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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】足場装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
B66C15/00 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020155637
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049432
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】有田 隆一
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-122977(JP,A)
【文献】特開平07-242200(JP,A)
【文献】実開昭63-180349(JP,U)
【文献】登録実用新案第3126744(JP,U)
【文献】特開平11-334815(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0051884(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 15/00;23/74
B66F 7/28
E02F 9/16
B64F 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の下部走行体に設けられ、左右一対のクローラの間に配置される足場装置であって、
前記下部走行体のカーボディウエイトの上方に配置され、前記クローラ同士を結ぶ方向である左右方向に移動可能な可動足場と、
前記可動足場を前記左右方向に移動させる移動装置と、
を有し、
前記移動装置は、前記可動足場が前記カーボディウエイト上に収まる収納位置と、前記可動足場が前記収納位置よりも前記クローラの方に張り出した使用位置との間で、前記可動足場を移動させ、
前記可動足場は、前記カーボディウエイトの上方に前記左右方向に一対配置されており、
前記移動装置は、一対の前記可動足場を、互いに離隔または近接するように移動させることを特徴とする足場装置。
【請求項2】
前記移動装置は、
前記カーボディウエイト上に固定されたベースレールと、
前記可動足場に固定されて、前記ベースレールに対して前記ベースレールの長手方向に移動可能な足場レールと、
を有し、
前記移動装置は、前記ベースレールに対して前記足場レールを移動させることで、前記可動足場を移動させることを特徴とする請求項1に記載の足場装置。
【請求項3】
前記移動装置は、前記ベースレールと前記足場レールとの間に配置され、前記ベースレールに対して前記ベースレールの長手方向に移動可能な中間レールを有し、
前記足場レールは、前記中間レールに対して前記ベースレールの長手方向に移動可能であり、
前記ベースレールと前記足場レールとの中間に前記中間レールが常に位置するように、前記ベースレールと前記中間レールと前記足場レールとが連動されており、
前記移動装置は、前記ベースレールに対して前記中間レールを移動させることで、前記ベースレールに対して前記足場レールを移動させることを特徴とする請求項に記載の足場装置。
【請求項4】
作業者により操作され、前記移動装置を駆動させる操作手段を有し、
前記操作手段は、前記可動足場に干渉しない位置に配置されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の足場装置。
【請求項5】
前記操作手段による前記移動装置の駆動をロックすることで、前記カーボディウエイトに対する前記可動足場の移動をロックするロック構造を有することを特徴とする請求項に記載の足場装置。
【請求項6】
前記可動足場は、垂直方向に重なり合うように折り畳み自在で、且つ、前記左右方向に広げることが可能な折り畳み部を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の足場装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ式の作業機械における足場装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械であるクレーンの左右一対のクローラの間に配置されたロワーウエイト(カーボディウエイト)が、下部ウエイトと、下部ウエイトに搭載された上部ウエイトからなり、上部ウエイトが下部ウエイトの左右に張り出していることが開示されている。作業者は、クローラから上部ウエイトに乗り移ることで、一対のクローラ間を移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4619147号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、カーボディウエイトのサイズが従来よりも大きくなるため、下部走行体に対してカーボディウエイトを着脱する際の作業性が悪くなる。また、カーボディウエイトをトレーラで輸送する上で、様々な制約を受ける恐れもある。さらに、カーボディウエイトの保管スペースも確保しにくい。
【0005】
本発明の目的は、カーボディウエイトのサイズの増大を抑えて、下部走行体に対してカーボディウエイトを着脱する際の作業性を向上させることが可能な足場装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業機械の下部走行体に設けられ、左右一対のクローラの間に配置される足場装置であって、前記下部走行体のカーボディウエイトの上方に配置され、前記クローラ同士を結ぶ方向である左右方向に移動可能な可動足場と、前記可動足場を前記左右方向に移動させる移動装置と、を有し、前記移動装置は、前記可動足場が前記カーボディウエイト上に収まる収納位置と、前記可動足場が前記収納位置よりも前記クローラの方に張り出した使用位置との間で、前記可動足場を移動させ、前記可動足場は、前記カーボディウエイトの上方に前記左右方向に一対配置されており、前記移動装置は、一対の前記可動足場を、互いに離隔または近接するように移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、可動足場がカーボディウエイト上に収まる収納位置と、可動足場が収納位置よりもクローラの方に張り出した使用位置との間で、可動足場が移動される。可動足場を使用位置に位置させることで、クローラとカーボディウエイトとの隙間に可動足場の少なくとも一部が配置されるので、作業者は、可動足場上を通ってクローラとカーボディウエイトとの間を移動することができる。一方、可動足場を収納位置に位置させることで、可動足場がカーボディウエイト上に収まる。これにより、カーボディウエイトの側方に足場が常時張り出している構成に比べて、カーボディウエイトおよび足場装置のサイズを小さくすることができる。よって、カーボディウエイトおよび足場装置をそれぞれ下部走行体に対して容易に着脱することができる。さらに、可動足場を収納位置に位置させた場合には、カーボディウエイトおよび足場装置をそれぞれ輸送する上で、サイズの制約を受けにくく、保管もしやすい。これにより、カーボディウエイトのサイズの増大を抑えて、下部走行体に対してカーボディウエイトを着脱する際の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】クレーンの側面図である。
図2】下部走行体を前方から見た斜視図である。
図3A】足場装置を上方から見た斜視図であり、可動足場が収納位置に位置した状態を示す図である。
図3B】足場装置を上方から見た斜視図であり、可動足場が使用位置に位置した状態を示す図である。
図4】足場装置を上方から見た上面図である。
図5図4の左部をA方向からみた図である。
図6】足場装置を上方から見た上面図であり、移動装置の構成を示す図である。
図7図6の要部Bの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(クレーンの構成)
本実施形態における足場装置は、作業機械であるクレーンに設けられている。クレーン10の側面図である図1に示すように、クレーン10は、吊荷(図示せず)の巻上および巻下を行うものであって、クローラ式の下部走行体11の上部に上部旋回体12が旋回可能に設けられた構成となっている。なお、作業機械は、クレーンに限定されず、油圧ショベル等であってもよい。
【0011】
上部旋回体12は、旋回フレーム13と、ブーム14と、マスト15と、ウインチ16と、下部スプレッダ17と、カウンタウエイト18と、バックストップ装置19と、を有している。
【0012】
旋回フレーム13は、旋回ベアリング(図示せず)を介して下部走行体11に取り付けられている。ブーム14は、旋回フレーム13の前部に、旋回フレーム13に対して起伏可能に連結されている。
【0013】
マスト15は、ブーム14の後側において、旋回フレーム13に対して起伏可能に連結されている。マスト15の先端部と、ブーム14の先端部とは、ガイリンク20を介して連結されている。
【0014】
ウインチ16は、旋回フレーム13の中央部に配置されている。ウインチ16は、ワイヤロープの巻取り、および繰出しを行うものであり、吊荷の巻上および巻下、ならびに、ブーム14の起伏などに用いられる。本実施形態において、ウインチ16は3個設けられている。3個のウインチ16は、旋回フレーム13の前側から後側に向かって、主巻ウインチ16a、補巻ウインチ16b、起伏ウインチ16cの順番で配置されている。
【0015】
下部スプレッダ17は、旋回フレーム13の後部に設けられている。マスト15の先端部に設けられた上部スプレッダ21と、下部スプレッダ17とは、ブーム起伏ロープ22を介して連結されている。ウインチ16で、ブーム起伏ロープ22を巻取り及び巻出しすることで、マスト15が起伏する結果、ブーム14が起伏する。
【0016】
カウンタウエイト18は、旋回フレーム13の後部に搭載されている。バックストップ装置19は、ブーム14の背面に取り付けられ、ブーム14の背面から旋回フレーム13に向かって延びている。バックストップ装置19は、旋回フレーム13に固定されたバックストップ受け23に受けられることで、ブーム14の後側への回転を規制する。
【0017】
(足場装置の構成)
下部走行体11を前方から見た斜視図である図2に示すように、下部走行体11は、カーボディ24と、左右一対のクローラ25と、カーボディウエイト26と、を有している。クローラ25は、カーボディ24の左右にそれぞれ配置されている。カーボディウエイト26は、カーボディ24の前端部および後端部において、一対のクローラ25の間にそれぞれ配置されている。カーボディウエイト26は、クレーン10の前後方向への転倒に対する安定度を向上するための錘である。以下、クローラ25同士を結ぶ方向を左右方向という。
【0018】
足場装置1は、下部走行体11に設けられ、左右一対のクローラ25の間に配置されている。足場装置1は、カーボディウエイト26に着脱可能に設けられている。足場装置1と、カーボディウエイト26とは、それぞれ下部走行体11に対して別々に着脱される。なお、足場装置1とカーボディウエイト26とが一体となっており、カーボディウエイト26が、下部走行体11に対して着脱される構成であってもよい。
【0019】
足場装置1は、可動足場2と、移動装置3と、を有している。可動足場2は、カーボディウエイト26の上方に左右方向に一対配置されている。一対の可動足場2の各々は、左右方向に移動可能である。移動装置3は、可動足場2を左右方向に移動させる。具体的には、移動装置3は、一対の可動足場2を、互いに離隔または近接するように移動させる。可動足場2には、クローラ25に設けられた階段25aまで作業者が到達しやすいように、切り欠き2aが形成されている。
【0020】
ここで、移動装置3は、収納位置と使用位置との間で、可動足場2を移動させる。足場装置1を上方から見た斜視図である図3Aに示すように、収納位置は、可動足場2がカーボディウエイト26上に収まる位置である。本実施形態の収納位置は、可動足場2の左右方向の全長がカーボディウエイト26上に収まる位置である。
【0021】
足場装置1を上方から見た斜視図である図3Bに示すように、使用位置は、可動足場2が収納位置よりもクローラ25の方に張り出した位置である。本実施形態の使用位置は、可動足場2の左右方向の全長がカーボディウエイト26上からクローラ25の方に張り出した位置である。図2では、一対の可動足場2の各々が使用位置に位置した状態を図示している。図3Bに示すように、可動足場2には、使用位置において下方に対向する部材(図示しないトランスリフタ)への干渉を避けるための穴47が形成されている。
【0022】
このように、収納位置と使用位置との間で、可動足場2が移動される。可動足場2を使用位置に位置させることで、クローラ25とカーボディウエイト26との隙間に可動足場2が配置されるので、作業者は、可動足場2上を通ってクローラ25とカーボディウエイト26との間を移動することができる。一方、可動足場2を収納位置に位置させることで、可動足場2がカーボディウエイト26上に完全に収まる。これにより、カーボディウエイト26の側方に足場が常時張り出している構成に比べて、カーボディウエイト26および足場装置1のサイズを小さくすることができる。よって、カーボディウエイト26および足場装置1をそれぞれ下部走行体11に対して容易に着脱することができる。さらに、可動足場2を収納位置に位置させた場合には、カーボディウエイト26および足場装置1をそれぞれ輸送する上で、サイズの制約を受けにくく、保管もしやすい。これにより、カーボディウエイト26のサイズの増大を抑えて、下部走行体11に対してカーボディウエイト26を着脱する際の作業性を向上させることができる。
【0023】
また、一対の可動足場2が、互いに離隔または近接するように移動される。一対の可動足場2を使用位置にそれぞれ位置させることで、左右方向におけるカーボディウエイト26の両側の各々において、クローラ25とカーボディウエイト26との隙間に可動足場2が配置されるので、作業者は、一対の可動足場2の上を通って一対のクローラ25間を移動することができる。また、一対の可動足場2を、互いに離隔または近接するように移動させることで、一対の可動足場2を別々に移動させる手間が省ける。これにより、可動足場2の移動の作業性を向上させることができる。
【0024】
足場装置1を上方から見た上面図である図4、および、図4の左部をA方向からみた図である図5に示すように、移動装置3は、ベース31と、ベースレール32と、中間レール33と、足場レール34と、を有している。ベース31は、カーボディウエイト26上に固定されている。ベースレール32、中間レール33、および、足場レール34は、一対の可動足場2に対してそれぞれ設けられている。また、ベースレール32、中間レール33、および、足場レール34の各々は、1つの可動足場2に対して前後(図中上下)に一対設けられている。
【0025】
ベースレール32は、ベース31に固定されている。中間レール33は、ベースレール32と足場レール34との間に配置されている。中間レール33は、ベースレール32に対してベースレール32の長手方向に移動可能である。足場レール34は、可動足場2に固定されている。足場レール34は、中間レール33に対してベースレール32の長手方向に移動可能である。つまり、足場レール34は、ベースレール32に対してベースレール32の長手方向に移動可能である。
【0026】
移動装置3は、ベースレール32に対して足場レール34を移動させることで、可動足場2を左右方向にスライド移動させる。ここで、ベースレール32と足場レール34との中間に中間レール33が常に位置するように、ベースレール32と中間レール33と足場レール34とが連動されている。よって、移動装置3は、ベースレール32に対して中間レール33を移動させることで、ベースレール32に対して足場レール34を移動させる。これにより、可動足場2が左右方向にスライド移動される。
【0027】
ここで、ベースレール32、中間レール33、および、足場レール34は、それぞれ断面がコの字型に形成されている。そして、ベースレール32の内側に中間レール33が配置され、中間レール33の内側に足場レール34が配置されている。よって、可動足場2が収納位置に位置されると、ベースレール32の内側に中間レール33が収納され、中間レール33の内側に足場レール34が収納される。このような構成にすることで、ベースレール32、中間レール33、および、足場レール34を並列に配置するのに比べて、3つのレールの配置スペースを小さくすることができる。よって、カーボディウエイト26上の限られたスペースに3つのレールを好適に配置することができる。
【0028】
このように、ベースレール32に対して足場レール34が移動されることで、可動足場2が左右方向にスライド移動される。また、ベースレール32と足場レール34との中間に中間レール33が常に位置するように、ベースレール32と中間レール33と足場レール34とが連動されている。そして、ベースレール32に対して中間レール33が移動されることで、ベースレール32に対して足場レール34が移動され、可動足場2が左右方向にスライド移動される。三段式のレールを用いることで、カーボディウエイト26上から可動足場2をよりクローラ25の方に張り出させることができる。
【0029】
また、図4に示すように、足場装置1は、ハンドル(操作手段)4を有している。ハンドル4は、移動装置3を駆動させるものであり、作業者により手動で操作される。ハンドル4は、ベース31における、可動足場2に干渉しない位置に配置されている。
【0030】
このように、ハンドル4が、可動足場2に干渉しない位置に配置されている。これにより、可動足場2の移動を妨げることなく、ハンドル4を操作することができる。
【0031】
足場装置1を上方から見た上面図である図6、および、図6の要部Bの拡大図である図7に示すように、移動装置3は、固定チェーン35と、小スプロケット36と、チェーン37と、大スプロケット38と、走行チェーン39と、スプロケット40と、を有している。
【0032】
固定チェーン35は、一対設けられており、それぞれがベース31に固定されている。固定チェーン35は、ベース31の中央からベース31の端部にかけてベースレール32の長手方向に延びている。
【0033】
上下一対の中間レール33の、ベース31の中央側の端部同士は、連結梁41によって連結されている。上下一対の中間レール33の、ベース31の端側の端部同士は、連結梁42によって連結されている。小スプロケット36は、連結梁41および連結梁42にそれぞれ回転自在に設けられている。チェーン37は、これら一対の小スプロケット36に掛け回されている。
【0034】
図7に示すように、チェーン37の一部は、固定部材43によりベース31に固定されている。また、チェーン37の一部は、固定部材44により可動足場2に固定されている。
【0035】
大スプロケット38は、連結梁41に回転自在に設けられている。この大スプロケット38は、固定チェーン35に係合されている。
【0036】
図6に示すように、走行チェーン39は、ハンドル4、および、2つの大スプロケット38にそれぞれ掛け回されている。スプロケット40は、ベース31の両端部に2個ずつ設けられているとともに、ベース31の中央部に3個設けられている。これらスプロケット40に走行チェーン39がそれぞれ掛け回されている。
【0037】
このような構成において、ハンドル4が回転されると、走行チェーン39が図中時計回りまたは反時計回りに走行する。すると、走行チェーン39に係合する大スプロケット38が回転し、固定チェーン35に沿ってベース31の中央側または端部側に移動する。これにより、連結梁41が移動する。つまり、ベースレール32に対して中間レール33が移動する。
【0038】
連結梁41が移動すると、チェーン37が走行する。チェーン37は、その一部が固定部材43によりベース31に固定されており、他の一部が固定部材44により可動足場2に固定されている。よって、チェーン37が走行すると、可動足場2がベース31の中央側または端部側に移動する。中間レール33がベース31(ベースレール32)に対して移動する距離と、可動足場2(足場レール34)が中間レール33に対して移動する距離とは同じである。
【0039】
なお、走行チェーン39、固定チェーン35、チェーン37等を用いたチェーン機構によって複数のレールを動かす構成に限定されず、ラックとピニオンとを用いた機構や、ベルトを用いた機構、リンク機構などや、油圧や空圧のシリンダや電動モータ等の動力源によって、複数のレールを動かす構成であってもよい。
【0040】
また、図4に示しように、足場装置1は、ロック構造5を有している。ロック構造5は、ハンドル4による移動装置3の駆動をロックすることで、カーボディウエイト26に対する可動足場2の移動をロックするものである。具体的には、ロック構造5は、ハンドル4の回転を物理的にロックするものである。ロック構造5は、例えば、ハンドル4の回転軸に挿通される棒状部材と、この棒状部材の両端をそれぞれ支持する支持部材と、を有するものであってよい。
【0041】
移動装置3の駆動をロック構造5でロックすれば、可動足場2が勝手に移動することがないので、作業者は、可動足場2上の移動や、カーボディウエイト26とともに足場装置1を下部走行体11に対して着脱する作業を、容易に行うことができる。
【0042】
また、図4および図5に示すように、可動足場2は、折り畳み部45,46を有している。本実施形態では、可動足場2は、左右方向のベース31側に折り畳み部45を有し、左右方向のベース31とは反対側に折り畳み部46を有している。折り畳み部45,46は、それぞれ垂直方向に重なり合うように折り畳み自在で、且つ、左右方向に広げることが可能である。
【0043】
本実施形態では、可動足場2が使用位置に位置した際に、可動足場2とベース31(カーボディウエイト26)との間に隙間が生じる。折り畳み部45は、この隙間を埋めることが可能である。折り畳み部46は、可動足場2の左右方向のサイズを大きくするものである。折り畳み部46と可動足場2の本体との境目部分には、上述した穴47が形成されている(図3B参照)。
【0044】
このように、折り畳み部45,46を左右方向に広げることで、可動足場2の左右方向のサイズを大きくすることができる。また、可動足場2を使用位置に位置させた際に、可動足場2とカーボディウエイト26との間に生じる隙間を、折り畳み部45で埋めることで、作業者が可動足場2の上を容易に移動できるようにすることができる。
【0045】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態の足場装置1によると、可動足場2がカーボディウエイト26上に収まる収納位置と、可動足場2が収納位置よりもクローラ25の方に張り出した使用位置との間で、可動足場2が移動される。可動足場2を使用位置に位置させることで、クローラ25とカーボディウエイト26との隙間に可動足場2の少なくとも一部が配置されるので、作業者は、可動足場2上を通ってクローラ25とカーボディウエイト26との間を移動することができる。一方、可動足場2を収納位置に位置させることで、可動足場2がカーボディウエイト26上に収まる。これにより、カーボディウエイト26の側方に足場が常時張り出している構成に比べて、カーボディウエイト26および足場装置1のサイズを小さくすることができる。よって、カーボディウエイト26および足場装置1をそれぞれ下部走行体11に対して容易に着脱することができる。さらに、可動足場2を収納位置に位置させた場合には、カーボディウエイト26および足場装置1をそれぞれ輸送する上で、サイズの制約を受けにくく、保管もしやすい。これにより、カーボディウエイト26のサイズの増大を抑えて、下部走行体11に対してカーボディウエイト26を着脱する際の作業性を向上させることができる。
【0046】
また、一対の可動足場2が、互いに離隔または近接するように移動される。一対の可動足場2を使用位置にそれぞれ位置させることで、左右方向におけるカーボディウエイト26の両側の各々において、クローラ25とカーボディウエイト26との隙間に可動足場2が配置されるので、作業者は、一対の可動足場2の上を通って一対のクローラ25間を移動することができる。また、一対の可動足場2を、互いに離隔または近接するように移動させることで、一対の可動足場2を別々に移動させる手間が省ける。これにより、可動足場2の移動の作業性を向上させることができる。
【0047】
また、ベースレール32に対して足場レール34が移動されることで、可動足場2が左右方向にスライド移動される。また、ベースレール32と足場レール34との中間に中間レール33が常に位置するように、ベースレール32と中間レール33と足場レール34とが連動されている。そして、ベースレール32に対して中間レール33が移動されることで、ベースレール32に対して足場レール34が移動され、可動足場2が左右方向にスライド移動される。三段式のレールを用いることで、カーボディウエイト26上から可動足場2をよりクローラ25の方に張り出させることができる。
【0048】
また、移動装置3を駆動させるハンドル4が、可動足場2に干渉しない位置に配置されている。これにより、可動足場2の移動を妨げることなく、ハンドル4を操作することができる。
【0049】
また、ハンドル4による移動装置3の駆動をロックすることで、カーボディウエイト26に対する可動足場2の移動をロックするロック構造5を有する。移動装置3の駆動をロックすれば、可動足場2が勝手に移動することがないので、作業者は、可動足場2上の移動や、カーボディウエイト26とともに足場装置1を下部走行体11に対して着脱する作業を、容易に行うことができる。
【0050】
また、可動足場2は、折り畳み部45,46を有する。この折り畳み部45,46を左右方向に広げることで、可動足場2の左右方向のサイズを大きくすることができる。また、可動足場2を使用位置に位置させた際に、可動足場2とカーボディウエイト26との間に隙間が生じる場合には、この隙間を折り畳み部45で埋めることで、作業者が可動足場2の上を容易に移動できるようにすることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0052】
例えば、可動足場2を水平方向に移動させる構成に限定されず、鉛直方向に延びる回転軸を中心に可動足場2を水平方向に回転させる構成であってもよい。例えば、可動足場2の左右方向の全長がカーボディウエイト26上に収まる収納位置と、可動足場2の左右方向の全長がカーボディウエイト26上からクローラ25の方に張り出した使用位置との間で、可動足場2を回転させる。このような構成であっても、可動足場2を収納位置に位置させることで、カーボディウエイト26の左右に足場が常時張り出している構成に比べて、カーボディウエイト26および足場装置1のサイズを小さくすることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 足場装置
2 可動足場
3 移動装置
4 ハンドル(操作手段)
5 ロック構造
10 クレーン(作業機械)
11 下部走行体
12 上部旋回体
13 旋回フレーム
14 ブーム
15 マスト
16 ウインチ
17 下部スプレッダ
18 カウンタウエイト
19 バックストップ装置
20 ガイリンク
21 上部スプレッダ
22 ブーム起伏ロープ
24 カーボディ
25 クローラ
26 カーボディウエイト
31 ベース
32 ベースレール
33 中間レール
34 足場レール
35 固定チェーン
36 小スプロケット
37 チェーン
38 大スプロケット
39 走行チェーン
40 スプロケット
41,42 連結梁
43,44 固定部材
45,46 折り畳み部
47 穴
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7