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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】多極コネクタセット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/652 20060101AFI20221206BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20221206BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20221206BHJP
【FI】
H01R13/652
H01R12/71
H01R13/6581
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021516184
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(86)【国際出願番号】 JP2020017412
(87)【国際公開番号】W WO2020218385
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2019083476
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】眞室 稔
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0064866(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0294121(US,A1)
【文献】特開2012-033439(JP,A)
【文献】特開2014-093292(JP,A)
【文献】特開2018-041648(JP,A)
【文献】特開2018-045992(JP,A)
【文献】特開2018-116925(JP,A)
【文献】特許第6493611(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/021611(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/652
H01R 12/71
H01R 13/6581
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと第2コネクタの内部端子同士が互いに接続されて構成される多極コネクタセットであって、
前記第1コネクタは、
複数列配列に配置された第1内部端子と、
前記第1内部端子を保持する第1絶縁性部材と、
前記第1内部端子の前記複数列の前記配列の間に位置する第1シールド部材と、を備え、
前記第2コネクタは、
複数列配列に配置された第2内部端子と、
前記第2内部端子を保持する第2絶縁性部材と、を備え、
前記第1シールド部材と、前記第1内部端子または前記第2内部端子とを接続する接続部をさらに備え
少なくとも1つの前記接続部は、前記第1シールド部材と、前記配列の中間に配置された前記第1内部端子、または、前記配列の中間に配置された前記第2内部端子とを接続する、
多極コネクタセット。
【請求項2】
前記第1シールド部材は、前記接続部を有し、前記接続部は、前記第1シールド部材から、前記第1内部端子または前記第2内部端子の方向に延びる、
請求項1に記載された多極コネクタセット。
【請求項3】
前記第2内部端子は、前記接続部を有し、前記接続部は、前記第2内部端子から、前記第1シールド部材の方向に延びる、
請求項1に記載された多極コネクタセット。
【請求項4】
前記第2コネクタは、長手方向に延在する矩形状であり、
前記第2コネクタは、前記第2絶縁性部材に保持される第2外部端子を、さらに備え、
前記第2外部端子は、前記長手方向に延在し互いに対向する2つの側壁部を有し、
前記第2内部端子の少なくとも1つは、前記側壁部に接続し、
前記第2内部端子は、前記接続部を有し、前記接続部は、前記側壁部に接続した前記第2内部端子から、前記第1シールド部材の方向に延びる、
請求項1に記載された多極コネクタセット。
【請求項5】
前記第1コネクタは、前記第1絶縁性部材に保持される第1外部端子を、さらに備え、
前記第2コネクタは、前記第2絶縁性部材に保持される第2外部端子を、さらに備え、
前記第1シールド部材は前記第1外部端子の下を通り、前記第2外部端子まで伸びる、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の多極コネクタセット。
【請求項6】
前記第2コネクタは前記第1シールド部材を前記第1内部端子の延在方向の両方から押圧する、第2内部端子を有する、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の多極コネクタセット。
【請求項7】
前記第2コネクタは、前記第2内部端子の列間に位置する第2シールド部材を、さらに備え、
前記第2シールド部材は、前記第1シールド部材と接続する、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載された多極コネクタセット。
【請求項8】
前記第1内部端子が雄型端子であり、
前記第2内部端子が雌型端子である、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載された多極コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1コネクタと第2コネクタの内部端子同士が互いに接続されて構成される多極コネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2つの回路基板を電気的に接続するために、一方の回路基板に第1コネクタを接続し、他方の回路基板に第2コネクタを接続し、第1コネクタと第2コネクタの内部端子同士を互いに接続して構成する多極コネクタセットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の多極コネクタセットは、第1コネクタの第1内部端子が2列に分けて配置されている。また、第2コネクタの第2内部端子が2列に分けて配置されている。
【0004】
特許文献1の多極コネクタセットは、内部端子の列間に、シールド部材が設けられている。特許文献1の多極コネクタセットは、シールド部材によって、異なる列に配置された内部端子同士における、電磁波の干渉が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2019/021611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の多極コネクタセットは、シールド部材によって、異なる列に配置された内部端子同士における、電磁波の干渉が抑制されている。しかしながら、同じ列に配置された内部端子同士における、電磁波の干渉は十分に抑制されていない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、同じ列に配置された内部端子同士における電磁波の干渉が抑制された多極コネクタセットを提供することにある。なお、多極コネクタセットとは、多数の端子を備えたコネクタセットである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一実施態様にかかる多極コネクタセットは、第1コネクタと第2コネクタの内部端子同士が互いに接続されて構成される多極コネクタセットであって、第1コネクタは、複数列配列に配置された第1内部端子と、第1内部端子を保持する第1絶縁性部材と、第1内部端子の複数列の配列の間に位置する第1シールド部材と、を備え、第2コネクタは、複数列配列に配置された第2内部端子と、第2内部端子を保持する第2絶縁性部材と、を備え、第1シールド部材と、第1内部端子または第2内部端子とを接続する接続部をさらに備え、少なくとも1つの接続部は、第1シールド部材と、配列の中間に配置された第1内部端子、または、配列の中間に配置された第2内部端子とを接続するものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の多極コネクタセットは、同じ列に配置された内部端子同士における電磁波の干渉が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(A)は、嵌合面側から見た第1コネクタ100Aの斜視図である。図1(B)は、実装面側から見た第1コネクタ100Aの斜視図である。
図2】第1コネクタ100Aの分解斜視図である。
図3図3(A)は、嵌合面側から見た第2コネクタ100Bの斜視図である。図3(B)は、実装面側から見た第2コネクタ100Bの斜視図である。
図4】第2コネクタ100Bの分解斜視図である。
図5】多極コネクタセット100の斜視図である。
図6】第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bの嵌合を解除した多極コネクタセット100の斜視図である。
図7】多極コネクタセット100を幅方向Wに分割した断面斜視図と、幅方向Wに分割した要部断面図と、長さ方向Lに分割した断面斜視図と、長さ方向Lに分割した要部断面図である。
図8】実施例と比較例のアイソレーション特性を示すグラフである。
図9】嵌合面側から見た第1コネクタ200Aの斜視図である。
図10】第1コネクタ200Aの分解斜視図である。
図11】嵌合面側から見た第2コネクタ200Bの斜視図である。
図12】第2コネクタ200Bの分解斜視図である。
図13】多極コネクタセット200を幅方向Wに分割した断面斜視図と要部断面図である。
図14】嵌合面側から見た第1コネクタ300Aの斜視図である。
図15】第1コネクタ300Aの分解斜視図である。
図16】嵌合面側から見た第2コネクタ300Bの斜視図である。
図17】第2コネクタ300Bの分解斜視図である。
図18】多極コネクタセット300を幅方向Wに分割した断面斜視図と要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、明細書の理解を助けるためのものであって、模式的に描画されている場合があり、描画された構成要素または構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0013】
[第1実施形態]
図1(A)、(B)、図2図3(A)、(B)、図4図5図6に、第1実施形態にかかる多極コネクタセット100を示す。なお、多極コネクタセット100は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが相互に嵌合されて構成されている。図1(A)は、嵌合面側から見た第1コネクタ100Aの斜視図である。図1(B)は、実装面側から見た第1コネクタ100Aの斜視図である。図2は、第1コネクタ100Aの分解斜視図である。図3(A)は、嵌合面側から見た第2コネクタ100Bの斜視図である。図3(B)は、実装面側から見た第2コネクタ100Bの斜視図である。図4は、第2コネクタ100Bの分解斜視図である。図5は、多極コネクタセット100の斜視図である。図6は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bの嵌合を解除した多極コネクタセット100の斜視図である。
【0014】
なお、図面には、多極コネクタセット100、第1コネクタ100A、第2コネクタ100Bの高さ方向T、長さ方向L、幅方向Wを示しており、以下の説明において、これらの方向に言及する場合がある。第1コネクタ100A、第2コネクタ100Bは、それぞれ、長さ方向Lに相対して1対の端面を備え、幅方向Wに相対して1対の側面を備え、高さ方向Tに相対して1対の主面(実装面および嵌合面)を備えている。
【0015】
上述したとおり、多極コネクタセット100は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが相互に嵌合されて構成されている。以下、第1コネクタ100A、第2コネクタ100B、多極コネクタセット100について、順に説明する。
【0016】
<第1コネクタ100A>
図1(A)、(B)、図2に、第1コネクタ100Aを示す。
【0017】
第1コネクタ100Aは、複数の第1内部端子1a~1nを備える。第1内部端子1a~1nは、長さ方向Lに延びる、第1列C1と第2列C2の2つの列に分けて配置されている。具体的には、第1列C1に第1内部端子1a~1gが配置され、第2列C2に第1内部端子1h~1nが配置されている。
【0018】
第1内部端子1a~1nは、第1コネクタ100Aを実装した回路基板などの信号ラインやグランドなどに接続される。本実施形態においては、第1内部端子1a~1nは、凸形状を有する、いわゆる雄型端子である。ただし、第1内部端子1a~1nは、凹形状を有する、いわゆる雌型端子であってもよい。
【0019】
第1内部端子1a~1nの材質は任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。リン青銅は、導電性を有し、かつ、弾性変形な材料である。
【0020】
本実施形態においては、第1内部端子1a~1nは、短冊状の金属板を折り曲げ加工して作製したものからなる。ただし、第1内部端子1a~1nは、ばね性を有する金属部材を抜き型加工することにより、作製したものであってもよい。
【0021】
第1コネクタ100Aは、第1絶縁性部材2を備える。第1絶縁性部材2は、第1内部端子1a~1nを保持するための部材である。第1絶縁性部材2の材質は任意であるが、たとえば、樹脂を使用することができる。第1内部端子1a~1nは、第1絶縁性部材2にインサートモールドされている。ただし、第1内部端子1a~1nは、第1絶縁性部材2に嵌め込んで固定されてもよい。
【0022】
第1コネクタ100Aは、第1絶縁性部材2の両端に、それぞれ、第1外部端子3が設けられている。
【0023】
第1外部端子3は、第1コネクタ100Aを実装した回路基板などのグランドに接続される。第1外部端子3は、第1コネクタ100Aの端面をシールドする。
【0024】
第1外部端子3は、第1コネクタ100Aの側面側に1対のグランド実装部3aを有し、第1コネクタ100Aの端面側に1対のグランド実装部3bを有している。1対のグランド実装部3aは、それぞれ、第1内部端子1a~1nが延在する方向と同じ方向に延在している。
【0025】
第1外部端子3の材質は任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。第1外部端子3の作製方法も任意であるが、たとえば、1つの金属板を打ち抜き、折り曲げ加工して作製することができる。
【0026】
第1外部端子3は、第1絶縁性部材2にインサートモールドされている。ただし、第1外部端子3は、第1絶縁性部材2に嵌め込んで固定されてもよい。
【0027】
第1コネクタ100Aは、第1絶縁性部材2の幅方向Wの中央部に、長さ方向Lに延びる第1シールド部材4が設けられている。第1シールド部材4は、両端に端部4h、4iを有している。
【0028】
第1シールド部材4は、第1列C1に配置された第1内部端子1a~1gと、第2列C2に配置された第1内部端子1h~1nの間における、電磁波の干渉を抑制するために設けられている。
【0029】
第1シールド部材4は、端部4h、4iが、第1外部端子3の下側を通って第1コネクタ100Aの端面に露出している。これにより、第1シールド部材4による、第1列C1に配置された第1内部端子1a~1gと、第2列C2に配置された第1内部端子1h~1nの間における、電磁波の干渉の抑制が強化されている。
【0030】
なお、第1シールド部材4の端部4h、4iは、第1シールド部材4と第2コネクタ100Bとを勘合させたときに、第2コネクタ100Bの第2外部端子7と接続されるようにしてもよい。この場合には、第1シールド部材4のグランドとの接続性を強化することができる。
【0031】
第1シールド部材4は、後述する第2コネクタ100Bの第2内部端子5cと接続する接続部4aを有している。接続部4aは、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが相互に嵌合された状態において、第1シールド部材4から、第2内部端子5cの方向に延びている。
【0032】
第1シールド部材4は、後述する第2コネクタ100Bの第2内部端子5eと接続する接続部4bを有している。接続部4bは、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが相互に嵌合された状態において、第1シールド部材4から、第2内部端子5eの方向に延びている。
【0033】
第1シールド部材4は、後述する第2コネクタ100Bの第2内部端子5jと接続する接続部4cを有している。接続部4cは、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが相互に嵌合された状態において、第1シールド部材4から、第2内部端子5jの方向に延びている。
【0034】
第1シールド部材4は、後述する第2コネクタ100Bの第2内部端子5lと接続する接続部4dを有している。接続部4dは、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが相互に嵌合された状態において、第1シールド部材4から、第2内部端子5lの方向に延びている。
【0035】
第1シールド部材4は、第1外部端子3のグランド実装部3a、3bよりも内側に、第1シールド部材4と、第1内部端子または第2内部端子とを接続する接続部4a~4dを備えている。
【0036】
第1外部端子3のグランド実装部3aは、第1コネクタ100Aの外側に向かって延伸した、第1内部端子1a~1nの端部に沿った形状をしている。これにより、グランド電位の部材である、1対の第1外部端子3と、第1シールド部材4と、第1シールド部材4に接続される第1内部端子1c、1e、1j、1lとによって、第1内部端子1a~1n(第1内部端子1c、1e、1j、1lを除く)が端部まで囲まれるため、第1内部端子1a~1n(第1内部端子1c、1e、1j、1lを除く)と外部との電磁波の干渉がより抑制される。また、グランド実装部3bを、幅方向Wにおいて、グランド実装部3aと第1シールド部材4との間に設けることで、さらに、第1内部端子1a~1n(第1内部端子1c、1e、1j、1lを除く)と外部との電磁波の干渉がより抑制される。
【0037】
また、第1シールド部材4は、後述する第2コネクタ100Bの第2シールド部材8の凹部8aと嵌合する凸部4eを有している。
【0038】
第1シールド部材4は、後述する第2コネクタ100Bの第2シールド部材9の凹部9aと嵌合する凸部4fを有している。
【0039】
第1シールド部材4の材質は任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。
【0040】
本実施形態の第1シールド部材4は、1つの金属板を打ち抜き、折り曲げ加工して作製されている。ただし、第1シールド部材4は、複数の部材を接合して作製されたものであってもよい。
【0041】
第1シールド部材4は、第1絶縁性部材2にインサートモールドされている。ただし、第1シールド部材4は、第1絶縁性部材2に、嵌め込んで固定されてもよい。
【0042】
第1コネクタ100Aは、従来から、一般的に実施されているコネクタの製造方法によって、製造することができる。
【0043】
<第2コネクタ100B>
図3(A)、(B)、図4に、第2コネクタ100Bを示す。
【0044】
第2コネクタ100Bは、複数の第2内部端子5a~5nを備える。第2内部端子5a~5nは、長さ方向Lに延びる、第1列C1と第2列C2の2つの列に分けて配置されている。具体的には、第1列C1に第2内部端子5a~5gが配置され、第2列C2に第2内部端子5h~5nが配置されている。
【0045】
第2内部端子5a~5nは、第2コネクタ100Bを実装した回路基板などの信号ラインやグランドなどに接続される。本実施形態においては、第2内部端子5a~5nは、いわゆる雌型端子である。ただし、第2内部端子5a~5nは、いわゆる雄型端子であってもよい。
【0046】
第2内部端子5a~5nの材質は任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。
【0047】
本実施形態においては、第2内部端子5a~5nは、短冊状の金属板を折り曲げ加工して作製したものからなる。ただし、第2内部端子5a~5nは、ばね性を有する金属部材を抜き型加工することにより、作製したものであってもよい。
【0048】
第2コネクタ100Bは、第2絶縁性部材6を備える。第2絶縁性部材6は、第2内部端子5a~5nを保持するための部材である。第2絶縁性部材6の材質は任意であるが、たとえば、樹脂を使用することができる。第2内部端子5a~5nは、第2絶縁性部材6にインサートモールドされている。ただし、第2内部端子5a~5nは、第2絶縁性部材6に嵌め込んで固定されてもよい。
【0049】
第2コネクタ100Bは、第2絶縁性部材6に保持される第2外部端子7を備える。第2外部端子7は、第1絶縁性部材2の両端に配置された1対の本体部7aと、1対の本体部7aを繋ぐ長さ方向Lに延在する1対の側壁部(サイドシールド)7bを有している。
【0050】
第2外部端子7は、第2コネクタ100Bを実装した回路基板などのグランドに接続される。本体部7aは、第2コネクタ100Bの端面をシールドする。側壁部7bは、第2コネクタ100Bの側面をシールドする。
【0051】
第2外部端子7の材質は任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。
【0052】
本実施形態の第2外部端子7は、1つの金属板を打ち抜き、折り曲げ加工して、一体的に作製されている。ただし、第2外部端子7は、本体部7aと側壁部7bが別々に作製され、後から接合されたものであってもよい。
【0053】
第2外部端子7は、第2絶縁性部材6にインサートモールドされている。ただし、第2外部端子は、第2絶縁性部材6に嵌め込んで固定されてもよい。
【0054】
第2コネクタ100Bは、第2絶縁性部材6の幅方向Wの中央部に、それぞれ長さ方向Lに延びる、2つの第2シールド部材8、9が設けられている。
【0055】
第2シールド部材8、9は、第1列C1に配置された第2内部端子5a~5gと、第2列C2に配置された第2内部端子5h~5nの間における、電磁波の干渉を抑制するために設けられている。
【0056】
第2シールド部材8は、第1コネクタ100Aの第1シールド部材4の凸部4eと嵌合する凹部8aを有している。
【0057】
第2シールド部材9は、第1コネクタ100Aの第1シールド部材4の凸部4fと嵌合する凹部9aを有している。
【0058】
第2シールド部材8、9の材質は任意であるが、たとえば、リン青銅を使用することができる。
【0059】
本実施形態においては、第2シールド部材8、9は、短冊状の金属板を折り曲げ加工して作製したものからなる。ただし、第2シールド部材8、9は、ばね性を有する金属部材を抜き型加工することにより、作製したものであってもよい。
【0060】
第2シールド部材8、9は、第2絶縁性部材6にインサートモールドされている。ただし、第2シールド部材8、9は、第2絶縁性部材6に嵌め込んで固定されてもよい。
【0061】
第2コネクタ100Bは、従来から、一般的に実施されているコネクタの製造方法によって、製造することができる。
【0062】
<多極コネクタセット100>
第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bが嵌合されて、多極コネクタセット100が構成される。図5に、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた多極コネクタセット100の斜視図を示す。図6に、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bの嵌合を解除した多極コネクタセット100の斜視図を示す。
【0063】
多極コネクタセット100は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた状態において、第1内部端子1a~1nと第2内部端子5a~5nが、それぞれ接続される。なお、第1内部端子1a~1nと第2内部端子5a~5nは、第1内部端子1aと第2内部端子5aというように、符合の一部を構成するアルファベットが同じもの同士が接続される。
【0064】
また、多極コネクタセット100は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた状態において、第1外部端子3と、第2外部端子7の本体部7aが接続される。
【0065】
また、多極コネクタセット100は、図7に示すように、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた状態において、第1シールド部材4の接続部4aが第2内部端子5cに接続され、接続部4bが第2内部端子5eに接続され、接続部4cが第2内部端子5jに接続され、接続部4dが第2内部端子5lに接続される。
【0066】
より具体的には、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させたとき、第2内部端子5cが接続部4aを両側から押圧し、第2内部端子5eが接続部4bを両側から押圧し、第2内部端子5jが接続部4cを両側から押圧し、第2内部端子5lが接続部4dを両側から押圧する。
【0067】
すなわち、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させたとき、接続部4aと第2内部端子5cの接点と、第1内部端子1cと第2内部端子5cの接点とが、第2内部端子5cの延在方向に並ぶ。接続部4bと第2内部端子5eの接点と、第1内部端子1eと第2内部端子5eの接点とが、第2内部端子5eの延在方向に並ぶ。 接続部4cと第2内部端子5jの接点と、第1内部端子1jと第2内部端子5jの接点とが、第2内部端子5jの延在方向に並ぶ。接続部4dと第2内部端子5lの接点と、第1内部端子1lと第2内部端子5lの接点とが、第2内部端子5lの延在方向に並ぶ。
【0068】
第2内部端子5cは、第1シールド部材4の接続部4aに接続されたことにより、第1内部端子1cとともにグランド電位になり、シールド効果を発現する。そして、第2内部端子5cおよび第1内部端子1cは、同じ第1列C1に配置された同士である、第1内部端子1bおよび第2内部端子5bと、第1内部端子1dおよび第2内部端子5dの間における、電磁波の干渉を抑制する。なお、第2内部端子5cおよび第1内部端子1cも、それぞれ、グランドに接続されることが好ましい。
【0069】
第2内部端子5eは、第1シールド部材4の接続部4bに接続されたことにより、第1内部端子1eとともにグランド電位になり、シールド効果を発現する。そして、第2内部端子5eおよび第1内部端子1eは、同じ第1列C1に配置された同士である、第1内部端子1dおよび第2内部端子5dと、第1内部端子1fおよび第2内部端子5fの間における、電磁波の干渉を抑制する。なお、第2内部端子5eおよび第1内部端子1eも、それぞれ、グランドに接続されることが好ましい。
【0070】
第2内部端子5jは、第1シールド部材4の接続部4cに接続されたことにより、第1内部端子1jとともにグランド電位になり、シールド効果を発現する。そして、第2内部端子5jおよび第1内部端子1jは、同じ第2列C2に配置された同士である、第1内部端子1iおよび第2内部端子5iと、第1内部端子1kおよび第2内部端子5kの間における、電磁波の干渉を抑制する。なお、第2内部端子5jおよび第1内部端子1jも、それぞれ、グランドに接続されることが好ましい。
【0071】
第2内部端子5lは、第1シールド部材4の接続部4dに接続されたことにより、第1内部端子1lとともにグランド電位になり、シールド効果を発現する。そして、第2内部端子5lおよび第1内部端子1lは、同じ第2列C2に配置された同士である、第1内部端子1kおよび第2内部端子5kと、第1内部端子1mおよび第2内部端子5mの間における、電磁波の干渉を抑制する。なお、第2内部端子5lおよび第1内部端子1lも、それぞれ、グランドに接続されることが好ましい。
【0072】
以上のように、多極コネクタセット100は、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた状態において、第1シールド部材4が、第2内部端子5c、5e、5j、5lに接続されるため、同じ列に配置された内部端子同士における電磁波の干渉が抑制される。
【0073】
また、多極コネクタセット100は、図7に示すように、第1コネクタ100Aと第2コネクタ100Bを嵌合させた状態において、第1シールド部材4の凸部4eが第2シールド部材8の凹部8aに嵌合され、第1シールド部材4の凸部4fが第2シールド部材9の凹部9aに嵌合される。この結果、第1シールド部材4と第2シールド部材8が接続され、第1シールド部材4と第2シールド部材9とが接続される。
【0074】
図8に、第1シールド部材4を第2内部端子5c、5e、5j、5lに接続した実施例と、第1シールド部材4を第2内部端子5c、5e、5j、5lに接続しなかった比較例につき、それぞれのアイソレーション特性を示す。図8から分かるように、第1シールド部材4を第2内部端子5c、5e、5j、5lに接続した実施例は、接続しなかった比較例に比べて、アイソレーション特性が改善されている。
【0075】
[第2実施形態]
図9図13に、第2実施形態にかかる多極コネクタセット200を示す。なお、多極コネクタセット200は、第1コネクタ200Aと第2コネクタ200Bが相互に嵌合されて構成されている。図9は、嵌合面側から見た第1コネクタ200Aの斜視図である。図10は、第1コネクタ200Aの分解斜視図である。図11は、嵌合面側から見た第2コネクタ200Bの斜視図である。図12は、第2コネクタ200Bの分解斜視図である。図13は、多極コネクタセット200を幅方向Wに分割した断面斜視図と要部断面図である。
【0076】
第2実施形態にかかる多極コネクタセット200は、第1実施形態にかかる多極コネクタセット100の構成の一部に変更を加えた。具体的には、多極コネクタセット100では、第1シールド部材4に接続部4a~4dを形成し、接続部4aを第2内部端子5cに接続し、接続部4bを第2内部端子5eに接続し、接続部4cを第2内部端子5jに接続し、接続部4dを第2内部端子5lに接続していた。多極コネクタセット200では、これを変更し、第2内部端子側に接続部を形成し、形成した接続部を第1シールド部材24に接続するようにした。
【0077】
多極コネクタセット200は、第1シールド部材24から、多極コネクタセット100の第1シールド部材4に形成されていた接続部4a~4dを省略し、代わりに接続板24gを形成した。
【0078】
また、多極コネクタセット200は、多極コネクタセット100の第2内部端子5b、5d、5f、5i、5k、5mの代わりに、形状の異なる第2内部端子25b、25d、25f、25i、25k、25mを使用した。第2内部端子25b、25d、25f、25i、25k、25mは、それぞれ、先端に、第1シールド部材24の接続板24gと接続するための接続部21が形成されている。
【0079】
多極コネクタセット200は、第1コネクタ200Aと第2コネクタ200Bを嵌合させた状態において、第2内部端子25bの接続部21と、第2内部端子25dの接続部21と、第2内部端子25fの接続部21と、第2内部端子25iの接続部21と、第2内部端子25kの接続部21と、第2内部端子25mの接続部21が、それぞれ、第1シールド部材24の接続板24gに接続される。
【0080】
多極コネクタセット200も、第1シールド部材24が、第2内部端子25b、25d、25f、25i、25k、25mに接続されるため、同じ列に配置された内部端子同士における電磁波の干渉が抑制される。
【0081】
[第3実施形態]
図14図18に、第3実施形態にかかる多極コネクタセット300を示す。なお、多極コネクタセット300は、第1コネクタ300Aと第2コネクタ300Bが相互に嵌合されて構成されている。図14は、嵌合面側から見た第1コネクタ300Aの斜視図である。図15は、第1コネクタ300Aの分解斜視図である。図16は、嵌合面側から見た第2コネクタ300Bの斜視図である。図17は、第2コネクタ300Bの分解斜視図である。図18は、多極コネクタセット300を幅方向Wに分割した断面斜視図と要部断面図である。
【0082】
第3実施形態にかかる多極コネクタセット300は、第2実施形態にかかる多極コネクタセット200に、更に変更を加えた。具体的には、多極コネクタセット200では、第2内部端子25b、25d、25f、25i、25k、25mは、第2外部端子7には接続されていなかった。多極コネクタセット300は、多極コネクタセット200の第2内部端子25b、25d、25f、25i、25k、25mに代えて、それぞれ第2外部端子7の側壁部7bに接続された第2内部端子35b、35d、35f、35i、35k、35mを使用した。第2内部端子35b、35d、35f、35i、35k、35mは、先端に接続部31が形成されている。
【0083】
また、多極コネクタセット300は、第2コネクタ300Bから第2シールド部材8、9を省略した。また、多極コネクタセット300は、第1コネクタ300Aに、凸部4e、4fが省略され、より大きな接続板34gが形成された第1シールド部材34を使用した。
【0084】
多極コネクタセット300は、第1コネクタ300Aと第2コネクタ300Bを嵌合させた状態において、第2内部端子35bの接続部31と、第2内部端子35dの接続部31と、第2内部端子35fの接続部31と、第2内部端子35iの接続部31と、第2内部端子35kの接続部31と、第2内部端子35mの接続部31が、それぞれ、第1シールド部材34の接続板34gに接続される。
【0085】
多極コネクタセット300は、第1シールド部材34が、第2内部端子35b、35d、35f、35i、35k、35mに接続されるため、同じ列に配置された内部端子同士における電磁波の干渉が抑制される。
【0086】
また、多極コネクタセット300は、第2内部端子35b、35d、35f、35i、35k、35mが第2外部端子7と接続され、第1シールド部材34と、第1内部端子1b、1d、1f、1i、1k、1mと、第2内部端子35b、35d、35f、35i、35k、35mと、第2外部端子7が、相互に接続されるため、シールド効果がさらに高くなっている。
【0087】
以上、第1実施形態~第3実施形態にかかる多極コネクタセット100、200、300について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って種々の変更をなすことができる。
【0088】
たとえば、第1実施形態~第3実施形態では、第1シールド部材を第2内部端子に接続したが、第1シールド部材を、第2内部端子に代えて、または、第2内部端子に加えて、第1内部端子に接続させてもよい。
【0089】
本発明の一実施態様にかかる多極コネクタセットは、「課題を解決するための手段」の欄に記載したとおりである。
【0090】
この多極コネクタセットにおいて、第1シールド部材は、接続部を有し、接続部は、第1シールド部材から、第1内部端子または前記第2内部端子の方向に延びることも好ましい。あるいは、第2内部端子は、接続部を有し、接続部は、第2内部端子から、第1シールド部材の方向に延びることも好ましい。
【0091】
また、第2コネクタは、長手方向に延在する矩形状であり、第2コネクタは、第2絶縁性部材に保持される第2外部端子を、さらに備え、第2外部端子は、長手方向に延在し互いに対向する2つの側壁部を有し、第2内部端子の少なくとも1つは、側壁部に接続し、第2内部端子は、接続部を有し、接続部は、側壁部に接続した第2内部端子から、第1シールド部材の方向に延びることも好ましい。この場合には、第1シールド部材と、第2内部端子と、第2外部端子が相互に接続されるため、シールド効果が高くなる。
【0092】
また、第1コネクタは、第1絶縁性部材に保持される第1外部端子を、さらに備え、第2コネクタは、第2絶縁性部材に保持される第2外部端子を、さらに備え、第1シールド部材は第1外部端子の下を通り、第2外部端子まで伸びることも好ましい。この場合には、第1シールド部材による、異なる列に配置された内部端子間の電磁波の干渉の抑制が強化される。
【0093】
また、第2コネクタは第1シールド部材を第1内部端子の延在方向の両方から押圧する、第2内部端子を有することも好ましい。この場合には、第1シールド部材と第2内部端子とが確実に接続される。
【0094】
また、第2コネクタは、第2内部端子の列間に位置する第2シールド部材を、さらに備え、第2シールド部材は、第1シールド部材と接続することも好ましい。この場合には、異なる列に配置された内部端子同士における、電磁波の干渉がより抑制される。
【0095】
また、第1内部端子が雄型端子であり、第2内部端子が雌型端子であることも好ましい。この場合には、たとえば、第2内部端子の先端に接続部を設け、その接続部を第1シールド部材に当接させて接続するとき、接続部が第1シールド部材にばね性をもって当接するため、第2内部端子と第1シールド部材が良好に接続される。
【符号の説明】
【0096】
1a~1n・・・第1内部端子
2・・・第1絶縁性部材
3・・・第1外部端子
3a、3b・・・グランド実装部
4、24、34・・・第1シールド部材
4a~4d・・・接続部
4e、4f、24e、24f・・・凸部
24g、34g・・・接続板
4h、4i、24h、24i、34h、34i・・・端部
5a~5n、25b、25d、25f、25i、25k、25m、35b、35d、35f、35i、35k、35m・・・第2内部端子
6・・・第2絶縁性部材
7・・・第2外部端子
7a・・・本体部
7b・・・側壁部
8、9・・・第2シールド部材
8a、9a・・・凹部
21、31・・・接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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