(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20221206BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
(21)【出願番号】P 2019557208
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2018043318
(87)【国際公開番号】W WO2019107294
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2017230843
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古澤 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】水田 和明
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-044805(JP,A)
【文献】特開2017-171041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を投射する表示装置と
、
前記表示光を背面で受光して前面に表示画像を表示する薄板状
で柔軟性を有するスクリーンと、
前記スクリーンを保持するスクリーンホルダと
、
前記スクリーンホルダに保持された前記スクリーンを収容する主ホルダと、を備え
、
前記スクリーンホルダは、前記スクリーンの背面に対向しない前記スクリーンの側面側に設けられ前記スクリーンの面と並行する方向における前記スクリーンへの振動を緩衝する側面側緩衝部材を有する、
ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記スクリーンホルダは、前記スクリーンの面と直交する方向におい
て前記主ホルダに当接し、前記主ホルダに対する前記スクリーンの振動を緩衝する前面側緩衝部材を有する請求項1記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記スクリーンホルダは、前記スクリーンの
四隅近傍を厚み方向で挟む複数のクリップを有する
請求項1または請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記表示光の方向を調整するフィールドレンズを備え、
前記フィールドレンズは、前記スクリーンホルダおよび前記スクリーンホルダに保持された前記スクリーンに対して位置決めし固定するための位置決め部材を有し、
前記主ホルダは、前記スクリーンホルダおよび前記スクリーンに対して固定された、前記フィールドレンズを収容するレンズ収容部を有する
請求項1から3のいずれか1項記載のヘッドアップディスプレイ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などに搭載されるヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイは、車両に搭載され、運転者に運転に必要な情報などの種々の情報をフロントガラスなどの透過反射部を介して虚像表示する。これにより、ヘッドアップディスプレイは、車両前方の景色と重ね合わせて情報(画像)を表示することができる。運転者は、運転中に大きな視線移動を行うことなく、必要な情報を把握することができる。
【0003】
画像を示す表示光は、例えば投射型表示装置により生成される。生成された表示光は、フィールドレンズにより方向が調整された後、スクリーンに画像として表示される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘッドアップディスプレイは車両に搭載されるため、振動する環境で使用される。このため、画像としての情報を正確に表示するためには、スクリーンやフィールドレンズを可能な限り振動させることなく保持することが課題となる。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、表示画像を確実に表示することができるヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るヘッドアップディスプレイは、上述した課題を解決するために、表示光を投射する表示装置と、前記表示光を背面で受光して前面に表示画像を表示する薄板状のスクリーンと、前記スクリーンを保持するスクリーンホルダと、前記スクリーンホルダに保持された前記スクリーンを収容する主ホルダと、を備える。前記スクリーンホルダは、前記スクリーンの背面に対向しない前記スクリーンの側面側に設けられ前記スクリーンの面と並行する方向における前記スクリーンへの振動を緩衝する側面側緩衝部材を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るヘッドアップディスプレイにおいては、表示画像を確実に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るヘッドアップディスプレイの実施形態であり、特に光学系の構成を示す説明図。
【
図4】(A)はスクリーンユニットの斜視図、(B)はスクリーンユニットを主ホルダの収容口側から見た図、(C)は
図4(B)のC-C線に沿う断面図。
【
図5】(A)はスクリーンの外観を示す平面図、(B)はスクリーンホルダを示す斜視図。
【
図6】(A)はホットミラーおよびホットミラーパッキンの外観を示す斜視図、(B)はホットミラーパッキンの断面図。
【
図7】フィールドレンズと、スクリーンおよびスクリーンホルダとが組み立てられた状態を示す斜視図。
【
図8】フィールドレンズと、スクリーンおよびホットミラーの位置関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るヘッドアップディスプレイの実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明に係るヘッドアップディスプレイは、例えば自動車などの車両に搭載される。本実施形態においては、本発明に係るヘッドアップディスプレイが自動車に搭載される例を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るヘッドアップディスプレイの実施形態であり、特に光学系の構成を示す説明図である。
【0012】
ヘッドアップディスプレイ1(以下、HUD1という。)は、自動車のインストルメントパネル内に配置される。HUD1は、投射型表示装置10と、第1平面鏡13と、第2平面鏡14と、スクリーンユニット15と、第1凹面鏡16と、第2凹面鏡17と、ケース18と、を主に有している。HUD1は、投射型表示装置10が生成した表示画像(画像)を表す表示光Lを、リレー光学系を構成する第1および第2平面鏡13、14と第1および第2凹面鏡16、17とで反射させ、透過反射部の一例である自動車のフロントガラス2に照射する。視認者(主に運転者)は、HUD1が生成する画像可視領域であるアイボックス3内に視点4を置くことで、車両前方の景色(実景)と重ねて表示画像の虚像Vを視認することができる。
【0013】
投射型表示装置10(表示装置10)は、表示画像に関する表示光Lを生成し、投射する。
【0014】
第1平面鏡13は、表示装置10が生成し投射した表示光Lを反射する。第2平面鏡14は、第1平面鏡13が反射した表示光Lをさらに反射する。
【0015】
スクリーンユニット15は、第2平面鏡14が反射した表示光Lを受光して画像(実像)を表示する。スクリーンユニット15の詳細は後述する。第1凹面鏡16は、スクリーンユニット15から出射される表示光Lを第2凹面鏡17に到達する前に上下でクロスさせる(クロス点Cでクロスさせる)曲率(半径の逆数)を有し、表示光を第2凹面鏡17に向けて反射する。第2凹面鏡17は、第1凹面鏡16が反射した表示光Lをフロントガラス2に向けて反射する。
【0016】
ケース18は、表示装置10、第1および第2平面鏡13、14、スクリーンユニット15、および第1および第2凹面鏡16、17を収納する。ケース18は、フロントガラス2に対向する部分に開口18aを有している。開口18aは、透光性を有する透光性カバー19に覆われている。第2凹面鏡17が反射した表示光Lは、透光性カバー19を透過してHUD1から出射される。
【0017】
図2は、表示装置10の光学系の構成を示す説明図である。
【0018】
表示装置10は、光源22と、光学部材23と、光変調素子24と、を主に有している。
【0019】
光源22は、基板に搭載されたLED(Light Emitting Diode)である。光源22は、赤色光線Rを発する赤色光源22aと、緑色光線Gを発する緑色光源22bと、青色光線Bを発する青色光源22cと、である。以下、赤色光源22a、緑色光源22b、および青色光源22cを区別しない場合には、単に光源22という。
【0020】
光学部材23は、ミラー41と、ダイクロイックミラー42、43と、反射鏡44と、凸レンズ45と、プリズム46と、投光レンズ47と、を有している。
【0021】
赤色光源22aから出射された赤色光線Rは、ミラー41で反射し、ダイクロイックミラー42、43を透過する。緑色光源22bから出射された緑色光線Gは、ダイクロイックミラー42で反射し、ダイクロイックミラー43を透過する。青色光源22cから出射された青色光線Bは、ダイクロイックミラー43で反射する。これら光線R、G、Bは、反射鏡44で反射され、凸レンズ45で配光され、プリズム46を透過する。透過した光線R、G、Bは、光変調素子24で表示光Lに変換される。表示光Lは、プリズム46で反射され、投光レンズ47を透過して投射(出射)される。
【0022】
光変調素子24は、例えば、DMD(Digital Mirror Device)やLCOS(Liquid Crystal On Silicon)などの反射型の表示素子である。光変調素子24は、制御基板(図示せず)と接続されており、この制御基板により制御される。
【0023】
図3は、スクリーンユニット15の分解斜視図である。
【0024】
図4(A)はスクリーンユニット15の斜視図であり、(B)はスクリーンユニット15を主ホルダ100の収容口106、107側から見た図であり、(C)は
図4(B)のC-C線に沿う断面図である。
【0025】
図5(A)はスクリーン60の外観を示す正面図であり、(B)はスクリーンホルダ70を示す斜視図である。
【0026】
図6(A)はホットミラー80およびホットミラーパッキン90の外観を示す斜視図であり、(B)はホットミラーパッキン90の断面図である。
【0027】
図7は、フィールドレンズ50と、スクリーン60およびスクリーンホルダ70とが組み立てられた状態を示す斜視図である。
【0028】
図8は、フィールドレンズ50と、スクリーン60およびホットミラー80の位置関係を説明する説明図である。
図8(A)は第1凹面鏡16との位置関係を示す説明図であり、
図8(B)は第1凹面鏡16を第3平面鏡160に代替した場合におけるホットミラー80の位置関係を示す説明図である。
【0029】
スクリーンユニット15は、フィールドレンズ50と、スクリーン60と、スクリーンホルダ70と、ホットミラー80と、ホットミラーパッキン90と、主ホルダ100と、を有している。
【0030】
フィールドレンズ50は、表示光Lの方向を調整する。すなわち、フィールドレンズ50は、所定の配光角度で表示光Lをスクリーン60へ導く機能を有する。フィールドレンズ50は、スクリーン用位置決めピン51と、主ホルダ用位置決めピン52と、を有している。
【0031】
スクリーン用位置決めピン51(位置決め部材)は、スクリーンホルダ70およびスクリーン60に対して位置決めし固定する。スクリーン用位置決めピン51は、2個設けられている。スクリーン60の前面62と背面61とを誤ってスクリーン60およびスクリーンホルダ70をフィールドレンズ50に取り付けることがないよう、2個のスクリーン用位置決めピン51は、非対称となる位置(対角線上)に設けられている。すなわち、一方のスクリーン用位置決めピン51は短手方向の中央に設けられ、他方のスクリーン用位置決めピン51は、短手方向の端部よりに設けられている。主ホルダ用位置決めピン52は、主ホルダ100に収容された場合、挿入方向奥側に位置する側面に設けられている。
【0032】
スクリーン60は、フィールドレンズ50から出射した表示光Lを背面61で受光して前面62に表示画像を表示する。スクリーン60は、例えばポリカーボネート樹脂であり、薄板状で柔軟性を有している。スクリーン60は、マイクロレンズアレイ面63と、位置決め穴65と、を有している。マイクロレンズアレイ面63は、基材66に設けられた凸形状の微小レンズが複数配置された面であり、スクリーン60の背面61側に設けられている。位置決め穴65は、フィールドレンズ50のスクリーン用位置決めピン51が貫通することにより位置決め固定される。位置決め穴65は、フィールドレンズ50のスクリーン用位置決めピン51と対応する位置に設けられている。
【0033】
スクリーンホルダ70は、金属製の薄板で形成されたものであり、スクリーン60を保持する。スクリーンホルダ70は、前面側板バネ71と、側面側板バネ72と、クリップ73と、位置決め穴75と、を有している。
【0034】
前面側板バネ71(前面側緩衝部材)は、スクリーン60の前面62側でスクリーン60の面と直交する方向において主ホルダ100に当接するように設けられている。前面側板バネ71は、車両の振動に伴うスクリーン60の上下方向(
図1のほぼ上下方向)の振動を緩衝する。すなわち、前面側板バネ71は、スクリーン60の上下方向の振動に伴う主ホルダ100に対する当接を緩衝する。
【0035】
側面側板バネ72(側面側緩衝部材)は、主ホルダ100から露出する側面76(
図5(B)参照)に設けられている。側面側板バネ72は、ケース18などのHUD1内の他の構造物に当接するように設けられている。側面側板バネ72は、車両の振動に伴うスクリーン60の水平方向(
図1のほぼ左右方向および紙面の奥、手前方向)の振動を緩衝する。
【0036】
クリップ73は、スクリーン60を固定する。クリップ73は、4個設けられており、スクリーン60の四隅の近傍でスクリーン60を挟み込み固定する。
【0037】
位置決め穴75は、フィールドレンズ50のスクリーン用位置決めピン51が貫通することにより位置決め固定される。位置決め穴75は、スクリーン用位置決めピン51と対応する位置に設けられている。
【0038】
ホットミラー80は、スクリーン60に表示された表示画像を透過し、かつ赤外線を反射(および吸収)する。ホットミラー80は、面取りされた一のホットミラー側角部81を有している。ホットミラー側角部81は、ホットミラーパッキン90に保持された場合、挿入方向奥側に位置する。
【0039】
ホットミラーパッキン90は、ホットミラー80を保持する。ホットミラーパッキン90は、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)からなる、黒色の部材である。また、ホットミラーパッキン90は、
図6に示すように、一辺にホットミラー80を挿入する挿入口91を有するU字状の枠状部材である。ホットミラーパッキン90は、スリット92と、凸状部93と、を有している。
【0040】
スリット92は、ホットミラーパッキン90の内周側に設けられ、ホットミラー80を挿入および保持する。スリット92は、
図6(A)の領域Aおよび
図6(B)に示すように、ホットミラー側角部81に対応する位置に、ホットミラー側角部81と嵌まり合うよう面取りされたパッキン側角部95を有している。
【0041】
凸状部93は、ホットミラーパッキン90の主ホルダ100から露出する側面96に設けられている。凸状部93は、スクリーンホルダ70の側面側板バネ72と同様、ケース18などのHUD1内の他の構造物に当接するように設けられている。凸状部93は、車両の振動に伴うホットミラー80の水平方向の振動を緩衝する。
【0042】
ホットミラーパッキン90は、
図6(A)に示すように、挿入方向において肉厚が異なっている。ホットミラーパッキン90は、肉厚、スリット92の傾き、および後述する主ホルダ100のホットミラー収容部103の収容角度を好適に設定することにより、ホットミラー80の面をスクリーン60の面に対して所定角度傾けて保持することができる。
【0043】
主ホルダ100は、フィールドレンズ50、スクリーンホルダ70に保持されたスクリーン60、およびホットミラーパッキン90に保持されたホットミラー80を収容する、例えばマグネシウム合金からなる金属製の筐体である。主ホルダ100は、レンズ収容部101と、ホットミラー収容部103と、遮蔽壁105と、を有している。
【0044】
レンズ収容部101は、スクリーンホルダ70およびスクリーン60に対して固定された、フィールドレンズ50を収容口106から収容する。レンズ収容部101は、フィールドレンズ50の主ホルダ用位置決めピン52に対応する位置決め穴102を有している。ホットミラー収容部103は、ホットミラーパッキン90に保持されたホットミラー80を収容口107から収容する。遮蔽壁105は、レンズ収容部101に収容されたスクリーンホルダ70が、ホットミラー80側から視認されないよう、またホットミラー80側へ露出しないようスクリーンホルダ70を遮蔽する。これにより、金属製のスクリーンホルダ70が外光により反射し、表示画像が適切に表示されないことを防止することができる。
【0045】
次に、スクリーンユニット15の組立手順について説明する。
【0046】
第1の工程において、スクリーン60がスクリーンホルダ70のクリップ73に挿入される。このとき、スクリーン60の位置決め穴65と、スクリーンホルダ70の位置決め穴75とが、一致するように挿入される。第2の工程において、
図7に示すように、フィールドレンズ50がスクリーン60およびスクリーンホルダ70に取り付けられる。このとき、フィールドレンズ50のスクリーン用位置決めピン51は、位置決め穴65、75に確実に挿入されるように取り付けられる。2組の位置決め穴65、75およびスクリーン用位置決めピン51は、非対称な位置に設けられているため、スクリーン60の前面62と背面61とが誤った状態で組み立てられることを防止できる。
【0047】
第3の工程において、
図6(A)に示すように、ホットミラー80が、挿入口91からスリット92に沿ってホットミラーパッキン90に挿入される。このとき、面取りされたホットミラー側角部81が挿入方向奥側となり、かつパッキン側角部95の位置と一致するように挿入される。これにより、ホットミラー80の前面と背面とが誤った状態で組み立てられることを防止できる。第4の工程において、フィールドレンズ50が主ホルダ100のレンズ収容部101に収容される。このとき、
図4(C)に示すように、フィールドレンズ50の主ホルダ用位置決めピン52が、主ホルダ100の位置決め穴102に確実に挿入される。これにより、フィールドレンズ50と、フィールドレンズ50と一体となったスクリーン60とが同時に主ホルダ100に対して位置決めされる。
【0048】
第5の工程において、ホットミラー80が主ホルダ100のホットミラー収容部103に収容される。なお、ホットミラー80は、ホットミラーパッキン90の挿入口91側から収容口107に挿入される。
【0049】
以上の工程により、スクリーンユニット15は
図4に示す状態に組み立てられる。
【0050】
図8を参照する。
図8(A)に示すように、ホットミラー80はホットミラーパッキン90により、フィールドレンズ50やスクリーン60を通過する表示光Lの光軸AXに対し第1凹面鏡16の下側端部16Dに向かうように角度θ傾斜して配置される。これにより、ホットミラー80の裏面で反射するスクリーン60を通過した表示光Lが、再び第1凹面鏡16に向かって進むおそれが少なくなり、迷光となり難い。
また、
図8(B)に示すように、第1凹面鏡16を第3平面鏡160に代替した場合においては、ホットミラー80はフィールドレンズ50やスクリーン60を通過する表示光Lの光軸AXに対し第3平面鏡16の上側端部160Uに向かうように角度θ傾斜することが好ましい。これにより、ットミラー80の裏面で反射するスクリーン60を通過した表示光Lが、再び第3平面鏡160に向かって進むおそれが少なくなり、迷光となり難い。つまり、ホットミラー80を傾斜させる向きは、凹面鏡(第1凹面鏡16)か平面鏡(第3平面鏡160)により逆向きとすることが好ましい。
【0051】
本実施形態におけるHUD1は、上述したようなスクリーンユニット15を有するため、表示画像を適切に表示することができる。すなわち、スクリーン60がスクリーンホルダ70により確実に保持されたため、スクリーン60の振動や撓みにより不適切な画像が視認者に対して表示されることを防止することができる。特に、前面側板バネ71および側面側板バネ72を設けたため、車両の振動に伴うスクリーン60の振動を緩和することができ、より適切な画像を表示することができる。
【0052】
また、スクリーンホルダ70を設けたため、樹脂であるスクリーン60と、金属である主ホルダ100とが直接接触しない。このため、主ホルダ100との摩擦によりスクリーン60が削れ、削れた粉がスクリーン60に付着し、表示画像が適切に表示されない事態を回避することができる。すなわち、スクリーンホルダ70は主ホルダ100と同様金属からなるため、摩擦により削れることがない。
【0053】
また、スクリーンホルダ70に固定されたスクリーン60と、フィールドレンズ50を一体に組み立てた後、主ホルダ100に取り付けるようにした。このため、スクリーン60とフィールドレンズ50とを個別に主ホルダ100に位置決めする場合に比べて、組立誤差を低減することができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 ヘッドアップディスプレイ(HUD)
2 フロントガラス
3 アイボックス
4 視点
10 投射型表示装置(表示装置)
13 第1平面鏡
14 第2平面鏡
15 スクリーンユニット
16 第1凹面鏡
17 第2凹面鏡
18 ケース
18a 開口
19 透光性カバー
22 光源
22a 赤色光源
22b 緑色光源
22c 青色光源
23 光学部材
24 光変調素子
41 ミラー
42、43 ダイクロイックミラー
44 反射鏡
45 凸レンズ
46 プリズム
47 投光レンズ
50 フィールドレンズ
51 スクリーン用位置決めピン
52 主ホルダ用位置決めピン
60 スクリーン
61 背面
62 前面
63 マイクロレンズアレイ面
65、75、102 位置決め穴
66 基材
70 スクリーンホルダ
71 前面側板バネ
72 側面側板バネ
73 クリップ
76、96 側面
80 ホットミラー
81 ホットミラー側角部
90 ホットミラーパッキン
91 挿入口
92 スリット
93 凸状部
95 パッキン側角部
100 主ホルダ
101 レンズ収容部
103 ホットミラー収容部
105 遮蔽壁
106、107 収容口