IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-05
(45)【発行日】2022-12-13
(54)【発明の名称】表示制御方法及び表示制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20221206BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20221206BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20221206BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20221206BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221206BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60K35/00 A
B60W60/00
B60W50/14
B60W30/10
G09G5/00 510A
G08G1/16 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021519359
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2020017960
(87)【国際公開番号】W WO2020230613
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2019092485
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中尾 光
(72)【発明者】
【氏名】森本 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏亮
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌平
(72)【発明者】
【氏名】石丸 秀行
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-074918(JP,A)
【文献】特開2019-012236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
B60W 30/00-60/00
G09G 5/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の挙動を制御して車線変更を行う制御システムに用いられる表示制御方法において、
前記制御システムが前記自車両のドライバに前記車線変更を提案する場合に、前記車線変更を案内する矢印を表す画像を、前記ドライバが視認可能なディスプレイに表示し、
前記ディスプレイには、
前記制御システムによる前記ドライバへの前記車線変更の提案に呼応して、第1表示態様で前記画像が表示され、
前記ドライバによる前記提案の承諾に呼応して、前記第1表示態様から切り替えた第2表示態様で前記画像が表示され、及び
前記制御システムによる前記車線変更を行う方向のウインカの作動に応じて、前記第2表示態様から切り替えた第3表示態様で前記画像が表示される
表示制御方法。
【請求項2】
前記制御システムが行う制御における複数の過程に含まれる第1過程であって、前記制御システムが前記ドライバに前記車線変更を提案してから、前記制御システムが前記車線変更に対する前記ドライバの承諾を受け付ける前までの前記第1過程では、前記画像を点滅させ、
前記複数の過程に含まれる第2過程であって、前記制御システムが前記車線変更に対する前記ドライバの承諾を受け付けてから、前記制御システムが前記車線変更を行う方向のウインカを作動させる前までの前記第2過程では、前記矢印の基端側から前記矢印の先端側にかけて点灯領域が増加するように前記画像を変化させ、
前記複数の過程に含まれる第3過程であって、前記制御システムが前記車線変更を行う方向の前記ウインカを作動させてから、前記制御システムによる前記車線変更が完了する前までの第3過程では、前記画像を点滅させ、
前記制御システムによる前記車線変更が完了した場合に、前記画像の表示を終了する
請求項1記載の表示制御方法。
【請求項3】
前記第1過程及び前記第2過程において、前記画像は第1表示色で表示され、
前記第3過程において、前記画像は前記第1表示色とは異なる第2表示色で表示される
請求項2記載の表示制御方法。
【請求項4】
前記制御システムによる前記車線変更の提案が、第1回目の車線変更と、前記第1回目の車線変更に続く第2回目の車線変更とを含む場合には、
前記制御システムによる前記第1回目の車線変更が完了してから、前記制御システムが前記第2回目の車線変更のために前記ウインカを作動させる前までの第4過程では、前記矢印の基端側から前記矢印の先端側にかけて点灯領域が増加するように前記画像を変化させ、
前記制御システムが前記第2回目の車線変更のために前記ウインカを作動させてから、前記制御システムによる前記第2回目の車線変更が完了する前までの第5過程では、前記画像を点滅させる
請求項2又は3記載の表示制御方法。
【請求項5】
前記制御システムが前記ドライバに前記車線変更を提案していない場合であっても、前記制御システムによる前記車線変更を開始させるために前記ドライバが前記車線変更を希望する方向にウインカスイッチを操作したことを前記制御システムが判断した場合に、前記画像を表示し、
前記ドライバが前記ウインカを作動させてから、前記制御システムによる前記車線変更が完了する前まで、前記画像を点滅状態で表示する
請求項1記載の表示制御方法。
【請求項6】
前記車線変更を行うことができる条件を具備している場合、前記自車両が走行する自車線と、前記自車線に隣接する隣接車線とを示す第1車線画像をさらに表示し、
前記車線変更を行うことができる条件を具備していない場合、前記自車線のみを示す第2車線画像をさらに表示する
請求項1から5のいずれか一項記載の表示制御方法。
【請求項7】
自車両の挙動を制御して車線変更を行う制御システムに用いられる表示制御装置において、
前記自車両のドライバが視認可能なディスプレイを制御するコントローラを有し、
前記コントローラは、
前記制御システムが前記自車両のドライバに前記車線変更を提案する場合に、前記車線変更を案内する矢印を表す画像を前記ディスプレイに表示し、
前記ディスプレイには、
前記制御システムによる前記ドライバへの前記車線変更の提案に呼応して、第1表示態様で前記画像が表示され、
前記ドライバによる前記提案の承諾に呼応して、前記第1表示態様から切り替えた第2表示態様で前記画像が表示され、及び
前記制御システムによる前記車線変更を行う方向のウインカの作動に応じて、前記第2表示態様から切り替えた第3表示態様で前記画像が表示される
表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御方法及び表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバに視認させる情報をディスプレイに表示する表示制御装置が開示されている(例えば特許文献1)。特許文献1には、制御システムによる車線変更を行うときの走行経路を示す重畳表示画像をヘッドアップディスプレイ装置に表示する内容が開示されている。また、特許文献1には、重畳表示画像上の走行経路に車線変更の進行状況を示す内容が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-11458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車線変更のような複雑な自動運転を行う場合、制御システムが行う制御には複数の過程が含まれる。そのため、制御の中でどの過程にいるのかを把握したという要求がある。特許文献1に開示された手法によれば、自車両が進行する位置の変化を把握することはできるが、制御の中でどの過程にいるのかを把握することまではできない。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御システムが行う制御の過程をドライバが把握することができる表示制御方法及び表示制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る表示制御方法は、制御システムが自車両のドライバに車線変更を提案する場合に、矢印を表す画像をディスプレイに表示する。ディスプレイには、ドライバへの車線変更の提案に呼応して、第1表示態様で画像が表示され、ドライバによる前記提案の承諾に呼応して、第2表示態様で画像が表示され、前記車線変更を行う方向のウインカの作動に応じて、第3表示態様で画像が表示される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車線変更を行う制御システムが行う制御の状況をドライバが把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る表示制御装置が適用された制御システムを示すブロック図である。
図2図2は、自車両の運転席前方の様子を模式的に示す説明図である。
図3図3は、第1情報画像と第2情報画像とを説明する説明図である。
図4図4は、経路に沿って自動車線変更を行う状況において、第3車線から出口路へと至る自車両の一連の動きを示す説明図である。
図5A図5Aは、経路に沿って自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図5B図5Bは、経路に沿って自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図5C図5Cは、経路に沿って自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図5D図5Dは、経路に沿って自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図5E図5Eは、経路に沿って自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図5F図5Fは、経路に沿って自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図5G図5Gは、経路に沿って自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図5H図5Hは、経路に沿って自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図5I図5Iは、経路に沿って自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図6図6は、ドライバ提案の自動車線変更を行う状況において、第1車線から第2車線へと至る自車両の一連の動きを示す説明図である。
図7A図7Aは、ドライバ提案の自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図7B図7Bは、ドライバ提案の自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図7C図7Cは、ドライバ提案の自動車線変更を行う場合に表示される第1情報画像と第2情報画像との一例を示す説明図である。
図8A図8Aは、第1情報画像及び第2情報画像の一例を示す説明図である。
図8B図8Bは、第1情報画像及び第2情報画像の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
本実施形態に係る表示制御装置を、自車両の挙動を制御して自動運転を行う制御システム(車両制御システム)に適用して説明する。自動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングなどのアクチュエータのうち、少なくとも一つのアクチュエータが乗員の操作なしに制御されている状態のことを指す。そのため、その他のアクチュエータが乗員の操作により作動していたとしても構わない。また、自動運転とは、加減速制御、横位置制御などのいずれかの制御が実行されている状態であればよい。また、本実施形態における手動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングを乗員が操作している状態のことを指す。なお、自車両は、自動運転と手動運転とを切り替えることができるものであってもよい。
【0011】
自動運転の一例は、自動車線変更である。自動車線変更とは、制御システムが自車両の挙動を制御することで、自車両が走行する自車線から、自車線に隣接する左右の隣接車線のうち一方の隣接車線へと自車両が車線変更を行うことをいう。
【0012】
図1及び図2を参照して、制御システムの構成を説明する。制御システムは、コントローラ10と、自車位置推定装置20と、地図取得装置21と、周囲情報検出装置22と、車速センサ23と、ステアリングスイッチ24と、タッチセンサ25と、ウインカスイッチ26とを備えている。また、制御システムは、ステアリングアクチュエータ30、アクセルペダルアクチュエータ31と、ブレーキアクチュエータ32とを備えている。さらに、制御システムは、メータディスプレイ35と、ヘッドアップディスプレイ40とを備えている。
【0013】
制御システムが適用される自車両の室内には、ドライバの前方にステアリング1が配置され、ステアリング1の前方にインストルメントパネル3が配置されている。インストルメントパネル3には、ドライバに自車両の計器を表示するメータユニット5が設けられている。インストルメントパネル3の前方には、ウインドシールド4が配置されている。
【0014】
コントローラ10は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータには、表示制御装置及び制御システムとして機能させるためのコンピュータプログラム(表示制御プログラム及び制御プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、制御システムが備える複数の情報処理回路として機能する。なお、本実施形態では、ソフトウェアによって制御システムが備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、後述する各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。コントローラ10が備える複数の情報処理回路の詳細については後述する。
【0015】
自車位置推定装置20は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)、オドメトリなどの位置推定技術を利用して、自車両の位置情報を計測する。自車位置推定装置20は、各種のセンサなどを用いて、自車両の絶対位置、すなわち、所定の基準点に対する自車両の位置、車速、加速度、操舵角、姿勢を計測する。自車位置推定装置20には、GPS受信器、慣性航法装置、ブレーキペダルやアクセルペダルに設けられたセンサ、車輪速センサやヨーレートセンサなど車両の挙動を取得するセンサ、レーザレーダ、カメラなどが含まれている。自車位置推定装置20は、計測した自車両の位置情報をコントローラ10に出力する。
【0016】
地図取得装置21は、自車両が走行する道路の構造を示す地図情報を取得する。地図取得装置21が取得する地図情報には、車線の絶対位置、車線の接続関係、相対位置関係などの道路構造の情報、交通規則、道路標識などが含まれる。地図取得装置21は、地図情報を格納した地図データベースを所有してもよいし、クラウドコンピューティングにより地図情報を外部の地図データサーバから取得してもよい。また、地図取得装置21は、車車間通信、路車間通信を用いて地図情報を取得してもよい。地図取得装置21は、取得した地図情報をコントローラ10に出力する。
【0017】
周囲情報検出装置22は、自車両に搭載された複数の異なる種類の物体検出センサを備える。物体検出センサは、例えば、レーザレンジファインダー、レーザレーダ、ミリ波レーダ又はカメラなどである。周囲情報検出装置22は、これらの物体検出センサを用いて、自車両の周囲における物体を検出する。周囲情報検出装置22は、他車両、バイク、自転車、歩行者を含む移動物体、及び駐車車両を含む静止物体を検出する。例えば、周囲情報検出装置22は、移動物体及び静止物体の自車両に対する位置、姿勢(ヨー角)、大きさ、速度、加速度、ジャーク、減速度、ヨーレートを検出する。周囲情報検出装置22は、車車間通信、路車間通信を用いて周囲情報を取得してもよい。周囲情報検出装置22は、検出した情報をコントローラ10に出力する。
【0018】
車速センサ23は、自車両の車速を検出する。車速センサ23は、検出した自車両の車速をコントローラ10に出力する。
【0019】
ステアリングスイッチ24は、ドライバの操作に応じた操作信号を出力する。ステアリングスイッチ24は、ステアリング1に設けられている。ステアリングスイッチ24は、ドライバの操作に応じた操作信号をコントローラ10に出力する。
【0020】
タッチセンサ25は、ステアリング1に設けられ、ドライバの手がステアリング1に触れていることを検出する。タッチセンサ25としては、静電容量の変化を検出する静電容量タイプのセンサを用いることができる。タッチセンサ25は、ドライバの手がステアリング1に触れている場合には、所定の検出信号をコントローラ10に出力する。
【0021】
ウインカスイッチ26は、ウインカ(方向指示器)34を作動させる作動信号を出力するスイッチであり、ドライバによって操作される。ウインカスイッチ26は、ドライバによって操作されると、ウインカ34の作動信号をコントローラ10に出力する。
【0022】
ステアリングアクチュエータ30は、ステアリング1の操舵角を制御する。ステアリングアクチュエータ30は、コントローラ10によって制御される。
【0023】
アクセルペダルアクチュエータ31は、アクセルペダルの踏み量を制御する。アクセルペダルアクチュエータ31は、コントローラ10によって制御される。
【0024】
ブレーキアクチュエータ32は、ブレーキペダルの踏み量を調整する。ブレーキアクチュエータ32は、コントローラ10によって制御される。
【0025】
メータディスプレイ35は、メータユニット5に配置される。メータディスプレイ35は、所定の画像をドライバに視認可能に表示する。ドライバは、メータディスプレイ35に表示される画像から、各種の情報を認識することができる。メータディスプレイ35は、例えば液晶パネルで構成されている。メータディスプレイ35に表示される画像は、コントローラ10によって制御される。
【0026】
メータディスプレイ35は、自車両の計器を示す画像を表示する。計器を示す画像としは、タコメータを示すタコメータ画像36、及びスピードメータを示すスピードメータ画像37を含む。タコメータ画像36は、メータディスプレイ35の全領域のうち、左側の領域に表示される。スピードメータ画像37は、メータディスプレイ35の全領域のうち、右側の領域に表示される。
【0027】
メータディスプレイ35は、制御システムがドライバに対して通知する情報を示す第2情報画像38を表示する。第2情報画像38は、メータディスプレイ35の全領域のうち、中央の領域に表示される。すなわち、第2情報画像38は、タコメータ画像36と、スピードメータ画像37との間に表示される。
【0028】
なお、タコメータ及びスピードメータは、アナログ計器で構成してもよく、メータディスプレイ35は、第2情報画像38のみを表示してもよい。
【0029】
ヘッドアップディスプレイ40は、インストルメントパネル3内に配置されている。ヘッドアップディスプレイ40は、虚像による遠方表示によって、所定の画像をドライバに視認可能に表示する。ヘッドアップディスプレイ40から照射された表示光は、インストルメントパネル3に設けられた開口(図示せず)を介して、ウインドシールド4に投射される。この表示光はウインドシールド4で反射して、ドライバのアイポイントに届く。これにより、ドライバは、ウインドシールド4の外側に虚像を視認する。このように、ヘッドアップディスプレイ40は、ウインドシールド4に向けて画像を照射することによって、自車両の前方の景色に重畳させて虚像(画像)を表示する。
【0030】
ヘッドアップディスプレイ40は、制御システムがドライバに対して通知する情報を示す第1情報画像41を表示する。ドライバは、ヘッドアップディスプレイ40が表示する第1情報画像41と、ウインドシールド4を通して見える自車両の前方の光景とを同時に視認することができる。
【0031】
図3を参照し、ヘッドアップディスプレイ40に表示する第1情報画像41と、メータディスプレイ35に表示する第2情報画像38とを説明する。
【0032】
第1情報画像41は、先行車両アイコン41aと、第1文字列41bと、モード表示アイコン41cと、第1レーンマーカアイコン41dと、矢印アイコン41eとを主体に構成されている。
【0033】
先行車両アイコン41aは、自車両と同一車線を走行する先行車両を示す図形である。
【0034】
第1文字列41bは、ひらがな、漢字、数字、記号などの1つ以上の文字を含み、例えば文章である。また、第1文字列41bは、文字と同等な役目を果たす絵文字(ピクトグラム)を含んでもよい。
【0035】
第1文字列41bは、制御システムがドライバに対して通知する内容を示している。第1文字列41bの内容は、制御システムからの要求、例えば自動車線変更などを実行するためのドライバへの操作指示の内容であったり、制御システムが行いたいこと、例えばこれから実行される自動車線変更の制御内容であったりする。すなわち、制御システムは、第1文字列41bを用いて、制御システムからの要求又は制御システムが行いたいことをドライバに通知する。この第1文字列41bは、後述する第2文字列38bの一部と同一となる関係を有している。
【0036】
第1文字列41bは、先行車両アイコン41aの上側に配置される。より具体的には、第1文字列41bは、第1情報画像41を構成する要素のうち、最も上側に配置される。
【0037】
モード表示アイコン41cは、ハンズオフモードであるのか、それともハンズオンモードであるのかを示す図形である。ハンズオフモードは、自動運転中に、ドライバがステアリング1から手を離すことができるモード(第1モード)である。一方、ハンズオンモードは、自動運転中に、ドライバがステアリング1に手を添えなくてはならないモード(第2モード)である。モード表示アイコン41cには、ステアリングのみを表した第1ステアリング図形と、ステアリング及びステアリングに添えられた手を示す第2ステアリング図形との2種類が用意されている。第1ステアリング図形は、現在のモードがハンズオフモードである場合に用いられる。第2ステアリング図形は、現在のモードがハンズオンモードである場合に用いられる。第1ステアリング図形は、例えば青色で表示され、第2ステアリング図形は、例えば緑色(ステアリング部分のみ)で表示される。
【0038】
第1レーンマーカアイコン41dは、自車線の境界を示す左右のレーンマーカを示す図形である。第1レーンマーカアイコン41dに示される左側のレーンマーカにより、自車線と、自車線の左側に隣接する隣接車線又は路肩との境界が示される。同様に、第1レーンマーカアイコン41dに示される右側のレーンマーカにより、自車線と、自車線の右側に隣接する隣接車線又は路肩との境界が示される。
【0039】
矢印アイコン41eは、自動車線変更を案内する矢印である。この矢印アイコン41eは、矢印の基端側(図形の下側)から矢印の先端側(図形の上側)に至る途中で折れ曲がるような形状を有し、自車線から第1レーンマーカアイコン41dを跨いで隣接車線に向かうような矢印とされている。すなわち、矢印アイコン41eは、自動車線変更によって自車両が車線を遷移する様子を模式的に示す矢印であり、これによって、自動車線変更を案内する。
【0040】
第1情報画像41は、先行車両アイコン41a及び第1レーンマーカアイコン41dにより、自車両の前方の走行状況を示す。この第1情報画像41は、ドライバが前方を見たときの自車両の前方の走行状況を表すように生成されている。
【0041】
第1情報画像41において、自車両の前方の走行状況は2次元的に示される。これは、第1情報画像41がヘッドアップディスプレイ40に表示されることを理由とする。すなわち、2次元的な表現を用いることで、情報量を制限し、第1情報画像41に対する視認性を高めている。
【0042】
第1情報画像41は、所定のタイミングで生成され、新たな第1情報画像41が生成される度に、ヘッドアップディスプレイ40に表示される第1情報画像41が更新される。
【0043】
なお、第1情報画像41は、常に、先行車両アイコン41a、第1文字列41b、モード表示アイコン41c、第1レーンマーカアイコン41d及び矢印アイコン41eの全てを含む必要はない。第1情報画像41は、先行車両アイコン41a、第1文字列41b、モード表示アイコン41c、第1レーンマーカアイコン41d及び矢印アイコン41eの一部又は全部を含めばよい。
【0044】
第1情報画像41に示される自車両の前方の走行状況には、自車両が実際に走行している現実の走行状況が反映される。したがって、先行車両が実際に存在していない場合には、第1情報画像41は、先行車両アイコン41aを含まない。
【0045】
また、第1文字列41b及び矢印アイコン41eには、制御システムの制御内容が反映される。すなわち、制御システムから要求がなければ、第1情報画像41は、第1文字列41b及び矢印アイコン41eを含まない。
【0046】
第2情報画像38は、自車両アイコン38aと、第2文字列38bと、第2レーンマーカアイコン38cと、周囲車両アイコン38dとを主体に構成されている。
【0047】
自車両アイコン38aは、自車両を示す図形である。
【0048】
第2文字列38bは、ひらがな、漢字、数字、記号などの1つ以上の文字を含み、例えば文章である。また、第2文字列38bは、文字と同等な役目を果たす絵文字(ピクトグラム)を含んでもよい。
【0049】
第2文字列38bは、第1文字列41bと同様、制御システムがドライバに対して通知する内容を示している。具体的には、第2文字列38bは、第1文字列41bと、その他の文字列(第3文字列)とを含んでいる。第3の文字列の内容は、第1文字列41bを通知する理由である。すなわち、制御システムは、第2文字列38bを用いて、制御システムからの要求又は制御システムが行いたいこと、並びに、その理由などをドライバに通知する。第2文字列38bは、第1文字列41bの他に第3文字列を含む点で、第1文字列41bよりも情報量が多い。
【0050】
このように、第2文字列38bは、第1文字列41bを含む。ここで、第2文字列38bが第1文字列41bを含むとの意味は、第1情報画像41に表示される要素(第1文字列41b)を第2文字列38bの一部としてみなすという意味ではなく、文字の連なりが第1文字列41bと同一となる文字列を第2文字列38bが含むという意味である。ただし、上述した第2文字列38bは、あくまでも一例であり、このような条件に拘束されることなく、任意の文字で構成することも可能である。
【0051】
第2文字列38bは、自車両アイコン38aの下側に配置される。換言すれば、第2文字列38bは、第2情報画像38を構成する要素のうち、最も下側に配置される。
【0052】
第2レーンマーカアイコン38cは、自車両が走行する道路に含まれる1つ以上の車線の境界を示すレーンマーカを示す図形である。
【0053】
周囲車両アイコン38dは、自車両の周囲を走行する周囲車両を示す図形である。周囲車両は、先行車両と、隣接車線を走行する隣接車両とを含む。
【0054】
第2情報画像38は、自車両アイコン38a、第2レーンマーカアイコン38c及び周囲車両アイコン38dにより、自車両及び自車両の周囲の走行状況を示す。自車両の周囲は、自車両の前方、自車両の左右の側方、及び自車両の後方を含む。この第2情報画像38は、自車両を上方後方より俯瞰したときの自車両の周囲の走行状況を表すように生成されている。なお、自車両の周囲の走行状況が分かればよいので、走行状況は表す視点は、少なくとも自車両の上方であればよい。
【0055】
第2情報画像38において、自車両の周囲の走行状況は3次元的に示される。3次元的な表現を用いることで、二次元的な表現よりも情報量が増す。したがって、第2情報画像38は、第1情報画像41よりも、多様な情報をドライバに伝えることができる。
【0056】
第2情報画像38は、所定のタイミングで生成され、新たな第2情報画像38が生成される度に、メータディスプレイ35に表示される第2情報画像38が更新される。
【0057】
なお、第2情報画像38は、常に、自車両アイコン38a、第2文字列38b、第2レーンマーカアイコン38c及び周囲車両アイコン38dの全てを含む必要はない。第2情報画像38は、自車両アイコン38a、第2文字列38b、第2レーンマーカアイコン38c及び周囲車両アイコン38dの一部又は全部を含めばよい。
【0058】
第2情報画像38上の自車両の周囲の走行状況には、自車両が実際に走行している現実の走行状況が反映される。したがって、周囲車両が実際に存在していない場合には、第2情報画像38は、周囲車両アイコン38dを含まない。また、第2レーンマーカアイコン38cは、自車両が実際に走行している道路上の車線数と対応する。
【0059】
また、第2文字列38bには、制御システムの制御内容が反映される。すなわち、制御システムから要求がなければ、第2情報画像38は、第2文字列38bを含まない。
【0060】
再び図1を参照し、コントローラ10の詳細を説明する。コントローラ10は、複数の情報処理回路として、経路生成部11と、自動走行処理部12と、車両制御部13と、画像生成部14と、表示制御部15と、スピーカ制御部16と、ウインカ制御部17とを備えている。
【0061】
経路生成部11は、ドライバが予め設定した目的地までの経路を生成する。経路生成部11は、生成した経路を自動走行処理部12に出力する。なお、経路生成部11は、外部装置によって生成された経路を取得してもよい。
【0062】
自動走行処理部12は、自動車線変更を行うために必要な各種の処理を行う。自動車線変更は、自動走行処理部12(制御システム)がドライバに提案して自動車線変更を行うシステム提案の状況と、ドライバの提案を受けて自動車線変更を行うドライバ提案の状況とを含む。
【0063】
システム提案の自動車線変更は、先行車両を追い越すために車線変更が必要と判断した場合に発生する。また、これ以外にも、システム提案の自動車線変更は、経路生成部11によって生成された経路を維持するために車線変更が必要と判断した場合に発生する。これに対して、ドライバ提案の自動車線変更は、ドライバが車線変更を希望する方向にウインカスイッチ26を操作した場合に発生する。
【0064】
自動走行処理部12は、自車位置推定装置20、地図取得装置21、周囲情報検出装置22及び車速センサ23から出力される情報に基づいて、自車両の位置、周囲車両の位置、自車両と先行車両との相対速度などを算出する。自動走行処理部12は、自車両の位置、周囲車両の位置、自車両と先行車両との相対速度、経路生成部11が生成した経路などに基づいて必要な演算を行う。自動走行処理部12の演算には、ステアリングスイッチ24、タッチセンサ25及びウインカスイッチ26から出力される情報も利用される。そして、自動走行処理部12は、自動車線変更及びこれに付随する処理に必要な制御指令を、車両制御部13、画像生成部14、表示制御部15、スピーカ制御部16及びウインカ制御部17に出力する。
【0065】
車両制御部13は、自動走行処理部12からの制御指令に応じて、ステアリングアクチュエータ30などを制御する。車両制御部13の制御に応じてステアリングアクチュエータ30などが動作することで、自車両の挙動が制御され、これにより、自動車線変更を行うことができる。
【0066】
画像生成部14は、第1情報画像41及び第2情報画像38を生成する。第1情報画像41は、自車位置推定装置20、地図取得装置21、周囲情報検出装置22及び車速センサ23から出力される情報に基づいて、自車両の前方の走行状況を表すように生成される。同様に、第2情報画像38は、自車位置推定装置20、地図取得装置21、周囲情報検出装置22及び車速センサ23から出力される情報に基づいて、自車両の周囲の走行状況を表すように生成される。
【0067】
加えて、画像生成部14は、自動走行処理部12からの制御指令、すなわち、ドライバに通知する情報に基づいて、第1文字列41bを含むように第1情報画像41を生成する。同様に、画像生成部14は、自動走行処理部12からの制御指令、すなわち、ドライバに通知する情報に基づいて、第2文字列38bを含むように第2情報画像38を生成する。
【0068】
表示制御部15は、画像生成部14が生成した第1情報画像41をヘッドアップディスプレイ40に表示する。また、表示制御部15は、画像生成部14が生成した第2情報画像38をメータディスプレイ35に表示する。
【0069】
スピーカ制御部16は、自動走行処理部12からの制御指令に応じて、スピーカ33を制御する。スピーカ制御部16に制御されることで、ドライバに対する報知音がスピーカ33から出力される。
【0070】
ウインカ制御部17は、自動走行処理部12からの制御指令に応じて、ウインカ34を制御する。ウインカ制御部17によってウインカ34が制御されることで、左右いずれかのウインカ34が作動する。
【0071】
コントローラ10を構成する複数の情報処理回路のうち、画像生成部14及び表示制御部15は、本実施形態に係る表示制御装置を構成する。また、画像生成部14及び表示制御部15によって行われる各種の処理は、本実施形態に係る表示制御方法を構成する。
【0072】
以下、図4を参照し、経路生成部11によって生成された経路を維持する状況を例に、システム提案の自動車線変更の流れを説明する。自車両100は、本線から分岐する出口路L4に向かうため、第3車線L3から第2車線L2へ自動車線変更し、第2車線L2から第1車線L1へ自動車線変更し、第1車線L1から出口路L4へと自動車線変更する。
【0073】
この自動車線変更において、自動走行処理部12の制御の流れは、以下を含む。
(1)ドライバに自動車線変更を提案する(タイミングtb1)
(2)自動車線変更に対するドライバの承諾を受け付ける(タイミングtb2)
(3)第2車線L2への自動車線変更の開始に先立ち、車線変更を行う方向のウインカ34を作動させる(タイミングtb3)
(4)第2車線L2への自動車線変更(第1回目の自動車線変更)を完了する(タイミングtb4)
(5)第1車線L1への自動車線変更の開始に先立ち、車線変更を行う方向のウインカ34を作動させる(タイミングtb5)
(6)第1車線L1への自動車線変更(第2回目の自動車線変更)を完了する(タイミングtb6)
(7)出口路L4の分岐点と自車両100との間の距離が、予め定められた第1距離に到達したことを判断する(タイミングtb7)
(8)出口路L4への自動車線変更に先立ち、出口路L4に進む方向のウインカ34を作動させる(タイミングtb8)
(9)自車両100が分岐点へと到達したことを判断する(タイミングtb9)
(10)出口路L4への自動車線変更(第3回目の自動車線変更)を完了する(タイミングtb10)
【0074】
自動車線変更及びこれに付随する処理に伴って自動走行処理部12が行う制御には、上述したような複数の過程が含まれる。ヘッドアップディスプレイ40に表示される第1情報画像41、及びメータディスプレイ35に表示される第2情報画像38は、制御の各過程に応じて遷移する。
【0075】
第3車線L3から出口路L4へと至る自動車線変更において、第1情報画像41及び第2情報画像38は、10の過程に応じて遷移する。
【0076】
タイミングtb1の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容を主体に構成される(図示せず)。タイミングtb1からタイミングtb2の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容と、ドライバに自動車線変更を提案する内容とを主体に構成される(図5A)。タイミングtb2からタイミングtb3の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容と、自動車線変更に対するドライバの承諾を受け付けたことを示す内容とを主体に構成される(図5B)。タイミングtb3からタイミングtb4の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容と、自動車線変更を実行していること示す内容とを主体に構成される(図5C)。
【0077】
タイミングtb4からタイミングtb5の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容と、第2回目の自動車線変更を予告する内容とを主体に構成される(図5D)。タイミングtb5からタイミングtb6の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容と、自動車線変更を実行していることを示す内容と主体に構成される(図5E)。タイミングtb6からタイミングtb7の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容と、自動車線変更を連続的に行っていることを示す内容とを主体に構成される(図5F)。
【0078】
タイミングtb7からタイミングtb8の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容と、出口路L4に進むことを予告する内容とを主体に構成される(図5G)。タイミングtb9からタイミングtb10の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容と、自動車線変更を実行していることを示す内容と主体に構成される(図5H)。タイミングtb10以降では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容を主体に構成される(図5I)。
【0079】
図5A図5Iに示すように、第1情報画像41は、先行車両アイコン41a及び第1レーンマーカアイコン41dを含み、自車両の前方の走行状況を示す。また、第2情報画像38は、自車両アイコン38a、第2レーンマーカアイコン38c及び周囲車両アイコン38dを含み、自車両の周囲の走行状況を示す。
【0080】
また、第1情報画像41は、第1文字列41bを含み、第2情報画像38は、第2文字列38bを含む。以下、第1文字列41b及び第2文字列38bの一例を説明する。
【0081】
図5において、第1文字列41bは、「(絵文字)で出口に向かいます」からなる。第1文字列41bに含まれる絵文字は、ステアリングスイッチ24上に印された絵文字と対応しており、ステアリングスイッチ24の操作を促す意味を有している(以下同じ)。「(絵文字)で出口に向かいます」は、ドライバに自動車線変更を提案する内容を示している。
【0082】
図5において、第2文字列38bは、「この先、左方向出口です」、「安全を確認してくだい」及び「(絵文字)で出口に向かいます」からなる。「(絵文字)で出口に向かいます」は、ドライバに自動車線変更を提案する内容を示している。「この先、左方向出口です」は、自動車線変更の提案に対する理由を示している。「安全を確認してください」は、ドライバに安全確認を提案する内容を示している。このように、第2文字列38bは、第1文字列41b(「(絵文字)で出口に向かいます」)を含んでいる。換言すれば、第1文字列41bは、第2文字列38bの一部と同一となる。
【0083】
さらに、第1情報画像41は、矢印アイコン41eを含む。以下、矢印アイコン41eの変化の流れを説明する。この矢印アイコン41eは、ドライバに自動車線変更を提案するタイミングで表示される。
【0084】
図5Aの表示シーンは、ドライバに自動車線変更を提案してから、自動車線変更に対するドライバの承諾を受け付ける前までの過程(タイミングtb1~タイミングtb2)に該当する。矢印アイコン41eは、白色で点滅させられる。
【0085】
図5Bの表示シーンは、自動車線変更に対するドライバの承諾を受け付けてから、車線変更を行う方向のウインカ34を作動させる前までの過程(タイミングtb2~tb3)に該当する。矢印アイコン41eは、白色で点灯される。また、矢印アイコン41eは、白色で点灯される点灯領域が矢印を表す図形の中で動的に変化させられる。具体的には、矢印アイコン41eは、矢印の中で点灯している点灯領域が、矢印の基端側(図形の下側)から矢印の先端側(図形の上側)にかけて漸次増加し、点灯領域が矢印の先端まで到達すると(すなわち、矢印の全部が点灯すると)、矢印全部が一旦消灯される。そして、矢印内の点灯領域の増加、矢印全部の点灯、矢印全部の消灯という一連の流れが繰り返される。なお、図5Bにおいて、矢印アイコン41eに示される黒塗りの範囲は白色で点灯される点灯領域を便宜的に表現し、白塗りの範囲は非点灯領域を便宜的に表現している(後述する図5D及び図5Gにおいて同じ)。
【0086】
図5Cの表示シーンは、自動車線変更を行う方向のウインカ34の作動から、第1回目の自動車線変更を完了する前までの過程(タイミングtb3~タイミングtb4)に該当する。矢印アイコン41eは、モード表示アイコン41cの表示色と同一となる緑色で点滅させられる。なお、図5Cにおいて、矢印アイコン41eに示される黒塗りは、緑色で点滅する様子を便宜的に表現している(後述する図5E図5H図7Bにおいて同じ)。
【0087】
図5Dの表示シーンは、第1回目の自動車線変更が完了してから、第2回目の自動車線変更のためにウインカ34を作動させる前までの過程(タイミングtb4~タイミングtb5)に該当する。矢印アイコン41eは、白色で点灯される。また、矢印アイコン41eは、白色で点灯される点灯領域が矢印を表す図形の中で動的に変化させられる。
【0088】
図5Eの表示シーンは、第2回目の自動車線変更を行う方向のウインカ34を作動させてから、第2回目の自動車線変更を完了する前までの過程(タイミングtb5~タイミングtb6)に該当する。この場合、矢印アイコン41eは、緑色で点滅させられる。
【0089】
図5G及び図5Hの各表示シーンは、第3回目の自動車線変更に関するものであり、その詳細は、図5D及び図5Eの各表示シーンと同様である。なお、第2回目の自動車線変更から第3回目の自動車線変更までの間には、自動車線変更を連続的に行っていることを示す図5Fの表示シーンが設けられている。
【0090】
また、図5Iの表示シーンは、第3回目の自動車線変更、すなわち、全ての自動車線変更を完了する場合に該当する。矢印アイコン41eの表示が終了される。
【0091】
画像生成部14及び表示制御部15は、自動走行処理部12からの制御指令に応じて、上述したような第1情報画像41と第2情報画像38との生成及び表示を行う。この際、表示制御部15は、第1文字列41bと第2文字列38bとが同時に表示されるように、第1情報画像41の表示及び第2情報画像38の表示を行う。
【0092】
以下、図6を参照し、ドライバ提案の自動車線変更の流れを説明する。自車両100は、ドライバがウインカスイッチ26を操作すると、第1車線L1から第2車線L2へ自動車線変更する。
【0093】
この自動車線変更において、自動走行処理部12の制御の流れは、以下を含む。(1)ドライバがウインカスイッチ26を操作する(タイミングta1)(2)第2車線L2への自動車線変更を完了する(タイミングta2)
【0094】
自動車線変更及びこれに付随する処理に伴って自動走行処理部12が行う制御には、上述したような複数の過程が含まれる。ヘッドアップディスプレイ40に表示される第1情報画像41、及びメータディスプレイ35に表示される第2情報画像38は、制御の各過程に応じて遷移する。
【0095】
第1車線L1から第2車線L2へと至る自動車線変更において、第1情報画像41及び第2情報画像38は、3の過程に応じて遷移する。
【0096】
タイミングta1の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容を主体に構成される(図7A)。タイミングta1からタイミングta2の前までの過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容と、自動車線変更を実行していること示す内容とを主体に構成される(図7B)。タイミングta2以降の過程では、第1情報画像41及び第2情報画像38は、走行状況を示す内容を主体に構成される(図7C)。
【0097】
図7A図7Cに示すように、第1情報画像41は、先行車両アイコン41a及び第1レーンマーカアイコン41dを含み、自車両の前方の走行状況を示す。また、第2情報画像38は、自車両アイコン38a、第2レーンマーカアイコン38c及び周囲車両アイコン38dを含み、自車両の周囲の走行状況を示す。
【0098】
また、第1情報画像41は、第1文字列41bを含み、第2情報画像38は、第2文字列38bを含む。以下、第1文字列41b及び第2文字列38bの一例を説明する。
【0099】
図7Bにおいて、第1文字列41bは、「安全を確認してください」からなる。「安全を確認してください」は、ドライバに安全確認を促す内容を示している。
【0100】
図7Bにおいて、第2文字列38bは、「安全を確認してください」及び「(絵文字)長押しでキャンセル」からなる。「安全を確認してください」は、ドライバに安全確認を促す内容を示している。「(絵文字)長押しでキャンセル」は、自動車線変更の中止方法を通知する内容を示している。このように、第2文字列38bは、第1文字列41b(「安全を確認してください」)を含んでいる。換言すれば、第1文字列41bは、第2文字列38bの一部と同一となる。
【0101】
さらに、第1情報画像41は、矢印アイコン41eを含む。以下、矢印アイコン41eを説明する。この矢印アイコン41eは、ドライバがウインカスイッチ26を操作した場合に表示される。
【0102】
図7Bの表示シーンは、ドライバがウインカスイッチ26を操作してから、自動線変更が完了する前までの過程(タイミングta1~ta2)に該当する。矢印アイコン41eは、緑色で点滅させられる。
【0103】
そして、図7Cの表示シーンは、自動車線変更を完了する場合に該当する。矢印アイコン41eの表示が終了される。
【0104】
以下、第2情報画像38の異なる形態について説明する。
【0105】
自動走行処理部12は、経路生成部11が生成した経路と連動して自車両を走行させる連動制御(ナビゲーション連動制御)を行っている。自動走行処理部12は、この連動制御の中で、上述した自動車線変更を行う。しかしながら、自動走行処理部12は、所定の条件、例えば渋滞を判定すると自動車線変更の機能を禁止する。
【0106】
自動車線変更を行うことができる期間に該当している場合、第2情報画像38は、図8Aを示すような形態となる。すなわち、第2情報画像38は、自車両が走行する自車線と、自車線に隣接する隣接車線とで構成される第2レーンマーカアイコン38c(第1車線画像)を含んでいる。一方、自動車線変更を行うことができない期間に該当している場合、第2情報画像38は、図8Bを示すような形態となる。すなわち、第2情報画像38は、自車両が走行する自車線のみで構成される第2レーンマーカアイコン38c(第2車線画像)を含んでいる。
【0107】
このように、本実施形態に係る表示制御方法は、制御システムが自車両のドライバに自動車線変更を提案する場合に、自動車線変更を案内する矢印を表す画像(矢印アイコン41e)を、ヘッドアップディスプレイ40に表示し、制御システムが行う制御に含まれる複数の過程に応じて、矢印アイコン41eの表示方法を切り替えている。
【0108】
ドライバは、矢印アイコン41eの表示方法の変化から、制御システムが行う制御の状況を把握することができる。その結果、ドライバにとって理解し易い表示、及びドライバに安心感を与える表示を行うことができる。
【0109】
また、本実施形態に係る表示制御方法は、複数の過程に含まれる第1過程であって、制御システムがドライバに自動車線変更を提案してから、制御システムが自動車線変更に対するドライバの承諾を受け付ける前までの第1過程では、矢印アイコン41eを点滅させる。表示制御方法は、複数の過程に含まれる第2過程であって、制御システムが自動車線変更に対するドライバの承諾を受け付けてから、制御システムが自動車線変更を行う方向のウインカ34を作動させる前までの第2過程では、矢印の基端側から矢印の先端側にかけて点灯領域が増加するように矢印アイコン41eを変化させる。また、表示制御方法は、複数の過程に含まれる第3過程であって、制御システムが自動車線変更を行う方向のウインカ34を作動させてから、制御システムによる自動車線変更が完了する前までの第3過程では、矢印アイコン41eを点滅させる。表示制御方法は、制御システムによる自動車線変更が完了した場合に、矢印アイコン41eの表示を終了する。
【0110】
第1過程から第2過程へと遷移するタイミングで、矢印アイコン41eの表示態様が切り替わる。そのため、ドライバは、ドライバの承諾が制御システムによって受け入れられたことを理解することができる。また、第2過程から第3過程へと遷移するタイミングで、矢印アイコン41eの表示態様が切り替わる。そのため、ドライバは、自動車線変更が開始されること、すなわち、自車両の挙動制御が開始されることを把握することができる。また、矢印アイコン41eの表示が終了することで、制御システムによる自動車線変更が完了したことを把握することができる。
【0111】
また、本実施形態に係る表示制御方法は、第1過程及び第2過程において、矢印アイコン41eは第1表示色で表示され、第3過程において、矢印アイコン41eは第1表示色とは異なる第2表示色で表示される。
【0112】
自車両の挙動制御が開始されるときに、矢印アイコン41eの表示色が切り替わることなる。これにより、ドライバは、矢印アイコン41eの表示色から、自車両の挙動制御が開始されることを事前に把握することができる。
【0113】
また、本実施形態では、第1表示色は白色で、第2表示色は緑色である。ハンズオンモード時におけるモード表示アイコン41cの色と同じ色にすることで、自車両の挙動制御が開始される場合には、ドライバがステアリング1に手を添える必要があることを分かり易く伝えることができる。
【0114】
また、本実施形態に係る表示制御方法において、制御システムによる自動車線変更の提案は、第1回目の自動車線変更と、第1回目の自動車線変更に続く第2回目の自動車線変更とを含む場合がある。この場合、表示制御方法は、制御システムによる第1回目の自動車線変更が完了してから、制御システムが2回目の自動車線変更のためにウインカ34を作動させる前までの第4過程では、矢印の基端側から矢印の先端側にかけて点灯領域が増加するように矢印アイコン41eを変化させる。また、表示制御方法は、制御システムが第2回目の自動車線変更のためにウインカ34を作動させてから、制御システムによる第2回目の自動車線変更が完了する前までの第5過程では、矢印アイコン41eを点滅させる。
【0115】
第1回目の自動車線変更に先立ち、ドライバの承諾を受け付けているので、第2回目の自動車線変更では、ドライバの承諾を必要としない。これにより、ドライバに対する負担が少ない制御仕様とすることができる。そして、矢印アイコン41eの白色の点滅状態が省略されることで、第2回目の自動車線変更に対する承諾が省略される制御の過程を、表示から理解することができる。
【0116】
また、本実施形態に係る表示制御方法は、制御システムが、制御システムによる自動車線変更を開始させるためにドライバがウインカ34を作動させたことを判断した場合に、矢印アイコン41eを表示する。また、表示制御方法は、ドライバがウインカ34を作動させてから、制御システムによる自動車線変更が完了する前まで、矢印アイコン41eを点滅状態で表示する。
【0117】
ドライバの発意で自動車線変更を行う場合には、ドライバが自動車線変更を行いたいという意思が明らかであるから、制御の過程も簡素となる。これにより、簡素な表示方法で自動車線変更を案内することができる。
【0118】
また、本実施形態に係る表示制御方法は、自動車線変更を行うことができる条件を具備している場合、自車両が走行する自車線と、自車線に隣接する隣接車線とを示す第1車線画像(第2レーンマーカアイコン38c)をさらに表示する。また、表示制御方法は、自動車線変更を行うことができる条件を具備していない場合、自車線のみを示す第2車線画像(第2レーンマーカアイコン38c)をさらに表示している。
【0119】
ドライバは、表示される車線の状態から、自動車線変更ができる状況であるかどうかを判断することができる。
【0120】
また、本実施形態において、表示制御装置は、自車両のドライバが視認可能なヘッドアップディスプレイ40を制御するコントローラ10を有している。コントローラ10は、制御システムが自車両のドライバに自動車線変更を提案する場合に、自動車線変更を案内する矢印を表す矢印アイコン41eをヘッドアップディスプレイ40に表示し、制御システムが行う制御に含まれる複数の過程に応じて、矢印アイコン41eの表示方法を切り替える。
【0121】
本実施形態に係る表示制御装置は、上述した表示制御方法と対応する技術的特徴を備え、表示制御方法と同様の効果を奏する。
【0122】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0123】
例えば、ヘッドアップディスプレイに表示される第1画像において、車両アイコンは、車両を表す図形であればよく、先行車両を示すものに限られない。また、メータディスプレイに表示される第2画像において、車両アイコンは、車両を表す図形であればよく、自車両を示すものに限られない。
【0124】
また、ヘッドアップディスプレイに矢印アイコンを表示して、その矢印アイコンに対して本実施形態に係る制御を適用している。しかしながら、メータディスプレイで同様の制御を行ってもよい。また、第1車線画像と第2車線画像との切り替えを、ヘッドアップディスプレイの表示に適用してもよい。
【符号の説明】
【0125】
10 コントローラ
11 経路生成部
12 自動走行処理部
13 車両制御部
14 画像生成部
15 表示制御部
16 スピーカ制御部
17 ウインカ制御部
20 自車位置推定装置
21 地図取得装置
22 周囲情報検出装置
23 車速センサ
24 ステアリングスイッチ
25 タッチセンサ
26 ウインカスイッチ
30 ステアリングアクチュエータ
31 アクセルペダルアクチュエータ
32 ブレーキアクチュエータ
33 スピーカ
34 ウインカ
35 メータディスプレイ
40 ヘッドアップディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B