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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】圧電振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H03H9/02 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020563180
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2019049915
(87)【国際公開番号】W WO2020137830
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2018244559
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 悟
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏樹
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/051800(WO,A1)
【文献】特開2018-142888(JP,A)
【文献】特開2015-106638(JP,A)
【文献】特開2013-051510(JP,A)
【文献】特開2004-214787(JP,A)
【文献】特開2014-143600(JP,A)
【文献】特開平11-026628(JP,A)
【文献】国際公開第2010/016487(WO,A1)
【文献】特開2013-162295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00- 9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一主面に第1励振電極が形成され、前記基板の他主面に前記第1励振電極と対になる第2励振電極が形成された圧電振動板と、
前記圧電振動板の前記第1励振電極を覆う第1封止部材と、
前記圧電振動板の前記第2励振電極を覆う第2封止部材と、が設けられ、
前記第1封止部材と前記圧電振動板とが接合され、かつ前記第2封止部材と前記圧電振動板とが接合されることによって、前記第1励振電極と前記第2励振電極とを含む前記圧電振動板の振動部を気密封止した内部空間が設けられた圧電振動デバイスにおいて、
前記第2封止部材の他主面には、半田を介して外部回路基板に電気的に接続される外部電極端子が形成され、
前記第2封止部材には、貫通孔が形成され、当該貫通孔の内壁面には、一主面に形成された電極と、他主面に形成された前記外部電極端子とを導通するための貫通電極が形成され、当該貫通電極には、前記半田に対する耐侵食構造が設けられ、
前記貫通電極は、Au以外の導電性金属によって、前記一主面の前記電極と、前記他主面の前記外部電極端子とが導通される構成になっており、
前記貫通孔は、深さ方向の中央部が狭くなるような断面形状になっており、当該貫通孔の内壁面が前記中央部に向けて傾斜する傾斜面になっており、
前記貫通孔には、深さ方向の中央部に貫通部分が設けられていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
請求項に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記貫通電極は、前記貫通孔の内壁面に形成された前記導電性金属からなる金属膜、および当該金属膜の内壁面に形成されたAu膜のうち、前記Au膜の一部または全部が除去されることによって形成されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項3】
請求項に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記貫通電極の前記外部電極端子側の部分に形成された前記Au膜が少なくとも除去されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項4】
請求項に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記Au膜は、前記貫通電極の前記外部電極端子側の端部から前記貫通電極の深さ方向の中央位置までの部分が少なくとも除去されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項5】
請求項3または4に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記外部電極端子は、前記貫通電極の前記金属膜に接続される外部金属膜および当該外部金属膜上に形成された外部Au膜を有しており、当該外部Au膜のうち、前記貫通孔の前記外部電極端子側の周縁部に形成された外部Au膜が除去される構成になっていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1つに記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記第1封止部材には、第1封止部材用貫通孔が形成され、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間、および前記圧電振動板と前記第2封止部材との間には、前記内部空間を気密封止する環状のシールパスが形成されており、
前記第1封止部材用貫通孔が、樹脂によって塞がれていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項7】
請求項に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記第1封止部材が、ATカット水晶振動板であり、
前記第1封止部材用貫通孔が、平面視で、Z’軸方向に延びる長孔形状に形成されており、
前記樹脂が、平面視で、Z’軸方向に延びる略長円形状、またはZ’軸方向を長軸方向とする略楕円状に形成されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項8】
請求項6または7に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記樹脂が、前記第1封止部材の一主面および他主面から突出しない状態で前記第1封止部材用貫通孔内に収容されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の動作周波数の高周波化や、パッケージの小型化(特に低背化)が進んでいる。そのため、高周波化やパッケージの小型化にともなって、圧電振動デバイス(例えば水晶振動子、水晶発振器など)も高周波化やパッケージの小型化への対応が求められている。
【0003】
この種の圧電振動デバイスでは、その筐体が略直方体のパッケージで構成されている。このパッケージは、例えばガラスや水晶からなる第1封止部材および第2封止部材と、例えば水晶からなり両主面に励振電極が形成された圧電振動板とから構成され、第1封止部材と第2封止部材とが圧電振動板を介して積層して接合される。そして、パッケージの内部(内部空間)に配された圧電振動板の振動部(励振電極)が気密封止されている(例えば、特許文献1)。以下、このような圧電振動デバイスの積層形態をサンドイッチ構造という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-252051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような圧電振動デバイスでは、通常、貫通孔(スルーホール)に形成された貫通電極によって、電極や配線の導通が得られている。また、圧電振動デバイスを外部回路基板(実装基板)に搭載する場合、一般的には、半田が用いられ、第2封止部材の外部電極端子と外部回路基板との間に半田が介在される。
【0006】
しかし、半田は、Sn(スズ)を含むため、スルーホールの貫通電極が、Au(金)からなるAu膜を有する場合、このAu膜に沿って貫通電極内に半田が濡れ広がるおそれがある。このため、半田の侵食作用によって、Au膜を構成するAuが凝集し、導通抵抗の増加や、断線等の不具合が発生することが懸念される。
【0007】
本発明は上述したような実情を考慮してなされたもので、スルーホールに形成された貫通電極内への半田の濡れ広がりを抑制することが可能な圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、基板の一主面に第1励振電極が形成され、前記基板の他主面に前記第1励振電極と対になる第2励振電極が形成された圧電振動板と、前記圧電振動板の前記第1励振電極を覆う第1封止部材と、前記圧電振動板の前記第2励振電極を覆う第2封止部材と、が設けられ、前記第1封止部材と前記圧電振動板とが接合され、かつ前記第2封止部材と前記圧電振動板とが接合されることによって、前記第1励振電極と前記第2励振電極とを含む前記圧電振動板の振動部を気密封止した内部空間が設けられた圧電振動デバイスにおいて、前記第2封止部材の他主面には、半田を介して外部回路基板に電気的に接続される外部電極端子が形成され、前記第2封止部材には、貫通孔が形成され、当該貫通孔の内壁面には、一主面に形成された電極と、他主面に形成された前記外部電極端子とを導通するための貫通電極が形成され、当該貫通電極には、前記半田に対する耐侵食構造が設けられ、前記貫通電極は、Au以外の導電性金属によって、前記一主面の前記電極と、前記他主面の前記外部電極端子とが導通される構成になっており、前記貫通孔は、深さ方向の中央部が狭くなるような断面形状になっており、当該貫通孔の内壁面が前記中央部に向けて傾斜する傾斜面になっており、前記貫通孔には、深さ方向の中央部に貫通部分が設けられていることを特徴とする
【0009】
上記構成によれば、第2封止部材の貫通孔の貫通電極において、Au以外の導電性金属によって、第2封止部材の一主面の電極と、他主面の外部電極端子とを導通するようにしている。これにより、貫通電極における半田の侵食経路を遮断することができるので、貫通電極内への半田の濡れ広がりを抑制することができ、導通抵抗の増加や、断線等の不具合の発生を抑制することができる。
【0010】
上記構成において、前記貫通電極は、前記貫通孔の内壁面に形成された前記導電性金属からなる金属膜、および当該金属膜の内壁面に形成されたAu膜のうち、前記Au膜の一部または全部が除去されることによって形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第2封止部材の貫通孔の貫通電極において、半田の侵食経路になり得るAu膜を遮断し、Au以外の導電性金属で形成された金属膜によって、第2封止部材の一主面の電極と、他主面の外部電極端子とを導通するようにしている。これにより、貫通電極における半田の侵食経路を遮断することができるので、貫通電極内への半田の濡れ広がりを抑制することができ、導通抵抗の増加や、断線等の不具合の発生を抑制することができる。
【0012】
上記構成において、前記貫通電極の前記外部電極端子側の部分に形成された前記Au膜が少なくとも除去されていることが好ましい。この場合、前記Au膜は、前記貫通電極の前記外部電極端子側の端部から前記貫通電極の深さ方向の中央位置までの部分が少なくとも除去されていることがより好ましい。これにより、外部電極端子には外部回路基板への搭載に用いられる半田が直接的に塗布されるので、第2封止部材の貫通孔の貫通電極のAu膜のうち、外部電極端子側の部分に形成されるAu膜を除去することによって、半田の侵食経路を効果的に遮断することができ、貫通電極内への半田の濡れ広がりを効果的に抑制することができる。
【0013】
上記構成において、前記外部電極端子は、前記貫通電極の前記金属膜に接続される外部金属膜および当該外部金属膜上に形成された外部Au膜を有しており、当該外部Au膜のうち、前記貫通孔の前記外部電極端子側の周縁部に形成された外部Au膜が除去される構成になっていることが好ましい。これにより、外部回路基板への搭載の際に半田が直接的に塗布される外部電極端子のうちの貫通孔の周縁部においても、半田の侵食経路を遮断することができ、貫通電極内への半田の濡れ広がりを抑制することができる。
【0014】
上記構成において、前記第1封止部材には、第1封止部材用貫通孔が形成され、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間、および前記圧電振動板と前記第2封止部材との間には、前記内部空間を気密封止する環状のシールパスが形成されており、前記第1封止部材用貫通孔が、樹脂によって塞がれていることが好ましい。この場合、前記第1封止部材が、ATカット水晶振動板であり、前記第1封止部材用貫通孔が、平面視で、Z’軸方向に延びる長孔形状に形成されており、前記樹脂が、平面視で、Z’軸方向に延びる略長円形状、またはZ’軸方向を長軸方向とする略楕円状に形成されていることが好ましい。
【0015】
これらの構成によれば、樹脂によって、第1封止部材用貫通孔の貫通部分から、水分が圧電振動デバイスの内部へ侵入することを防止することができる。したがって、圧電振動デバイスの内部へ侵入した水分に起因するシールパスの腐食を抑制することができ、シールパスの気密性を確保することができる。
【0016】
上記構成において、前記樹脂が、前記第1封止部材の一主面および他主面から突出しない状態で前記第1封止部材用貫通孔内に収容されていることが好ましい。これにより、樹脂を含めた第1封止部材の厚みを容易に制御することができ、シールパスによる気密封止の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の圧電振動デバイスによれば、第2封止部材の貫通孔の貫通電極において、Au以外の導電性金属によって、第2封止部材30の一主面の電極と、他主面の外部電極端子とを導通するようにしている。これにより、貫通電極における半田の侵食経路を遮断することができるので、貫通電極内への半田の濡れ広がりを抑制することができ、導通抵抗の増加や、断線等の不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態にかかる水晶発振器の各構成を模式的に示した概略構成図である。
図2図2は、水晶発振器の第1封止部材の第1主面側の概略平面図である。
図3図3は、水晶発振器の第1封止部材の第2主面側の概略平面図である。
図4図4は、水晶発振器の水晶振動板の第1主面側の概略平面図である。
図5図5は、水晶発振器の水晶振動板の第2主面側の概略平面図である。
図6図6は、水晶発振器の第2封止部材の第1主面側の概略平面図である。
図7図7は、水晶発振器の第2封止部材の第2主面側の概略平面図である。
図8図8は、水晶発振器の第2封止部材の貫通孔の概略断面図である。
図9図9は、変形例1にかかる水晶発振器を示す図8相当図である。
図10図10は、変形例2にかかる水晶発振器を示す図8相当図である。
図11図11は、変形例3にかかる水晶発振器を示す図8相当図である。
図12図12は、変形例4にかかる水晶発振器の第1封止部材の貫通孔の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明を適用する圧電振動デバイスが水晶発振器である場合について説明する。
【0020】
まず、本実施の形態にかかる水晶発振器100の基本的な構造を説明する。水晶発振器100は、図1に示すように、水晶振動板(圧電振動板)10、第1封止部材20、第2封止部材30、およびICチップ40を備えて構成されている。この水晶発振器100では、水晶振動板10と第1封止部材20とが接合され、水晶振動板10と第2封止部材30とが接合されることによって、略直方体のサンドイッチ構造のパッケージが構成される。すなわち、水晶発振器100においては、水晶振動板10の両主面のそれぞれに第1封止部材20および第2封止部材30が接合されることでパッケージの内部空間(キャビティ)が形成され、この内部空間に振動部11(図4,5参照)が気密封止される。
【0021】
また、第1封止部材20における水晶振動板10との接合面と反対側の主面には、ICチップ40が搭載される。電子部品素子としてのICチップ40は、水晶振動板10とともに発振回路を構成する1チップ集積回路素子である。
【0022】
本実施の形態にかかる水晶発振器100は、例えば、1.0×0.8mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、パッケージでは、キャスタレーションを形成せずに、後述するスルーホールを用いて電極の導通を図っている。また、水晶発振器100は、外部に設けられる外部回路基板(実装基板)110に半田120を介して電気的に接続されるようになっている。
【0023】
次に、上記した水晶発振器100における水晶振動板10、第1封止部材20および第2封止部材30の各部材について、図1~7を用いて説明する。なお、ここでは、接合されていないそれぞれ単体として構成されている各部材について説明を行う。図2~7は、水晶振動板10、第1封止部材20および第2封止部材30のそれぞれの一構成例を示しているに過ぎず、これらは本発明を限定するものではない。
【0024】
水晶振動板10は、図4,5に示すように、水晶からなる圧電基板であって、その両主面(第1主面101,第2主面102)が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、水晶振動板10として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。図4,5に示す水晶振動板10では、水晶振動板10の両主面101,102が、XZ´平面とされている。このXZ´平面において、水晶振動板10の短手方向(短辺方向)に平行な方向がX軸方向とされ、水晶振動板10の長手方向(長辺方向)に平行な方向がZ´軸方向とされている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、および光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y´軸およびZ´軸は、水晶の結晶軸のY軸およびZ軸からそれぞれ概ね35°15′傾いた(この切断角度はATカット水晶振動板の周波数温度特性を調整する範囲で多少変更してもよい)軸に一致する。Y´軸方向およびZ´軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。
【0025】
水晶振動板10の両主面101,102には、一対の励振電極(第1励振電極111,第2励振電極112)が形成されている。水晶振動板10は、略矩形に形成された振動部11と、この振動部11の外周を取り囲む外枠部12と、振動部11と外枠部12とを連結することで振動部11を保持する保持部13とを有している。すなわち、水晶振動板10は、振動部11、外枠部12および保持部13が一体的に設けられた構成となっている。保持部13は、振動部11の+X方向かつ-Z´方向に位置する1つの角部のみから、-Z´方向に向けて外枠部12まで延びている(突出している)。
【0026】
第1励振電極111は振動部11の第1主面101側に設けられ、第2励振電極112は振動部11の第2主面102側に設けられている。第1励振電極111,第2励振電極112には、これらの励振電極を外部電極端子に接続するための引出配線(第1引出配線113,第2引出配線114)が接続されている。第1引出配線113は、第1励振電極111から引き出され、保持部13を経由して、外枠部12に形成された接続用接合パターン14に繋がっている。第2引出配線114は、第2励振電極112から引き出され、保持部13を経由して、外枠部12に形成された接続用接合パターン15に繋がっている。
【0027】
水晶振動板10の両主面(第1主面101,第2主面102)には、水晶振動板10を第1封止部材20および第2封止部材30に接合するための振動側封止部がそれぞれ設けられている。第1主面101の振動側封止部としては振動側第1接合パターン121が形成されており、第2主面102の振動側封止部としては振動側第2接合パターン122が形成されている。振動側第1接合パターン121および振動側第2接合パターン122は、外枠部12に設けられており、平面視で環状に形成されている。
【0028】
また、水晶振動板10には、図4,5に示すように、第1主面101と第2主面102との間を貫通する5つのスルーホールが形成されている。具体的には、4つの第1スルーホール161は、外枠部12の4隅(角部)の領域にそれぞれ設けられている。第2スルーホール162は、外枠部12であって、振動部11のZ´軸方向の一方側(図4,5では、-Z´方向側)に設けられている。第1スルーホール161の周囲には、それぞれ接続用接合パターン123が形成されている。また、第2スルーホール162の周囲には、第1主面101側では接続用接合パターン124が、第2主面102側では接続用接合パターン15が形成されている。
【0029】
第1スルーホール161および第2スルーホール162には、第1主面101と第2主面102とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、スルーホールそれぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第1スルーホール161および第2スルーホール162それぞれの中央部分は、第1主面101と第2主面102との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。
【0030】
第1封止部材20は、図2,3に示すように、1枚のATカット水晶板から形成された直方体の基板であり、この第1封止部材20の第2主面202(水晶振動板10に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。なお、第1封止部材20は振動部を有するものではないが、水晶振動板10と同様にATカット水晶板を用いることで、水晶振動板10と第1封止部材20の熱膨張率を同じにすることができ、水晶発振器100における熱変形を抑制することができる。また、第1封止部材20におけるX軸、Y軸およびZ´軸の向きも水晶振動板10と同じとされている。
【0031】
第1封止部材20の第1主面201(ICチップ40を搭載する面)には、図2に示すように、発振回路素子であるICチップ40を搭載する搭載パッドを含む6つの電極パターン22が形成されている。ICチップ40は、金属バンプ(例えばAuバンプなど)23(図1参照)を用いて電極パターン22に、FCB(Flip Chip Bonding)法により接合される。
【0032】
第1封止部材20には、図2,3に示すように、6つの電極パターン22のそれぞれと接続され、第1主面201と第2主面202との間を貫通する6つのスルーホールが形成されている。具体的には、4つの第3スルーホール211が、第1封止部材20の4隅(角部)の領域に設けられている。第4,第5スルーホール212,213は、図2,3の+Z´方向および-Z´方向にそれぞれ設けられている。
【0033】
第3スルーホール211および第4,第5スルーホール212,213には、第1主面201と第2主面202とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、スルーホールそれぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第3スルーホール211および第4,第5スルーホール212,213それぞれの中央部分は、第1主面201と第2主面202との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。
【0034】
第1封止部材20の第2主面202には、水晶振動板10に接合するための封止側第1封止部としての封止側第1接合パターン24が形成されている。封止側第1接合パターン24は、平面視で環状に形成されている。
【0035】
また、第1封止部材20の第2主面202では、第3スルーホール211の周囲に接続用接合パターン25がそれぞれ形成されている。第4スルーホール212の周囲には接続用接合パターン261が、第5スルーホール213の周囲には接続用接合パターン262が形成されている。さらに、接続用接合パターン261に対して第1封止部材20の長軸方向の反対側(-Z´方向側)には接続用接合パターン263が形成されており、接続用接合パターン261と接続用接合パターン263とは配線パターン27によって接続されている。
【0036】
第2封止部材30は、図6,7に示すように、1枚のATカット水晶板から形成された直方体の基板であり、この第2封止部材30の第1主面301(水晶振動板10に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。なお、第2封止部材30においても、水晶振動板10と同様にATカット水晶板を用い、X軸、Y軸およびZ´軸の向きも水晶振動板10と同じとすることが望ましい。
【0037】
この第2封止部材30の第1主面301には、水晶振動板10に接合するための封止側第2封止部としての封止側第2接合パターン31が形成されている。封止側第2接合パターン31は、平面視で環状に形成されている。
【0038】
第2封止部材30の第2主面302(水晶振動板10に面しない外方の主面)には、水晶発振器100の外部に設けられる外部回路基板110に半田120を介して電気的に接続する4つの外部電極端子32が設けられている。外部電極端子32は、第2封止部材30の第2主面302の4隅(隅部)にそれぞれ位置する。
【0039】
第2封止部材30には、図6,7に示すように、第1主面301と第2主面302との間を貫通する4つのスルーホールが形成されている。具体的には、4つの第6スルーホール33は、第2封止部材30の4隅(角部)の領域に設けられている。第6スルーホール33には、第1主面301と第2主面302とに形成された電極の導通を図るための貫通電極331(図8参照)が、第6スルーホール33それぞれの内壁面に沿って形成されている。このように第6スルーホール33の内壁面に形成された貫通電極331によって、第1主面301に形成された電極と、第2主面302に形成された外部電極端子32とが導通されている。また、第6スルーホール33それぞれの中央部分は、第1主面301と第2主面302との間を貫通した中空状態の貫通部分333(図8参照)となっている。また、第2封止部材30の第1主面301では、第6スルーホール33の周囲には、それぞれ接続用接合パターン34が形成されている。
【0040】
上記の水晶振動板10、第1封止部材20、および第2封止部材30を含む水晶発振器100では、水晶振動板10と第1封止部材20とが振動側第1接合パターン121および封止側第1接合パターン24を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板10と第2封止部材30とが振動側第2接合パターン122および封止側第2接合パターン31を重ね合わせた状態で拡散接合されて、図1に示すサンドイッチ構造のパッケージが製造される。これにより、パッケージの内部空間、つまり、振動部11の収容空間が気密封止される。
【0041】
この際、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。そして、接続用接合パターン同士の接合により、水晶発振器100では、第1励振電極111、第2励振電極112、ICチップ40および外部電極端子32の電気的導通が得られるようになっている。
【0042】
具体的には、第1励振電極111は、第1引出配線113、配線パターン27、第4スルーホール212および電極パターン22を順に経由して、ICチップ40に接続される。第2励振電極112は、第2引出配線114、第2スルーホール162、第5スルーホール213および電極パターン22を順に経由して、ICチップ40に接続される。また、ICチップ40は、電極パターン22、第3スルーホール211、第1スルーホール161および第6スルーホール33を順に経由して、外部電極端子32に接続される。
【0043】
水晶発振器100において、各種接合パターンは、複数の層が水晶板上に積層されてなり、その最下層側からTi(チタン)層とAu(金)層とが蒸着形成されているものとすることが好ましい。また、水晶発振器100に形成される他の配線や電極も、接合パターンと同一の構成とすれば、接合パターンや配線および電極を同時にパターニングでき、好ましい。
【0044】
上述のように構成された水晶発振器100では、水晶振動板10の振動部11を気密封止する封止部(シールパス)115,116は、平面視で、環状に形成されている。シールパス115は、上述した振動側第1接合パターン121および封止側第1接合パターン24の拡散接合によって形成され、シールパス115の外縁形状および内縁形状が略八角形に形成されている。同様に、シールパス116は、上述した振動側第2接合パターン122および封止側第2接合パターン31の拡散接合によって形成され、シールパス116の外縁形状および内縁形状が略八角形に形成されている。
【0045】
このように拡散接合によってシールパス115,116が形成された水晶発振器100において、第1封止部材20と水晶振動板10とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材30と水晶振動板10とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材20と水晶振動板10との間のシールパス115の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材30と水晶振動板10との間のシールパス116の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本実施の形態のAu-Au接合では0.15μm~1.00μm)である。なお、比較例として、Snを用いた従来の金属ペースト封止材では、5μm~20μmとなる。
【0046】
次に、第2封止部材30の4隅の領域に設けられた第6スルーホール33の貫通電極331の半田120に対する耐侵食構造について、図8を参照して説明する。
【0047】
図8に示すように、第6スルーホール33は、面内方向の中央付近に貫通部分333を有し、第6スルーホール33周辺部から中央部の貫通部分333に向けての傾斜面33aを有している。また、第6スルーホール33をATカット水晶板により形成された第2封止部材30の両主面301,302からエッチング形成することで、傾斜面33aは第2封止部材30の両主面301,302において形成される。
【0048】
このようにして第2封止部材30に形成された第6スルーホール33の内壁面(傾斜面33a)には、貫通電極331が形成されている。貫通電極331によって、第2封止部材30の第1主面301に形成された電極(接続用接合パターン)34と、第2主面302に形成された外部電極端子32とが導通されている。
【0049】
第1主面301の電極34は、第1主面301上に、例えば蒸着により成膜された第1の導電性金属からなる第1金属膜34aと、この第1金属膜34a上に、例えば蒸着により成膜されたAu(金)からなるAu膜34cとを有する構成になっている。第2主面302の外部電極端子32は、第2主面302上に、例えば蒸着により成膜された第1の導電性金属からなる第1金属膜32aと、この第1金属膜32a上に、例えば蒸着により成膜された第2の導電性金属からなる第2金属膜32bと、この第2金属膜32b上に、例えば蒸着により成膜されたAu(金)からなるAu膜32cとを有する構成になっている。第6スルーホール33の貫通電極331は、第6スルーホール33の傾斜面33a上に、例えば蒸着により成膜された第1の導電性金属からなる第1金属膜331aと、この第1金属膜331a上に、例えば蒸着により成膜された第2の導電性金属からなる第2金属膜331bとを有する構成になっている。
【0050】
本実施の形態では、第1の導電性金属として、Ti(チタン)が用いられ、第2の導電性金属として、Ni(ニッケル)が用いられている。なお、上述の第1、第2の導電性金属は一例であって、上記以外の導電性金属を用いてもよい。また、上述した貫通電極331、外部電極端子32、および電極34の多層構造は一例であって、各電極の層数は特に限定されない。例えば、電極34を、外部電極端子32と同様に、第2金属膜を有する3層構造としてもよいし、あるいは、外部電極端子32を、電極34と同様に、第2金属膜を有しない2層構造としてもよい。
【0051】
電極34の第1金属膜34aと、貫通電極331の第1金属膜331aと、外部電極端子32の第1金属膜32aとが一体的に形成されている。また、貫通電極331の第2金属膜331bと、外部電極端子32の第2金属膜32bとが一体的に形成されている。
【0052】
一方、電極34のAu膜34cと、外部電極端子32のAu膜32cとは一体的に形成されておらず、第6スルーホール33の内部において遮断されている。貫通電極331は、Au以外の導電性金属によって、電極34と、外部電極端子32とが導通される構成になっている。この場合、貫通電極331は、第6スルーホール33の傾斜面33aに形成されたAu膜が除去されることによって形成することが可能である。つまり、第6スルーホール33の傾斜面33aにもAu膜を予め形成しておき、このAu膜を、電極34のAu膜34cおよび外部電極端子32のAu膜32cと一体的に形成する。そして、第6スルーホール33の傾斜面33aのAu膜を、例えばメタルエッチングによって除去することにより、Au膜を含まない貫通電極331が形成される。
【0053】
なお、図8に示すように、第6スルーホール33の傾斜面33aのAu膜の全部を除去してもよいし、図9の変形例1に示すように、第6スルーホール33の傾斜面33aのAu膜331cの一部を除去してもよい。図9に示す貫通電極331では、貫通電極331の上下方向(Y´軸方向)の両端部に部分的にAu膜331cが形成されているが、貫通電極331の上下方向の中間部には、Au膜331cが設けられておらず、貫通電極331の上下方向の中間部において、Au膜331cが遮断されている。
【0054】
本実施の形態では、第6スルーホール33の貫通電極331からAu膜の一部または全部が除去されており、貫通電極331がAu以外の導電性金属によって導通を行う構成になっているので、半田120に対する耐侵食性を有する。これにより、第6スルーホール33に形成された貫通電極331内への半田120の濡れ広がりを抑制することができる。この点について、以下に説明する。
【0055】
水晶発振器100を外部回路基板110に搭載する場合、一般的には、半田120が用いられ、半田120は、第2封止部材30の外部電極端子32と外部回路基板110との間に介在される。しかし、半田120は、Sn(スズ)を含むため、貫通電極331がAu膜を有する場合、このAu膜に沿って貫通電極331内に半田120が濡れ広がるおそれがある。このため、半田120の侵食作用によって、Au膜を構成するAuが凝集し、導通抵抗の増加や、断線等の不具合が発生することが懸念される。このように、貫通電極331がAu膜によって導通を行う構成の場合、このAu膜が半田120の侵食経路になる可能性がある。
【0056】
そこで、本実施の形態では、第6スルーホール33の貫通電極331において、半田120の侵食経路になり得るAu膜を遮断し、Au以外の導電性金属で形成された第1金属膜331aによって、第2封止部材30の第1主面301の電極34と、第2主面302の外部電極端子32とを導通するようにしている。これにより、貫通電極331における半田120の侵食経路を遮断することができるので、貫通電極331内への半田120の濡れ広がりを抑制することができ、導通抵抗の増加や、断線等の不具合の発生を抑制することができる。
【0057】
本実施の形態において、第2封止部材30の4隅の領域に設けられた第6スルーホール33の貫通電極331の全てに、上述のような半田120に対する耐侵食構造が設けられていることが好ましい。なお、第2封止部材30の第6スルーホール33の貫通電極331に加えて、水晶振動板10の第1スルーホール161の貫通電極、または第1封止部材20の第3スルーホール211の貫通電極にも、上記と同様の半田120に対する耐侵食構造を設ける構成としてもよい。あるいは、第2封止部材30の第6スルーホール33の貫通電極331に加えて、水晶振動板10の第1スルーホール161の貫通電極、および第1封止部材20の第3スルーホール211の貫通電極にも、上記と同様の半田120に対する耐侵食構造を設ける構成としてもよい。
【0058】
今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0059】
上記実施の形態では、本発明を水晶発振器100に適用した場合について説明した。しかし、これに限定されるものではなく、第1封止部材20、水晶振動板10、および第2封止部材30が積層された構成の水晶振動子に本発明を適用してもよい。
【0060】
上記実施の形態では、第2封止部材30の第2主面302の外部電極端子32の数を4つとしたが、これに限定されるものではなく、外部電極端子32の数を、例えば、2つ、6つ、あるいは8つ等としてもよい。
【0061】
上記実施の形態では、第2封止部材30の第6スルーホール33の貫通電極331からAu膜の一部または全部を除去する場合について説明した。しかし、これに限らず、貫通電極331からのAu膜の一部または全部の除去に加えて、第2主面302の外部電極端子32のうち、第6スルーホール33の周囲の部分(周縁部)を除去する構成としてもよい。例えば図10に示す変形例2では、貫通電極331の下側部分(外部電極端子32側の部分;例えば-Y´方向の部分)、および外部電極端子32のうちの第6スルーホール33の周囲の部分から、Au膜が除去されている。なお、貫通電極331からAu膜の一部を除去する場合、貫通電極331の上下方向(Y´軸方向)の中央位置よりも下側部分(外部電極端子32側の部分;例えば-Y´方向の部分)のAu膜を全て除去することが好ましい。
【0062】
より効果的に半田120の侵食経路を遮断する観点から、図10に示すように、第2封止部材30の第6スルーホール33の貫通電極331の下側部分に形成されたAu膜が少なくとも除去されていることが好ましい。つまり、貫通電極331の外部電極端子32側の端部から貫通電極331の深さ方向の中央位置までの部分が少なくとも除去されていればよい。この場合、第6スルーホール33は、深さ方向の中央部が狭くなるような略砂時計状の断面形状になっており、開口端側(第1主面301側および第2主面302側)から深さ方向の中央部にかけて開口面積が徐々に小さくなっている。このような断面形状の第6スルーホール33に形成された貫通電極331において、外部電極端子32側の端部から貫通電極331の深さ方向の中央位置を超えた部分までAu膜が除去されている。
【0063】
これにより、外部電極端子32には外部回路基板110への搭載に用いられる半田120が直接的に塗布されるので、第6スルーホール33の貫通電極331のAu膜のうち、外部電極端子32側の部分に形成されるAu膜を除去することによって、半田120の侵食経路を効果的に遮断することができ、貫通電極331内への半田120の濡れ広がりを効果的に抑制することができる。なお、外部電極端子32側の端部から貫通電極331の中央位置までの部分のAu膜が全て除去されていればよく、貫通電極331の中央位置を超えた部分についてはAu膜を除去する分量(部位)は特に限定されない。
【0064】
さらに、外部電極端子32のうちの第6スルーホール33の周囲の部分(周縁部)においても、Au膜32cが遮断されている。図10に示すように、外部電極端子32の最上層に形成されたAu膜(外部Au膜)32cのうち、第6スルーホール33の外部電極端子32側の周縁部に形成されたAu膜32cが除去されている。これにより、外部回路基板110への搭載の際に半田120が直接的に塗布される外部電極端子32のうちの第6スルーホール33の周囲の部分においても、半田120の侵食経路を遮断することができるので、貫通電極331内への半田120の濡れ広がりを抑制することができ、導通抵抗の増加や、断線等の不具合の発生を抑制することができる。
【0065】
上記実施の形態では、第2封止部材30の第6スルーホール33の貫通電極331の最上層に形成されたAu膜の一部または全部を除去する場合について説明した。しかし、これに限らず、第2封止部材30の第6スルーホール33の貫通電極331の内部にAu膜が形成される構成に対しても、本発明を適用することが可能である。この場合、貫通電極331の内部のAu膜とともに、Au膜よりも表面側に形成された金属膜を除去すればよい。
【0066】
また、図11に示す変形例3では、第2封止部材30の第6スルーホール33の貫通電極331のAu膜331cを残した状態で、Au膜331c上にAu以外の金属(例えばTi)からなる金属膜332が形成された構成になっている。つまり、Au膜331cの内壁面が、Au以外の金属からなる金属膜332によって覆われている。この場合、第2封止部材30の第6スルーホール33の貫通電極331の最上層に形成されたAu膜331cに沿って半田120が濡れ広がることを抑制することができ、導通抵抗の増加や、断線等の不具合の発生を抑制することができる。なお、貫通電極331内への半田120の濡れ広がりをより確実に抑制する観点からは、上記実施の形態のように、金属膜332の下層のAu膜331cを除去することが好ましい。
【0067】
上記実施の形態において、図12の変形例4に示すように、第1封止部材20の第3スルーホール211の貫通部分211aを樹脂211bによって塞ぐ構成としてもよい。図12に示す変形例4では、第1封止部材20の第3スルーホール211の第1主面201側(+Y´方向側)の部分が樹脂211bによって埋められている。これにより、樹脂211bによって、第3スルーホール211の貫通部分211aから、水分が水晶発振器100の内部へ侵入することを防止することができる。したがって、水晶発振器100の内部へ侵入した水分に起因するシールパス115,116の腐食(Ti腐食)を抑制することができ、シールパス115,116の気密性を確保することができる。
【0068】
ここで、第1封止部材20の第3スルーホール211は、図12に示すように、貫通部分211aが、平面視で、Z’軸方向に延びる長孔形状に形成されている。このため、円形の樹脂211bを用いた場合、第3スルーホール211の貫通部分211aのZ’軸方向の端部が、樹脂211bによって塞がれない可能性がある。そこで、本変形例では、樹脂211bを、平面視で、Z’軸方向に延びる略長円形状、またはZ’軸方向を長軸方向とする略楕円状に形成している。これにより、第3スルーホール211の貫通部分211aのZ’軸方向の端部が、樹脂211bによって確実に塞がれるようになっている。このように、樹脂211bを第3スルーホール211の貫通部分211aに応じた形状にすることによって、第3スルーホール211の貫通部分211aから、水分が水晶発振器100の内部へ侵入することをより確実に防止することができる。したがって、水晶発振器100の内部へ侵入した水分に起因するシールパス115,116の腐食(Ti腐食)を抑制することができ、シールパス115,116の気密性をより確実に確保することができる。なお、第1封止部材20の第3スルーホール211の第1主面201側(+Y´方向側)の部分に加えて、第3スルーホール211の第2主面202側(-Y´方向側)の部分にも、同様に樹脂211bを設ける構成としてもよい。また、第2封止部材30の第6スルーホール33、水晶振動板10の第1スルーホール161についても、同様に樹脂によって塞ぐ構成としてもよい。
【0069】
また、樹脂211bが、第1封止部材20の第1主面201および第2主面202から突出しない状態で第3スルーホール211内に収容されている。つまり、第3スルーホール211内に収容された樹脂211bの上面が、第1封止部材20の第1主面201よりも低い位置(-Y´方向側の位置)に位置しており、樹脂211bの下面が、第1封止部材20の第2主面202よりも高い位置(+Y´方向側の位置)に位置している。このように、樹脂211bの全部分が第3スルーホール211内に収容されることによって、樹脂211bを含めた第1封止部材20の厚みを容易に制御することができ、シールパス115,116による気密封止の信頼性を高めることができる。
【0070】
上記実施形態では、第1封止部材20および第2封止部材30を水晶板によって形成したが、これに限定されるものではなく、第1封止部材20および第2封止部材30を、例えば、ガラスによって形成してもよい。
【0071】
この出願は、2018年12月27日に日本で出願された特願2018-244559号に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
10 水晶振動板(圧電振動板)
11 振動部
20 第1封止部材
30 第2封止部材
32 外部電極端子
33 第6スルーホール(貫通孔)
100 水晶発振器(圧電振動デバイス)
110 外部回路基板
111 第1励振電極
112 第2励振電極
120 半田
301 第1主面(一主面)
302 第2主面(他主面)
331 貫通電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12