(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】装置、端末、サーバ、管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20221206BHJP
【FI】
G06Q10/02
(21)【出願番号】P 2021155638
(22)【出願日】2021-09-24
(62)【分割の表示】P 2017207328の分割
【原出願日】2017-10-26
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】馬場 崇智
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-191075(JP,A)
【文献】特開2012-174194(JP,A)
【文献】特開2014-081857(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0273372(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0275419(US,A1)
【文献】特開2004-178013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する画面上に、複数の当該各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で当該場所の候補を
、当該対象者ごとに提示する提示手段と、
前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける受付手段と、
を有する装置。
【請求項2】
複数の前記各対象者の希望は、前記操作する画面上に前記候補と共に提示する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の前記各対象者の希望に基づく領域情報を前記候補と共に提示する、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
複数の前記各対象者の希望に応じた前記候補は、前記作業者が操作する画面上の1つの領域内に提示される、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
複数の前記各対象者の希望に応じた前記候補は、前記作業者が操作する画面上の複数の領域内に提示される、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する端末であって、
前記作業者が操作する画面上に、複数の前記各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で前記場所の候補を
、当該対象者ごとに提示する提示手段と、
前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける受付手段と、
を有する端末。
【請求項7】
貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する画面上に、複数の当該各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で当該場所の候補を
、当該対象者ごとに提示する提示手段と、
前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける受付手段と、
を有するサーバ。
【請求項8】
貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する端末とサーバとを有する管理システムであり、
前記作業者が操作する画面上に、複数の前記各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で前記場所の候補を
、当該対象者ごとに提示する提示手段と、
前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける受付手段と、
を有する管理システム。
【請求項9】
コンピュータに、
貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する端末の画面上に、複数の当該各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で当該場所の候補を
、当該対象者ごとに提示する機能と、
前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける機能と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、端末、サーバ、管理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空間の利用を予約者に提供するサービスがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の空間の利用は事前の予約を必要とする。このため、複数人がそれぞれ異なる空間を利用したい場合には、複数人の各々が利用したい空間を予約する必要がある。しかし、すぐに予約の作業を行えないことがある。この場合、複数人の全員が、利用したい空間を希望する時間で予約できない可能性がある。
【0005】
本発明は、1人の作業者が複数の各対象者のために、貸し出される複数の場所を1つの端末から予約できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する画面上に、複数の当該各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で当該場所の候補を、当該対象者ごとに提示する提示手段と、前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける受付手段と、を有する装置である。
請求項2に記載の発明は、複数の前記各対象者の希望は、前記操作する画面上に前記候補と共に提示する、請求項1に記載の装置である。
請求項3に記載の発明は、複数の前記各対象者の希望に基づく領域情報を前記候補と共に提示する、請求項1又は2に記載の装置である。
請求項4に記載の発明は、複数の前記各対象者の希望に応じた前記候補は、前記作業者が操作する画面上の1つの領域内に提示される、請求項1に記載の装置である。
請求項5に記載の発明は、複数の前記各対象者の希望に応じた前記候補は、前記作業者が操作する画面上の複数の領域内に提示される、請求項1に記載の装置である。
請求項6に記載の発明は、貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する端末であって、前記作業者が操作する画面上に、複数の前記各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で前記場所の候補を、当該対象者ごとに提示する提示手段と、前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける受付手段と、を有する端末である。
請求項7に記載の発明は、貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する画面上に、複数の当該各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で当該場所の候補を、当該対象者ごとに提示する提示手段と、前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける受付手段と、を有するサーバである。
請求項8に記載の発明は、貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する端末とサーバとを有する管理システムであり、前記作業者が操作する画面上に、複数の前記各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で前記場所の候補を、当該対象者ごとに提示する提示手段と、前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける受付手段と、を有する管理システムである。
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、貸し出される場所を利用する複数の各対象者のために当該場所を予約する作業者が操作する端末の画面上に、複数の当該各対象者から異なる形式で与えられた希望に応じて、異なる形態で当該場所の候補を、当該対象者ごとに提示する機能と、前記候補の中から前記作業者による前記各対象者に対する前記場所の予約を受け付ける機能と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、1人の作業者が複数の各対象者のために、貸し出される複数の場所を1つの端末から予約できる。
請求項2記載の発明によれば、作業者は、複数の各対象者に応じた希望と場所の候補を確認しながら作業できる。
請求項3記載の発明によれば、作業者は、複数の各対象者に応じた希望と場所の候補を確認しながら作業できる。
請求項4記載の発明によれば、作業者は、複数の各対象者に応じた希望と場所の候補を1つの領域上で確認しながら作業できる。
請求項5記載の発明によれば、作業者は、複数の各対象者に応じた希望と場所の候補を複数の領域上で確認しながら作業できる。
請求項6記載の発明によれば、1人の作業者が複数の各対象者のために、貸し出される複数の場所を1つの端末から予約できる。
請求項7記載の発明によれば、1人の作業者が複数の各対象者のために、貸し出される複数の場所を1つの端末から予約できる。
請求項8記載の発明によれば、1人の作業者が複数の各対象者のために、貸し出される複数の場所を1つの端末から予約できる。
請求項9記載の発明によれば、1人の作業者が複数の各対象者のために、貸し出される複数の場所を1つの端末から予約できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】管理システムの全体構成の例を概略的に示す図である。
【
図2】ユーザに対して貸し出される時間貸し空間の外観構成例を説明する図である。
【
図3】ユーザ端末のハードウェア構成の例を説明する図である。
【
図4】管理システムを構成するサーバのハードウェア構成の例を説明する図である。
【
図5】管理システムを構成する時間貸し空間の構成例を説明する図である。
【
図6】予約管理サーバのソフトウェア構成の例を説明する図である。
【
図7-1】作業者と対象者の人的な関係の例を説明する図である。(A)は予約の対象者のうちの1人が作業者である場合であり、(B)は予約の対象者とは別人が作業者の場合であり、(C)は予約の対象者のうちの1人が作業者として自身と他の1人の予約を行い、残る一人が作業者として自身の予約を行う場合である。
【
図7-2】作業者と対象者の人的な関係の他の例を説明する図である。(D)は予約の対象者のうちの1人が作業者として他の1人の予約を行い、残る1人の対象者のための予約を予約の対象者とは別人が行う場合である。
【
図8】時間貸し空間の実空間での配置の例を説明する図である。
【
図9】予約制御部の制御動作例を説明する図である。
【
図10】グループチャットの画面例を示す図である。
【
図11】作業者が操作するユーザ端末に表示される作業画面の例を示す図である。
【
図12】対象者Aに対する候補地の提示の例を示す図である。
【
図13】対象者Aに対する候補地の提示の他の例を示す図である。
【
図14】対象者Aに対する候補地の提示の他の例を示す図である。
【
図15】対象者Bに対する候補地の提示の例を示す図である。
【
図16】作業者Cによって特定の地点が指定されることで開始する予約の受付画面の表示例を説明する図である。
【
図17】予約を確定するボタンがクリックされることで表示される案内画面の表示例を示す図である。
【
図18】作業者Cがカーソルで指定した地点の時間貸し空間を予約する場合の例を示す図である。
【
図19】1人の対象者に対して複数の時間貸し空間を予約する作業の例を説明する図である。
【
図20】対象者別に予約のための領域を用意する作業画面の例を示す図である。
【
図21-1】対象者Aの予約に用いる作業画面の表示例を示す図である。
【
図21-2】対象者Bの予約に用いる作業画面の表示例を示す図である。
【
図22】管理システムの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<管理システムの全体構成>
通信速度の向上や通信端末の小型化に伴い、オフィス外でも各種の情報にアクセスできる環境が整っている。一方で、ビジネス上の会話や情報は秘匿性が高いため、静かでセキュアな環境が求められている。
本実施の形態では、これらの要望を満たす空間を提供するための管理システムについて説明する。もっとも、以下に説明する空間は、ビジネス用途に限るものでなく、個人での利用も可能である。
【0010】
図1は、管理システム1の全体構成の例を概略的に示す図である。
図1に示すように、管理システム1は、クラウドネットワーク2に接続された各種の端末で構成される。
図1には、管理システム1を構成する端末の例として、複数台の時間貸し空間3と、時間貸し空間3を利用する個々のユーザが携帯する複数台のユーザ端末4と、個々の時間貸し空間3の予約を管理する予約管理サーバ5と、個々の時間貸し空間3の利用の状況を管理する空間管理サーバ6と、利用者に対する請求を管理する請求管理サーバ7と、時間貸し空間3を利用できる会員の情報を管理する会員管理サーバ8とが示されている。
なお、本実施の形態における時間貸し空間3は、保守等で使用される時間を除き、24時間365日の利用が可能である。
【0011】
図1の場合、目的別(機能別)に1台のサーバが用意されているが、目的別に複数台のサーバを用意してもよい。また、1台のサーバで複数の目的(機能)を分担してもよい。
時間貸し空間3の時間貸しサービスを提供する事業者は、単独でも複数でもよい。例えば予約の管理、入退室や室内の利用状況などの管理、ユーザに対する利用料金の請求に関する管理、利用者として登録されている会員の管理のそれぞれを異なる事業者が分担してもよい。なお、1つの目的(機能)についての管理を複数の事業者が協働で提供してもよい。
また、1つの目的(機能)に対して複数のサーバを用意してもよい。単独の事業者が1つの目的(機能)に対して複数のサーバを用意する場合や複数の目的(機能)に対応する複数のサーバを用意する場合には、イントラネットを介して接続すればよい。
また、時間貸し空間3も単独の事業者が提供する場合だけでなく、複数の事業者によって提供されてもよい。
すなわち、管理システム1は、複数の事業者が提供するサービスの集合体として実現されてもよい。
【0012】
本実施の形態においては、施錠や解錠に電子鍵を使用する。電子鍵は、ユーザ端末4や不図示の近距離無線通信に対応したIC(Integrated Circuit)カードに格納する。ユーザ端末4を電子鍵として使用する場合には、予約の確定後に、予約管理サーバ5からユーザ端末4に電子鍵が提供される。ICカードを電子鍵として使用する場合には、予約の確定後に、電子鍵を記録したICカードが予約管理サーバ5から配布される。
電子鍵の場合には、施錠や解錠を有効に行える時間を自由に定めることができる。また、1つの時間貸し空間3の利用に必要な電子鍵を同じ時間帯に対して複数発行することもできる。
なお、物理的な鍵を予約された時間別に複数用意し、時間貸し空間3を施錠し又は解錠できるようにしてもよい。また、利用者の認証を鍵の代わりに使用してもよいし、電子鍵や物理的な鍵を補足する手段として使用してもよい。
【0013】
予約管理サーバ5は、例えば利用可能な時間貸し空間3を登録した登録リスト51と、個々の時間貸し空間3の利用を希望する予約者の割り当てを管理する予約リスト52を管理する。
本実施の形態の場合、予約管理サーバ5は、保守等に確保された時間を除き、24時間365日、時間貸し空間3の予約を受け付ける。また、必要に応じて、ユーザ端末4に対する電子鍵の発行や認証の処理を実行する。なお、認証の処理は空間管理サーバ6の側で行ってもよい。
【0014】
空間管理サーバ6は、例えば個々の時間貸し空間3への入退室の情報を管理する情報61と、個々の時間貸し空間3の利用状況の情報62を管理する。また、空間管理サーバ6は、時間貸し空間3に配置されている認証ユニット32A(
図2参照)と通信し、利用者の入室を許可するか否かを管理する機能も有している。認証に際し、空間管理サーバ6は、予約管理サーバ5と通信する。
この他、空間管理サーバ6は、時間貸し空間3内に配置されている各種の機器31からの情報の収集や各種の機器31の制御を実行する機能を有している。
図1の例では、空間管理サーバ6はクラウドネットワーク2に接続されているが、機能の一部又は全部が、時間貸し空間3に収容されていてもよい。
【0015】
請求管理サーバ7は、予約情報と、利用者の情報と、入退室の情報等に基づいて会員別(自然人の場合もあれば法人の場合もある)に請求書を発行する機能を有している。請求管理サーバ7は、予約管理サーバ5から予約情報を取得し、空間管理サーバ6から入退室の情報を取得し、会員管理サーバ8から会員情報を取得する。
会員管理サーバ8は、登録されている会員の情報と利用者の情報とを管理する。会員が自然人の場合には、会員と利用者は一致する。一方、会員が法人の場合には、会員別に個々の利用者が登録され、管理される。本実施の形態の場合、会員管理サーバ8には、個々の会員のスケジュールも登録されている。
【0016】
図2は、ユーザに対して貸し出される時間貸し空間3の外観構成例を説明する図である。
本実施の形態における時間貸し空間3は、例えば駅の構内、空港、オフィスビル、飲食店やデパート等の商業施設、銀行、図書館、美術館、博物館、公共機関や施設、連絡通路、公園等、室内外を問わずに配置される。
本実施の形態では、時間貸し空間3として防音性に優れた小部屋を想定する。この意味で、時間貸し空間3は、閉鎖型の空間の一例である。本実施の形態において、閉鎖型とは、密閉の意味ではなく、実用的な防音性能を備える意味で使用する。従って、通気口や小窓等の開口や隙間が、時間貸し空間3を構成する躯体30の一部分に設けられていてもよい。
【0017】
本実施の形態における躯体30は、天井30Aと、床面30Bと、開閉可能な扉32が取り付けられている壁面30Cと、壁面30Cの両側に位置する2つの壁面30D及び30Eと、扉32の対面側に位置する壁面30Fとで構成される。
本実施の形態の場合、扉32として、1枚の扉部材が弧を描くように開閉する片開きの開き戸を想定する。もっとも、扉32は、1つの開口部を2枚の扉部材で仕切る両開きの開き戸でもよい。
また、扉32は、引き戸でもよい。引き戸は、1枚の扉をスライドする片引きタイプでも、2枚以上の扉を行き違わせて開閉する引き違いタイプでも、2枚の扉を左右にスライドする引き分けタイプでもよい。
また、扉32は、蝶番で連結された2枚1組の扉部材を折り畳むように開く折れ戸でもよい。折れ戸にも、片方にのみ開くタイプと、両方向に開くタイプがある。
また、特殊なタイプとして、収納時に扉32が壁の中に引き込まれる引き込み戸や間仕切り戸であってもよい。
なお、扉32は内開きでも外開きでも構わない。
【0018】
本実施の形態の場合、壁面30D及び30Eの一部は、例えば透光性の部材(例えばガラス、アクリル樹脂)で構成される。
もっとも、壁面30D及び30Eの少なくとも一部には、目隠し(外部から室内の観察を難しくする又は視認性を低下させる)の機能を実現する構造、材質、加工などが採用されていてもよい。
例えば壁面30D及び30Eの材質自体が半透明の部材でもよいし、光が散乱するように部材の表面に細かい傷がつけられた部材でもよいし、同等の機能を備えるフィルム状の部材が貼り付けられていてもよい。なお、フィルム状の部材は、透過と白濁を電気的に切り替え可能な液晶フィルムや透過率を電気的に制御可能な偏光フィルムでもよい。
また、目隠しのための構造や部材が別に用意されていてもよい。もっとも、壁面30D及び30Eも、他の面と同じく光を通さない部材で構成されてもよい。もっとも、3面以上が透明又は半透明の部材で構成されていてもよい。
【0019】
時間貸し空間3の利用人数は、時間貸し空間の容積によっておおよそ決まる。本実施の形態では、基本的に1人が使用する個室型を想定しているが、多人数を収容可能な大部屋でもよい。大部屋は単独の部屋として構成されていてもよいが、時間貸し空間3の壁面30D及び30Eの一方又は両方を取り除いて連結して構成されていてもよい。
なお、個室型とは1人しか利用できない意味ではなく、少人数、例えば2~3人の利用が可能な意味で使用する。
個々の時間貸し空間3を構成する躯体30の形状や構造、提供される設備や性能は任意である。
本実施の形態の場合、躯体30の内部には、机33と椅子34が1つずつ配されている。また、机33の上には、機器31の一例である印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31Gが配されている。なお、コンピュータ本体31Eに記憶されているデータや履歴の情報は、システム側の制御によって、利用の終了後に全て消去される。利用者の情報を保護するためである。
【0020】
この他、機器31として、空調装置31A、人感センサ31B、室内の照明に使用される照明器具31C、機器31を含む電子機器の動作を制御する制御装置31H、認証ユニット32Aが配置される。
なお、機器31として例示した具体的な電子機器は一例である。例えば机33の上に配されている印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31Gは設置されていなくてもよい。そのような場合は、利用者のコンピュータやスマートフォンが用いられる。
【0021】
ここでの時間貸し空間3の全体(躯体30を含む)又は制御装置31Hは、特許請求の範囲における装置の一例である。制御装置31Hは、特許請求の範囲における制御手段の一例でもある。
また、ユーザ端末4、予約管理サーバ5、空間管理サーバ6、請求管理サーバ7、会員管理サーバ8も、特許請求の範囲における装置の一例である。
また、管理システム1は、特許請求の範囲における管理システムの一例である。
【0022】
<端末の構成>
図3~
図5を使用して、管理システム1を構成する端末の構成例を説明する。
図3は、ユーザ端末4のハードウェア構成の例を説明する図である。
本実施の形態では、ユーザ端末4として、例えばスマートフォンを使用する。
ユーザ端末4は、ファームウェアやアプリケーションプログラムの実行を通じて各種の機能を提供するCPU(Central Processing Unit)41と、ファームウェアやBIOS(Basic Input Output System)を格納する記憶領域であるROM(Read Only Memory)42と、プログラムの実行領域であるRAM(Random Access Memory)43を有している。
また、ユーザ端末4は、ダウンロードしたアプリケーションプログラムや電子鍵等を記憶する揮発性の記憶装置44と、外部との通信に使用される通信インタフェース(通信IF)45と、タッチパネル等の入力デバイス46と、情報の表示に使用される表示デバイス47と、撮像カメラ48とを有している。記憶装置44には、例えば半導体メモリが用いられる。
ここで、CPU41と各種のデバイスはバス49を通じて接続されている。
【0023】
図4は、管理システム1を構成するサーバのハードウェア構成の例を説明する図である。
図4では、予約管理サーバ5の構成を代表的に表している。もっとも、他のサーバ、すなわち、空間管理サーバ6、請求管理サーバ7、会員管理サーバ8の構成も
図4に示す構成と同様である。
予約管理サーバ5は、オペレーションシステムやアプリケーションプログラムの実行を通じて各種の管理機能を提供するCPU51Aと、オペレーションシステムやBIOSを格納する記憶領域であるROM52Aと、プログラムの実行領域であるRAM53を有している。
また、予約管理サーバ5は、担当する管理機能を実現するアプリケーションプログラムや各種の管理データを記憶する揮発性のハードディスクドライブ(HDD)54と、外部との通信に使用される通信インタフェース(通信IF)55と、キーボード等の入力デバイス56と、情報の表示に使用される表示デバイス57とを有している。
ここで、CPU51Aと各種のデバイスはバス58を通じて接続されている。
なお、各サーバは、管理データを保持するデータベースの一例である。
【0024】
図5は、管理システム1を構成する時間貸し空間3の構成例を説明する図である。
時間貸し空間3は、空調装置31A、人感センサ31B、照明器具31C、印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31G、制御装置31H、認証ユニット32Aを有している。
ここで、空調装置31Aは、室内の気温や湿度の調整に使用される。なお、空調装置31Aと共に、又は、空調装置31Aとは別に換気に特化した機構を設けてもよい。
人感センサ31Bは、室内の人の検知に用いられるセンサであり、様々なタイプが存在する。例えば人の動きを検知可能な焦電型赤外線人感センサ、人の数と位置を検知可能な画像型人感センサやサーモパイル型人感センサがある。目的に応じて、これらのセンサのうちのいずれか、または、複数を組み合わせて使用する。
【0025】
印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31Gは、利用者の操作用に予め室内に用意されている情報機器の一例である。これらはLAN(Local Area Network)31V(例えばLANケーブルや無線LAN)を通じて接続されている。なお、利用者がコンピュータを持ち込む場合には、持ち込まれたコンピュータがLAN31Vに接続される。無線LANには、例えばWiFi(商標)やブルートゥース(登録商標)が用いられる。
制御装置31Hは、LAN31Vに接続された機器から情報を収集すると共に、個々の機器の動作を制御する制御用のコンピュータである。なお、制御装置31Hは、管理システム1によっては、空間管理サーバ6としての機能を提供することもある。
認証ユニット32Aは、例えば扉32に取り付けられている。認証ユニット32Aは、扉32の施錠や解錠に必要となる情報の取得や受け渡しに使用される。例えば認証の処理は、予約管理サーバ5で実行され、認証の結果だけが認証ユニット32Aに通知される。認証ユニット32Aは、認証が成功した場合、扉32を解錠する。解錠の後、扉32の開閉が可能になり、時間貸し空間3(
図2参照)への入室が可能になる。
【0026】
この他、時間貸し空間3には、外部との通信用の通信インタフェース(通信IF)31Iが用意されている。通信IF31Iは、クラウドネットワーク2(
図1参照)に接続されており、各種のサーバとの通信に使用される。
時間貸し空間3には、扉32の開閉を機械的に制御する扉開閉機構31Jが用意されている。扉開閉機構31Jには、例えば扉32を駆動して開閉する機構や利用者による扉32の開閉操作に介在して開閉に要する負荷の大きさを調整する機構が含まれる。
時間貸し空間3には、開閉ロック機構31Kが用意されている。開閉ロック機構31Kは、利用者による扉32の開閉を制限する機構である。開閉ロック機構31Kが作動している間、少なくとも扉32を閉じる操作が制限される。
【0027】
時間貸し空間3には、室内や室外における利用者の動きの監視に用いる監視カメラ31Lが用意される。もっとも、監視カメラ31Lは必須ではない。
時間貸し空間3には、表示デバイス31Mが用意される。本実施の形態における表示デバイス31Mは、例えば扉32が設けられている壁面30Cの外側に配置され、入室しようとする利用者の操作用や情報の提供用に使用される。また、表示デバイス31Mは、時間貸し空間3を利用している利用者の操作用や情報の提供用に使用される。
時間貸し空間3には、スピーカ31Nが用意される。スピーカ31Nは、室内の利用者に対する情報の報知や室外にいる人への情報の報知に使用される。スピーカ31Nは報知手段の一例である。
時間貸し空間3には、集音マイク31Oが用意される。集音マイク31Oは、室内の音の取得に使用される。
【0028】
時間貸し空間3には、温度センサ31Pが用意される。温度センサ31Pは、室内の気温の測定に使用される。
時間貸し空間3には、湿度センサ31Qが用意される。湿度センサ31Qは、室内の湿度の測定に使用される。
時間貸し空間3には、マグネットセンサ31Rが用意される。マグネットセンサ31Rは、扉32に取り付けられており、磁力の検知を通じて扉32の開閉を検知する。
時間貸し空間3には、加速度センサ31Sが用意される。加速度センサ31Sは、モノの動きの検知に使用される。
【0029】
時間貸し空間3には、マットセンサ31Tが用意される。マットセンサ31Tは、モノの重さを検知して人の滞在時間や混雑状況の可視化に使用される。
時間貸し空間3には、空気環境モニタ31Uが用意される。空気環境モニタ31Uは、室内の空気に含まれる成分を検知するセンサであり、例えばPM2.5やPM10の濃度、二酸化炭素の濃度、温度、湿度、揮発性有機化合物の濃度などを測定する。なお、測定対象はこれらの全てである必要はないし、他の成分も測定対象であってもよい。空気環境モニタ31Uによって温度や湿度を測定可能な場合、温度センサ31Pと湿度センサ31Qを別に設ける必要はない。
【0030】
<制御機能>
ここでは、
図6を使用して、管理システム1(
図1参照)を構成する端末のいずれかにより、又は、複数の端末の協働により実現される制御機能について説明する。
ここでは、予約管理サーバ5が単独で制御機能を提供する場合について説明する。
図6は、予約管理サーバ5のソフトウェア構成の例を説明する図である。
予約管理サーバ5はプログラムの実行を通じて該当する機能を実現する。
本実施の形態に係る予約管理サーバ5は、一人の作業者が複数の対象者のために複数の時間貸し空間3を予約する作業を支援する機能を有している。
本実施の形態では、この機能を予約制御部101という。予約制御部101は、特許請求の範囲における提示手段と受付手段の一例である。
【0031】
本実施の形態における予約制御部101は、複数の機能で構成されている。
例えば予約制御部101は、予約の対象者を特定する対象者特定部102と、個々の対象者の予約に関する希望を取得する希望取得部103と、各対象者の位置を取得する対象者位置取得部104と、対象者毎に予約の候補を提示する候補提示部105と、時間貸し空間3の予約の状況を提示する予約状況提示部106と、作業者からの予約を受け付ける予約受付部107と、を含んでいる。
【0032】
対象者特定部102は、例えば作業者が指定した又は入力した対象者の情報(例えば氏名、社員番号など)を用いて対象者を特定する。また、対象者特定部102は、例えばグループチャットの参加者や発話の履歴から対象者を特定する。本実施の形態の場合、これらの指定や入力は、一人の作業者が実行する。
図7-1及び
図7-2を用いて、作業者と予約の対象者との関係を説明する。
図7-1は、作業者と対象者の人的な関係の例を説明する図である。(A)は予約の対象者のうちの1人が作業者である場合であり、(B)は予約の対象者とは別人が作業者の場合であり、(C)は予約の対象者のうちの1人が作業者として他の1人の予約を行い、残る一人が作業者として自身の予約を行う場合である。
図7-2は、作業者と対象者の人的な関係の他の例を説明する図である。(D)は予約の対象者のうちの1人が作業者として自身と他の1人の予約を行い、残る一人の対象者のための予約を予約の対象者とは別人が行う場合である。
【0033】
希望取得部103(
図6参照)が取得する希望には、地点や時間帯、必要とする設備等がある。希望取得部103による希望の取得の方法には、例えば会員管理サーバ8(
図1参照)に登録されている情報(例えば個人のスケジュール)を取得する方法、作業者が対象者毎に個別に入力する方法、ビジネスチャットで交わされた会話を解析する方法などがある。なお、ビジネスチャットがテキストで行われている場合には文字認識により、音声で行われている場合には音声認識により、個々人の希望が特定される。
【0034】
対象者位置取得部104(
図6参照)が取得する位置の情報には、対象者の現在地、対象者が希望する地点(希望地)、スケジュールから推定される位置(推定地)のいずれか、又は、複数が用いられる。このうち、現在地は、例えばユーザ端末4(
図1参照)のGPS(Global Positioning System)受信機からの出力情報を用いる。
対象者の希望地は、特定の地点だけでなく、範囲として与えられてもよい。範囲の一例には、○○線沿線、××駅から△△駅の間、現在地から□□ビルがある方面等がある。
【0035】
候補提示部105(
図6参照)は、例えば対象者位置取得部104で取得された対象者の位置や希望地などの周囲にある時間貸し空間3を予約の候補として作業者が操作する画面上に表示する。
周囲は、起点から予め定めた距離までの範囲として与えられる。
例えば希望地が特定の地点名や建築物で与えられる場合、候補提示部105は、指定された地点を中心として全ての方位に予め定めた距離の内側にある時間貸し空間3を候補とする。
例えば希望地が線路や道路の沿線として与えられる場合、候補提示部105は、指定された路線の両側に予め定めた距離の内側にある時間貸し空間3を候補とする。
例えば希望地が2つのランドマークの間として与えられる場合、候補提示部105は、個々のランドマークを接続する路線の両側に予め定めた距離の内側にある時間貸し空間3を候補とする。
【0036】
例えば希望地が1つのランドマークから特定の方向として与えられる場合、候補提示部105は、1つのランドマークから指定された方向に存在する路線の両側に予め定めた距離の内側にある時間貸し空間3を候補とする。もっとも、路線の軌跡を無視して指定された方向を与える直線の両側に予め定めた距離の内側にある時間貸し空間3を候補の対象としてもよい。
なお、対象者の現在地と希望地が異なる場合には、対象者の移動に要する時間を考慮して候補とする時間貸し空間3を絞り込むことが望まれる。
【0037】
予約状況提示部106(
図6参照)は、予約管理サーバ5(
図1参照)で管理されている時間貸し空間3の個々の予約の状況、時間貸し空間3が属する地点を単位とした予約の状況(各地点に配置されている1つ又は複数の時間貸し空間3の予約の状況を全体として評価した状況)を作業者が操作する画面上に表示する。
例えば作業者が操作する画面上に時間貸し空間3がリスト(一覧表)として表示される場合、予約状況提示部106は、個々の時間貸し空間3に対応付けて又は地点に対応付けて予約の状況を数値や色の違いなどによって表示する。
例えば作業者が操作する画面上に地図を表示し、その地図上に時間貸し空間3の配置を示す記号を表示する場合、予約状況提示部106は、予約の状況に応じて個々の記号の色などによって表示する。
なお、地点を単位とする予約の状況が表示されている場合でも、作業者によって特定の地点が指定されたときには、指定された地点に位置する複数の時間貸し空間3の予約状況が個別に表示される。
【0038】
予約受付部107(
図6参照)は、作業者による各対象者に対する時間貸し空間3の予約の受け付け処理を実行する。候補の提示中は、他の作業者による予約を受け付けない状態に制御することで、予約の重複を回避できる。
予約受付部107は、予約のボタンが操作されると、候補に対する予約を確定する。なお、1人の対象者に対して複数の時間貸し空間3を予約できるようにしてもよい。ただし、最終的には、1つの時間貸し空間3を残して予約を解除する。
予約の確定の後、予約受付部107は、予約が確定されたことを対応する対象者に通知する。この通知は、個人別の通知でもよいし、対象者全員への通知でもよい。例えばグループチャットへの投稿によって行っても良い。
【0039】
<制御例>
以下では、予約制御部101(
図6参照)の制御を通じて実現される制御の例を説明する。
初めに、予約制御部101が予約を管理する時間貸し空間3の配置の例を説明する。
図8は、時間貸し空間3の実空間での配置の例を説明する図である。
図8の例では、地域1と地域2で管理される2つの領域が含まれている。地域は、行政区分に応じて定めてもよいが、行政区分とは無関係に定めてもよい。また地域は、市役所、デパートなどの建物やランドマークを起点として定めてもよい。
個々の地域内には1つ又は複数の地点が含まれている。
図8の例では地域1内に地点Aと地点Bが含まれ、地域2には地点Cが含まれている。
【0040】
各地点には、1つ又は複数の時間貸し空間3が設置されている。例えば地点Aには4つ、地点Bにも4つ、地点Cには2つの時間貸し空間3が設置されている。
個々の時間貸し空間3は、地点名と地点内の識別用の番号とで区別される。
ここでの地域、地点、識別用の番号の情報は、登録リスト51(
図1参照)や予約リスト52(
図1参照)でも使用される。
なお、
図8では、利用中の時間貸し空間3と利用されていない時間貸し空間3とを区別して表示している。
【0041】
図9は、予約制御部101の制御動作例を説明する図である。
まず、予約制御部101は、予約の対象者を特定する(ステップ11)。本実施の形態では、対象者の指定にグループチャットを用いる。
図10は、グループチャット200の画面例を示す図である。
図10に示すグループチャット200の例では、時間順次に、利用者A(Aさん)の「今日、13:00以降でTV会議できますか?」との発言201、利用者B(Bさん)の「OK」との発言202、勤務者C(Cさん)の「14:00-18:00ならOK」との発言203、利用者A(Aさん)の「それでは、14:00-15:00でTV会議をお願いします」との発言204が現れている。
この場合、予約制御部101は、発話者の情報から対象者は、利用者A、利用者B、勤務者Cの3名であると特定する。
ここでは、勤務者Cが作業者であるものとする。以下では、利用者A、利用者B、勤務者Cをそれぞれ対象者A、B、Cと呼び、作業者としての勤務者Cを作業者Cという。
【0042】
次に、予約制御部101は、各対象者の情報(希望)を取得する(ステップ12)。
図10の場合、予約制御部101は、対象者Aの希望として「13:00以降」と「14:00-15:00」を取得し、対象者Bの希望として「13:00以降」を取得し、対象者Cの希望として「14:00-18:00」を取得する。
なお、予約制御部101は、対象者である3名の希望が重複する時間帯として「14:00-15:00」を抽出する。
図10では不図示であるが、対象者Aは場所として「Wビル周辺」を希望し、対象者Bは場所として「Y線のM駅とP駅間」を希望している。
【0043】
次に、予約制御部101は、各対象者の位置を取得する(ステップ13)。ここでの予約制御部101は、対象者の現在地、希望地、推定地などを取得する。例えば現在地は、各対象者がグループチャットに用いている端末(すなわちユーザ端末4(
図1参照))から取得される。また、希望地は、グループチャット200から取得される。また、推定地は、対象者の現在地とスケジュールの情報から推定される。推定には、移動に要する交通機関や移動に要する時間の情報も用いられる。本実施の形態では、現在地、希望地、推定地を総称して候補地ともいう。
【0044】
次に、予約制御部101は、作業者Cに各対象者の希望に関する情報と、対象者に応じた空間の候補と予約の状況を提示する(ステップ14)。
作業者が各対象者の希望を確認しながら予約する時間貸し空間3を選択できるようにするためである。
本実施の形態では、作業者Cは勤務地内にある会議室や事務机を使用して会議に出席する場合を想定し、作業者Cが社外にいる対象者Aと対象者Bの2名について時間貸し空間3を予約する。
【0045】
図11は、作業者が操作するユーザ端末4(
図1参照)に表示される作業画面300の例を示す図である。
図11では、作業者Cが作業画面300を通じて、対象者Aと対象者Bの2名の予約を行う場合を想定している。
本実施の形態における作業画面300は、予約する時間帯が示される領域310と、対象者Aの希望(例えば時間帯や地点)を表示する領域320と、対象者Bの希望(例えば時間帯や地点)を表示する領域330と、対象者Aと対象者Bの位置に関する情報と予約の候補となる地点や個々の時間貸し空間3の情報が表示される領域340と、予約の状況の凡例を示す領域350とを含んでいる。
【0046】
ここで、領域310には、例えばステップ12(
図9参照)で特定された時間帯が表示される。なお、作業者Cが領域310に時間帯を入力してもよいし、表示されている時間帯を修正できるようにしてもよい。領域310を設けることで、予約する時間帯を画面上で確認しながら予約を行うことができ、入力の間違いや確認の手間を省くことができる。
領域320と領域330には、作業者Cが予約を代行する対象者A及びBの希望に関する情報が表示される。
図11では、対象者A及びBの2名についての情報が表示されているが、対象者である作業者Cの情報も表示されてもよい。
図11において作業者Cの情報が表示されていないのは、作業者Cは時間貸し空間3を予約せず、勤務地内の会議室などを使用するためである。このように、操作画面300に表示される対象者の情報は、作業者Cが選択することができる。
図11の場合、領域320には、対象者Aの希望する時間帯として「13:00以降」、希望する地点として「Wビル周辺で」が表示されている。
領域330には、対象者Bの希望する時間帯として「13:00以降」、希望する地点として「Y線のM駅とP駅の間でお願いします」が表示されている。
なお、この例の場合、対象者A及びBを識別する番号(例えば社員番号)も表示されている。
【0047】
図11の場合、領域340には、対象者Aと対象者Bの現在地、現在地や候補地の周囲に位置する時間貸し空間3、時間貸し空間3の予約の状況などが地図上のランドマークとともに表示されている。
図11の例では、表示される地図の縮尺の関係で、対象者Aと対象者Bの2名の情報を1つの画面内で確認できているが、対象者別に画面を用意してもよい。地図の縮尺が小さすぎると、地点単位でも予約の状況の確認が難しくなるためである。この表示例については後述する。
図11の例では、地図上のランドマークとして、Y線の線路と線路上に位置するM駅とP駅、地下鉄E線の線路と線路上に位置するL駅、主要な道路(図中、直線で示す)、主要な建物であるWビルが示されている。
【0048】
また、領域340には、カーソル341と、対象者Aの現在地を二重丸で表すマーク342と、対象者Bの現在地を二重丸で表すマーク343とが示されている。また、涙型のマーク344は、時間貸し空間3が配置されている地点の位置を表している。
図11では、マーク344の網掛けの密度の違いで予約の状況を表している。領域350の凡例に示すように、網掛けの密度が高いほど予約が埋まっており空きが少ないことを意味し、網掛けの密度が低いほど予約が少なく空きが多いことを意味する。
なお、領域340内の予約の状況は、領域310に表示された予約の時間帯についての情報である。
図11では、予約の状況を3段階で表現しているが、2段階でも4段階以上でもよい。また、実際の画面上では、色の違いによって予約の状況を表現してもよい。
【0049】
図12は、対象者Aに対する候補地の提示の例を示す図である。
図12には
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図12では、対象者Aの現在地の周囲(マーク342の周囲)に位置する地点に候補1と表示され、作業者Cに予約の候補であることを示している。
図12の場合、候補1の地点は、時間貸し空間3に空きが多い場所である。
画面上に表示される地点の数が多い場合、作業者Cは、どの地点に予約を行えばよいのか分かりにくい。従って、
図12のように、候補1との表記を付したり、候補の地点を破線で囲んだり、輝度を上げたり、表示の寸法を他より大きく変更したりするなど作業者の目に付きやすい表示を工夫することが望ましい。
【0050】
図13は、対象者Aに対する候補地の提示の他の例を示す図である。
図13には
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図13では、対象者Aの希望地(Wビル)の周囲に位置する地点345に候補1と表示され、作業者Cに予約の候補であることを示している。
図13の場合、地点345は、時間貸し空間3に空きがある場所である。
図14は、対象者Aに対する推定地の提示の他の例を示す図である。
図14には
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図14では、現在地から対象者Aについて取得された希望地(Wビル)への移動の経路347を推定し、推定された経路347の周囲に位置する2つの地点345、346を候補として表示している。
なお、推定された移動の経路347は、領域340に表示されてもよいし、表示されなくてもよい。経路347の表示は作業者Cが選択できる。
図14の場合、地点345は候補1と表示され、地点346は候補2と表示されている。地点345も地点346も、時間貸し空間3に空きがある場所である。
移動の経路347の周囲に位置する地点を候補として作業者Cに提示する場合、予約制御部101は、対象者Aのスケジュール上の移動先への移動の経路と移動に要する時間や予約の時間を考慮に入れて作業者Cに提示する候補地を決定する。
【0051】
なお、
図12~
図14に示す候補地の表示は、作業者Cの操作によって切り替えできるようにしてもよい。すなわち、現在地の周囲で候補地を提示する画面と、希望地の周囲で候補地を提示する画面と、移動の経路上の周囲で候補地を提示する画面とを切り替えられるようにしてもよい。特定の画面だけでは、予約可能な時間貸し空間3が見つからない可能性があるためである。
また、いずれの画面によっても予約可能な時間貸し空間3が見つからない場合に備え、作業者Cがカーソル341で指定した任意の地点に属する時間貸し空間3を予約の対象として指定することもできる。
図12~
図14では、説明の都合上、対象者Aについての候補の提示の例を示しているが、対象者Bについても同様に予約制御部101から作業者Cに対して地点の候補が提示される。
図15は、対象者Bに対する候補地の提示の例を示す図である。
図15には
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図15では、対象者Aの場合とは異なり、対象者Bが希望する範囲348を候補として示している。破線で囲んで示す範囲348の内側に位置する複数の地点が予約の候補である。
【0052】
図9の説明に戻る。
ステップ14における情報の提示の後、予約制御部101は、作業者Cにおる対象者毎に予約を受け付ける(ステップ15)。この受け付け処理は、予約制御部101が、ステップ16で対象者全員の予約の終了を確認するまで(ステップ16で肯定結果が得られるまで)繰り返される。すなわち、ステップ16で否定結果が得られている間、予約を受け付ける。
なお、予約の終了は、不図示のボタンが操作されることを条件としてもよい。
【0053】
図16は、作業者Cによって特定の地点が指定されることで開始する予約の受付画面360の表示例を説明する図である。
図16には
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図16の場合、受付画面360は、Wビルの周囲に位置する地点345がカーソル341でクリックされることで表示される。
受付画面360は、予約の対象者の特定に使用される情報の入力欄361と、予約する時間貸し空間3を特定する情報の入力欄362と、予約の時間帯が入力される項目欄363と、配置されている個々の時間貸し空間3の予約の状況を示す領域364と、予約を確定するためのボタン365を含んでいる。
図16の例では、#001で識別される時間貸し空間3の予約が可能である。
【0054】
図17は、予約を確定するボタン365(
図16参照)がクリックされることで表示される案内画面370の表示例を示す図である。
図17には
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。案内画面370には、予約された地点345の周辺を拡大した地図が表示され、地点345への案内文371と、予約された対象者(ここでは対象者A)が所持するユーザ端末4(
図1参照)への案内画面370の送信を指示する送信ボタン372とが含まれている。
ここでの案内画面370は、予約された時間貸し空間3への移動を支援する情報の一例である。
図17の例では、予約された時間貸し空間3(#001)が配置された地点345は、地下鉄E線のL駅の5番出口を出て20mであることが示されている。
【0055】
図16及び
図17は、候補地の周辺で予約を行う場合の例であるが、ここでは候補地に予約可能な時間貸し空間3が存在しない場合の予約の例について説明する。
図18は、作業者Cがカーソル241で指定した地点の時間貸し空間3を予約する場合の例を示す図である。
図18には
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図18の例は、対象者Aの希望地である地点245に位置する時間貸し空間3に空きがなく予約ができないため、周辺で予約が可能な地点246が作業者Cによって指定された場合を示している。
図18の場合、#006で識別される時間貸し空間3は12:00から18:00の間に予約が入っておらず、対象者Aのために14:00から15:00の間の予約が可能である。
【0056】
図19は、1人の対象者に対して複数の時間貸し空間3を予約する作業の例を説明する図である。
図19には
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図19の例は、対象者Bに対する予約の例である。予約の作業では、時間貸し空間3の予約が何よりも優先されるが、予約が完了した後もより便利な時間貸し空間3を探したい場合がある。
図19の例では、地点349Aと地点349Bの2か所で時間貸し空間3が予約され、更に3つ目の地点349Cの時間貸し空間3を予約する例を示している。
なお、地点349Aの時間貸し空間3は最初に予約されたので予約候補1と表示され、地点349Bの時間貸し空間3は2番目に予約されたので予約候補2と表示されている。
【0057】
図19の例では、例えば「予約候補」との表示が用いられているが、これは1人の対象者について時間帯が重なる予約が複数見つかった場合に用いられる。
地点349Aの時間貸し空間3が予約された時点のように、対象者Bに対する予約が1つしか存在しない場合には、作業画面300の地点349Aには「予約」との表示が用いられる。また、予約された時間貸し空間3の予約が解除され、対象者Bに対する予約が1つになると、画面上の表示は予約候補から予約に変更される。
なお、予約候補として表示されている時間貸し空間3も予約されていることには違いがないので、他の対象者のための予約の作業は行えない。
【0058】
以下では、作業画面の他の例について説明する。
まず、対象者Aの候補地と対象者Bの候補地が離れている場合に用いる表示例について説明する。この表示例は、例えば対象者Aの候補地と対象者Bの候補地を1つの領域340(
図11参照)に含めようとすると縮尺が小さくなりすぎ、地点の区別や予約の状況の確認が難しくなる場合に用いられる。
【0059】
図20は、対象者別に予約のための領域を用意する作業画面300Aの例を示す図である。
図20には
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図20の例では、対象者Aの希望を表示する領域320に対応付けて領域340Aが表示され、対象者Bの希望を表示する領域330に対応付けて領域340Bが表示されている。
なお、領域340Aには対象者Aの候補地を含む地
図1が表示され、領域340Bには対象者Bの候補地を含む地
図2が表示されている。地
図1と地
図2の表示の内容は、
図11で示した領域340と同様である。
【0060】
次に、作業者Cが操作するユーザ端末4の表示画面が小さい場合に用いる表示例について説明する。例えばユーザ端末4としてスマートフォンを用いる場合である。
以下では、
図21-1と
図21-2を用いて表示例を説明する。
図21-1は、対象者Aの予約に用いる作業画面300Bの表示例を示す図である。
図21-2は、対象者Bの予約に用いる作業画面300Cの表示例を示す図である。
作業画面300B及び300Cのいずれにも、画面の右側にスクロールバー380が表示され、全体の中の表示位置が示されている。
【0061】
<実施の形態の効果>
本実施の形態で説明した手法を用いれば、1人の作業者Cが複数の対象者A及びBのために複数の時間貸し空間3を1つのユーザ端末4(
図1参照)から容易に予約することができる。
この際、作業画面300(
図11参照)などには、各対象者に応じて候補地が提示されるため、作業者Cは効率的に予約の作業を進めることができる。
また、作業画面300などには、各候補地の予約の状況を示されるため、特定の候補地だけでなく近隣の他の地点の状況も確認しながら予約の作業を進めることができる。
【0062】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施の形態に記載の範囲には限定されない。上述の実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば前述の実施の形態では、会議を行う3人の対象者A、B及びCのうちの1人が作業者として他の2名のために時間貸し空間3を予約する場合を例に説明したが、予約の目的が会議である必要はない。すなわち、前述した手法は、1人の作業者が自身を含む複数人又は自身を含まない複数人のために時間貸し空間3の予約を代行する場合に応用できる。
【0063】
例えば管理システム1(
図1参照)は前述した構成に限らない。
図22は、管理システム1Aの他の構成例を示す図である。
図22には、
図1と対応する部分に対応する符号を付して示している。管理システム1Aは、複数の時間貸し空間3を管理する拠点サーバ390を用いる点で管理システム1(
図1)と異なっている。コンピュータの構成を有する拠点サーバ390は、プログラムの実行を通じて予約制御部101(
図6参照)の機能を実行してもよい。この意味において、拠点サーバ390は、特許請求の範囲における装置の一例である。
【0064】
前述の実施の形態においては、時間貸しされる空間として
図2に示すように防音性能を備える小部屋を想定したが、利用の際に同様の状況が起こり得る空間であれば、例えば貸し会議室、学習室、各種の客室にも適用できる。
前述の実施の形態では、扉32が施錠可能な場合を前提に説明しているが、前述した制御機能は、扉32が施錠できない場合にも利用できる。
前述の実施の形態では、時間貸しされる空間を前提としているが、必ずしも時間単位で貸し出される空間でなくてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、1A…管理システム、2…クラウドネットワーク、3…時間貸し空間、4…ユーザ端末、5…予約管理サーバ、6…空間管理サーバ、7…請求管理サーバ、8…会員管理サーバ、101…予約制御部、102…対象者特定部、103…希望取得部、104…対象者位置取得部、105…候補提示部、106…予約状況提示部、107…予約受付部