(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20221206BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20221206BHJP
【FI】
B66B3/00 Z
G06Q30/02 398
(21)【出願番号】P 2020202714
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-180642(JP,A)
【文献】特開2017-132634(JP,A)
【文献】特開2017-193426(JP,A)
【文献】特開2019-185236(JP,A)
【文献】特開2020-203776(JP,A)
【文献】特開2019-197430(JP,A)
【文献】特開2019-066700(JP,A)
【文献】特開2021-033603(JP,A)
【文献】特開2019-215778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
G06Q 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかごおよび乗場の少なくとも一方に設けられ、前記エレベータの利用者を撮像する撮像装置と、
撮像された利用者の画像である利用者画像に基づいて、商品の特徴を示す商品特徴情報を含む複数の提供候補情報の中から、前記利用者に提供する提供情報を特定する特定部と、
前記提供情報を前記利用者に提供する情報提供部と、を含み、
前記特定部は、
前記利用者画像から、前記利用者が身に着けている
物品であって、季節によって前記利用者の嗜好が変化する物品の特徴を示す情報である利用者特徴情報を生成し、
前記利用者画像の撮像時期に対応する
季節に応じた、前記提供候補情報を学習させた学習済みモデルに、前記利用者特徴情報を入力することにより得られる前記商品特徴情報との一致度が所定値以上となるときの、当該商品特徴情報を含む前記提供候補情報を前記提供情報として特定する、
情報提供システム。
【請求項2】
前記商品特徴情報は、前記商品の画像から得られる情報である、請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記提供候補情報は、商品を示す情報であり、
前記特定部は、
前記提供候補情報が示す商品の画像である商品画像を学習させた学習済みモデルに、前記利用者画像を入力し、
前記商品画像の各々について、前記利用者画像との一致度を取得し、
当該一致度が所定値以上である前記商品画像に対応する前記提供候補情報を、提供情報として特定する、請求項1
または2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記提供候補情報は、商品を示す情報であり、
前記特定部は、
人物を撮像した人物画像と、当該人物の嗜好を反映した前記提供候補情報とを対応付けたデータを学習させた学習済みモデルに、前記利用者画像を入力し、
前記データの各々について、前記人物画像と前記利用者画像との一致度を取得し、
当該一致度が所定値以上である前記人物画像に対応付けられた前記提供候補情報を、提供情報として特定する、請求項1から
3のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記特定部は、撮像された日付が異なる前記利用者の複数の画像に基づいて前記商
品を特定する、請求項1から
4のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項6】
撮像された利用者を特定する利用者特定部をさらに含み、
前記情報提供部は、特定された利用者の端末装置において前記提供情報を閲覧可能とする、請求項1から
5のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記利用者特定部は、
直近に撮像された画像に写る顔の特徴量を算出し、
算出した当該特徴量と、過去に撮像された画像に写る顔の特徴量に、利用者を識別する情報を対応付けて記憶するデータベースとに基づき、直近に撮像された画像に写る利用者を特定する、請求項6に記載の情報提供システム。
【請求項8】
前記情報提供部は、
前記利用者の端末装置で撮像された、当該利用者の画像に写る顔の特徴量と、過去に撮像された過去画像に写る顔の特徴量に、当該過去画像に基づき特定された前記提供情報を対応付けて記憶するデータベースとに基づき、当該利用者のために特定された前記提供情報を特定し、
特定した前記提供情報を、前記利用者の端末装置において閲覧可能とする、請求項1から
5のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項9】
前記エレベータの乗場および前記かご内の少なくとも一方に設けられた表示装置をさらに含み、
前記情報提供部は、前記提供情報として、前記商
品を示す画像を、前記表示装置に表示させる、請求項1から
5のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの利用者に情報を提供する情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、エレベータのかご内に設けられた表示装置に、かごに乗車した利用者向けの広告を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、広告主が表示したい広告を表示するものであるため、利用者の嗜好に合わない情報を提供してしまう場合がある。
【0005】
本発明の一態様は、エレベータの利用者に対し、当該利用者の嗜好に応じた商品やサービスの情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る情報提供システムは、エレベータのかごおよび乗場の少なくとも一方に設けられ、前記エレベータの利用者を撮像する撮像装置と、撮像された利用者の画像である利用者画像に基づいて、商品およびサービスの少なくとも一方を示す複数の提供候補情報の中から、前記利用者に提供する提供情報を特定する特定部と、前記提供情報を前記利用者に提供する情報提供部と、を含む。
【0007】
前記の構成によれば、エレベータの利用者に提供する商品およびサービスの少なくとも一方を示す情報を、該利用者の画像、すなわち、該利用者の外見に基づいて特定することができる。利用者の外見には、その利用者の嗜好が反映されていることが多いため、商品およびサービスの少なくとも一方を示す情報の内、利用者の嗜好に応じた情報を提供することができる。
【0008】
また、本発明の態様2に係る情報提供システムは、上記態様1において、前記特定部は、前記利用者画像から前記利用者の特徴を反映した利用者特徴情報を生成し、生成された前記利用者特徴情報に応じた提供情報を特定してもよい。
【0009】
前記の構成によれば、利用者の特徴に応じた商品を特定することができる。結果として、エレベータの利用者に対し、当該利用者の嗜好に応じた商品やサービスの情報を提供することができる。
【0010】
また、本発明の態様3に係る情報提供システムは、上記態様2において、前記利用者特徴情報は、前記利用者画像において前記利用者が身に着けている物品の特徴を反映した情報であり、前記提供候補情報は、当該商品の特徴を反映した商品特徴情報を含む、商品を示す情報であり、前記特定部は、前記利用者特徴情報との一致度が所定値以上である前記商品特徴情報を含む前記提供候補情報を、提供情報として特定してもよい。
【0011】
前記の構成によれば、利用者が身に着けている物品(例:衣服・鞄・靴・アクセサリ等)に似た商品を特定し、利用者に提供情報として提供することができる。結果として、エレベータの利用者に対し、当該利用者の嗜好に応じた商品やサービスの情報を提供することができる。
【0012】
また、本発明の態様4に係る情報提供システムは、上記態様3において、前記利用者特徴情報は、前記利用者画像から得られる情報であり、前記商品特徴情報は、前記商品の画像から得られる情報であり、前記特定部は、前記提供候補情報を学習させた学習済みモデルに、前記利用者特徴情報を入力し、前記提供候補情報の各々について、前記商品特徴情報と前記利用者特徴情報との一致度を取得し、当該一致度が所定値以上である前記提供候補情報を、提供情報として特定してもよい。
【0013】
前記の構成によれば、学習済みモデルに利用者特徴情報を入力することにより、各提供候補情報における商品特徴情報と、利用者特徴情報との一致度が得られる。そして、この一致度が所定値以上の提供候補情報を利用者に提供するので、利用者がエレベータ利用時に身に着けていた物品と類似する商品、すなわち、利用者の嗜好に近い商品を利用者に推奨することができる。
【0014】
また、本発明の態様5に係る情報提供システムは、上記態様1において、前記提供候補情報は、商品を示す情報であり、前記特定部は、前記提供候補情報が示す商品の画像である商品画像を学習させた学習済みモデルに、前記利用者画像を入力し、前記商品画像の各々について、前記利用者画像との一致度を取得し、当該一致度が所定値以上である前記商品画像に対応する前記提供候補情報を、提供情報として特定してもよい。
【0015】
前記の構成によれば、商品の画像を学習した学習済みモデルに、利用者画像を入力することにより、各商品の画像と、利用者画像との一致度が得られる。そして、この一致度が所定値以上の商品画像に対応する提供候補情報を利用者に提供するので、利用者がエレベータ利用時に身に着けていた物品と類似する商品、すなわち、利用者の嗜好に近い商品を利用者に推奨することができる。
【0016】
また、本発明の態様6に係る情報提供システムは、上記態様1において、前記提供候補情報は、商品を示す情報であり、前記特定部は、人物を撮像した人物画像と、当該人物の嗜好を反映した前記提供候補情報とを対応付けたデータを学習させた学習済みモデルに、前記利用者画像を入力し、前記データの各々について、前記人物画像と前記利用者画像との一致度を取得し、当該一致度が所定値以上である前記人物画像に対応付けられた前記提供候補情報を、提供情報として特定してもよい。
【0017】
前記の構成によれば、人物画像とその人物の嗜好を反映した前記提供候補情報とを対応付けたデータを学習した学習済みモデルに、利用者画像を入力することにより、人物画像と利用者画像との一致度が得られる。この一致度はすなわち、身に着けている物品の色や形状などの一致度に相当し、一致度が高いほど嗜好が似ているといえる。そして、この一致度が所定値以上の人物画像に対応付けられた提供候補情報を利用者に提供する。この提供候補情報は、対応付けられた人物画像の人物の嗜好を反映したものであるので、嗜好が似た人物が好む商品、すなわち、利用者が好む可能性が高い商品を利用者に推奨することができる。
【0018】
また、本発明の態様7に係る情報提供システムは、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記特定部は、撮像された日付が異なる前記利用者の複数の画像に基づいて前記商品および前記サービスのうち少なくとも一方を特定してもよい。
【0019】
前記の構成によれば、異なる日付における利用者の外見に基づいて商品やサービスを特定することができる。これにより、1日の利用者の外見に基づく商品の提供より、適切な商品を利用者に提供することができる。結果として、エレベータの利用者に対し、当該利用者の嗜好に応じた商品やサービスの情報を提供することができる。
【0020】
また、本発明の態様8に係る情報提供システムは、上記態様1から7のいずれかにおいて、撮像された利用者を特定する利用者特定部をさらに含み、前記情報提供部は、特定された利用者の端末装置において前記提供情報を閲覧可能としてもよい。
【0021】
前記の構成によれば、利用者は、自身宛の情報として提供情報を取得することができる。結果として、エレベータの利用者に対し、当該利用者の嗜好に応じた商品やサービスの情報を提供することができる。
【0022】
また、本発明の態様9に係る情報提供システムは、上記態様8において、前記利用者特定部は、直近に撮像された画像に写る顔の特徴量を算出し、算出した当該特徴量と、過去に撮像された画像に写る顔の特徴量に、利用者を識別する情報を対応付けて記憶するデータベースとに基づき、直近に撮像された画像に写る利用者を特定してもよい。
【0023】
前記の構成によれば、前記データベースを予め作成しておくことにより、撮像装置3が撮像した画像のみを用いて利用者を特定することができる。結果として、エレベータの利用者に対し、当該利用者の嗜好に応じた商品やサービスの情報を提供することができる。
【0024】
また、本発明の態様10に係る情報提供システムは、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記情報提供部は、前記利用者の端末装置で撮像された、当該利用者の画像に写る顔の特徴量と、過去に撮像された過去画像に写る顔の特徴量に、当該過去画像に基づき特定された前記提供情報を対応付けて記憶するデータベースとに基づき、当該利用者のために特定された前記提供情報を特定し、特定した前記提供情報を、前記利用者の端末装置において閲覧可能としてもよい。
【0025】
前記の構成によれば、提供情報の提供を希望する利用者のみに対して、提供情報を提供することができる。換言すれば、提供情報の提供を希望しない利用者に提供情報を提供し、利用者に不快感を与えてしまうことを防ぐことができる。また、前記構成によれば、利用者が予めIDなどを登録せずとも、各利用者のために特定された提供情報を正しく提供することができる。結果として、エレベータの利用者に対し、当該利用者の嗜好に応じた商品やサービスの情報を提供することができる。
【0026】
また、本発明の態様11に係る情報提供システムは、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記エレベータの乗場および前記かご内の少なくとも一方に設けられた表示装置をさらに含み、前記情報提供部は、前記提供情報として、前記商品および前記サービスのうち少なくとも一方を示す画像を、前記表示装置に表示させてもよい。
【0027】
前記の構成によれば、利用者はエレベータを利用しているタイミングで提供情報を閲覧することができる。提供情報はこの時の利用者の外見を含む情報に基づいて特定されているため、利用者はエレベータ利用時の服装等に基づいた提供情報をその場で閲覧することができる。結果として、エレベータの利用者に対し、当該利用者の嗜好に応じた商品やサービスの情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、エレベータの利用者に対し、当該利用者の嗜好に応じた商品やサービスの情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示の実施形態1に係る情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】情報提供システムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図3】情報処理装置において、提供情報を特定するための処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態2に係る情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】変形例に係る情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態1〕
〔情報提供システムの概要〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る情報提供システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、情報提供システム1は、エレベータ2、撮像装置3、情報処理装置4、端末装置5を含む。情報提供システム1は、エレベータ2を利用する利用者の画像を撮像し、当該利用者の画像に基づいて当該利用者に応じた商品またはサービス等の情報を特定し、当該利用者に提供する。
【0031】
エレベータ2は、各部の動作を制御する制御装置22、利用者が乗車するかご23、および利用者が呼び登録および行先階の登録を行うための操作盤21を備える。操作盤21は各乗場およびかご23内に設けられる。
【0032】
撮像装置3は、エレベータ2のかご23内および乗場の少なくとも一方に設けられ、利用者の画像を撮像し、撮像した利用者の画像である利用者画像を情報処理装置4に出力する。撮像は利用者の画像を撮像することができるタイミングで行われればよい。また、撮像装置3は、利用者の顔を撮像することができる位置、換言すれば、利用者を正面から撮像することができる位置に設けられる。
【0033】
例えば、撮像装置3がかご23に設けられる場合は、かご23内に利用者がいるとき、乗場に設けられる場合は例えば呼び登録が行われたときに撮像が行われればよい。あるいは、撮像装置3は、常に撮像を行っていてもよい。
【0034】
情報処理装置4は、撮像装置3から利用者画像を取得し、当該利用者画像に基づいて当該利用者に提供する提供情報を特定し、当該提供情報を利用者に提供する。一例として、提供情報を利用者の端末装置5に送信する。
【0035】
提供情報とは、商品、サービスに関する情報であり、具体的には、例えば商品またはサービスを示す画像、動画、文章および音声の少なくともいずれかを含む。提供情報は、商品またはサービスを紹介するWEBサイトのURLであってもよいし、上記画像等またはURLの情報を含むQRコード(登録商標)等の2次元コードであってもよい。なお、本実施形態では、提供情報は利用者が身に着ける商品に関する情報であるとする。当該商品は、例えば、衣服、アクセサリー、帽子、靴、眼鏡、鞄などであるが、これに限定されない。
【0036】
端末装置5は、通信部51、端末装置5の各部を制御する制御部52、および出力部53を備えている。例えば、端末装置5は、利用者が所持するスマートフォン等の装置である。端末装置5は、通信部51を介して情報処理装置4から提供情報を受信し、出力部53を制御して利用者に提示する。提示の方法は、例えば提供情報としての商品に関する画像、あるいは文章を表示することであってもよく、商品を紹介するWEBサイトのURLを表示することであってもよい。この場合、出力部53は提供情報を表示可能なディスプレイ等の表示装置である。または、提供情報を提供する方法が音声によるものである場合、出力部53はスピーカ等の出力装置であってもよい。
【0037】
〔情報処理装置4の構成〕
図1に示すように、情報処理装置4は、制御部41、通信部42、および記憶部43を備える。また、制御部41は、撮像装置3から利用者画像を取得する取得部44、特定部45、情報提供部46、および利用者特定部47を備える。
【0038】
通信部42は、利用者の端末装置5と通信可能な通信モジュールである。情報処理装置4は、通信部42を介して端末装置5と通信を行うことで、当該端末装置5に提供情報を送信することができる。
【0039】
記憶部43には、エレベータの利用者の候補を示す情報によって構成される候補者データベース48、提供情報の候補となる商品に関する情報によって構成される提供候補情報データベース49、および情報処理装置4の各部を制御するための制御プログラム50が記憶されている。なお、以降、提供候補情報データベース49を構成する情報を提供候補情報と表記する。
【0040】
特定部45は、取得部44が取得した利用者画像から利用者の特徴を反映した利用者特徴情報を生成する。また、特定部45は、記憶部43を参照し、生成された利用者特徴情報に応じた提供情報を特定する。
【0041】
一例として、利用者特徴情報とは、撮像された利用者画像において利用者が身に着けている物品の特徴を反映した情報である。物品の特徴とは、例えば当該物品の色および形状のうち少なくとも一方である。特定部45は、利用者画像に基づいて生成した利用者特徴情報と似た商品を提供情報として特定する。具体的には、特定部45は、利用者画像に映る利用者の像および当該利用者が身に着けている物品の像を抽出する。特定部45は、抽出した物品の像から利用者特徴情報として当該物品の特徴を示す情報(特徴量)を生成する。また、特定部45は、記憶部43を参照し、生成した利用者特徴情報との一致度が所定値以上である商品特徴情報を含む提供候補情報を、提供情報として特定する。この場合、提供候補情報として、商品の特徴を反映した商品特徴情報を含む、商品を示す情報が記憶部43に記憶されている。なお、特定部45が行う特徴量の生成および比較には、既存の技術を用いることができる。
【0042】
なお、特定部45が提供情報を特定する方法は上述の方法に限られない。生成される利用者特徴情報、特定される提供情報および提供候補情報は、特定部45が提供情報を特定する方法によって適宜変更されてもよい。
【0043】
利用者特定部47は、撮像された利用者を特定する。具体的には、利用者特定部47は、直近に撮像された利用者画像を取得すると、当該利用者画像に写る顔の特徴量を算出する。また、利用者特定部47は、記憶部43を参照し、(i)算出した当該特徴量と、(ii)過去に撮像された画像に写る顔の特徴量に、利用者を識別する情報を対応付けて記憶するデータベースと、に基づき、直近に撮像された画像に写る利用者を特定する。このとき、記憶部43には、利用者の候補である候補者の顔の特徴量と、候補者を識別する情報とが複数の候補者についてそれぞれ対応付けられた候補者データベース48が記憶されている。利用者画像から当該画像に映る顔の特徴量を算出する方法については既知の方法が用いられる。なお、利用者特定部47が行う特徴量の生成および比較には、既存の技術を用いることができる。
【0044】
なお、利用者特定部47が利用者を特定する方法は上述したものに限られない。例えば、利用者が操作盤21にカードキーを近接させることで呼び登録を利用可能となる場合、利用者特定部47は当該カードキーに含まれる利用者の通し番号等の識別情報を、操作盤21から取得してもよい。この場合、記憶部43には、候補者の通し番号等の識別情報と当該候補者に提供情報を提供するためのメールアドレス等の情報とが対応づけられて記憶されている。利用者特定部47は、利用者の識別情報を取得すると、記憶部43を参照し、利用者の識別情報が該当する候補者の識別情報を特定する。
【0045】
情報提供部46は、特定された利用者の端末装置5において提供情報を閲覧可能とする。一例として、情報提供部46は、記憶部43を参照し、特定された利用者の端末装置5のメールアドレスに提供情報を送信する。または、情報提供部46は、特定された利用者の端末装置5のメールアドレスに、提供情報を閲覧可能なWEBサイトのURLを送信してもよい。
【0046】
一例として候補者データベース48では、候補者の顔の特徴(量)を示す情報と、該候補者を識別する情報(例:候補者のID)と、該候補者に提供情報を提供するための情報、例えば該候補者のメールアドレスと、が対応付けられている。また、提供候補情報データベース49では、提供候補情報と、該提供候補情報の特徴(量)(例:色、形状)を示す情報とが対応付けられている。
【0047】
なお、情報処理装置4は、上記の各データベースを格納している外部サーバと通信可能に接続され、情報処理装置4は、利用者特徴情報を外部サーバに送信し、当該利用者特徴情報に応じた提供情報を外部サーバから取得してもよい。この場合、記憶部43には候補者データベース48および提供候補情報データベース49が記憶されていなくてもよい。
【0048】
〔情報提供システム1の処理の流れの一例〕
図2は、情報提供システム1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、
図3は、情報処理装置4において、提供情報を特定するための処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0049】
以下、
図2を用いて、情報提供システム1がエレベータ2の利用者に提供情報を提供する方法について説明する。まず、撮像装置3によって利用者画像が撮像されると(S1でYES)、情報処理装置4の取得部44は、撮像装置3から取得した利用者画像に含まれる利用者の像を抽出し、(S2)特定部45および利用者特定部47に該利用者の像を出力する。
【0050】
利用者特定部47は、利用者の像を取得すると当該利用者の顔の特徴量を算出する。続いて利用者特定部47は、記憶部43の候補者データベース48を参照し、算出した利用者の顔の特徴量と候補者の顔の特徴量を示す情報とを比較することで、利用者が該当する候補者を特定する(S3)。特定部45は、利用者の像を取得すると、記憶部43の提供候補情報データベース49を参照し、利用者に提供すべき提供情報を特定する(S4)。ステップS4の処理の詳細については後述する。情報提供部46は、利用者特定部47から利用者が該当する候補者を示す情報を取得し、特定部45から提供情報を取得する。
【0051】
情報提供部46は、記憶部43の候補者データベース48を参照し、候補者を示す情報に対応付けられて記憶されている利用者の端末装置5のメールアドレスを取得する。情報提供部46は、通信部42を介して利用者の端末装置5のメールアドレスに、提供情報を送信する(S5)。利用者の端末装置5は通信部51を介して提供情報を取得すると、制御部52が出力部53を制御し、提供情報を出力する(S6)。
【0052】
以上の処理により、エレベータ2を利用する利用者に提供情報が提供される。
【0053】
続いて、
図3を用いて、情報処理装置4が提供情報を特定する処理(S4)について、詳細に説明する。まず、情報処理装置4の取得部44は、利用者の像を取得すると、当該利用者の像に含まれる、利用者が身に着けている物品の像を抽出し、(S11)特定部45に出力する。特定部45は、利用者が身に着けている物品の特徴を反映した利用者特徴情報を生成する(S12)。この処理は、既存の特徴量の抽出処理を用いることができる。続いて特定部45は、記憶部43の提供候補情報データベース49を参照し、1つの提供候補情報を取得する。特定部45は、取得した提供候補情報に含まれる商品の特徴を示す商品特徴情報と利用者特徴情報とを比較する(S13)。商品特徴情報と利用者特徴情報との一致度が所定値以上である場合(S14でYES)、特定部45は、当該提供候補情報を提供情報として特定する(S15)。一方、商品特徴情報と利用者特徴情報との一致度が所定値未満である場合(S14でNO)、特定部45は、当該提供候補情報を提供情報とはせず、次の処理に進む。S14でNOだった場合、あるいはS15の後、特定部45は、提供候補情報データベース49に含まれる提供候補情報の全てについて利用者特徴情報との比較を行ったかを判定する(S16)。提供候補情報データベース49に含まれる提供候補情報の全てについて利用者特徴情報との比較を行った場合(S16でYES)、情報処理装置4は提供情報を特定する処理を終了し、その時点で特定された提供情報を端末装置5に送信する。一方、提供候補情報データベース49に含まれる提供候補情報の全てについて利用者特徴情報との比較を行っていない場合(S16でNO)、特定部45は、提供候補情報データベース49を参照し、比較が行われていない提供候補情報を取得する。その後、特定部45は、S13の処理に戻り、全ての提供候補情報について比較が行われるまで処理を繰り返す。
【0054】
〔情報提供システム1の効果〕
以上のように、情報提供システム1は、エレベータ2のかご23および乗場の少なくとも一方に設けられ、エレベータ2の利用者を撮像する撮像装置3と、撮像された利用者の画像である利用者画像に基づいて、商品を示す複数の提供候補情報の中から、利用者に提供する提供情報を特定する特定部45と、提供情報を利用者に提供する情報提供部46と、を含む。
【0055】
前記構成によれば、エレベータ2の利用者に提供する商品を示す情報を、該利用者の画像、すなわち、該利用者の外見に基づいて特定することができる。利用者の外見には、その利用者の嗜好が反映されていることが多いため、商品を示す情報の内、利用者の嗜好に応じた情報を提供することができる。
【0056】
例えばスタイリストが提案したコーディネートに含まれる衣類等の情報を提供候補情報として記憶部43に記憶させておくことで、利用者の服装の嗜好に沿い、且つより利用者に似合うと考えられる衣類等の情報を提供情報として利用者に提供することができる。
【0057】
また、特定部45は、利用者画像から利用者の特徴を反映した利用者特徴情報を生成し、生成された利用者特徴情報に応じた提供情報を特定する。
【0058】
前記構成によれば、利用者の特徴に応じた商品を特定することができる。例えば、利用者がグレーのコートを着用している場合、類似するグレーのコートの商品情報等を特定することができる。これにより、利用者の嗜好に合った提供情報を利用者に提供することができる。
【0059】
利用者特定部47は、撮像された利用者を特定し、情報提供部46は、特定された利用者の端末装置5において提供情報を閲覧可能とする。
【0060】
前記構成によれば、利用者は、自身宛の情報として提供情報を取得することができる。例えば、利用者は、あらかじめ登録したメールアドレスへ送信されたメールに含まれる情報として、提供情報を取得し、閲覧することができる。これにより、利用者は、提供情報を十分に確認する時間を得ることができる。なお、利用者特定部47は、例えば、画像に含まれる利用者の顔を用いて、複数の利用者の顔の情報を格納するデータベースを参照することにより、利用者を特定する。あるいは、利用者特定部47は、利用者がエレベータ2を利用する際に使用したカードキーに含まれる識別情報を用いて、利用者を特定する。
【0061】
また、利用者特定部47は、直近に撮像された画像に写る顔の特徴量を算出し、算出した当該特徴量と、過去に撮像された画像に写る顔の特徴量に、利用者を識別する情報を対応付けて記憶するデータベースとに基づき、直近に撮像された画像に写る利用者を特定する。
【0062】
前記構成によれば、候補者データベース48を予め作成しておくことにより、撮像装置3が撮像した画像のみを用いて利用者を特定することができる。
【0063】
また、利用者特徴情報は、利用者画像において利用者が身に着けている物品の特徴を反映した情報であり、提供候補情報は、当該商品の特徴を反映した商品特徴情報を含む、商品を示す情報である。特定部45は、利用者特徴情報との一致度が所定値以上である商品特徴情報を含む提供候補情報を、提供情報として特定する。
【0064】
前記構成によれば、利用者が身に着けている物品(例:衣服・鞄・靴・アクセサリ等)に似た商品を特定し、利用者に提供情報として提供することができる。これにより、利用者の嗜好に近い商品を利用者に提供することができる。
【0065】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0066】
図4は本実施形態に係る情報提供システム1Aの構成を示すブロック図である。情報提供システム1Aが情報提供システム1と異なる点は、情報処理装置4に代えて情報処理装置4Aを含む点である。
【0067】
情報処理装置4Aが情報処理装置4と異なる点は、記憶部43に代えて記憶部43Aを備える点である。記憶部43Aは、学習済みモデル91を記憶している。
【0068】
本実施形態における特定部45は、学習済みモデル91を利用して提供情報を特定する。
【0069】
<学習済みモデル91の例1>
一例として、学習済みモデル91は、提供候補情報が示す各商品の商品特徴情報を教師データとして学習させた学習済みモデルである。特定部45は、撮像された利用者画像から得られた利用者特徴情報を学習済みモデル91に入力する。学習済みモデル91は、当該利用者特徴情報が入力されると、当該利用者特徴情報と、商品特徴情報との一致度を複数の提供候補情報の各々について出力する。
【0070】
特定部45は、学習済みモデル91が出力した、商品特徴情報と利用者特徴情報との一致度を、提供候補情報の各々について取得する。その後、特定部45は、当該一致度が所定値以上である提供候補情報を、提供情報として特定する。ここで、利用者特徴情報は利用者画像から得られる情報であり、商品特徴情報は提供候補情報が示す商品の画像から得られる情報である。
【0071】
前記構成によれば、学習済みモデル91に利用者特徴情報を入力することにより、各提供候補情報における商品特徴情報と、利用者特徴情報との一致度が得られる。そして、この一致度が所定値以上の提供候補情報を利用者に提供するので、利用者がエレベータ2利用時に身に着けていた物品と類似する商品、すなわち、利用者の嗜好に近い商品を利用者に推奨することができる。
【0072】
なお、利用者特徴情報として画像から得られる情報は、例えば、物品の色や形状を示す情報(値)である。また、商品特徴情報として画像から得られる情報は、例えば、商品の色や形状を示す情報(値)である。
【0073】
<学習済みモデル91の例2>
別の例として、学習済みモデル91は、提供候補情報が示す各商品の画像を教師データとして学習させた学習済みモデルである。特定部45は、撮像された利用者画像を学習済みモデル91へ入力する。学習済みモデル91は、利用者画像が入力されると、当該利用者画像と提供候補情報が示す商品の画像との一致度を複数の提供候補情報の各々について出力する。ここで、提供候補情報は、商品を示す情報である。
【0074】
特定部45は、学習済みモデル91が出力した、利用者画像と商品の画像との一致度を、提供候補情報に対応する商品の画像の各々について取得する。特定部45は、当該一致度が所定値以上である商品画像に対応する提供候補情報を提供情報として特定する。
【0075】
前記構成によれば、商品の画像を学習した学習済みモデル91に、利用者画像を入力することにより、各商品の画像と、利用者画像との一致度が得られる。そして、この一致度が所定値以上の商品画像に対応する提供候補情報を利用者に提供するので、利用者がエレベータ2利用時に身に着けていた物品と類似する商品、すなわち、利用者の嗜好に近い商品を利用者に推奨することができる。なお、この例における教師データは、商品の画像として、商品を身に着けた人物の画像であってもよい。
【0076】
<学習済みモデル91の例3>
さらなる別の例として、学習済みモデル91は、人物を撮像した人物画像と、当該人物の嗜好を反映した提供候補情報とを対応付けたデータを教師データとして学習させた学習済みモデルである。人物の嗜好を反映した提供候補情報とは、例えば、人物画像が示す人物が好む商品の情報である。特定部45は、撮像された利用者画像を学習済みモデル91へ入力する。学習済みモデル91は、利用者画像が入力されると、当該利用者画像と各人物画像との一致度を複数の提供候補情報の各々について出力する。ここで、提供候補情報は、商品を示す情報である。
【0077】
特定部45は、学習済みモデル91が出力した、人物画像と利用者画像との一致度を取得する。そして、特定部45は、当該一致度が所定値以上である人物画像に対応付けられた提供候補情報を、提供情報として特定する。
【0078】
前記構成によれば、人物画像とその人物の嗜好を反映した前記提供候補情報とを対応付けたデータを学習した学習済みモデル91に、利用者画像を入力することにより、人物画像と利用者画像との一致度が得られる。この一致度はすなわち、身に着けている物品の色や形状などの一致度に相当し、一致度が高いほど嗜好が似ているといえる。そして、この一致度が所定値以上の人物画像に対応付けられた提供候補情報を利用者に提供する。この提供候補情報は、対応付けられた人物画像の人物の嗜好を反映したものであるので、嗜好が似た人物が好む商品、すなわち、利用者が好む可能性が高い商品を利用者に推奨することができる。
【0079】
上述の学習済みモデル91の例1において、利用者特徴情報は、複数の物品の特徴を反映した情報であってもよい。学習済みモデル91は、入力された利用者特徴情報について、それぞれの物品の特徴を掛け合わせた情報と商品特徴情報との一致度を出力してもよい。具体的には、学習済みモデル91は、複数の物品の複数の特徴(例えば、色および形状)を示す利用者特徴情報が入力されると、複数の特徴のそれぞれについて、入力された複数の物品の少なくとも1つの情報と商品の情報との一致度を出力する。
【0080】
例えば、利用者特徴情報として「紺色」の「スーツの形状(以下、単にスーツと表記する)」および「黒色」の「コートの形状(以下、単にコートと表記する)」を示す情報が入力された場合、学習済みモデル91は、(i)紺色または黒色との一致度、および(ii)スーツまたはコートとの一致度を複数の提供候補情報の各々について出力する。特定部45は、当該一致度が所定値以上である提供候補情報を、提供情報として特定する。上述の例の場合、特定部45は、「紺色」の「スーツ」および「黒色」の「コート」に加えて、「黒色」の「スーツ」および「紺色」の「コート」の提供候補情報を提供情報として特定することができる。これにより、利用者の複数の項目に関する嗜好を掛け合わせた提供情報を特定することができる。
【0081】
また、上述の学習済みモデル91の例1または2において、学習済みモデル91は、複数の所定期間の各々に対応する複数の学習済みモデルを備えていてもよい。所定期間とは、それぞれの期間毎に、利用者が身に着ける物品が変化することが想定される期間である。例えば、複数の学習済みモデルは、所定期間として各季節に対応する学習済みモデルを備えていてもよい。各季節とは、例えば、「春(3月~5月)」、「夏(6月~8月)」、「秋(9月~11月)」、「冬(12月~2月)」である。各学習済みモデルは、対応する期間に提供されることが好ましい、すなわち当該期間に利用者が身に着けることが想定される提供候補情報を用いて学習された学習済みモデルである。特定部45は、利用者画像または利用者特徴情報を、特定を行う時期に対応した学習済みモデルに入力することで提供情報を特定する。
【0082】
利用者が身に着ける物品(衣類等)の嗜好は、季節によって変化することが考えられる。例えば、春は明るい色合いの物品を好み、冬は暗い色合いの物品を好む利用者が考えられる。季節を問わない情報を用いた学習により生成された学習済みモデルを用いて提供情報を特定した場合、このような利用者に対して春に暗い色合いの物品の提供情報を提供したり、冬に明るい色合いの物品の提供情報を提供したりしてしまう可能性がある。上述の構成によると、特定される提供情報が当該特定を行う季節に対応して変化するため、利用者に対してより好ましい提供情報を提供することができる。
【0083】
〔変形例〕
上述した実施形態では、特定部45は、1つの利用者画像に基づいて提供情報の特定を行っていたが、特定部45は、撮像された日付が異なる利用者の複数の画像に基づいて商品および前記サービスのうち少なくとも一方を特定してもよい。
【0084】
具体的には、記憶部43に記憶されている利用者を識別する情報に、利用者画像をさらに対応付けて記憶させ、特定部45は、新たに利用者画像を取得したとき、記憶部43に記憶されている当該利用者の利用者画像を参照する。特定部45は、記憶部43に記憶されている利用者画像および新たに取得した利用者画像に基づいて提供情報を特定してもよい。例えば、記憶部43には、1週間分の利用者画像が記憶されてもよい。
【0085】
前記構成によれば、異なる日付における利用者の外見に基づいて商品やサービスを特定することができる。これにより、1日の利用者の外見に基づく商品の提供より、適切な商品を利用者に提供することができる。
【0086】
また、上述した実施形態では、情報提供システム1は、利用者がエレベータ2を利用している間に提供情報を提供していたが、利用者がエレベータ2を利用した後であって、該利用者が認証を行った場合に提供情報を提供してもよい。
【0087】
具体的には、記憶部43に、撮像装置3により撮像された画像(過去画像)に写る顔の特徴量に、当該画像に基づき特定された提供情報を対応付けた未提供データベース(不図示)が予め記憶されている。
【0088】
この変形例において、端末装置5は、図示しない撮像部(カメラ)を備えている。制御部52は、当該撮像部により撮像された利用者の顔画像を、通信部51を介して情報処理装置4へ送信する。
【0089】
制御部41は、受信した顔画像について、顔の特徴量を特定する。そして、制御部41は、特定した特徴量を用いてみ提供データベースを参照し、特徴量の一致度が所定値以上のレコードを特定する。情報提供部46は、特定されたレコードに含まれる提供情報を、端末装置5のメールアドレスへ送信する。
【0090】
前記構成によれば、提供情報の提供を希望する利用者のみに対して、提供情報を提供することができる。換言すれば、提供情報の提供を希望しない利用者に提供情報を提供し、利用者に不快感を与えてしまうことを防ぐことができる。また、前記構成によれば、利用者が予めIDなどを登録せずとも、各利用者のために特定された提供情報を正しく提供することができる。
【0091】
図5は、変形例に係る情報提供システム1Bの構成を示すブロック図である。
図5に示すように、情報提供システム1Aは、エレベータ2の乗場およびかご23内の少なくとも一方に設けられた表示装置6をさらに含んでもよい。この場合、情報提供部46は、提供情報として商品を示す画像を表示装置6に表示させてもよい。
【0092】
前記構成によれば、利用者はエレベータ2を利用しているタイミングで提供情報を閲覧することができる。提供情報はこの時の利用者の外見を含む情報に基づいて特定されているため、利用者はエレベータ2利用時の服装等に基づいた提供情報をその場で閲覧することができる。また、エレベータ2の設備で表示が行われるため、利用者が提供情報を取得するための端末装置5等の装置を所持する必要がない。
【0093】
なお、情報提供部46は、提供情報の表示装置6への表示と利用者の端末装置5への送信とを両方とも行ってもよい。当該構成によると、利用者は、表示装置6と自分の端末装置5のどちらでも提供情報を閲覧することができる。また、利用者は、表示装置6に表示された提供情報のうち、気になった情報あるいは見逃した情報を端末装置5で確認することができる。
【0094】
また、上述の表示装置6は、例えばデジタルサイネージ等の装置であってもよい。情報提供システム1Bは、提供情報に衣類の情報が含まれる場合、当該衣類の画像を表示装置6に表示させてもよい。また、情報提供システム1は、利用者の像に衣類の画像を重畳させて表示する所謂仮想試着を行ってもよい。
【0095】
具体的には、エレベータ2の乗場、またはかご23には、表示装置6および撮像装置3が設置され、情報処理装置4は撮像装置3が撮像した画像に基づいて利用者および当該利用者に提供する提供情報を特定する。表示装置6は、当該利用者の像を表示し、当該利用者の像に重畳させて提供情報に含まれる衣類の画像を表示する。
【0096】
さらに、情報提供システム1Bにおいて、利用者の端末装置5は、利用者の入力に基づき、提供情報された衣類の中で利用者が気に入った衣類を複数選択する機能を有していてもよい。ここで、表示装置6は、端末装置5において選択された衣類を利用者の像に重畳させて順次表示してもよい。
【0097】
また、情報提供部46は、撮像装置3によって撮像された画像に人物が複数いるか否かを判定してもよい。上記画像に複数の人物が存在する場合、情報提供部46は、表示装置6に上記画像に映る利用者それぞれについての提供情報を表示させず、当該利用者の端末装置5に当該提供情報を送信してもよい。
【0098】
エレベータ2を複数の利用者が利用する場合、当該利用者は自分に関する提供情報が表示装置6に表示されることに抵抗を感じる可能性がある。上記構成によると、エレベータ2を複数の人物が利用する場合には、表示装置6には提供情報が表示されないため、利用者に不快感を与える可能性を低減することができる。
【0099】
なお、情報提供システム1Bは、情報処理装置4に代えて情報処理装置4Aを含んでいてもよい。
【0100】
情報処理装置4Aの制御部41は、学習済みモデル91を生成および更新する機能を備えていてもよい。
【0101】
上述した実施形態では、情報提供部46は、提供情報を特定した利用者のメールアドレスに送信する構成であったが、利用者への提供情報の提供方法はこの例に限定されない。情報提供部46は、例えば、ショートメッセージサービスの機能を用いて提供情報を提供してもよいし、ソーシャルネットワーキングサービスを介して提供情報を提供してもよい。あるいは、端末装置5にインストールされたアプリケーションにより、提供情報を提供してもよい。
【0102】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報提供システム1・1A・1Bの制御ブロック(特に取得部44、特定部45、情報提供部46、および利用者特定部47)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0103】
後者の場合、情報提供システム1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0104】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1、1A・1B 情報提供システム
2 エレベータ
3 撮像装置
4・4A 情報処理装置
5 端末装置
6 表示装置
45 特定部
46 情報提供部