(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】解析装置、解析方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20221206BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01H17/00 Z
(21)【出願番号】P 2020571199
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2020004043
(87)【国際公開番号】W WO2020162426
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2019019038
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】大西 康晴
(72)【発明者】
【氏名】福田 靖行
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/024559(WO,A1)
【文献】特開2008-232708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-99/00
G01H 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産設備に設けられた複数のセンサの検出結果を取得する取得手段と、
取得した前記検出結果を用いて前記生産設備の異常判定を行う判定手段と、を備え、
前記センサは、第1の周波数帯域の振動を検出するための第1センサと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の振動を検出するための第2センサと、を有し、
前記判定手段は、
前記第1センサの検出値を周波数方向に平均した第1の平均値が基準未満の場合は、前記第1センサの検出結果を用いて異常判定を行い、
前記第1の平均値が基準以上の場合は、前記第2センサの検出結果を用いて異常判定を行う解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の解析装置において、
前記第1の周波数帯域は20kHz以下を含み、
前記第2の周波数帯域は20kHz超を含む、解析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の解析装置において、
前記判定手段で前記異常判定を行うセンサの検出結果を選択する選択手段をさらに備え、
前記選択手段は、
前記第1の周波数帯域より小さい第3の周波数帯域を検出するための第3センサの検出値を周波数方向に平均した第2の平均値が、前記基準より小さい第2の基準未満の場合、前記第3の周波数帯域のセンサの検出結果を選択し、
前記第2の平均値が前記第2の基準以上の場合、
前記第1の平均値が前記基準未満の場合、前記第1の周波数帯域のセンサの検出結果を選択し、
前記第1の平均値が前記基準以上の場合は、前記第1の周波数帯域より大きい第2の周波数帯域のセンサの検出結果を選択する、解析装置。
【請求項4】
解析装置が、
生産設備に設けられた、第1の周波数帯域の振動を検出するための第1センサと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の振動を検出するための第2センサと、を含む、複数のセンサの検出結果を取得し、
前記第1センサの検出値を周波数方向に平均した平均値が基準未満の場合は、前記第1センサの検出結果を用いて異常判定を行い、
前記平均値が基準以上の場合は、前記第2センサの検出結果を用いて異常判定を行う、解析方法。
【請求項5】
請求項4に記載の解析方法において、
前記第1の周波数帯域は20kHz以下を含み、
前記第2の周波数帯域は20kHz超を含む、解析方法。
【請求項6】
コンピュータに、
生産設備に設けられた、第1の周波数帯域の振動を検出するための第1センサと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の振動を検出するための第2センサと、を含む、複数のセンサの検出結果を取得する手順、
前記第1センサの検出値を周波数方向に平均した平均値が基準未満の場合は、前記第1センサの検出結果を用いて異常判定を行う手順、
前記平均値が基準以上の場合は、前記第2センサの検出結果を用いて異常判定を行う手順、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解析装置、解析方法、およびプログラム、ならびに、センサの構造に関し、特に、設備の状態を監視するセンサのデータを解析する解析装置、解析方法、およびプログラム、ならびに、そのセンサの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
機械系設備を用いた生産材の製造品質管理に振動や音響センサを用いて状態監視する方法がある。例えば、生産材の加工時に加工機で生じた振動データを取得し、異常振動を捉えたときに生産材の加工をストップすることにより製造ロスや品質低下を回避することや、生産設備の稼働状況を振動にて監視し、メンテナンスの効率化や、設備を長寿命化するための最適な稼働条件を見出すことなどにより、製造業の生産効率を向上させる技術として注目されている。
【0003】
特許文献1には、監視対象の設備にセンサを取り付け、当該センサが測定した時系列データに基づきその設備の監視を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、機械設備用いた生産材の製造品質管理に振動や音響センサを用いて状態監視する方法がある。この方法では機械振動を振動センサにて捉えて、正常か異常の状態を判定させるものである。しかしながら、機械機器を含む設備では周辺機材の振動や設置場所の周辺の環境振動による影響を受けて、故障予兆に必要な微動な変化を捉える微小振動の検知が困難であった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生産設備の状態監視を効率よく高精度に行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の各側面では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
【0008】
第一の側面は、解析装置に関する。
第一の側面に係る第1の解析装置は、
生産設備に設けられた複数のセンサの検出結果を取得する取得手段と、
取得した前記検出結果を用いて前記生産設備の異常判定を行う判定手段と、を有し、
前記センサは、第1の周波数帯域の振動を検出するための第1センサと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の振動を検出するための第2センサと、を有し、
前記判定手段は、
前記第1センサの検出値を周波数方向に平均した第1の平均値が基準未満の場合は、前記第1センサの検出結果を用いて異常判定を行い、
前記第1の平均値が基準以上の場合は、前記第2センサの検出結果を用いて異常判定を行う。
第一の側面に係る第2の解析装置は、
生産設備に設けられた、複数方向の可聴域の第1の振動センサ、及び複数方向の超音波領域の第2の振動センサの検出結果を用いて前記生産設備の異常判定を行う判定手段と、
前記第1の振動センサの振動検出結果を用いて、前記異常判定に用いる前記第2の振動センサを選択する選択手段と、を有する。
【0009】
第二の側面は、少なくとも1つのコンピュータにより実行される解析方法に関する。
第二の側面に係る第1の解析方法は、
解析装置が、
生産設備に設けられた、第1の周波数帯域の振動を検出するための第1センサと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の振動を検出するための第2センサと、を含む、複数のセンサの検出結果を取得し、
前記第1センサの検出値を周波数方向に平均した平均値が基準未満の場合は、前記第1センサの検出結果を用いて異常判定を行い、
前記平均値が基準以上の場合は、前記第2センサの検出結果を用いて異常判定を行う、
ことを含む。
第二の側面に係る第2の解析方法は、
解析装置が、
生産設備に設けられた、複数方向の可聴域の第1の振動センサ、及び複数方向の超音波領域の第2の振動センサの検出結果を用いて前記生産設備の異常判定を行い、
前記第1の振動センサの振動検出結果を用いて、前記異常判定に用いるべき前記第2の振動センサを選択する、ことを含む。
【0010】
第三の側面は、センサの構造に関する。
第三の側面のセンサの構造は、
生産設備に設けられ、当該生産設備の振動を検出するセンサの構造であって、
複数方向の可聴域の第1の振動センサと、
複数方向の超音波領域の第2の振動センサと、を含み、
前記第1の振動センサは、3軸の振動センサであり、
前記第2の振動センサは、前記3軸と同じ方向にそれぞれ設けられた少なくとも6個の超音波センサを含む。
【0011】
なお、本発明の他の側面としては、上記第二の側面の方法を少なくとも1つのコンピュータに実行させるプログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。
このコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されたとき、コンピュータに、解析装置上で、その解析方法を実施させるコンピュータプログラムコードを含む。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0013】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0014】
また、本発明の方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の方法およびコンピュータプログラムを実施するときには、その複数の手順の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0015】
さらに、本発明の方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記各側面によれば、生産設備の状態監視を効率よく高精度に行う技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る解析装置を用いた設備監視システムのシステム構成を概念的に示す図である。
【
図2】本実施形態の記憶装置が記憶する測定データと設備情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の各装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図4】本実施形態の解析装置の論理的な構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態の解析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態の解析装置の論理的な構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】本実施形態の解析装置が解析する振動を計測するセンサの配置例を示す図である。
【
図8】本実施形態の各センサの検出結果の例を示す図である。
【
図9】本実施形態の解析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態の解析装置の論理的な構成を示す機能ブロック図である。
【
図11】本実施形態のセンサの構造の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態の解析装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】本実施形態の解析装置の選択処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】本実施形態のセンサの選択処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る解析装置を用いた設備監視システム1のシステム構成を概念的に示す図である。
設備監視システム1が監視対象とする設備は、生産設備10であり、本実施形態では、ベルトコンベアを例として説明する。図の例では、ベルトコンベアを監視するための複数のセンサ12がベルトコンベアの移動方向に沿って複数箇所に設置されている。各センサ12は、本実施形態では、超音波センサである。
【0021】
解析装置100は、ネットワーク3を介してGW(GateWay)5と接続され、生産設備10に複数設けられているセンサ12から検出結果を受信する。解析装置100は、記憶装置20に接続される。記憶装置20は、解析装置100が解析する振動データが格納される。記憶装置20は、解析装置100とは別体の装置であってもよいし、解析装置100の内部に含まれる装置であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0022】
実施形態の各図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、図示されていない。
【0023】
図2は、本実施形態の記憶装置20が記憶する測定データ22と設備情報24のデータ構造の一例を示す図である。
測定データ22は、センサを識別するセンサID毎に、時刻情報と、検出値とが紐付けられている。設備情報24は、設備を識別する設備ID毎に、少なくとも一つの振動センサのセンサIDが紐付けられている。
【0024】
図3は、本実施形態の各装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。各装置は、プロセッサ50、メモリ52、入出力インターフェイス(I/F)54、周辺回路56、バス58を有する。周辺回路56には、様々なモジュールが含まれる。処理装置は周辺回路56を有さなくてもよい。
【0025】
バス58は、プロセッサ50、メモリ52、周辺回路56及び入出力インターフェイス54が相互にデータを伝送するためのデータ伝送路である。プロセッサ50は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ52、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス54は、入力装置、外部装置、外部サーバ、センサ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンタ、メーラ等である。プロセッサ50は、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0026】
後述する
図4の本実施形態の解析装置100の各構成要素は、
図3に示すコンピュータのハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各実施形態の解析装置を示す機能ブロック図は、ハードウェア単位の構成ではなく、論理的な機能単位のブロックを示している。
【0027】
プロセッサ50が、プログラムをメモリ52に読み出して実行することにより、
図4の解析装置100の各ユニットの各機能を実現することができる。
【0028】
本実施形態のコンピュータプログラムは、解析装置100を実現させるためのコンピュータ(
図3のプロセッサ50)に、生産設備10に設けられた複数のセンサ(第1センサ110および第2センサ112)の検出結果を取得する手順、第1センサ110の検出値を周波数方向に平均した第1の平均値を算出する手順、第1の平均値が基準以上か否かを判定する手順、を実行させ、前記判定する手順において、第1の平均値が基準以上の場合、第2センサ112の検出値を用いて生産設備10の異常判定を行い、第1の平均値が基準未満の場合、第1センサ110の検出値を用いて生産設備10の異常判定を行う手順を実行させるように記述されている。
【0029】
本実施形態のコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。記録媒体は特に限定されず、様々な形態のものが考えられる。また、プログラムは、記録媒体からコンピュータのメモリ52(
図3)にロードされてもよいし、ネットワークを通じてコンピュータにダウンロードされ、メモリ52にロードされてもよい。
【0030】
コンピュータプログラムを記録する記録媒体は、非一時的な有形のコンピュータが使用可能な媒体を含み、その媒体に、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードが埋め込まれる。コンピュータプログラムが、コンピュータ上で実行されたとき、コンピュータに、解析装置100を実現する本実施形態の解析方法を実行させる。
【0031】
図4は、本実施形態の解析装置100の論理的な構成を示す機能ブロック図である。解析装置100は、取得部102と、判定部104と、を備える。
取得部102は、生産設備10に設けられたセンサ(第1センサ110と第2センサ112)の検出結果を取得する。
【0032】
判定部104は、得した検出結果を用いて生産設備10の異常判定を行う。判定部104は、周波数帯域が互いに異なる複数のセンサ(第1センサ110と第2センサ112)の検出値を周波数方向に平均した値(以下、第1の平均値ともの呼ぶ)が基準未満の場合は、第1の周波数帯域を検出対象としているセンサ(第1センサ110)の検出結果を用いて異常判定を行い、第1の平均値が基準以上の場合は、第1の周波数帯域より大きい第2の周波数帯域を検出対象としているセンサ(第2センサ112)の検出結果を用いて異常判定を行う。第1の周波数帯域は、例えば20kHz以下であり、第2の周波数帯域は例えば20kHz以上である。
【0033】
実施形態において「取得」とは、自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータまたは情報を取りに行くこと(能動的な取得)、および、自装置に他の装置から出力されるデータまたは情報を入力すること(受動的な取得)の少なくとも一方を含む。能動的な取得の例は、他の装置にリクエストまたは問い合わせしてその返信を受信すること、及び、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等がある。また、受動的な取得の例は、配信(または、送信、プッシュ通知等)される情報を受信すること等がある。さらに、「取得」とは、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、または、配信されたデータまたは情報を選択して受信することであってもよい。
【0034】
本実施形態において、センサ12は、上記したように少なくとも第1センサ110と第2センサ112とを含む。第1センサ110の第1の周波数は、20kHz以下を含む。すなわち、この例では、第1センサ110は、人間が音として聞き取れる周波数(以下、これを可聴域とする)の音波を検出する。第2センサ112の第2の周波数は、20kHz以上を含む。すなわち、第2センサ112は、可聴周波数以上の超音波を検出する。各センサ12の検出周波数はこれに限定されない。
【0035】
また、判定部104が、判定に用いる基準は20kHzであるが、これに限定されない。本実施形態では、可聴周波数以上であるか否かを判定している。振動は、基本周波数を持つ成分と、その整数倍の周波数を持つ正弦波成分である高調波を含む。生産設備10における異常に起因する微小な振動の高調波が超音波領域になる場合、ホワイトノイズに基本周波数が埋もれてしまうと、第1センサ110では検出ができなくなる。その一方で、超音波は直進性の高い鋭い指向性を有しているため、第2センサ112ではうまく検出できない可能性も残る。
【0036】
よって、ホワイトノイズに異常振動の基本周波数が埋もれていない場合は、判定部104は、第2センサ112ではなく、確実に異常を捉えることができる第1センサ110の検出値を用いる。また、ホワイトノイズが大きく、基本周波数がホワイトノイズに埋もれてしまう可能性が高い場合は、判定部104は、第2センサ112で検出される検出値を用いて異常判定を行う。これにより、微小な異常振動も捉えることができる。各第2センサ112の指向性を考慮して第1センサ110と組み合わせて配置することにより、より効果的に異常振動を検出することも可能である。
【0037】
このように、判定基準は、生産設備10の種類や環境に合わせて設定されるのが好ましい。判定基準は、予め定められた値であってもよいし、解析装置100のユーザインタフェース(不図示)を用いてオペレータや管理者が変更できてもよい。
【0038】
このように、本実施形態では、判定部104が異常判定に用いるセンサ12を適切に選択することができる。選択された検出結果に基づく判定部104による生産設備10の異常判定の方法は、特に限定されず、様々な方法を採用し得る。また、判定部104は、生産設備10の異常判定だけでなく、生産設備10の各種の状態(動作状態等)を判定してもよい。
【0039】
このように構成された本実施形態の解析装置100の動作について説明する。
図5は、本実施形態の解析装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、取得部102は、生産設備10に設けられた第1センサ110および第2センサ112の検出結果を取得する(ステップS101)。判定部104は、第1センサ110の検出値を周波数方向に平均した値(以下、第1の平均値と記載)を算出する(ステップS103)。そして、判定部104は、第1の平均値が基準以上か否かを判定する(ステップS105)。
【0040】
第1の平均値が基準以上の場合(ステップS105のYES)、判定部104は、第2センサ112の検出値を用いて生産設備10の異常判定を行う(ステップS107)。一方、第1の平均値が基準未満の場合(ステップS105のNO)、判定部104は、第1センサ110の検出値を用いて生産設備10の異常判定を行う(ステップS109)。
【0041】
以上説明したように、本実施形態において、取得部102により、第1の周波数の第1センサ110と第1の周波数より大きい第2の周波数の第2センサ112との検出結果を取得し、判定部104により、第1センサ110の検出値の周波数方向の第1の平均値が基準未満の場合(基本周波数がホワイトノイズに埋もれない場合)は、第1センサ110の検出値を用いて異常判定が行われる。一方、第1の平均値が基準以上の場合(基本周波数がホワイトノイズに埋もれている場合)は、第2センサ112の検出値を用いて異常判定が行われる。
【0042】
このように、本実施形態によれば、生産設備10で異常に起因して発生する振動を、第1センサ110と第2センサ112を用いて検出することで、第1センサ110のみで計測する場合に比較して、幅広い周波数領域での検出結果を用いることができる。例えば、異常を示す振動の基本周波数は可聴域であって高調波が超音波領域になる場合、ホワイトノイズに基本周波数が埋もれていない場合は第1センサ110の検出値を利用し、ホワイトノイズが大きい場合は第2センサ112を用いて高調波を検知することにより、微小な異常振動を拾うことができる。
【0043】
このように、生産設備10の異常を高精度に検出することができ、故障予兆などの判定も高精度に行うことが可能になる。
【0044】
(第2の実施の形態)
図6は、本実施形態の解析装置100の論理的な構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の解析装置100は、第1の周波数より小さい第3の周波数帯域のセンサをさらに備え、第3の周波数帯域のセンサの検出結果の平均値に基づいて、生産設備10の異常判定に用いるセンサの検出結果を選択する点以外は上記実施形態と同様である。
【0045】
解析装置100は、
図4の上記実施形態の解析装置100と同様な取得部102と、判定部104と、を備えるとともに、さらに、選択部106を備える。
選択部106は、判定部104で異常判定を行うセンサの検出結果を選択する。
選択部106は、第1の周波数帯域より小さい第3の周波数帯域を検出するためのセンサ(第3センサ114)の検出値を周波数方向に平均した値(以下、第2の平均値と記載)が、第1基準未満の場合、第3の周波数帯域のセンサ(第3センサ114)の検出結果を選択する。さらに、選択部106は、第2の平均値が第1基準以上の場合、第1の周波数帯域のセンサ(第1センサ110)の検出値を周波数方向に平均した第1の平均値が第2基準(>第1基準)未満の場合、第1の周波数帯域のセンサ(第1センサ110)の検出結果を選択する。さらに、選択部106は、第1の平均値が第2基準以上の場合は、第1の周波数帯域より大きい第2の周波数帯域のセンサ(第2センサ112)の検出結果を選択する。
【0046】
本実施形態の「第2基準」は、第1の実施形態の「基準」に相当し、20kHzとする。第1基準は、第2基準より小さい値であって、10kHzとする。第1基準および第2基準は、生産設備10の種類や環境に合わせて設定されるのが好ましい。これらの判定基準は、予め定められた値であってもよいし、解析装置100のユーザインタフェースを用いてオペレータや管理者が変更できてもよい。
【0047】
図7は、本実施形態の解析装置100が解析する振動を計測するセンサ12の配置例を示す図である。第1センサ110、第2センサ112、および第3センサ114は、個々に独立して生産設備10に設けられていてもよいが、配線や実装容易性を考慮すると、一つのモジュールの中に一体として実装するのが好ましい。また、各センサ12については、振動又は音響のいずれかのセンサを用いることができる。
【0048】
本実施形態において、第1センサ110は、最大検知周波数が5kHzとする。第2センサ112は、最大周波数帯域が30~200kHzとする。第3センサ114は、最大検知周波数が1kHzとする。
【0049】
図8は、本実施形態の各センサの検出結果の例を示す図である。
図8(a)は、環境ノイズが小さく、基本周波数がホワイトノイズに埋もれていない例を示している。
図8(b)は、環境ノイズが大きく、基本周波数がホワイトノイズに埋もれている例を示している。
【0050】
実線は、第3センサ114で計測された振動レベルであり、破線は、第1センサ110で計測された振動レベルであり、一点鎖線は、第2センサ112で計測された振動レベルを示している。
【0051】
例えば、回転機器の偏心による異常振動は、
図8(a)において、第3センサ114の検出結果にピークV1として現れていて、検出可能である。一方、
図8(b)では、
図8(a)の第3センサ114の検出結果のピークV1は、環境ノイズに埋もれているため、検出が困難である。一方、第2センサ112の検出結果にはピークV2が現れているため、検出可能である。
【0052】
このように構成された本実施形態の解析装置100の動作について説明する。
図9は、本実施形態の解析装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
取得部102は、生産設備10に設けられた複数のセンサ12から検出値を取得する(ステップS101)。
【0053】
本実施形態において、各センサ12の検出値を取得するタイミングと、各センサ12に計測を実行させるタイミングは、同じでもよいし、異なっていてもよい。つまり、センサ12が自発的に定期的に計測している検出値を、取得部102が必要なときに要求してセンサ12から取得してもよい。あるいは、取得部102がセンサ12に対して計測を指示し、指示に応じてセンサ12が計測を行い、その検出値を解析装置100に返してもよい。なお、後者の方が、必要なセンサ12のみ稼働させることができるので、消費電力を低減することができる。
【0054】
まず、判定部104は、生産設備10の振動測定を第3センサ114により行わせ、30Hz~500Hzまでの周波数帯域での振動レベルの加算平均値(第2の平均値)を算出する(ステップS111)。この値が、第1基準以上となった場合(ステップS113のYES)、生産設備10のホワイトノイズが大きいと判断し、ステップS117に進む。一方、第2の平均値が第1基準以上でない場合(ステップS113のNO)、選択部106は、第3センサ114の検出結果を選択する(ステップS115)。そして、判定部104は、第3センサ114の検出値を用いて生産設備10の異常判定を行う(ステップS125)。
【0055】
ステップS117では、第1センサ110を用いて測定を行い、1kHz~3kHzまでの周波数帯域での振動レベルの加算平均値(第1の平均値)を算出する。この値が第2基準以上となった場合(ステップS119のYES)、第1センサ110での測定値による判定は不能と判断して、選択部106は、第2センサ112検出結果を選択する(ステップS123)。そして、判定部104は、第2センサ112により計測された周波数30kHz以上の振動波形を用いて生産設備10の異常判定を行う(ステップS125)。
【0056】
一方、ステップS117で算出された第1の平均値が第2基準以上でない場合(ステップS119のNO)、選択部106は、第1センサ110の検出結果を選択する(ステップS121)。そして、判定部104は、第1センサ110の検出値を用いて生産設備10の異常判定を行う(ステップS125)。
【0057】
以上説明したように、本実施形態において、外部ノイズが少ない場合は、低中周波数領域(例えば、5kHzまで)の検出結果を用いて生産設備10の異常判定を行い、外部ノイズが多い場合は、超音波領域(例えば、30kHz以上)の検出結果を用いて生産設備10の異常判定を行う。
【0058】
このように、本実施形態によれば、第2センサ112として30kHz以上の超音波帯域のデータを取得することができるため、ノイズデータが少ない中で波動を捉えることができる。これにより、本実施形態の解析装置100は、生産設備10の材料の内部亀裂や、軸受の監視など、比較的高い周波数での解析が必要とされる分析に有効である。
【0059】
(第3の実施の形態)
図10は、本実施形態の解析装置200の論理的な構成を示す機能ブロック図である。解析装置200は、判定部202と、選択部204と、を備える。
判定部202は、生産設備10に設けられた、複数方向の可聴域の第1振動センサ210、及び複数方向の超音波領域の第2振動センサ212の検出結果を用いて生産設備10の異常判定を行う。
選択部204は、第1振動センサ210の振動検出結果を用いて、異常判定に用いる第2の振動センサ212を選択する。
【0060】
本実施形態においても、生産設備10は、例えば、ベルトコンベアである。
図1に示すセンサ12は、第1振動センサ210および第2振動センサ212を含み、ベルトコンベアに設けられる。
【0061】
図11は、本実施形態のセンサ12の構造の一例を示す図である。
センサ12は、第1振動センサ210と、第2振動センサ212とを含む。可聴域の第1振動センサ210は、例えば、3軸の振動センサである。第2振動センサ212は、第1振動センサ210の3軸と同じ方向にそれぞれ設けられた少なくとも6個のセンサ(例えば超音波センサ)を含む。
【0062】
複数の第2振動センサ212は、生産設備10の各外面に対して、少なくとも一つ設けられるのが好ましいが、個数は特に限定されない。また、第2振動センサ212の超音波センサは、AE(Acoustic Emission)センサであってもよいし、超音波マイクロホンであってもよいし、その他であってもよい。第2振動センサ212は、空間又は固体伝播の振動を捉えてよい。なお、複数の振動センサは、同種の振動センサであってもよいし、複数種類の振動センサが混在してもよい。後者の場合、例えば同じ方向に設けられた2つの振動センサの特性(例えば検出する振動の周波数の帯域)が異なっていてもよい。
【0063】
図12は、本実施形態の解析装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、選択部204は、生産設備10に設けられた第1振動センサ210、および第2振動センサ212の検出結果を取得する(ステップS201)。そして、選択部204は、第1振動センサ210の振動検出結果を用いて異常判定に用いる第2振動センサ212を選択する(ステップS203)。そして、判定部202は、選択された第2振動センサ212の検出結果を用いて生産設備10の異常判定を行う(ステップS205)。
【0064】
本実施形態においても、各センサ12の検出値を取得するタイミングと、各センサ12に計測を実行させるタイミングは、同じでもよいし、異なっていてもよい。つまり、センサ12が自発的に定期的に計測している検出値を、選択部204により選択されたときにセンサ12に要求して取得してもよい。あるいは、選択部204により選択されたタイミングで、センサ12に対して計測を指示し、指示に応じてセンサ12が計測を行い、その検出値を解析装置100に返してもよい。なお、後者の方が、必要なセンサ12のみ稼働させることができるので、消費電力を低減することができる。
【0065】
また、本実施形態のコンピュータプログラムは、解析装置100を実現させるためのコンピュータ(
図3のプロセッサ50)に、生産設備10に設けられた、複数方向の可聴域の第1振動センサ210、及び複数方向の超音波領域の第2振動センサ212の検出結果を用いて生産設備10の異常判定を行う手順、第1振動センサ210の振動検出結果を用いて、異常判定に用いるべき第2の振動センサ212を選択する手順、を実行させるように記述されている。
【0066】
以上説明したように、本実施形態において、選択部204により、第1振動センサ210の振動検出結果を用いて異常判定に用いる第2振動センサ212が選択され、判定部202により選択された第2振動センサ212の検出結果を用いて生産設備10の異常判定が行われる。
【0067】
このように、本実施形態によれば、超音波は指向性を有しているため、生産設備10に異なる方向の複数の第2振動センサ212を設けている。これにより、異常を示す振動の基本周波数は可聴域であって高調波が超音波領域になる場合、第1センサ110を用いて選択された第2振動センサ212を用いて精度よく異常振動を検知することができる。
【0068】
(第4の実施の形態)
本実施形態では、上記実施形態のセンサ選択処理手順の具体例について説明する。
第1振動センサ210を用いて、選択部204は生産設備10の主となる回転体の基本周波数で振動レベルが高い方向を抽出する。判定部202は、その方向に対して同一方向にある第2振動センサ212を稼働させて検出値を取得して生産設備10の状態判定を行う。
【0069】
本実施形態によれば、振動源の発生方向を第1振動センサ210の検出結果を元に特定した上で、その方向に配置された超音波センサである第2振動センサ212を用いて検出結果を取得することができる。第1振動センサ210で振動発生源の方向を特定することで、鋭い指向性がある超音波センサ(第2振動センサ212)を用いても、効率的に高精度な検出結果を取得することができる。
【0070】
この構成により、超音波帯域での波動分析では軸受の分析、あるいは、材料の内部亀裂発生時の弾性波の取得が可能になる。また、回転系設備の微動な変化を捉えることが可能になり、故障予兆なども可能になる。
【0071】
上記したように超音波は鋭い指向性を有するため、並進性のする低中周波数に比べ、波動の進行方向に沿ってセンサを配置できれば、高精度な検出結果を取得することができるという利点もある。しかし、情報で、波の進行方向から外れた位置で検出値を取得した場合、状態判定可能な精度で検出値が得られない可能性がある。本実施形態では、比較的安価な3軸振動センサ(第1振動センサ210)を用いて振動波の進行方向を検知し、特定された方向に沿って配置されている超音波センサ(第2振動センサ212)の検出結果を取得することができるので、高精度な振動監視システムを構築することができる。また、選択された第2振動センサ212のみを稼働させる構成では、多数のセンサを稼働させることなく、低消費電力で高精度な振動監視システムを構築することができる。
【0072】
図13は、本実施形態の解析装置200の選択処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13は、
図12のフローチャートのステップS203のセンサ選択処理の詳細手順を示している。
選択部204は、第1センサ110で振動レベルが基準以上の方向を抽出する(ステップS211)。そして、選択部204は、ステップS211で抽出された方向と同じ方向の第2振動センサ212を選択する(ステップS213)。
そして、
図12のフローに戻り、ステップS205で、判定部202は、
図13のステップS213で選択された方向の第2振動センサ212の検出結果を用いて生産設備10の異常判定を行う。
【0073】
図14に示すような、第1振動センサ210の3軸の振動センサの検出結果が得られた場合、X軸の振動センサにピークが現れている。そのため、選択部204は、X軸方向の2つの超音波センサX1とセンサX2を選択する。
【0074】
このように、本実施形態によれば、超音波は指向性を有しているため、異常を示す振動の基本周波数は可聴域であって高調波が超音波領域になる場合、第1センサ110で振動方向を特定し、特定された方向の第2振動センサ212を用いて精度よく異常振動を検知することができる。
【0075】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、
図6の実施形態において、生産設備10が複数の振動源を有する環境振動が大きい大型装置の場合、同じタイミングで計測された第1センサ110、第2センサ112、および第3センサ114の検出結果を用いて、判定部104は第1センサ110、第2センサ112、および第3センサ114の検出値から差動解析といった複合解析により生産設備10の状態判定を行ってもよい。例えば、解析装置100は、
図8のような振動レベルの計測結果を示す画面を解析装置100のディスプレイ(不図示)に表示させ、オペレータや管理者に提示する提示部(不図示)を備え、オペレータや管理者による状態判定結果の入力をユーザインタフェースを用いて受け付け、状態判定を行ってもよい。
【0076】
図4の実施形態において、判定部104は、周波数帯域が互いに異なる複数のセンサ(第1センサ110と第2センサ112)の検出値の第1の平均値が基準未満の場合は、第1の周波数帯域を検出対象としているセンサ(第1センサ110)の検出結果を用いて異常判定を行い、第1の平均値が基準以上の場合は、第1の周波数帯域より大きい第2の周波数帯域を検出対象としているセンサ(第2センサ112)の検出結果を用いて異常判定を行ってもよい。
【0077】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
なお、本発明において利用者に関する情報を取得、利用する場合は、これを適法に行うものとする。
【0078】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. 生産設備に設けられた複数のセンサの検出結果を取得する取得手段と、
取得した前記検出結果を用いて前記生産設備の異常判定を行う判定手段と、を備え、
前記センサは、第1の周波数帯域の振動を検出するための第1センサと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の振動を検出するための第2センサと、を有し、
前記判定手段は、
前記第1センサの検出値を周波数方向に平均した第1の平均値が基準未満の場合は、前記第1センサの検出結果を用いて異常判定を行い、
前記第1の平均値が基準以上の場合は、前記第2センサの検出結果を用いて異常判定を行う解析装置。
2. 1.に記載の解析装置において、
前記第1の周波数帯域は20kHz以下を含み、
前記第2の周波数帯域は20kHz超を含む、解析装置。
3. 1.又は2.に記載の解析装置において、
前記判定手段で前記異常判定を行うセンサの検出結果を選択する選択手段をさらに備え、
前記選択手段は、
前記第1の周波数帯域より小さい第3の周波数帯域を検出するための第3センサの検出値を周波数方向に平均した第2の平均値が、前記基準より小さい第2の基準未満の場合、前記第3の周波数帯域のセンサの検出結果を選択し、
前記第2の平均値が前記第2の基準以上の場合、
前記第1の平均値が前記基準未満の場合、前記第1の周波数帯域のセンサの検出結果を選択し、
前記第1の平均値が前記基準以上の場合は、前記第1の周波数帯域より大きい第2の周波数帯域のセンサの検出結果を選択する、解析装置。
4. 1.から3.のいずれか一つに記載の解析装置において、
前記生産設備は、ベルトコンベアであり、
前記センサは、前記ベルトコンベアに複数設けられる、解析装置。
【0079】
5. 解析装置が、
生産設備に設けられた、第1の周波数帯域の振動を検出するための第1センサと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の振動を検出するための第2センサと、を含む、複数のセンサの検出結果を取得し、
前記第1センサの検出値を周波数方向に平均した平均値が基準未満の場合は、前記第1センサの検出結果を用いて異常判定を行い、
前記平均値が基準以上の場合は、前記第2センサの検出結果を用いて異常判定を行う、解析方法。
6. 5.に記載の解析方法において、
前記第1の周波数帯域は20kHz以下を含み、
前記第2の周波数帯域は20kHz超を含む、解析方法。
7. 5.又は6.に記載の解析方法において、
前記解析装置が、さらに、
前記異常判定を行うセンサの検出結果を選択し、
前記選択する際、
前記第1の周波数帯域より小さい第3の周波数帯域を検出するための第3センサの検出値を周波数方向に平均した第2の平均値が、前記基準より小さい第2の基準未満の場合、前記第3の周波数帯域のセンサの検出結果を選択し、
前記第2の平均値が前記第2の基準以上の場合、
前記第1の平均値が前記基準未満の場合、前記第1の周波数帯域のセンサの検出結果を選択し、
前記第1の平均値が前記基準以上の場合は、前記第1の周波数帯域より大きい第2の周波数帯域のセンサの検出結果を選択する、解析方法。
8. 5.から7.のいずれか一つに記載の解析方法において、
前記生産設備は、ベルトコンベアであり、
前記センサは、前記ベルトコンベアに複数設けられる、解析方法。
【0080】
9. コンピュータに、
生産設備に設けられた、第1の周波数帯域の振動を検出するための第1センサと、前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域の振動を検出するための第2センサと、を含む、複数のセンサの検出結果を取得する手順、
前記第1センサの検出値を周波数方向に平均した平均値が基準未満の場合は、前記第1センサの検出結果を用いて異常判定を行う手順、
前記平均値が基準以上の場合は、前記第2センサの検出結果を用いて異常判定を行う手順、を実行させるためのプログラム。
10. 9.に記載のプログラムにおいて、
前記第1の周波数帯域は20kHz以下を含み、
前記第2の周波数帯域は20kHz超を含む、プログラム。
11. 9.又は10.に記載のプログラムにおいて、
前記異常判定を行うセンサの検出結果を選択する手順、をさらにコンピュータに実行させ、
前記選択する手順において、
前記第1の周波数帯域より小さい第3の周波数帯域を検出するための第3センサの検出値を周波数方向に平均した第2の平均値が、前記基準より小さい第2の基準未満の場合、前記第3の周波数帯域のセンサの検出結果を選択する手順、
前記第2の平均値が前記第2の基準以上の場合、
前記第1の平均値が前記基準未満の場合、前記第1の周波数帯域のセンサの検出結果を選択する手順、
前記第1の平均値が前記基準以上の場合は、前記第1の周波数帯域より大きい第2の周波数帯域のセンサの検出結果を選択する手順、をさらにコンピュータに実行させるためのプログラム。
12. 9.から11.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
前記生産設備は、ベルトコンベアであり、
前記センサは、前記ベルトコンベアに複数設けられる、プログラム。
【0081】
13. 生産設備に設けられた、複数方向の可聴域の第1の振動センサ、及び複数方向の超音波領域の第2の振動センサの検出結果を用いて前記生産設備の異常判定を行う判定手段と、
前記第1の振動センサの振動検出結果を用いて、前記異常判定に用いる前記第2の振動センサを選択する選択手段と、を備える解析装置。
14. 13.に記載の解析装置において、
前記選択手段は、
前記第1の振動センサで振動レベルが基準以上の方向を抽出し、
抽出された前記方向と同じ方向の前記第2の振動センサを前記異常判定に用いるセンサとして選択する、解析装置。
15. 13.又は14.に記載の解析装置において、
前記第1の振動センサは、3軸の振動センサであり、
前記第2の振動センサは、前記3軸と同じ方向にそれぞれ設けられた6個の超音波センサを含む、解析装置。
16. 13.から15.のいずれか一つに記載の解析装置において、
前記生産設備は、ベルトコンベアであり、
前記第1の振動センサおよび前記第2の振動センサは、前記ベルトコンベアに設けられる、解析装置。
【0082】
17. 生産設備に設けられ、当該生産設備の振動を検出するセンサの構造であって、
複数方向の可聴域の第1の振動センサと、
複数方向の超音波領域の第2の振動センサと、を含み、
前記第1の振動センサは、3軸の振動センサであり、
前記第2の振動センサは、前記3軸と同じ方向にそれぞれ設けられた少なくとも6個の超音波センサを含む、センサの構造。
18. 17.に記載のセンサの構造において、
複数の前記第2の振動センサは、前記生産設備の各外面に対して、少なくとも一つ設けられる、センサの構造。
【0083】
19. 解析装置が、
生産設備に設けられた、複数方向の可聴域の第1の振動センサ、及び複数方向の超音波領域の第2の振動センサの検出結果を用いて前記生産設備の異常判定を行い、
前記第1の振動センサの振動検出結果を用いて、前記異常判定に用いるべき前記第2の振動センサを選択する、解析方法。
20. 19.に記載の解析方法において、
前記解析装置が、
前記第2の振動センサを選択する際に、
前記第1の振動センサで振動レベルが基準以上の方向を抽出し、
抽出された前記方向と同じ方向の前記第2の振動センサを前記異常判定に用いるセンサとして選択する、解析方法。
21. 19.又は20.に記載の解析方法において、
前記第1の振動センサは、3軸の振動センサであり、
前記第2の振動センサは、前記3軸と同じ方向にそれぞれ設けられた6個の超音波センサを含む、解析方法。
22. 19.から21.のいずれか一つに記載の解析方法において、
前記生産設備は、ベルトコンベアであり、
前記第1の振動センサおよび前記第2の振動センサは、前記ベルトコンベアに設けられる、解析方法。
【0084】
23. コンピュータに、
生産設備に設けられた、複数方向の可聴域の第1の振動センサ、及び複数方向の超音波領域の第2の振動センサの検出結果を用いて前記生産設備の異常判定を行う手順、
前記第1の振動センサの振動検出結果を用いて、前記異常判定に用いるべき前記第2の振動センサを選択する手順、を実行させるためのプログラム。
24. 23.に記載のプログラムにおいて、
前記選択する手順において、
前記第1の振動センサで振動レベルが基準以上の方向を抽出する手順、
抽出された前記方向と同じ方向の前記第2の振動センサを前記異常判定に用いるセンサとして選択する手順、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
25. 23.又は24.に記載のプログラムにおいて、
前記第1の振動センサは、3軸の振動センサであり、
前記第2の振動センサは、前記3軸と同じ方向にそれぞれ設けられた6個の超音波センサを含む、プログラム。
26. 23.から25.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
前記生産設備は、ベルトコンベアであり、
前記第1の振動センサおよび前記第2の振動センサは、前記ベルトコンベアに設けられる、プログラム。
【0085】
この出願は、2019年2月5日に出願された日本出願特願2019-019038号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。