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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】コンベヤ装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/12 20060101AFI20221206BHJP
   B65G 23/44 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B65G17/12 A
B65G23/44
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021115009
(22)【出願日】2021-07-12
(65)【公開番号】P2022169417
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】202110460401.5
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000150811
【氏名又は名称】株式会社椿本バルクシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】横治 進也
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕司
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-026366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/12
B65G 23/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回転可能な駆動側回転体と、
前記駆動側回転体よりも下方に配置され、上下方向に変位自在な変位軸を回転中心にして従動回転可能な従動側回転体と、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に巻き掛けられて前記駆動側回転体の駆動回転に伴い循環経路を周回移動する無端環状部材と、
前記変位軸が上下方向に変位したときに当該変位軸及び前記従動側回転体と共に上下方向に変位するウエイト取付部と、を備え、
前記ウエイト取付部は、前記変位軸を回転中心にして前記従動側回転体と共に回転可能とされ、
重量を有するウエイトが、前記変位軸には非挿通の態様で、前記ウエイト取付部に取り付け可能とされることを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項2】
前記ウエイトは、前記ウエイト取付部に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置。
【請求項3】
前記ウエイト取付部は、前記変位軸の軸方向において前記従動側回転体よりも前記変位軸の端部側に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンベヤ装置。
【請求項4】
前記ウエイトは、前記ウエイト取付部に対して前記変位軸の径方向の外方側から取り付け可能とされていることを特徴とする請求項1~請求項のうち何れか一項に記載のコンベヤ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回転体間に巻き掛けられた無端環状部材が回転体の回転に伴い循環経路を周回移動するときに粉粒体等の被搬送物を搬送可能とされたコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンベヤ装置として、例えば特許文献1に記載のバケットコンベヤが知られている。このバケットコンベヤは、上下方向に長く延びた形状のケーシングを有している。ケーシング内には上下で対をなすスプロケットが回転可能に配置され、両スプロケット間には無端環状のチェーンが巻き掛けられている。チェーンには複数のバケットがチェーンと共に周回移動するようにチェーンの長さ方向に間隔をおいて支持されている。そして、チェーンの周回移動に伴い、各バケットがケース内の下部に堆積している粉粒体等の被搬送物を掬って上方に搬送し、ケース内の上部で反転することにより、ケース外へ排出するようになっている。
【0003】
また、このバケットコンベヤでは、上下で対をなすスプロケットのうちケース内の下方側に位置する従動スプロケットが、チェーンにより吊り下げられた状態とされる。また、従動スプロケットを回転自在に支持する従動軸は、ケース内の下部で上下方向に移動自在とされた軸受部に支持されている。そして、その従動軸には、一対の従動スプロケットが従動軸の長さ方向に一定の間隔をおいた位置に挿通状態で支持され、それら一対の従動スプロケットにより挟まれる位置に貫通孔を有する複数のウエイトが挿通状態で支持されている。したがって、チェーンは、従動スプロケット及びウエイトなどの重量で下方に引かれることになり、上下で対をなすスプロケット間に巻き掛けられた無端環状の状態で適正な張力が付与されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-117552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のバケットコンベヤでは、被搬送物の粘性やチェーンの搬送速度の相違等に応じて無端環状のチェーンの張力を調整することが必要になる場合がある。その場合には、従動軸に支持されるウエイトの個数が変更される。すなわち、張力を強くする場合には、従動軸に支持されるウエイトの個数が追加される。その逆に、張力を弱くする場合には、従動軸に支持されるウエイトの個数が減らされる。
【0006】
このように従動軸に支持されるウエイトの個数を変更する場合は、まず、従動スプロケットに巻き掛けられているチェーンが従動スプロケットから取り外される。次に、従動軸の端部を支持している軸受部及び従動軸に支持されている従動スプロケットが従動軸から取り外される。そして、軸受部及び従動スプロケットが取り外された従動軸を片持ち状態に支持し、その従動軸に新たなウエイトを追加するために挿通したり、その従動軸からウエイトを減らすために取り外したりすることで、従動軸に支持されるウエイトの個数が変更される。
【0007】
その後、元通りにするためには、その従動軸に対して従動スプロケットを再び挿通すると共に、その従動軸の端部を軸受部により再び支持させた後、従動スプロケットに対してチェーンを再び巻き掛けるという複数の作業が必要となる。したがって、ウエイトの取付個数の変更を伴ってチェーンの張力を調整する作業が煩雑になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するコンベヤ装置は、駆動回転可能な駆動側回転体と、前記駆動側回転体よりも下方に配置され、上下方向に変位自在な変位軸を回転中心にして従動回転可能な従動側回転体と、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に巻き掛けられて前記駆動側回転体の駆動回転に伴い循環経路を周回移動する無端環状部材と、前記変位軸が上下方向に変位したときに当該変位軸及び前記従動側回転体と共に上下方向に変位するウエイト取付部と、を備え、重量を有するウエイトが前記変位軸には非挿通の態様で前記ウエイト取付部に対して取り付け可能とされる。
【0009】
この構成によれば、ウエイトは従動側回転体の回転中心となる変位軸に挿通されることなくウエイト取付部に対して取り付けられる。そのため、無端環状部材の張力を調整する際には、ウエイトを変位軸に挿通させて取り付ける場合には事前に必要とされる変位軸の端部からの軸受部の取り外し作業及び挿通後における軸受部の再取り付け作業等を不要にできる。したがって、ウエイトの取付個数の変更を伴ってチェーンの張力を調整する作業が煩雑になることを抑制できる。
【0010】
上記コンベヤ装置において、前記ウエイト取付部は、前記変位軸を回転中心にして前記従動側回転体と共に回転することが好ましい。
この構成によれば、ウエイト取付部に取り付けられたウエイトも、従動側回転体と共に変位軸を回転中心にして回転するため、例えばウエイト取付部に取り付けられたウエイトの表面上に粉粒体等の被搬送物が堆積し続ける虞を低減できる。
【0011】
上記コンベヤ装置において、前記ウエイトは、前記ウエイト取付部に対して着脱可能に取り付けられることが好ましい。
この構成によれば、例えばチェーンの張力を強くするためにウエイトの取付個数を追加した後において、被搬送物の種類が低粘性のものに変更になった等の理由によりチェーンの張力を弱くしたいときにも、ウエイトの取付個数を容易に減らして対処できる。
【0012】
上記コンベヤ装置において、前記ウエイト取付部は、前記変位軸の軸方向において前記従動側回転体よりも前記変位軸の端部側に位置することが好ましい。
この構成によれば、例えば変位軸の軸方向からウエイト取付部にウエイトを取り付ける場合において従動側回転体がウエイトの取付作業の邪魔になる虞を低減できる。
【0013】
上記コンベヤ装置において、前記ウエイトは、前記ウエイト取付部に対して前記変位軸の径方向の外方側から取り付け可能とされていることが好ましい。
この構成によれば、ウエイトがウエイト取付部に対して変位軸の軸方向に重なる状態に取り付けられる可能性が低いので、ウエイト取付部に取り付けられたウエイトの占有空間が変位軸の軸方向に大きくなってしまう虞を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ウエイトの取付個数の変更を伴ってチェーンの張力を調整する作業が煩雑になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】コンベヤ装置の一実施形態の全体構造を概略的に示す側面図。
図2】コンベヤ装置の下部ケースを右側方から見た場合の側面図。
図3図2における3-3線矢視の断面図。
図4図3における4-4線矢視の断面図。
図5】第2カバー部材から第3カバー部材を取り外した状態の側面図。
図6】第1カバー部材から第2カバー部材を取り外した状態の側面図。
図7】ウエイト取付部に対するウエイトの取付方法を示す側断面図。
図8】第1変形例におけるウエイトの取付態様を示す側断面図。
図9】第2変形例におけるウエイトの取付態様を示す正断面図。
図10】第3変形例におけるウエイトの取付態様を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、コンベア装置の一実施形態について図を参照して説明する。なお、図において、矢印Xは前方を示し、矢印Yは左方を示し、矢印Zは上方を示しているものとする。
図1に示すように、コンベヤ装置11は、上下方向に長い四角筒形状のコンベヤケース12を有している。コンベヤケース12は、下部ケース13と、下部ケース13よりも上方に位置する上部ケース14と、下部ケース13の上端と上部ケース14の下端とを連結する中間ケース15を備えている。中間ケース15を介して下部ケース13と上部ケース14とが連結されることにより、コンベヤケース12内には粉粒体等の被搬送物Wを搬送可能とする上下方向に長い搬送空間16が形成される。
【0017】
上部ケース14内には、駆動回転可能な駆動側回転体の一例である駆動スプロケット17が前方側から見て左右方向に延びる軸18を回転中心にして回転するように配置されている。因みに、この軸18は、上部ケース14に固定された図示略の軸受部に両端部が支持されている。そして、軸18には、左右で一対の駆動スプロケット17が、軸18の長さ方向に一定の間隔をおいて位置するように支持されている。また、軸18には、駆動スプロケット17よりも小径の伝達スプロケット19が、駆動スプロケット17と一体的に回転するように固定されている。
【0018】
一方、下部ケース13内には、従動回転可能な従動側回転体の一例である従動スプロケット20が左右方向に延びる軸21を回転中心にして回転するように配置されている。軸21には、左右で一対の従動スプロケット20が、軸18に対する駆動スプロケット17の場合と同様に軸21の長さ方向に一定の間隔をおいて位置するように支持されている。因みに、この軸21は、下部ケース13内において上下方向に変位自在な変位軸として機能するように設けられている。なお、この軸21を上下方向に変位自在に支持する支持機構については、後で詳しく説明する。
【0019】
コンベヤケース12の上部ケース14内で軸18に支持された駆動スプロケット17と下部ケース13内で軸21に支持された従動スプロケット20との間には、無端環状部材の一例である無端環状のチェーン22が巻き掛けられている。これにより、上下方向に変位自在な軸21に支持された従動スプロケット20は、チェーン22により吊り下げられた状態で軸21と共に上下方向への変位自在とされる。
【0020】
また、コンベヤケース12内には、駆動スプロケット17が図1において時計回り方向に回転した場合にチェーン22が同じく時計回り方向に周回移動する無端環状の循環経路が形成される。そして、そのチェーン22には、粉粒体等の被搬送物Wを収容可能な複数のバケット23がチェーン22の長さ方向ともなる周方向に一定間隔をおいて支持されている。そのため、チェーン22の周回移動に伴い、これら複数のバケット23もチェーン22の周回方向と同じ方向に周回移動することになる。
【0021】
また、下部ケース13内において従動スプロケット20の下方となる位置には、下部ケース13の内底面を構成する底面形成部材24が設けられている。この底面形成部材24は、左右方向から見た場合の側面視形状が下側に凸となる湾曲形状の板材からなり、従動スプロケット20の周方向においてチェーン22が巻き掛けられた範囲でのバケット23の周回軌道と曲率がほぼ等しい湾曲形状をしている。因みに、底面形成部材24は、下部ケース13内において、従動スプロケット20を支持する軸21との上下方向での距離を一定に維持した状態で上下方向に変位可能とされている。
【0022】
図1に示すように、上部ケース14の前側壁14aの外面には、上面が水平な面である側面視略三角形状の支持台座25が前方に向けて突設されている。支持台座25上には、駆動モーター26が配置され、駆動モーター26の出力軸27には、出力スプロケット28が出力軸27と一体的に回転するように設けられている。そして、出力スプロケット28と前述した伝達スプロケット19との間には無端環状の動力伝達チェーン29が巻き掛けられている。そのため、駆動スプロケット17は、駆動モーター26から出力軸27、出力スプロケット28、動力伝達チェーン29及び伝達スプロケット19等を介して伝達される駆動力に基づき駆動回転する。
【0023】
また、中間ケース15の前側壁15aの下端部には、コンベヤケース12内に粉粒体等の被搬送物Wを投入可能な投入口30が形成されている。投入口30の上方には、図1に二点鎖線で示すように、投入側コンベヤ31の下流側の端部が配置されている。その一方、上部ケース14の後側壁14bにおいて上部ケース14内の駆動スプロケット17よりも上下方向で下側となる箇所には、上部ケース14内から粉粒体等の被搬送物Wを排出可能な排出口32が形成されている。排出口32の下方には、図1に二点鎖線で示すように、排出側コンベヤ33の上流側の端部が配置されている。
【0024】
そのため、投入側コンベヤ31により図1において左側となる上流側から搬送されてきた粉粒体等の被搬送物Wは、投入側コンベヤ31の下流側の端部から落下し、投入口30を介してコンベヤケース12内に投入される。そして、投入口30から投入されて下部ケース13内の底面形成部材24上に堆積した被搬送物Wは、周回移動するバケット23により掬われてコンベヤケース12内をバケット23と共に上方へ移動する。
【0025】
そして、図1に示すように、排出口32よりも上方でバケット23が反転したときに、反転したバケット23内から被搬送物Wが排出口32を介してコンベヤケース12の外部に排出される。そして、排出口32から排出された被搬送物Wは、排出側コンベヤ33により図1において右側となる下流側に配置された不図示のホッパ等の回収部に向けて搬送される。
【0026】
図2及び図3に示すように、下部ケース13の右側壁13R及び左側壁13Lには第1開口部34がそれぞれ形成されている。下部ケース13の内部で従動スプロケット20を支持する軸21は、その一端部である右端部が右側壁13Rの第1開口部34を右方に貫通し、その他端部である左端部が左側壁13Lの第1開口部34を左方に貫通している。すなわち、従動スプロケット20を支持する軸21は、その長さが下部ケース13の左右方向の長さよりも長く、その端部が第1開口部34を介して下部ケース13の外部に突出している。
【0027】
下部ケース13の第1開口部34は、上下方向に長い矩形の孔である。第1開口部34の上下方向の長さは、軸21と共に上下方向に変位する従動スプロケット20が図2に破線で示すように最も高い位置に変位したときの上端部と図2に二点鎖線で示すように最も低い位置に変位したときの下端部との間の距離よりも長い。また、第1開口部34の前後方向の幅は、軸21に支持された従動スプロケット20の直径よりも長い。すなわち、第1開口部34の大きさは、下部ケース13内で軸21に支持される部材である従動スプロケット20の通過を許容する大きさに設定されている。
【0028】
第1開口部34は、下部ケース13の右側壁13R及び左側壁13Lに第1開口部34を閉塞するように取り付けられる第1カバー部材35により通常時は閉塞されている。第1カバー部材35は、外形が第1開口部34よりも大きな矩形の板金で構成されている。第1カバー部材35の中央部には、上下方向に長い矩形の枠状部36が形成されている。枠状部36は、前後方向及び左右方向に沿う水平な上枠37と、上下方向及び左右方向に沿う前後一対の垂直な側枠38と、上下方向と左右方向には斜交して前後方向に沿う斜状の下枠39とを有する。
【0029】
第1カバー部材35が下部ケース13の右側壁13R及び左側壁13Lに第1開口部34を閉塞するように取り付けられた状態において、枠状部36の内側には、軸21の支持機構40を収容可能とする収容空間41が形成される。すなわち、従動スプロケット20が支持される軸21の両端部を支持する支持機構40は、第1カバー部材35における枠状部36の内側の収容空間41内において、上下方向に変位自在とされている。
【0030】
図2及び図3に示すように、第1カバー部材35における枠状部36の内側には第2開口部42が形成されている。第2開口部42も、第1開口部34と同様に上下方向に長い矩形の孔である。第2開口部42の上下方向の長さは、第1開口部34の上下方向の長さよりも短く、従動スプロケット20の直径よりは長い。また、第2開口部42の幅でもある前後方向の長さは、軸21の支持機構40が前後方向において占有する空間の幅よりも少し長い。すなわち、第2開口部42の大きさは、軸21の支持機構40の通過を許容する大きさに設定されている。
【0031】
第2開口部42は、第1カバー部材35の枠状部36に第2開口部42を閉塞するように取り付けられる第2カバー部材43により通常時は閉塞されている。第2カバー部材43は、外形が第2開口部42よりも大きな矩形の板金で構成されている。第2カバー部材43の中央部には第3開口部44が形成されている。第3開口部44も、第2開口部42と同様に上下方向に長い矩形の孔である。第3開口部44の上下方向の長さは、第2開口部42の上下方向の長さよりも短く、軸21の支持機構40が上下方向において占有する空間の長さよりは長い。また、第3開口部44の幅でもある前後方向の長さは、第2開口部42の幅でもある前後方向の長さよりも僅かに短く、軸21の支持機構40が前後方向において占有する空間の幅よりは僅かに長い。すなわち、第3開口部44の大きさも、軸21の支持機構40の通過を許容する大きさに設定されている。
【0032】
第3開口部44は、第2カバー部材43に対して第3開口部44を閉塞するように取り付けられる第3カバー部材45により通常時は閉塞されている。第3カバー部材45は、外形が第3開口部44よりも大きな矩形の板金で構成されている。第3カバー部材45の上部には取っ手46が設けられている。第3開口部44を閉塞した状態にある第3カバー部材45は、軸21の支持機構40の点検作業等を行う場合に、第2カバー部材43から取り外し可能とされる。また、第2開口部42を閉塞した状態にある第2カバー部材43及び第1開口部34を閉塞した状態にある第1カバー部材35も、下部ケース13の内部を点検等する際に、第1カバー部材35及び下部ケース13から取り外し可能とされる。
【0033】
次に、従動スプロケット20が支持される軸21を上下方向に変位自在に支持する支持機構40について説明する。
図2及び図3に示すように、軸21の支持機構40は、軸21の端部が挿通される軸受部47と、軸受部47が固定される軸受プレート48と、軸受プレート48を上下方向への移動可能にガイドするガイドプレート49とを含んで構成されている。軸受部47は、軸21の端部を挿通可能な円筒部50と、その円筒部50の一端から外向きに張り出し形成されたフランジ部51とを有している。従動スプロケット20を介してチェーン22に吊り下げられた状態にある軸21は、その両端部が第1カバー部材35の内部空間である収容空間41内において軸受部47に挿通されている。
【0034】
軸受プレート48は、正方形状の板材であり、その中央部には軸受部47の円筒部50を嵌合状態に固定するボス部52を有している。また、軸受プレート48の上端縁の中央及び下端縁の中央には上下方向の貫通孔53を有した挿通部54が突設されている。軸受プレート48は、その一辺の長さが第2開口部42の前後方向の幅よりも短く、また、第3開口部44の前後方向の幅よりも僅かに短い。すなわち、軸受プレート48の大きさは、第2開口部42及び第3開口部44を通過可能な大きさに設定されている。
【0035】
ガイドプレート49は、第1カバー部材35の内部空間である収容空間41内に前後で対をなすように設けられている。すなわち、収容空間41内には、軸受プレート48を前後方向の両側から挟んだ位置で上下方向に平行に延びる前後一対のガイドプレート49が図示しないブラケットを介して固定されている。前後一対のガイドプレート49は、それぞれが軸受プレート48の前側辺部及び後側辺部に沿って、軸受プレート48の一辺よりも上下方向に長く延びるように設けられている。
【0036】
前後一対のガイドプレート49は、前後方向で対向する互いの面に、上下方向に沿って延びるガイド溝55を有している。ガイド溝55は、軸受プレート48の上下方向に沿う前側辺部及び後側辺部を上方から差し入れ可能に形成されている。ガイド溝55の下端部は、そのガイド溝55内に上方から前側辺部及び後側辺部を差し入れられた軸受プレート48が、そのガイド溝55の下端部よりも下方へ変位することを規制可能な規制部56を構成している。そのため、軸受プレート48は、ガイドプレート49により上下方向への変位可能にガイドされた状態において、ガイド溝55及び規制部56により前後方向及び左右方向への位置ずれとガイドプレート49からの抜け落ちが規制されている。
【0037】
第1カバー部材35の枠状部36における上枠37の中央部には、板状の上枠37を上下方向に貫通する孔57が形成されている。また、その上枠37の上面にはナット部材58が孔57と同心配置となるように固定されている。そして、そのナット部材58には、ねじ棒59が螺合されている。ねじ棒59の下端部は、収容空間41内において、軸受プレート48の挿通部54に挿通された状態でボス部52の直近上方に位置している。そのため、軸受部47を固定した軸受プレート48は、ガイドプレート49により上下方向への変位可能にガイドされた状態において、ねじ棒59により上方への移動が規制されている。
【0038】
図2及び図3に示すように、従動スプロケット20を介してチェーン22に吊り下げられた状態にある軸21には、チェーン22に張力を付与するために複数のウエイト60,61が取り付けられている。図3において、左右一対の従動スプロケット20の間に位置する複数のウエイト60は、軸21を挿通可能な貫通孔62を有する環状の部材であり、軸21に対して挿通態様で取り付けられる。これら環状のウエイト60は、軸21の一端部から軸受部47及び従動スプロケット20等が取り外された状態において、当該軸21の一端部から挿通されることにより軸21に取り付けられる。そして、これら環状のウエイト60は、そのように軸21に対して挿通態様で取り付けられた後は、その軸21から軸受部47及び従動スプロケット20等が先に取り外されない限り、その軸21から取り外されることはない。
【0039】
一方、図3及び図4に示すように、軸21の軸方向で従動スプロケット20よりも端部側に位置するウエイト61は、軸21に対して非挿通の態様で取り付けられる。軸21の軸方向で従動スプロケット20よりも端部側となる位置には、軸21を挿通可能な貫通孔63を有する円環状部材64が挿通されている。ウエイト61は、この円環状部材64の外周面上に取り付けられる。この点で、円環状部材64は、重量を有するウエイト61を取り付け可能なウエイト取付部として機能する。なお、軸21の軸方向で円環状部材64よりも端部側には、円環状部材64が軸21の端部から抜けることを抑制する環状の抜け止め部材65が固定されている。
【0040】
円環状部材64の貫通孔63の内周面の一部にはキー溝66が形成されている。一方、軸21の軸方向で円環状部材64が挿通される箇所の外周面には円環状部材64のキー溝66を嵌合可能なキー67が形成されている。そのため、ウエイト取付部として機能する円環状部材64は、その貫通孔63のキー溝66が軸21側のキー67に嵌合するように軸21に挿通された状態において、軸21を回転中心にして従動スプロケット20と共に回転可能とされる。そして、その円環状部材64の外周面上に対して、ウエイト61が、軸21に対しては非挿通の態様で、着脱可能に取り付けられている。
【0041】
図4に示すように、ウエイト61は、円環状部材64の外周面と曲率半径が同じの内周側円弧部68と、内周側円弧部68よりも曲率半径が大きい外周側円弧部69と、内周側円弧部68と外周側円弧部69の両端同士を繋ぐ直線部70とで輪郭が形成されている。直線部70は、内周側円弧部68が円環状部材64の外周面に面接触した状態で軸21の周方向に一例として90度の間隔をおいて軸21の径方向に各々延びる2本の直線により構成される。換言すると、ウエイト61は、内周側円弧部68と外周側円弧部69と2本の直線部70とで囲まれた、いわゆる扇形状をしている。本実施形態では、2本の直線部70の角度間隔が90度である4個のウエイト61が、ウエイト取付部である円環状部材64の外周面上に周方向に連続して並ぶように取り付けられている。
【0042】
ここで、ウエイト取付部である円環状部材64に対するウエイト61の取付構造を説明する。
図4に示すように、円環状部材64には、その周方向に一例として45度の間隔をおいて径方向に各々延びる8つのねじ孔71が形成されている。その一方、ウエイト61において、内周側円弧部68を円環状部材64の外周面に面接触させた場合に円環状部材64のねじ孔71の延長線上となる箇所には、ボルト挿通孔72が貫通形成されている。そして、そのボルト挿通孔72に挿通したボルト73の先端部をねじ孔71に螺合させることで、ウエイト61は円環状部材64に対して取り付けられる。
【0043】
次に、コンベヤ装置11の作用について説明する。
さて、コンベヤ装置11において駆動スプロケット17と従動スプロケット20との間に巻き掛けられた無端環状のチェーン22は、そのチェーン22に吊り下げられた状態にある従動スプロケット20及びウエイト60,61等の重量で下方に引っ張られている。そのため、そうした従動スプロケット20及びウエイト60,61等の重量に基づく下方への引っ張り力により、チェーン22には適度な張力が付与されている。
【0044】
しかし、チェーン22と共に周回移動するバケット23により掬い取られる被搬送物Wの粘性やチェーン22の搬送速度が変更された場合は、無端環状のチェーン22の張力を調整することが必要になる。こうした場合、従動スプロケット20を支持している軸21に支持されるウエイト60,61のうち、軸21の軸方向で従動スプロケット20よりも軸21の端部側に位置しているウエイト61の個数が変更される。
【0045】
図5及び図6に示すように、この場合には、第3開口部44を閉塞している第3カバー部材45が第2カバー部材43から取り外されたり、第2開口部42を閉塞している第2カバー部材43が第1カバー部材35から取り外されたりする。図5に示すように、第3カバー部材45が取り外された場合には、第3開口部44を介して収容空間41内が視認可能とされる。図6に示すように、第2カバー部材43が取り外された場合には、第3開口部44よりも開口面積が大きい第2開口部42を介して収容空間41内が視認可能とされる。
【0046】
ここで、第3開口部44及び第2開口部42は、それらの開口面積が軸受プレート48等を含む支持機構40の通過を許容する大きさである。そのため、軸21の軸方向でウエイト61よりも第3開口部44又は第2開口部42に近い位置に存在する支持機構40の点検作業等が第3開口部44又は第2開口部42を介して容易に行われる。そして、この場合には、ウエイト取付部としての円環状部材64が軸21の軸方向で従動スプロケット20よりも軸21の端部側に位置しているため、円環状部材64に対してウエイト61を着脱するときに従動スプロケット20が邪魔になることもない。
【0047】
図7に示すように、ウエイト61は、円環状部材64に対して軸21の軸方向に重なるように取り付けられるのではなく、円環状部材64の外周面に対して径方向の外方側に重なるように取り付けられる。すなわち、ウエイト61は、図7に矢印で示すように、円環状部材64の外周面に対して軸21の径方向の外方側から内方側に移動することにより、内周側円弧部68を円環状部材64の外周面に面接触させる。すると、円環状部材64のねじ孔71とウエイト61のボルト挿通孔72とが一致するため、ボルト挿通孔72から挿通したボルト73の先端部をねじ孔71に螺合させる。
【0048】
この場合、ウエイト61は、ねじ孔71に対してボルト73を螺合させることで円環状部材64に取り付けられる一方、ねじ孔71に対するボルト73の螺合を解消してボルト73をボルト挿通孔72から抜き出すことで、円環状部材64から取り外される。そのため、例えば円環状部材64に対してウエイト61を溶接や接着などにより接合する場合に比して、ウエイト取付部としての円環状部材64に対するウエイト61の着脱作業が容易になる。
【0049】
また、この場合において、ウエイト61は、左右で対をなす従動スプロケット20の間に位置して軸21に挿通態様で取り付けられた環状のウエイト60とは異なり、軸21に対しては非挿通の態様で、円環状部材64の外周面上に取り付けられる。そして、従動スプロケット20と共に軸21が回転したときは、軸21と共に円環状部材64も回転するため、その円環状部材64の外周面上に取り付けられたウエイト61も回転する。したがって、ウエイト61の表面上に上方から被搬送物Wが落下して付着したとしても、そのような被搬送物Wはウエイト61の回転時にウエイト61上から落下する。
【0050】
次に、コンベヤ装置11の効果について説明する。
(1)ウエイト61は従動スプロケット20の回転中心となる軸21に挿通されることなくウエイト取付部として機能する円環状部材64に対して取り付けられる。そのため、無端環状のチェーン22の張力を調整する際には、ウエイト61を軸21に挿通させて取り付ける場合には事前に必要とされる軸21の端部からの軸受部47の取り外し作業及び挿通後における軸受部47の再取り付け作業等を不要にできる。したがって、ウエイト61の取付個数の変更を伴ってチェーン22の張力を調整する作業が煩雑になることを抑制できる。
【0051】
(2)ウエイト取付部である円環状部材64に取り付けられたウエイト61も、従動スプロケット20と共に軸21を回転中心にして回転する。そのため、例えば円環状部材64に取り付けられたウエイト61の表面上に粉粒体等の被搬送物Wが堆積し続ける虞を低減できる。
【0052】
(3)例えばチェーン22の張力を強くするためにウエイト61の取付個数を追加した後において、被搬送物Wの種類が低粘性のものに変更になった等の理由によりチェーン22の張力を弱くしたいときにも、ウエイト61の取付個数を容易に減らして対処できる。
【0053】
(4)例えば軸21の軸方向からウエイト取付部である円環状部材64にウエイト61を取り付ける場合において従動スプロケット20がウエイト61の取付作業の邪魔になる虞を低減できる。
【0054】
(5)ウエイト61がウエイト取付部である円環状部材64に対して軸21の軸方向に重なる状態に取り付けられる可能性が低いので、円環状部材64に取り付けられたウエイト61の占有空間が軸21の軸方向に大きくなってしまう虞を低減できる。
【0055】
なお、上記の実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。また、実施形態に含まれる構成と下記変更例に含まれる構成とを任意に組み合わせてもよいし、下記変更例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。
【0056】
図8に示す第1変形例のように、ウエイト61を、ウエイト取付部である円環状部材64の外周面に対して、例えば周方向に180度等の間隔をおいて離れて位置するように取り付けてもよい。この構成によれば、図8に二点鎖線で示すように、ウエイト61が回転する位置の下方に粉粒体等の被搬送物Wが高く堆積している場合でも、そのように高く堆積している被搬送物Wを回転するウエイト61の直線部70で前方に払い飛ばすことができる。
【0057】
図9に示す第2変形例のように、ウエイト61を、ウエイト取付部である円環状部材64における軸受部47側の側面に対して、軸21の軸方向に重なるように取り付けてもよい。この構成によれば、円環状部材64に取り付けられたウエイト61の占有空間が軸21の径方向の外方側に大きくなってしまう虞を低減できる。
【0058】
図10に示す第3変形例のように、軸21の外周面をウエイト取付部としてもよい。この場合、軸21におけるウエイト61が取り付けられる部分は、その外周面がウエイト61の内周側円弧部68と曲率が同じになるように形成され、その外周面の部分にねじ孔71が形成される。
【0059】
・軸21に対して左右一対の従動スプロケット20の間に位置するように取り付けられるウエイト60を非環状の部材に形成し、軸21に対しては非挿通の態様で当該軸21の外周面に軸21の径方向の外方側から取り付けるようにしてもよい。この場合、軸21に対して従動スプロケット20よりも軸21の端部側に位置するウエイト61は省略してもよい。
【0060】
・ウエイト61は、ウエイト取付部である円環状部材64に対して溶接や接着等により取り付けるようにしてもよい。このように構成した場合でも、ウエイト61は、軸21に対して非挿通の態様で取り付けられる限り、軸21の端部からの軸受部47の取り外し等を不要にできるメリットがある。
【0061】
・軸21に対して左右一対の従動スプロケット20の間に位置するように取り付けられる環状のウエイト60はなしでもよい。この場合は、軸21における左右一対の従動スプロケット20の間となる部分を実施形態の場合よりも大径にするのが好ましい。
【0062】
・コンベヤ装置11は、駆動側回転体である駆動プーリーと従動側回転体である従動プーリーとの間に巻き掛けられた無端環状部材である環状ベルトの周方向に一定間隔をおいて複数のバケット23が支持された構成であってもよい。
【0063】
・コンベヤ装置11は、例えばウエイト61等の重量により張力が付与されて周回移動する無端環状部材である環状ベルトの循環経路の一部が水平又は緩やかな傾斜となる箇所で、その環状ベルトの上面に被搬送物Wを載置して搬送する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
11…コンベヤ装置
17…駆動側回転体の一例である駆動スプロケット
21…変位軸の一例である軸
20…従動側回転体の一例である従動スプロケット
22…無端環状部材の一例であるチェーン
61…ウエイト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10