棚のうち前記第三方向の中央部に位置する前記保管棚に含まれる前記保管位置に固定する、請求項4に記載の物品保管設備。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第一搬送機構および前記第二搬送機構の双方が前記物品を搬送可能な一つの前記保管棚に設けられた前記第一保管位置を前記中継位置として設定し、かつ当該一つの前記保管棚に設けられた前記第二保管位置を前記第一待避位置および前記第二待避位置のうち少なくとも一方の待避位置として設定することが可能である、請求項1~5のうちいずれか一つに記載の物品保管設備。
【請求項7】
前記第一支持部および前記第二支持部は、前記搬送路に沿う第二方向において、それぞれ移動可能にかつ互いに追い越し不能に構成され、
前記制御装置は、前記複数の保管棚のうち前記第二方向の中央の所定範囲内に位置した一つの前記保管棚に設けられた前記保管位置を、前記第一待避位置および前記第二待避位置のうち少なくとも一方の前記待避位置、ならびに前記中継位置、のうち少なくとも一方として設定することが可能である、請求項1~6のうちいずれか一つに記載の物品保管設備。
【請求項8】
第一方向と交差して広がる搬送路に沿って設けられ、それぞれに物品の保管位置として第一保管位置と当該第一保管位置に対して前記第一方向において前記搬送路とは反対側に位置された第二保管位置とがそれぞれ設けられた複数の保管棚と、
前記物品を支持し前記搬送路に沿って搬送する第一支持部を有するとともに、前記第一保管位置および前記第二保管位置のそれぞれと前記搬送路内での前記第一支持部による前記物品の第一支持位置との間で前記物品を搬送可能な、第一搬送機構と、
前記物品を支持し前記搬送路に沿って搬送する第二支持部を有するとともに、前記第一保管位置および前記第二保管位置のそれぞれと前記搬送路内での前記第二支持部による前記物品の第二支持位置との間で前記物品を搬送可能な、第二搬送機構と、
前記第一搬送機構および前記第二搬送機構による前記物品の搬送を制御する制御装置と、
を備えた物品保管設備における、前記制御装置による物品の搬送制御方法であって、
前記制御装置は、
前記第一搬送機構および前記第二搬送機構の双方が前記物品を搬送可能な一つの前記保管棚に設けられた保管位置を、
前記第一搬送機構による前記第一支持位置と前記第二保管位置との間での前記物品の搬送において前記第一支持位置と前記第二保管位置との間の前記第一保管位置に別の物品が存在した場合に前記第一搬送機構が当該別の物品を待避させる第一待避位置、および前記第二搬送機構による前記第二支持位置と前記第二保管位置との間での前記物品の搬送において前記第二支持位置と前記第二保管位置との間の前記第一保管位置に別の物品が存在した場合に前記第二搬送機構が当該別の物品を待避させる第二待避位置、のうち少なくとも一方の待避位置、
ならびに前記第一搬送機構と前記第二搬送機構との間での前記物品の受け渡しにおいて前記物品を支持する中継位置、
のうち少なくとも一方として設定する、物品の搬送制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品保管設備および物品の搬送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送機構が移動する搬送路に沿って複数の保管棚が設けられ、各保管棚に、第一保管位置と当該第一保管位置に対して搬送路の反対側に位置した第二保管位置とが設けられた物品保管設備が、知られている(例えば、特許文献1参照)。この物品保管設備において、第一保管位置に物品が保管されている場合、当該物品は、第二保管位置に対する物品の搬送の障害になる。この場合、搬送機構は、第一保管位置に保管されている物品を所定の待避位置に待避させた後、第二保管位置との間で物品を搬送する。待避位置は、物品を保管していない空の保管棚のうちの一つに設定される。
【0003】
また、従来、二つの搬送機構と、二つの搬送機構の双方が物品を搬送可能な中央の保管棚と、一方の搬送機構のみが物品を搬送可能な一方の保管棚と、他方の搬送機構のみが物品を搬送可能な他方の保管棚と、を備えた物品保管設備が知られている(例えば、特許文献2)。この物品保管設備では、一方の搬送機構が他方の保管棚との間で物品を搬送する場合、および他方の搬送機構が一方の保管棚との間で物品を搬送する場合には、中継位置が利用される。中継位置は、中央の保管棚のうち空の保管棚に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-71189号公報
【文献】特許第4084240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、二つの搬送機構を備えた物品保管設備において、中継位置用の保管棚と、各搬送機構の待避位置用の保管棚とをそれぞれ別個に確保すると、その分、物品の保管に用いることが可能な保管棚の数がより少なくなり、ひいては物品の最大保管数が少なくなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、二つの搬送機構を備えた物品保管設備において、物品の最大保管数をより多くすることが可能な物品保管設備および物品の搬送制御方法を提供することを、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物品保管設備は、第一方向と交差して広がる搬送路に沿って設けられ、それぞれに物品を保管可能な第一保管位置と当該第一保管位置に対して前記第一方向において前記搬送路とは反対側に位置され前記物品を保管可能な第二保管位置とが設けられた複数の保管棚と、前記物品を支持し前記搬送路に沿って搬送する第一支持部を有するとともに、前記第一保管位置および前記第二保管位置のそれぞれと前記搬送路内での前記第一支持部による前記物品の第一支持位置との間で前記物品を搬送可能な、第一搬送機構と、前記物品を支持し前記搬送路に沿って搬送する第二支持部を有するとともに、前記第一保管位置および前記第二保管位置のそれぞれと前記搬送路内での前記第二支持部による前記物品の第二支持位置との間で前記物品を搬送可能な、第二搬送機構と、前記第一搬送機構および前記第二搬送機構による前記物品の搬送を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第一搬送機構および前記第二搬送機構の双方が前記物品を搬送可能な一つの前記保管棚に設けられた保管位置を、前記第一搬送機構による前記第一支持位置と前記第二保管位置との間での前記物品の搬送において前記第一支持位置と前記第二保管位置との間の前記第一保管位置に別の物品が存在した場合に前記第一搬送機構が当該別の物品を待避させる第一待避位置、および前記第二搬送機構による前記第二支持位置と前記第二保管位置との間での前記物品の搬送において前記第二支持位置と前記第二保管位置との間の前記第一保管位置に別の物品が存在した場合に前記第二搬送機構が当該別の物品を待避させる第二待避位置、のうち少なくとも一方の待避位置、ならびに前記第一搬送機構と前記第二搬送機構との間での前記物品の受け渡しにおいて前記物品を支持する中継位置、のうち少なくとも一方として設定する。
【0008】
また、本発明の物品の搬送制御方法は、第一方向と交差して広がる搬送路に沿って設けられ、それぞれに物品の保管位置として第一保管位置と当該第一保管位置に対して前記第一方向において前記搬送路とは反対側に位置された第二保管位置とがそれぞれ設けられた複数の保管棚と、前記物品を支持し前記搬送路に沿って搬送する第一支持部を有するとともに、前記第一保管位置および前記第二保管位置のそれぞれと前記搬送路内での前記第一支持部による前記物品の第一支持位置との間で前記物品を搬送可能な、第一搬送機構と、前記物品を支持し前記搬送路に沿って搬送する第二支持部を有するとともに、前記第一保管位置および前記第二保管位置のそれぞれと前記搬送路内での前記第二支持部による前記物品の第二支持位置との間で前記物品を搬送可能な、第二搬送機構と、前記第一搬送機構および前記第二搬送機構による前記物品の搬送を制御する制御装置と、を備えた物品保管設備における、前記制御装置による物品の搬送制御方法であって、前記制御装置は、前記第一搬送機構および前記第二搬送機構の双方が前記物品を搬送可能な一つの前記保管棚に設けられた保管位置を、前記第一搬送機構による前記第一支持位置と前記第二保管位置との間での前記物品の搬送において前記第一支持位置と前記第二保管位置との間の前記第一保管位置に別の物品が存在した場合に前記第一搬送機構が当該別の物品を待避させる第一待避位置、および前記第二搬送機構による前記第二支持位置と前記第二保管位置との間での前記物品の搬送において前記第二支持位置と前記第二保管位置との間の前記第一保管位置に別の物品が存在した場合に前記第二搬送機構が当該別の物品を待避させる第二待避位置、のうち少なくとも一方の待避位置、ならびに前記第一搬送機構と前記第二搬送機構との間での前記物品の受け渡しにおいて前記物品を支持する中継位置、のうち少なくとも一方として設定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態の参拝設備の例示的な平面図である。
図2図2は、実施形態の参拝設備の図1のII-II線における例示的な側面図である。
図3図3は、実施形態の参拝設備の第二群の保管棚をY方向に見た模式的かつ例示的な側面図である。
図4図4は、実施形態の参拝設備による物品の待避および搬送を示す説明図である。
図5図5は、実施形態の参拝設備のブロック図である。
図6図6は、実施形態の参拝設備における参拝時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態の参拝設備における第一制御モードによる参拝終了前の物品の移動の一例を示す説明図である。
図8図8は、実施形態の参拝設備における第一制御モードによる参拝終了後の物品の移動の一例を示す説明図である。
図9図9は、実施形態の参拝設備における第一制御モードによる参拝終了後の物品の移動の別の例を示す説明図である。
図10図10は、実施形態の参拝設備における第一制御モードによる参拝終了後の物品の移動のさらに別の例を示す説明図である。
図11図11は、実施形態の参拝設備の第二群の保管棚をY方向に見た模式的かつ例示的な側面図であって第一制御モードにおける仮置棚の設定可能範囲を示す説明図である。
図12図12は、実施形態の参拝設備の第二群の保管棚をY方向に見た模式的かつ例示的な側面図であって、第二制御モードにおける中継位置および待避位置の設定を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成から得られる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、下記の構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0011】
なお、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0012】
また、各図中には、参拝設備10における各方向が矢印で示されている。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに、互いに直交している。Z方向は、鉛直方向に略沿っており、矢印Zは、鉛直上方を指している。X方向およびY方向は、水平方向に略沿っている。また、X方向は、左右方向あるいは長手方向と称され、Y方向は、前後方向あるいは短手方向と称され、Z方向は、上下方向と称されうる。
【0013】
また、各図において、物品Aの各位置を示す符号は、物品Aを示す符号に付随して括弧内に示される場合がある。
【0014】
[物品、搬送路、保管棚、および参拝ブース]
図1は、図2のI-I線において参拝設備10をZ方向の反対方向に見た平面図であり、図2は、図1のII-II線において参拝設備10の一部をX方向に見た側面図である。
【0015】
図1,2に示される参拝設備10は、物品Aを保管する複数の保管棚1を備えた物品保管設備の一例である。参拝設備10において、物品Aは、例えば、遺骨を収容した骨壺や、遺品、位牌等を収容した容器である。
【0016】
物品Aは、それぞれ、当該物品Aの識別情報を示す識別体(不図示)を有し、保管棚1または当該保管棚1に設定される保管位置Psのそれぞれには、当該識別情報を取得するリーダ51(図5参照)が設けられている。識別体は、例えば、バーコードや2次元コードのようなコードが付与されたラベルや、識別情報を保持するRFID(radio frequency identifier)タグである。リーダ51は、例えば、コード画像を撮影するカメラを有したコードリーダや、RFIDタグとの無線通信により識別情報を取得するRFIDリーダである。
【0017】
参拝設備10には、スタッカクレーン20が移動して物品Aを搬送する空間として、Y方向と交差して広がる搬送路Sが設けられている。搬送路Sは、Y方向に略一定の幅で、X方向に延びるとともにZ方向に延びている。すなわち、搬送路Sは、X方向およびZ方向に広がっている。スタッカクレーン20は、物品Aを搬送する搬送機構の一例である。Y方向は、第一方向の一例である。
【0018】
図1に示されるように、参拝設備10には、搬送路Sに沿って、複数の保管棚1の群(以下、単に第一群G1と称する)が設けられている。また、搬送路Sに対して第一群G1の反対側には、複数の保管棚1の群(以下、単に第二群G2と称する)が設けられている。
【0019】
さらに、搬送路Sに対して第二群G2の反対側には、複数の参拝ブース3と、各参拝ブース3と搬送路Sとの間で物品Aを搬送するコンベヤ4と、が設けられている。コンベヤ4は、物品Aを搬送する搬送機構の一例である。
【0020】
複数の参拝ブース3は、第一群G1に対して搬送路Sとは反対側で、X方向に沿って、一列に、略一定の間隔で並んでいる。また、各参拝ブース3には、参拝者が所持するRFIDタグから無線通信により参拝者の識別情報を読み取るリーダ52(図5参照)が設けられている。
【0021】
コンベヤ4は、それぞれ、参拝ブース3に対応して設けられており、Y方向に沿って延びている。コンベヤ4は、第一群G1をY方向に貫通している。コンベヤ4は、物品Aの受渡位置Pdと参拝ブース3に面した参拝位置Poあるいは参拝ブース3内の参拝位置Poとの間で、物品Aを搬送することができる。
【0022】
コンベヤ4による搬送空間には、保管棚1は設けられていない。第一群G1では、コンベヤ4が設けられた部位を除き、複数の保管棚1が、X方向を行としかつZ方向を列とするマトリクス状に、配置されている。言い換えると、第一群G1では、複数の保管棚1が、X方向に並ぶとともに、Z方向にも並んでいる。
【0023】
第二群G2でも、第一群G1と同様、複数の保管棚1が、X方向を行としかつZ方向を列とするマトリクス状に、配置されている。言い換えると、第二群G2でも、複数の保管棚1が、X方向に並ぶとともに、Z方向にも並んでいる。また、第一群G1の保管棚1と、第二群G2に含まれる保管棚1とは、搬送路Sを挟んでY方向に並んでいる。
【0024】
図1,2に示されるように、第一群G1中の保管棚1のそれぞれには、Y方向に並んだ複数の保管位置Psが設けられている。物品Aは、保管位置Psのそれぞれに保管される。各保管位置Psにおいて、物品Aは、例えば、X方向に離間した二つの支持部材によって、両端支持される。
【0025】
各保管棚1において、搬送路Sに最も近い保管位置Psは、第一保管位置Ps1の一例である。また、当該第一保管位置Ps1に対してY方向において搬送路Sとは反対側の保管位置Psは、第二保管位置Ps2の一例である。すなわち、第一保管位置Ps1は、第二保管位置Ps2よりも搬送路Sに近く、第二保管位置Ps2は、第一保管位置Ps1よりも搬送路Sから遠い。また、保管位置Psと搬送路Sとの間に別の保管位置が存在しない場合、当該保管位置Psは第一保管位置Ps1であり、保管位置Psと搬送路Sとの間に別の保管位置が存在する場合、当該保管位置Psは、第二保管位置Ps2である。
【0026】
第二群G2の保管棚1においても、搬送路Sに最も近い保管位置Psは、第一保管位置Ps1の一例であり、第一保管位置Ps1よりも搬送路Sから遠い保管位置Psは、第二保管位置Ps2の一例である。
【0027】
ただし、第二群G2には、第一群G1の保管棚1と同様にY方向に並んだ複数の保管位置Psが設けられた保管棚1の他に、一つの保管位置Psのみが設けられた保管棚1sが含まれている。
【0028】
第二群G2の保管棚1sに対して搬送路Sの反対側には、例えば、参拝設備10の柱のような干渉部材11が設けられている。よって、保管棚1sには、当該干渉部材11と干渉する第二保管位置Ps2が設けられず、干渉部材11と干渉しない第一保管位置Ps1のみが設けられている。
【0029】
また、第一群G1では、複数の第一保管位置Ps1が、X方向に並んだ行とZ方向に並んだ列を有したマトリクス状に配置されるとともに、複数の第二保管位置Ps2が、X方向に並んだ行とZ方向に並んだ列を有したマトリクス状に配置されている。また、第二群G2でも、複数の第一保管位置Ps1が、X方向に並んだ行とZ方向に並んだ列を有したマトリクス状に配置されるとともに、複数の第二保管位置Ps2が、X方向に並んだ行とZ方向に並んだ列を有したマトリクス状に配置されている。
【0030】
なお、第一群G1に、一つの保管位置Psのみが設けられた保管棚1sが含まれてもよいし、第一群G1および第二群G2に、三つ以上の保管位置Psが設けられた保管棚が含まれてもよい。また、複数の保管棚1,1s、参拝ブース3、コンベヤ4、スタッカクレーン20、および搬送路Sのレイアウトは、図1,2に開示されたものには限定されない。
【0031】
[スタッカクレーン]
図1に示されるように、参拝設備10は、二つのスタッカクレーン20(20-1,20-2)を備えている。なお、二つのスタッカクレーン20-1,20-2は、同じ構造を備えている。スタッカクレーン20-1は、第一搬送機構の一例であり、スタッカクレーン20-2は、第二搬送機構の一例である。
【0032】
図1,2に示されるように、スタッカクレーン20は、それぞれ、走行体21と、マスト22と、荷台23と、移載装置24と、を有している。搬送路Sの下部および上部のうち少なくとも一方には、X方向に延びたガイドレール25が設けられている。スタッカクレーン20は、ガイドレール25に沿ってX方向に移動することができる。
【0033】
走行体21は、X方向に移動可能にガイドレール25に支持されている。走行体21には、X方向に互いに離間してZ方向に延びる二本のマスト22が固定されている。走行体21およびマスト22は、当該走行体21およびマスト22のX方向への移動の駆動源としてのモータ(不図示)の回転に応じてガイドレール25に沿ってX方向に移動することができるとともに、当該モータの停止に応じてX方向の複数の位置で停止することができる。
【0034】
荷台23は、Z方向に移動可能に二本のマスト22に支持されている。荷台23は、二本のマスト22間で架け渡されている。荷台23は、当該荷台23のZ方向への移動の駆動源としてのモータ(不図示)の回転に応じてマスト22に沿ってZ方向に移動することができるとともに、当該モータの停止に応じてZ方向の複数の位置で停止することができる。
【0035】
移載装置24は、Y方向に伸縮可能に荷台23に取り付けられている。移載装置24は、物品Aを支持する支持部24aを有している。移載装置24のY方向への伸縮に応じて、支持部24aおよび当該支持部24aに支持された物品AのY方向の位置が変化する。移載装置24の伸縮状態は、モータ(不図示)の回転に応じて変化する。すなわち、支持部24aは、当該モータの回転に応じてY方向に移動することができるとともに、当該モータの停止に応じてY方向の複数の位置で停止することができる。なお、スタッカクレーン20-1の支持部24aは、第一支持部の一例であり、スタッカクレーン20-2の支持部24aは、第二支持部の一例である。
【0036】
図2に示されるように、移載装置24の収縮状態(収納状態)にあっては、支持部24aおよび物品Aは、搬送路S内に位置している。収縮状態での走行体21およびマスト22を駆動するモータならびに荷台23を駆動するモータの制御により、物品Aは、搬送路S内の各保管棚1と面した対向位置Pfに移動し、かつ停止することができる。各対向位置Pfは、搬送路S内での支持部24aによる物品Aの支持位置Phでもある。なお、スタッカクレーン20-1における支持位置Phは、第一支持位置の一例であり、スタッカクレーン20-2における支持位置Phは、第二支持位置の一例である。
【0037】
支持部24aと各保管位置Psとの間での物品Aの受け渡し、言い換えると各対向位置Pfと各保管位置Psとの間での物品Aの移動は、支持部24aのY方向への移動と、移載装置24の少なくとも一部のY方向と交差する方向への作動と、の組み合わせによって、実現されうる。
【0038】
一例として、移載装置24が互いにY方向にスライド可能な複数部材を有した公知のスライドフォークであり、支持部24aが当該スライドフォークの先端部材であり、かつ移載装置24が各保管位置Psにおいて保管棚1と干渉することなくZ方向に移動可能に構成されている場合の物品Aの搬送について説明する。この場合、移載装置24の伸縮による支持部24aのY方向での移動と、荷台23のZ方向での移動に伴う支持部24aのZ方向での移動と、の組み合わせによって、支持部24aと各保管位置Psとの間で物品Aを受け渡すことができる。移載装置24は、搬送路Sに対してY方向およびY方向の反対方向に伸縮することができるとともに、第一群G1および第二群G2の双方の保管棚1について、第一保管位置Ps1および第二保管位置Ps2に対応した長さに伸長可能である。保管位置Psから対向位置Pfへの物品Aの搬出に際し、物品Aを支持していない支持部24aは、まず、移載装置24のY方向での伸長に応じて、保管棚1のうち保管位置Psで物品Aを保管している部位の僅かに下側に移動する。次に、支持部24aは、荷台23のZ方向(上方)への移動に伴って保管棚1の僅かに上側へ移動し物品Aを保管位置Psから受け取る。次に、支持部24aは、移載装置24のY方向での収縮に伴ってY方向に沿って搬送路S内へ移動し、物品Aを対向位置Pfへ移動する。他方、対向位置Pfから保管位置Psへの物品Aの搬入に際し、物品Aを支持した支持部24aは、まず、移載装置24のY方向での伸長に応じて、保管棚1のうち空の保管位置Psに対応した部位の僅かに上側に移動する。次に、支持部24aは、荷台23のZ方向の反対方向(下方)への移動に伴って保管棚1の僅かに下側へ移動して物品Aを保管位置Psへ渡す(載置する)。次に、支持部24aは、移載装置24のY方向での収縮に伴ってY方向に沿って搬送路S内へ移動する。移載装置24は、搬送路S内の物品Aの支持位置Ph(対向位置Pf)と、搬送路Sに対してY方向の両側の保管棚1の第一保管位置Ps1および第二保管位置Ps2との間で、物品Aを搬送することができる。
【0039】
なお、支持位置Ph(対向位置Pf)と各保管位置Psとの間で物品Aを搬送する機構は、スライドフォークには限定されない。例えば、保管棚1や荷台23が、物品AのY方向での移動を補助するフリーローラコンベヤを有している場合、移載装置24の伸縮によってフリーローラコンベヤ上で物品Aを移動させてもよい。この場合、移載装置24の少なくとも一部である接続部を、Y方向と交差する方向、例えばZ方向に動かすことにより、当該接続部と物品Aとが接続された接続状態と、当該接続部と物品Aとが離間した離間状態と、を切り替えてもよい。接続状態において、移載装置24は物品Aを動かすことができ、離間状態において、移載装置24は物品Aを動かすことができない。
【0040】
また、スタッカクレーン20は、支持位置Phとコンベヤ4上の受渡位置Pdとの間でも、支持位置Phと保管位置Psとの間での搬送と同様に、物品Aを搬送することができる。
【0041】
[スタッカクレーンの作動可能範囲および物品の中継]
図1から明らかとなるように、同じガイドレール25上を移動するスタッカクレーン20-1(の支持部24a)およびスタッカクレーン20-2(の支持部24a)は、X方向に互いに追い越すことができない。X方向は、第二方向の一例である。
【0042】
図3は、第二群G2の保管棚1をY方向に見た側面図である。なお、図3では、各保管棚1を単なる四角形で表している。各スタッカクレーン20の作動可能範囲は、互いに干渉しないように設定される。図3の例では、図3において相対的に左側に位置するスタッカクレーン20-1(図3には不図示)の作動可能範囲C1は、相対的に右側に位置するスタッカクレーン20-2(図3には不図示)との干渉を避けるため、図3における保管棚1の最も左側の列から最も右側の列よりも五つ左側の列までの範囲である。また、同様に、図3において右側のスタッカクレーン20-2の作動可能範囲C2は、左側のスタッカクレーン20-1との干渉を避けるため、図3における保管棚1の最も右側の列から最も左側の列よりも五つ右側の列までの範囲である。なお、図3では、第二群G2に属する保管棚1および保管位置Psについて、作動可能範囲C1,C2が示されているが、第一群G1に属する保管棚1および保管位置Psについても、例えば、図示されている作動可能範囲C1,C2に対してそれぞれY方向に略並ぶ範囲に、作動可能範囲C1,C2が設定される。
【0043】
すなわち、スタッカクレーン20-1は、最も右側の5列の保管棚1に設けられた保管位置Pso1(Ps)に位置する物品Aを搬送することができず、スタッカクレーン20-2は、最も左側の5列の保管棚1に設けられた保管位置Pso2(Ps)に位置する物品Aを搬送することができない。また、参拝ブース3が、X方向の端部に設けられたような場合にあっては、当該参拝ブース3に対応する受渡位置Pdとの間では、二つのうち一つのスタッカクレーン20しか物品Aを搬送できない場合もある。
【0044】
そこで、本実施形態では、図3に示されるように、スタッカクレーン20-1の作動可能範囲C1とスタッカクレーン20-2の作動可能範囲C2とが重なる重複範囲Co内に位置する保管棚1の空の保管位置Ps(第一保管位置Ps1)に中継位置Prが設定される。これにより、スタッカクレーン20-1が中継位置Prとの間で物品Aを搬送し、スタッカクレーン20-2が当該中継位置Prと作動可能範囲C1外の保管位置Pso1との間で当該物品Aを搬送することにより、スタッカクレーン20-1の支持部24aと保管位置Pso1との間で物品Aを搬送することができる。同様に、スタッカクレーン20-2が中継位置Prとの間で物品Aを搬送し、スタッカクレーン20-1が当該中継位置Prと保管位置Pso2との間で物品Aを搬送することにより、スタッカクレーン20-2の支持部24aと保管位置Pso2との間で物品Aを搬送することができる。なお、空の保管位置Psに対する中継位置Prの設定は、参拝設備10における物品Aの保管状況に応じて変更可能である。これについては後述する。
【0045】
[物品の一時待避]
図4は、参拝設備10による物品Aの待避および搬送を示す例示的な説明図である。なお、図4は、図2の一部である。スタッカクレーン20による搬送路S内の支持位置Phと第二保管位置Ps2との間での物品A2(A)の搬送に際し、搬送路Sと当該第二保管位置Ps2との間の第一保管位置Ps1に物品A1(A)が保管されている場合、当該物品A1が物品A2の搬送の障害となる。
【0046】
そこで、本実施形態では、図4に示されるように、物品Aが保管されていない空の保管位置Psに、一時的な待避位置Ptが設定され、スタッカクレーン20は、第一保管位置Ps1に保管されている物品A1を、待避位置Ptに一時的に待避させる(S101)。これにより、スタッカクレーン20は、支持位置Phと第二保管位置Ps2との間で物品A2を搬送することができる(S102)。物品A1は、別の物品の一例である。
【0047】
物品A1が待避位置Ptに移動した場合、当該待避位置Ptを物品A1の新たな保管位置Psに設定してもよい。この場合、物品A1が待避前に収容されていた保管棚1に設けられた保管位置Psを、新たな待避位置Ptに設定することができる。このような制御の場合、待避位置Ptは、待避動作が生じる度に変更されることになる。他方、参拝位置Po(図1参照)に搬出した物品A2および待避位置Ptに待避した物品A1を元の保管棚1に戻してもよい。このような制御の場合、待避位置Ptは、変更されずに維持される。また、図示しないが、待避した物品A1および搬出した物品A2を戻す保管棚1において、待避した物品A1を第二保管位置Ps2に搬入した後に参拝位置Poに搬出した物品A2を第一保管位置Ps1に搬入してもよいし、参拝位置Poに搬出した物品A2を第二保管位置Ps2に搬入した後に待避した物品A1を第一保管位置Ps1に搬入してもよい。なお、空の保管位置Psに対する待避位置Ptの設定は、参拝設備10における物品Aの保管状況に応じて変更可能である。これについては後述する。
【0048】
[制御装置]
図5は、参拝設備10のブロック図である。図5に示されるように、参拝設備10は、制御装置5を備えている。制御装置5は、処理決定部5a、搬送制御部5b、読取部5c,5d、入力制御部5e、および出力制御部5f、を備えている。
【0049】
処理決定部5aは、搬送機構としてのスタッカクレーン20(20-1,20-2)およびコンベヤ4による処理手順や、各保管位置Psに対する物品Aの配置、保管位置Psに対する中継位置Prおよび待避位置Ptの設定(割り当て)、保管棚1に対する仮置棚1i(後述)の設定(割り当て)等を、決定する。
【0050】
搬送制御部5bは、スタッカクレーン20(20-1,20-2)およびコンベヤ4を、処理決定部5aによって決定された処理手順および設定に従って作動するよう、制御する。
【0051】
読取部5cは、リーダ51によって読み取られた情報を取得し、読取部5dは、リーダ52によって読み取られた情報を取得する。
【0052】
入力制御部5eは、タッチパネルや、スイッチ、ボタン、キーボードのような入力デバイス53によって入力された情報を取得する。
【0053】
出力制御部5fは、ディスプレイや、ランプ、スピーカのような出力デバイス54を、所定の出力を実行するよう制御する。
【0054】
制御装置5は、コンピュータによって構成されうる。コンピュータは、少なくとも、プロセッサ(回路)、RAM(random access memory)やROM(read only memory)のような主記憶部5g、およびHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)のような補助記憶装置5h等を有し、プロセッサは、主記憶部5gのROMや補助記憶装置5hに記憶されたプログラム(アプリケーション)を読み出して実行する。プロセッサは、プログラムにしたがって作動することにより、処理決定部5a、搬送制御部5b、読取部5c,5d、入力制御部5e、および出力制御部5fとして作動する。この場合、プログラムは、処理決定部5a、搬送制御部5b、読取部5c,5d、入力制御部5e、および出力制御部5fに対応するプログラムモジュールを含む。また、補助記憶装置5hは、各保管位置Psに保管されている物品Aおよび中継または待避のために保管位置Psに一時的に保持されている物品Aの識別情報や、参拝設備10内に保管されている物品Aの属性情報(以下、物品データベースと称する)、保管位置Psに対する中継位置Prおよび待避位置Ptの設定、保管棚1に対する仮置棚1i(後述)の設定を示す情報を、記憶する。各情報は、随時、例えば処理決定部5aによって書き換えられる。
【0055】
プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されうる。記録媒体は、プログラムプロダクトとも称されうる。また、プログラムは、通信ネットワークに接続されたコンピュータの記憶部に記憶され、ネットワーク経由でダウンロードされることによってコンピュータに導入されうる。また、プログラムは、ROM等に予め組み込まれてもよい。
【0056】
また、コンピュータの少なくとも一部がハードウエアによって構成される場合、当該コンピュータには、例えば、FPGA(field programmable gate array)や、ASIC(application specific integrated circuit)等が含まれてもよい。
【0057】
主記憶部5gのROMまたは補助記憶装置5hには、処理決定部5a、搬送制御部5b、読取部5c,5d、入力制御部5e、および出力制御部5fによる演算処理で用いられる情報が、記憶されている。また、当該演算処理で用いられる情報は、プログラム内で記述されてもよい。
【0058】
[参拝時の処理手順]
図6は、参拝時の参拝設備の処理手順の一例を示すフローチャートである。図6の例では、所定の開始待機状態で、読取部5dが参拝ブース3に設けられたリーダ52の検出信号に対応した情報を取得するか、あるいは入力制御部5eが入力デバイス53に入力された情報を取得すると(S1)、処理決定部5aは、ステップS1で取得された情報を物品データベースにおいて検索する(S2)。ステップS1で取得される情報は、例えば、参拝者の識別情報のような、物品Aの属性情報である。
【0059】
ステップS2での検索において、ステップS1で取得された情報が物品データベース内に存在し、当該ステップS1で取得された情報に対応した物品Aが参拝設備10内に有ることが判明した場合(S3でYes)、処理決定部5aは、物品Aを当該保管位置Psから対応する参拝ブース3の参拝位置Poへ搬送する際の処理手順を決定する(S4)。なお、処理手順の詳細については、後述する。このステップS4において、処理決定部5aは、保管位置Psに対して中継位置Prおよび待避位置Ptを設定することができる。
【0060】
次に、搬送制御部5bは、ステップS4での設定および処理手順にしたがって当該物品Aが当該保管位置Psから参拝位置Poに搬送されるよう、スタッカクレーン20-1,20-2およびコンベヤ4を制御する(S5)。その後、入力制御部5eは、参拝終了を示す情報を取得する待機状態となる。
【0061】
参拝者による参拝が終了し、入力制御部5eが、参拝者による入力デバイス53の操作に対応した参拝終了を示す情報を取得すると(S6)、搬送制御部5bは、物品Aを戻す保管位置Ps、および物品Aを参拝位置Poから当該保管位置Psへ搬送する際の処理手順を決定する(S7)。このステップS7において、処理決定部5aは、ステップS5で搬送した物品Aの保管位置Psを決定することができる。
【0062】
次に、搬送制御部5bは、ステップS7での決定および処理手順にしたがって当該物品Aが参拝位置Poから保管位置Psに搬送されるよう、スタッカクレーン20-1,20-2およびコンベヤ4を制御する(S8)。
【0063】
ステップS2の検索において、ステップS1で取得された情報が物品データベース内に存在しなかった場合には(S3でNo)、出力制御部5fが、エラーメッセージを出力するようディスプレイやスピーカ等を制御する(S9)。
【0064】
上記ステップS8またはステップS9を経て、一連の処理手順が終了する。なお、搬送制御部5bは、物品Aの戻り時の搬送手順をステップS4で決定してもよい。この場合、ステップS7は省略され、ステップS8において、搬送制御部5bは、ステップS4で決定された設定および処理手順に従って物品Aが参拝位置Poから保管位置Psへ搬送されるよう、スタッカクレーン20-1,20-2およびコンベヤ4を制御する。
【0065】
[制御モード]
参拝設備10は、中継位置Prおよび待避位置Ptの保管位置Psに対する設定の態様が異なる二つの制御モード(第一制御モードおよび第二制御モード)で、物品Aの搬送制御を実行することができる。制御装置5は、第一制御モードによる制御と、第二制御モードによる制御とを、選択的に切り替えることができる。
【0066】
[1.保管率が大きい場合の制御モード(第一制御モード)]
図7~10は、第一群G1の保管棚1の一部およびコンベヤ4をX方向に見た側面図であって、第一制御モードにおける物品Aの移動の一例を示す説明図である。なお、図7~10の例では、物品A1,A2の保管棚1a,1b、仮置棚1i、および受渡位置Pdは、Z方向に並んでいるが、以下に示す制御は、これとは異なる配置においても同様に適用可能である。すなわち、保管棚1a、保管棚1b、仮置棚1i、および受渡位置Pd(コンベヤ4)、のうち少なくとも一つは、図7~10のレイアウトに対して、X方向、Y方向、およびZ方向のうち少なくとも一方にずれて位置しうる。また、保管棚1a,1bおよび仮置棚1iのうち少なくとも一つは、第二群G2に位置することが可能である。また、図7~10は、物品Aの保管棚1と受渡位置Pdとの間での移動(往復)を例示するが、以下に示す制御は、物品Aの異なる保管棚1間での移動にも同様に適用可能である。
【0067】
本明細書では、全ての保管位置Psに対する物品Aが保管されている保管位置Psの比率を、保管率と称する。保管率が所定の閾値よりも大きい場合、搬送制御部5bは、一つの保管棚1に仮置棚1iを設定し、当該仮置棚1iに設けられた保管位置Psを中継位置Prおよび待避位置Ptのうち少なくとも一つとして設定するという、第一制御モードによる処理を実行する。ここで、仮に、中継位置Pr専用の保管棚1と、待避位置Pt専用の保管棚1とを設定した場合、その分、物品Aの保管に用いる保管棚1の数が少なくなる。この点、第一制御モードでは、一つの保管棚1を仮置棚1iとして設定し、当該仮置棚1iを中継位置Prおよび待避位置Ptとして兼用するため、言い換えると、中継位置Prおよび待避位置Ptの双方が一つの仮置棚1iに設けられた保管位置Psに設定されるため、物品Aを保管可能な保管棚1の数をより多くすることができる。なお、本実施形態では、待避位置Ptは、スタッカクレーン20-1による物品Aの搬送における第一待避位置Pt1、およびスタッカクレーン20-2による物品Aの搬送における第二待避位置Pt2の双方を兼ねている。また、閾値は、例えば90%に設定される。処理決定部5aにおける閾値に対する大小を比較する演算においては、保管されている物品Aの数に対応する閾値が設定されてもよい。
【0068】
[1-1.物品の中継搬送および待避]
まずは、図7~10を参照しながら、保管棚1a(1)の第二保管位置Ps2の物品A2を、中継位置Prを介して、参拝ブース3(の受渡位置Pd)へ搬送する場合について、説明する。なお、ここでは、仮置棚1iが保管棚1b(1)に設定されている場合について、説明する。
【0069】
[1-2.待避および中継搬送の手順]
図7は、参拝終了前の物品A2の第二保管位置Ps2からの搬出に伴う物品A1,A2の移動の一例を示す。図7に示されるように、保管棚1aの第一保管位置Ps1には物品A1が保管されているため、物品A2の搬出の前に、物品A1の待避が必要となる。よって、保管棚1aからは、まずは、待避される物品A1が搬出され、次に、中継かつ搬送される物品A2が搬出される。ここで、上述したように、第一制御モードでは、中継位置Prおよび待避位置Ptが、同じ仮置棚1i(保管棚1b)に設定される。このため、保管棚1aに保管されている物品A1および物品A2の双方が、同じ仮置棚1iに搬入される。すなわち、処理決定部5aは、保管棚1aから先に搬出される物品A1の待避位置Ptを、仮置棚1iの第二保管位置Ps2に設定し、保管棚1aから後で搬出される物品A2の中継位置Prを、仮置棚1iの第一保管位置Ps1に設定する。
【0070】
この場合、図7に示されるように、スタッカクレーン20-1(図7には不図示)は、まずは、第一保管位置Ps1に保管されている物品A1を、仮置棚1iの待避位置Pt(第二保管位置Ps2)へ搬送し(S111)、次に、第二保管位置Ps2に保管されている物品A2を、仮置棚1iの中継位置Pr(第一保管位置Ps1)へ搬送する(S112)。次に、スタッカクレーン20-2(図7には不図示)は、当該中継位置Prに位置された物品A2を、受渡位置Pdへ搬送する(S113)。
【0071】
[1-3-1.物品の戻し手順(仮置棚変更)]
参拝終了後の物品A2を保管棚1に戻す際には、仮置棚1iの設定を変更するか否かによって、物品A1,A2の搬送の態様が異なる。
【0072】
まずは、仮置棚1iの設定を変更する場合について説明する。図8は、参拝終了後の物品A2の保管位置Psへの搬入(戻し)に伴う物品A1,A2の移動の一例を示す。図8に示されるように、物品A1の待避、および物品A2の参拝ブース3への搬送により、保管棚1aは、第一保管位置Ps1および第二保管位置Ps2ともに物品Aが保管されていない空の状態になっている。第一保管位置Ps1および第二保管位置Ps2ともに空の状態の保管棚1aが重複範囲Co(図3参照)内に位置する場合、当該保管棚1aに新たな仮置棚1iを設定することができる。すなわち、仮置棚1iを保管棚1bから保管棚1aに変更することができる。仮置棚1iを変更する条件については、後述する。仮置棚1iを保管棚1bから保管棚1aに変更する場合、物品A1,A2は、従前の仮置棚1iとしての保管棚1bで保管すればよい。図8の例では、保管棚1bの第二保管位置Ps2には、既に、待避させた物品A1が位置している。よって、当該第二保管位置Ps2で物品A1を保管し、第一保管位置Ps1で物品A2を保管すればよい。この場合の保管棚1aは、空いた保管棚の一例である。
【0073】
すなわち、処理決定部5aは、仮置棚1iの設定を、保管棚1bから保管棚1aに変更し、保管棚1bの第二保管位置Ps2を、物品A1の保管位置に設定するとともに、保管棚1bの第一保管位置Ps1を、物品A2の保管位置に設定する。
【0074】
そして、図8に示されるように、スタッカクレーン20-2(図8には不図示)は、受渡位置Pdから物品A2を保管棚1bの第一保管位置Ps1へ搬入する(S121)。
【0075】
[1-3-2.物品の戻し手順(仮置棚維持、保管位置維持)]
次に、仮置棚1iの設定を変更しない(維持する)場合について説明する。一例として、S111~S113とは逆の手順により、物品A1,A2を元の保管棚1aに戻すことができる。
【0076】
図9は、この場合における参拝終了後の物品A2の保管位置Psへの搬入(戻し)に伴う物品A1,A2の移動の例を示す。図9に示されるように、スタッカクレーン20-2(図9には不図示)は、物品A2を受渡位置Pdから仮置棚1iの中継位置Pr(第一保管位置Ps1)へ搬送する(S131)。次に、スタッカクレーン20-1(図9には不図示)は、物品A2を当該中継位置Prから保管棚1aの第二保管位置Ps2へ搬送する(S132)。その後、スタッカクレーン20-1は、物品A1を仮置棚1iの待避位置Pt(第二保管位置Ps2)から保管棚1aの第一保管位置Ps1へ搬送する(S133)。この場合、物品A1,A2ともに、搬出前に保管されていた保管位置Psに戻される。言い換えると、物品A1,A2の保管位置Psが変更されず、維持される。
【0077】
[1-3-3.物品の戻し手順(仮置棚維持、保管位置変更)]
また、別の一例として、仮置棚1iの設定を変更しない場合に、物品A1,A2を元の保管棚1aに戻す際に、物品A1,A2の保管位置Psを入れ替える(変更する)ことができる。保管位置Psを変更する条件については、後述する。
【0078】
この場合、処理決定部5aは、保管棚1aの第一保管位置Ps1を物品A2の保管位置として設定し、保管棚1aの第二保管位置Ps2を物品A1の保管位置として設定する。
【0079】
図10は、この場合における参拝終了後の物品A2の保管位置Psへの搬入(戻し)に伴う物品A1,A2の移動の例を示す。図10に示されるように、スタッカクレーン20-1(図10には不図示)は、物品A1を仮置棚1iの待避位置Pt(第二保管位置Ps2)から保管棚1aの第二保管位置Ps2へ搬送する(S141)。次に、スタッカクレーン20-2(図10には不図示)は、物品A2を受渡位置Pdから仮置棚1iの中継位置Pr(第一保管位置Ps1)に搬送する(S142)。次に、スタッカクレーン20-1は、物品A2を当該中継位置Prから保管棚1aの第一保管位置Ps1へ搬送する(S143)。
【0080】
[1-4.保管位置の変更条件]
処理決定部5aは、例えば、物品A1,A2の搬出予定により、物品A1,A2の保管位置Psを決定することができる。例えば、処理決定部5aは、物品データベースを参照し、物品A1,A2の参拝予約日時(搬出予定)を取得し、物品A1,A2のうち当該演算処理時点から搬出予定日時までの時間がより短い物品Aa(A、図9,10参照)が、第一保管位置Ps1に位置し、演算処理時点から搬出予定日時までの時間がより長い物品Ab(A、図9,10参照)が、第二保管位置Ps2に位置するよう、保管棚1における物品A1,A2の保管位置Psを設定する。
【0081】
よって、搬出前に第一保管位置Ps1に位置していた物品A1が物品Aaであるとともに搬出前に第二保管位置Ps2に位置していた物品A2が物品Abであった場合、物品A1,A2双方とも予定が不明である場合、および物品A1,A2の演算処理時点から搬出予定日時までの時間が略同じ(例えば、差が所定時間以内、具体的には数時間以内)である場合には、搬出前の保管位置Psに対する戻す際の保管位置Psの入れ替え(変更)は実行されない。他方、物品A1が物品Abであるとともに物品A2が物品Aaであった場合には、搬出前の保管位置Psに対する戻す際の保管位置Psの入れ替え(変更)が実行される。
【0082】
[1-5.仮置棚の変更条件]
図11は、第二群G2の保管棚1をY方向に見た側面図であって、仮置棚1iの設定可能範囲Iを示す説明図である。なお、図11では、各保管棚1を単なる四角形で表している。図11に示されるように、第一制御モードにおいては、仮置棚1iの設定可能範囲Iを、X方向およびZ方向の中央部に限定することができる。上述したように、仮置棚1iには、中継位置Prが設定される。ここで、スタッカクレーン20-1(図11には不図示)とスタッカクレーン20-2(図11には不図示)との間で物品Aの中継が必要となるのは、保管位置PsがX方向の端部に近い場合であるが、仮に、中継位置Prが設定される仮置棚1iがX方向の中央部から離れてX方向の端部近傍に位置した場合にあっては、当該物品Aの搬送において保管位置Psと中継位置Prとの間の支持部24aの移動距離が長すぎる場合とともに、当該距離が短すぎる場合も生じ易くなる。支持部24aの移動距離が長すぎる場合には、移動距離がより短い場合に比べて所要時間が長くなる。また、支持部24aの移動距離が短すぎる場合には、移動速度が大きくならないため所要時間が長くなる。この点、中継位置Prが設定される仮置棚1iがX方向の中央部の設定可能範囲I内に設定される場合にあっては、保管位置Psと中継位置Prとの間の距離が長すぎる場合や当該距離が短すぎる場合等が生じ難くなるため、スタッカクレーン20-1とスタッカクレーン20-2との間での物品Aの中継において、当該物品Aの移動の所要時間を、より短くすることができる。また、図11に示されるように、設定可能範囲Iは、Z方向においても中央部に位置されている。これにより、保管位置Psと中継位置Prとの間の距離が長すぎる場合が生じ難くなるため、物品Aの移動の所要時間を、より短くすることができる。設定可能範囲Iは、所定範囲の一例である。Z方向は、第三方向の一例である。
【0083】
また、処理決定部5aは、物品A1の待避および物品A2の第二保管位置Ps2からの搬出により空の状態となった保管棚1a(図8参照)が、設定可能範囲I内に位置する場合には、当該仮置棚1iを保管棚1aに変更し、すなわち保管棚1aに仮置棚1iを設定することができる。仮置棚1iを変更しない場合には、図9,10に示されるように、物品A1,A2を元の保管棚1aに搬送する手順が生じる。この点、図7,8に示されるように、仮置棚1iを保管棚1bから保管棚1aに変更する場合には、元の仮置棚1i(図7)であった保管棚1bの保管位置Psに待避していた物品A1を搬送する(戻す)手順を省略できる分、一連の処理が終了するのに要する時間を短縮することができる。
【0084】
さらに、処理決定部5aは、物品A1の待避および物品A2の第二保管位置Ps2からの搬出により空の状態となった保管棚1aが、上記設定可能範囲I外に位置する場合には、当該仮置棚1iの設定を維持する、言い換えると仮置棚1iの設定を変更しない。これにより、保管位置Psと中継位置Prとの間の距離が長すぎる場合や当該距離が短すぎる場合等が生じ難くなり、物品Aの中継の所要時間を、より短くすることができる。
【0085】
[1-6.待避および中継無し搬送の手順]
物品A2を中継せずに搬送できる場合、仮置棚1i(保管棚1b)は中継位置Prとしては使用されず、待避位置Ptとして使用される。この場合も、処理決定部5aは、上記[1-5]に示したように、物品A1の待避および物品A2の第二保管位置Ps2からの搬出により空の状態となった保管棚1aが設定可能範囲I内に位置する場合には、当該仮置棚1iを保管棚1aに変更し、すなわち保管棚1aを仮置棚1iとして設定する。他方、物品A1の待避および物品A2の第二保管位置Ps2からの搬出により空の状態となった保管棚1aが設定可能範囲I外に位置する場合、処理決定部5aは、当該仮置棚1iの設定を維持する、言い換えると仮置棚1iの設定を変更しない。
【0086】
また、処理決定部5aは、仮置棚1iを変更しない場合にあっては、待避位置Ptを、仮置棚1i(保管棚1b)の第一保管位置Ps1に設定する。これにより、待避位置Ptを第二保管位置Ps2に設定した場合に比べて、搬送路S内の支持位置Phと保管位置Psとの間の移動距離を短くすることができるため、物品Aが待避位置Ptへ移動するまでの所要時間および物品Aが待避位置Ptから保管位置Psへ移動する戻りの所要時間を、より短くすることができる。
【0087】
他方、処理決定部5aは、仮置棚1iを変更する場合にあっては、待避位置Ptを、仮置棚1i(保管棚1b)の第二保管位置Ps2に設定する。仮置棚1iが、保管棚1bから保管棚1aに変更される場合、参拝終了後、保管棚1bには、物品A1,A2が搬入され、保管される。仮に、待避位置Ptを仮置棚1i(保管棚1b)の第一保管位置Ps1に設定していた場合、待避させていた物品A1を第二保管位置Ps2へ搬送する手順が必要となる分、手間を要してしまう。この点、本実施形態では、待避位置Ptを仮置棚1i(保管棚1b)の第二保管位置Ps2に設定するため、物品A2を第一保管位置Ps1に搬送するだけで、より迅速に、保管棚1bによる物品A1,A2の保管状態が得られる。
【0088】
このような第一制御モードにより、中継位置Prと待避位置Ptとがそれぞれ別個の保管棚1に設けられた保管位置Psに設定された場合に比べて、物品Aを保管できる保管棚1の数が増えるため、参拝設備10における物品Aの最大保管数をより多くすることができる。言い換えると、参拝設備10における保管棚1および保管位置Psの無駄(空き)を減らすことができる。
【0089】
[2.保管率が小さい場合の制御モード(第二制御モード)]
保管率が所定の閾値よりも小さい場合、処理決定部5aは、中継位置Prを、一つの保管棚1に設けられた保管位置Psに固定するとともに、待避位置Ptを、中継位置Prが設定された保管棚1とは別の保管棚1に設けられた保管位置Psに設定するという第二制御モードにより、処理を実行する。
【0090】
図12は、第二群G2の保管棚1をY方向に見た側面図であって、第二制御モードにおける中継位置Prおよび待避位置Ptの設定の一例を示す説明図である。なお、図12では、各保管棚1を単なる四角形で表している。第二制御モードでは、図12に示されるように、スタッカクレーン20-1(図12には不図示)の作動範囲W1とスタッカクレーン20-2(図12には不図示)の作動範囲W2とがX方向に区分される。作動範囲W1,W2は、スタッカクレーン20-1,20-2が物品Aの搬送を実行するよう設定された範囲である。図12において、作動範囲W1は、左上がりの複数の線によるハッチングで示され、作動範囲W2は、右上がりの複数の線によるハッチングで示されている。中継位置Prは、作動範囲W1,W2の境界に設定されており、作動範囲W1,W2には属さない。
【0091】
第二制御モードでは、中継位置Prは、X方向およびZ方向の中央部に位置する保管棚1c(1)の第一保管位置Ps1に固定されている。二つのスタッカクレーン20-1,20-2の間では、図12に示される中継位置Prを介して、物品Aが受け渡される。
【0092】
このように、中継位置Prを固定することにより、中継位置Prを変更するための演算処理が不要となる分、処理決定部5aにおける演算処理がより簡単になるという利点がある。また、中継位置PrがX方向の中央部に位置されていることにより、保管位置Psと中継位置Prとの間の距離が長すぎる場合や当該距離が短すぎる場合等が生じ難くなるため、物品Aの移動の所要時間を、より短くすることができる。また、中継位置PrがZ方向の中央部に位置されていることにより、保管位置Psと中継位置Prとの間の距離が長すぎる場合が生じ難くなるため、物品Aの移動の所要時間を、より短くすることができる。
【0093】
なお、中継位置Prは、X方向の中央に位置する保管位置Psとの隣接位置あるいは近傍位置に設定されてもよいし、Z方向の中央に位置する保管位置Psとの隣接位置あるいは近傍位置に設定されてもよい。また、例えば、中継位置Prは、X方向およびZ方向のうち一方の中央部に位置し、かつ他方の中央部からは外れた位置に設定されてもよい。
【0094】
また、第二制御モードでは、図12に示されるように、中継位置Pr、スタッカクレーン20-1の搬送における待避位置Pt(第一待避位置Pt1)、およびスタッカクレーン20-2の搬送における待避位置Pt(第二待避位置Pt2)が、それぞれ異なる保管位置Psに設定されている。スタッカクレーン20-1,20-2は、それぞれの作動範囲W1,W2内に位置する保管棚1に設けられた保管位置Psに対して物品Aを搬送することができる。また、スタッカクレーン20-1,20-2は、それぞれ中継位置Prに対して物品Aを搬送することができる。なお、図12では、第二群G2に属する保管棚1および保管位置Psについて、作動範囲W1,W2および中継位置Prが設定されているが、第一群G1に属する保管棚1および保管位置Psについても、例えば、図示されている作動範囲W1,W2および中継位置Prに対してそれぞれY方向に略並ぶ範囲に、作動範囲W1,W2および中継位置Prが設定される。
【0095】
このように、スタッカクレーン20-1の作動範囲W1と、スタッカクレーン20-2の作動範囲W2とを、X方向に区分することにより、スタッカクレーン20-1の支持部24aとスタッカクレーン20-2の支持部24aとが互いに離間しやすくなる。よって、処理決定部5aがそれらの干渉を回避するための演算処理の回数が減り、処理決定部5aによる演算処理の負荷を減らすことができるという利点がある。また、スタッカクレーン20-1,20-2を並行して制御できる構成にあっては、搬送効率が高まるという利点もある。また、第一待避位置Pt1、第二待避位置Pt2、および中継位置Prを別個に設定することにより、第一待避位置Pt1、第二待避位置Pt2、および中継位置Prのそれぞれと保管位置Psとの間での支持部24aの移動距離が長すぎる場合が生じ難くなるため、物品Aの搬送の所要時間を、より短くすることができる。
【0096】
なお、保管率が閾値と同じ場合にあっては、処理決定部5aは、第一制御モードおよび第二制御モードのうちいずれかの制御モードによって処理を実行する。
【0097】
以上、説明したように、本実施形態の参拝設備10(物品保管設備)において、制御装置5は、スタッカクレーン20-1(第一搬送機構)およびスタッカクレーン20-2(第二搬送機構)の双方が物品Aを搬送可能な仮置棚1i(一つの保管棚1)に設けられた保管位置Psを、第一待避位置Pt1および第二待避位置Pt2を兼ねる待避位置Pt、および中継位置Prのうち、少なくとも一方として設定する。
【0098】
このような構成および制御によれば、待避位置Ptと中継位置Prとを別個の保管棚1に設けられた保管位置Psに設定した場合に比べて、物品Aの保管に用いることが可能な保管棚1の数をより多くすることができ、ひいては参拝設備10における物品Aの最大保管数をより多くすることができる。
【0099】
また、本実施形態の参拝設備10では、例えば、制御装置5は、仮置棚1iに設けられた保管位置Psを、待避位置Ptおよび中継位置Prのうち少なくとも一方として設定する第一制御モードによる制御と、中継位置Pr、第一待避位置Pt1、および第二待避位置Pt2をそれぞれ異なる保管棚1に設けられた保管位置Psに設定する第二制御モードによる制御とを、選択的に実行可能である。
【0100】
このような構成および制御によれば、参拝設備10は、第一制御モードでの制御により、物品Aの最大保管数をより多くすることができるとともに、第二制御モードでの制御により、物品Aの搬送効率をより高くすることができる。
【0101】
また、本実施形態の参拝設備10では、例えば、制御装置5は、保管率(全ての保管位置Psの数に対する物品Aが保管されている保管位置Psの数の比率)が閾値(所定値)より大きい場合に第一制御モードによる制御を実行し、保管率が閾値より小さい場合に第二制御モードによる制御を実行する。
【0102】
参拝設備10において、物品Aの保管率が比較的小さい場合には、参拝設備10において物品Aを保管する余裕、すなわち空の状態の保管位置Psがあるため、最大保管数の増大の優先度はそれほど高くない。よって、このような構成および制御によれば、保管率が閾値よりも低い状況においては、第一制御モードによる制御を実行せず、第二制御モードによる制御を実行することにより、最大保管数が少ないことによる問題が生じるのを回避しながら物品Aの搬送効率をより高くすることができる。
【0103】
また、本実施形態の参拝設備10では、例えば、制御装置5は、第二制御モードにおいて、中継位置Prの設定を、複数の保管棚1のうちX方向の中央部に位置する保管棚1に含まれる保管位置Psに固定する。
【0104】
このような構成および制御によれば、中継位置PrがX方向の中央部に固定されるため、二つのスタッカクレーン20-1,20-2間での物品Aの中継に要する時間をより短くすることができ、物品Aの搬送効率をより高くすることができる。また、中継位置Prを変更するための演算処理が不要となる分、制御装置5における演算処理がより簡単になり、処理負荷を減らすことができるという利点も得られる。
【0105】
また、本実施形態の参拝設備10では、例えば、制御装置5は、第二制御モードにおいて、中継位置Prの設定を、複数の保管棚1のうちZ方向(第三方向)の中央部に位置する保管棚1に含まれる保管位置Psに固定する。
【0106】
このような構成および制御によれば、中継位置PrがZ方向の中央部に固定されるため、二つのスタッカクレーン20-1,20-2間での物品Aの中継に要する時間をより短くすることができ、物品Aの搬送効率をより高くすることができる。また、中継位置Prを変更するための演算処理が不要となる分、制御装置5における演算処理がより簡単になり、処理負荷を減らすことができるという利点も得られる。
【0107】
また、本実施形態の参拝設備10では、例えば、制御装置5は、第一制御モードにおいて、仮置棚1iに設けられた第一保管位置Ps1を中継位置Prとして設定し、当該仮置棚1iに設けられた第二保管位置Ps2を待避位置Ptとして設定することが可能である。
【0108】
このような構成および制御によれば、保管棚1の物品A1の待避と、当該保管棚1の物品A2の中継とが必要な場合にあっても、一つの仮置棚1iに設けられた二つの保管位置Psを利用して物品A1の待避と物品A2の中継とが実行されうる。
【0109】
また、本実施形態の参拝設備10では、例えば、スタッカクレーン20-1の支持部24a(第一支持部)およびスタッカクレーン20-2の支持部24a(第二支持部)は、X方向(第二方向)に追い越し不能に構成され、制御装置5は、第一制御モードにおいて、複数の保管棚1のうちX方向(第二方向)の中央の設定可能範囲I(所定範囲)内に位置した仮置棚1iに設けられた保管位置Psを、待避位置Ptおよび中継位置Prのうち少なくとも一方として、設定することが可能である。
【0110】
仮に、中継位置Prが複数の保管棚1のX方向の中央部から離れて位置すると、二つのスタッカクレーン20-1,20-2のうち一方の支持部24aの中継位置Prに対応した対向位置Pfまでの移動距離が長くなり、他方の支持部24aの対向位置Pfまでの移動距離が短くなる。支持部24aの移動距離が長過ぎると移動の所要時間が長くなり、支持部24aの移動距離が短すぎると支持部24aの移動速度が大きくならない分移動の所要時間が長くなる。この点、本実施形態の構成および制御によれば、仮置棚1iに含まれる中継位置PrがX方向の中央の設定可能範囲I内に留まるため、二つのスタッカクレーン20-1,20-2間での物品Aの中継に要する時間をより短くすることができ、物品Aの搬送効率をより高くすることができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0112】
例えば、本発明の物品保管設備は、参拝設備には限定されず、自動倉庫設備や、図書館の蔵書保管設備、貸金庫設備など、他の設備にも適用することができる。また、本発明の物品保管設備は、物品を比較的長期にわたって保管する設備には限定されず、物品を一時的に保持する設備や、保持する物品が比較的頻繁に入れ替わる設備等にも適用できる。
【0113】
また、物品は、容器には限定されない。他方、物品が容器である場合、物品保管設備は、さらに、当該容器内に収容される収容物の収容状態を管理してもよい。
【0114】
また、物品の物品保管設備における出口および入口の数やレイアウトは、種々に設定することができる。
【0115】
また、物品保管設備には、第二方向に追い越し可能な複数の搬送機構が含まれてもよい。この場合にも、中継が必要な複数の搬送機構や、第二方向に追い越し不能な複数の搬送機構に対して、本発明を適用することができる。また、搬送機構は、スタッカクレーンには限定されず、例えば、昇降装置を有した自走可能な台車等であってもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、仮置棚の保管位置には、第一待避位置、第二待避位置、および中継位置が設定されたが、これには限定されず、仮置棚の保管位置には、第一待避位置および第二待避位置のうち一方の待避位置と、中継位置とが設定されてもよい。その場合、第一待避位置および第二待避位置のうち他方の待避位置は、仮置棚とは別の保管棚の保管位置に設定される。
【0117】
また、上記実施形態では、第二制御モードにおける中継位置は、第二方向および第三方向の中央部に位置されたが、これには限定されず、例えば、中継位置が第二方向の中央部に位置した第三方向に沿った領域内に設定されるなど、少なくとも第二方向において中央部に位置されてもよい。
【0118】
また、第一制御モードと第二制御モードとの切り替えにおける保管率の閾値は、上記実施形態の数値には限定されないし、閾値を可変設定してもよい。また、第一制御モードと第二制御モードとの切り替えを、保管率と閾値との比較に基づいて実行することは必須ではなく、例えば、第一制御モードと第二制御モードとを手動で切り替えてもよいし、保管率とは別のパラメータに応じて切り替えてもよい。また、季節や、時期、時刻等に応じて、第一制御モードによる制御のみを実行する状態と、第二制御モードによる制御のみを実行する状態と、第一制御モードによる制御と第二制御モードによる制御とを選択的に実行可能な状態と、を切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1,1b…保管棚
1a…保管棚(空いた保管棚)
1c…保管棚(第二方向および第三方向の中央部に位置する保管棚)
1i…仮置棚
5…制御装置
10…参拝設備(物品保管設備)
20-1…スタッカクレーン(第一搬送機構)
20-2…スタッカクレーン(第二搬送機構)
24a…支持部(第一支持部、第二支持部)
A,A2…物品
A1…物品(別の物品)
I…設定可能範囲(所定範囲)
Ph…支持位置(第一支持位置、第二支持位置)
Pr…中継位置
Ps…保管位置
Ps1…第一保管位置
Ps2…第二保管位置
Pt…待避位置
Pt1…第一待避位置
Pt2…第二待避位置
S…搬送路
X…第二方向
Y…第一方向
Z…第三方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12