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特許7188555光学制御装置および、これを含むヘッドアップディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光学制御装置および、これを含むヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/08 20060101AFI20221206BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20221206BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B26/08 E
G02B27/01
B60K35/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021504930
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2020008586
(87)【国際公開番号】W WO2020184238
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019042615
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 克己
(72)【発明者】
【氏名】上林 嗣治
(72)【発明者】
【氏名】山下 俊明
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-093885(JP,A)
【文献】特開平04-051112(JP,A)
【文献】特開2015-102583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0079101(US,A1)
【文献】特開平10-185549(JP,A)
【文献】特開平07-239242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01,26/08,7/00
B60K 35/00
G09F 9/00
G01B 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品の回転角度を制御する光学制御装置であって、
前記光学部品を保持する保持部と、
前記保持部に保持した前記光学部品の回転軸に設けられ、前記光学部品の回転角度を変更する駆動部と、
前記駆動部を載置した基板において前記駆動部の外形よりも外側の位置に設けられ、前記光学部品の回転角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部で検出した角度に基づいて前記駆動部を駆動し、前記光学部品の回転角度を制御する制御部とを備え、
前記角度検出部は、前記保持部または前記光学部品に設けた導体部の移動に伴う電磁気に基づく値の変化に基づき前記光学部品の回転角度を検出する、光学制御装置。
【請求項2】
光学部品の回転角度を制御する光学制御装置であって、
前記光学部品を保持する保持部と、
前記保持部に保持した前記光学部品の回転軸に設けられ、前記光学部品の回転角度を変更する駆動部と、
前記駆動部を載置した基板において前記駆動部の外形よりも外側の位置に設けられ、前記光学部品の回転角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部で検出した角度に基づいて前記駆動部を駆動し、前記光学部品の回転角度を制御する制御部とを備え、
前記角度検出部は、前記保持部または前記光学部品との距離の変化に基づき前記光学部品の回転角度を検出する、光学制御装置。
【請求項3】
前記角度検出部は、前記導体部の移動に伴い電磁気に基づく値が段階的に変化する構成を有する、請求項に記載の光学制御装置。
【請求項4】
前記角度検出部は、前記保持部に設けた前記導体部の移動に伴う磁気共振系の吸収によって変化する検出電圧に基づき前記光学部品の回転角度を検出する、請求項または請求項3に記載の光学制御装置。
【請求項5】
前記角度検出部は、前記保持部に設けた前記導体部との間で生じる電気容量の変化に基づき前記光学部品の回転角度を検出する、請求項または請求項3に記載の光学制御装置。
【請求項6】
前記角度検出部は、前記駆動部を載置した前記基板の同じ面に設けられる、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の光学制御装置。
【請求項7】
前記角度検出部は、前記保持部または前記光学部品の底面に対向する位置に設けられる、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の光学制御装置。
【請求項8】
画像を所定の面に投影して表示を行うヘッドアップディスプレイ装置であって、
投影する画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部で生成した画像を、前記保持部で保持する前記光学部品で反射させる、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の前記光学制御装置とを備える、ヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学制御装置および、これを含むヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の運転席の前方に設けられたフロントガラスに、速度などの運転情報を表示するヘッドアップディスプレイ装置が開発されている。ヘッドアップディスプレイ装置では、フロントガラスに運転情報を表示するために、表示ユニットで形成された画像をミラーなどの反射部材で反射させてフロントガラスに投影する必要がある。
【0003】
しかし、ヘッドアップディスプレイ装置を車両に搭載する場合、運転姿勢や運転者の交代などによる視線位置の変更に応じて反射部材の回転角度を精度良く変えたり、車両の振動により反射部材が回転方向に振動することに対して反射部材の回転角度を精度良く制御したりすることが望まれている。
【0004】
特許文献1では、反射部材の回転軸に取り付けられたモータ部にステッピングモータが採用されており、反射部材の回転角度を精度良く制御することができるヘッドアップディスプレイ装置が開示されている。このヘッドアップディスプレイ装置では、ステッピングモータの出力を減速ギヤで減速して反射部材の回転角度をプラスマイナス2度の微小角度だけ回転させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-131651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のヘッドアップディスプレイ装置のように、正確な位置決め制御の機能を有するステッピングモータを用いた場合、反射部材の回転角度を精度良く制御することができる。しかし、ステッピングモータは、位置決め制御の機能を有していないモータに比べて高価であり、当該ステッピングモータを含むヘッドアップディスプレイ装置の製造コストを低減することができない問題があった。
【0007】
また、位置決め制御の機能を有していないモータ(例えば、DCモータ、超音波モータなど)を、ヘッドアップディスプレイ装置に用いる場合、当該モータに位置決め制御を行う機構(例えば、エンコーダなど)を設ける必要がある。当該機構をモータに設けた場合、モータ自体のサイズが大きくなり小型化できない問題があった。特に、車両に設けられるヘッドアップディスプレイ装置は、搭載スペースの限られた車両の室内に搭載されるため、ミリ単位での小型化が要求されている。
【0008】
そこで、本開示の目的は、低コストで、光学部品(反射部材)の回転角度を精度良く制御することが可能な光学制御装置、およびこれを含むヘッドアップディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一形態に係る光学制御装置は、光学部品の回転角度を制御する光学制御装置であって、光学部品を保持する保持部と、保持部に保持された光学部品の回転軸に設けられ、光学部品の回転角度を変更する駆動部と、駆動部を載置した基板において駆動部の外形よりも外側の位置に設けられ、光学部品の回転角度を検出する角度検出部と、角度検出部で検出した角度に基づいて前記駆動部を駆動し、光学部品の回転角度を制御する制御部とを備え、角度検出部は、保持部または光学部品に設けた導体部の移動に伴う電磁気に基づく値の変化に基づき光学部品の回転角度を検出する
【0010】
本開示の一形態に係るヘッドアップディスプレイ装置は、画像を所定の面に投影して表示を行うヘッドアップディスプレイ装置であって、投影する画像を生成する画像生成部と、画像生成部で生成した画像を、保持部で保持する光学部品で反射させる、上記の光学制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、低コストで、光学部品の回転角度を精度良く制御することができ、可能な光学制御装置、およびこれを含むヘッドアップディスプレイ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態1に係る光学制御装置の斜視図である。
図2】本実施の形態1に係る光学制御装置を含むヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。
図3】エンコーダの円弧長さと直径との関係を説明するための図である。
図4】本実施の形態1に係る光学制御装置の角度検出部を説明するための図である。
図5】金属板の移動に伴い磁気が変化することで、反射部材の回転角度を検出する角度検出部について説明する図である。
図6】金属板の移動に伴い電気容量が変化することで、反射部材の回転角度を検出する角度検出部を説明する図である。
図7】保持部の底部に金属板を設けた場合の角度検出部を説明する図である。
図8】本実施の形態2に係る光学制御装置の角度検出部を説明するための図である。
図9】反射部材の回転角度をデジタル値で検出する角度検出部の一例を示す図である。
図10】反射部材の回転角度をデジタル値で検出する角度検出部の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本実施の形態に係る光学制御装置およびこれを含むヘッドアップディスプレイ装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0014】
(実施の形態1)
まず、図1は、本実施の形態1に係る光学制御装置の斜視図である。図2は、本実施の形態1に係る光学制御装置を含むヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。図2に示すヘッドアップディスプレイ装置100は、例えば自動車等の車両に搭載されるもので、筐体1と、画像生成部2と、反射部材4とを備えている。
【0015】
また、画像生成部2は、例えばLCD2aとバックライトユニット2bとで構成されており、車両のフロントガラス6に投影する画像をLCD2aおよびバックライトユニット2bで生成している。画像生成部2で生成する画像としては、例えば各種車両情報、およびナビゲーション情報などがある。なお、バックライトユニット2bは、図示していないが、例えば、複数の発光ダイオードと、これら発光ダイオードからの光をLCD2aに入射させるレンズとを備えている。
【0016】
筐体1は、例えば合成樹脂で構成され、画像生成部2、反射部材4を内部に収容し、フロントガラス6に対向する側に、画像の光Lをフロントガラス6に向けて出射させる出射部7を設けている。当該出射部7は、筐体1内へのホコリの進入を防ぐため透光性のカバー8で覆われている。
【0017】
反射部材4は、例えば、平面鏡などの光学部品であり、画像生成部2からの画像の光Lを、出射部7に向けて反射し、フロントガラス6上に投影している。ヘッドアップディスプレイ装置100は、これにより車両の乗員Pが、画像生成部2で生成した画像を風景と重畳させて視認することができる。
【0018】
ヘッドアップディスプレイ装置100では、乗員Pの運転姿勢や運転者の交代などによる視線位置の変更に応じて反射部材4の回転角度を精度良く変えたり、車両の振動により反射部材4が回転方向に振動することに対して反射部材4の回転角度を精度良く制御したりすることが望まれている。
【0019】
図1に示す光学制御装置60は、反射部材4の回転角度を制御する制御装置である。図1(a)では、反射部材4を保持する保持部61が図示されているだけで、保持部61の角度を変更するアクチュエータ(駆動部)については図示していない。保持部61には、保持している反射部材4を回転させるための回転軸62が設けてある。
【0020】
図1(b)では、この回転軸62にアクチュエータ66を取付けた光学制御装置60が図示されている。アクチュエータ66は、アクチュエータホルダ65(基板)に載置され固定されており、このアクチュエータホルダ65を挟んで保持部61の回転軸62に接続されている。
【0021】
アクチュエータホルダ65には、アクチュエータ66の外形よりも外側の位置に角度検出部67を設け、反射部材4の回転角度を検出している。制御部70は、角度検出部67で検出した角度に基づいてアクチュエータ66を駆動し、反射部材4の回転角度を制御している。
【0022】
ヘッドアップディスプレイ装置100では、表示させる項目が増え投影する面積が大きくなり反射部材4も大型になる傾向がある。一方、ヘッドアップディスプレイ装置100の配置スペースは限定されており、反射部材4の回転角度を制御する光学制御装置60の配置スペースも省スペース化が求められている。光学制御装置60を小型化する場合、反射部材4を保持する保持部61の駆動機構も小型化する必要があり、アクチュエータ66にステッピングモータを用いると小型化に伴って高精度化することが困難であった。
【0023】
本実施の形態1に係る光学制御装置60では、アクチュエータ66にDCモータや超音波モータを使うことで小型化を達成している。なお、アクチュエータ66にDCモータを用いる場合、必要に応じてギヤと組み合わせる必要がある。また、超音波モータは、ギヤと組み合わせなくとも直接、低速で高トルクの駆動が可能である。なお、アクチュエータ66は、DCモータや超音波モータに限らずACモータなどでもよい。
【0024】
しかし、アクチュエータ66にDCモータや超音波モータを使う場合、ステッピングモータのように位置決め制御の機能を有していないので、別途エンコーダを設ける必要があった。エンコーダを用いて反射部材4の回転角度を制御する場合、アクチュエータ66の小型化によりエンコーダも小型化する必要があるので、反射部材4の回転角度を制御する精度が低下する問題があった。
【0025】
図3は、エンコーダの円弧長さと直径との関係を説明するための図である。図3では、縦軸に円弧長さ(単位mm)、横軸にエンコーダの円盤直径(単位mm)をそれぞれ設定してある。グラフAは、1度当たりの円弧長さの変化を、グラフBは、0.5度当たりの円弧長さの変化をそれぞれ示している。
【0026】
例えば、エンコーダの円盤直径を18mmにする(図3に示す破線の位置)と、1度当たりの円弧長さは約0.36mm、0.5度当たりの円弧長さは約0.18mmとなる。そのため、アクチュエータ66の小型化によりエンコーダも小型化すると、エンコーダの円盤直径も小さくなるので、1度当たりの円弧長さまたは0.5度当たりの円弧長さが短くなる。
【0027】
このように、回転角度を検出するためにエンコーダを用いた場合、エンコーダの円弧長さを分割する精度により分解能が決まることになる。そのため、エンコーダの円盤直径が小径化すると、分解能を上げるために高い加工精度が要求されコストが高くなる。
【0028】
そこで、本実施の形態1に係る光学制御装置60では、アクチュエータ66にDCモータや超音波モータを使う場合であってもエンコーダを用いず、アクチュエータ66の外形よりも外側の位置に反射部材4の回転角度を検出する角度検出部67を設けている。
【0029】
光学制御装置60では、図1(b)に示すように、反射部材4の回転角度を検出する仕組みに関し、回転をモニターするギヤやモータ本体に組み込むのではなく、回転する反射部材4または保持部61の端部の変化で反射部材4の回転角度を検出する仕組みを採用している。そのため、光学制御装置60では、アクチュエータ66の小型化に伴って、反射部材4の回転角度を制御する精度が低下することも、コストが高くなることもない。
【0030】
角度検出部67は、保持部61に導体部を設け、当該導体部の移動に伴う電磁気に基づく値の変化に基づき反射部材4の回転角度を検出する。具体的には、導体部である金属板を保持部61の端部側面または底部に設け、角度検出部67で、金属板の移動に伴う磁気または電気容量の変化を検出している。なお、図1(a)で示したように保持部61が反射部材4の三辺を保持する形状であれば、保持部61の端部側面または底部に導体部を設けることになるが、保持部61の形状によっては反射部材4の端部側面または底部に導体部を直接設けてもよい。また、保持部61の材質が金属であれば、保持部61に導体部を設ける必要もない。電磁気に基づく値には、電気、磁気、光に基づく値が含まれる。
【0031】
以下、角度検出部67の構成をさらに詳しく説明する。図4は、本実施の形態1に係る光学制御装置60の角度検出部67を説明するための図である。図4(a)には、保持部61の端部側面に金属板63が設けられている図が示されている。図4(b)には、アクチュエータホルダ65側から見た金属板63の図が示されている。
【0032】
図4(b)では、保持部61に設けた金属板63の位置を分かり易くするためにアクチュエータホルダ65に設けた角度検出部67を破線で示している。光学制御装置60では、Y軸上に位置する反射部材4を回転軸62に接続したアクチュエータ66(図示せず)によって駆動することで、金属板63が例えば矢印方向に移動する。角度検出部67は、これに伴う磁気または電気容量の変化に基づいて、反射部材4の回転角度を検出している。
【0033】
図5は、金属板63の移動に伴い磁気が変化することで、反射部材4の回転角度を検出する角度検出部67aを説明する図である。図5に示す角度検出部67aでは、金属板63の移動に伴う磁気共振系の吸収によって変化する検出電圧を計測し、その計測結果から演算で反射部材4の回転角度を検出している。
【0034】
角度検出部67aでは、駆動配線671、センサ配線672,673を金属板63と対向する面に設けてある。駆動配線671で発生させた磁界により金属板63に渦電流が発生するため、角度検出部67aと金属板63との重なり度合によりセンサ配線672,673近傍の磁界が変化する。角度検出部67aでは、この磁界の変化によってセンサ配線672,673に誘起された電圧の変化を計測し、その計測結果から演算で反射部材4の回転角度を検出している。なお、この方式についての原理は、米国特許第4737698号明細書に詳しく説明されている。
【0035】
図6は、金属板63の移動に伴い電気容量が変化することで、反射部材4の回転角度を検出する角度検出部67bを説明する図である。図6に示す角度検出部67bでは、金属板63の移動に伴う当該金属板63との間で生じる電気容量の変化に基づき反射部材4の回転角度を検出している。
【0036】
角度検出部67bでは、金属板63がGND電位に接地されていることを前提として、金属板63と対向する面に電極675が設けてある。この電極675と金属板63との重なり度合により角度検出部67bの電気容量が変化する。角度検出部67bでは、この電気容量の変化を計測し、その計測結果から演算で反射部材4の回転角度を検出している。なお、電極675は、角度検出部67bの基板に形成された銅箔のランドパターンであり、直流電圧が印加されている。
【0037】
図5および図6では、金属板63を保持部61の端部側面に設ける例を説明したが、保持部61の底部に金属板を設ける例について説明する。図7は、保持部61の底部に金属板63を設けた場合の角度検出部67cを説明する図である。図7(a)には、保持部61の底部に金属板63が設けられている図が示されている。図7(b)には、アクチュエータホルダ65を設けていない側から見た保持部61の図が示されている。
【0038】
図7(b)では、保持部61の底部に設けた金属板63の位置に対向する位置に角度検出部67cが設けられ、当該位置で角度検出部67cがアクチュエータホルダ65に固定されている。光学制御装置60では、Y軸上に位置する反射部材4を回転軸62に接続したアクチュエータ66(図示せず)によって駆動することで、金属板63が例えば矢印方向に移動する。角度検出部67cは、金属板63の移動に伴い磁気または電気容量が変化するので、当該変化に基づいて反射部材4の回転角度を検出している。
【0039】
なお、角度検出部67cを設ける位置は、アクチュエータホルダ65に限られず、保持部61の底面に対向する位置であればアクチュエータホルダ65と別の基板でもよい。
【0040】
以上のように、本実施の形態1に係る光学制御装置60は、反射部材4の角度を制御する光学制御装置である。光学制御装置60は、保持部61と、アクチュエータ66と、角度検出部67、67a~67cと、制御部70とを備えている。保持部61は、反射部材4を保持する。アクチュエータ66は、保持部61に保持した反射部材4の回転軸に設けられ、反射部材4の回転角度を変更する。角度検出部67、67a~67cは、アクチュエータ66を載置したアクチュエータホルダ65においてアクチュエータ66の外形よりも外側の位置に設けられ、反射部材4の回転角度を検出する。制御部70は、角度検出部67、67a~67cで検出した角度に基づいてアクチュエータ66を駆動し、反射部材4の回転角度を制御する。
【0041】
これにより、本実施の形態1に係る光学制御装置60は、アクチュエータ66の外形よりも外側の位置に設けられた角度検出部67、67a~67cで反射部材4の回転角度を検出するので、低コストで、反射部材4の回転角度を精度良く制御することができる。
【0042】
また、角度検出部67a、67bは、保持部61または反射部材4に設けた金属板63の移動に伴う電磁気に基づく値の変化に基づき反射部材4の回転角度を検出してもよい。これにより、角度検出部67a、67bは、簡単な構成で反射部材4の回転角度を容易に検出することができる。
【0043】
さらに、角度検出部67aは、保持部61に設けた金属板63の移動に伴う磁気共振系の吸収によって変化する検出電圧に基づき反射部材4の回転角度を検出してもよい。これにより、角度検出部67aは、簡単な構成で反射部材4の回転角度を容易に検出することができる。
【0044】
また、角度検出部67bは、保持部61に設けた金属板63との間で生じる電気容量の変化に基づき反射部材4の回転角度を検出してもよい。これにより、角度検出部67bは、簡単な構成で反射部材4の回転角度を容易に検出することができる。
【0045】
さらに、角度検出部67、67a、67bは、アクチュエータ66を載置したアクチュエータホルダ65の同じ面に設けられてもよい。これにより、角度検出部67、67a、67bをアクチュエータホルダ65に設けた光学制御装置60を実現できる。
【0046】
また、角度検出部67cは、保持部61または反射部材4の底面に対向する位置に設けられてもよい。これにより、角度検出部67cを設ける位置の自由度を確保できる。
【0047】
さらに、本実施の形態1に係るヘッドアップディスプレイ装置100は、画像を所定の面に投影して表示を行うヘッドアップディスプレイ装置である。ヘッドアップディスプレイ装置100は、投影する画像を生成する画像生成部2と、画像生成部2で生成した画像を、保持部61で保持する反射部材4で反射させる、上記の光学制御装置60とを備える。これにより、本実施の形態1に係るヘッドアップディスプレイ装置100は、反射部材4の回転角度を精度良く制御することができるので、低コストで、安定して画像を表示することができる。
【0048】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る光学制御装置60では、保持部61または反射部材4に設けた金属板63の移動に伴う電磁気に基づく値の変化に基づき、角度検出部67a、67bが反射部材4の回転角度を検出する方式について説明した。しかし、反射部材の回転角度を検出する方式は、これに限定されない。本実施の形態2に係る光学制御装置では、保持部または反射部材との距離の変化に基づき反射部材の回転角度を検出する方式について説明する。
【0049】
図8は、本実施の形態2に係る光学制御装置の角度検出部を説明するための図である。なお、図8に示す光学制御装置のうち、図4に示す光学制御装置と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明を繰返さない。
【0050】
図8には、アクチュエータホルダ65を設けていない側から見た保持部61の図が示されている。図8では、保持部61の端部からアクチュエータホルダ65の一端までの距離を計測できるように角度検出部67dが設けられ、当該位置で角度検出部67dがアクチュエータホルダ65に固定されている。光学制御装置60では、Y軸上に位置する反射部材4を回転軸62に接続したアクチュエータ66(図示せず)によって駆動することで、アクチュエータホルダ65に設けた角度検出部67dと保持部61との距離が変化する。角度検出部67dは、距離センサで、保持部61の端部までの距離の変化に基づいて、反射部材4の回転角度を検出している。
【0051】
なお、角度検出部67dは、光、超音波、電気容量などの変化を用いて距離を計測することができる距離センサである。図8では、保持部61の移動による距離の変化が大きい保持部61の端部との距離を計測することができる位置に角度検出部67dを設けている。しかし、角度検出部67dを設ける位置は、アクチュエータ66の駆動による保持部61の移動を検出できれば、何れの位置に設けてもよい。
【0052】
以上のように、本実施の形態2に係る角度検出部67dでは、保持部61または反射部材4との距離の変化に基づき反射部材4の回転角度を検出することができる。これにより、本実施の形態に係る光学制御装置は、低コストで、反射部材4の回転角度を精度良く制御することができる。
【0053】
なお、図8で示したように保持部61が反射部材4の三辺を保持する形状であれば、角度検出部67dが保持部61の端部との距離を計測することになるが、保持部61の形状によっては角度検出部67dが反射部材4の端部との距離を計測してもよい。
【0054】
また、角度検出部67dは、光または超音波の変化を用いて距離を計測することができる距離センサである場合、保持部61の端部側面または底部に導体部を設ける必要はない。
【0055】
(変形例1)
前述の実施の形態では、例えば、角度検出部67a、67bが、保持部61または反射部材4に設けた金属板63の移動に伴う電磁気に基づく値の変化に基づき反射部材4の回転角度をアナログ値で検出する例を説明した。しかし、これに限られず、角度検出部は、反射部材4の回転角度をデジタル値で検出してもよい。
【0056】
具体的に、図9は、反射部材4の回転角度をデジタル値で検出する角度検出部の一例を示す図である。図9(a)には、アクチュエータホルダ65側から見た保持部61の端部側面に反射板63aが設けられている図が示されている。図9(b)には、反射板63aが図示されている。
【0057】
図9(a)では、保持部61に設けた反射板63aの位置を分かり易くするためにアクチュエータホルダ65に設けた角度検出部67eを破線で示している。光学制御装置60では、Y軸上に位置する反射部材4を回転軸62に接続したアクチュエータ66(図示せず)によって駆動することで、反射板63aが移動する。
【0058】
反射板63aには、縞状のパターンが形成されており、反射光の強度が段階的に変化する。角度検出部67eは、反射板63aからの反射光の強度が段階的に変化するのをカウントすることで反射部材4の回転角度をデジタル値で検出することができる。なお、角度検出部67eは、光反射検出センサを有している。
【0059】
図10は、反射部材4の回転角度をデジタル値で検出する角度検出部の別の一例を示す図である。図10(a)には、図5で示した角度検出部67aをデジタル値で反射部材4の回転角度を検出するように変更した角度検出部67fを示す。角度検出部67fは、駆動配線671、センサ配線677を金属板63と対向する面に設けてある。
【0060】
センサ配線677では、配線パターンの周期を短くして多周期性の電極を構成することで、金属板63の移動に伴ってセンサ配線677に誘起された電圧の変化が段階的となる。そのため、角度検出部67fは、反射部材4の回転角度をデジタル値で検出することが可能となる。
【0061】
図10(b)には、図6で示した角度検出部67bをデジタル値で反射部材4の回転角度を検出するように変更した角度検出部67gを示す。角度検出部67gは、複数の電極679を金属板63の移動方向に一列に並べて設けてある。
【0062】
複数の電極679は、金属板63の移動方向に一列に並べることで多周期性の電極を構成しており、金属板63の移動に伴って複数の電極679が順にチャージされることで電気容量の変化が段階的となる。そのため、角度検出部67gは、反射部材4の回転角度をデジタル値で検出することが可能となる。
【0063】
以上のように、本変形例1に係る角度検出部67f~67gは、金属板63の移動に伴い電磁気に基づく値が段階的に変化する構成を有する。これにより、角度検出部67f~67gは、反射部材4の回転角度をデジタル値で検出することができる。
【0064】
(変形例2)
前述の実施の形態では、光学制御装置60をヘッドアップディスプレイ装置100に用いる構成について説明した。しかし、光学制御装置60は、ヘッドアップディスプレイ装置100以外に、光学部品の回転角度を制御することが必要となる装置にも同様に用いることができる。例えば、当該装置として、光学ステージの微調整を行う装置、レーザースキャナ装置などにも用いることが可能で、特に自動車用途では、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)のレーザーの照射角度調整やヘッドライトの投影角度調整などの装置に利用可能である。
【0065】
(変形例3)
前述の実施の形態では、光学制御装置60が反射部材4の回転角度を制御する構成について説明した。しかし、光学制御装置60は、反射部材4以外の光学部品を保持部61に保持することが可能であるので、反射部材4以外の光学部品の回転角度を制御することも可能である。反射部材4以外の光学部品として、例えば、レンズ(シリンドリカルレンズ)や回折格子などがある。光学制御装置60の光学部品に回折格子を用いた場合、当該光学制御装置60を、回折格子をスキャンさせて分光分析を行う装置に利用できる。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 筐体、2 画像生成部、2b バックライトユニット、4 反射部材、6 フロントガラス、7 出射部、8 カバー、60 光学制御装置、61 保持部、62 回転軸、63 金属板、63a 反射板、65 アクチュエータホルダ、66 アクチュエータ、67,67a~67g 角度検出部、70 制御部、100 ヘッドアップディスプレイ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10