(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】電気コネクタおよび該電気コネクタの検査方法
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20221206BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R43/00 Z
(21)【出願番号】P 2020571262
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2020004584
(87)【国際公開番号】W WO2020162548
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2019020664
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】大岩根 寿倫
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-212040(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025873(WO,A1)
【文献】特開2010-157368(JP,A)
【文献】特開2006-100240(JP,A)
【文献】特開2017-033909(JP,A)
【文献】特開2001-006818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 13/652
H01R 43/00
G01R 31/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性のハウジングと、前記ハウジングに保持される内部端子と、前記ハウジングに保持されるとともにグランドに電気的に接続される外部端子とを備える電気コネクタであって、
前記外部端子は、コネクタ挿抜方向からの平面視で、第1係合壁部を
内側に有するとともに第2係合壁部を
外側に有する嵌合部を備え、
前記嵌合部は、断面視でU字状に屈曲した形状を有し、
前記第1係合壁部
の内側面には第1係合部が形成されているとともに、前記第2係合壁部の外側面には第2係合部が形成され、
前記ハウジングと前記第2係合壁部との間には、前記コネクタ挿抜方向に延在する隙間が形成されている、電気コネクタ。
【請求項2】
前記電気コネクタが、前記電気コネクタと対を構成する他の電気コネクタと嵌合する場合において、前記第1係合部が係合状態にあるとともに、前記第2係合部が非係合状態にある、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第2係合部が凹形状を有するとともに、前記第2係合壁部の内側面が平坦形状を有する、請求項1または請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第1係合壁部がコネクタ係合壁部であり、前記第1係合部がコネクタ係合部であり、前記第2係合壁部が検査用係合壁部であり、前記第2係合部が検査用係合部である、請求項1
から請求項3のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記電気コネクタを回路基板に実装したとき、前記検査用係合壁部が前記回路基板に固定して支持されるとともに、前記コネクタ係合壁部が自由端部として弾性的に支持される、請求項
4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記嵌合部には、
前記コネクタ挿抜方向に垂直な面に平行に延在する平坦面が設けられている、請求項
5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記検査用係合部が、前記平坦面に対して傾斜した検査用係合面を有し、
前記検査用係合面が、検査時において前記平坦面の方向に付勢する力が働くように傾斜している、請求項
6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記コネクタ挿抜方向からの平面視で、前記コネクタ係合部が前記電気コネクタの内側に配置され、前記検査用係合部が前記電気コネクタの外側に配置される、請求項
4に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記嵌合部において、前記検査用係合部が、前記電気コネクタの外側に形成された凹部または貫通孔である、請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記電気コネクタが、前記内部端子を複数個配列した多極コネクタである、請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
電気絶縁性のハウジングと、前記ハウジングに保持される内部端子と、前記ハウジングに保持されるとともにグランドに電気的に接続される外部端子とを備える電気コネクタであって、
前記外部端子は、前記内部端子に対面する側に位置する内側面と、コネクタ挿抜方向に直交する挿抜直交方向において前記内側面の反対側に位置する外側面と、前記内側面に形成された第1係合部と、前記外側面に形成された第2係合部とを有
し、
前記ハウジングと、前記第2係合部が形成された前記外側面の反対に位置して前記ハウジングに対向する対向面との間には、コネクタ挿抜方向に延在する隙間が形成されている、電気コネクタ。
【請求項12】
前記電気コネクタが、前記電気コネクタと対を構成する他の電気コネクタと嵌合する場合において、前記第1係合部が係合状態にあるとともに、前記第2係合部が非係合状態にある、請求項11に記載の電気コネクタ。
【請求項13】
前記第2係合部が凹形状を有するとともに、前記対向面が平坦形状を有する、請求項11または請求項12に記載の電気コネクタ。
【請求項14】
前記第1係合部がコネクタ係合部であり、前記第2係合部が検査用係合部である、請求項
11に記載の電気コネクタ。
【請求項15】
前記第1係合部は、前記内側面から前記挿抜直交方向に突出する突出部である、請求項
11から14のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項16】
前記第1係合部は、付勢力が働くように前記外部端子の前記内側面に支持されている、請求項
11から請求項15のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項17】
前記第2係合部が、前記外側面に形成された凹部または貫通孔である、請求項
11から請求項16のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項18】
請求項1から請求項
10および請求項
11から請求項
17のいずれか1項に記載の前記電気コネクタを準備するコネクタ準備工程と、
前記第2係合部に係合する外部端子係合部を有する検査装置を準備する検査装置準備工程と、
前記外部端子係合部が前記第2係合部に係合した状態で、前記検査装置を用いて前記電気コネクタを検査する検査工程とを備える、電気コネクタの検査方法。
【請求項19】
前記検査工程では、前記外部端子
に設けられた平坦面が、前記検査装置のグランド当接部材に設けられたグランド当接面に当接する、請求項
18に記載の電気コネクタの検査方法。
【請求項20】
前記検査工程では、前記外部端子係合部での外部端子係合面が、前記第2係合部での第2係合面に係合することによって、前記平坦面を前記検査装置の方に向かわせる力が生じる、請求項
19に記載の電気コネクタの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気コネクタおよび該電気コネクタの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタセットでは、第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の電気コネクタセットでは、第1コネクタの第1外部端子に設けられた第1コネクタ係合部と第2コネクタの第2外部端子に設けられた第2コネクタ係合部とが互いに係合する。これにより、第2コネクタが第1コネクタに嵌合して、第2コネクタが第1コネクタから不用意に外れることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査装置を用いて電気コネクタを検査するとき、例えば、電気コネクタと検査装置とが互いに嵌合しない構成とすることができる。この場合、検査装置のプローブが、電気コネクタの内部端子に対して安定して接触できないため、検査結果のばらつきが大きくなる。
【0006】
また、検査装置を用いて電気コネクタを検査するとき、検査装置の検査用係合部材に検査用係合部を設けて、該検査用係合部がコネクタ係合部(第1コネクタ係合部や第2コネクタ係合部)と係合する構成にすることができる。このとき、検査工程によっては、コネクタ係合部の摩耗や変形が発生する可能性があり、これにより、コネクタ係合部の抜去力が劣化するおそれがある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、コネクタ係合部の抜去力に影響を及ぼすことなく、安定した検査を行うことができる電気コネクタおよび該電気コネクタの検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明に係る電気コネクタは、
電気絶縁性のハウジングと、前記ハウジングに保持される内部端子と、前記ハウジングに保持されるとともにグランドに電気的に接続される外部端子とを備える電気コネクタであって、
前記外部端子は、コネクタ挿抜方向からの平面視で、第1係合壁部を一側に有するとともに検査用係合壁部を他側に有する嵌合部を備え、
前記第1係合壁部には第1係合部が形成されているとともに、前記第2係合壁部には第2係合部が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る電気コネクタによれば、第1係合部および第2係合部が、それぞれ、嵌合部の一側および他側において別々に形成されていることにより、第1係合部の抜去力に影響を及ぼさず、安定した検査が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る電気コネクタセットを展開した斜視図である。
【
図2】
図1に示した電気コネクタセットの平面図である。
【
図3】
図1に示した電気コネクタセットのうちの第1コネクタを展開した斜視図である。
【
図4】
図1に示した電気コネクタセットのうちの第2コネクタを展開した斜視図である。
【
図5】第1コネクタにおける嵌合部を示す断面図である。
【
図6】第1コネクタを検査装置で検査している状態を模式的に示す断面図である。
【
図7】第1コネクタおよび検査装置が嵌合している状態を模式的に示す断面図である。
【
図8】第1コネクタおよび検査装置が嵌合している状態の要部を示す断面図である。(A)は、
図7での嵌合状態を示す。(B)は、第1変形例に係る嵌合構造を示す。(C)は、第2変形例に係る嵌合構造を示す。
【
図9】第1コネクタおよび検査装置が嵌合している状態の要部を示す断面図である。(A)は、第3変形例に係る嵌合構造を示す。(B)は、第4変形例に係る嵌合構造を示す。(C)は、第5変形例に係る嵌合構造を示す。
【
図10】検査装置を用いた電気コネクタの検査方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る電気コネクタを説明するが、まずは、電気コネクタとしての第1コネクタ2および第2コネクタ4を備える電気コネクタセット1を説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を示している。
【0012】
〔電気コネクタセット〕
図1は、一実施形態に係る電気コネクタセット1を展開した斜視図である。
図2は、
図1に示した電気コネクタセット1の平面図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、電気コネクタセット1は、第1コネクタ2と、第1コネクタ2との嵌合相手である第2コネクタ4とを備える。第1コネクタ2は、第2コネクタ4に対してコネクタ挿抜方向(Z軸方向)に挿抜可能に嵌合するように構成されている。
図1に示すように、電気コネクタセット1は、第2コネクタ4を第1コネクタ2に対向させた状態で第2コネクタ4を第1コネクタ2に向けて(コネクタ挿入方向に)移動させることによって、第1コネクタ2および第2コネクタ4が互いに嵌合するように構成されている。第1コネクタ2および第2コネクタ4は、それぞれ、別個の回路基板(図示しない)に実装されて電気的に接続される。
【0014】
〔第1コネクタ〕
図3は、
図1に示した電気コネクタセット1のうちの第1コネクタ2を展開した斜視図である。
【0015】
図1から
図3に示すように、第1コネクタ2は、例えば、第1外部端子10と、複数の第1内部端子14と、第1ハウジング12と、第1シールド部材15とを備える多極コネクタである。
【0016】
各第1内部端子14は、信号電位又はグランド電位に接続される導体である。第1内部端子14は、導電性を有する棒状の部材を折り曲げることによって、所定の形状に形成されている。第1内部端子14は、弾性変形可能な金属材料(例えば、リン青銅)からなる。
図3に例示した第1内部端子14は、例えば凸形状をしているので、通常、オス型の多極接続端子とも呼ばれる。第1内部端子14は、第1ハウジング12の溝に嵌め込まれて保持される。第1内部端子14は、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合状態にあるとき、後述する第2コネクタ4の第2内部端子24に接触する。第1内部端子14が第2内部端子24に接触することにより、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが、互いに電気的に接続される。
【0017】
第1内部端子14は、複数列で配置され、1列につき複数個並べられている。
図3に示す例では、第1内部端子14は、2列で配置され、1列につき6個並べられる。例えば、第1コネクタ2の長手方向を、すなわち第1内部端子14の複数個が1列で並んでいる方向を、X軸方向とする。また、第1コネクタ2の短手方向を、すなわち第1内部端子14の延在方向をY軸方向とする。なお、Y軸方向は、コネクタ挿抜方向(Z軸方向)に直交する挿抜直交方向でもある。
【0018】
第1ハウジング12は、前述した第1内部端子14、後述する第1外部端子10および第1シールド部材15を一体的に保持する部材である。第1ハウジング12は、電気絶縁性の材料(例えば、樹脂材料)からなる。
【0019】
第1コネクタ2は、例えば、第1内部端子14、第1外部端子10および第1シールド部材15を、第1ハウジング12と一体的にインサート成形することにより製造される。
【0020】
第1外部端子10は、グランド電位に接続される導体である。第1外部端子10は、弾性変形可能な金属材料(例えば、リン青銅)からなる。第1外部端子10は、グランド電位に電気的に接続されることで、第1コネクタ2の外部からの電磁波を遮蔽して、第1コネクタ2内を電磁的に遮蔽する。第1外部端子10は、特に、第1内部端子14が第1コネクタ2の外部から電磁波の干渉を受けないようにする。第1外部端子10は、第1内部端子14を囲むように第1ハウジング12の周囲の溝に嵌め込まれて保持される。
【0021】
第1シールド部材15は、第1内部端子14の列間における電磁波の干渉を抑制するための導電性の部材である。第1シールド部材15は、第1内部端子14の列間に配置されるとともに、第1ハウジング12の溝に嵌め込まれて保持される。
【0022】
第1シールド部材15は、第1外部端子10と直接的には接触していないが、第1コネクタ2が接続される回路基板(図示しない)上において、第1外部端子10と電気的に接続されている。当該接続により、第1シールド部材15は、第1外部端子10と一体的にグランド電位に電気的に接続される。グランド電位に電気的に接続された第1シールド部材15は、電磁波のシールドを構築する。第1シールド部材15によって、第1内部端子14の列間における電磁波の干渉が抑制される。
【0023】
〔第2コネクタ〕
図4は、
図1に示した電気コネクタセット1のうちの第2コネクタ4を展開した斜視図である。
【0024】
図1、
図2および
図4に示すように、第2コネクタ4は、第2外部端子20と、複数の第2内部端子24と、第2ハウジング22と、第2シールド部材25とを備える多極コネクタである。第2コネクタ4の各構成は、第1コネクタ2の各構成と類似しているため、その説明を適宜に省略する。
【0025】
第2内部端子24は、前述した第1コネクタ2の第1内部端子14に接触する導体であり、第2ハウジング22に保持されている。第2内部端子24は、第1内部端子14と同様に、棒状の部材を折り曲げることによって、所定の形状に形成されている。第2内部端子24は、弾性変形可能な金属材料(例えば、リン青銅)からなる。
図4に例示した第2内部端子24は、例えば凹形状をしているので、通常、メス型の多極接続端子とも呼ばれる。
【0026】
各第2内部端子24は、第1コネクタ2の第1内部端子14のそれぞれに対応して設けられている。具体的には、第2内部端子24も、1列につき6個が2列で配置されている。第2内部端子24のそれぞれが、第1内部端子14のそれぞれと一対一に対応している。
【0027】
第2ハウジング22は、前述した第1ハウジング12と同様に、第2内部端子24、第2外部端子20および第2シールド部材25を一体的に保持する部材である。第2ハウジング22は、電気絶縁性の材料(例えば、樹脂材料)からなる。
【0028】
第2外部端子20は、前述した第1外部端子10と同様に、第2内部端子24が第2コネクタ4の外部の電磁波から干渉を受けないようにするためにグランド電位に接続される導体である。第2外部端子20は、弾性変形可能な金属材料(例えば、リン青銅)からなる。第2外部端子20は、第2内部端子24を囲むように配置される。
【0029】
第2シールド部材25は、前述した第1シールド部材15と同様に、第2内部端子24の列間における電磁波の干渉を抑制するための導電性の部材である。第2シールド部材25は、第2内部端子24の列が並ぶX軸方向に延びる板状の部材として構成されている。第2シールド部材25は、第2コネクタ4が実装される回路基板(図示しない)上で第2外部端子20と電気的に接続されている。
【0030】
上述した第2コネクタ4においては、第1コネクタ2と同様に、第2外部端子20によって、外部からの電磁波の干渉が抑制されるとともに、第2シールド部材25によって、第2内部端子24の列間における電磁波の干渉が抑制される。
【0031】
〔電気コネクタ同士の嵌合構造〕
第1コネクタ2の第1外部端子10は、複数の第1嵌合部11を有する。
図3に例示した第1外部端子10は、一側の長手方向(X軸方向)において対向する2つの第1嵌合部11を有し、他側の長手方向(X軸方向)において対向する2つの第1嵌合部11を有し、合計4つの第1嵌合部11を有する。各第1嵌合部11は、例えば、長手方向(X軸方向)のコーナー部付近に配設されている。
【0032】
図5に示すように、第1外部端子10の各第1嵌合部11は、断面視で逆U字状に屈曲しており、第1コネクタ係合壁部17と連結部18と検査用係合壁部19とを有する。第1嵌合部11は、コネクタ挿抜方向(Z軸方向)からの平面視で、第1コネクタ係合壁部17を一側に(例えば、内側に)有するとともに、検査用係合壁部19を他側に(例えば、外側に)有する。
【0033】
第1コネクタ係合壁部17は、第1外部端子10(第1嵌合部11)の一側に(例えば、内側に)位置する。検査用係合壁部19は、第1外部端子10(第1嵌合部11)の他側に(例えば、外側に)位置する。連結部18は、第1コネクタ係合壁部17の上部と、検査用係合壁部19の上部とをつないでいる。
【0034】
第1コネクタ2を回路基板(図示しない)に実装したとき、検査用係合壁部19は、その下端に位置する第1実装面11bを介して、回路基板での実装部(図示しない)に固定して支持される。すなわち、第1嵌合部11は、実装時において、検査用係合壁部19の側において片持ちで弾性的に支持される構成をしている。第1コネクタ係合壁部17の上部は連結部18につながっているが、第1コネクタ係合壁部17の下端は、何もつながれていない自由端となっている。したがって、第1コネクタ係合壁部17は、自由端部として弾性的に片持ちで支持されている。当該構成によれば、第1嵌合部11の第1コネクタ係合壁部17を、嵌合相手である第2コネクタ4の第2嵌合部21に向けて付勢する付勢力が働くので、第1嵌合部11と第2嵌合部21との間での嵌合が安定する。
【0035】
コネクタ挿抜方向からの平面視で、第1コネクタ2の内側には、すなわち、第1コネクタ係合壁部17の内側面17fには、第1コネクタ係合部17aが形成されている。第1コネクタ係合部17aは、例えば、嵌合相手である第2コネクタ4の第2嵌合部21に向けて(すなわち、挿抜直交方向(Y軸方向)に)突出する凸形状をした突出部である。これにより、嵌合相手である第2コネクタ4の第2嵌合部21に対する嵌合が容易になる。
【0036】
図1および
図4に示すように、第2外部端子20の各第2嵌合部21は、第2コネクタ4の厚み方向(Z軸方向)の下方に折り曲げられた形状をしている。第2嵌合部21の外側面には、第2コネクタ係合部27aが形成されている。第2コネクタ係合部27aは、例えば、第1嵌合部11の第1コネクタ係合部17aと係合可能なように凹んだ凹形状をしている。第2コネクタ係合部27aは、第1コネクタ係合部17aに対応する位置に配設されている。前述したように、第1コネクタ係合壁部17には付勢力が働くため、第2コネクタ4を第1コネクタ2に向けて(コネクタ挿入方向に)移動させると、第1嵌合部11が第2嵌合部21に対して安定して嵌合する。第1コネクタ2および第2コネクタ4が互いに嵌合したとき、凸形状の第1コネクタ係合部17aが凹形状の第2コネクタ係合部27aに係合している。上述したように、第1コネクタ係合部17aが形成された第1コネクタ係合壁部17は、弾性的に片持ちで支持されているので、第1コネクタ係合部17aには付勢力が働くように構成されている。これにより、第1コネクタ係合部17aの係合相手である第2コネクタ係合部27aとの係合が安定する。
【0037】
〔第1コネクタと検査装置との間での嵌合構造〕
図6、
図7および
図8を参照しながら、第1コネクタ2と検査装置との嵌合構造を説明する。
【0038】
検査装置30は、プローブ(図示しない)と検査用係合部材31とグランド当接部材35と検査装置本体(図示しない)とを備える。プローブは、上方から下方に脚状に延びる導体であって、検査装置本体と電気的に接続されている。プローブが第1コネクタ2の第1内部端子14に接触して電気的に接続されることによって、第1コネクタ2の検査が行われる。
【0039】
グランド当接部材35は、グランド電位に接続される導体である。グランド当接部材35の下面には、グランド当接面36が形成されている。グランド当接面36は、例えば平坦な面である。第1嵌合部11の連結部18の上面には、第1平坦面11aが形成されている。第1平坦面11aは、コネクタ挿抜方向(Z軸方向)に垂直な面に平行に延在している。検査装置30を用いて第1コネクタ2の検査が行われるとき、グランド当接面36が第1平坦面11aに当接することができる。すなわち、第1嵌合部11には、検査装置30のグランド当接部材35と当接することができる第1平坦面11aが形成されている。これにより、グランド当接部材35と第1嵌合部11とが、互いに電気的に接続される。したがって、第1嵌合部11およびグランド当接部材35が、グランド電位に電気的に接続されるので、検査装置30のプローブによる第1コネクタ2の検査が安定する。
【0040】
検査用係合部材31は、上方から下方に脚状に延びる弾性部材であり、例えば電気絶縁性の樹脂材料からなる。検査用係合部材31の上部が検査装置本体に固定して支持されている一方、検査用係合部材31の下部が何もつながれていない自由端となっている。したがって、検査用係合部材31は、片持ちで弾性的に支持されている。
【0041】
検査用係合部材31の下部には、外部端子係合部32が設けられている。外部端子係合部32は、例えば、嵌合時に対面する第1嵌合部11に向けて突出した凸形状をしている。外部端子係合部32の上面には、外部端子係合面33が形成されている。外部端子係合面33は、例えば、嵌合時に対面する第1嵌合部11に向けて下り勾配を有する斜面又は曲面である。
図7では、外部端子係合面33は、第1嵌合部11に向けて下り勾配を有する斜面として図示されている。
【0042】
コネクタ挿抜方向からの平面視で、第1コネクタ2の外側には、すなわち、第1嵌合部11の検査用係合壁部19の外側面19f(嵌合時に対面する検査用係合部材31の側の面)には、検査用係合部19aが形成されている。検査用係合部19aは、例えば、第1コネクタ2を検査する検査装置30の検査用係合部材31が、第1コネクタ2に係合するための係合部である。ただし、コネクタ同士の嵌合においてコネクタ係合部の係合力を補うためのコネクタ補助係合部として、検査用係合部19aを利用することもできる。検査用係合部19aは、検査用係合部材31の外部端子係合部32と係合可能なように、第1外部端子10の外側面19fに対して凹んでいる凹形状の凹部である。より詳細には、
図8の(A)に示すように、検査用係合部19aは、第2係合壁部19の外側面19fに対して凹んでいる凹形状の凹部である。また、検査用係合部19aは、第2係合壁部19を貫通する貫通孔とすることができる。これにより、検査するときの嵌合が容易になる。
【0043】
検査用係合部19aの上面には、第2係合面として働く検査用係合面19bが形成されている。検査用係合面19bは、第1平坦面11aに対して、例えば、嵌合時に対面する検査用係合部材31に向けて上り勾配を有する斜面又は曲面である。
図7では、検査用係合面19bは、検査用係合部材31に向けて上り勾配を有する斜面として図示されている。なお、第1嵌合部11において、検査用係合部19aおよび第1コネクタ係合部17aが、コネクタ挿抜方向(Z軸方向)および長手方向(X軸方向)において大略同じ位置に位置するように構成されている。
【0044】
検査装置30を第1コネクタ2に向けて(コネクタ挿入方向に:
図7における白抜きの矢印方向に)移動させると、検査装置30の検査用係合部材31が第1コネクタ2の第1嵌合部11に嵌合する。検査用係合部材31および第1嵌合部11が互いに嵌合したとき、凸形状の外部端子係合部32が凹形状の検査用係合部19aに係合している。このとき、
図8の(A)に示すように、外部端子係合面33が検査用係合面19bに対して面状に係合している。当該構成によれば、検査装置30と第1コネクタ2との間でのより確実な嵌合が実現される。
【0045】
外部端子係合面33が下り勾配を有する斜面であり且つ検査用係合面19bが上り勾配を有する斜面であるので、係合時において、検査用係合壁部19を検査装置30の側に指向させる力が働く。すなわち、検査用係合壁部19の検査用係合部19aに対して上向き(Z軸方向:
図7における黒矢印方向)に付勢する力が働く。上向きの力によって、検査用係合壁部19が、第1平坦面11aの方向に、すなわち、グランド当接部材35の方向に付勢される(押し上げられる)。したがって、グランド当接面36と第1平坦面11aとが密着して当接するので、第1嵌合部11およびグランド当接部材35が、グランド電位に安定して電気的に接続されて、第1コネクタ2の検査が安定する。
【0046】
したがって、コネクタ係合部17aおよび検査用係合部19aが、それぞれ、嵌合部11の一側および他側において別々に形成されていることにより、検査のときにコネクタ係合部17aが使用されないので、コネクタ係合部17aの抜去力に影響を及ぼさず、安定した検査が可能になる。
【0047】
また、第1コネクタ2と検査装置30との間での嵌合が安定しているので、多極コネクタである第1コネクタ2の検査を簡単に且つ確実に行うことができる。
【0048】
〔嵌合構造の変形例〕
図8および
図9を参照しながら、第1コネクタ2と検査装置30との間での嵌合構造の変形例を説明するが、上記実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】
図8の(B)は、第1変形例に係る嵌合構造を示す。
図8の(B)では、外部端子係合部32が、嵌合時に対面する第1嵌合部11に向けて突出した凸形状をしているとともに、外部端子係合部32の上面には、外部端子係合面33が形成されている。外部端子係合面33は、嵌合時に対面する第1嵌合部11に向けて下り勾配を有する斜面である。
【0050】
他方、第1嵌合部11の検査用係合壁部19の外側面19f(嵌合時に対面する検査用係合部材31の側の面)では、検査用係合部材31の外部端子係合部32と係合可能なように凹んだ凹形状の検査用係合部19aが形成されている。検査用係合部19aの上面には、検査用係合部材31に向けて短手方向(Y軸方向、挿抜直交方向)に延びる検査用係合面19bが形成されている。
【0051】
検査装置30を第1コネクタ2に向けて(コネクタ挿入方向に:図中の白抜きの矢印方向に)移動させて、検査用係合部材31および第1嵌合部11が互いに嵌合したとき、凸形状の外部端子係合部32が凹形状の検査用係合部19aに係合している。このとき、検査用係合面19bの先端部が外部端子係合面33に対して紙面奥行き方向(X軸方向)に線状に係合している。
【0052】
外部端子係合面33が下り勾配を有する斜面であるので、係合時において、検査用係合壁部19の検査用係合部19aに対して上向き(図中の黒矢印方向)の力が働く。上向きの力によって、検査用係合壁部19がグランド当接部材35の方に付勢される(押し上げられる)。したがって、グランド当接面36と第1平坦面11aとが密着して当接するので、第1嵌合部11およびグランド当接部材35が、グランド電位に安定して電気的に接続される。
【0053】
図8の(C)は、第2変形例に係る嵌合構造を示す。
図8の(C)では、外部端子係合部32が、嵌合時に対面する第1嵌合部11に向けて突出した凸形状をしているとともに、外部端子係合部32の上面には、検査用係合壁部19に向けて短手方向(Y軸方向、挿抜直交方向)に延びる外部端子係合面33が形成されている。
【0054】
他方、第1嵌合部11の検査用係合壁部19の外側面19f(嵌合時に対面する検査用係合部材31の側の面)では、検査用係合部材31の外部端子係合部32と係合可能なように凹んだ凹形状の検査用係合部19aが形成されている。検査用係合部19aの上面には、検査用係合部材31に向けて上り勾配を有する斜面の検査用係合面19bが形成されている。
【0055】
検査装置30を第1コネクタ2に向けて(コネクタ挿入方向に:図中の白抜きの矢印方向に)移動させて、検査用係合部材31および第1嵌合部11が互いに嵌合したとき、凸形状の外部端子係合部32が凹形状の検査用係合部19aに係合している。このとき、外部端子係合面33の先端部が検査用係合面19bに対して紙面奥行き方向(X軸方向)に線状に係合している。
【0056】
検査用係合面19bが上り勾配を有する斜面であるので、係合時において、検査用係合壁部19の検査用係合部19aに対して上向き(図中の黒矢印方向)の力が働く。上向きの力によって、検査用係合壁部19がグランド当接部材35の方に付勢される(押し上げられる)。したがって、グランド当接面36と第1平坦面11aとが密着して当接するので、第1嵌合部11およびグランド当接部材35が、グランド電位に安定して電気的に接続される。
【0057】
図9の(A)は、第3変形例に係る嵌合構造を示す。
図9の(A)では、検査用係合部材31の下部の内側面(嵌合時に対面する検査用係合壁部19の側の面)では、検査用係合壁部19の検査用係合部19aと係合可能なように凹んだ凹形状の外部端子係合部32が形成されている。外部端子係合部32の下面には、第1嵌合部11に向けて下り勾配を有する斜面の外部端子係合面33が形成されている。
【0058】
他方、第1嵌合部11の検査用係合壁部19の外側面19f(嵌合時に対面する検査用係合部材31の側の面)では、嵌合時に対面する検査用係合部材31に向けて突出した凸形状の検査用係合部19aが形成されている。検査用係合部19aの下面には、検査用係合部材31に向けて上り勾配を有する斜面の検査用係合面19bが形成されている。
【0059】
検査装置30を第1コネクタ2に向けて(コネクタ挿入方向に:図中の白抜きの矢印方向に)移動させて、検査用係合部材31および第1嵌合部11が互いに嵌合したとき、凸形状の検査用係合部19aが凹形状の外部端子係合部32に係合している。このとき、検査用係合面19bが外部端子係合面33に対して面状に係合している。
【0060】
外部端子係合面33が下り勾配を有する斜面であり且つ検査用係合面19bが上り勾配を有する斜面であるので、係合時において、検査用係合壁部19を検査装置30の側に指向させる力が働く。すなわち、検査用係合壁部19の検査用係合部19aに対して上向き(図中の黒矢印方向)の力が働く。上向きの力によって、検査用係合壁部19がグランド当接部材35の方に付勢される(押し上げられる)。したがって、グランド当接面36と第1平坦面11aとが密着して当接するので、第1嵌合部11およびグランド当接部材35が、グランド電位に安定して電気的に接続される。
【0061】
図9の(B)は、第4変形例に係る嵌合構造を示す。
図9の(B)では、検査用係合部材31の下部の内側面(嵌合時に対面する検査用係合壁部19の側の面)では、検査用係合壁部19の検査用係合部19aと係合可能なように凹んだ凹形状の外部端子係合部32が形成されている。外部端子係合部32の下面には、第1嵌合部11に向けて下り勾配を有する斜面の外部端子係合面33が形成されている。
【0062】
他方、第1嵌合部11の検査用係合壁部19の外側面19f(嵌合時に対面する検査用係合部材31の側の面)では、嵌合時に対面する検査用係合部材31に向けて突出した凸形状の検査用係合部19aが形成されている。検査用係合部19aの下面には、検査用係合部材31に向けて短手方向(Y軸方向、挿抜直交方向)に延びる検査用係合面19bが形成されている。
【0063】
検査装置30を第1コネクタ2に向けて(コネクタ挿抜方向に:図中の白抜きの矢印方向に)移動させて、検査用係合部材31および第1嵌合部11が互いに嵌合したとき、凸形状の検査用係合部19aが凹形状の外部端子係合部32に係合している。このとき、検査用係合面19bの先端部が外部端子係合面33に対して紙面奥行き方向(X軸方向)に線状に係合している。
【0064】
外部端子係合面33が下り勾配を有する斜面であるので、係合時において、検査用係合壁部19の検査用係合部19aに対して上向き(図中の黒矢印方向)の力が働く。上向きの力によって、検査用係合壁部19がグランド当接部材35の方に付勢される(押し上げられる)。したがって、グランド当接面36と第1平坦面11aとが密着して当接するので、第1嵌合部11およびグランド当接部材35が、グランド電位に安定して電気的に接続される。
【0065】
図9の(C)は、第5変形例に係る嵌合構造を示す。
図9の(C)では、検査用係合部材31の下部の内側面(嵌合時に対面する検査用係合壁部19の側の面)では、検査用係合壁部19の検査用係合部19aと係合可能なように凹んだ凹形状の外部端子係合部32が形成されている。外部端子係合部32の下面には、検査用係合壁部19に向けて短手方向(Y軸方向、挿抜直交方向)に延びる外部端子係合面33が形成されている。
【0066】
他方、第1嵌合部11の検査用係合壁部19の外側面19f(嵌合時に対面する検査用係合部材31の側の面)では、嵌合時に対面する検査用係合部材31に向けて突出した凸形状の検査用係合部19aが形成されている。検査用係合部19aの下面には、検査用係合部材31に向けて上り勾配を有する斜面の検査用係合面19bが形成されている。
【0067】
検査装置30を第1コネクタ2に向けて(コネクタ挿抜方向に:図中の白抜きの矢印方向に)移動させて、検査用係合部材31および第1嵌合部11が互いに嵌合したとき、凸形状の検査用係合部19aが凹形状の外部端子係合部32に係合している。このとき、外部端子係合面33の先端部が検査用係合面19bに対して紙面奥行き方向(X軸方向)に線状に係合している。
【0068】
検査用係合面19bが上り勾配を有する斜面であるので、係合時において、検査用係合壁部19の検査用係合部19aに対して上向き(図中の黒矢印方向)の力が働く。上向きの力によって、検査用係合壁部19がグランド当接部材35の方に付勢される(押し上げられる)。したがって、グランド当接面36と第1平坦面11aとが密着して当接するので、第1嵌合部11およびグランド当接部材35が、グランド電位に安定して電気的に接続される。
【0069】
以上のように、検査用係合部19aの検査用係合面19bおよび外部端子係合部32の外部端子係合面33の少なくとも一方は、検査用係合壁部19を検査装置30の方に指向させる力が働くように構成されている。当該構成によれば、グランド当接面36と第1平坦面11aとが密着して当接するので、第1嵌合部11およびグランド当接部材35が、グランド電位に安定して電気的に接続されて、第1コネクタ2の検査が安定する。
【0070】
〔電気コネクタの検査方法〕
図10を参照しながら、検査装置30を用いた第1コネクタ2の検査方法を説明する。
【0071】
図10は、検査装置30を用いた第1コネクタ2の検査方法の一例を示すフローチャートである。ステップS1において、検査装置30を用いた第1コネクタ2の検査が開始する。
【0072】
ステップS3において、第1コネクタ2を準備する。上述したように、第1コネクタ2は、電気絶縁性の第1ハウジング12と、第1ハウジング12に保持される第1内部端子14と、第1ハウジング12に保持されるとともにグランドに電気的に接続される第1外部端子10とを備え、第1外部端子10は、コネクタ挿抜方向(Z軸方向)からの平面視で、第1コネクタ係合壁部17を一側に有するとともに、検査用係合壁部19を他側に有する第1嵌合部11を備え、第1コネクタ係合壁部17の内側面17fには第1コネクタ係合部17aが形成されているとともに、検査用係合壁部19の外側面19fには検査用係合部19aが形成されている。
【0073】
ステップS5において、検査装置30を準備する。上述したように、検査装置30は、プローブと検査用係合部材31とグランド当接部材35と検査装置本体とを備え、検査用係合部材31は、検査用係合部19aに係合する外部端子係合部32を有する。
【0074】
ステップS7において、検査装置30を第1コネクタ2に嵌合させる。すなわち、検査装置30を第1コネクタ2に向けて(コネクタ挿入方向)に移動させて、検査装置30の検査用係合部材31を第1コネクタ2の第1嵌合部11に嵌合させる。検査用係合部材31および第1嵌合部11が互いに嵌合して、外部端子係合部32が検査用係合部19aに係合する。
【0075】
ステップS9において、嵌合状態を保ちながら、検査装置30を用いて第1コネクタ2を検査する。すなわち、検査装置30のプローブが第1コネクタ2の第1内部端子14に接触して電気的に接続されることによって、第1コネクタ2を検査する。
【0076】
ステップS11において、第1コネクタ2に対する検査装置30の嵌合を解除することにより、第1コネクタ2の検査が終了する。すなわち、第1コネクタ2に対する検査装置30の嵌合を解除して、検査装置30を第1コネクタ2との反対方向に(コネクタ抜去方向)に移動させることにより、第1コネクタ2の検査が終了する。
【0077】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0078】
例えば、第1外部端子10の第1嵌合部11において、第1コネクタ係合部17aを有する第1コネクタ係合壁部17を第1嵌合部11の外側に設けるとともに、検査用係合部19aを有する検査用係合壁部19を第1嵌合部11の内側に設ける構成にすることもできる。この場合、第2コネクタ4が第1コネクタ2の外側で嵌合するととともに、検査装置30の検査用係合部材31が第1コネクタ2の内側で嵌合することになる。
【0079】
第1コネクタ係合部17aが凹形状であり且つ第2コネクタ係合部27aが凸形状であって、第1コネクタ2および第2コネクタ4の嵌合状態において、凹形状の第1コネクタ係合部17aと凸形状の第2コネクタ係合部27aとが互いに係合する構成にすることもできる。
【0080】
第2コネクタ4においても、第1コネクタ2と同様に、第2外部端子20の第2嵌合部21が、断面視で逆U字状に屈曲していて、第2コネクタ係合壁部と検査用係合壁部と連結部を有する構成にすることもできる。したがって、第2コネクタ4においても、第1コネクタ2と同様に、検査装置30を用いて、第2コネクタ係合部27aの抜去力に影響を及ぼすことなく、安定した検査を行うことができる。
【0081】
検査装置30の検査用係合部材31は、弾性を有する導電性材料(例えば、金属材料)にすることもできる。当該検査用係合部材31をグランド当接部材35と一体化するとともに、第1嵌合部11および検査用係合部材31の間でグランド電位に電気的に接続されるという構成にすることもできる。
【0082】
検査装置30を用いた第1コネクタ2の検査方法において、検査装置30を準備する工程を先に行い、次に第1コネクタ2を準備する工程を行うこともできる。
【0083】
第1外部端子10は、コネクタ挿抜方向(Z軸方向)からの平面視で、第1コネクタ係合部17aが形成された第1コネクタ係合壁部17を外側面19fに有するとともに、検査用係合部19aが形成された検査用係合壁部19を内側面17fに有するという構成にすることもできる。この場合、第1コネクタ2の周囲に電子部品などが密に設けられていても、検査装置30の検査用係合部材31がそれらと干渉することが防止されて、スムーズな検査が可能になる。
【0084】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0085】
この発明の一態様に係る、電気コネクタ2は、
電気絶縁性のハウジング12と、前記ハウジング12に保持される内部端子14と、前記ハウジング12に保持されるとともにグランドに電気的に接続される外部端子10とを備える電気コネクタ2であって、
前記外部端子10は、コネクタ挿抜方向からの平面視で、第1係合壁部17を一側に有するとともに第2係合壁部19を他側に有する嵌合部11を備え、
前記第1係合壁部17には第1係合部17aが形成されているとともに、前記第2係合壁部19には第2係合部19aが形成されていることを特徴とする。
【0086】
上記構成によれば、第1係合部17aおよび第2係合部19aが、それぞれ、嵌合部11の一側および他側において別々に形成されていることにより、第1係合部17aの抜去力に影響を及ぼさず、安定した検査が可能になる。
【0087】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、
前記第1係合壁部がコネクタ係合壁部17であり、前記第1係合部がコネクタ係合部17aであり、前記第2係合壁部が検査用係合壁部19であり、前記第2係合部が検査用係合部19aである。
【0088】
上記実施形態によれば、コネクタ係合部17aおよび検査用係合部19aが、それぞれ、嵌合部11の一側および他側において別々に形成されていることにより、コネクタ係合部17aの抜去力に影響を及ぼさず、安定した検査が可能になる。
【0089】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、
前記電気コネクタ2を回路基板に実装したとき、前記検査用係合壁部19が前記回路基板に固定して支持されるとともに、前記第1係合壁部17が自由端部として弾性的に支持される。
【0090】
上記実施形態によれば、嵌合部11の第1係合壁部17を、嵌合相手の電気コネクタの嵌合部に向けて付勢する付勢力が働くので、嵌合部11と嵌合部との間での嵌合が安定する。
【0091】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、
前記嵌合部11には、平坦面11aが設けられている。
【0092】
上記実施形態によれば、平坦面11aでの接触面積が大きくなるので、電気コネクタ2の検査が安定する。
【0093】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、
前記検査用係合部19aが、前記平坦面11aに対して傾斜した検査用係合面19bを有し、
前記傾斜した検査用係合面19bが、検査時において前記平坦面11aの方向に付勢する力が働くように傾斜している。
【0094】
上記実施形態によれば、平坦面11aが当接する方向に付勢されているので、電気コネクタ2の検査が安定する。
【0095】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、
コネクタ挿抜方向からの平面視で、前記コネクタ係合部17aが前記電気コネクタ2の内側に配置され、前記検査用係合部19aが前記電気コネクタ2の外側に配置される。
【0096】
上記実施形態によれば、検査用係合部19aが嵌合部11の外側に位置するので、検査するときの嵌合が容易になる。
【0097】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、
前記嵌合部11において、前記検査用係合部19aが、前記電気コネクタ2の外側に形成された凹部または貫通孔である。
【0098】
上記実施形態によれば、検査するときの嵌合が容易になる。
【0099】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、
前記電気コネクタ2が、前記内部端子14を複数個配列した多極コネクタである。
【0100】
上記実施形態によれば、検査時における多極コネクタに対する嵌合が安定しているので、多極コネクタの検査を簡単に且つ確実に行うことができる。
【0101】
この発明の別の局面に係る、電気コネクタ2は、
電気絶縁性のハウジング12と、前記ハウジング12に保持される内部端子14と、前記ハウジング12に保持されるとともにグランドに電気的に接続される外部端子10とを備える電気コネクタ2であって、
前記外部端子10は、前記内部端子14に対面する側に位置する内側面17fと、コネクタ挿抜方向に直交する挿抜直交方向において前記内側面17fの反対側に位置する外側面19fと、前記内側面17fに形成された第1係合部17aと、前記外側面19fに形成された第2係合部19aとを有する。
【0102】
上記構成によれば、第1係合部17aおよび第2係合部19aが、それぞれ、外部端子10の内側面17fおよび外側面19fにおいて別々に形成されていることにより、第1係合部17aの抜去力に影響を及ぼさず、安定した検査が可能になる。
【0103】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、
前記第1係合部17aがコネクタ係合部17aであり、前記第2係合部19aが検査用係合部19aである。
【0104】
上記実施形態によれば、コネクタ係合部17aおよび検査用係合部19aが、それぞれ、外部端子10の内側面17fおよび外側面19fにおいて別々に形成されていることにより、コネクタ係合部17aの抜去力に影響を及ぼさず、安定した検査が可能になる。
【0105】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、前記第1係合部17aは、前記内側面17fから前記挿抜直交方向に突出する突出部である。
【0106】
上記実施形態によれば、嵌合相手に対する嵌合が容易になる。
【0107】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、
前記第1係合部17aは、付勢力が働くように前記外部端子10の前記内側面17fに支持されている。
【0108】
上記実施形態によれば、第1コネクタ係合部17aの係合相手との係合が安定する。
【0109】
また、一実施形態の電気コネクタ2では、前記第2係合部19aが、前記外側面19fに形成された凹部または貫通孔である。
【0110】
上記実施形態によれば、検査するときの嵌合が容易になる。
【0111】
この発明の一態様に係る電気コネクタ2の検査方法は、
上述した電気コネクタ2を準備するコネクタ準備工程と、
前記第2係合部19aに係合する外部端子係合部32を有する検査装置30を準備する検査装置準備工程と、
前記外部端子係合部32が前記第2係合部19aに係合した状態で、前記検査装置30を用いて電気コネクタ2を検査する検査工程とを備える。
【0112】
上記実施形態によれば、第1係合部17aおよび第2係合部19aが、それぞれ、嵌合部11の一側および他側において別々に形成されていることにより、第1係合部17aの抜去力に影響を及ぼさず、安定した検査が可能になる。
【0113】
また、一実施形態の電気コネクタ2の検査方法では、
前記検査工程では、前記嵌合部11の平坦面11aが、前記検査装置30のグランド当接部材35に設けられたグランド当接面36に当接する。
【0114】
上記実施形態によれば、嵌合部11およびグランド当接部材35が、グランドに電気的に接続されるので、検査装置30による電気コネクタ2の検査が安定する。
【0115】
また、一実施形態の電気コネクタ2の検査方法では、
前記検査工程では、前記外部端子係合部32での外部端子係合面33が、前記第2係合部19aでの第2係合面19bに係合することによって、前記嵌合部11を前記検査装置30の方に向かわせる力が生じる。
【0116】
上記実施形態によれば、平坦面11aがグランドに安定して電気的に接続されるので、電気コネクタ2の検査が安定する。
【符号の説明】
【0117】
1…電気コネクタセット
2…第1コネクタ(電気コネクタ)
4…第2コネクタ(嵌合相手の電気コネクタ)
10…第1外部端子(外部端子)
11…第1嵌合部(嵌合部)
11a…第1平坦面(平坦面)
11b…第1実装面(実装面)
12…第1ハウジング(ハウジング)
14…第1内部端子(内部端子)
15…第1シールド部材
17…第1コネクタ係合壁部(第1係合壁部)
17a…第1コネクタ係合部(第1係合部)
17f…内側面
18…連結部
19…検査用係合壁部(第2係合壁部)
19a…検査用係合部(第2係合部)
19b…検査用係合面(第2係合面)
19f…外側面
20…第2外部端子
22…第2ハウジング
24…第2内部端子
25…第2シールド部材
27a…第2コネクタ係合部
30…検査装置
31…検査用係合部材
32…外部端子係合部
33…外部端子係合面
35…グランド当接部材
36…グランド当接面